特許第6782777号(P6782777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6782777風力発電設備または風力発電所のための制御命令またはイベントメッセージの出力方法、そのための評価装置およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782777
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】風力発電設備または風力発電所のための制御命令またはイベントメッセージの出力方法、そのための評価装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20201102BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20201102BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20201102BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20201102BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
   F03D7/04 Z
   F03D1/06 A
   H02P9/00 F
   H02J3/38 160
   H02J13/00 301J
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-523522(P2018-523522)
(86)(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公表番号】特表2019-503155(P2019-503155A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2016077035
(87)【国際公開番号】WO2017089129
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】102015120306.5
(32)【優先日】2015年11月24日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516129275
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】デムス, サイモン
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0270577(US,A1)
【文献】 特開2009−156171(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002274(WO,A1)
【文献】 特開2012−039802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D1/00−80/80
H02J3/00−5/00
13/00
H02P9/00−9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価装置(24)を用いた少なくとも1つの第1風力発電設備(100a)または少なくとも1つの第1風力発電所(112a)への制御命令の出力方法であって、
少なくとも1つのさらなる風力発電設備(100d)から、あるいは、少なくとも1つのさらなる風力発電所(112b)からのデータが、前記評価装置(24)によって受信され、前記評価装置(24)によって評価され、
前記第1風力発電設備(100a)または第1風力発電所(112a)のための少なくとも1つの制御命令が、さらなる風力発電設備(100d)または前記さらなる風力発電所(112b)から受信されたデータに基づいて出力されるとともに、
前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)および前記さらなる風力発電設備(100d)または前記さらなる風力発電所(112b)は、少なくとも1つのデータ接続部(34,36)を介して制御室(30)に接続されており、前記評価装置(24)は、前記制御室(30)の一部であって、複数の風力発電所(112a,112b)は、前記制御室(30)に接続されており
前記評価装置(24)が前記さらなる風力発電設備(100d)の1つに堆積する氷を報告するさらなるデータを受信すると、前記第1風力発電設備(100a)の前記氷の警告灯を作動させるための制御データが前記第1風力発電設備(100a)に出力される、あるいは前記風力発電設備(100a〜100c)の前記氷の警告灯を作動させるための制御データが、前記評価装置(24)を用いて、前記第1風力発電所(112a)に出力される、
方法。
【請求項2】
第1測定値(42a)に対応しており、前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)の少なくとも1つの第1センサを用いて取得される第1データを受信するステップ、
さらなる測定値(42b〜42f)に対応しており、前記第1風力発電設備(100a)とは異なる少なくとも1つのさらなる風力発電設備(100d)、または前記第1風力発電所(112a)とは異なるさらなる風力発電所(112b)の少なくとも1つのさらなるセンサによって取得されるさらなるデータを受信するステップ、
