(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
  以下では、本発明の実施の形態に係る空中表示装置及び建材について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
 
【0011】
  また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
 
【0012】
  (実施の形態1)
  [概要]
  まず、実施の形態1に係る空中表示装置の概要について説明する。
 
【0013】
  図1は、本実施の形態に係る建造物の床材1に筐体20が埋め込まれた空中表示装置10の構成を模式的に示す断面図である。
 
【0014】
  床材1は、建材の一例である。本実施の形態では、建材は、駅、空港、病院、ショッピングモール、地下街などの各種施設を含む建造物に利用される材料である。床材1は、建造物の床を構成する部材である。具体的には、床材1の表面1aが建造物の床面になる。床材1の材料は、例えば、木材、金属材料、樹脂材料、コンクリートなどであるが、これらに限らない。床材1には、空中表示装置10の筐体20を埋め込むための凹部が形成されている。
 
【0015】
  図1には、床材1の表面1aを歩くユーザ2が示されている。ユーザ2の進行方向は、紙面左から右に向かう方向である。空中表示装置10は、ユーザ2の前方の空中領域に空中画像3を表示する。
 
【0016】
  図2は、本実施の形態に係る空中表示装置10による空中画像3の表示原理を示す図である。
図2に示すように、空中表示装置10は、ディスプレイ30と、光学結像パネル40とを備える。空中表示装置10は、ディスプレイ30が表示する2次元画像を空中画像3として空中に表示する。つまり、空中表示装置10は、スクリーンなどの物体がない空中領域に、浮かび上がった状態で画像(空中画像3)を表示する。
 
【0017】
  図3は、本実施の形態に係る空中表示装置10による空中画像3の表示例を示す図である。具体的には、
図3は、
図1に示すユーザ2から見える空中画像3を示している。
図3に示すように、床材1の上方で、かつ、空中表示装置10より手前(ユーザ2に近い)側に、空中画像3が浮かび上がって表示される。空中画像3が表示されている場所には、スクリーンなどがないため、ユーザ2は、進行を妨げられることなく歩行することができる。
 
【0018】
  [構成]
  続いて、空中表示装置10の詳細な構成について説明する。
 
【0019】
  図4は、本実施の形態に係る空中表示装置10の斜視図である。
図1及び
図4に示すように、空中表示装置10は、筐体20と、ディスプレイ30と、光学結像パネル40と、第1支持部50及び第2支持部51と、カバー部材60とを備える。本実施の形態では、空中表示装置10の主要な構成部材(具体的には、ディスプレイ30、光学結像パネル40並びに第1支持部50及び第2支持部51)は、筐体20内に収容されている。
 
【0020】
  すなわち、空中表示装置10は、各構成部材が筐体20の内部に収容されてユニット化されている。これにより、空中表示装置10の設置作業を容易に行うことができる。また、ディスプレイ30及び光学結像パネル40などの光学系を設置者が素手などで直接触らずに済むため、指紋又は異物などの汚れの付着を抑制することができる。これにより、汚れによる空中画像3の不鮮明化などを抑制することができる。
 
【0021】
  以下では、空中表示装置10の各構成部材について詳細に説明する。
 
【0022】
  [筐体]
  筐体20は、空中表示装置10の外郭筐体であり、
図1及び
図4に示すように、筐体20の内部に、ディスプレイ30、光学結像パネル40並びに第1支持部50及び第2支持部51が収容されている。筐体20は、例えば、アルミニウムなどの金属材料又は樹脂材料から形成される。
 
【0023】
  本実施の形態では、
図4に示すように、筐体20の外形は、所定方向に長尺な略直方体状である。所定方向は、ディスプレイ30と光学結像パネル40とが並ぶ方向であり、
図1の紙面左右方向である。例えば、筐体20の長尺方向における長さDは、1m以上である。具体的には、ディスプレイ30と光学結像パネル40との間の距離dとして1m〜1.2m程度を確保できるように、長さDは設計されている。
 
【0024】
  筐体20には、光学結像パネル40からの光を外部に取り出すための開口21が設けられている。
図1及び
図4に示すように、開口21を塞ぐように、カバー部材60が設けられている。
 
