【実施例】
【0052】
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
【0053】
[実施例1]
まず、実施例1としてアセト酢酸エチルナトリウム塩を合成した。
【0054】
還流冷却器を付した100mlフラスコにアセト酢酸エチル13.03g(0.1モル)とアセトン25mlとを供給し撹拌して混合させた後に、97%水酸化ナトリウム4.13g(0.1モル)を添加して反応させた。
【0055】
また反応後、アセトン溶媒を除去し、ろ過、ヘキサン洗浄および減圧乾燥して、白色結晶物15.14gを得た。
【0056】
得られた結晶の一部をガスクロマトグラフ測定用に少量取り分けて、その取り分けた結晶をアセトンと酢酸との混合溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフ法にて分析した結果、アセト酢酸エチルナトリウム塩の収率が99%であった。
【0057】
[実施例2]
次に、実施例2としてアセト酢酸エチルカリウム塩を合成した。
【0058】
還流冷却器を付した100mlフラスコにアセト酢酸エチル13.03g(0.1モル)とアセトン25mlとを供給し撹拌して混合させた後に、85%水酸化カリウム6.61g(0.1モル)を添加して反応させた。
【0059】
また反応後、アセトン溶媒を除去し、ろ過、ヘキサン洗浄および減圧乾燥して、白色結晶物16.98gを得た。
【0060】
得られた結晶の一部をガスクロマトグラフ測定用に少量取り分けて、その取り分けた結晶をアセトンと酢酸との混合溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフ法にて分析した結果、アセト酢酸エチルカリウム塩の収率が98%であった。
【0061】
[実施例3、実施例4、比較例1、比較例2および比較例3]
次に、実施例3、実施例4、比較例1、比較例2および比較例3として、アセトン以外の溶媒を用いてアセト酢酸エチルナトリウム塩を合成した。
【0062】
すなわち、これら実施例3、実施例4、比較例1、比較例2および比較例3では、溶媒を変えて実施例1と同様にアセト酢酸エチルナトリウム塩の合成を行った。
【0063】
上記各実施例および各比較例における使用溶媒、条件および収率を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、実施例1ないし実施例4はいずれも収率が良好であるのに対し、プロトン性溶媒または水への溶解度が小さい溶媒を用いた比較例1ないし比較例3は収率が悪化した。
【0066】
[比較例4]
次に、比較例4として、仕込順序を変えてアセト酢酸エチルナトリウム塩を合成した。
【0067】
還流冷却器を付した100ml三口フラスコに、THF12.5mlと水酸化ナトリウム4.12g(0.1モル)とを加え、室温の撹拌下にてTHF12.5mlとアセト酢酸エチル13.03g(0.1モル)との混合物を1時間かけて滴下した。
【0068】
また反応後、THF溶媒を除去し、ろ過、ヘキサン洗浄および減圧乾燥して、白色結晶物14.89gを得た。
【0069】
得られた結晶の一部をガスクロマトグラフ測定用に少量取り分けて、その取り分けた結晶をアセトンと酢酸との混合溶媒で溶解した後、ガスクロマトグラフ法にて分析した結果、アセト酢酸エチルナトリウム塩の収率が93%となり、実施例4の収率より低い結果であった。
【0070】
[実施例5]
次に、実施例5として、脂肪族ジケトンである2,15−ヘキサデカンジオンを合成した。
【0071】
撹拌機、温度計および還流冷却器を付した2L四つ口フラスコに、アセト酢酸エチル260.3g(2.0モル)とアセトン500mlとを供給し撹拌して混合させた後に、97%水酸化ナトリウム61.9g(1.5モル)を添加して15分反応させた。
【0072】
次いで、1,10−ジヨードデカン197.0g(0.5モル)を添加した後、還流下にて6時間反応させた。
【0073】
反応終了後、減圧蒸留によりアセトンを留去し、2規定塩酸を加えて中和した後に分液を行った。
【0074】
また分液後、上層の有機層と10%水酸化ナトリウム水溶液800g(2.0モル)とを室温下にて8時間撹拌してけん化反応を行った後に、50%硫酸205.8g(1.1モル)を添加して3時間全還流して脱炭酸反応を行った。
【0075】
脱炭酸反応終了後、分液にて上層の有機層を分離し、室温まで冷却させて微黄色結晶物130.8gを得た。
【0076】
得られた結晶物の一部をガスクロマトグラフ測定用に少量取り分けて、その取り分けた結晶物の組成をガスクロマトグラフにて分析した結果、1,10−ジヨードデカンの転化率は100%で、2,15−ヘキサデカンジオンの純度が92%で、1,10−ジヨードデカンに対する2,15−ヘキサデカンジオンの収率は95%であった。
【0077】
[比較例5]
比較例5として、仕込順序を変えて脂肪族ジケトンである2,15−ヘキサデカンジオンを合成した。
【0078】
撹拌機、滴下ロート、温度計および還流冷却器を付した300ml四つ口フラスコに、97%水酸化ナトリウム12.4g(0.3モル)とTHF100mlとを秤量し、室温の撹拌下にてアセト酢酸エチル52.1g(0.4モル)を1時間かけて滴下した。
【0079】
次いで、温度を上げて1,10−ジヨードデカンを39.4g(0.1モル)を添加した後、還流下で6時間反応させた。
【0080】
反応終了後、減圧蒸留によりアセトンを留去し、2規定塩酸を加えて中和した後に分液を行った。
【0081】
また分液後、上層の有機層と10%水酸化ナトリウム水溶液160g(0.4モル)とを室温下にて8時間撹拌してけん化反応を行った後に、50%硫酸41.8g(0.2モル)を添加して3時間全還流して脱炭酸反応を行った。
【0082】
脱炭酸反応終了後、分液にて上層の有機層を分離し、室温まで冷却させて微黄色結晶物26.4gを得た。
【0083】
得られた結晶物の一部をガスクロマトグラフ測定用に少量取り分けて、その取り分けた結晶物の組成をガスクロマトグラフにて分析した結果、2,15−ヘキサデカンジオンの純度が84%で、1,10−ジヨードデカンに対する2,15−ヘキサデカンジオンの収率は87%であり、実施例5の純度および収率より低い結果であった。