特許第6782738号(P6782738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782738
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20201102BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20201102BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20201102BHJP
   A23L 29/30 20160101ALI20201102BHJP
   A23F 3/16 20060101ALN20201102BHJP
【FI】
   A23L33/105
   A23L2/00 B
   A23L2/52
   A23L29/30
   !A23F3/16
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-122201(P2018-122201)
(22)【出願日】2018年6月27日
(65)【公開番号】特開2020-74(P2020-74A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由典
(72)【発明者】
【氏名】霜田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕子
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6298210(JP,B2)
【文献】 特開2007−267724(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/012197(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/012196(WO,A1)
【文献】 特開2015−128420(JP,A)
【文献】 特開2015−128421(JP,A)
【文献】 特開2017−051132(JP,A)
【文献】 特開2017−085986(JP,A)
【文献】 特開2017−085987(JP,A)
【文献】 特開2010−045994(JP,A)
【文献】 特開2015−228815(JP,A)
【文献】 特開2009−178098(JP,A)
【文献】 特開平10−084886(JP,A)
【文献】 特表2017−528144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/BIOSIS/FSTA(STN),
Mintel GNPD
A01J1/00−99/00,
A23C1/00−23/00,
A23F3/00−5/50,
A23L2/00−2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)DE値が1〜40であるデキストリン
(B)カフェイン、及び
(C)ケンフェロールモノグルコシド
を含有し、
固形分中の成分(A)の含有量が10質量%以上であり、
固形分中の成分(C)の含有量が0.01〜1質量%であり、かつ、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.001〜0.2である、
経口組成物。
【請求項2】
固形分中の成分(B)の含有量が0.1〜5質量%であ、請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
成分(A)のDE値が2〜40である、請求項1又は2記載の経口組成物。
【請求項4】
成分(C)がアストラガリンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口組成物。
【請求項5】
成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が0.004〜0.5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口組成物。
【請求項6】
錠剤、顆粒剤、ゼリー食品又は濃縮飲料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デキストリンは、でんぷん分解物の一種であり、通常でんぷんを原料として酸処理や加熱処理を行い、部分的に加水分解することにより製造される。デキストリンの特性は加水分解の程度により大きく異なり、食品分野においては、例えば、食物繊維源、賦形剤、結合剤、滑沢剤、マスキング剤等として利用され(特許文献1)、顆粒剤や錠剤では吸湿性や分散性、賦形性等製造物性の面で優れているが、デキストリンはざらつく口内感の悪さ、粉臭、不快な苦味や甘味があり、その呈味を改善することが望まれている(特許文献2、3)。
【0003】
一方、カフェインは、脂質エネルギー代謝や運動機能の向上等の生理活性物質であり(特許文献3、4)、コーヒー、緑茶、紅茶、烏龍茶、コーラ、チョコレート等に含まれる苦味物質として知られている。そしてカフェインをより摂取しやすくするため、マスキング剤としてデキストリンが使用されている(特許文献5)。
また、アストラガリンは、柿の葉や桑の葉に含まれるケンフェロールモノグリコシドの一種であり、抗アレルギー作用を有することが報告されている。このようなアストラガリンの生理作用に着目し、飲食品への応用が検討されており、例えば、アストラガリンに、果糖、ガラクトース、乳糖及びブドウ糖からなる群から選ばれる糖の1種又は2種以上を配合することで、アストラガリンの吸収性が向上するとの報告がある(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−99681号公報
