特許第6782786号(P6782786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許67827861周回の過程で複数のプレス作業を遂行するための、少なくとも2つの高さ段違いラム先端部を備えたラムを有するロータリプレス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782786
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】1周回の過程で複数のプレス作業を遂行するための、少なくとも2つの高さ段違いラム先端部を備えたラムを有するロータリプレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 11/08 20060101AFI20201102BHJP
   B30B 15/28 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B30B11/08 Z
   B30B11/08 B
   B30B15/28 P
   B30B11/08 A
   B30B11/08 C
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-548655(P2018-548655)
(86)(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公表番号】特表2019-510637(P2019-510637A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2017057043
(87)【国際公開番号】WO2017162848
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】102016105588.3
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】16174530.2
(32)【優先日】2016年6月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594163246
【氏名又は名称】コルシュ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】クレル インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイスバッハ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミース シュテファン
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−243157(JP,A)
【文献】 特開平04−147797(JP,A)
【文献】 特開2003−210553(JP,A)
【文献】 米国特許第05460827(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第00887447(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00 − 11/34
B30B 15/10 − 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリプレスの1周回の過程で少なくとも2つのプレス作業を遂行するためのロータリプレスであって、前記ロータリプレスは、ロータ(28)と、型台(18)と、上側ラム(10)を受けるための上側ラムガイド(17)と、下側ラム(11)を受けるための下側ラムガイド(19)と、を含み、
前記上側ラム(10)は、各々、少なくとも2つの上側ラム先端部(12、13)を含み、第1上側ラム先端部(12)は、第2上側ラム先端部(13)の長さよりも或る長さ差(LD1)分短い長さであり、
前記下側ラム(11)は、各々、少なくとも2つの下側ラム先端部(14、15)を含み、第1下側ラム先端部(14)は、第2下側ラム先端部(15)の長さよりも或る長さ差(LD2)分長い長さであり、
前記型台(18)は、前記第1上側および下側ラム先端部(12、14)に整列された第1型キャビティ(32)を含み、ならびに、前記第2上側および下側ラム先端部(13、15)に整列された第2型キャビティ(33)を含み、
上記により、前記ロータリプレスの前記ロータの1周回の過程で、第1プレス作業において前記第1型キャビティ(32)中でプレス対象の第1材料(34)を押圧することができ、第2プレス作業において前記第2型キャビティ(33)中でプレス対象の第2材料(35)を押圧することができる、
ことを特徴とする、ロータリプレス。
【請求項2】
前記第1型キャビティ(32)の大きさならびに前記第1上側および下側ラム先端部(12、14)の大きさは、前記第2型キャビティ(33)の大きさならびに前記第2上側および下側ラム先端部(13、15)の大きさよりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載のロータリプレス。
【請求項3】
前記ロータリプレスは型インサート(16)を含み、前記型台(18)は前記型インサート(16)に対する凹部(37)を含み、型インサート(16)中に、前記第1型キャビティ(32)および前記第2型キャビティ(33)が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項に記載のロータリプレス。
【請求項4】
前記ロータリプレスは搬送デバイス(24)を含み、前記搬送デバイス(24)は、前記第1プレス作業の後、第1プレス品(34)を前記第2型キャビティ(33)の中に搬送する、
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータリプレス。
【請求項5】
前記搬送デバイス(24)は回転ゲート(36)または滑動具を含み、前記下側ラム(11)は、前記第1プレス作業の後、前記第1下側ラム先端部(14)の上端が前記型台(18)の面と同一平面になる位置に移動することができ、前記回転ゲート(36)を回転することによってまたは前記滑動具によって、前記第1プレス品(34)は前記第2型キャビティ(33)の中に搬送される、
ことを特徴とする、請求項4に記載のロータリプレス。
【請求項6】
前記第1型キャビティ(32)ならびに前記第1上側および下側ラム先端部(12、14)は、内側ピッチのサークル上に同心円状に配置され、
前記第2型キャビティ(33)ならびに前記第2上側および下側ラム先端部(13、15)は、外側ピッチのサークル上に同心円状に配置される、
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロータリプレス。
【請求項7】
前記ロータリプレスはタブレット(1)をカップ(2)中に押圧するのに適し、前記ロータリプレスは、充填ステーション(29)と、第1プレスステーション(20)と、カップ挿入ステーション(22)と、搬送デバイス(24)と、第2プレスステーション(25)とを含み、
前記充填ステーション(29)は、粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を前記第1型キャビティ(32)の中に添加するように構成され、前記第1プレスステーション(20)は、第1プレス作業において、前記第1型キャビティ中で前記粉体をタブレット(1)に押圧するように構成され、
前記カップ挿入ステーション(22)は、カップ(2)を前記第2型キャビティ(33)中に入置するように構成され、
前記搬送デバイス(24)は、前記タブレット(1)を、前記第2型キャビティ(33)中に置かれた前記カップ(2)の中に挿入するように構成され、
前記第2プレスステーション(25)は、第2プレス作業において、前記タブレット(1)を前記カップ(2)の中に押圧するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロータリプレス。
【請求項8】
前記第1プレスステーション(20)は、前記第1プレス作業の過程でプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、前記ロータリプレスは取出しステーション(23)を含み、前記取出しステーション(23)は、前記プレス工程の過程における前記プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱しているタブレット(1)を取出すように構成される、
ことを特徴とする、請求項7に記載のロータリプレス。
【請求項9】
前記第2プレスステーション(25)は、前記第2プレス作業の過程でプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、前記ロータリプレスは選別ステーション(26)を含み、前記選別ステーション(26)は、前記第2プレス作業の過程で圧入されたタブレット(1)を有するカップ(2)を、前記プレス圧力に基づいて、圧入されたタブレット(1)を有する適切なカップ(2)に対する搬送路(26a)、または前記プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する場合には、圧入されたタブレット(1)を有する不適切なカップ(2)に対する搬送路(26b)、のどちらかに向かわせるように構成される、
ことを特徴とする、請求項7または8に記載のロータリプレス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のロータリプレスを用いてボタン型電池用の正電極を製造するための方法であって、前記方法は、
a)充填ステーション(29)によって、粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を第1型キャビティ(32)の中に添加するステップと、
b)前記粉体、好ましくは前記金属酸化物の紛体を第1プレスステーション(20)によってタブレット(1)に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、ステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱するタブレット(1)を選択的に取出すステップと、
d)カップ挿入ステーション(22)によって、前記第2型キャビティ(33)の中にカップ(2)を挿入するステップと、
e)好ましくは回転ゲート(36)を含む搬送デバイス(24)によって、前記第2型キャビティ(33)中に置かれた前記カップ(2)の中に前記タブレット(1)を挿入するステップと、
f)前記第2プレスステーション(25)、および前記第2上側ラム先端部(13)と第2下側ラム先端部(15)との相互作用によって、前記タブレット(1)を前記カップ(2)の底に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、ステップと、
g)前記正電極を取出すステップであって、前記正電極は、選別ステーション(26)によって、ステップf)で測定された前記プレス圧力に基づいて、適切な正電極に対する搬送路(26a)または不適切な正電極に対する搬送路(26b)に選択的に向かわされる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
