(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10は、パチンコ遊技機であって、前面枠10Zを前面に備え、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、
図2に示す遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。
【0010】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、発射ハンドル28が備えられている。そして、発射ハンドル28が回動操作されると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1(
図2)に向けて弾き出される。
【0011】
図2に示されるように、遊技領域R1は全体が略円形状となっていて、ガイドレール12により囲まれている。遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。なお、表示装置13の表示画面13Gには、遊技に関する種々の演出が表示される。
【0012】
表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。詳細には、表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれて遊技盤11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0013】
表示装飾枠23の内側の開口部は、横長略矩形状に形成されていて、表示装飾枠23の下辺部には、遊技球が転動可能なステージ24が形成されている。また、表示装飾枠23の側部には、遊技領域R1を流下する遊技球を受け入れてステージ24へと誘導するワープ路24Rが形成されている。
【0014】
表示装飾枠23の下側には、第1と第2の始動入賞口14A,14Bが上下に並べて設けられている。表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が備えられている。表示装飾枠23の右下側、即ち、第1と第2の始動入賞口14A,14Bの右側には、大入賞口15が設けられている。また、遊技領域R1には、始動入賞口14A,14B及び大入賞口15のほかに、複数の一般入賞口20が備えられている。
【0015】
一般入賞口20は、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方又は側方に開口している。一般入賞口20へ遊技球が入球(入賞)すると、その遊技球は遊技盤11の後側に取り込まれ、例えば、1個の入球につき15個の賞球が上皿26に払い出される。
【0016】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。普通図柄当否判定の結果は、普通図柄用表示部18Hに表示される。
【0017】
第1の始動入賞口14Aは、ポケット構造に形成され、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで前方に開口し、通常は、開閉扉14Tにて前方が閉塞されることで、遊技球の入球(入賞)が規制されている。開閉扉14Tは、上述した普通図柄当否判定の結果が当りとなったときに、下端部を中心に回動して所定時間だけ前側に倒される。すると、開閉扉14Tに受け止められた遊技球が第2の始動入賞口14Bに入球可能となる。
【0018】
始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、所定個数の賞球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。特別図柄当否判定の結果は、特別図柄用表示部14Hに表示されると共に、表示装置13の表示画面13Gに表示される。そして、特別図柄当否判定の結果が当りであると、大当り遊技が実行される。なお、表示画面13Gにおいては、例えば、数字や文字等で構成される図柄の変動、停止が行われ、停止した図柄の組合せによって特別図柄当否判定の結果が表示される。
【0019】
大入賞口15は、横長矩形状をなし、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。上述の大当り遊技が実行されると、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、所定個数の賞球が上皿26に払い出される。
【0020】