【特許文献2】特開2017−216982号公報
【特許文献3】特開2008−291002号公報
【特許文献4】特開2014−208638号公報
【特許文献5】特開2015−128420号公報
【特許文献6】特開2002−291441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デキストリンは、粉臭、不快な苦味や甘味といった独特の不快味を有するため、飲食品の味を損なう原因となっている。本発明者らは、デキストリンにカフェインを一定の比率添加したところ、デキストリンが少量であるとカフェインのマスキング剤として機能する一方、デキストリンが多量であるとデキストリンの不快味とカフェインの苦味とが相俟って、それら有する甘味や苦味とは異なる独特の甘味や苦味が醸成され、それが不快味として強調されることが判明した。
本発明の課題は、デキストリン及びカフェインを一定比率含有しながらも、不快味の抑制された経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定量のデキストリンとカフェインとを特定の量比で含有させたうえで、更に特定量のケンフェロールモノグルコシドを含有させることで、意外なことに、デキストリン及びカフェインを含有しながらも、不快味の抑制された経口組成物が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)デキストリン
(B)カフェイン、及び
(C)ケンフェロールモノグルコシド
を含有し、
固形分中の成分(A)の含有量が10質量%以上であり、
固形分中の成分(C)の含有量が0.01〜1.0質量%であり、かつ、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.001〜0.2である、
経口組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デキストリン及びカフェインを含有しながらも、不快味の抑制された経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「経口組成物」とは、経口摂取に供される製品をいう。経口組成物の製品形態としては、常温(20℃±15℃)において固形でも、液状でもよく、特に限定されない。液状の場合、濃縮液状、ゲル状、ゼリー状、スラリー状のいずれの形態であっても構わない。濃縮液状である場合、その固形分濃度はRTD(レディ・トゥ・ドリンク)よりも高濃度であれば適宜選択可能であり、特に限定されない。固形としては、例えば、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等を挙げることができる。経口組成物が固形である場合、経口組成物中の固形分量は通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、殊更に好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。中でも、経口組成物の製品形態としては、固形、濃縮液状、ゼリー状が好ましく、固形、濃縮液状がより好ましく、固形が更に好ましい。固形の中では、錠状、顆粒状が好ましく、顆粒状が更に好ましい。
【0010】
本発明の経口組成物は、成分(A)としてデキストリンを含有する。ここで、本明細書において「デキストリン」とは、でんぷん分解物の一種であり、でんぷんを酸処理又は加熱処理して部分的に加水分解し低分子化した化合物である。デキストリンは、糖がグリコシド結合によって重合した分子構造を有しており、グリコシド結合は、鎖状に結合していても、環状に結合していても、これらの混合物であっても構わない。糖の結合方式としては、α−1,4結合、α−1,6結合、β−1,2結合、β−1,3結合、β−1,4結合、β−1,6結合等が挙げられ、単一の結合方式のみでも、2種以上の結合方式でも構わない。
【0011】
また、成分(A)は、本発明の効果を享受しやすい点から、デキストロース当量(DE値)が、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、25以下が更に好ましく、20以下がより更に好ましく、16以下が殊更に好ましい。かかるDE値の範囲としては、好ましくは1〜40であり、より好ましくは2〜40であり、更に好ましくは3〜30であり、更に好ましくは3〜25であり、より更に好ましくは3〜20であり、殊更に好ましくは3〜16ある。なお、デキストロース当量(DE値)は、通常知られているデキストロースの測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0012】
本発明の経口組成物は、固形分中の成分(A)の含有量が10質量%以上であるが、製造物性の観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が殊更に好ましく、またデキストリン由来の不快味低減の観点から、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、75質量%以下がより更に好ましく、70質量%以下が殊更に好ましい。成分(A)の含有量の範囲としては、経口組成物の固形分中に、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは20〜80質量%、より更に好ましくは25〜75質量%、殊更に好ましくは30〜70質量%である。なお、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0013】