前記第1およびさらなる測定値(42a〜42f)に基づいて、前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)を制御するステップ、および/または、
前記第1およびさらなる測定値(42a〜42f)に基づいて、前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)の運転状態に関するイベントメッセージを出力するステップ、
を備えた、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)の第1センサからの第1測定値(42a)、およびさらなる風力発電設備(100d)またはさらなる風力発電所(112b)のさらなるセンサからのさらなる測定値(42b〜42f)が、制御命令およびイベントメッセージを出力するために、前記評価装置(24)へ供給され、前記風力発電設備(100a〜100f)または前記風力発電所(112a,112b)における前記センサが、それぞれほぼ同じ領域、またはほぼ同じ位置に配置されている、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記評価装置(24)は、前記さらなる測定値(42b〜42f)から決定され、前記さらなる測定値(42b〜42f)または所定の閾値(50)よりも大きい基準値(52)からの前記第1測定値(42a)の偏差が検出されると、イベントメッセージを出力する、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
最大で100kmの距離、例えば、500m、5km、10km、20km、または50kmにある前記第1およびさらなる風力発電設備(100a〜100f)および/または前記第1およびさらなる風力発電所(112a,112b)の前記センサからの第1データおよびさらなるデータが、制御命令およびイベントメッセージを出力する目的のために受信され、および/または評価される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
評価装置(24)を用いた少なくとも1つの第1風力発電設備(100a)または少なくとも1つの第1風力発電所(112a)への制御命令の出力方法であって、
少なくとも1つのさらなる風力発電設備(100d)から、あるいは、少なくとも1つのさらなる風力発電所(112b)からのデータが、前記評価装置(24)によって受信され、前記評価装置(24)によって評価され、
前記第1風力発電設備(100a)または第1風力発電所(112a)のための少なくとも1つの制御命令が、さらなる風力発電設備(100d)または前記さらなる風力発電所(112b)から受信されたデータに基づいて出力されるとともに、
前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)および前記さらなる風力発電設備(100d)または前記さらなる風力発電所(112b)は、少なくとも1つのデータ接続部(34,36)を介して制御室(30)に接続されており、前記評価装置(24)は、前記制御室(30)の一部であって、複数の風力発電所(112a,112b)は、前記制御室(30)に接続されており、
前記評価装置(24)は、前記第1風力発電所(112a)および前記さらなる風力発電所(112b)内の前記風力発電設備(100a〜100f)の飛行障害表示灯を同期して点滅させるために、さらなる風力発電設備(100d)またはさらなる風力発電所(112b)から同期信号を持つデータを受信し、受信した前記同期信号に依存するさらなる同期信号の形式で、前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)に対して制御命令を送信する
法。
【請求項7】
前記評価装置(24)は、風力発電設備ではないさらなるエネルギー生成器を接続するための制御インターフェースを有し、前記さらなるエネルギー生成器は、前記制御インターフェースによって制御される、
請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記評価装置(24)は、前記第1風力発電所(112a)の一部であって、インターフェース(18)を介して、少なくとも1つのさらなる風力発電所(112b)のさらなる風力発電所レギュレータ(16)から、所望の電力値のような規制値を受信する、
請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記評価装置によってデータ接続部(22,36)を介して気象データが受信され、前記気象データは、前記評価装置において処理され、前記第1風力発電設備(100a)または前記第1風力発電所(112a)を制御するための制御命令が、前記気象データに基づいて生成される、
請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第1風力発電設備(100a)または第1風力発電所(112a)への制御命令を出力するためのインターフェース(23)と、さらなる風力発電設備(100d)またはさらなる風力発電所(112b)から送信されたデータを受信するためのさらなるインターフェース(18,32)と、を有する評価装置(24)であって、
