【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によって取り扱う対象の問題は、したがって、従来技術の欠点を排除し、1周回の過程で個別的に相重ねて行うことが可能な相異なるプレス作業を次々と遂行できるロータリプレスを提供することである。
【0015】
本発明によれば、この問題は独立請求項によって解決される。従属請求項は、本発明によるデバイスおよび本発明による方法の好適な実施形態を示す。
【0016】
本発明は、したがって、好ましくはロータリプレスの1周回の過程で少なくとも2つのプレス作業を遂行するためのロータリプレスに関し、前記ロータリプレスは、ロータと、型台(die table)と、上側ラムを受けるための上側ラムガイドと、下側ラムを受けるための下側ラムガイドとを含み、該上側ラムは少なくとも2つの上側ラム先端部を含み、第1上側ラム先端部は、第2上側ラム先端部よりも長さ差(L
D1)分短い長さであり、該下側ラムは少なくとも2つの下側ラム先端部を含み、第1下側ラム先端部は、第2下側ラム先端部よりも長さ差(L
D2)分長い長さであり、型台は、第1上側および下側ラム先端部に向けて方位付けられた第1型キャビティを含み、これにより、1周回の過程で、第1プレス作業においてプレス対象の第1材料を第1型キャビティ中で押圧することが可能であり、第2プレス作業においてプレス対象の第2材料を第2型キャビティ中で押圧することが可能である。
【0017】
本発明によるロータリプレスは、従来技術で周知の一般的型式のロータリプレスである。このロータは、好ましくは、上側ラムと下側ラムとの相互作用によって粉末状材料を型台の型キャビティ中でペレットまたはタブレットに押圧できるように、ラムを受けるための上側および下側ラムガイドを含む。本発明によれば、これら上側および下側ラムは、好ましくは、型台の型キャビティとともに、材料をペレットまたはタブレットに押圧するためのプレスツールを形成する。本発明によれば、好ましくは、該プレスツールは、上側ラム、下側ラム、および型の一式を所定し、これらは周回の過程で連係して作動される。該ロータリプレスは複数のプレスツールを含むことが好ましく、これらは、上側および下側ラムガイド中および型台中に同心円状に配置される。本発明での意味において、上側および下側ラムは、好ましくは、それぞれ上側および下側ラム先端部の一式を所定し、これらは周回の過程で連係して作動される。一実施形態において、ラムは複数のラム先端部から構成することができ、これらは連係して作動される。また一方、ラムがラムシャフトおよび2つ以上のラム先端部を含むことを選ぶこともでき、これら先端部はラムシャフトの中に螺入または挿入することができる。これは、手間をかけずにラムのラム先端部を交換することを有利に可能にする。また一方、ラムがラムシャフトおよび2つ以上のラム先端部で構成されることを選ぶこともでき、このラムシャフトおよびラム先端部は一体的に結合される。上側ラムの設計で、上側ラム先端部の配置および長さを決めることが可能で、これらは上側ラムに関連付けられる。これは、同様に下側ラムにも適用され、該ラムは少なくとも2つの下側ラム先端部を含む。本発明によれば、ラム先端部の長さとは、好ましくは、型台の平面に垂直なプレス方向に沿ったラム先端部の延長を指す。ラムがラムシャフトを含む場合、上側ラム先端部の長さは、好ましくは、ラムシャフトの底面からから測定され、下側ラム先端部の長さはラムシャフトの最上面からから測定される。この挿入されたラム先端部の長さは、好ましくは、挿入されたラム先端部の突き出た部分の長さである。例として、好適な上側ラムは、12mmの長さを有する第1上側ラム先端部と、14mmの長さを有する第2上側ラム先端部とを含むことができ、好適な下側ラムは、15mmの長さを有する第1下側ラム先端部と、13mmの長さを有する第2下側ラム先端部とを含むことができる。この例では、第1上側ラム先端部と第2上側ラム先端部との間の長さ差はL
D1=2mmである。同様に、第1下側ラム先端部と第2下側ラム先端部との間の長さ差はL
D2=2mmである。本発明によれば、具体的にラム中のこれら上側および下側ラム先端部の長さ差は固定的である。本発明によれば、上側ラムが、第2上側ラム先端部よりも、長さ差(L
D1)分短い長さの第1上側ラム先端部を含むことが好ましい。2つの上側ラム先端部のこの長さ差は、プレスの動きの過程で、第2上側ラム先端部が最初に第2型キャビティの中に挿入されるという効果をもたらす。この長さ差(L