【0025】
  本実施の形態では、
図1に示すように、筐体20は、床材1に埋込配設されている。具体的には、筐体20は、開口21が上側になるように床材1に埋込配設されている。このように、筐体20は、建造物の床面の一部となるので、ユーザ2が乗った場合にも壊れない程度の強度を有する。
 
【0026】
  [ディスプレイ]
  ディスプレイ30は、画像を表示する画像表示部の一例である。ディスプレイ30は、例えば、LCD(Liquid  Crystal  Display)又は有機EL(Electro  Luminescence)表示装置などのフラットパネルディスプレイである。ディスプレイ30は、ディスプレイ30に入力される画像が表示される表示面を有する。表示面には、例えば、マトリクス状に複数の画素が設けられている。表示面には、例えば1フレームの画像が表示される。
 
【0027】
  ディスプレイ30は、筐体20の内部に収容されている。本実施の形態では、ディスプレイ30は、筐体20の内部において、第2支持部51によって支持されている。
 
【0028】
  ディスプレイ30が表示する画像(映像)、すなわち、空中画像3として表示される画像は、静止画及び動画像のいずれでもよい。例えば、ディスプレイ30が表示する画像は、矢印などの案内表示用の画像、又は、広告用の画像(映像)でもよい。あるいは、ディスプレイ30が表示する画像は、空中表示装置10が備える記憶部(図示せず)に記憶されたコンテンツ映像、テレビ番組の放送中の映像若しくは録画映像、又は、インターネット画像などでもよい。
 
【0029】
  [光学結像パネル]
  光学結像パネル40は、ディスプレイ30に表示された画像からの光を、カバー部材60を通過させて、筐体20の外部で空中画像3として結像させる光学デバイスである。光学結像パネル40は、平板状のパネル(プレート)である。光学結像パネル40は、入射する複数の光の各々を反射して透過するリフレクタアレイ装置である。光学結像パネル40は、いわゆる反射型面対称結像素子であり、入射する光を透過及び反射することで、光学結像パネル40を対称軸として、1:1で空中に実像を形成する。
 
【0030】
  具体的には、空中画像3は、光学結像パネル40を対称の軸として、ディスプレイ30の表示面と面対称の位置に表示される。つまり、ディスプレイ30の表示面から光学結像パネル40までの距離と、空中画像3から光学結像パネル40までの距離とは等しくなる。ディスプレイ30に表示される画像の大きさと空中画像3の大きさとは等しくなる。
 
【0031】
  光学結像パネル40には、例えば、1辺が100μm、深さが100μmの微小な貫通孔又は凹部が形成されており、当該貫通孔又は凹部の内壁が鏡面(マイクロミラー)になっている。ディスプレイ30から出射され、貫通孔又は凹部を通過する光は、隣接する2面のマイクロミラーによって2回反射されることで、光学結像パネル40の反対側で空中画像3として結像する。
 
【0032】
  本実施の形態では、光学結像パネル40は、筐体20の内部に収容されている。本実施の形態では、光学結像パネル40は、筐体20の内部において、第1支持部50によって支持されている。
 
【0033】
  [第1支持部]
  第1支持部50は、空中画像3がカバー部材60の表面60a(具体的には、床面)に対して傾斜するように、光学結像パネル40を支持する。具体的には、第1支持部50は、光学結像パネル40をカバー部材60の表面60aに対して傾斜させて支持する。光学結像パネル40は、カバー部材60の表面60aに直交する方向(
図5の一点鎖線L)を基準(すなわち、この場合の傾斜角が0°)として、上端がディスプレイ30に近づく方向に傾斜している。
 
【0034】
  本実施の形態では、第1支持部50は、光学結像パネル40の姿勢を可変に支持する。なお、光学結像パネル40の姿勢とは、カバー部材60の表面60aに対する傾斜角θ
1で表される。光学結像パネル40の傾斜角θ
1は、例えば0°より大きく45°未満である。
 