請求項1からのいずれか1項に記載された方法を実行するように設定される、
評価装置(24)。
【請求項11】
風力発電設備ではないさらなる電力生成器を接続するためのインターフェースを有する、
請求項1に記載の評価装置(24)。
【請求項12】
請求項1からのいずれか1項に記載の方法を実行するために、請求項1または1に記載の評価装置(24)を有するシステムであって、
少なくとも1つの第1風力発電設備(100a)または少なくとも1つの風力発電所(112a)と、
少なくとも1つのさらなる風力発電設備(100d)、さらなる風力発電所(112b)、または少なくとも1つのさらなる風力発電所(112b)と、
少なくとも1つの前記第1風力発電設備(100a)または少なくとも1つの前記第1風力発電所(112a)と、少なくとも1つの前記さらなる風力発電設備(100d)または少なくとも1つの前記さらなる風力発電所(112b)との間においてデータを交換するデータ接続部(22,34,36)と、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備または風力発電所への制御命令の出力方法、または風力発電設備または風力発電所のためのイベントメッセージの出力方法に関する。本発明はまた、上記方法を実行するための評価装置、および上記方法を実行するための評価装置を有するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は、多数のセンサを有していることが知られている。センサは、例えば、風力発電設備の運転状態を監視するために使用される。例えば、風力発電設備の発電機の領域内の温度は、温度センサを用いて記録され、所定の正常範囲または許容範囲内にある限り、風力発電設備の無故障機能を示す。
【0003】
温度の測定値が許容範囲を外れると、風力発電設備の誤動作が判定される。この場合、風力発電設備は、例えば、電源を切って、ネットワークから切り離されなければならない。温度測定値が正しく機能している風力発電設備を示すこれらの許容範囲は、通常、大きくなるように選択されなければならない。大きい許容範囲では、例えば、夏に高温に曝された風力発電設備からの高い測定値は、基本的には異常を示すものではなく、誤動作と解釈されない。
【0004】
同様に、寒い地域や寒い季節にセンサの領域において測定され通常温度よりも低い風力発電設備の運転中の温度の値は、公差範囲の限界値を下回らない限り、風力発電設備の無故障機能として分類されなければならない。
【0005】
これらの広く定義された公差範囲が異なるセンサに選択された結果、誤動作が動作挙動に重大な影響を及ぼした場合にのみ、風力発電装置の誤動作が発見される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願公開第2475609号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0039650号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0143120号明細書
【特許文献4】国際公開第2001/80395号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を除去することであり、特に、風力発電設備の正常値または異常運転状態とは異なる測定値をちょうどいい時に検出することができるようにすることである。いずれにしても、本発明の目的は、従来技術を発展させることにある。
【0008】
本発明の優先権出願において、ドイツ特許商標庁は、以下の先行文献を調査した(英国特許出願公開第2475609号明細書、米国特許出願公開第2009/0039650号明細書、米国特許出願公開第2010/0143120号明細書、国際公開第2001/80395号)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この点において、本発明は、評価装置を用いた少なくとも1つの第1風力発電設備または少なくとも1つの第1風力発電所への制御命令の出力方法、および/または、評価装置を用いた少なくとも第1風力発電設備または第1風力発電所の運転状態に関するイベントメッセージの出力方法に関する。本発明によれば、少なくとも1つのさらなる風力発電設備または少なくとも1つのさらなる風力発電所からのデータが、評価装置によって受信される。第1風力発電設備は、さらなる風力発電設備とは異なる風力発電設備であって、好ましくは、第1風力発電所とは異なるさらなる風力発電所に配置される。第1風力発電所は、さらなる風力発電所とは異なる風力発電所である。
【0010】
受信データは評価装置において評価され、第1風力発電設備または第1風力発電所のための制御命令またはイベントメッセージが、受信され評価されたデータに基づいて、出力される。
【0011】
従って、第1風力発電設備または第2風力発電所のための制御命令またはイベントメッセージを生成するために、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所から評価装置へ供給されたデータは、評価装置において処理される。
【0012】
データラインまたは無線データ接続部であるデータ接続部は、データを評価装置に送信する目的で、さらなる風力発電所またはさらなる風力発電設備と評価装置との間に提供されることが好ましい。
