特許第6782389号(P6782389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782389
(24)【登録日】2020年10月21日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】銀−塩化銀電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   G01N27/30 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-525521(P2020-525521)
(86)(22)【出願日】2019年6月7日
(86)【国際出願番号】JP2019022707
(87)【国際公開番号】WO2019240030
(87)【国際公開日】20191219
【審査請求日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】特願2018-113792(P2018-113792)
(32)【優先日】2018年6月14日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100125335
【弁理士】
【氏名又は名称】矢代 仁
(72)【発明者】
【氏名】二嶋 諒
【審査官】 小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−11208(JP,A)
【文献】 特開2000−357547(JP,A)
【文献】 特表2005−513423(JP,A)
【文献】 国際公開第1998/03431(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉末と、塩化銀粉末と、分散剤と、フュームドシリカ粉末とを液状シリコーンゴムのバインダに混合してペーストを生成することと、
前記ペーストをシリコーンゴム製の基板にコートすることと、
前記基板上で前記ペーストを硬化させて銀と塩化銀を含む電極を形成することと、
前記電極を塩化ナトリウム水溶液に浸漬することとを
有する銀−塩化銀電極の製造方法。
【請求項2】
前記ペーストを生成することは、フュームドシリカ粉末と塩化銀粉末を混合することと、フュームドシリカ粉末と塩化銀粉末の混合物、銀粉末および分散剤をバインダに混合することを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
塩化ナトリウム水溶液の塩化ナトリウムの濃度が1%以上である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
塩化ナトリウム水溶液の塩化ナトリウムの濃度が1%以上、10%以下である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
フュームドシリカ粉末は親水性である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀−塩化銀電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀−塩化銀電極は、不分極性であり、電位が安定しており、電荷移動反応速度が大きいため、電気化学および電気生理学における微小電流の計測電極ならびに基準電極として、広く使用されている。
【0003】
銀−塩化銀電極の製造方法としては、塩化物溶液中に浸漬した銀板または銀線の表面に電気分解を用いて塩化銀を形成する方法が知られている。しかし、この製造方法では、得られる電極の寸法を小さくするのが困難であり、電極の形状も制約される。
【0004】
また、基体上に、銀粉末と塩化銀粉末とポリイミド(バインダ)を有機溶媒内に分散させた導電性ペーストを基板に塗布し加熱することにより、基板上に銀と塩化銀と耐熱性樹脂とで構成される銀−塩化銀電極を形成する方法が知られている(特許文献1)。さらに、特許文献2は、樹脂材料中に銀粒子が分散されたペーストを基板に塗布して電極を形成した後、次亜塩素酸で電極を処理し、電極の表面を塩化銀にする方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−142189公報
