【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、歯ブラシの向きを判定するシステムであって、歯ブラシに取り付けるように構成した向きセンサーと、前記向きセンサーから向き情報を受信し、該向きセンサーが第1の向きまたは第2の向きにあるかどうかを判定するように構成した1つまたは2つ以上のプロセッサーとを備え、前記第1の向きは、前記歯ブラシがユーザの口腔の左側にある歯の表面で使用されている場合に対応し、前記第2の向きは、該歯ブラシがユーザの口腔の右側にある歯の表面で使用されている場合に対応する、歯ブラシの向きを判定するシステムを提供する。
【0007】
このように、前記向きセンサーからのデータを用いて、歯ブラシがユーザの口腔の左側または右側で使用されているかどうかを判定することができる。口腔のすべての領域に対して均等なブラッシングを確実に行うことは、全般的に見た口腔の衛生にとって重要である。上記データを用いることにより、口腔の左側と右側の部位間の明確な区別が可能になり、ブラッシングに関するフィードバックをユーザに提供できる。特定の実施の形態では、ユーザが上記フィードバックを用いることにより、口腔の両側に対して均等なブラッシングを確実に行うことできる。
【0008】
ユーザの口腔に対して画定された対称面を設けてもよい。前記第1の向きでは、取り付けられた歯ブラシが前記対称面の左側で角度の範囲を定める長手軸を有し、前記第2の向きでは、取り付けられた歯ブラシが前記対称面の右側で角度の範囲を定める長手軸を有する。前記対称面の左側と右側は、該ユーザの口腔の左側と右側に対応する。
【0009】
上記角度を用いることにより、広範囲にわたる多様なブラッシング様式に対して、ユーザの口腔の左側と右側のブラッシングを正確に区別できることが判明している。口腔の左側のブラッシングでは、右利きのユーザは、ブラシの先端が左側の歯の前面上に配置されるように、右手の向きを定める傾向がある。口腔の右側のブラッシングでは、当該ユーザは、右手を180°近くの角度に亘って回転させることにより、ブラシの頭部の向きをひっくり返す傾向がある。この動作によって、上記向きセンサーは、ユーザの口腔に対する垂直軸を通過するように回転することになる。
【0010】
前記第1の向きに対応して前記対称面の左側で範囲を定められた前記角度は、前記第2の向きに対応して前記対称面の右側で範囲を定められた前記角度から、略180°の角度で離れてもよい。
【0011】
左側の前歯と右側の前歯は、対称面の反対側にある。ユーザが口腔の左側の歯にブラシをかけるとき、典型的には、歯ブラシの先端を上記対称面の左側に配置し、歯ブラシを略水平位置に保持する。ユーザが口腔の右側の歯にブラシをかけるとき、典型的には、歯ブラシの先端を上記対称面の右側に配置し、歯ブラシを略水平位置に保持する。従って、前記第1の向きと前記第2の向きとの間の角度の差は、約180°になる。
【0012】
前記1つまたは2つ以上のプロセッサーは、前記向きセンサーが第3の向きまたは第4の向きにあるかどうかを判定するように構成されてもよく、前記第3の向きは、前記歯ブラシがユーザの口腔の下側にある歯の上面で使用されている場合に対応し、前記第4の向きは、該歯ブラシがユーザの口腔の上側にある歯の下面で使用されている場合に対応する。前記歯ブラシは、前記歯ブラシの長手軸を中心にして略180°の回転によって、前記第3の向きから前記第4の向きに移動されてもよい。
【0013】
ユーザは、口腔の下側にある歯の上面にブラシをかけるために、歯ブラシを略水平向きに保持しながら、歯ブラシの毛部が下方に向くように手の向きを定める傾向がある。ユーザは、口腔の上側にある歯の下面にブラシをかけるために、歯ブラシを略水平向きに保持しながら、歯ブラシの毛部が上方に向くように手の向きを定める傾向がある。上側と下側にある歯のブラッシングを切り替える際には、ユーザは、手を180°近くの角度に亘って回転させることにより、歯ブラシの向きを回転させる傾向がある。この動作によって、上記向きセンサーは、歯ブラシの長手軸を中心にして回転することになる。
【0014】
前記1つまたは2つ以上のプロセッサーは、前記向きセンサーが第5の向きまたは第6の向きにあるかどうかを判定するように構成されてもよく、前記第5の向きは、前記歯ブラシがユーザの口腔の上側にある歯の内面で使用されている場合に対応し、前記第6の向きは、該歯ブラシがユーザの口腔の下側にある歯の内面で使用されている場合に対応する。
【0015】