【0013】
よって、本発明は、例えば、運転状態を評価し、第1風力発電設備または第1風力発電所の運転状態に介入することを目的として、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所からの測定値であるデータを考慮に入れることを可能にする。
【0014】
従って、例えば、データとして受信される第1風力発電設備または第1風力発電所の運転パラメータは、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所のパラメータまたは測定値とは異なる場合には、第1風力発電設備または第1風力発電所の異常な運転状態を推測することが可能になる。よって、第1風力発電設備または第1風力発電所の運転パラメータが許容範囲外にならない限り、第1風力発電設備または第1風力発電所の異常な運転パラメータによいタイミングで反応することは既に可能である。
【0015】
一実施形態によれば、第1風力発電設備または第1風力発電所の第1コントローラ、およびさらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所のさらなるコントローラは、データ接続部を介して接続される。評価装置は、第1風力発電設備または第1風力発電所の第1コントローラの一部である。
【0016】
よって、第1コントローラと、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所のさらなるコントローラとの間にデータ接続部だけが確率されていなければならない結果として、評価装置は、既存の第1コントローラに容易に統合される。
【0017】
さらなる実施形態によれば、第1風力発電設備または第1風力発電所の第1コントローラ、およびさらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所のさらなるコントローラは、データ接続部を介して、評価装置がその一部である制御室へ接続される。
【0018】
よって、複数の風力発電設備または複数の風力発電所がそれらのコントローラによって接続される中央制御室が提供される。従って、風力発電設備または風力発電所のための制御命令は、集中的に生成される、あるいは、風力発電設備または風力発電所のためのイベントメッセージは、評価装置を用いる制御室において、集中的に出力される。この場合には、運転パラメータ、例えば、他の風力発電設備または他の風力発電所からのセンサ値は、制御室で考慮される。
【0019】
従って、接続された全ての風力発電設備または風力発電所からのパラメータ、値、または測定値の偏差を集中的に検出することができ、適切なタイミングで異常に対応することができるという結果として、中央評価および制御室に接続された全ての風力発電設備または風力発電所のための制御が可能である。
【0020】
有利な実施形態によれば、この方法は、第1測定値に対応し、第1風力発電設備または第1風力発電所の少なくとも1つのセンサを用いて記録される第1データが評価装置によって受信されるステップを含む。この方法はまた、さらなる測定値に対応し、第1風力発電設備またはさらなる風力発電所とは異なる少なくとも1つのさらなる風力発電設備、または第1風力発電所とは異なるさらなる風力発電所の少なくとも1つのさらなるセンサを用いて記録されるさらなるデータを受信するステップを含む。
【0021】
この方法はまた、第1およびさらなる測定値に基づいて、第1風力発電設備または第1風力発電所を制御するステップ、および/または、第1およびさらなる測定値に基づいて、第1風力発電設備または第1風力発電所の運転状態に関係するイベントメッセージを出力するステップを含む。
【0022】
よって、第1風力発電設備または第1風力発電所を制御するために、センサ値または風力発電設備または風力発電所において測定された測定値が制御に使用されるだけでなく、むしろ、評価装置を用いて受信され記録されるもう1つの風力発電所またはもう1つの風力発電設備からのさらなる測定値も、制御命令または評価装置を用いる第1風力発電設備または第1風力発電所の運転状態に関係するイベントメッセージを出力するために、上記値に加えて用いられる。
【0023】
さらなる有利な実施形態によれば、評価装置は、制御命令および/またはイベントメッセージを出力するために用いられ、第1風力発電設備または第1風力発電所のセンサからの第1測定値、および少なくとも1つの風力発電設備または1つのさらなる風力発電所のセンサからのさらなる測定値が、評価装置へ供給される。
【0024】
この場合には、第1およびさらなる風力発電設備または第1またはさらなる風力発電所に配置されるセンサが、風力発電設備または風力発電所の実質的に同一の領域、または実質的に同一の位置にそれぞれ配置される。
【0025】
よって、有利なことに、第1およびさらなる風力発電設備または第1またはさらなる風力発電所内の実際に匹敵する条件に曝されたセンサからの値だけが基準値を形成するため、さらなる測定値から基準値を正確に形成することができる。
【0026】
さらなる実施形態によれば、さらなる測定値、またはさらなる測定値および、例えば、さらなる測定値の平均値または、平均値に依存するさらなる測定値の値から決定されるさらなる基準値から、第1風力発電設備または第1風力発電所の測定値の偏差が検出され、その偏差が所定の閾値を超えている場合には、評価装置が、イベントメッセージ、特に、異常メッセージを出力する。