【0035】
  図5は、本実施の形態に係る光学結像パネル40の姿勢を変更することによる空中画像3の表示角度(姿勢)の変更例を示す図である。
図5には、光学結像パネル40の傾斜角θ
1を小さくした場合と、大きくした場合との2通りについて示している。
 
【0036】
  図5に示す光学結像パネル40aは、
図1に示す光学結像パネル40の傾きを床面に垂直に近づくように、すなわち、傾斜角θ
1を小さく変更したものである。ここでは、傾斜角α
1(<45°)の光学結像パネル40aによって、床面に対して傾斜角α
2で傾斜した空中画像3aが表示される。例えば、空中画像3aは、
図1に示す空中画像3に比べて、カバー部材60の表面60aに対して垂直に近い姿勢である。
 
【0037】
  図5に示す光学結像パネル40bは、
図1に示す光学結像パネル40の傾きを床面に平行に近づくように、すなわち、傾斜角θ
1を大きく変更したものである。ここでは、傾斜角β
1(<45°)の光学結像パネル40bによって、床面に対して傾斜角β
2で傾斜した空中画像3bが表示される。空中画像3bは、
図1に示す空中画像3に比べて、カバー部材60の表面60aに対して平行に近い姿勢である。
 
【0038】
  図5に示すように、光学結像パネル40bの傾斜角β
1は、光学結像パネル40aの傾斜角α
1より大きい。この場合に、光学結像パネル40bによって表示される空中画像3bの傾斜角β
2が、光学結像パネル40aによって表示される空中画像3aの傾斜角α
2より大きくなっている。
 
【0039】
  以上のように、光学結像パネル40の傾斜角θ
1が小さい程、空中画像3は、カバー部材60の表面60aに対して垂直な姿勢に近づく(
図5の空中画像3aを参照)。傾斜角θ
1が大きい程、空中画像3は、カバー部材60の表面に対して平行な姿勢に近づく(
図5の空中画像3bを参照)。本実施の形態では、ディスプレイ30が床面に対して垂直な表示面を有するので、空中画像3の傾斜角θ
2は、光学結像パネル40の傾斜角θ
1の約2倍になる。例えば、光学結像パネル40の傾斜角θ
1が45°の場合、空中画像3の傾斜角θ
2が90°、すなわち、空中画像3は床面に対して平行になる。
 
【0040】
  また、本実施の形態では、第1支持部50は、光学結像パネル40の位置を可変に支持する。光学結像パネル40の位置は、具体的には、ディスプレイ30に対する相対的な位置である。第1支持部50は、光学結像パネル40をディスプレイ30に近づけ、又は、遠ざけることができる。
 
【0041】
  図6は、本実施の形態に係る光学結像パネル40の位置を変更することによる空中画像3の表示位置の変更例を示す図である。
図6には、光学結像パネル40をディスプレイ30に近づけた場合を示している。
 
【0042】
  図6に示す光学結像パネル40c及び第1支持部50cは、
図1に示す光学結像パネル40及び第1支持部50をディスプレイ30に近づけたものである。本実施の形態では、例えば、第1支持部50の位置を筐体20内で移動させることによって、光学結像パネル40の位置を変更する。なお、
図6では、移動前の光学結像パネル40、第1支持部50及び空中画像3の各々を破線で示している。
 
【0043】
  光学結像パネル40cによって、空中画像3cが表示される。空中画像3cは、空中画像3に比べてカバー部材60に近い位置に表示される。これは、光学結像パネル40cとディスプレイ30との距離が短くなったためである。
 
【0044】
  これにより、空中画像3cは、例えば、空中画像3に比べて床面に近い位置に表示される。したがって、例えば、身長の低い子供などのユーザ2cにとって、見やすい位置に空中画像3cが表示される。
 
【0045】
  本実施の形態では、位置及び姿勢の変更は、空中表示装置10の施工時に行われる。例えば、第1支持部50の位置を施工者が移動させることによって、光学結像パネル40の位置を変更することができる。第1支持部50は、例えば、筐体20の内部の複数の位置に固定可能である。また、例えば、光学結像パネル40の傾きを施工者が調整することによって、光学結像パネル40の傾きを変更することができる。
 