上述した各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端部に設けられたアウト口16に全て取り込まれる。アウト口16に取り込まれた遊技球は、図示しない球回収装置に回収される。
【0021】
遊技盤11の裏側には、
図4に示される機構枠17が備えられている。そして、この機構枠17に、可動役物ユニット40を含む種々の部品が固定されている。なお、機構枠17の内側の開口部17Aは、遊技盤11の表示開口11H(
図2参照)に重ねられて、表示装置13の表示画面13Gを視認可能とする。
【0022】
図4,5に示されるように、可動役物ユニット40は、固定ベース41と、可動ベース51と、を備えている。固定ベース41は、略円形の開口部41Aを内側に有する枠状に形成され、機構枠17に前側から重ねて固定されている。可動ベース51は、略円形状をなして、固定ベース41の開口部41Aの内側に嵌め込まれ、固定ベース41に対して回転可能に構成されている。なお、本実施形態では、固定ベース41及び可動ベース51は無色透明に形成され、固定ベース41及び可動ベース51を通して表示画面13Gを視認可能に構成されている。
【0023】
具体的には、可動ベース51の外周面の一部には、外歯51Gが形成されている。
図6(A)に示されるように、可動ベース51の外歯51Gには、固定ベース41に回転可能に支持された駆動ギア42が噛み合っている。駆動ギア42は、固定ベース41に備えられたベース駆動源43(
図5参照)によって駆動される。
【0024】
可動ベース51は、通常は、
図6(A)に示される第1回転位置に配置され、駆動ギア42の駆動によって、第1回転位置と
図6(B)に示される第2回転位置との間を移動する。第2回転位置は、正面から見て第1回転位置に対して時計方向に約90度ずれている。ここで、可動ベース51の中央部には、矩形状の窓部51Aが形成されていて、可動ベース51が第1回転位置又は第2回転位置に配置されると、該窓部51Aが表示画面13G(
図2参照)の中央部と重なる。
【0025】
図5に示されるように、可動ベース51には、窓部51Aを挟んで対向配置される第1可動部61及び第2可動部62と、第1可動部61及び第2可動部62をその対向方向に接近、離間させる直動駆動機構70と、が搭載されている。なお、第1可動部61と第2可動部62は、通常は、その対向方向で最も離れる待機位置に配置され(
図3参照)、直動駆動機構70によって、最も近接する合体位置に配置される(
図2参照)。
【0026】
第1可動部61と第2可動部62のそれぞれには、対向方向の内側に配置される内側可動体61A,62Aと、対向方向の外側に配置される外側可動体61B,62Bと、が備えられている。なお、可動ベース51が第1回転位置に配置されたとき、第1可動部61と第2可動部62は上下方向に対向し、第1可動部61が第2可動部62に対して上側に配置される(
図6(A))。また、可動ベース51が第2回転位置に配置されたとき、第1可動部61と第2可動部62は左右方向に対向し、第1可動部61が第2可動部62に対して右側に配置される(
図6(B))。以下では、第1可動部61の内側可動体61A、外側可動体61Bを第1内側可動体61A、第1外側可動体61Bと適宜称し、第2可動部62の内側可動体62A、外側可動体62Bを第2内側可動体62A、第2外側可動体62Bと適宜称することとする。
【0027】
図7に示されるように、第1可動部61の各可動体61A,61Bと第2可動部62の各可動体62A,62Bには、第1可動部61と第2可動部62の対向方向に延びる第1プレート部64及び第2プレート部65と、第1プレート部64と第2プレート部65の間に差し渡された可動演出部63と、が設けられている。第1プレート部64と第2プレート部65は、可動ベース51の窓部51Aを可動演出部63の延在方向に挟むように配置される。なお、
図7には、第1外側可動体61Bと第2外側可動体62Bのみが示されている。
【0028】
第1可動部61においては、可動演出部63の延在方向の一方側に第1プレート部64が配置され、他方側に第2プレート部65が配置される。一方、第2可動部62においては、可動演出部63の延在方向の一方側に第2プレート部65が配置され、他方側に第1プレート部64が配置される。第1可動部61と第2可動部62の間では、第1プレート部64と第2プレート部65が突き合わされるように配置され、第1可動部61と第2可動部62が最も近接したときに、第1可動部61の第1プレート部64と第2可動部62の第2プレート部65が可動演出部63の延在方向に並べられ、第1可動部61の第2プレート部65と第2可動部62の第1プレート部64が可動演出部63の延在方向に並べられる。