本発明の経口組成物は、成分(B)としてカフェインを含有する。成分(B)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(B)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、天然由来品でもよい。
【0014】
本発明の経口組成物は、固形分中の成分(B)の含有量は、生理効果の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上が殊更に好ましく、またカフェイン由来の苦味抑制の観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下が殊更に好ましい。成分(B)の含有量の範囲としては、経口組成物の固形分中に、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜4質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%、殊更に好ましくは0.8〜2.5質量%である。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0015】
本発明の経口組成物は、成分(C)としてケンフェロールモノグルコシドを含有する。ここで、本明細書において「ケンフェロールモノグルコシド」とは、ケンフェロールの水酸基にグルコースが1つ結合した化合物をいい、グルコースの結合位置は特に限定されない。成分(C)としては、例えば、アストラガリン、ポプルニン等を挙げることができる。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、アストラガリンが好ましい。成分(C)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。
【0016】
本発明の経口組成物は、固形分中の成分(C)の含有量が0.01〜1質量%であるが、不快味抑制の観点から、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.04質量%以上が更に好ましく、0.06質量%以上がより更に好ましく、0.08質量%以上が殊更に好ましく、またアストラガリン由来の渋味抑制の観点から、0.7質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が殊更に好ましい。成分(C)の含有量の範囲としては、経口組成物の固形分中に、好ましくは0.02〜0.7質量%、より好ましくは0.03〜0.5質量%、更に好ましくは0.03〜0.3質量%、更に好ましくは0.04〜0.3質量%、より更に好ましくは0.06〜0.2質量%、殊更に好ましくは0.08〜0.2質量%である。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0017】
本発明の経口組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.001〜0.2であるが、不快味抑制の観点から、0.003以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.01以上が更に好ましく、0.015以上が殊更に好ましく、またカフェイン由来の苦味抑制の観点から、0.15以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.07以下が更に好ましく、0.04以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.003〜0.15、より好ましくは0.005〜0.1、更に好ましくは0.01〜0.07、殊更に好ましくは0.015〜0.04である。
【0018】
また、本発明の経口組成物は、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が、不快味抑制の観点から、0.004以上が好ましく、0.008以上がより好ましく、0.01以上が更に好ましく、0.02以上がより更に好ましく、0.03以上がより更に好ましく、0.05以上がより更に好ましく、0.07以上が殊更に好ましく、またアストラガリン由来の苦味抑制の観点から、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましく、0.2以下がより更に好ましく、0.15以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.004〜0.5、より好ましくは0.008〜0.4、更に好ましくは0.01〜0.3、より更に好ましくは0.02〜0.3、より更に好ましくは0.03〜0.2、より更に好ましくは0.05〜0.2、殊更に好ましくは0.07〜0.15である。
【0019】
本発明の経口組成物は、所望により、酸味料、甘味料、アミノ酸、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、香料、果汁、植物エキス、エステル、色素、乳化剤、乳成分、ココアパウダー、調味料、植物油脂、酸化防止剤、保存料、pH調整剤、品質安定剤、花蜜エキス等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0020】