ロータリプレスの1周回の過程で少なくとも3つのプレス作業を遂行するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロータリプレスであって、
前記ロータリプレスは有核タブレット(43)の製造に適し、前記ロータリプレスは、充填ステーション(29)と、第1プレスステーション(20)と、第2充填ステーション(38)と、第2プレスステーション(25)と、搬送デバイス(24)と、第3充填ステーション(39)と、第3プレスステーション(40)とを含み、
前記充填ステーション(29)は、第1粉体を前記第1型キャビティ(32)の中に添加するように構成され、
前記第1プレスステーション(20)は、第1プレス作業において、前記第1型キャビティ(32)中で前記第1粉体を核タブレット(41)に押圧するように構成され、
前記第2充填ステーション(38)は、第2粉体を前記第2型キャビティ(33)の中に添加するように構成され、
前記第2プレスステーション(25)は、第2プレス作業において、前記第2型キャビティ(33)中で前記第2粉体を押し固めるように構成され、
前記搬送デバイス(24)は、前記核タブレット(41)を、前記第2型キャビティ(33)の中の既に押し固められた前記第2粉体の上に挿入するように構成され、
前記第3充填ステーション(39)は、前記第2粉体を前記第2型キャビティ(33)の中に添加するように構成され、これにより前記核タブレット(41)は前記第2粉体によって覆われ、
前記第3プレスステーション(40)は、前記第2型キャビティ(33)中の前記第2粉体で覆われた前記核タブレット(41)を有核タブレット(43)に押圧するように構成される、
ことを特徴とする、ロータリプレス。
【請求項12】
前記プレスステーションは、上側および下側加圧ローラを含み、前記上側および下側加圧ローラは前記ラム(10、11)上に作用する、
ことを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載のロータリプレス。
【請求項13】
前記第1プレスステーション(20)は、前記第1プレス作業の過程でプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、前記ロータリプレスは取出しステーション(23)を含み、前記取出しステーション(23)は、前記プレス工程の過程における前記プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する核タブレット(41)を取出すように構成される、
ことを特徴とする、請求項11または12に記載のロータリプレス。
【請求項14】
前記第3プレスステーション(40)は、第3プレス作業過程におけるプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、前記ロータリプレスは選別ステーション(26)を含み、前記選別ステーション(26)は、前記第3プレス作業過程での前記プレス圧力に基づいて、有核タブレット(43)を、適切な有核タブレット(43)に対する搬送路(26a)または不適切な有核タブレット(43)に対する搬送路(26b)に導くように構成される、
ことを特徴とする、請求項11に記載のロータリプレス。
【請求項15】
請求項1〜6または12〜14のいずれか一項に記載のロータリプレスを用いて有核タブレット(43)を製造するための方法であって、前記方法は、
a)第1充填ステーション(29)によって、前記有核タブレット(43)の核用の第1粉体を第1型キャビティ(32)の中に添加するステップと、
b)第1プレスステーション(20)によって、前記第1粉体を、核タブレット(41)に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、ステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱する核タブレット(41)を選択的に取出すステップと、
d)第2充填ステーション(38)によって、前記有核タブレット(43)のコーティングのための第2粉体を第2型キャビティ(33)の中に添加するステップと、
e)第2プレスステーション(25)によって、前記第2粉体を押し固めるステップと、
f)好ましくは回転ゲート(36)を含む搬送デバイス(24)によって、前記第2型キャビティ(33)中に置かれた、押し固められた前記第2粉体の中に前記核タブレット(41)を挿入するステップと、
g)第3充填ステーション(39)によって、前記核タブレット(41)が前記第2粉体で覆われるように前記第2粉体を第2型キャビティ(33)の中に添加するステップと、
h)第3プレスステーション(40)によって、前記第2粉体でコートされた前記核タブレット(41)を有核タブレット(43)に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、ステップと、
i)選別ステーション(26)によって前記有核タブレット(43)を取出すステップであって、前記有核タブレット(43)は、ステップh)で測定された前記プレス圧力に基づいて、適切な有核タブレットに対する搬送路(26a)または不適切な有核タブレットに対する搬送路(26b)に選択的に向かわされる、ステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは相重ねて行われる、少なくとも2つの高さ段違いプレス作業を遂行するための少なくとも2つの高さ段違いラム先端部を備えたラムを有するロータリプレスに関する。さらに、本発明は、具体的には、1周回の過程で、多層および有核(coat-core)タブレットを製造するため、およびタブレットをカップの中に押圧するためのロータリプレスならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、製薬、技術、もしくは化学産業、または食品産業において、粉末状材料から、大量のタブレットまたはペレットを製造するために用いられるロータリプレスの分野に関する。かかるロータリプレスは、例えば特許文献1または特許文献2などでよく知られている。
【0003】
既知の従来技術では、ロータリプレスは、好ましくは、1周回の過程で1種類のタブレットまたはペレットを製造するための1つのプレス作業を行う。既知のロータリタブレットプレスは、上側ラムと下側ラムとを含み、これらは、型台の型キャビティ中の粉末状材料を圧縮するために相互作用する。しかしながら、多数の用途では、とりわけ複数の成分からペレットを製造するには、連続的に順々に別のプレス作業を実行する必要がある。
【0004】
例えば、化学技術分野では、電池、特にボタン型電池を製造するためにロータリプレスが使用される。最新技術のボタン型電池は、通常、以下のように組み立てられる。ボタン型電池は、通常、金属酸化物の粉体で作られたタブレット、いわゆる正電極(cathode)が中に配置され押圧されたカップから成る。ボタン型電池の以降の組み立てでは、圧入された金属酸化物の上にセパレータが置かれ、ダイアフラムシートを備えたガスケットがカップ中に挿入され、ダイアフラムシートの上に亜鉛紛(陰極(anode))が施され、そして最上部に蓋(負電極(negative pole))が配置される。次いで、工具でカップの開口部が内側に圧接され、蓋はガスケットの圧力を介して押さえつけられ、次いでボタン型電池は気密にシールされる。
【0005】
これは、ロータリプレスを使って、ボタン型電池用の正電極を製造するためには、少なくとも、i)金属酸化物の紛体からタブレットを押圧するステップと、ii)カップを型の中に配置するステップと、iii)タブレットをカップの中に配置するステップと、iv)タブレットをカップの底に押圧するステップとが必要であることを意味する。
【0006】
従来技術から、第1ロータリプレスを使って金属酸化物の紛体からタブレットを製造することが知られている。次いで、タブレットは、組立機内に供給され、該組立機でタブレットをカップの中に挿入することができる。カップと挿入されたタブレットは、次いで第2ロータリプレスに運搬される。このマシンで、タブレットを含むカップは順次に型の中に挿入される。その後のプレス作業で、タブレットはラムによって再度加圧され、これによりタブレットはより平たくされ、一方その直径は増大する。圧入されたタブレットはこのときカップの底部に在し、カップ縁部に対し隙間なく圧接している。この既知の方法では、3台のマシン、すなわち、2台のロータリプレスと1台の組立機が機械的に連結される。この製造ワークフローはしたがってコスト高で作業中断を起こしやすい。
【0007】
また、従来技術から、機械的に連結されていない2台のロータリプレスだけを使う製造方法を用いることも知られている。この方法では、第1ロータリプレスで、金属酸化物の紛体からタブレットが押圧され、第2の別個のロータリプレスで、それらタブレットがカップの中に挿入され、カップの底に押圧される。これらの製造ステップの各々がロータの全1回転を必要とする。したがって、これらの一連のステップを1周回の過程で遂行できる単一のロータリプレスを提供するのは有益であろう。
【0008】
様々なプレス作業の連続的な遂行を必要とする別の例の用途には、多層タブレットまたは有核タブレット(タブレット中のタブレット)の製造がある。有核タブレットは様々な材料から成り、コーティング材料に包含された核を含む。例えば、核は、時間的に遅れて、すなわちコーティング材料が溶解した後、体内で放出される有効成分を含有することができる。
【0009】
有核タブレットを製造する既知の従来技術では、最初に第1ロータリプレスで核または核タブレットが製造される。次いで、それらの核は、別のロータリプレス上の型の中に挿入される。この工程では、核が型に挿入された後、コーティング用の粉体が、コーティングおよび核が有核タブレットへと圧縮されるように、型に供給される。したがって、既知の従来技術では、核を製造するステップと、核をコーティングとともに押圧するステップとのために複数のロータリプレスが必要となる。これは、コストの増加および必要空間の増大をもたらす。さらに、これらロータリプレスの間で必要な調整によって作業中断が生じ易くなる。
【0010】
特許文献3は、様々なモジュールおよび搬送システムを用いる、多層の圧縮調剤形態を製造するための方法を開示している。この方法も、同様に増大した作業量によって特徴付けられ、ロータリプレスの単一周回の過程で多層タブレットを製造することはできない。
【0011】
特許文献4および特許文献5から、相互に対し動きの可能な、内側と外側との上側および下側ラムを備えるロータリプレスによって、多層の成形品が製造できることがさらに知られている。内側と外側との上側および下側ラムの両方は、それぞれ少なくとも2つのラム先端部を含み、これにより、内側または外側の上側ラム先端部のそれぞれの対が、内側または外側の下側ラム先端部の対と、単一の型穴(die bore)中で相互作用することができる。この型穴の形状および寸法は、外側ラム先端部の如何による。これらのロータリプレスにおいて、内側の上側および下側ラムは、トラス頭を含む内側ラムシャフトに連結されており、一方、外側の上側および下側ラムは、ローラガイドのガイドの部分と相互作用する。内側ラムに対する内側シャフトのトラス頭を駆動するため、および外側ラムに対するローラガイドのガイド部分を駆動するため、ロータリプレスの上部および下部カム軌道中にそれぞれ制御カムが設けられる。内部および外部のラムが別個に制御可能なので、多様な形状を有するさらに複雑な成形品をピッチサークル上の型穴中で製造することができる。このプレスの不利点は、非常に長い上側および下側型ホルダを備える2つの上部および下部カム軌道による複雑で高精度に調整された制御プロセスが必要なことであり、主ステーションが相互重ねて配置された2対の加圧ローラを含む。