D1)によって、第2上側ラム先端部が第2型キャビティの中に既に挿入された後でだけ、第1上側ラム先端部は、型台の上面と同一平面の位置になりになり、第1型キャビティの中に挿入される。これに相応じて、下側ラム先端部の本発明による長さ差L
D2は、下側ラム先端部の第1および第2型キャビティへの段違い挿入をもたらす。
【0018】
本発明によれば、各々が、型キャビティの平面に対し異なる長さの少なくとも2つのラム先端部を有する、上側および下側ラムを含むラムは、また好ましくは高さ段違いまたは段違いラムとも呼ばれる。高さ段違いラムを有するロータリプレスは、従来技術からの新展開を意味する。タブレットまたは他のペレットを量産するための、2つ以上のラム先端部いわゆる多重ラムを備えるロータリプレスの活用は知られているが、既知の従来技術のラムはどれも同じ長さの先端部を含む。従来技術の多重ラムは、例えば、押型(press)上に同一形状を有するタブレットまたはペレットを製造するために使われる。当業者は、異なった長さのラム先端部を有する上側または下側ラムの使用は、タブレットまたはペレットの特性のばらつきをもたらすと考えたかもしれない。例えば、複数ラムプレスツールのラム先端部の相異なる長さは、タブレット重量、縁高さ、またはタブレットの硬度を変化させる可能性があろう。したがって、本発明によるロータリプレスの高さ段違いラムは、従来技術からの新展開を意味する。本発明によって、この高さ段違いは、ロータリプレスに対し多くの予想以上の利点をもたらすことが認識された。
【0019】
例えば、上側および下側ラムそれぞれのラム先端部の高さ段違いによって1周回の過程において単一のロータリプレス上で次々と別個のプレス作業を遂行することができる。例えば、ロータリプレスの周回の第1半周において、第1型キャビティ中での第1上側および下側ラム先端部の相互作用を介して、第1種類のタブレットを製造することを選ぶことができる。この第1プレス作業の間は、好ましくは第2型キャビティ中にはプレス対象の材料はない。周回の第2半周において、本発明による段違いラム設計によって、第2型キャビティ中で第2種類のタブレットを押圧することが可能である。高さ段違いラムによって、これら2つのプレス作業は、相互に別個のものとすることができる。例えば、プレス対象の第1材料は、第1下側ラム先端部によって上方に取出すことが可能で、この間、第2下側ラム先端部は、型台の面の下の位置にあって、プレス対象の第1材料の排出の邪魔をすることはない。
【0020】
或る好適な実施形態において、長さ差L
D1と長さ差L
D2とはほぼ等しい。本発明による、表現「ほぼ(nearly)」および「約(about)」は、好ましくは、許容範囲±15%好ましくは±10%を示すと理解する。この好適な実施形態において、第1上側ラム先端部の底面と第1下側ラム先端部の上面との間の距離が、第2下側ラム先端部の上面から第2上側ラム先端部の底面までの距離とほぼ等しいように、ラムの相互的な高さ段違いがされる。これは、例えば、同じ縁高さを有する第1および第2プレス品を製造する際に利点がある。好適な高さ段違いラムは、例えば、以下の長さ差を有してよい。L
D1=1mm且つL
D2=1mm、L
D1=1.4mm且つL
D2=1.5mm、L
D1=2.5mm且つL
D2=2.5mm、L
D1=2mm且つL
D2=1.9mm、L
D1=3mm且つL
D2=3mm、L
D1=4mm且つL
D2=4mm、L
D1=6mm且つL
D2=6.3mm、L
D1=2.5mm且つL
D2=2.5mm、L
D1=8mm且つL
D2=8.2mm、L
D1=10mm且つL
D2=10mm、またはさらにL
D1=15mm且つL
D2=14.8mm。
【0021】
相異なる高さまたは硬度のタブレットを製造するために、長さ差L
D1と長さ差L
D2とが不等であることをさらに選ぶことが可能である。相異なって押圧される製品、または相重ねて押圧されるプレス品を製造するためのこのフレキシビリティは、本発明によるロータリプレスの独特の利点である。したがって、好適な高さ段違いラムは、例えば、以下の長さ差を有してもよい。L
D1=1mm且つL
D2=1.5mm、L
D1=1.4mm且つL
D2=1.9mm、L
D1=2mm且つL
D2=2.5mm、L
D1=2mm且つL
D2=4mm、L
D1=3mm且つL
D2=5mm、L
D1=4mm且つL
D2=5mm、L
D1=6mm且つL
D2=7mm、L
D1=6mm且つL