【0029】
また、第1可動部61においては、第1内側可動体61Aの第1プレート部64と第1外側可動体61Bの第1プレート部64が重ねられると共に、第1内側可動体61Aの第2プレート部65と第1外側可動体61Bの第2プレート部65が重ねられる(
図5参照)。同様に、第2可動部62においては、第2内側可動体62Aの第1プレート部64と第2外側可動体62Bの第1プレート部64が重ねられると共に、第2内側可動体62Aの第2プレート部65と第2外側可動体62Bの第2プレート部65が重ねられる。
【0030】
図7に示されるように、第1プレート部64と第2プレート部65には、その延在方向に延びる長孔64N,65Nが形成されている。長孔64N,65Nには、可動ベース51に固定された支持軸部66が挿通されていて、これにより、第1プレート部64と第2プレート部65は、それぞれの延在方向に直動可能となっている。また、第1プレート部64の両側部には、ラック64R,64Rが形成され、第2プレート部65のうち第1プレート部64と反対側の部分には、ラック65Rが形成されている。
【0031】
図4,5,7に示されるように、直動駆動機構70は、可動演出部63の延在方向で可動ベース51の窓部51Aを挟むように対をなして設けられている。各直動駆動機構70には、第1内側可動体61Aと第2内側可動体62Aを駆動するための内側可動体用駆動源71Aと、第1外側可動体61Bと第2外側可動体62Bを駆動するための外側可動体用駆動源71Bと、各駆動源71A,71Bによって回転駆動される駆動ギア72,72(
図7には、外側可動体用駆動源71Bにより回転駆動される駆動ギア72のみが示されている。)と、が備えられている。
【0032】
図7に示されるように、駆動ギア72は、第1プレート部64のラック64R,64Rのうち第2プレート部65と反対側に配されるラック64Rと噛合する。詳細には、1対の直動駆動機構70,70のうち一方の直動駆動機構70(
図7では、右側の直動駆動機構70)の駆動ギア72は、第1可動部61の各可動体61A,61Bにおける第1プレート部64のラック64Rと噛合し、他方の直動駆動機構70(
図7では、左側の直動駆動機構70)の駆動ギア72は、第2可動部62の各可動体62A,62Bにおける第1プレート部64のラック64Rと噛合する。
【0033】
また、一方の直動駆動機構70には、第1可動部61の第1プレート部64と第2可動部62の第2プレート部65の間に挟まれて、該第1プレート部64のラック64Rと該第2プレート部65のラック65Rの両方と噛合する中継ギア73が備えられている。他方の直動駆動機構70には、第1可動部61の第2プレート部65と第2可動部62の第1プレート部64の間に挟まれて、該第1プレート部64のラック64Rと該第2プレート部65のラック65Rの両方と噛合する中継ギア73が備えられている。
【0034】
1対の直動駆動機構70,70において外側可動体用駆動源71Bにより駆動ギア72が回転駆動されると、
図7の矢印に示されるように、第1外側可動体61Bの第1プレート部64と第2外側可動体62Bの第1プレート部64が長孔64Nに沿って逆方向に移動する。なお、1対の直動駆動機構70,70において駆動ギア72の回転方向は同じになっている。
【0035】
第1外側可動体61Bの第1プレート部64が長孔64Nに沿って移動すると、その移動に伴って中継ギア73が回転し、第2外側可動体62Bの第2プレート部65が該第1プレート部64と逆方向に移動する。ここで、第2外側可動体62Bの第2プレート部65の移動方向は、該可動体62Bの第1プレート部64の移動方向と同じになっているので、第2外側可動体62Bは、2つの外側可動体用駆動源71B,71Bによって駆動されることになる。
【0036】
また、第2外側可動体62Bの第1プレート部64が長孔64Nに沿って移動すると、その移動に伴って中継ギア73が回転し、第1外側可動体61Bの第2プレート部65が該第1プレート部64と逆方向に移動する。ここで、第1外側可動体61Bの第2プレート部65の移動方向は、該可動体61Bの第1プレート部64の移動方向と同じになっているので、第1外側可動体61Bは、2つの外側可動体用駆動源71B,71Bによって第2外側可動体62Bと逆方向に駆動されることになる
【0037】
第1内側可動体61Aと第2内側可動体62Aの駆動は、第1外側可動体61Bと第2外側可動体62Bの駆動と同様になっている。そして、直動駆動機構70は、第1外側可動体61Bと第2外側可動体62Bの駆動と同様にして、第1内側可動体61Aと第2内側可動体62Aを逆方向に駆動する。
【0038】