【0012】
したがって、個別的に相重ねて行うことが可能な連続的な製造ステップが、簡単な構造の手段を用いて、単一のロータリプレスにおいて遂行できたならば、多くの用途分野のために有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第102 12959A1号
【特許文献2】独国実用新案登録第202 20440U1号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0072799A1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 440 790A1号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1 437 116A1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によって取り扱う対象の問題は、したがって、従来技術の欠点を排除し、1周回の過程で個別的に相重ねて行うことが可能な相異なるプレス作業を次々と遂行できるロータリプレスを提供することである。
【0015】
本発明によれば、この問題は独立請求項によって解決される。従属請求項は、本発明によるデバイスおよび本発明による方法の好適な実施形態を示す。
【0016】
本発明は、したがって、好ましくはロータリプレスの1周回の過程で少なくとも2つのプレス作業を遂行するためのロータリプレスに関し、前記ロータリプレスは、ロータと、型台(die table)と、上側ラムを受けるための上側ラムガイドと、下側ラムを受けるための下側ラムガイドとを含み、該上側ラムは少なくとも2つの上側ラム先端部を含み、第1上側ラム先端部は、第2上側ラム先端部よりも長さ差(LD1)分短い長さであり、該下側ラムは少なくとも2つの下側ラム先端部を含み、第1下側ラム先端部は、第2下側ラム先端部よりも長さ差(LD2)分長い長さであり、型台は、第1上側および下側ラム先端部に向けて方位付けられた第1型キャビティを含み、これにより、1周回の過程で、第1プレス作業においてプレス対象の第1材料を第1型キャビティ中で押圧することが可能であり、第2プレス作業においてプレス対象の第2材料を第2型キャビティ中で押圧することが可能である。
【0017】
本発明によるロータリプレスは、従来技術で周知の一般的型式のロータリプレスである。このロータは、好ましくは、上側ラムと下側ラムとの相互作用によって粉末状材料を型台の型キャビティ中でペレットまたはタブレットに押圧できるように、ラムを受けるための上側および下側ラムガイドを含む。本発明によれば、これら上側および下側ラムは、好ましくは、型台の型キャビティとともに、材料をペレットまたはタブレットに押圧するためのプレスツールを形成する。本発明によれば、好ましくは、該プレスツールは、上側ラム、下側ラム、および型の一式を所定し、これらは周回の過程で連係して作動される。該ロータリプレスは複数のプレスツールを含むことが好ましく、これらは、上側および下側ラムガイド中および型台中に同心円状に配置される。本発明での意味において、上側および下側ラムは、好ましくは、それぞれ上側および下側ラム先端部の一式を所定し、これらは周回の過程で連係して作動される。一実施形態において、ラムは複数のラム先端部から構成することができ、これらは連係して作動される。また一方、ラムがラムシャフトおよび2つ以上のラム先端部を含むことを選ぶこともでき、これら先端部はラムシャフトの中に螺入または挿入することができる。これは、手間をかけずにラムのラム先端部を交換することを有利に可能にする。また一方、ラムがラムシャフトおよび2つ以上のラム先端部で構成されることを選ぶこともでき、このラムシャフトおよびラム先端部は一体的に結合される。上側ラムの設計で、上側ラム先端部の配置および長さを決めることが可能で、これらは上側ラムに関連付けられる。これは、同様に下側ラムにも適用され、該ラムは少なくとも2つの下側ラム先端部を含む。本発明によれば、ラム先端部の長さとは、好ましくは、型台の平面に垂直なプレス方向に沿ったラム先端部の延長を指す。ラムがラムシャフトを含む場合、上側ラム先端部の長さは、好ましくは、ラムシャフトの底面からから測定され、下側ラム先端部の長さはラムシャフトの最上面からから測定される。この挿入されたラム先端部の長さは、好ましくは、挿入されたラム先端部の突き出た部分の長さである。例として、好適な上側ラムは、12mmの長さを有する第1上側ラム先端部と、14mmの長さを有する第2上側ラム先端部とを含むことができ、好適な下側ラムは、15mmの長さを有する第1下側ラム先端部と、13mmの長さを有する第2下側ラム先端部とを含むことができる。この例では、第1上側ラム先端部と第2上側ラム先端部との間の長さ差はLD1=2mmである。同様に、第1下側ラム先端部と第2下側ラム先端部との間の長さ差はLD2=2mmである。本発明によれば、具体的にラム中のこれら上側および下側ラム先端部の長さ差は固定的である。本発明によれば、上側ラムが、第2上側ラム先端部よりも、長さ差(LD1)分短い長さの第1上側ラム先端部を含むことが好ましい。2つの上側ラム先端部のこの長さ差は、プレスの動きの過程で、第2上側ラム先端部が最初に第2型キャビティの中に挿入されるという効果をもたらす。この長さ差(LD1)によって、第2上側ラム先端部が第2型キャビティの中に既に挿入された後でだけ、第1上側ラム先端部は、型台の上面と同一平面の位置になりになり、第1型キャビティの中に挿入される。これに相応じて、下側ラム先端部の本発明による長さ差LD2は、下側ラム先端部の第1および第2型キャビティへの段違い挿入をもたらす。
【0018】
本発明によれば、各々が、型キャビティの平面に対し異なる長さの少なくとも2つのラム先端部を有する、上側および下側ラムを含むラムは、また好ましくは高さ段違いまたは段違いラムとも呼ばれる。高さ段違いラムを有するロータリプレスは、従来技術からの新展開を意味する。タブレットまたは他のペレットを量産するための、2つ以上のラム先端部いわゆる多重ラムを備えるロータリプレスの活用は知られているが、既知の従来技術のラムはどれも同じ長さの先端部を含む。従来技術の多重ラムは、例えば、押型(press)上に同一形状を有するタブレットまたはペレットを製造するために使われる。当業者は、異なった長さのラム先端部を有する上側または下側ラムの使用は、タブレットまたはペレットの特性のばらつきをもたらすと考えたかもしれない。例えば、複数ラムプレスツールのラム先端部の相異なる長さは、タブレット重量、縁高さ、またはタブレットの硬度を変化させる可能性があろう。したがって、本発明によるロータリプレスの高さ段違いラムは、従来技術からの新展開を意味する。本発明によって、この高さ段違いは、ロータリプレスに対し多くの予想以上の利点をもたらすことが認識された。
【0019】
例えば、上側および下側ラムそれぞれのラム先端部の高さ段違いによって1周回の過程において単一のロータリプレス上で次々と別個のプレス作業を遂行することができる。例えば、ロータリプレスの周回の第1半周において、第1型キャビティ中での第1上側および下側ラム先端部の相互作用を介して、第1種類のタブレットを製造することを選ぶことができる。この第1プレス作業の間は、好ましくは第2型キャビティ中にはプレス対象の材料はない。周回の第2半周において、本発明による段違いラム設計によって、第2型キャビティ中で第2種類のタブレットを押圧することが可能である。高さ段違いラムによって、これら2つのプレス作業は、相互に別個のものとすることができる。例えば、プレス対象の第1材料は、第1下側ラム先端部によって上方に取出すことが可能で、この間、第2下側ラム先端部は、型台の面の下の位置にあって、プレス対象の第1材料の排出の邪魔をすることはない。
【0020】
或る好適な実施形態において、長さ差LD1と長さ差LD2とはほぼ等しい。本発明による、表現「ほぼ(nearly)」および「約(about)」は、好ましくは、許容範囲±15%好ましくは±10%を示すと理解する。この好適な実施形態において、第1上側ラム先端部の底面と第1下側ラム先端部の上面との間の距離が、第2下側ラム先端部の上面から第2上側ラム先端部の底面までの距離とほぼ等しいように、ラムの相互的な高さ段違いがされる。これは、例えば、同じ縁高さを有する第1および第2プレス品を製造する際に利点がある。好適な高さ段違いラムは、例えば、以下の長さ差を有してよい。LD1=1mm且つLD2=1mm、LD1=1.4mm且つLD2=1.5mm、LD1=2.5mm且つLD2=2.5mm、LD1=2mm且つLD2=1.9mm、LD1=3mm且つLD2=3mm、LD1=4mm且つLD2=4mm、LD1=6mm且つLD2=6.3mm、LD1=2.5mm且つLD2=2.5mm、LD1=8mm且つLD2=8.2mm、LD1=10mm且つLD2=10mm、またはさらにLD1=15mm且つLD2=14.8mm。
【0021】
相異なる高さまたは硬度のタブレットを製造するために、長さ差LD1と長さ差LD2とが不等であることをさらに選ぶことが可能である。相異なって押圧される製品、または相重ねて押圧されるプレス品を製造するためのこのフレキシビリティは、本発明によるロータリプレスの独特の利点である。したがって、好適な高さ段違いラムは、例えば、以下の長さ差を有してもよい。LD1=1mm且つLD2=1.5mm、LD1=1.4mm且つLD2=1.9mm、LD1=2mm且つLD2=2.5mm、LD1=2mm且つLD2=4mm、LD1=3mm且つLD2=5mm、LD1=4mm且つLD2=5mm、LD1=6mm且つLD2=7mm、LD1=6mm且つLD2=8mm、LD1=7mm且つLD2=5mm、LD1=6mm且つLD2=7mm、LD1=6mm且つLD2=8mm、LD1=7mm且つLD2=5mm、LD1=6mm且つLD2=4.5mm、LD1=8mm且つLD2=5mm、またはさらにはLD1=3.5mm且つLD2=2mm、LD1=1.5mm且つLD2=0.8mm、LD1=2.2mm且つLD2=1.5mm、またはさらにLD1=0.9mm且つLD2=0.6mm。
【0022】
さらに、高さ段違いラムは、単一の周回過程で、第1プレス品をさらに第2プレス作業において加工することを可能にする。例えば、第1下側ラム先端部は、第1プレス作業において、その上端を型台の面と同一平面にして作動することができる。高さ段違いによって、第2下側ラムは、好ましくは、第2型キャビティ内のすなわち型台の面の下方の当該位置にある。しかして、第1プレス品は、例えば、滑動具、回転ゲート、または別の運搬デバイスを使って、第2型キャビティの中に搬送することができる。その後、他の材料を加えることによって、第1プレス品を包含する第2プレス品を製造することが可能である。ラムの高さ段違いは、ロータリプレスの単一の周回の過程で、特に信頼性のある順次的生産、およびプレス済み製品の随意的なさらなる加工を有利に可能にする。このように、1周回の過程において、第1型キャビティと第2型キャビティとにおいて、多層プレス品を製造することができる。
【0023】