D2=8mm、L
D1=7mm且つL
D2=5mm、L
D1=6mm且つL
D2=7mm、L
D1=6mm且つL
D2=8mm、L
D1=7mm且つL
D2=5mm、L
D1=6mm且つL
D2=4.5mm、L
D1=8mm且つL
D2=5mm、またはさらにはL
D1=3.5mm且つL
D2=2mm、L
D1=1.5mm且つL
D2=0.8mm、L
D1=2.2mm且つL
D2=1.5mm、またはさらにL
D1=0.9mm且つL
D2=0.6mm。
【0022】
さらに、高さ段違いラムは、単一の周回過程で、第1プレス品をさらに第2プレス作業において加工することを可能にする。例えば、第1下側ラム先端部は、第1プレス作業において、その上端を型台の面と同一平面にして作動することができる。高さ段違いによって、第2下側ラムは、好ましくは、第2型キャビティ内のすなわち型台の面の下方の当該位置にある。しかして、第1プレス品は、例えば、滑動具、回転ゲート、または別の運搬デバイスを使って、第2型キャビティの中に搬送することができる。その後、他の材料を加えることによって、第1プレス品を包含する第2プレス品を製造することが可能である。ラムの高さ段違いは、ロータリプレスの単一の周回の過程で、特に信頼性のある順次的生産、およびプレス済み製品の随意的なさらなる加工を有利に可能にする。このように、1周回の過程において、第1型キャビティと第2型キャビティとにおいて、多層プレス品を製造することができる。
【0023】
さらに、各々のラムが少なくとも3つまたは4つのラム先端部を含み、型台が、これに沿って配列された少なくとも3つまたは少なくとも4つの型キャビティを含むことを選ぶことも可能である。これらのラム先端部は、互いの間で段違いの長さ差を有することができる。また、上側ラム先端部の数が偶数の場合、上側ラム先端部の第1半分が、上側ラム先端部の第2半分の長さよりも、長さ差L
D1分短い長さを有することを選ぶことも可能である。相応じて、下側ラム先端部の第1半分が、下側ラム先端部の第2半分の長さよりも、長さ差L
D2分長い長さを有することを選べよう。有利には、第1および第2プレス作業の過程で、多重第1および第2プレス品を製造することができる。高さ段違いラムに対するラム先端部の数の増加は、製造されるプレス品の数と複雑さとの両方の増大を可能にする。
【0024】
本発明によれば、型キャビティとは、好ましくは、上側および下側ラムの相互作用によってペレットに押圧するためプレス対象の材料が挿入される、型台中の凹部または開口部を指す。型キャビティは、しかして型台を貫通するせん孔であって、これは横側境界によって圧縮空間を画定する。型キャビティの横側境界または側壁は、好ましくは型台または型インサートによって形成される。型キャビティの断面は、ペレットの所望の形状に基づいて変えることができる。例えば、型キャビティは、好ましくは、円形、矩形、三角形、星形、楕円形、卵形であってよく、または他の形状を取ってもよい。但し、成形ツールとして材料を効果的に押圧するために、上側および下側ラムのラム先端部は、対応する型キャビティと一致する断面を有することが好ましい。本発明によれば、第1および第2型キャビティとは、好ましくは、型台中の2つの別個のキャビティまたはせん孔を指し、第1上側ラム先端部と下側ラム先端部とは、第1型キャビティ中で相互作用し、他方、第2上側および下側ラム先端部は、第2型キャビティ中で相互作用する。
【0025】
本発明の或る好適な実施形態において、第1型キャビティの大きさならびに第1上側および下側ラム先端部の大きさは、第2型キャビティの大きさならびに第2上側および下側ラム先端部の大きさよりも小さい。本発明による型キャビティの大きさは、好ましくは、型キャビティの断面の特性拡大である。型キャビティが円形断面によって特徴付けられる或る好適な実施形態において、この大きさは、好ましくは該円形の直径に一致する。正方形の型キャビティの場合には、その大きさは、好ましくは正方形の長さに一致する。型キャビティに対応するラム先端部は、好ましくは、該型キャビティと一致する断面、しかしてほぼ同一の大きさを有する。ラム先端部の大きさは、これら先端部がぴったり適合して型キャビティの中に挿入が可能なように調整される。また、ラム先端部の相互作用によって製造されるペレットは、好ましくは、型キャビティの断面、しかしてその大きさをとる。異なるサイズの大きさを有する第1型キャビティの設計によって、第1プレス品と第2プレス品とは相異なる大きさの断面を有する。