【0027】
よって、基準値は、例えば、平均値形成によって、評価装置内のさらなる測定値から基準値が決定される。さらに、この基準値に対する閾値が予め定められている、あるいは決定されている。今度は、第1測定値が所定の閾値以上に逸脱した場合には、第1測定値は、評価装置によって正しくないと解釈される。これは、第1風力発電設備または第1風力発電所の誤動作を推測する。
【0028】
さらなる実施形態によれば、第1およびさらなる風力発電設備または風力発電所のセンサからの第1およびさらなる測定値は、最大で、100km未満、特に、500m、5km、10km、20km、または50km未満であって、互いに、制御命令および/またはイベントメッセージを出力するために用いられる。
【0029】
よって、第1風力発電設備または第1風力発電所から最大100kmの距離にあるさらなる風力発電設備または風力発電所からのさらなる測定値だけが、例えば、第1風力発電設備または第1風力発電所の領域に配置された評価装置において用いられる。
【0030】
これにより、センサまたは風力発電設備がほぼ同じ領域に配置されている場合には、測定値を考慮する場合の環境条件の影響、例えば、第1およびさらなる測定値へ同等に影響する外気温への影響を補償することができる。
【0031】
これらの距離を越えた場合、比較がますます困難になる、あるいはもはや不可能になるであろう。特定のイベントメッセージまたは特定の制御命令を形成するためには、特に、さらに短い所定の距離、すなわち、例えば、500mから数kmの距離が有利である。
【0032】
さらなる実施形態によれば、さらなる風力発電設備の1つの上に堆積する氷がさらなるデータによって評価装置へ報告されると、氷警告灯を作動させる制御データが、評価装置を用いて、第1風力発電設備または第1風力発電所へ出力される。よって、第1風力発電設備においてまだ氷の堆積が検出されないにもかかわらず、第1風力発電所の氷警告灯は、すでにさらなる風力発電設備において検出された氷の堆積を利用して起動されることができる。
【0033】
さらなる実施形態によれば、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所の飛行障害表示灯と同期して点滅するように第1風力発電設備または第1風力発電所の飛行障害表示灯を引き起こすために、評価装置は、さらなる風力発電設備またはさらなる風力発電所からの同期信号の形式でデータを受信し、第1風力発電設備または第1風力発電所のためのさらなる同期信号の形式で制御命令を生成する。
【0034】
これまで、GPSデータを用いた同期化などの複雑な方法を用いてのみ、飛行障害表示灯システムを同期的に点滅させることは可能であったが、今度は、風力発電設備や風力発電所間のデータ接続部を使用したさらに正確な単純同期が可能になる。
【0035】
さらに有利な実施形態によれば、評価装置は、データ交換の目的のためのさらなるエネルギー生成器を接続するための制御インターフェースを有している。そして、さらなるエネルギー生成器は、制御インターフェースによって制御され、ケースデータが、この目的のために評価装置によってさらなるエネルギー生成器と交換される。制御目的のために、所望の電力値、所望の無効電力値等の規制値は、さらなるエネルギー生成器に送信され、特に、または、データが、インターフェースを介してさらなるエネルギー生成器から評価装置によって受信される。
【0036】
よって、直接的なデータ交換によって、ネットワークオペレータとは独立して、風力発電設備またはさらなるエネルギー生成器を自立的に制御することができる。特に、第1風力発電所またはさらなる風力発電所によって、例えば、スランプ(slump)のために供給ネットワークに十分な電力が供給できない場合には、評価装置は、例えば、さらなるエネルギー生成器へ所望の電力値を出力することができる。
【0037】
さらなる実施形態によれば、評価装置は、第1風力発電所の一部であって、第1風力発電所のコントローラ、すなわち、第1風力発電所の風力発電所レギュレータを置き換える。そして、評価装置は、少なくとも1つのさらなる風力発電所の風力発電所レギュレータから、データ接続部を介して、所望の電力値、所望の無効電力値等のような規制値を受信する。
【0038】
従って、風力発電所は、さらなる風力発電所の風力発電所レギュレータによって規制され、例えば、第1風力発電所のコストを節約することができる。
さらなる実施形態によれば、さらなる風力発電設備または風力発電所から、データ接続部を介して、天候データが受信され、評価装置において処理される。第1風力発電設備または第1風力発電所を制御するための制御命令は、天候データに基づいて送信される。
【0039】
従って、例えば、第1風力発電設備または第1風力発電所を制御する際の天気予報に基づいて、ネットワークオペレータによって予め定義された所望の値を、さらに考慮することができる。この場合には、天気予報は、第1風力発電設備または第1風力発電所の環境センサを用いて検出されたデータだけに基づかない。この結果、天候データは、より正確に予測され使用される。
【0040】