さらに、各々のラムが少なくとも3つまたは4つのラム先端部を含み、型台が、これに沿って配列された少なくとも3つまたは少なくとも4つの型キャビティを含むことを選ぶことも可能である。これらのラム先端部は、互いの間で段違いの長さ差を有することができる。また、上側ラム先端部の数が偶数の場合、上側ラム先端部の第1半分が、上側ラム先端部の第2半分の長さよりも、長さ差LD1分短い長さを有することを選ぶことも可能である。相応じて、下側ラム先端部の第1半分が、下側ラム先端部の第2半分の長さよりも、長さ差LD2分長い長さを有することを選べよう。有利には、第1および第2プレス作業の過程で、多重第1および第2プレス品を製造することができる。高さ段違いラムに対するラム先端部の数の増加は、製造されるプレス品の数と複雑さとの両方の増大を可能にする。
【0024】
本発明によれば、型キャビティとは、好ましくは、上側および下側ラムの相互作用によってペレットに押圧するためプレス対象の材料が挿入される、型台中の凹部または開口部を指す。型キャビティは、しかして型台を貫通するせん孔であって、これは横側境界によって圧縮空間を画定する。型キャビティの横側境界または側壁は、好ましくは型台または型インサートによって形成される。型キャビティの断面は、ペレットの所望の形状に基づいて変えることができる。例えば、型キャビティは、好ましくは、円形、矩形、三角形、星形、楕円形、卵形であってよく、または他の形状を取ってもよい。但し、成形ツールとして材料を効果的に押圧するために、上側および下側ラムのラム先端部は、対応する型キャビティと一致する断面を有することが好ましい。本発明によれば、第1および第2型キャビティとは、好ましくは、型台中の2つの別個のキャビティまたはせん孔を指し、第1上側ラム先端部と下側ラム先端部とは、第1型キャビティ中で相互作用し、他方、第2上側および下側ラム先端部は、第2型キャビティ中で相互作用する。
【0025】
本発明の或る好適な実施形態において、第1型キャビティの大きさならびに第1上側および下側ラム先端部の大きさは、第2型キャビティの大きさならびに第2上側および下側ラム先端部の大きさよりも小さい。本発明による型キャビティの大きさは、好ましくは、型キャビティの断面の特性拡大である。型キャビティが円形断面によって特徴付けられる或る好適な実施形態において、この大きさは、好ましくは該円形の直径に一致する。正方形の型キャビティの場合には、その大きさは、好ましくは正方形の長さに一致する。型キャビティに対応するラム先端部は、好ましくは、該型キャビティと一致する断面、しかしてほぼ同一の大きさを有する。ラム先端部の大きさは、これら先端部がぴったり適合して型キャビティの中に挿入が可能なように調整される。また、ラム先端部の相互作用によって製造されるペレットは、好ましくは、型キャビティの断面、しかしてその大きさをとる。異なるサイズの大きさを有する第1型キャビティの設計によって、第1プレス品と第2プレス品とは相異なる大きさの断面を有する。有利には、より小さな大きさを有する第1プレス品は、第2型キャビティの中に幾何学的に収まる。例えば、型キャビティが円形断面を有し、第1型キャビティの直径を3mm、第2型キャビティの直径を4mmとすることを選ぶことができる。また、これら型キャビティが相異なる形状の断面域を有することを選ぶことも可能である。例えば、第1型キャビティが、好ましくは、3mmの辺長を有する正方形であり、一方、第2型キャビティは、5mmの直径を有する円形の開口を有してよい。第1型キャビティと第2型キャビティとのこの相異なる大きさは、望ましくは、第1プレス品を第2型キャビティの中に搬入できる効果を持つ。これは、特に、順次的に相重ねて行われるプレス作業によって、多層タブレットまたは有核タブレットなどの複雑な製品を1周回で信頼性をもって製造することを可能にする。
【0026】
これら型キャビティは、いろいろな仕方で型台中に形成することができる。例えば、型台が全体としてロータに存在し、型キャビティが該型台中の凹部または開口部によって形成されることを選ぶことが可能である。円形のキャビティが型台中のせん孔として形成されることが好ましい。さらに、型台を区分し、型台の各セグメント中に複数の第1および第2型キャビティの対を設けることを選ぶことも可能である。第1型キャビティと第2型キャビティとの間の切替えは、これらの型セグメントを切替えることによって行われる。
【0027】
本発明の或る好適な実施形態において、型台は、型インサートのための凹部を含み、第1型キャビティおよび第2型キャビティは1つの型インサートの中に存在する。この好適な実施形態において、型キャビティはいわゆる型インサート中に設けられる。これら好適な型インサートは、少なくとも対で高さ段違いにされたラムに対する、型キャビティの特に高精度な調節を可能にする。さらに、これら型インサートは、ラムとともに特に効率的で迅速に取り外すことができる。第1および第2型キャビティに対しそれぞれ1つの型インサートを用いる代わりに、単一の型インサートを交換することにより両方の型キャビティを置き換えることができる。
【0028】
或る好適な実施形態において、本発明はロータリプレスに関し、該ロータリプレスは搬送デバイスを含み、該搬送デバイスは、第1プレス品を第2型キャビティの中に搬入する。この実施形態は、ロータリプレスの1周回の過程で、相重ねて行われるプレス作業を遂行することを有利に可能にする。第1プレス作業では、例えば第1有効成分を含有するタブレットなどの第1プレス品を製造することができる。次いで、この第1タブレットを第2型キャビティに搬送し、別の有効成分またはコーティング材料を加えることによって、多層タブレットにさらに加工することができる。好ましくは、様々な種類の搬送デバイスが使用可能である。これらには、滑動具、スクレーパ、回転ゲート、星形ホイール、把持具、バキュームヘッド、ループ、または他の機械的搬送デバイスが含まれる。本発明によれば、高さ段違いラムは、とりわけ効率的な搬送デバイスの使用を可能にし、このデバイスは、型台の表面を横切って第1プレス品を押進することができる。
【0029】
或る好適な実施形態において、搬送デバイスは、該搬送デバイスが回転ゲートまたは滑動具を含むことと、第1プレス作業の後、下側ラムは第1下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面になる位置に移動させることができ、回転ゲートを回転することによってまたは滑動具によって、第1プレス品が第2型キャビティの中に搬送されることと、を特徴とする。回転ゲートまたは滑動具の形でのこの好適な搬送デバイスは、とりわけ高速のサイクルレートで、第2型キャビティ中への第1プレス品の搬送を可能にする。第1下側ラムは、下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面になる位置に動かすことができ、一方、第2下側ラム先端部は、好ましくは第2型キャビティ内の型台の面の下方に位置付けられる。第2型キャビティは、こうして第2下側ラム先端部によってとざされ、第1プレス品の受け手としてこれを受けるように準備される。この状況で、ラムを当該位置に迅速に動かすことができ、その間に押圧された製品が回転ゲートまたは滑動具を使って第2型キャビティに移動されることは予想以上のものであった。さらに、これら好適な搬送デバイスは、迅速なサイクルレートを可能にするだけでなく、予想以上に高精度である。第1プレス品は、しかして、具体的には回転ゲートまたは滑動具を使って、第2型キャビティの中心位置に置くことができる。この状況において、これら好適な搬送デバイスが、明らかにより小さな大きさを有する第1プレス品およびほぼ同じ大きさを有する製品の両方を、ぴったり適合させて第2型キャビティの中に確実に入置できることは予想以上のものであった。
【0030】
或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、第1型キャビティならびに第1上側および下側ラム先端部が、内側ピッチのサークル上に同心円状に配置され、第2型キャビティならびに第2上側および下側ラム先端部は、外側ピッチのサークル上に同心円状に配置されることを特徴とする。「内側」ピッチのサークルは、好ましくは、「外側」ピッチのサークルと比べて、回転の軸周りに、より小さな直径を有し、好ましくは外側ピッチのサークルは内部ピッチのサークルをとり囲む。第1プレス作業の後、第1プレス品の第2型キャビティへの搬送は、第1型キャビティが第2型キャビティに対比して内側のサークルに同心円状に配置されている場合に、とりわけ高速で正確に行えることが判明した。例えば、把持アーム、滑動具、または回転ゲートを使って、第1プレス品を内側から外側に素早く、位置合わせされた運動で移動させることができる。遠心力に沿った搬送は、その反対方向に比べて予想以上の高い正確さであった。さらに、内側および外側サークル上の第1型キャビティおよび第2型キャビティの半径方位付けは、型キャビティを型台上に特に高い密度で配置することを可能にする。第1および第2型キャビティのこの好適な配置は、高速レートでの順次の連続的プレス作業の遂行を可能にするばかりでなく、ロータリプレスの増大された生産性をもたらす。
【0031】
或る好適な実施形態において、本発明は、カップの中にタブレットを押圧するのに適した、第1充填ステーションと第1プレスステーションとカップ挿入ステーションと搬送デバイスと第2プレスステーションとを含む、ロータリプレスに関し、第1供給ステーションは、好ましくは金属酸化物粉である粉体を第1型キャビティの中に添加する(dose)ように構成され、第1プレスステーションは、第1プレス作業において第1型キャビティの中のその粉体をタブレットに押圧するように構成され、カップ挿入ステーションは、カップを第2型キャビティの中に挿入するように構成され、搬送デバイスは、第2型キャビティ中に置かれたカップの中にタブレットを挿入するように構成され、第2プレスステーションは、第2プレス作業においてタブレットをカップの中に押圧するように構成される。
【0032】
この好適な実施形態は、1周回の過程で、第1型キャビティ中で第1タブレットまたはペレットを製造し、さらなる加工のためそれを第2型キャビティ中のカップに移送することを有利に可能にする。次いで、そのタブレットまたはペレットは、第2プレス作業において、カップの底に押圧される。既知の従来技術では、タブレットをカップの中に押圧するためには少なくとも2つのロータリプレスが必要である。このためには、第1ロータリプレスで製造されたタブレットを保管し、搬送し、第2ロータリプレスに供給するなど、様々な補助工程が必要となる。本ロータリプレスは、したがって、一方ではスペースおよび材料を節減することを特徴とする。他方では、これらの補助工程が排除されるので、本好適なロータリプレスは、エネルギを節減し、製造工程をより効率的にする。本ロータリプレスが金属酸化物粉をカップ中に押圧するのに適していることがとりわけ好ましく、これにより正電極を供給することが可能で、これをボタン型電池にさらに加工することができる。本好適なロータリプレスは、化学工業において電池を製造するため使用するのに適しているだけでなく、同様に、タブレットまたはペレットが容器中に押圧される他の用途に対しても前述した利点を有する。
【0033】