有利には、より小さな大きさを有する第1プレス品は、第2型キャビティの中に幾何学的に収まる。例えば、型キャビティが円形断面を有し、第1型キャビティの直径を3mm、第2型キャビティの直径を4mmとすることを選ぶことができる。また、これら型キャビティが相異なる形状の断面域を有することを選ぶことも可能である。例えば、第1型キャビティが、好ましくは、3mmの辺長を有する正方形であり、一方、第2型キャビティは、5mmの直径を有する円形の開口を有してよい。第1型キャビティと第2型キャビティとのこの相異なる大きさは、望ましくは、第1プレス品を第2型キャビティの中に搬入できる効果を持つ。これは、特に、順次的に相重ねて行われるプレス作業によって、多層タブレットまたは有核タブレットなどの複雑な製品を1周回で信頼性をもって製造することを可能にする。
【0026】
これら型キャビティは、いろいろな仕方で型台中に形成することができる。例えば、型台が全体としてロータに存在し、型キャビティが該型台中の凹部または開口部によって形成されることを選ぶことが可能である。円形のキャビティが型台中のせん孔として形成されることが好ましい。さらに、型台を区分し、型台の各セグメント中に複数の第1および第2型キャビティの対を設けることを選ぶことも可能である。第1型キャビティと第2型キャビティとの間の切替えは、これらの型セグメントを切替えることによって行われる。
【0027】
本発明の或る好適な実施形態において、型台は、型インサートのための凹部を含み、第1型キャビティおよび第2型キャビティは1つの型インサートの中に存在する。この好適な実施形態において、型キャビティはいわゆる型インサート中に設けられる。これら好適な型インサートは、少なくとも対で高さ段違いにされたラムに対する、型キャビティの特に高精度な調節を可能にする。さらに、これら型インサートは、ラムとともに特に効率的で迅速に取り外すことができる。第1および第2型キャビティに対しそれぞれ1つの型インサートを用いる代わりに、単一の型インサートを交換することにより両方の型キャビティを置き換えることができる。
【0028】
或る好適な実施形態において、本発明はロータリプレスに関し、該ロータリプレスは搬送デバイスを含み、該搬送デバイスは、第1プレス品を第2型キャビティの中に搬入する。この実施形態は、ロータリプレスの1周回の過程で、相重ねて行われるプレス作業を遂行することを有利に可能にする。第1プレス作業では、例えば第1有効成分を含有するタブレットなどの第1プレス品を製造することができる。次いで、この第1タブレットを第2型キャビティに搬送し、別の有効成分またはコーティング材料を加えることによって、多層タブレットにさらに加工することができる。好ましくは、様々な種類の搬送デバイスが使用可能である。これらには、滑動具、スクレーパ、回転ゲート、星形ホイール、把持具、バキュームヘッド、ループ、または他の機械的搬送デバイスが含まれる。本発明によれば、高さ段違いラムは、とりわけ効率的な搬送デバイスの使用を可能にし、このデバイスは、型台の表面を横切って第1プレス品を押進することができる。
【0029】
或る好適な実施形態において、搬送デバイスは、該搬送デバイスが回転ゲートまたは滑動具を含むことと、第1プレス作業の後、下側ラムは第1下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面になる位置に移動させることができ、回転ゲートを回転することによってまたは滑動具によって、第1プレス品が第2型キャビティの中に搬送されることと、を特徴とする。回転ゲートまたは滑動具の形でのこの好適な搬送デバイスは、とりわけ高速のサイクルレートで、第2型キャビティ中への第1プレス品の搬送を可能にする。第1下側ラムは、下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面になる位置に動かすことができ、一方、第2下側ラム先端部は、好ましくは第2型キャビティ内の型台の面の下方に位置付けられる。第2型キャビティは、こうして第2下側ラム先端部によってとざされ、第1プレス品の受け手としてこれを受けるように準備される。この状況で、ラムを当該位置に迅速に動かすことができ、その間に押圧された製品が回転ゲートまたは滑動具を使って第2型キャビティに移動されることは予想以上のものであった。さらに、これら好適な搬送デバイスは、迅速なサイクルレートを可能にするだけでなく、予想以上に高精度である。第1プレス品は、しかして、具体的には回転ゲートまたは滑動具を使って、第2型キャビティの中心位置に置くことができる。この状況において、これら好適な搬送デバイスが、明らかにより小さな大きさを有する第1プレス品およびほぼ同じ大きさを有する製品の両方を、ぴったり適合させて第2型キャビティの中に確実に入置できることは予想以上のものであった。