本発明はまた、少なくとも1つの第1風力発電設備または第1風力発電所に制御命令を出力するためのインターフェース、および/または、少なくとも1つの風力発電設備または少なくとも1つの風力発電所の運転状態に関するイベントメッセージを出力するためのインターフェースを有する評価装置に関する。評価装置はまた、さらに、少なくとも1つのさらなる風力発電設備、特にさらなる風力発電所、または少なくとも1つの風力発電所から評価装置へ送信されるデータを受信するさらなるインターフェースを有している。特別な実施形態によれば、評価装置は、上述した実施形態の1つに係る方法を実行するために設定される。
【0041】
さらなる実施形態によれば、評価装置は、さらなるエネルギー生成器に接続するための制御インターフェースを有している。この制御インターフェースは、さらなるエネルギー生成器を持つデータを交換し、エネルギー生成器を制御するために用いられる。特に、そのインターフェースは、所望の電力値、所望の無効電力値等の規制値を送信する、および/またはそのインターフェースを介してそういったデータを受信するために用いられる。
【0042】
本発明はまた、少なくとも1つの第1風力発電設備または少なくとも1つの風力発電所、および少なくとも1つのさらなる風力発電設備または少なくとも1つのさらなる風力発電所を有するシステムに関する。さらなる風力発電設備は、特に、第1風力発電所とは異なるさらなる風力発電所における風力発電設備である。
【0043】
上記システムはまた、少なくとも第1風力発電設備または少なくとも第1風力発電所と、および少なくとも1つのさらなる風力発電設備または少なくとも1つの風力発電所との間においてデータを交換するためのデータ接続部を有している。一実施形態によれば、上記システムは、上述した実施形態の1つに係る方法を実行するために設定され、さらなる特別の実施例の実施形態の発明に係る評価装置を備えている。
【0044】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して、例として、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】風力発電設備を示す図。
図2】風力発電所を示す図。
図3】第1風力発電所およびさらなる風力発電所を示す図。
図4図3の風力発電所および制御室を示す図。
図5】第1風力発電設備およびさらなる風力発電設備からの測定値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、タワー102とナセル(nacelle)104とを有する風力発電設備100を示す。3つのロータブレード108とスピナ110とを有するロータ106は、ナセル104に設けられている。運転中に、ロータ106は、風によって回転運動を実行され、それによりナセル104内の発電機を駆動する。
【0047】
図1の風力発電設備100は、図2を参照して以下で説明するように、風力発電所における複数の風力発電設備100と組み合わせても運転されることもできる。
図2は、例として、3つの風力発電設備100を有する風力発電所112を示す。風力発電設備100は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。よって、風力発電設備100は、風力発電所112における基本的に任意の所望の数の風力発電設備100を表す。風力発電設備100は、特に、電気的な発電所ネットワーク114を介して、それぞれの電力、すなわち、生成された電流を供給する。この場合には、それぞれ生成され電流、または個々の風力発電設備100からの電力が加えられ、一般にPCCとも呼ばれる給電ポイント(feed-in point)118で供給ネットワーク120に給電するために、通常、発電所において電圧を上昇させる変圧器116が設けられる。
【0048】
図2は、例えば、電力制御が自然に存在する場合でも、電力制御を示さない風力発電所112の簡略化された図だけである。発電所ネットワーク114も、例えば、他の1つの例示的な実施形態を名づけるために、それぞれの風力発電設備100の出力に存在する変圧器によって、異なるものであってもよい。
【0049】
図3は、今度は、第1風力発電所112aとさらなる風力発電所112bとを示す。第1風力発電所112aは、第1風力発電設備100aと、2つの風力発電設備100b,100cとを有している。さらなる風力発電所112bは、さらなる風力発電設備100dと風力発電設備100e,100fとを有している。
【0050】
第1風力発電所112aの風力発電設備100a〜100cは、データライン12を介して、第1風力発電所レギュレータ10に接続されている。同様に、風力発電設備100d〜100fは、データライン14を介して、さらなる風力発電所レギュレータ16に接続されている。
【0051】
風力発電所レギュレータ10,16は、風力発電所112a,112bの個々の風力発電設備100a〜100fの電力生産を規制するために、ネットワークオペレータから異なるデフォルト値または所望の値を受信するように設定される。この目的のために、風力発電所レギュレータ10,16は、ここでは図示されていないが、インターフェースを有している。
【0052】
ネットワークオペレータからの制御値を特定するためのインターフェースに加えて、第1風力発電所レギュレータ10はインターフェース18を有し、さらなる風力発電所レギュレータ16はインターフェース20を有し、それらのインターフェース18,20は、風力発電所レギュレータ10,16間においてデータを交換する目的で、データライン22を介して互いに接続されている。データライン12,14を介して、それぞれ関連する風力発電設備100a〜100fとデータを交換することができるようにするために、第1風力発電所レギュレータ10は、インターフェース23も有し、さらなる風力発電所レギュレータ16は、インターフェース25も有している。