充填ステーションと、第1プレスステーションと、カップ挿入ステーションと、搬送デバイスと、第2プレスステーションとが、ロータリプレスの回転の方向に沿って、順次に配置されることが好ましい。第1型キャビティの中への粉末状材料の添加(dosing)を確実にするために、様々な既知の充填ステーションを用いることが可能である。このために、充填ステーションは、好ましくは、材料供給部を包含し粉末状材料を第1型キャビティの中に添加するように設計されたフィードシューを含む。ボタン型電池の正電極の製造のためには、第1および第2型キャビティが円形の断面を有し、第1型キャビティの直径は第2型キャビティの直径よりも小さいことが好ましい。他の用途に対しては、他の形状の型キャビティが好適であり得る。粉末状材料を第1型キャビティの中に充填した後、添加デバイス(dosing device)が、好ましくは、第1型キャビティ中の粉末状材料の量を調整する。このため、第1下側ラムは、第1型キャビティを充填する前に深底レベルの取入れ位置に移動し、次いで所望の高さまで上昇することができる。余剰の粉末状材料は、好ましくはスクレーパを使って除去される。残った粉体の量はこれによりうまく画定され、一定の重量のタブレットの製造を可能にする。この充填ステーションの後に第1プレスステーションが続くのが好ましい。第1プレスステーションとして加圧ローラステーションを選ぶことが可能である。加圧ローラステーションにおいて、上側および下側加圧ローラが、第1上側および下側ラム先端部の相互作用によって粉末状材料が第1型キャビティ中に押圧されるように、上側または下側ラムヘッドにそれぞれ力を加えることが好ましい。
【0034】
カップ挿入ステーションは、望ましくは、周回の方向沿いに第1プレスステーションに後続する。カップ挿入ステーションは、好ましくは、第2型キャビティの中にカップを入置する。例えばコンベアベルトなどのカップ供給デバイスが、カップ挿入ステーションにカップを供給することができる。カップ挿入ステーションは、好ましくは、カップ引取りおよび引渡しデバイスを含み、これは例えば、回転ゲートであってもよい。カップは、好ましくは挿入の前に分離され、このためには把持アームに使用が好ましい。これらは、第2型キャビティ中へのカップの正確な位置付けを可能にする。有利には、カップを挿入するための他の従来技術のデバイスを、同様に本ロータリプレスと組み合わせることが可能である。
【0035】
後続の搬送デバイスは、第1プレス作業で製造されたタブレットをカップの中へ搬送できるように設計され、該カップは第2型キャビティの中に挿入される。この搬送デバイスは、好ましくは、半径方向に延びる押出しアームを有し、その回転が型台上でタブレットを移動させることが可能な回転ゲートである。このために、第1下側ラム先端部は、該第1下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面に移動されることが好ましい。この位置において、タブレットは、型台と同じレベルの第1下側ラム先端部上に横たわる。有利には、このタブレットの搬送には、タブレットをカップの中に入置するために把持具などによる一切の持ち上げを必要としない。代わりに、単にタブレットを動かすだけでタブレットの迅速で正確な搬送が達成される。具体的に、これは搬送中のタブレットの摩損または損傷を効果的に防止する。本発明による下側ラムの高さ段違いによって、第2下側ラム先端部は、タブレットの搬送の間、第2型キャビティ中の型表面より下方に位置している。第1下側ラム先端部と第2下側ラム先端部との間の長さ差LD2がカップ高さに一致することが好ましく、これにより、この位置において、第2下側ラム先端部上に置かれたカップの上部輪縁もまた型表面より下方に位置する。しかして、タブレットは、重力によりカップの中に落下する。これは、従来技術に比べて、タブレットのカップの中への、とりわけ迅速で正確且つ穏やかな挿入を可能にする。
【0036】
正電極用のタブレットをカップの中に押圧するための、高さ段違いラムに対する好適な長さ差は、例えば、1mm〜6mmの間のLD1および1mm〜6mmの間のLD2であり、LD1がLD2にほぼ等しいことが特に好ましい。タブレットは、たとえ傷つき易くまたは壊れ易いタブレットであっても安全にカップ中に挿入できるように、それらが製造された後直ちに挿入される。従来技術では、脆弱なタブレットの第1ロータリプレスから第2ロータリプレスへの搬送は、しばしば、損傷しかして不良品数の増加をもたらす。搬送デバイスの後に第2プレスステーションが続くのが好ましく、このステーションは、第2上側および下側ラム先端部によって、タブレットをカップの中に押圧する。有利には、タブレットの圧入は、段違いラムの長さ差LD1およびLD2を調整することによって最適化することができる。第2プレス作業の過程では、第2下側ラム先端部がほとんど動かず、その間に第2上側ラム先端部が上からタブレットをカップの底に押圧するのが好ましい。プレスツールが、第2プレスステーションまで進行すると、下側ラム先端部がカップを固定位置に保持するのでこれが実際上受け手として機能する。プレス圧力は、主として上側ラム先端部を介してタブレットに加えられる。この力の効果がカップの底に対しタブレットを平たく押圧する。しかしてタブレットをより平たくするが、タブレットの直径は増大し、カップの内壁面と強固に相接する。好ましくは、中心的に挿入されたタブレットは、カップの底に対称性をもって押圧され、とりわけカップの輪縁部に均一に張り付く。これは、タブレットがカップの中にしっかりと確実に押圧され、損傷のリスクなくさらなる加工ステップに付すことが可能なことを意味する。カップ底の中に押圧されたこのタブレットは、多層の第2プレス品であり、第1プレス品(タブレット)に重ねて形成される。本ロータリプレスが、最終押圧されたカップを取出す取出しステーションも併せ含むことが好ましい。或るとりわけ好適な実施形態において、タブレットは金属酸化物タブレットであり、カップは金属カップである。圧入された金属酸化物タブレットを包含するカップは、好ましくは、ボタン型電池を製造するための正電極に相当する。単一のロータリプレス上のこれら製造ステップのシーケンスは、とりわけ一定で高品質のボタン型電池の製造を予想以上に可能にする。これは、従来技術における、別個のロータリプレス上でのタブレットの分離された製造、ならびにそれらの保管および輸送に起因して発生し得るばらつきをとりわけ防止する。
【0037】
或る好適な実施形態において、第1プレスステーションは、第1プレス作業の過程でプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは取出しステーションを含み、このステーションは、プレス工程過程におけるプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱するタブレットを取出すように構成される。この好適な実施形態において、タブレットの追加的品質管理を有利に設けることが可能である。加圧ローラステーションなどのプレスステーションが例えば計測セルなどの計測デバイスを含み、これによりプレス作業過程でプレス圧力を測定していることが知られている。例えば、プレスステーションの内部に測定アームを備えた計測セルを配置することが可能で、前記アームの屈曲度が、プレスに加えられた力に関する判断を可能にする。加えるプレス圧力の正常範囲は、材料の特性および所望の縁高さまたは硬度に基づいて規定される。この正常範囲は、好ましくは許容差を含み、これはタブレットの特性の許容可能なばらつき幅を反映する。第1プレス作業の過程で、この正常範囲から逸脱するプレス圧力が加えられた場合、不良が発生したことになる。これは、例えば、第1型キャビティの中に十分な材料が添加されなかったからかもしれない。また、プレス対象の第1材料が汚染されていることもあろう。プレス圧力が正常範囲から逸脱している場合、不具合タブレットを取出しステーションによって除去することが好ましい。或る好適な実施形態において、不具合タブレットは、取出しステーションにおいて、第1下側ラム先端部によって持ち上げ、取出しバーに乗せて排出することができる。下側ラムの高さ段違いは、好ましくは、この処理の間第2下側ラム先端部が型台の面より下方に位置しているので、とりわけ正確な取出しを可能にすることが判明した。
【0038】
本発明の別の有利な実施形態において、第2プレスステーションは、第2プレス作業過程でのプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは選別ステーションを含み、このステーションは、第2プレス作業過程で圧入されたタブレットを含有するカップを、そのプレス圧力に基づいて、適切な圧入されたタブレットを含有するカップに対する搬送路、または、プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する場合は不適切な圧入されたタブレットを含有するカップに対する搬送路、のどちらかに向かわせるように構成される。この好適な実施形態は、カップの中へのタブレットの正しい押圧を監視し、要件を満たさない押圧されたタブレットを含有するカップを選り分けることを可能にする。この実施形態は、正電極を監視するためにはとりわけ好ましい。第2プレス作業におけるプレス圧力に対応する、正常範囲を規定することが好ましく、この規定は、カップの中へのタブレットのとりわけ均一な押圧をもたらし、しかして、好ましくは適切な正電極をもたらす。プレス圧力を測定するための計測デバイスを使ってこの正常範囲からの逸脱が検出された場合、それは不具合タブレット、またはカップの中に不正確に挿入されたタブレットを示す。例えば、不具合破損タブレットがカップの中に押圧された場合、例えばタブレットの半分のより小さな表面積に起因して、必要なプレス圧力はより小さくなる。このように、このプレス圧力管理によって、不具合な正電極は、その正電極が以降の製造工程中に入り込まないように、検出して確実に選り分けることができる。選別ステーションが、不具合正電極を、不適切な正電極に対する搬送路に向かわせることが好ましい。このために、選別ステーションが二分式取出しバーを含むことを選ぶことができ、適切な正電極は取出しバーの一方のセクションに運ばれ、不適切な正電極は取出しバーの他方のセクションに運ばれる。正電極の取出しの過程で、上側ラム先端部が、カップの底部が型台の上面に到達するまで圧入された金属酸化物タブレット上に留まっていることが好ましい。好ましくは、自動抑え込みデバイスが、上側ラム先端部がカップ内壁にはまり込んでカップを型平面のレベルの上方に持ち上げるのを防止する。同様に、良品正電極は、掻寄デバイスによって排出シュートに供給して収集容器中に導くことができ、不良正電極は、空気作用の個別選別システムによって廃棄品容器に分離することができる。
【0039】
本ロータリプレスのとりわけ好適な実施形態において、両方のプレスステーションは、不具合タブレットおよび不具合正電極の両方を選り分けることができるように、プレス圧力に対する計測デバイスを含む。この組み合わせられた安全チェックは、押圧された正電極のとりわけ高い品質を確実にする。この二重の品質保証によって、本好適なロータリプレスは、たとえ大幅に増大された生産速度においても、正電極の一貫した高品質さを特徴とする。
【0040】
本発明は、本発明によるロータリプレスを用いてボタン型電池用の正電極を製造するための方法にさらに関し、前記方法は、
a)充填ステーションによって、粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を、第1型キャビティの中に添加する(dose)ステップと、