【0030】
或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、第1型キャビティならびに第1上側および下側ラム先端部が、内側ピッチのサークル上に同心円状に配置され、第2型キャビティならびに第2上側および下側ラム先端部は、外側ピッチのサークル上に同心円状に配置されることを特徴とする。「内側」ピッチのサークルは、好ましくは、「外側」ピッチのサークルと比べて、回転の軸周りに、より小さな直径を有し、好ましくは外側ピッチのサークルは内部ピッチのサークルをとり囲む。第1プレス作業の後、第1プレス品の第2型キャビティへの搬送は、第1型キャビティが第2型キャビティに対比して内側のサークルに同心円状に配置されている場合に、とりわけ高速で正確に行えることが判明した。例えば、把持アーム、滑動具、または回転ゲートを使って、第1プレス品を内側から外側に素早く、位置合わせされた運動で移動させることができる。遠心力に沿った搬送は、その反対方向に比べて予想以上の高い正確さであった。さらに、内側および外側サークル上の第1型キャビティおよび第2型キャビティの半径方位付けは、型キャビティを型台上に特に高い密度で配置することを可能にする。第1および第2型キャビティのこの好適な配置は、高速レートでの順次の連続的プレス作業の遂行を可能にするばかりでなく、ロータリプレスの増大された生産性をもたらす。
【0031】
或る好適な実施形態において、本発明は、カップの中にタブレットを押圧するのに適した、第1充填ステーションと第1プレスステーションとカップ挿入ステーションと搬送デバイスと第2プレスステーションとを含む、ロータリプレスに関し、第1供給ステーションは、好ましくは金属酸化物粉である粉体を第1型キャビティの中に添加する(dose)ように構成され、第1プレスステーションは、第1プレス作業において第1型キャビティの中のその粉体をタブレットに押圧するように構成され、カップ挿入ステーションは、カップを第2型キャビティの中に挿入するように構成され、搬送デバイスは、第2型キャビティ中に置かれたカップの中にタブレットを挿入するように構成され、第2プレスステーションは、第2プレス作業においてタブレットをカップの中に押圧するように構成される。
【0032】
この好適な実施形態は、1周回の過程で、第1型キャビティ中で第1タブレットまたはペレットを製造し、さらなる加工のためそれを第2型キャビティ中のカップに移送することを有利に可能にする。次いで、そのタブレットまたはペレットは、第2プレス作業において、カップの底に押圧される。既知の従来技術では、タブレットをカップの中に押圧するためには少なくとも2つのロータリプレスが必要である。このためには、第1ロータリプレスで製造されたタブレットを保管し、搬送し、第2ロータリプレスに供給するなど、様々な補助工程が必要となる。本ロータリプレスは、したがって、一方ではスペースおよび材料を節減することを特徴とする。他方では、これらの補助工程が排除されるので、本好適なロータリプレスは、エネルギを節減し、製造工程をより効率的にする。本ロータリプレスが金属酸化物粉をカップ中に押圧するのに適していることがとりわけ好ましく、これにより正電極を供給することが可能で、これをボタン型電池にさらに加工することができる。本好適なロータリプレスは、化学工業において電池を製造するため使用するのに適しているだけでなく、同様に、タブレットまたはペレットが容器中に押圧される他の用途に対しても前述した利点を有する。
【0033】