また、本発明の経口組成物は、必要に応じて許容される担体を含有することができる。例えば、賦形剤(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類、スクロース、ラクトース、マルトース、パラチノース等の二糖類、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、還元パラチノース等の糖アルコール);結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等);崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等);滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等);嬌味剤(例えば、ステビア等);オリゴ糖、寒天、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、増量剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。なお、担体の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することが可能である。
【0021】
本発明の経口組成物の具体例としては、例えば、インスタント飲料;濃縮飲料;乳飲料、ヨーグルト、チーズ等の乳製品;ゼリー、スナック、ビスケット、米菓等の菓子の飲食品が挙げられ、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメント等)、医薬品、医薬部外品とすることもできる。なお、インスタント飲料又は濃縮飲料とは、液体に希釈溶解して飲料として飲用に供されるものをいい、液体は飲料に還元できれば特に限定されない。例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。また、健康食品、医薬品、又は医薬部外品である場合の剤型としては、例えば、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散剤、丸剤、チュアブル剤、トローチ剤等が挙げられる。中でも、経口組成物としては、インスタント飲料、濃縮飲料、ゼリー食品、顆粒剤、錠剤が好ましく、インスタント飲料、濃縮飲料、顆粒剤が更に好ましい。
【0022】
また、経口組成物がインスタント飲料である場合、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したスティックタイプ等とすることができる。また、経口組成物が濃縮飲料である場合、例えば、カップ1杯分毎に小分け包装したポーションタイプの希釈飲料等が挙げられる。なお、カップの容量は30〜320mLであることが好ましく、また小分け包装の内容量はカップ容量に適合するように適宜設定することが可能である。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、カップ1杯分毎に小分け包装したものが好ましく、例えば、スティック包装したもの、ピロー包装したものを挙げることができる。小分け包装は、アルミ蒸着フィルム等を材質とする包装材料で包装することができる。なお、容器内及び包材内は窒素ガスを充填してもよく、また包材は酸素透過性の低いものが品質維持の点で好ましい。
【0023】
本発明の経口組成物は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、特定量の成分(A)、成分(B)及び成分(C)、必要に応じて担体及び/又は添加剤を、成分(A)及び成分(C)の各含有量、並びに成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が上記範囲内となるように混合して製造することができる。成分(A)、成分(B)及び成分(C)の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、3者を同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することが可能であり、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ−等を採用することができる。また、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。また、錠剤とする場合には、湿式打錠及び乾式打錠のいずれでもよく、公知の圧縮成形機を使用することができる。更に、濃縮液状である場合、例えば、常圧にて溶媒の蒸発を行う常圧濃縮法、減圧にて溶媒の蒸発を行う減圧濃縮法、膜分離により溶媒を除去する膜濃縮法等の公知の濃縮方法を採用することができる。
【実施例】
【0024】
1.デキストリンの分析
(1)定量法
試料、及び各濃度の標準溶液1.5mLに、1N−NaOH水溶液を250μLと0.5MのPMP(3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン)−メタノール溶液を500μL加え、70℃で30分加熱する。得られた溶液に対し、1N−HCl水溶液を250μLにて中和し、5mLのクロロホルムを加え分配し、水層を測定試料とする。上記操作により得られた測定試料について、高速液体クロマトグラフ質量分析を用い、下記条件にて測定する。
【0025】
分析条件
・HPLC装置:型式ACQUITY UPLC、Waters製
・MS装置 :型式SYNAPT G2−S HDMS型、Waters製
・イオン化 :ESI
・質量範囲 :m/z 100−2500
・カラム :型式Unison UK−C18 UP(2.0×100mm,3μm),インタクト社製
・移動相 :E液:ギ酸0.05%水溶液、F液:アセトニトリル(%F=15→90)
・流量 :0.6mL/min
・注入量 :1μL
【0026】
(2)デキストロース当量
(I)分析は、デキストリンに含まれているぶどう糖、麦芽糖などの還元糖分をぶどう糖として定量する場合に適用し、次の手順にしたがって行う。
・水分の定量
・レイン・エイノン法による還元糖分の定量