【特許文献2】特開2005−292022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電気化学および電気生理学においてマイクロ流体デバイスを用いた研究が進んでいる。例えば、マイクロ流体デバイス内の流体の微小電流を計測するために、銀−塩化銀電極を使用することが考えうる。この場合、マイクロ流体デバイスに使用される板材の材料であるシリコーンゴムへの密着性が高く、高い導電性を安定して維持することができる銀−塩化銀電極が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、シリコーンゴムへの密着性が高く、高い導電性を安定して維持することができる銀−塩化銀電極を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係る銀−塩化銀電極の製造方法は、銀粉末と、塩化銀粉末と、分散剤と、フュームドシリカ粉末とを液状シリコーンゴムのバインダに混合してペーストを生成することと、前記ペーストをシリコーンゴム製の基板にコートすることと、前記基板上で前記ペーストを硬化させて銀と塩化銀を含む電極を形成することと、前記電極を塩化ナトリウム水溶液に浸漬することとを有する。
【0009】
この態様においては、シリコーンゴムへの密着性が高く、高い導電性を安定して維持することができる銀−塩化銀電極を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基板上に製造された銀−塩化銀電極を示す平面図である。
図2】銀−塩化銀電極の複数のサンプルの材料を示す表である。
図3】サンプルの導電性の試験のための実験装置を示す概略図である。
図4】サンプルの導電性の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態を説明する。
【0012】
実施形態の概略
実施形態に係る銀−塩化銀電極の製造方法は、
銀粉末と、塩化銀粉末と、分散剤と、フュームドシリカ粉末とを液状シリコーンゴムのバインダに混合してペーストを生成する工程と、
ペーストをシリコーンゴム製の基板にコートする工程と、
基板上でペーストを硬化させて、銀と塩化銀を含む電極を形成する工程と、
電極を塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程とを有する。
【0013】
ペーストを生成する工程は、まずフュームドシリカを塩化銀に添加し、塩化銀とフュームドシリカを粉砕および混合することにより、フュームドシリカ粉末と塩化銀粉末の混合物を生成する工程と、RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムに、この混合物と銀粉末と分散剤を添加する工程とを有する。
【0014】
フュームドシリカ粉末は、塩化銀粉末の凝集防止剤として機能する。フュームドシリカを使用しない場合には、塩化銀粉末が凝集する。好ましくは、フュームドシリカ粉末は、親水性フュームドシリカ粉末である。
【0015】
分散剤は、液状シリコーンゴムのバインダに、銀粉末と塩化銀粉末をできるだけ均一に分散させる。分散剤は、好ましくは、ポリエーテル鎖とシリコーン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、および/またはポリグリセリン鎖とシリコーン鎖を有するポリグリセリン変性シリコーン界面活性剤である。
【0016】
ペーストを基板にコートする工程では、図1に示すように、シリコーンゴム製の基板1の表面にペースト2を、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷などの手法によりコートする。ペースト2の硬化により、銀と塩化銀とシリコーンゴムを含む電極が結果として得られる。さらに電極を塩化ナトリウム水溶液に浸漬して乾燥させることにより、銀−塩化銀電極3が製造される。すなわち、銀−塩化銀電極3が表面に設けられた板4が製造される。
【0017】
図示の実施形態では、基板1の一面に2つの銀−塩化銀電極3が形成されている。しかし、基板1には1つまたは3つ以上の銀−塩化銀電極3が形成されてもよいし、基板1の両面の各々に1以上の銀−塩化銀電極3が形成されてもよい。
【0018】
この製造方法で製造された銀−塩化銀電極においては、親水性フュームドシリカ粉末を使用した場合には、塩化銀の個々の粒子の表面が親水性フュームドシリカで被覆されており、塩化銀粉末の表面と電解質(例えば、測定対象の溶液中の電解質)との親和性が向上すると推定される。塩化銀自体の導電性は低いが、親水性フュームドシリカで塩化銀粉末が被覆されることにより、導電性が向上すると考えられる。また、分散剤によって、バインダであるシリコーンゴム中に導電体である銀粉末と塩化銀粉末が適度に分散され、銀−塩化銀電極の内部での導電体粉末が相互に良好に電気的に接続されると推定されるため、導電性が向上する。さらに、塩化ナトリウム水溶液への浸漬の工程によって、銀−塩化銀電極に含有されるシリコーンゴムは、塩化ナトリウムに由来する塩化物イオンおよびナトリウムイオンを含有する。したがって、導電体粉末の電気的接続に加え、イオンによって導電性が向上し、さらに高い導電性を安定して維持することができると推定される。
【0019】