前記ユーザの口腔に対して、水平面が画定されてもよい。ユーザの口腔の上側と下側にそれぞれ対応して、前記第5の向きでは、取り付けられた歯ブラシが前記水平面の上側で第1の角度の範囲を定める長手軸を有し、前記第6の向きでは、取り付けられた歯ブラシが該水平面の下側で第2の角度の範囲を定める長手軸を有する。
【0016】
上記角度により、広範囲にわたる多様なブラッシング様式に対して、ユーザの口腔の上側と下側の歯の内側のブラッシングを正確に区別することが可能になる。口腔の上側の奥歯のブラッシングでは、ユーザは、ブラシの先端が口腔の上部にある状態で、ブラシの毛部が上側の歯の内面上に配置されるように、手の向きを定める傾向がある。口腔の下側の奥歯のブラッシングでは、ユーザは、ブラシの先端が口腔の下部にある状態で、ブラシの毛部が下側の歯の内面上に配置されるように、手の向きを定める傾向がある。上側と下側にある歯の内面のブラッシングを切り替える際には、ユーザは、手を回転させることにより、歯ブラシの向きをひっくり返す傾向がある。この動作によって、上記向きセンサーは、ユーザの口腔に対して画定される水平軸を通過するように回転することになる。
【0017】
前記向きセンサーは、加速度計を備えてもよい。前記1つまたは2つ以上のプロセッサーは、前記加速度計から受信する情報を利用して指向性引力(指向性を有する引力)を判定するように構成されてもよい。これを利用すれば、前記プロセッサーが、取りつけられた歯ブラシの空間における向きを判定することができる。
【0018】
重力の方向を初期化の値として用いることにより、空間における前記歯ブラシの向きを判定してもよい。これにより、ユーザが歯にブラシをかけ始める前に、歯ブラシを空間における特定の向きに配置する必要がなくなる。ユーザが歯ブラシを開始の向きから第1の向きに移動させたとき、指向性引力の変化を判定できる。前記プロセッサーがその後、この重力の方向の変化に基づく歯ブラシの第1の向き、および歯ブラシの最初の向きを判定できるようにしてもよい。
【0019】
前記向きセンサーは、前記歯ブラシに取り外し可能に結合されてもよい。このようにすれば、同じ向きセンサーを多様な歯ブラシに使用できる。いくつかの実施の形態では、前記向きセンサーを収納し、この向きセンサーを歯ブラシに取り外し可能に結合させるための収納ユニットを設けてもよい。
【0020】
前記向きセンサーは、前記歯ブラシに対する特有の構成で該歯ブラシに結合されてもよい。このようにすれば、前記向きセンサーに対する歯ブラシの向きが既知である場合に、前記1つまたは2つ以上のプロセッサーが、取りつけられた歯ブラシの向きを判定できるようになる。いくつかの実施の形態では、前記向きセンサーを収納するための収納ユニットを設け、この収納ユニット上に当該収納ユニットの前面を指し示すためのマークを付けてもよい。ユーザはその後、前記向きセンサーを歯ブラシに結合させるとき、上記収納ユニット上の当該マークを歯ブラシの前面に合わせる必要がある。いくつかの実施の形態では、上記収納ユニット上のマークと歯ブラシの毛部は、それらを結合させるときに同じ方向に面していなければならない。
【0021】
前記1つまたは2つ以上のプロセッサーによる前記第1の向きと前記第2の向きの判定が、電子コンピュータ計算装置におけるゲームを制御するための入力として用いられてもよい。
【0022】
歯ブラシが特定の向きに配置しているという判定をゲーム用入力として用いて、歯ブラシの向きの映像表示を提供することができる。いくつかの実施の形態では、上記映像表示を用いて、ブラッシングに関するリアルタイムのフィードバックを提供できる。ユーザは、そのフィードバックを用いることにより、口腔の第1と第2の部位に対して均等にブラシをかけることができる。いくつかの実施の形態では、上記ゲーム制御入力の範囲を広げて、第3、第4、第5および第6の向きのいくつか、またはそれらのすべてを含めることができる。いくつかの実施の形態では、向き情報を分析して、口腔の異なる領域に対して均等にブラシがかけられた場合に、当該ゲームがユーザに報酬を付与するようにしてもよい。いくつかの実施の形態では、ユーザが手本にできるように、歯ブラシの向きを表示してもよい。
【0023】