b)粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を、第1プレスステーションによって、タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱するタブレットを選択的に取出すステップと、
d)カップ挿入ステーションによって、第2型キャビティの中にカップを挿入するステップと、
e)好ましくは回転ゲートを含む搬送デバイスによって、第2型キャビティ中に置かれたカップにタブレットを挿入するステップと、
f)第2プレスステーション、および第2上側ラム先端部と第2下側ラム先端部との相互作用によって、タブレットをカップの底に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
g)正電極を取出すステップであって、これら正電極は選択的に、選別ステーションによって、ステップf)で測定されたプレス圧力に基づいて、適切な正電極に対する搬送路または不適切な正電極に対する搬送路に向かわされる、該取出すステップと、
を含む。
【0041】
この好適な方法は、単一のロータリプレスによる、特にコスト節減的仕方での正電極の大量生産を可能にする。本方法は、好ましくは、カップ中にタブレットを押圧するのに適した、本発明によるロータリプレスの上記の好適な実施形態を用いる。該ロータリプレスの好適な実施形態の技術的特徴について前述した利点もまた、上記の方法に有利に適用される。例えば、タブレットを押圧するための好適なロータリプレスに対して、搬送デバイスとしての回転ゲートが、カップの中へのタブレットのとりわけ高速で正確な搬送を可能にすることが開示される。当業者は、回転ゲートが前述の方法で使用するためにもまた好適な搬送デバイスでもあること、およびカップの中へのタブレットの搬送に関して前述した利点もまた本方法に適用されることを推断しよう。
【0042】
別の好適な実施形態において、本発明は、ロータリプレスの1周回の過程で少なくとも3つのプレス作業を遂行するためのロータリプレスに関し、該ロータリプレスが有核タブレットの製造に適すること、および、該ロータリプレスは、第1充填ステーションと、第1プレスステーションと、第2充填ステーションと、第2プレスステーションと、搬送デバイスと、第3充填ステーションと、第3プレスステーションとを含み、第1充填ステーションは、第1粉体を第1型キャビティの中に添加するように構成され、第1プレスステーションは、第1プレス作業において、第1型キャビティ中で第1粉体を核タブレットに押圧するように構成され、第2充填ステーションは、第2粉体を第2型キャビティの中に添加するように構成され、第2プレスステーションは、第2プレス作業において、第2型キャビティに対し第2粉体を押し固める(tamp)ように構成され、搬送デバイスは、核タブレットを、第2型キャビティの中の既に圧入された第2粉体の上に挿入するように構成され、第3充填ステーションは、第2粉体を第2型キャビティの中に添加するように構成され、これにより核タブレットは第2粉体によって覆われ、第3プレスステーションは、第2型キャビティ中の第2粉体で覆われた核タブレットを有核タブレットに押圧するように構成されることを特徴とする。
【0043】
本好適なロータリプレスは、少なくとも3つの逐次的プレス作業を遂行するために、より有利に適しており、相重ねて行われるプレス作業において、プレス対象の材料/プレス済み製品をさらに処理することができる。第1充填ステーションと、第1プレスステーションと、第2充填ステーションと、第2プレスステーションと、搬送デバイスと、第3充填ステーションと、第3プレスステーションとが、ロータリプレスの周回の方向に沿って配置されていることが、とりわけ好ましい。第1充填ステーションによって、第1型キャビティの中に粉末状材料を添加することが好ましくは可能である。好ましくは、従来技術で既知のフィードシューを用いることができる。次いで、プレス対象の第1材料は、第1プレスステーションによって、第1型キャビティ中で押圧される。有核タブレットを製造するためには、型キャビティが円形の断面を有し、第1型キャビティの直径が第2型キャビティの直径よりも小さいことが特に好ましい。第1プレス作業において粉体を押圧することによって、プレス対象の第1材料は、好ましくは有核タブレットの核を形成する。本発明によれば、用語、核と核タブレットとは、好ましくは同義的に使用される。核の医薬組成物はコーティングの組成物とは異なる。例えば、核は、第1有効成分を含むことができ、これは、経口摂取の後でコーティングが消化された後、時間遅延を置いて生体によって吸収される。したがって、第2粉体は、好ましくは有核タブレットのコーティングを形成する粉末状材料である。第2粉体は、第2充填ステーションを使って、第2型キャビティの中に添加することができ、その間これらキャビティは第2下側ラム先端部によって下方を閉じられる。第2粉体は、好ましくは、第2プレスステーションを使い、第2上側および下側ラム先端部の相互作用によって第2下側ラム先端部に対して押し固められる。これは、核タブレットの安定した受容を可能にする。この押圧ステップは、本発明では押し固め(tamping)と呼ばれる。搬送デバイスは、第1プレス作業において製造された核を、容易に且つ迅速に第2型キャビティの中に搬送するために有利に使用することができる。下側ラムの高さ段違い設計は、この工程において前述の諸利点を発揮する。核は、好ましくは、第1下側ラム先端部が型台面と同一平面レベルにある間に搬送される。この配置において、第2下側ラム先端部は、第2型キャビティ中の型表面より下方にある。長さ差LD2は、製造対象の有核タブレットの縁高さの少なくとも半分、好ましくは少なくとも当該縁高さであることが好ましい。この時点で、核は、搬送デバイス、好ましくは回転ゲートまたは滑動具によって、とりわけ低い摩損で、型台上を第2型キャビティの中に移動することができる。タブレットを昇降または把持したり、または破砕を被り易い他の搬送運動を行ったりする必要はない。代わりに、核タブレットは、コーティング紛体上の中心に落下し、この粉体は、第2型キャビティ中の第2下側ラム先端部に対し押し固められている。有利には、これは、製造対象の有核タブレット内の核タブレットの正確な位置付けを可能にする。
【0044】
当業者は、段違いラムの長さ差LD1およびLD2が、好ましくは所望の有核タブレットの製造に対して調整されることが分かるであろう。しかして、これら長さ差は、核および有核タブレットの寸法だけでなく、プレス対象の材料の特性によっても左右される。多層または有核タブレットでは、プレス対象の材料の圧縮比は重要な役割を果たす。バルク粉体のペレットへの圧縮比は、好ましくは、1.5対1から7対1までの間とすることができる。有核タブレットを製造するための段違いラムの好ましい長さ差は、例えば、LD1は0.5mm〜4mmの間、LD2は0.5mm〜4mmの間である。第3充填ステーションは、好ましくは、上の方からコーティング粉体で核を覆うことを可能にする。第3プレスステーションは、好ましくは、第3充填ステーションのすぐ後に続き、第2上側および下側ラム先端部の相互作用によってプレス対象の第3多層材料を押圧するように構成される。第3プレス品は、好ましくは、第1粉体で構成される内部核と、第2粉体で構成され、有核タブレットを形成する外部コーティングとから成る。
【0045】
本発明による段違いされた上側および下側ラムを含むロータリプレスを用いて、1周回の過程で有核タブレットが製造できることは予想以上のものであった。従来技術では、核タブレットを押圧し、その後それらをコートするために、別々のロータリプレスが使われていたが、今や、これを単一のロータリプレスで遂行することができる。これは、エネルギおよびプレスのオペレーションのための仕入れ原価を節減する。さらに、この製造では、必要なスペースが従来技術のソリューションよりも小さい。1つのロータリプレス上への様々なプレス作業の組み合わせが、品質の低下をもたらさず、むしろ有核タブレットの品質を向上させることはとりわけ予想以上のものであった。1つのプレス上の連続的なステップにおける異なった粉体の使用にもかかわらず、有核タブレットの個々の成分の高純度を保証することができる。これは、高さ段違いラムが搬送デバイスと相まって、各製造ステップおよびプレス作業の正確な遂行と分離とを可能にすることによる。
【0046】
本発明の或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、プレスステーションが上側および下側加圧ローラを含み、それらがラム上に作用することを特徴とする。これらのプレスステーションは、加圧ローラステーションとして設計されることが好ましい。かかる加圧ローラステーションは、好ましくは、上側加圧ローラに対する上側受けデバイスおよび下側加圧ローラに対する下側受けデバイスを含む。上側および下側ラム上への力の印加は、加圧ローラによってとりわけ高精度で制御することができることが判明した。これは、高スループットでの均一なプレスを可能にする。
【0047】
本発明の或る好適な実施形態において、第1プレスステーションは、第1プレス作業過程におけるプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは取出しステーションを含み、このステーションは、プレス工程過程におけるプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する核タブレットを取出すように構成される。この好適な実施形態では、押圧された核タブレットの品質は、第1プレスステーションにおいて、力測定によってチェックされる。このプレスステーションは、好ましくは、上側および下側加圧ローラを含む加圧ローラステーションとすることができ、第1プレス作業の過程で加えられたプレス圧力は、計測デバイスを使って測定することが可能である。第1プレス作業の過程で加えられたプレス圧力が規定正常範囲から逸脱している場合、不良品が発生した確率が極めて高い。例えば、核タブレットが軽すぎたり重すぎたりしていないかどうか、または該タブレットが、縁高さもしくはタブレット硬度に関して規定の製品特性を逸脱しているかどうかを判定することができる。核タブレットは、取出しステーションによって、迅速且つ高精度で選り分けることが可能である。既知の従来技術では、核タブレットの搬送および保管ステップは、コーティングのためにそれらを第2ロータリプレス中に供給するための品質管理の後で行われる。従来技術における搬送過程での損傷は、コストの高い追加のチェックによってだけ検出することが可能である。このプレス作業は、核タブレットがコーティング中に挿入されるのと同じロータリプレス上で実行されるので、有核タブレットの高品質を確実にすることができる。
【0048】
本発明の或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、第3プレスステーションが第3プレス作業過程におけるプレス圧力を測定するための計測デバイスを備え、ロータリプレスが選別ステーションを含み、該選別ステーションは、第3プレス作業の過程で、第3プレス作業過程におけるプレス圧力に基づいて、有核タブレットを、適切な有核タブレットに対する搬送路または不適切な有核タブレットに対する搬送路に導くように構成される、ことを特徴とする。この実施形態では、好ましくは完成品の品質を監視することが可能である。第3プレス作業において測定されたプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱している場合、当該有核タブレットは、選別ステーションによって選り分けられる。選別ステーションは、好ましくは、正常な有核タブレットと不具合な有核タブレットとに対する分離された搬送路を備えた二分式取出しバーを含むことができる。適切な有核タブレットと不適切な有核タブレットとに対する、効率的で高速な選別メカニズムが、単一のロータリプレスに実装可能なことは予想以上のものであった。単一のロータリプレス上での、有核タブレットの品質管理は、核タブレットの品質の監視と併せ、系統的検出エラーを低減するのでシナジーアドバンテージを有する。