・ぶどう糖として計算した還元糖の含有率(DE値、%)の計算
【0027】
(II)試料の調製及び力価の標定
(II-A)試料の調製
(II-1)標準転化糖溶液
スクロース(試薬)4.75gを正確に量り取り、90mLの水を使用して500mL容メスフラスコに移し入れる。これに塩酸(比重1.18)5mLを加え、20〜30℃で3日間放置した後、水を加えて定容し、冷暗所に保存する。その50mLを200mL容メスフラスコにとり、フェノールフタレインを指示薬として1mol/L水酸化ナトリウム溶液で中和した後、水を加えて定容する。これを転化糖溶液としてフェーリング溶液の力価の標定に用いる。
(II-2)メチレンブルー溶液
1%メチレンブルー1gを水に溶かして100mLとする。
(II-3)フェーリング溶液
A液:硫酸銅(CuSO4・5H2O)34.639gを水に溶かして500mLとし、2日間放置後ろ過する。
B液:酒石酸カリウムナトリウム(KNaC4H4O6・4H2O)173gと水酸化ナトリウム50gを水に溶かして500mLとし、これを2日間放置後ろ過する。
【0028】
(II-B)フェーリング溶液の力価の標定
フェーリング溶液A液5.0mL及びB液5mLを200mL容三角フラスコにとり、50mL容ビュレットを用いて標準転化糖溶液19.5mLを加える。電熱器上で2分間沸騰させた後、メチレンブルー溶液4滴を加え、沸騰しながら標準転化糖溶液を滴下し、青色が消失したところを終点とする。滴定は沸騰し始めてから3分以内に終了する。この滴定を3回行い、平均値を求める。但し、3回の平均値を滴定値とするが、各滴定値の差は0.1mL以内とする。また、力価の小数点以下第4位を四捨五入し、1±0.02の範囲内に収める。
【0029】
【数1】
【0030】
〔式中、Aは、消費した標準転化糖溶液の量(mL)を示す。〕
【0031】
(III)試料の調製
分析試料は、試料の性状に応じて、次により調製する。
(III-1)液体試料
液体中に結晶又は塊状物が析出している場合には、密閉容器に入れ、60〜70℃の水浴に浸漬して溶解し、よく振り混合した後、室温に冷却する。
(III-2)固体試料
粉末又は結晶状とし、塊がある場合には砕き、よく混合する。
【0032】
(IV)水分の定量
水分の定量は、試料の性状により、次の方法で行う。
(IV-1)液体試料
乾燥助剤として、予め秤量瓶に海砂を約15g取り、ガラス棒とともに105℃の乾燥機中で乾燥して恒量を求める。次に、前記(III)で調製した均一試料を固形分として約2gに相当する量を正確に量り取り、必要があれば少量の水を全体が浸るまで加え、時々ガラス棒でかき混ぜながら水浴上で加熱して大部分の水を揮散させる。更に、105℃の乾燥機内で時々かき混ぜ、ほとんど乾燥するまで乾かした後、真空乾燥機に移し、70℃で4時間乾燥する。デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。1時間ずつ真空乾燥を繰り返して恒量を求める。減量が、2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-2)固体試料
前記(III)で調製した均一試料約2gを予め恒量にした秤量瓶に正確に量り取り、真空乾燥機で70℃、4時間乾燥する。次に、デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。更に、1時間ずつ真空乾燥を繰り返して、減量が2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-3)水分の計算
試料中の水分は、次式により算出する。数値は小数点以下第2位を四捨五入する。
【0033】
【数2】
【0034】
〔式中、W0は試料の採取量(g)を示し、W1は乾燥後の試料の重量(g)を示す。〕
【0035】
(V)DE値の定量
(V-1)検液の調製
前記(III)で調製した均一試料約10gを正確に量り取り、水に溶かして500mL容メスフラスコに移し入れ、水を加えて容定し検液とする。
(V-2)滴定操作
フェーリング溶液A液5.0mL及びB液5mLを200mL容三角フラスコに採り、50mL容ビュレットを用いて、(V-1)で調製した検液15mLを加え、(II-B)の要領にしたがって滴定し、これを予備滴定とする。更に同様にして、予備滴定で得た滴定数より約1mL少ない量の検液を加え、(II-B)の要領にしたがって滴定する。ここで得た検液の消費量にフェーリング溶液の力価を乗じ、この数値から表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて還元糖濃度(DE値,mg/100mL)をぶどう糖として求める。
(V-3)DE値の計算
試料の乾燥状態におけるぶどう糖として計算したDE値は、次式により算出する。数値は、小数点以下第2位を四捨五入する。
【0036】
【数3】
【0037】
〔式中、
Sは、表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて求めた検液100mL中のぶどう糖量(mg)を示し、
Mは、(IV)で秤量した試料の水分(%)を示し、
Sは、(V-1)で秤量した試料の採取量(g)を示す。〕
【0038】
【表1】
【0039】
2.カフェインの分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。グラジエント条件は以下の通りである。リテンションタイム条件は、カフェインの標準試薬を用いて設定した。
【0040】
濃度勾配条件
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0041】