また、シリコーンゴムをバインダとして使用することにより、製造された銀−塩化銀電極3は、シリコーンゴムへの密着性が高く、基板1からは容易には剥離または脱落しない。さらに、銀−塩化銀電極に含有されるシリコーンゴムは、塩化ナトリウムに由来する塩化物イオンおよびナトリウムイオンを含有するので、銀−塩化銀電極の曲げなどの外力に対する耐久性が向上すると期待される。
【0020】
製造例
発明者は、実施形態に係る製造方法により、銀−塩化銀電極を有する複数のサンプルを製造し、これらのサンプルの導電性を試験した。また、比較のため、銀電極を有する複数のサンプルを製造し、これらのサンプルの導電性も試験した。
【0021】
図2は、これらのサンプルの材料と、塩化ナトリウム水溶液への浸漬(塩水処理)の詳細を示す。図2において、数値は重量部を表す。但し、最終行(塩水処理)の%は、塩化ナトリウム水溶液中の塩化ナトリウムの濃度を百分率で表し、最終行の「なし」は塩水処理を意図的に行わずに、電極を製造したことを表す。最終行の「−」は塩水処理を行うことを断念し、導電性試験を行わなかったことを表す。
【0022】
サンプル1〜6について、フュームドシリカ粉末と塩化銀粉末の混合物を生成する工程では、100重量部の塩化銀に0.5重量部のフュームドシリカを添加し、その後、遠心粉砕機で塩化銀とフュームドシリカを粉砕および混合した。サンプル1〜6について、材料全体における塩化銀とフュームドシリカの重量部は図2に示す通りである。原料の塩化銀は、乾庄貴金属化工株式会社で製造された。フュームドシリカとしては、日本アエロジル株式会社で製造された親水性フュームドシリカである「AEROSIL 200」と、同社で製造された疎水性フュームドシリカである「AEROSIL R972」を準備した。サンプル3およびサンプル6の製造には、「AEROSIL R972」を使用し、サンプル1,2,4,5の製造には、「AEROSIL 200」を使用した。AEROSILは登録商標である。粉砕および混合には、株式会社レッチェ(現在のヴァーダー・サイエンティフィック株式会社)で製造された遠心粉砕機(商品名「ZM200」)を使用し、粉砕された粒子が0.20mmのメッシュスクリーンを通過するように、塩化銀とフュームドシリカを粉砕および混合した。
【0023】
サンプル7〜10については、フュームドシリカ粉末を使用しなかった。サンプル7,8については、塩化銀粉末の凝集防止剤としてのフュームドシリカ粉末の効果を確認するためである。サンプル9,10については、塩化銀粉末を使用しないので、凝集防止剤としてのフュームドシリカ粉末が不要なためである。
【0024】
バインダとしてのシリコーンゴムとしては、信越化学工業株式会社で製造されたRTVシリコーンゴムである「KE-106」に、同社で製造された硬化触媒である「CAT-RG」の混合物を使用した。
【0025】
銀粉末としては、DOWAハイテック株式会社で製造されたフレーク状の銀粉「FA-2-3」と、同社で製造された不定形の銀粉「G-35」を準備し、各サンプルにこれらを等量使用した。
【0026】
分散剤としては、信越化学工業株式会社で製造されたポリエーテル変性シリコーン界面活性剤「KF-6015」と、同社で製造されたポリグリセリン変性シリコーン界面活性剤「KF-6106」を準備し、各サンプルにこれらを等量使用した。
【0027】
サンプル1〜6について、銀粉末、分散剤、およびフュームドシリカ粉末と塩化銀粉末の混合物をバインダに添加して、これらを混合することにより、ペーストを生成した。
【0028】
サンプル7,8については、銀粉末、分散剤、および塩化銀粉末をバインダに添加して、これらを混合したが、塩化銀粉末の凝集防止剤としてのフュームドシリカ粉末を含有しないため、塩化銀粉末が凝集し、均一なペーストを生成することができなかった(したがって、以降の工程および試験にサンプル7,8は使用されなかった。図2において、サンプル7,8の塩水処理が「−」なのは、ペーストの不良のために塩水処理も導電性試験も行わなかったことを意味する。)。サンプル7,8では、塩化銀の量が異なるが、いずれも均一なペーストを生成することができなかった。このように、フュームドシリカの効果が確認された。
【0029】
サンプル9,10については、銀粉末および分散剤をバインダに添加して、これらを混合することにより、ペーストを生成した。
【0030】
そして、サンプル1〜6,9,10について、図1に示すように、PDMS(ポリジメチルシロキサン)を含有するシリコーンゴム製の基板1の表面の2カ所にペースト2をスクリーン印刷によりコートした。さらに、150℃で30分間、加熱することにより、ペースト2を硬化させた。
【0031】
サンプル1およびサンプル6を除くサンプル2〜5,9,10について、ペースト2の硬化の後、基板1をペースト2の結果物である電極とともに塩化ナトリウム水溶液に室温で1時間浸漬し、乾燥させた。
【0032】