【0049】
或る好適な実施形態において、本発明は、本発明またはその好適な実施形態によるロータリプレスを用いて有核タブレットを製造するための方法に関し、本方法は、
a)第1充填ステーションによって、有核タブレットの核のための第1粉体を第1型キャビティの中に添加する(dose)ステップと、
b)第1プレスステーションによって、該第1粉体を核タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱する核タブレットを選択的に取出すステップと、
d)第2充填ステーションによって、有核タブレットのコーティングのための第2粉体を第2型キャビティの中に添加するステップと、
e)第2プレスステーションによって、第2粉体を押し固めるステップと、
f)好ましくは回転ゲートを含む搬送デバイスによって、第2型キャビティ中に配置された、押し固められた第2粉体の中に核タブレットを挿入するステップと、
g)第3充填ステーションによって、核タブレットが第2粉体で覆われるように第2粉体を第2型キャビティの中に添加するステップと、
h)第3プレスステーションによって、第2粉体でコートされた核タブレットを有核タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
i)有核タブレットを取出すステップであって、これら有核タブレットは、ステップh)で測定されたプレス圧力に基づいて、適切な有核タブレットに対する搬送路、または不適切な有核タブレットに対する搬送路に選択的に向かわされる、該取出すステップと、
を含む。
【0050】
本方法は、少なくとも3つのプレス作業を逐次的に遂行することが可能で、プレス対象の諸材料は1周回の過程でさらに加工される。これは、従来技術と比べて特殊なさらなる進展である。本方法が、1つのロータリプレス上の1周回の過程で有核タブレットを量産するために使用できることはとりわけ予想以上のものであった。別々のロータリプレス、およびそれらの間でのプレス済み製品の搬送は、有利に必要とされない。本方法は、好ましくは、本発明による、少なくとも3つのプレス作業を実行するのに適したロータリプレスの好適な当該実施形態を用いる。該ロータリプレスの好適な実施形態の技術的特徴について前述した利点は、上記の方法にもまた有利に適用される。例えば、有核タブレットを押圧するための好適なロータリプレスに対して、前述の核が、好ましくは、内側ピッチのサークルに在る第1型キャビティ中で押圧されることが開示される。第1型キャビティの大きさは、好ましくは第2型キャビティの大きさよりも小さく、第2型キャビティは外側ピッチのサークル上に同心円状に配置される。ロータリプレスの好適な実施形態において、これは、後続するコーティングのための、とりわけ穏やかで且つ迅速な核の搬送をもたらす。当業者は、例えば、上記の型キャビティの寸法および型式は、前述の方法においてもまた好ましいこと、および核タブレットの搬送に関して前述した利点もまた本方法に適用されることが理解できよう。
【0051】
本発明を、以降の例を参照して詳細に説明することになるが、本発明はこれらの例には限定はされない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】正電極の好適な実施形態の概略図である。
図2】高さ段違いラムを例示するための、ロータリプレスの好適な実施形態のロータの断面の概略図である。
図3】高さ段違い下側ラムによって押圧されたタブレットの取出しを例示するための、ロータリプレスの好適な実施形態の側面図の概略図である。
図4】ボタン型電池の正電極を製造するためのロータリプレスの好適な実施形態の概略図である。
図5】ボタン型電池の正電極を製造するための逐次ステップを例示するための、図4のロータリプレスの好適な実施形態の概略上面図である。
図6】第1型キャビティから第2型キャビティにタブレットを搬送するための回転ゲートとして設計された搬送デバイスの好適な実施形態の概略図である。
図7】押圧された正電極を選別し取出すための選別ステーションの好適な実施形態の概略図である。
図8】有核タブレットを製造するためのロータリプレスの好適な実施形態の概略図である。
図9】本ロータリプレスの好適な実施形態に対する様々な応用の概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、正電極(cathode)の製造のために行われるような、タブレット1をカップ2の中へ押圧するステップの概略図を示す。バルク金属酸化物タブレット1.1は、好ましくはカップ2より小さな直径を有し、カップ2の中に挿入される。上側および下側ラム(図示せず)の相互作用によって、この金属酸化物タブレットの縁高さは低減され、他方その直径は増大する。この工程において、タブレット1は、カップの底に平たく押圧される。平たく圧入された金属酸化物タブレット1.2は、しかしてカップの内壁に強固に相接する。プレス作業の過程で空気は漏出させることができ、平たく圧入された金属酸化物タブレット1.2はカップ2中に強固に且つ確実に残存する。
【0054】
図2は、高さ段違いラム10および11の好適な実施形態の概略図を示す。上側ラム10は、上側ラムガイド17中に配置され、第1上側ラム先端部12および第2上側ラム先端部13を含む。第1上側ラム先端部12の長さは、第2上側ラム先端部13の長さよりも長さ差LD1分短い。第1上側ラム先端部12が、第2上側ラム先端部13よりも小さな直径を有することがさらに好ましい。他方、下側ラム11は、下側ラムガイド19によって導かれ、第1下側ラム先端部14(引き込まれていない)および第2下側ラム先端部15(引き込まれていない)を含む。第1下側ラム先端部14の長さは、第2下側ラム先端部15の長さよりも長さ差LD2分長い。示された実施形態では、長さ差LD1とLD2とは同じである。さらに、第1上側および下側ラム先端部、12および14は、同じ形状と同じ直径とを有する。このことは、第2上側および下側ラム先端部、13および15についても同様である。上側および下側ラム、10と11とは、第1型キャビティ32と第2型キャビティ33とに整列される。円形の型キャビティ32および33のサイズと形状とは、それぞれ、上側および下側ラム先端部、12および14、または13および15の整列された対のサイズと形状とにそれぞれ一致する。示された実施形態では、これら型キャビティは、型インサート16中への開口によって形成され、これらインサートは型台18の凹部の中に配置される。
【0055】
図3は、ロータリプレスの好適な実施形態の側面図を示し、該ロータリプレスは、図2による高さ段違いラムを含む。図2に示されるように、第1上側および下側ラム先端部、12および14は、内側ピッチのサークル上に配置され、一方、第2上側および下側ラム先端部、13および15は、外側ピッチのサークル上を導かれる。中央の4つの型インサート16の中に下側ラム先端部14および15を見ることができる。外側の、第2下側ラム先端部15は、型台の上部エッジと同一平面にある。内側の、第1下側ラム先端部14は、長さ差LD2のため、型の上部エッジを超えて突き出ている。下側ラムの高さ段違いによって、第2下側ラム先端部15は、第1下側ラム先端部14によってタブレット1を取出す障害とはならない。
【0056】
図4および図5は、タブレットをカップ中への押圧するための、好適なロータリプレスの概略斜視図と上面図とを示す。これらのタブレットは、好ましくは、ボタン型電池用の正電極を製造するための金属酸化物タブレットである。このロータリプレスの構成部分は、搭載プレート27上に搭載される。より良い全体把握のために、該ロータリプレスのマシンのハウジング、マシン基台、および駆動システムは示されていない。ロータリプレスのロータ28は、上側および下側ラムガイド、17および19と、型台18と、上側および下側ラム、10および11とを含む。ロータ28の周回の方向が矢印で示されている。ロータの回転すなわちロータリプレスの周回の過程で、ラムは、様々な機能アセンブリまたはステーションを通して、型台18中の型インサート16と一緒に回転し、これが正電極の製造工程となる。このロータリプレスのアセンブリまたはステーションを、ロータ28の回転の方向に沿ったそれらの作業の順序に従って説明する。第1充填ステーション29によって、第1粉体、好ましくは金属酸化物の粉体が、型インサートの第1型キャビティの中に充填される。図5中に見ることができるように、このための充填ステーション29は、好ましくは、第1型キャビティの中に金属酸化物の粉体を充填し添加するための、材料供給システムを備えたフィードシューと、羽根車と、掻寄デバイスとを含む。第1型キャビティ32を充填した後、型インサート16は、第1プレスステーション20の下へと回転する。好適な実施形態において、これは、上側加圧ローラ30および下側加圧ローラ(見えない)を有する加圧ローラステーションである。この回転の過程で、上側ラムシャフト44は上側加圧ローラ30の下を通過する。このような仕方で、上側ラム10は下向きのプレス圧力を受ける。同様に、下側ラム11は上向きのプレス圧力を受け、これにより、第1上側ラムと下側ラムとが、第1型キャビティ32中の粉体をタブレット1に押圧する。第1プレスステーション20で、このプレス圧力が計測セルによって測定されることが好ましい。測定されたプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱しているならば、当該不具合タブレットは取出しステーション23において取出される。取出しステーション23は、好ましくは、排出シュートを含み、取出しは、第1下側ラム先端部14を上昇させることにより行われる。タブレット1を製造し、電気的に制御される取出しステーション23による品質チェックの後、カップ2が当該第2型キャビティ33の中に挿入される。このために、カップ2が、振動フィーダの搬送バー中の供給デバイス21、およびカップ挿入ステーション22のコンベアベルトによって供給される。カップ挿入ステーション22は、好ましくは、把持アームを備えた回転ゲートを含み、該ゲートがカップ2を接収し、それらを回転運動で第2型キャビティ33に搬送する。カップ挿入ステーション22は、最初に、その後の正確な挿入のためカップ2を分離する。これは、カップ2挿入の高いサイクルレートを可能にする。カップを挿入した後、搬送デバイス24によって、タブレット1がカップ2の中に運ばれる。図6は、好適な搬送デバイス24の動作を示す。第2型キャビティ33中に位置するカップ2の中にタブレット1を挿入した後、タブレット1は第2プレスステーション25によって圧入される。第2プレスステーションも加圧ローラ円柱であり、プレスステーション20におけるのと同様に、上側加圧ローラ31および下側加圧ローラ(図示せず)がラムと相互作用することが好ましい。これら加圧ローラは、下側ラム11がそれらの位置にほぼ一定に留まるように調整されることが好ましい。第2プレス作業の過程において、第2下側ラム先端部15はしたがって受け手としての役割をし、第2上側ラム先端部13は、タブレット1をカップの底の上に均一且つ均質に押圧することが可能である。これは、エアポケットを効果的に防止する。金属酸化物タブレットの場合、仕上がった圧入済みタブレット1を含有するカップ2は正電極と呼ばれ、これはボタン型電池にさらに加工することができる。この第2プレス作業の過程でプレス圧力が測定されることが好ましい。選別ステーション26において、このプレス圧力と規定の正常範囲とを比較することによって、適切な正電極と不適切な正電極とは相異なる容器に向かわされる。図7は、選別ステーション26の動作の概略図を示したものである。