充填ステーションと、第1プレスステーションと、カップ挿入ステーションと、搬送デバイスと、第2プレスステーションとが、ロータリプレスの回転の方向に沿って、順次に配置されることが好ましい。第1型キャビティの中への粉末状材料の添加(dosing)を確実にするために、様々な既知の充填ステーションを用いることが可能である。このために、充填ステーションは、好ましくは、材料供給部を包含し粉末状材料を第1型キャビティの中に添加するように設計されたフィードシューを含む。ボタン型電池の正電極の製造のためには、第1および第2型キャビティが円形の断面を有し、第1型キャビティの直径は第2型キャビティの直径よりも小さいことが好ましい。他の用途に対しては、他の形状の型キャビティが好適であり得る。粉末状材料を第1型キャビティの中に充填した後、添加デバイス(dosing device)が、好ましくは、第1型キャビティ中の粉末状材料の量を調整する。このため、第1下側ラムは、第1型キャビティを充填する前に深底レベルの取入れ位置に移動し、次いで所望の高さまで上昇することができる。余剰の粉末状材料は、好ましくはスクレーパを使って除去される。残った粉体の量はこれによりうまく画定され、一定の重量のタブレットの製造を可能にする。この充填ステーションの後に第1プレスステーションが続くのが好ましい。第1プレスステーションとして加圧ローラステーションを選ぶことが可能である。加圧ローラステーションにおいて、上側および下側加圧ローラが、第1上側および下側ラム先端部の相互作用によって粉末状材料が第1型キャビティ中に押圧されるように、上側または下側ラムヘッドにそれぞれ力を加えることが好ましい。
【0034】
カップ挿入ステーションは、望ましくは、周回の方向沿いに第1プレスステーションに後続する。カップ挿入ステーションは、好ましくは、第2型キャビティの中にカップを入置する。例えばコンベアベルトなどのカップ供給デバイスが、カップ挿入ステーションにカップを供給することができる。カップ挿入ステーションは、好ましくは、カップ引取りおよび引渡しデバイスを含み、これは例えば、回転ゲートであってもよい。カップは、好ましくは挿入の前に分離され、このためには把持アームに使用が好ましい。これらは、第2型キャビティ中へのカップの正確な位置付けを可能にする。有利には、カップを挿入するための他の従来技術のデバイスを、同様に本ロータリプレスと組み合わせることが可能である。
【0035】
後続の搬送デバイスは、第1プレス作業で製造されたタブレットをカップの中へ搬送できるように設計され、該カップは第2型キャビティの中に挿入される。この搬送デバイスは、好ましくは、半径方向に延びる押出しアームを有し、その回転が型台上でタブレットを移動させることが可能な回転ゲートである。このために、第1下側ラム先端部は、該第1下側ラム先端部の上端が型台の面と同一平面に移動されることが好ましい。この位置において、タブレットは、型台と同じレベルの第1下側ラム先端部上に横たわる。有利には、このタブレットの搬送には、タブレットをカップの中に入置するために把持具などによる一切の持ち上げを必要としない。代わりに、単にタブレットを動かすだけでタブレットの迅速で正確な搬送が達成される。具体的に、これは搬送中のタブレットの摩損または損傷を効果的に防止する。本発明による下側ラムの高さ段違いによって、第2下側ラム先端部は、タブレットの搬送の間、第2型キャビティ中の型表面より下方に位置している。第1下側ラム先端部と第2下側ラム先端部との間の長さ差L
D2がカップ高さに一致することが好ましく、これにより、この位置において、第2下側ラム先端部上に置かれたカップの上部輪縁もまた型表面より下方に位置する。しかして、タブレットは、重力によりカップの中に落下する。これは、従来技術に比べて、タブレットのカップの中への、とりわけ迅速で正確且つ穏やかな挿入を可能にする。
【0036】
正電極用のタブレットをカップの中に押圧するための、高さ段違いラムに対する好適な長さ差は、例えば、1mm〜6mmの間のL
D1および1mm〜6mmの間のL
D2であり、L
D1がL
D2にほぼ等しいことが特に好ましい。タブレットは、たとえ傷つき易くまたは壊れ易いタブレットであっても安全にカップ中に挿入できるように、それらが製造された後直ちに挿入される。従来技術では、脆弱なタブレットの第1ロータリプレスから第2ロータリプレスへの搬送は、しばしば、損傷しかして不良品数の増加をもたらす。搬送デバイスの後に第2プレスステーションが続くのが好ましく、このステーションは、第2上側および下側ラム先端部によって、タブレットをカップの中に押圧する。有利には、タブレットの圧入は、段違いラムの長さ差L
D1およびL