【0046】
  なお、第1支持部50は、光学結像パネル40の位置又は姿勢を変更することができるアクチュエータなどの駆動部を有してもよい。これにより、空中表示装置10の設置後においても、カバー部材60を取り外すことなく、光学結像パネル40の位置又は姿勢を変更することができる。
 
【0047】
  [第2支持部]
  第2支持部51は、ディスプレイ30の位置を可変に支持する。ディスプレイ30の位置は、具体的には、光学結像パネル40に対する相対的な位置である。第2支持部51は、ディスプレイ30を光学結像パネル40に近づけ、又は、遠ざけることができる。
 
【0048】
  図7は、本実施の形態に係るディスプレイ30の位置を変更することによる空中画像3の表示位置の変更例を示す図である。
図7には、ディスプレイ30を光学結像パネル40に近づけた場合を示している。
 
【0049】
  図7に示すディスプレイ30d及び第2支持部51dは、
図1に示すディスプレイ30及び第2支持部51を光学結像パネル40に近づけたものである。本実施の形態では、例えば、第2支持部51の位置を筐体20内で移動させることによって、ディスプレイ30の位置を変更する。なお、
図7では、移動前のディスプレイ30、第2支持部51及び空中画像3の各々を破線で示している。
 
【0050】
  光学結像パネル40によって、空中画像3dが表示される。空中画像3dは、空中画像3に比べてカバー部材60に近い位置に表示される。これは、ディスプレイ30dと光学結像パネル40との距離が短くなるためである。
 
【0051】
  これにより、空中画像3dは、例えば、空中画像3に比べて床面に近い位置に表示される。したがって、例えば、身長の低い子供などのユーザ2dにとって、見やすい位置に空中画像3dが表示される。
 
【0052】
  図6と
図7とを比較することで、ディスプレイ30と光学結像パネル40とのいずれの位置を変更してもよいことが分かる。具体的には、第1支持部50及び第2支持部51の少なくとも一方は、ディスプレイ30と光学結像パネル40との相対位置(具体的には、距離)を変更すればよい。
 
【0053】
  [カバー部材]
  カバー部材60は、筐体20の開口21を塞ぐ透光性のカバーである。具体的には、カバー部材60は、可視光を透過させる透光性のガラス板又は樹脂製の板材である。カバー部材60は、例えば、透明なソーダガラスなどから形成される。カバー部材60が開口21を塞ぐことで、筐体20の内部に埃などの異物が進入するのを抑制することができる。
 
【0054】
  カバー部材60は、ディスプレイ30から出射され光学結像パネル40を通過した光を透過させる。具体的には、光学結像パネル40を通過した空中画像3を形成するための光は、カバー部材60の裏面60bから入射し、カバー部材60の表面60aから出射する。つまり、カバー部材60の表面60aは、筐体20の外側の主面であり、空中画像3を形成するための光の出射面である。
 
【0055】
  カバー部材60の表面60aは、筐体20が床材1に埋込配設された場合に、床材1の表面1aと略面一になる。つまり、カバー部材60の表面60aと床材1の表面1a(及び筐体20の表面)との間に段差が形成されない。
 
【0056】
  図1に示すように、カバー部材60の表面60aは、床面の一部となる。すなわち、カバー部材60の表面60a上をユーザ2が歩行する。このため、カバー部材60は、ユーザ2が乗っても破壊されない程度に十分な強度を有する。
 
【0057】
  カバー部材60は、取り外し可能であってもよい。例えば、カバー部材60は、工具を用いて取り外し可能なボルトなどの固定部材を用いて筐体20に固定されている。これにより、カバー部材60を筐体20から取り外すことで、例えば、光学結像パネル40及びディスプレイ30の位置及び姿勢を変更することができる。筐体20を床材1から取り外す必要がないので、メンテナンス作業などを容易に行うことができる。
 