3.アストラガリンの分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式LC−20 Prominence,島津製作所製)を用い、カラム〔Cadenza CD−C18(3μm,4.6mmφ×150mm,Imtakt)〕を装着し、カラム温度40℃にてグラジエント法により行った。移動相C液は酢酸を0.05質量%含有するアセトニトリル溶液、D液はアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は360nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
【0042】
濃度勾配条件
時間(分) C液濃度(体積%) D液濃度(体積%)
0 85% 15%
20 80% 20%
35 10% 90%
50 10% 90%
50.1 85% 15%
60 85% 15%
【0043】
アストラガリンの標準品を用いて濃度既知の標準溶液を調製し、上記分析条件にて高速液体クロマトグラフ分析に供することによりリテンションタイムを測定するとともに、検量線を作成した。
・アストラガリン :18.2分
上記リテンションタイムで一致したピークをアストラガリンとして試料溶液中の各成分の定量を行った。
【0044】
実施例1〜5、比較例1、2及び参考例1、2
表2に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。なお、得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0045】
官能評価1
上記の各実施例、比較例及び参考例で得られたインスタント粉末飲料1gを、それぞれ80℃の熱水100mLで溶解して還元飲料を調製し、各還元飲料を飲用したときの「不快味」について、専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、各パネリストが「不快味」の評価基準を、下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。
【0046】
不快味の評価基準
不快味は、飲用したときに不快味が感じられるか否かを観点に、比較例1の還元飲料の不快味の評点を「1」とし、実施例3の還元飲料の不快味の評点を「5」として評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
1:不快味を強く感じる
2:不快味を感じる
3:不快味を少し感じる
4:不快味をほとんど感じない
5:不快味を感じない
【0047】
【表2】
【0048】
実施例6〜8及び比較例3
表3に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例1と同様の方法で調製された還元飲料について、官能評価1と同一基準にて実施した。その結果を、参考例1の結果とともに表3に示す。得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例9及び比較例4
表4に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例1と同様の方法で調製された還元飲料について、官能評価1と同一基準にて実施した。その結果を、参考例1の結果とともに表4に示す。得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0051】
【表4】
【0052】
実施例10及び比較例5
表5に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例1と同様の方法で調製された還元飲料について、官能評価1と同一基準にて実施した。その結果を、参考例1の結果とともに表5に示す。得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例11〜13、比較例6〜8及び参考例3
表6に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例1と同様の方法で調製された還元飲料について、参考例3で得られた還元飲料の不快味の評点を「2」とすることに合意したうえで実施した。また、評価基準は、官能評価1と同一の5段階で評価した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。その結果を表6に示す。得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0055】
【表6】
【0056】
実施例14、15、比較例9、10及び参考例4、5
表7に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末飲料を得た。得られたインスタント粉末飲料について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、実施例1と同様の方法で各還元飲料を調製した後、実施例14、比較例9及び参考例4の還元飲料については比較例9で得られた還元飲料の不快味の評点を「1」とし、実施例15、比較例10及び参考例5の還元飲料については比較例10で得られた還元飲料の不快味の評点を「1」とすることに合意したうえで実施した。また、評価基準は、官能評価1と同一の5段階で評価した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。その結果を、実施例3、比較例1及び参考例1の結果とともに表7に示す。得られたインスタント粉末飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0057】
【表7】
【0058】
実施例16、比較例11及び参考例6