【0057】
図6は、タブレット1をカップ2の中に運ぶための好適な搬送デバイス24の概略図を示す。第1下側ラム先端部14は、第1下側ラム先端部14(引き込まれていない)の上端が型台18の面と同じ高さになる位置に移動される。これにより、タブレット1は型台18の面と同じレベルになる。第2下側ラム先端部15(引き込まれていない)が、第1下側ラム先端部14の長さよりも、長さ差LD2分短い長さを有することが好ましく、LD2は、LD2がカップの高さ以上になるように選択される。この位置において、第2型キャビティ33中の第2下側ラム先端部15上に置かれたカップ2は、しかして型台18の面の下方に位置する。したがって、搬送デバイスの中を通過するとき、タブレット1は、好適な回転ゲート36の単純な回転運動によってカップの中に移動させることができる。このために、回転ゲート36は2つの半径方向に延びるアームを含み、これらの形状および間隔はタブレットのサイズに合わせ調整される。回転ゲート36の回転数は、タブレット1が正確にタイミングを合わせてカップ2の中に挿入されるように、型台18の回転速度に合わせ調節される。
【0058】
図7は、好適な選別ステーション26の概略図を示す。好ましくは正電極である、圧入されたタブレット1を包含するカップ2は、好ましくは、第2下側ラム先端部15を上昇させることによって取出される。第1下側ラム先端部14は、内側ピッチのサークルに配置されているので、これらは、取出しの方向に正電極の背後に位置する。高さ段違いラムであるため、第1下側ラム先端部14は、型台18の面から、少なくとも長さ差LD2分突き出ており、しかして正電極の取出しを妨害することはない。この取出し動作は、タブレットが圧入されたときに測定されたプレス圧力の如何により決まる。プレス圧力が規定の正常範囲内の場合は、当該正電極は適切である。プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱している場合は、その正電極は不具合と評価される。不具合、不適切な正電極は、選別ステーションに入ったとき、不良品容器(図示せず)の中に向けて第1搬送路26b上に取出される。適切な正電極は、やや遅れて排出シュートの第2搬送路26aの中に取出され、適切な正電極用の容器の中に収置される。
【0059】
図8は、有核タブレットを製造するための好適なロータリプレスの概略図を示す。このロータリプレスのロータ28は、上側および下側ラムガイド、17および19と、型台18と、高さ段違い上側および下側ラム、10および11と(全て引き込まれていない)を含む。ロータ28の回転の方向が矢印で示されている。ロータの回転すなわちロータリプレスの周回の過程で、ラム10および11は、様々な機能アセンブリを通って型台18中の型インサート16と一緒に回転し、これが有核タブレットの製造工程を可能にする。このロータリプレスの諸アセンブリを、ロータ28の回転の方向に沿った製造工程のフローに従って説明する。各々が第1型キャビティ32および第2型キャビティ33を含む型インサート16は、型台18の凹部の中に存在する。これら型キャビティは、好ましくは円形の形状であって、第1型キャビティ32は、第2型キャビティ33よりも小さな直径を有する。さらに、第1型キャビティ32は、内側ピッチのサークルに存在し、一方、第2型キャビティ33は外側ピッチのサークルに配置される。第1充填ステーション29によって、核41用の第1粉体が型インサートの第1型キャビティ32の中に充填される。次いで、第1プレス作業において、この粉体は、第1プレスステーション20を通過する間に核タブレット41に押圧される。このために、プレスステーション20において、上側および下側加圧ローラが上側および下側ラムと相互作用することが好ましい。この工程において、プレスステーション20中の計測セルによってプレス圧力が測定され、正常範囲と比較されることが好ましい。不具合タブレットは、プレス圧力のチェックを介して検出され、個別選別システムによって取出しステーション23の不良品ダクトに導かれることになろう。取出しステーション23は、好ましくは、排出シュートを含み、取出しは第1下側ラム先端部14を上昇させることによって行われる。核タブレット41を製造した後、第2充填ステーション38によって、該核タブレット41のコーティング用の第2粉体が、第2型キャビティの中の第2下側ラム先端部15の表面域上に添加する。第2粉体は、第2プレスステーションにおいて、上側加圧ローラ31および下側加圧ローラ(図示せず)のラムとの相互作用によって押し固められる。この工程は、好ましくは押し固め(tamping)と称される。コーティング用の第2粉体の軽度な押し固めは、核タブレット41のとりわけ正確な位置付けを可能にする。核タブレット41を、第2型キャビティ33中に既に押し固められたコーティング底部上に挿入するために、搬送デバイス24が用いられる。図6に示されている好適な搬送デバイス24は、好ましくは核タブレット41を挿入するためにも適している。核タブレット41が第2型キャビティ33中のコーティング底部の上に挿入された後、第3充填ステーション39によって、第2粉体である追加の金属紛体が添加される。しかして、核タブレット41は、コーティング粉体によって完全に包含される。第3プレス作業において、この有核タブレット43は、第3プレスステーション40ならびに上側加圧ローラ42および下側加圧ローラ(図示せず)によって押圧される。この第3プレス作業の過程でプレス圧力が測定されることが好ましい。選別ステーション26において、適切な有核タブレットと不適切な有核タブレットとは、そのプレス圧力を規定の正常範囲と比較することによって、相異なる容器に向かわされる。このために、図7中に示された選別ステーション26および動作モードが用いられることが好ましい。
【0060】
図9は、本発明による高さ段違いラムを有するロータリプレスの応用の様々の好適な分野を表す。ラムの高さ段違いによって、1周回の過程で、相重ねて行うことが可能な複数のプレス作業を遂行することができる。これは、1周回の過程で複雑な製品を製造することを可能にする。前述のように、好ましくは1周回の過程で有核タブレットを製造することができる。さらに、単一のロータリプレスの1周回の過程で、多層タブレット、好ましくは3層タブレットを製造することが好ましくは可能である。上記の多層タブレットの製造に対し、第1および第2型キャビティは好ましくは円形であり、第1型キャビティの直径は第2型キャビティの直径よりもほんのわずかに小さい。第1型キャビティが型台の内側ピッチのサークルに配置され、第2型キャビティが外側ピッチのサークルに配置されることが好ましい。内部の第2層の粉体は、好ましくは、第1充填ステーションによって第1型キャビティの中に添加され、次いで、第1プレスステーションによってタブレットに押圧される。次に、第2充填ステーションが、第3層の材料を第2型キャビティの中に添加され、これが第2プレスステーションによって押圧される。搬送デバイスが、多層タブレットの第2層を形成する該タブレットを、第2型キャビティの中の既に押し固められた第3層の上に配置することができる。第3充填ステーションおよびプレスステーションは、好ましくは、第1層の上を押圧し、しかして多層タブレットを完成することができる。上記で詳しく説明したように、本発明による段違いラムによって、好ましくはタブレットをカップまたは他の容器の中に押圧することがさらに可能である。これら段違いラムは、しかして、1周回の過程で複数の構成要素による製品を押圧するとりわけ簡単な仕方を、予想以上にうまく提供する。有利には、多層タブレットの第2層を形成するタブレットである、有核タブレットの場合における核、または正電極を製造するための金属酸化物タブレットなどの第1プレス品は、第1層に重ねて行うプレス作業においてさらに加工をすることができる。但し、本段違いラムは、個別のプレス作業において、別々の製品を製造するために用いることも可能である。例えば、例示したように、周回の第1半分の過程で、第1型キャビティ中でより小さな直径のタブレットを製造し、周回の第2半分の過程で、第2型キャビティ中でより大きな直径のタブレットを製造することを選ぶこともできる。これは、製薬産業のために、該周回において単一のタブレットを用いて、異なる重量のタブレットを製造することを可能にする。例えば、内側ピッチのサークル上の第1型キャビティ中で50mgのバッチのタブレットを製造することができ、一方、外側ピッチのサークル上の第2型キャビティ中では100mgのバッチのタブレットが流動される。相異なる用量のこれらのタブレットを製造するため、同じ有効成分を有する同じプレス材料が使用されることが好ましい。従来技術と比べて、本段違いラムは、しかしてプレス品の数および複雑さに関し明らかに増大されたフレキシビリティを提供する。
【0061】
なお、本発明を実行し本発明によるソリューションに到達するために、説明された本発明の諸実施形態に対する様々な代替案を用いることが可能である。本発明によるロータリプレス、および説明した方法におけるその使用の諸実施形態は、前述の好適な実施形態に限定はされない。それどころか、多数の設計バリアントが考えられ、これらは提示されたソリューションとは違っていてよい。特許請求の範囲の目的は、本発明の保護の範囲を定義することである。特許請求の範囲に明示された保護の範囲は、本発明によるロータリプレスおよび好適な方法はもとより、それらの等価な諸実施形態を網羅することが意図されている。
【符号の説明】
【0062】
1 タブレット
1.1 バルク金属酸化物タブレット
1.2 圧入された金属酸化物タブレット
2 カップ
10 上側ラム
11 下側ラム
12 第1上側ラム先端部
13 第2上側ラム先端部
14 第1下側ラム先端部
15 第2下側ラム先端部
16 型インサート
17 上側ラムガイド
18 型台
19 下側ラムガイド
20 第1プレスステーション
21 カップ供給デバイス
22 カップ挿入ステーション
23 不具合タブレットに対する取出しステーション
24 搬送デバイス
25 第2プレスステーション
26 選別ステーション
26a 適切な正電極に対する搬送路
26b 不適切な正電極に対する搬送路
27 搭載プレート
28 ロータ
29 第1充填ステーション
30 第1プレスステーションの上側加圧ローラ
31 第2プレスステーションの上側加圧ローラ
32 第1型キャビティ
33 第2型キャビティ
34 プレス対象/プレス品の第1材料
35 プレス対象/プレス品の第2材料
36 回転ゲート
37 凹部
38 第2充填ステーション
39 第3充填ステーション
40 第3プレスステーション
41 核タブレット
42 第3プレスステーションの下側加圧ローラ
43 有核タブレット
44 上側ラムシャフト
45 下側ラムシャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9