図5,8に示されるように、可動演出部63は、角柱状の回転体81と、回転体81を軸方向に挟んで支持する1対の支持体82,82と、回転体81の裏側に配置されて1対の支持体82,82を連絡する連絡部材83と、を有している。一方の支持体82には、回転体81の中心軸81J(
図8参照)を中心にして回転体81を回転させる回転駆動源81Kが備えられている。なお、回転体81は、複数のブロック85を並べて構成され、連絡部材83には、ブロック85同士の間及びブロック85と支持体82の間を仕切る仕切り板84が設けられている。
【0039】
図9(A)、9(B)に示されるように、回転体81の各ブロック85は、角筒体86の内部に発光基板87を備えた構造になっている。角筒体86の両端は、円形開口89Aを有する端部壁89によって閉塞され、円形開口89Aの内周面に内歯歯車89Gが形成されている。端部壁89は、仕切り板84に回転可能に支持される。角筒体86の内部には、内歯歯車89Gと噛合するギア88が備えられている。ギア88は、回転体81を貫通する回転シャフト88Sに固定されている。回転シャフト88Sは、仕切り板84に支持され、回転駆動源81Kによって回転駆動される。
【0040】
発光基板87には、複数の発光素子87Aが搭載されている。また、角筒体86の周壁には、第1透光壁86Aと第2透光壁86Bが設けられている。そして、第1透光壁86A又は第2透光壁86Bが発光素子87Aに対向配置されると、発光素子87Aからの光が遊技者に認識されるようになる。ここで、第1透光壁86Aと第2透光壁86Bは互いに対向配置されていて、通常は、第1透光壁86Aが発光素子87Aに対向配置されている(
図9(A))。回転体81が回転して、第2透光壁86Bが発光素子87Aに対向配置されると、第2透光壁86Bを通して、発光素子87Aの光が遊技者に認識可能となる(
図9(B))。
【0041】
図10には、遊技機10の電気的な構成が示されている。同図において、符号150は、主制御回路150であって、CPU150A、RAM150B、ROM150C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御回路152を結ぶ入出力回路と、大入賞装置等が接続された中継回路及び払出制御回路等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU150Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定に関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御回路152等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM150Bは、CPU150Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM150Cには、制御データ、特別図柄及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当否判定及び普通図柄当否判定の判定値等が書き込まれている。
【0042】
サブ制御回路152は、主制御回路150と同様に、CPU152A、RAM152B、ROM152C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御回路150を結ぶ入出力回路と、表示制御回路154、ランプ制御回路155、可動役物ユニット40等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU152Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御回路154、ランプ制御回路155、可動役物ユニット40等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM152Bは、各種データの記憶領域とCPU152Aによる作業領域を有している。ROM152Cには、各種演出のデータ等が記憶されている。
【0043】
サブ制御回路152は、可動役物ユニット40のベース駆動源43、内側可動体用駆動源71A、外側可動体用駆動源71B、回転駆動源81Kを制御することで、可動ベース51と、第1可動部61及び第2可動部62の各可動体61A,61B,62A,62Bと、各可動体61A,61B,62A,62Bにおける回転体81と、を駆動制御する。
【0044】
表示制御回路154は、表示装置13に設けられていて、CPU154A、RAM154B及びROM154Cを有している。CPU154Aは、サブ制御回路152からの制御信号に基づき、画像データをROM154Cから取得し、その画像データに基づいて表示画面13Gに画像を表示する。