前記1つまたは2つ以上のプロセッサーは、前記歯ブラシの前記第1の向きと前記第2の向きのそれぞれに対する特有の最大および最小閾値を判定するように構成されてもよい。上記閾値は、特定のユーザにとって特有であるかもしれない。異なるユーザがブラシをまったく同じように移動させることはない以上、歯ブラシを第1の向きから第2の向きに移動させる第1のユーザは、歯ブラシを第1の向きから第2の向きに移動させる第2のユーザに対して、異なる動作を用いるかもしれない。上記歯ブラシシステムは、異なるユーザに対する最大および最小限度を判定して、第1と第2のユーザの動作を区別することできる。
【0024】
前記1つまたは2つ以上のプロセッサーは、特定のユーザと結び付けられた最大および最小閾値を格納し、後で呼び出すように構成されてもよい。このようにすれば、特定のユーザの特有の様式に応じて、上記ゲームを改作して、映像の効果を調整することができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、歯ブラシの向きを判定する方法であって、歯ブラシに向きセンサーを取り付け、1つまたは2つ以上のプロセッサーを構成することにより、前記向きセンサーから向き情報を受信し、該向きセンサーが第1の向きまたは第2の向きにあるかどうかを判定することを含み、前記第1の向きは、前記歯ブラシがユーザの口腔の左側にある歯の表面で使用されている場合に対応し、前記第2の向きは、該歯ブラシがユーザの口腔の右側にある歯の表面で使用されている場合に対応する、歯ブラシの向きを判定する方法を提供する。
【0026】
本発明のさらなる一態様によれば、歯ブラシ保持器であって、相対的に幅狭の上端部と相対的に幅広の下端部を有する歯ブラシを収納し、前記上端部と前記下端部の間に外方にフレアをつけた形状を有するスリーブと、前記スリーブを垂直の向きに支持するための基部とを備え、前記スリーブの下端部は、離間した弾性内壁と外壁を具備し、前記弾性内壁が前記外壁に向けて撓むようになっている、歯ブラシ保持器を提供する。
【0027】
上記弾性内壁を上記外壁から離間させることにより、当該2つの構成要素間に空隙が形成される。この空隙が上記可撓性スリーブの一部を取り囲むことにより、上記スリーブの厚みのある端部で可撓性が大きくなる。当該端部は、このような構成がなければ、大きな剛性を有することになる。これにより、ユーザは、歯ブラシを上記歯ブラシ保持器に容易に挿入および取り外しができると共に、上記歯ブラシ保持器の基部が幅広になり、上記歯ブラシ保持器と取り付けられた歯ブラシを垂直の向きに効果的に支持できることになる。
【0028】
上記内壁と外壁が、1つの連続した構造物の一部を構成してもよい。いくつかの実施の形態では、上記内壁は、首状部を取り囲む外壁構造物の連続部分であり、上記内壁を取り囲む上記外壁は、第2の構造物の一部である。
【0029】
前記歯ブラシ保持器はさらに、基部と流体密閉型内部筺体を備えてもよい。前記流体密閉型内部筺体は、向きセンサーを収納するために用いられる。前記流体密閉型内部筺体は、前記スリーブの一端と前記基部の間に設置される。
【0030】
この構成によれば、確実に、上記歯ブラシ保持器の重量をその一端に集中させることができる。その重量は、上記歯ブラシ保持器の底端部に集中される。水による損壊に対して保護する必要がある構成部品を収納するために、上記内部筺体を用いてもよい。多様な電子構成部品を収納するために、上記内部筺体を用いることができる。いくつかの実施の形態では、上記内部筺体が充電ポートを収納してもよい。
【0031】
前記流体密閉型内部筺体には、少なくとも1つのLED光源が収納されてもよい。前記LED光源は、ユーザからの入力に応答して第1の状態から第2の状態に移行するように構成される。このようにすれば、光源を用いて、上記歯ブラシの向き判定システムの状況をユーザに指し示すことができる。上記LED光源は、カラー光でも白色光でもよい。あらかじめ設定された光効果を利用して、上記歯ブラシのシステムの状況を指し示してもよい。それらの光効果は、限定されることはないが、律動、明滅、閃光、減退光、または、いずれかの効果の組合せを含むことができる。上記内部筺体の一部は、光が透過できる材料から形成されてもよい。上記歯ブラシ保持器の一部は、光が透過できる材料から形成されてもよい。
【0032】
前記歯ブラシ保持器の前記基部は、前記スリーブの長手軸に略垂直であってもよい。
【0033】
上記可撓性スリーブ内に歯ブラシを挿入したとき、その歯ブラシの長手軸は、上記可撓性スリーブの長手軸に平行になる。従って、上記歯ブラシ保持器の基部は、当該歯ブラシと可撓性スリーブの長手軸に垂直になる。すなわち、上記歯ブラシ保持器は、歯ブラシが使用されていないとき、その歯ブラシ用の保持器として利用できる。