【0058】
  [効果など]
  以上のように、本実施の形態に係る空中表示装置10は、開口21を有し、床材1(建材の一例)に埋込配設される筐体20と、開口21を塞ぐ透光性のカバー部材60と、筐体20の内部に収容され、画像を表示するディスプレイ30と、筐体20の内部に収容され、ディスプレイ30に表示された画像からの光を、カバー部材60を通過させて、筐体20の外部で空中画像3として結像させる光学結像パネル40とを備える。本実施の形態に係る床材1は、例えば、空中表示装置10を備える床材1であって、筐体20が埋込配設されている。
 
【0059】
  これにより、筐体20の開口21を塞ぐカバー部材60が設けられているので、筐体20内に埃などが進入するのを抑制することができる。これにより、光学結像パネル40又はディスプレイ30などの光学系に汚れ又は傷が付くのを抑制することができる。したがって、空中表示装置10は、視認性に優れた空中画像3を表示することができ、信頼性が高い。
 
【0060】
  また、例えば、カバー部材60の表面60aは、筐体20が床材1に埋込配設された場合に、床材1の表面1aと略面一になる。
 
【0061】
  これにより、カバー部材60の表面60aが床材1の表面1aと略面一になるので、床面を平らにすることができる。つまり、カバー部材60と床材1との間に段差が形成されないので、安全な通行を実現することができる。
 
【0062】
  また、例えば、空中表示装置10は、さらに、空中画像3がカバー部材60の表面60aに対して傾斜するように、光学結像パネル40を支持する第1支持部50を備える。
 
【0063】
  これにより、空中画像3が床面に対して傾斜するので、ユーザ2にとって見やすい空中画像3を表示することができる。例えば、空中画像3が平行になった場合には、ユーザ2の身長及び歩行の様子に応じて空中画像3を見ることができたり、できなくなったりする恐れがある。したがって、空中表示装置10は、より視認性に優れた空中画像3を表示することができる。
 
【0064】
  また、例えば、第1支持部50は、光学結像パネル40の位置及び姿勢を可変に支持する。
 
【0065】
  これにより、光学結像パネル40の姿勢及び位置を可変にすることができるので、空中表示装置10の設置環境などに応じて適切な角度及び位置で空中画像3を表示することができる。例えば、
図6に示したように、子供などの身長が低いユーザ2cに対して、より見やすい角度及び位置で空中画像3cを表示することができる。
 
【0066】
  また、例えば、空中表示装置10は、さらに、ディスプレイ30の位置を可変に支持する第2支持部51を備える。
 
【0067】
  これにより、ディスプレイ30の位置を可変にすることができるので、空中表示装置10の設置環境などに応じて適切な位置に空中画像3を表示することができる。例えば、
図7に示したように、子供などの身長が低いユーザ2dに対して、より見やすい角度及び位置で空中画像3dを表示することができる。
 
【0068】
  (実施の形態2)
  続いて、実施の形態2に係る空中表示装置について説明する。
 
【0069】
  図8は、本実施の形態に係る建造物の床材1に筐体20が埋込配設された空中表示装置110の構成を模式的に示す断面図である。本実施の形態に係る空中表示装置110は、
図1に示す実施の形態1に係る空中表示装置10と比較して、ディスプレイ30の代わりに画像表示部130を備える点が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、同じ点は説明を省略又は簡略化する。
 
【0070】
  図9は、本実施の形態に係る空中表示装置110の画像表示部130の構成を示す断面図である。
図9に示すように、画像表示部130は、光源131と、画像生成パネル132とを備える。
 
【0071】
  光源131は、画像生成パネル132に向けて光を出射する発光部である。光源131は、例えば、面発光体であり、LED(Light  Emitting  Diode)、有機EL素子、レーザ素子又は放電ランプなどで構成される。
 
【0072】
  光源131は、例えば、平行光などの指向性を有する光を出射する。光源131は、画像生成パネル132の透光性シート133の全体に光が照射されるように、画像生成パネル132に対して所定距離離れて配置されている。
 