【0045】
ランプ制御回路155は、サブ制御回路152からの制御信号に基づいて、装飾ランプや可動役物ユニット40の発光基板87に実装された発光素子87A(
図9(A)参照)をオンオフ制御する。
【0046】
<ブロックの駆動機構の詳細>
以下では、第1可動部61と第2可動部62の各可動体61A,61B,62A,62Bにおける回転体81の駆動機構の詳細について説明する。上述したように、回転体81は、複数のブロック85で構成され、各ブロック85の端部壁89に形成された内歯歯車89Gと噛合するギア88が回転駆動されることで、各ブロック85が回転する(
図5,9(A))。
図11に示されるように、各ブロック85の内側には、2本の回転シャフト88Sと1本の支持シャフト120が挿通されている。3本のシャフト88S,88S,120は、上述の仕切り板84(
図8参照)に支持されて、回転体81の中心軸81Jの周りに等間隔に配置されている(
図14参照)。詳細には、仕切り板84には、1対の回転シャフト挿通孔84A,84Aと、支持シャフト挿通孔84Bと、が形成されていて、回転シャフト挿通孔84Aに回転シャフト88Sが挿通され、支持シャフト挿通孔84Bに支持シャフト120が挿通されている。なお、仕切り板84には、発光基板87が挿通される基板挿通孔84Kが設けられていて、複数のブロック85の内側に、1枚の発光基板87が配置されるようになっている。
【0047】
図11に示されるように、ギア88は、2本の回転シャフト88S,88Sのうち一方の回転シャフト88Sに止め輪90を介して固定されている。ここで、ギア88は、各ブロック85の1対の端部壁89,89(
図11には、一方の端部壁89のみが示されている。)に形成された内歯歯車89G,89Gと噛合するように、各ブロック85に1対ずつ備えられている。そして、各ギア88は、回転シャフト88Sの軸方向で止め輪90と仕切り板84(
図11には、一方の仕切り板84のみが示されている。)との間に挟まれている。
【0048】
止め輪90は、円環の周方向の一部が切除されたC状に形成されていて、回転シャフト88Sの外周面において周方向に180度ずれた位置で回転シャフト88Sを横切る方向に延びた1対の取付溝90M,90M(
図11には、一方の取付溝90Mのみが示されている。)にC字の両端部を構成する係合端部90K,90Kが嵌り込むことで回転シャフト88Sに固定されている。そして、止め輪90の係合端部90Kが取付溝90Mの溝底部と当接することにより、止め輪90が回転シャフト88Sと一体に回転する。
【0049】
各ブロック85内に配設される2つの止め輪90は、第1止め輪91と第2止め輪92で構成される。第1止め輪91と第2止め輪92は共に、C字の開口と反対側の部分に、ギア88側へ突出する係合突起90T(第2止め輪92の係合突起90Tについては、
図13を参照)を有している。ここで、ギア88は、軸方向の一方側の部分(
図13の例では、ギア88の下側部分)の外周部にのみ外歯88Hが形成されていて、軸方向の他方側の部分を構成するベース部88Bには、軸方向の他方側と径方向の外側とに開放した係合凹部88Aが形成されている。そして、止め輪90の係合突起90Tがギア88の係合凹部88Aと係合することにより、ギア88が止め輪90(第1止め輪91と第2止め輪92)と一体に回転することが可能となっている。
【0050】
図13に示されるように、第2止め輪92は、軸方向の中間位置に段差部93を有し、段差部93に対してギア88に近い側の大径部94と、段差部93に対してギア88から遠い側の小径部95と、で構成されている。上述した係合突起90Tは、大径部94に備えられている。一方、第1止め輪91は、段差部93を有さず、軸方向の全体に亘って第2止め輪92の大径部94と略同径になっている。
【0051】
図11に示されるように、ギア88が取り付けられる回転シャフト88Sには、第1止め輪91と第2止め輪92との間に挟まれる中間スリーブ100が挿通されている。中間スリーブ100は、円筒の一端部が拡径された構造をなし、円筒状のスリーブ本体101と、スリーブ本体100より大径なキャップ部102と、を備えている。スリーブ本体101は、第2止め輪92の小径部95と略同径になっていて、キャップ部102は、第2止め輪92の大径部94と略同径となっている。そして、第2止め輪92の小径部95に、中間スリーブ100のキャップ部102が被せられることで、第2止め輪92の開きが抑制されている。なお、中間スリーブ100は、第1止め輪91と第2止め輪92との間の間隔と略同じ長さに形成され、第1止め輪91と第2止め輪92に挟まれることで回転シャフト88Sの軸方向の移動を規制されている。これにより、回転シャフト88Sの軸方向におけるキャップ部102の移動も規制され、キャップ部102が第2止め輪92の小径部95から外れることが抑制されている。