【0053】
本ケースでは、第1風力発電所レギュレータ10が、また、評価装置24を備えており、この評価装置24は、データライン22を介して、さらなる風力発電所112bまたはさらなる風力発電設備100dからデータを受信するように設定される。そして、評価装置24においてデータが処理され、さらなる風力発電設備100a、またはデータライン12を介してさらなる風力発電所112aの風力発電設備100a〜100cに、制御命令が出力される。
【0054】
評価装置24はまた、データライン12を介して、データライン22を介するさらなるデータに加えて、センサデータ、または第1風力発電所112aの風力発電設備100a〜100cの状態を示すデータを、評価装置が受信し評価することによっても、イベントメッセージが出力されるように設定される。よって、評価装置24は、第1データまたはデータライン12を介して受信された測定値、およびさらなるデータ、またはデータライン22を介して受信された測定値に基づいて、例えば、異常メッセージなどのイベントメッセージを出力するように設定される。この異常メッセージは、例えば、第1風力発電所レギュレータ10のディスプレイに表示される。
【0055】
図4は、図3の別の例示的な実施形態を示している。同一の参照符号は、同一の特徴に対応する。
風力発電所112a,112bは、インターフェース18,20を持たない風力発電所レギュレータ10,16において、それぞれが風力発電所レギュレータ10,16に再び接続される。その代わりに、第1風力発電所レギュレータ10はインターフェース26を有し、さらなる風力発電所レギュレータ16はインターフェース28を有している。図4の例示的な実施形態では、第1風力発電所レギュレータ10はまた、評価装置24を有していない。その代わりに、評価装置24は、制御室30の一部である。
【0056】
制御室30は、例えば、中央データ収集、または多数の風力発電所112が接続される制御ポイントであって、制御室30は、全ての記録されたパラメータ、または風力発電設備100または風力発電所112からのデータを保存し、評価することができる。接続された風力発電設備100はまた、制御室30を用いてリモートコントロールされてもよい。
【0057】
評価装置24は、データライン34,36を介して、風力発電所レギュレータ10,16のインターフェース26,28が接続されたインターフェース32を備えている。制御室30の評価装置24は、データライン36およびインターフェース32を介して、さらなる風力発電所112bからのさらなるデータを受信し、これらのさらなるデータは、例えば、風力発電設備100d〜100fからの測定値である。評価装置24はまた、データライン34を介して、第1風力発電所112aからの第1データを受信し、第1データは、例えば、風力発電設備100a〜100cからの測定値である。そして、第1風力発電所112aのための制御命令は、第1測定値とさらなる測定値とに基づいて、評価装置24において生成され、第1風力発電所112aの風力発電設備100a〜100cは、これらの制御命令を用いて制御される。
【0058】
イベントメッセージ、例えば、異常メッセージはまた、第1およびさらなるデータ、または測定値に基づいて、制御室30のディスプレイ(図示せず)に出力される。この目的のために、第1およびさらなるデータ、または測定値は、以下の図5において示される例に基づいて処理される。
【0059】
図5は、評価装置24において、第1風力発電所112aおよび第2風力発電所112bから受信した測定値を示す図である。縦軸40は、温度軸に対応する。個々の風力発電設備100a〜100fに割り当てられた測定値42a〜42fも示されている。測定値42a〜42fは、それぞれ、風力発電設備100a〜100fの発電機の領域において測定された温度値に対応する。センサは、全ての風力発電設備100a〜100fにおけるほぼ同じ位置に配置されている。
【0060】
ここで、風力発電所112a,11bが最大100kmの位置にあるとする。加えて、許容範囲44が、上限値46と下限値48とによって表される。全ての測定値42a〜42fは、許容範囲44の範囲内にある。しかし、測定値42aに対応する第1風力発電設備100aからの測定値が測定値42b〜42fの平均値と閾値50を超えて異なることが分かる。よって、本ケースでは、測定値42aが許容範囲内であっても、第1風力発電設備100aに異常があると推定される。
【0061】
ここでは、平均値によって表される基準値52とは閾値50以上異なる測定値42aのために、評価装置24によって、イベントメッセージ、例えば、異常メッセージが出力されることができる。
【0062】
第1風力発電設備100aが依然として許容範囲44によって定義される許容範囲内で運転されていても、第1風力発電設備100aが異常のためのネットワークから切断されることなく、従って、不規則性が既に認識され、異なる測定値42aの理由を監視し、場合によってはそれを排除することができるサービス員が第1風力発電設備100aに送られる。よって、切迫した異常に適切に対応することができる。
図1
図2
図3
図4
図5