【0073】
  画像生成パネル132は、透光性シート133と、透光性シート133の両端に設けられたローラー134及び135とを備える。透光性シート133は、光源131と光学結像パネル40との間に配置され、表面に画像が形成されている。具体的には、透光性シート133には、矢印などの案内表示用の画像、又は、広告用の画像が形成されている。例えば、透光性シート133には、複数の広告用の画像が形成されており、ローラー134及び135のいずれか一方に巻き取られることで、表示される画像を変更することができる。
 
【0074】
  なお、画像生成パネル132は、ローラー134及び135を備えなくてもよい。すなわち、画像生成パネル132は、巻取り構造を有しなくてもよい。例えば、透光性シート133は、アクリルなどの透光性の樹脂材料で形成された板状のパネルでもよく、当該パネルに画像が加飾などにより形成されていてもよい。
 
【0075】
  以上のように、本実施の形態に係る空中表示装置110は、例えば、画像表示部130は、光学結像パネル40に向けて光を出射する光源131と、光源131と光学結像パネル40との間に配置され、画像が表面に形成された透光性シート133とを備える。
 
【0076】
  これにより、実施の形態1と同様に、筐体20の開口21を塞ぐカバー部材60が設けられているので、筐体20内に埃などが進入するのを抑制することができる。したがって、光学結像パネル40又は透光性シート133などの光学系に汚れ又は傷が付くのを抑制することができる。また、透光性シート133を入れ替えることで、空中画像3として表示される画像を変更することができる。ディスプレイ30を設ける場合に比べて、安価で空中表示装置110を構成することができる。
 
【0077】
  (その他)
  以上、本発明に係る空中表示装置及び建材について、上記実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
 
【0078】
  例えば、上記の実施の形態1及び2では、空中表示装置10及び110が床材1に埋込配設される例について示したが、これに限らない。すなわち、空中表示装置10又は110が埋込配設される建材は、床材1ではなく、建造物の天井材又は壁材でもよい。
 
【0079】
  例えば、空中表示装置10は、
図10に示すように、天井材4に埋込配設されてもよい。なお、
図10は、変形例に係る建造物の天井材4に筐体20が埋込配設された空中表示装置10の構成を模式的に示す断面図である。
 
【0080】
  また、例えば、空中表示装置10は、
図11に示すように壁材5に埋込配設されてもよい。なお、
図11は、変形例に係る建造物の壁材5に筐体20が埋込配設された空中表示装置10の構成を模式的に示す断面図である。
 
【0081】
  天井材4及び壁材5はそれぞれ、建造物の建材の一例である。天井材4は、建造物の天井を構成する部材であり、天井材4の表面が建造物の天井面になる。壁材5は、建造物の壁を構成する部材であり、壁材5の表面が建造物の壁面(内壁面又は外壁面)になる。天井材4及び壁材5の材料は、例えば、床材1と同じである。天井材4及び壁材5には、空中表示装置10の筐体20を埋め込むための凹部が形成されている。
 
【0082】
  また、例えば、第1支持部50は、光学結像パネル40の姿勢のみを可変に支持し、光学結像パネル40の位置を変更できなくてもよい。上述したように、第2支持部51がディスプレイ30の位置を変更することで、第1支持部50が光学結像パネル40の位置を変更する場合と同様の効果を得ることができる。
 
【0083】
  また、例えば、第2支持部51は、ディスプレイ30の姿勢を可変に支持してもよい。具体的には、ディスプレイ30が床面に対して傾斜していてもよい。
 
【0084】
  また、例えば、上記の実施の形態では、第1支持部50が光学結像パネル40の位置及び姿勢を可変に支持する例について示したが、これに限らない。光学結像パネル40の位置及び姿勢の少なくとも一方は、固定でもよい。例えば、空中表示装置10は、第1支持部50を備えていなくてもよく、光学結像パネル40は、筐体20の内部の所定の位置に所定の姿勢で固定されていてもよい。
 
【0085】
  なお、ディスプレイ30についても同様であってもよい。すなわち、空中表示装置10は、第2支持部51を備えていなくてもよく、ディスプレイ30は、筐体20の内部の所定の位置に固定されていてもよい。
 
【0086】
  その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。