【0052】
図11に示されるように、2本の回転シャフト88S,88Sのうち他方の回転シャフト88Sには、空転ギア110が回転自在に取り付けられている。具体的には、他方の回転シャフト88Sには、1対の空転ギア110,110が挿通されていて、各空転ギア110が、仕切り板84に突き当てられて端部壁89の内歯歯車89Gと噛合する。1対の空転ギア110,110は、他方の回転シャフト88Sに挿通された筒状スペーサー111によって位置決めされている。なお、空転ギア110は、ギア88と同じ構造になっていて、軸方向の一方側の部分にのみ外歯110Hを有している。
【0053】
図11に示されるように、支持シャフト120には、支持部材121が挿通されている。支持部材121は、支持シャフト120が挿通されるスリーブ122の両端部から張出部123が側方に張り出した構造をなしている。スリーブ122の長さは、隣り合う2つの仕切り板84の間隔とほぼ同じになっている。張出部123には、仕切り板84に形成された係合孔84Cと係合する係合突部123Tが設けられていて、この係合突部123Tが係合孔84Cと係合することにより張出部123が仕切り板84に固定されている。なお、詳細には、支持部材121は、支持シャフト120の軸方向で1対の分割体121A,121Aに分割可能となっている。張出部123は、1つの分割体121A,121Aのそれぞれに備えられていて、各分割体121Aが仕切り板84と係合する。
【0054】
図14に示されるように、張出部123は、ブロック85の内歯歯車89Gに内側から摺接可能となっている。具体的には、張出部123には、内歯歯車89Gの複数の内歯の先端に内接する円弧面123Mが形成されている。
【0055】
図12には、
図11で示したブロック85に隣接するブロック85の内部構造が示されている。ここで、2本の回転シャフト88S,88Sのうち一方の回転シャフト88Sを第1回転シャフト88SAと、他方の回転シャフト88Sを第2回転シャフト88SBと、称することにすると、隣接する2つのブロック85の間では、ギア88の配置、及び、第1シャフト88SAと第2シャフト88SBの構造が異なっている。具体的には、
図11に示されるブロック85においては、ギア88が第1回転シャフト88SAに固定されていて、空転ギア110が第2回転シャフト88SBに回転自在に取り付けられている。一方、
図12に示されるブロック85においては、ギア88が第2回転シャフト88SBに固定され、空転ギア110が第1回転シャフト88SAに挿通されている。本実施形態では、第1回転シャフト88SAと第2回転シャフト88SBが互いに逆回転する。従って、本実施形態では、隣接する2つのブロック85が互いに逆回転する。なお、
図14に示されるように、各ブロック85においては、ギア88からの動力を受けて該ブロック85の内歯歯車89Gが回転し、その内歯歯車89Gから動力を受けて空転ギア110が回転する。空転ギア110の回転方向は、ギア88の回転方向(ギア88が固定されている回転シャフト88Sの回転方向)と同じであって、空転ギア110が取り付けられている回転シャフト88Sの回転方向とは逆になっている。
【0056】
このように、本実施形態の遊技機10では、内歯歯車89Gに動力を伝達するギア88が1つであるので、内歯歯車89Gに動力を伝達するギア88が複数である場合のように複数のギア88の間で回転のバラつきが生じることがなくなり、ブロック85をスムーズに回転させることが可能となる。また、本実施形態では、ブロック85は、内歯歯車89Gに内側から摺接する張出部123により支持されるので、ブロック85の回転の安定化が図られる。しかも、張出部123には、内歯歯車89Gにおける複数の内歯の先端に内接する円弧面123Mが形成されているので、張出部123が、ブロック85の回転を妨げることが抑制される。
【0057】
また、本実施形態では、支持部材121がブロック85の内側を貫通する支持シャフト120に固定されているので、支持部材121(張出部123)の安定的な支持が図られると共に、支持部材121を支持する部材、即ち、支持シャフト120とブロック85との干渉が避けられる。
【0058】