表8に示す各成分を均一に混合し、インスタント粉末緑茶飲料を得た。得られたインスタント粉末緑茶飲料について分析及び官能評価を行った。
【0059】
官能評価2
上記の各実施例、比較例及び参考例で得られたインスタント粉末緑茶飲料1gを、それぞれ80℃の熱水100mLで溶解させて還元飲料を調製した。還元飲料は途中インスタント粉末緑茶飲料がダマにならないよう熱水を30秒かけてゆっくり注ぎ、茶筅でよく攪拌しながら均一に溶解するよう調製した。官能評価は、各還元飲料を飲用したときの「不快味」について、専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、各パネリストが比較例11で得られた還元飲料の不快味の評点を「1」とすることに合意したうえで実施した。また、評価基準は、官能評価1と同一の5段階で評価した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。その結果を表8に示す。得られたインスタント粉末緑茶飲料は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0060】
【表8】
【0061】
実施例17、比較例12及び参考例7
80℃に加温した温水9mLにキサンタンガムを0.2g添加し完全に溶解させポーション原液を調製した。次いで表9に示す成分のうちキサンタンガム以外の成分を均一に混合した粉末組成物をポーション原液に添加し完全に溶解させた。得られたポーション原液を容器(ポリスチレン、容量:15mL、口径43×高さ26mm)に流し入れ、ヘッドスペースの空気を窒素ガスに置換した上でフタで密封し、容器入りポーションを製造した。得られた容器入りポーションについて分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、各実施例、比較例及び参考例で得られたポーション10gを、80℃の熱水90mLでそれぞれ希釈して調製し、各還元飲料を飲用したときの「不快味」について、専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、各パネリストが比較例12で得られた還元飲料の不快味の評点を「1」とすることに合意したうえで実施した。また、評価基準は、官能評価1と同一の5段階で評価した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。その結果を表9に示す。
【0062】
【表9】
【0063】
実施例18、19、比較例13、14及び参考例8、9
表10に示す各成分を均一に混合し、次いで単発式打錠機(RIKEN社製)を用いて、穴径14mmのリング状杵で、質量1g/1錠にて打錠し、円形の錠剤を得た。得られた錠剤について分析及び官能評価を行った。なお、得られた錠剤は、いずれも固形分量が97.0質量%であった。
【0064】
官能評価3
上記の各実施例、比較例及び参考例で得られた錠剤1錠を水なしで口に含み、腔内に含んだ後直ちに噛み砕き、唾液により錠剤が口内で完全に消滅したときの「不快味」について、専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験では、各パネリストが「不快味」の評価基準を、下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。
【0065】
不快味の評価基準
不快味は、服用したときに不快味が感じられるか否かを観点に、実施例18、比較例13及び参考例8の錠剤については比較例13の錠剤の不快味の評点を「1」とし、実施例19、比較例14及び参考例9の錠剤については比較例14で得られた錠剤の不快味の評点を「1」として評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
1:不快味を強く感じる
2:不快味を感じる
3:不快味を少し感じる
4:不快味をほとんど感じない
5:不快味を感じない
【0066】
【表10】
【0067】
実施例20、比較例15及び参考例10
80℃に加温した温水100mLに寒天を0.3g添加し、10分間温度を維持しながら攪拌子で攪拌して完全に溶解させた。次いで、表11に示す残りの成分を全て加え、更に5分間攪拌して完全に溶解させてゼリー原液を調製した。次いで、得られたゼリー原液40gを容器(スチロール樹脂製プラスチックカップ、容量:70mL、取り出し口内径:5cm)に流し入れ、冷蔵庫で10℃以下に冷却してゼリー食品を得た。得られたゼリー食品について分析及び官能評価を行った。
【0068】
官能評価4
上記の各実施例、比較例及び参考例で得られたゼリー食品を小さじのスプーンで3gすくい取った後、口腔内に含み、舌で唾液と混ぜて完全に消滅したときの「不快味」について、専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験では、各パネリストが「不快味」の評価基準を、下記の評価基準とすることに合意したうえで実施した。そして、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数第2位を四捨五入するものとする。
【0069】
不快味の評価基準
不快味は、摂取したときに不快味が感じられるか否かを観点に、比較例15のゼリー食品の不快味の評点を「1」として評価した。具体的な評価基準は以下のとおりである。
1:不快味を強く感じる
2:不快味を感じる
3:不快味を少し感じる
4:不快味をほとんど感じない
5:不快味を感じない
【0070】
【表11】
【0071】
表2〜11から、特定量の(A)デキストリンと(B)カフェインとを特定の量比で含有させたうえで、更に特定量の(C)ケンフェロールモノグルコシドを含有させることで、不快味の抑制された経口組成物が得られることがわかる。