製造されたサンプル1〜6の各々では、銀−塩化銀電極3は、シリコーンゴムへの密着性が高く、基板1からは容易には剥離または脱落しなかった。また、比較のために製造されたサンプル9,10の各々では、銀電極3は、シリコーンゴムへの密着性が高く、基板1からは容易には剥離または脱落しなかった。これらのサンプルにおいて、電極3の長さLは30mmであり、幅Wは5mmであり、間隔INは10mmであった。
【0033】
次に、これらのサンプル1〜6,9,10を利用して、図3に示す実験装置5を形成した。実験装置5は、積層されて相互に接合された板4,6,7を有する。板4の直上の板6には貫通孔6a,6bが形成されており、貫通孔6a,6bはそれぞれ電極3に重ねられている。最上層の板7には、貫通する溝7gが形成されている。溝7gの一端は直下の板6の貫通孔6aに重ねられ、溝7gの他端は貫通孔6bに重ねられている。
【0034】
このように実験装置5には、貫通孔6a,6bと溝7gを有するマイクロ流路が設けられている。マイクロ流路の両端は、2つの電極3で閉塞されている。マイクロ流路には液体が貯留可能であり、溝7gから液体が入れられる。溝7gの幅は1mmであり、貫通孔6a,6bの直径は2mmであった。
【0035】
マイクロ流路には、溝7gからPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を供給した。使用したPBSは、カルシウムおよびマグネシウムを含まないPBS(−)である。
【0036】
板4の表面の電極3には、電池8(直流電源)をリード線で接続し、0.3Vの電圧を印加して直流電流を流した。そして電流計9によって、電流供給(電圧印加)直後から600秒間(10分間)の電流値の変動を計測した。図4は、計測結果を示す。
【0037】
図4から明らかなように、サンプル2およびサンプル3では、電圧印加の直後に非常に大きい電流が流れたが、経時的に電流値が減少した。
【0038】
サンプル1では、電圧印加の直後から徐々に電流値が減少した。サンプル1、サンプル2およびサンプル3で電流値減少が大きいのは、イオンの含有量が少ないことが原因と推測される。また、サンプル3で電流値が不安定であったのは、塩化銀粉末の表面が疎水性フュームドシリカで被覆されているため、PBSとの接触が不安定だったためであると推測される。
【0039】
サンプル4は、サンプル2と同様に親水性フュームドシリカを含有し、塩化銀をより多く含有し、塩水処理で使用した溶液の塩化ナトリウム濃度を増加させた。サンプル4では、電圧印加後600秒を超えて、電流値が安定した。これは、銀−塩化銀電極に含有されるシリコーンゴムが、塩化ナトリウムに由来する塩化物イオンおよびナトリウムイオンを多く含有するために、イオンによって導電性が向上し、さらに高い導電性を安定して維持することができたからであると推定される。
【0040】
サンプル5は、サンプル2と同じ材料を使用し、サンプル4と同じ溶液で塩水処理を行った。サンプル5でも、電圧印加後600秒を超えて、電流値が安定した。サンプル4,5の比較から明らかなように、塩化銀の含有量が異なっても、塩水処理で使用した溶液の塩化ナトリウム濃度が高い場合には、電流値が長期間安定した。
【0041】
サンプル6は、サンプル4と類似の材料を使用したが、親水性フュームドシリカの代わりに疎水性フュームドシリカを使用し、塩水処理を行わなかった。銀−塩化銀電極3を有するサンプル1〜6のうち、サンプル6では、最も早く電流値が減少し、しかも電流値が不安定であった。
【0042】
比較のために製造した銀電極3を有するサンプル9,10については、銀−塩化銀電極3を有するサンプル2〜5よりも電流値が低かった。但し、塩化ナトリウム濃度が高い溶液で塩水処理を行ったサンプル10では、サンプル9よりも電流値が低かった。
【0043】
サンプル1,6については、電圧印加後300秒(5分間)で銀電極3を有するサンプル9よりも電流が減少した。換言すれば、銀−塩化銀電極3を有するサンプルの中でも、サンプル2〜5が良い性能を有することが理解される。マイクロ流体デバイスにおいては、測定時間短縮の観点から電極の導電性が高いことが要求される。電流値減少が大きいサンプル2,3も、短時間の測定であれば、高い導電性を利用することが可能である。したがって、フュームドシリカを含有し、塩化ナトリウム水溶液で塩水処理を行ったサンプル2〜5が好ましい。
【0044】
また、電流値の安定性の観点からは、親水性フュームドシリカを含有するサンプル2,4,5が好ましく、高い濃度の塩化ナトリウム水溶液で塩水処理を行ったサンプル4およびサンプル5が良い性能を有することが理解される。但し、疎水性フュームドシリカを含有するサンプル2も短時間の測定であれば、高い導電性を発揮するので、好ましい。
【0045】
他の変形例
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0046】
1 基板
2 ペースト
3 銀−塩化銀電極
4 板
5 実験装置
6 板
7 板
6a,6b 貫通孔
7g 溝
図1
図2
図3
図4