また、本実施形態では、ブロック85が、ギア88と支持部材121と空転ギア110の3つの部材によって支持されるので、ブロック85の支持の安定化が図られる。さらに、内歯歯車89Gはブロック85の1対の端部壁89,89に形成されていて、ブロック85は1対のギア88,88によって2箇所で駆動されるので、ブロック85を安定的に回転させることが可能となる。また、ブロック85は1対の張出部123,123によって2箇所で支持されるので、ブロック85をより安定的に支持することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の遊技機10では、中間スリーブ100のキャップ部102が第2止め輪92に被さることで第2止め輪92の開きが抑制され、第2止め輪92が回転シャフト88Sから外れることが抑制される。しかも、キャップ部102は、スリーブ本体101と第1止め輪91によって回転シャフト88Sの軸方向に固定されるので、キャップ部102が第2止め輪92から外れることが抑制されると共に、キャップ部102の組み付けが容易となる。さらに、スリーブ本体101は、第1止め輪91とキャップ部102との間に挟まれる構成となっているので、簡易な構成によってキャップ部102の位置決めが可能となる。なお、本実施形態では、第2止め輪92には、軸方向の一方側を縮径させる段差部93が設けられていて、キャップ部102は、第2止め輪92の小径部95に被せられて段差部93に突き当てられるので、第2止め輪92に対してキャップ部102を位置決めし易くなる。
【0060】
なお、本実施形態の別の形態としては、隣り合う2つのブロック85が同じ方向に回転する構成であってもよい。その際、隣り合う2つのブロック85の回転速度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
また、本実施形態の別の形態としては、1つブロック85内に配置される2つの止め輪90が両方とも第2止め輪92であってもよい。この場合、中間スリーブ100を、両端部にキャップ部102を備える構成とすればよい。
【0062】
また、本実施形態の別の形態としては、空転ギア110を備えない構成としてもよい。
【0063】
また、本実施形態の別の形態としては、
図15に示されるように、支持部材121の張出部123が円形状であってもよい。
【0064】
また、本実施形態の別の形態としては、1つのブロック85内に複数の支持部材121が配置される構成であってもよい。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0066】
(1)上記実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用した例を示したが、スロットマシンやアレンジボールに適用してもよい。
【0067】
(2)上記実施形態では、可動ベース51が固定ベース41に対して回転する構成であったが、固定ベース41に対して直動する構成であってもよい。この場合、第1可動部61と第2可動部62の移動方向は、可動ベース51の移動方向と異なることが好ましい。
【0068】
(3)上記実施形態において、可動ベース51を備えずに、第1可動部61と第2可動部62が固定ベース41に直接支持される構成であってもよい。
【0069】
(4)上記実施形態では、第1可動部61と第2可動部62の各可動体61A,61B,62A,62Bは、表示画面13Gに沿って直動する構成であったが、表示画面13Gに沿って回動する構成であってもよい。
【0070】
(4)上記実施形態において、第1可動部61が、可動体を1つだけ備える構成としてもよいし、3つ以上備える構成としてもよい。また、第2可動部62が、可動体を1つだけ備える構成としてもよいし、3つ以上備える構成としてもよい。
【0071】
(5)上記実施形態において、可動ベース51に直動駆動機構70を備えずに、第1可動部61と第2可動部62の各可動体61A,61B,62A,62Bが表示画面13Gに沿って移動しない構成としてもよい。
【0072】
(6)上記実施形態において、ブロック85が角筒体86の代わりに、断面円形状又は断面多角形状の筒体を備える構成としてもよい。
【0073】
[付記]
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0074】
<特徴A群>
以下の特徴A群は、「回転駆動される回転シャフトに回転体が取り付けられた」遊技機に関し、「特許文献A(特開2014−124375号)の遊技機では、回転シャフトに嵌合する止め輪によってギアがシャフトに取り付けられている(同文献の段落[0114]〜[0115]、
図13)。」という背景技術について、「特許文献Aの遊技機では、止め輪が外れると、ギアを回転させることができなくなるという問題があった。」という課題をもってなされたものである。
【0075】
(特徴A1)
回転駆動される回転シャフト(回転シャフト88S)に回転体(ギア88)が取り付けられた遊技機(遊技機10)であって、
前記回転シャフトに嵌合されると共に、前記回転体と係合する嵌合部材(止め輪90、詳細には、第2止め輪92)と、
前記嵌合部材の嵌合状態を保持する嵌合保持手段(中間スリーブ100)と、を有する遊技機。
【0076】
本特徴に示す構成によれば、嵌合部材が回転シャフトから外れることを抑制可能となる。
【0077】
(特徴A2)
特徴A1に記載の遊技機において、
前記回転シャフトの外周面には、該回転シャフトを横切る方向に延びる係合溝(取付溝90M)が形成されていて、
前記嵌合部材は、C字状の止め輪であって、前記係合溝と当接する当接部(係合端部90K)をC字の端部に有する遊技機。
【0078】
本特徴に示す構成によれば、回転シャフトの回転を嵌合部材としての止め輪に伝達し易くすることが可能となる。
【0079】
(特徴A3)
特徴A2に記載の遊技機において、
前記係合溝は、前記回転シャフトの周方向で180度ずれた位置に対をなして設けられていて、
前記止め輪は、C字の両端部に前記当接部を有する遊技機。
【0080】
本特徴に示す構成によれば、回転シャフトの回転を安定的に止め輪に伝達することが可能となる。
【0081】
(特徴A4)
特徴A2又はA3に記載の遊技機において、
前記回転体と前記止め輪は、前記回転シャフトの軸方向に並べられ、
前記止め輪のうちC字の開口と反対側の部分には、前記回転体側に突出する係合突起(係合突起90T)が設けられ、
前記回転体には、前記係合突起と係合する係合凹部(係合凹部88A)が設けられている遊技機。
【0082】
本特徴に示す構成によれば、係合突起と係合凹部の係合により、止め輪から回転体に動力を伝達することが可能となる。
【0083】
(特徴A5)
特徴A4に記載の遊技機において、
前記回転シャフトの軸方向における前記回転体の移動を規制する移動規制部材(仕切り板84)を備える遊技機。
【0084】
本特徴に示す構成によれば、係合突起と係合凹部を係合状態に保持することが可能となる。
【0085】
(特徴A6)
特徴A2乃至A5のうち何れか1に記載の遊技機において、
前記嵌合保持手段は、前記止め輪に被せられて前記止め輪の開きを抑制するキャップ(中間スリーブ100のキャップ部102)を有する遊技機。
【0086】
本特徴に示す構成によれば、止め輪が回転シャフトから外れることを防止可能となる。
【0087】
(特徴A7)
特徴A6に記載の遊技機において、
前記嵌合保持手段は、前記回転シャフトの軸方向で前記キャップを固定するキャップ固定部(中間スリーブ100のスリーブ本体101と第1止め輪91)をさらに有する遊技機。
【0088】
本特徴に示す構成では、止め輪にキャップを被せてから、キャップの位置をキャップ固定部によって固定すればよくなり、キャップの組み付けが容易となる。
【0089】
(特徴A8)
特徴A7に記載の遊技機において、
前記キャップ固定部は、前記回転シャフトに嵌合される別の止め輪(第1止め輪91)と、前記キャップと前記別の止め輪に挟まれるスペーサー(中間スリーブ100のスリーブ本体101)と、からなる遊技機。
【0090】
本特徴に示す構成によれば、簡易な構成によってキャップを位置決めすることが可能となる。
【0091】
(特徴A9)
特徴A8に記載の遊技機において、
前記キャップは、前記スペーサーと一体に形成されている遊技機。
【0092】
本特徴に示す構成によれば、部品点数が低減されて、回転シャフトへの回転体の組み付けが容易となる。
【0093】
(特徴A10)
特徴A6乃至A9のうち何れか1に記載の遊技機において、
前記止め輪には、前記回転シャフトの軸方向の一方側を縮径させる段差(段差部93)が設けられていて、
前記キャップは、前記止め輪の縮径部(小径部95)に被せられて、前記段差に突き当てられる遊技機。
【0094】
本特徴に示す構成によれば、止め輪に対してキャップを位置決めし易くなる。
【0095】
(特徴A11)
回転駆動される回転シャフト(回転シャフト88S)に回転体(ギア88)が取り付けられた遊技機(遊技機10)であって、
前記回転シャフトに嵌合されて、前記回転シャフトからの動力を前記回転体に伝達する嵌合部材(止め輪90、詳細には、第2止め輪92)と、
前記嵌合部材の嵌合状態を保持する嵌合保持手段(中間スリーブ100)と、を有する遊技機。
【0096】
本特徴に示す構成によれば、嵌合部材が回転シャフトから外れることを抑制可能となる。
【0097】
なお、特徴A11に示す構成に、特徴A2〜A10に示す構成が組み合わされてもよい。