D2を調整することによって最適化することができる。第2プレス作業の過程では、第2下側ラム先端部がほとんど動かず、その間に第2上側ラム先端部が上からタブレットをカップの底に押圧するのが好ましい。プレスツールが、第2プレスステーションまで進行すると、下側ラム先端部がカップを固定位置に保持するのでこれが実際上受け手として機能する。プレス圧力は、主として上側ラム先端部を介してタブレットに加えられる。この力の効果がカップの底に対しタブレットを平たく押圧する。しかしてタブレットをより平たくするが、タブレットの直径は増大し、カップの内壁面と強固に相接する。好ましくは、中心的に挿入されたタブレットは、カップの底に対称性をもって押圧され、とりわけカップの輪縁部に均一に張り付く。これは、タブレットがカップの中にしっかりと確実に押圧され、損傷のリスクなくさらなる加工ステップに付すことが可能なことを意味する。カップ底の中に押圧されたこのタブレットは、多層の第2プレス品であり、第1プレス品(タブレット)に重ねて形成される。本ロータリプレスが、最終押圧されたカップを取出す取出しステーションも併せ含むことが好ましい。或るとりわけ好適な実施形態において、タブレットは金属酸化物タブレットであり、カップは金属カップである。圧入された金属酸化物タブレットを包含するカップは、好ましくは、ボタン型電池を製造するための正電極に相当する。単一のロータリプレス上のこれら製造ステップのシーケンスは、とりわけ一定で高品質のボタン型電池の製造を予想以上に可能にする。これは、従来技術における、別個のロータリプレス上でのタブレットの分離された製造、ならびにそれらの保管および輸送に起因して発生し得るばらつきをとりわけ防止する。
【0037】
或る好適な実施形態において、第1プレスステーションは、第1プレス作業の過程でプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは取出しステーションを含み、このステーションは、プレス工程過程におけるプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱するタブレットを取出すように構成される。この好適な実施形態において、タブレットの追加的品質管理を有利に設けることが可能である。加圧ローラステーションなどのプレスステーションが例えば計測セルなどの計測デバイスを含み、これによりプレス作業過程でプレス圧力を測定していることが知られている。例えば、プレスステーションの内部に測定アームを備えた計測セルを配置することが可能で、前記アームの屈曲度が、プレスに加えられた力に関する判断を可能にする。加えるプレス圧力の正常範囲は、材料の特性および所望の縁高さまたは硬度に基づいて規定される。この正常範囲は、好ましくは許容差を含み、これはタブレットの特性の許容可能なばらつき幅を反映する。第1プレス作業の過程で、この正常範囲から逸脱するプレス圧力が加えられた場合、不良が発生したことになる。これは、例えば、第1型キャビティの中に十分な材料が添加されなかったからかもしれない。また、プレス対象の第1材料が汚染されていることもあろう。プレス圧力が正常範囲から逸脱している場合、不具合タブレットを取出しステーションによって除去することが好ましい。或る好適な実施形態において、不具合タブレットは、取出しステーションにおいて、第1下側ラム先端部によって持ち上げ、取出しバーに乗せて排出することができる。下側ラムの高さ段違いは、好ましくは、この処理の間第2下側ラム先端部が型台の面より下方に位置しているので、とりわけ正確な取出しを可能にすることが判明した。
【0038】
本発明の別の有利な実施形態において、第2プレスステーションは、第2プレス作業過程でのプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは選別ステーションを含み、このステーションは、第2プレス作業過程で圧入されたタブレットを含有するカップを、そのプレス圧力に基づいて、適切な圧入されたタブレットを含有するカップに対する搬送路、または、プレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する場合は不適切な圧入されたタブレットを含有するカップに対する搬送路、のどちらかに向かわせるように構成される。この好適な実施形態は、カップの中へのタブレットの正しい押圧を監視し、要件を満たさない押圧されたタブレットを含有するカップを選り分けることを可能にする。この実施形態は、正電極を監視するためにはとりわけ好ましい。第2プレス作業におけるプレス圧力に対応する、正常範囲を規定することが好ましく、この規定は、カップの中へのタブレットのとりわけ均一な押圧をもたらし、しかして、好ましくは適切な正電極をもたらす。プレス圧力を測定するための計測デバイスを使ってこの正常範囲からの逸脱が検出された場合、それは不具合タブレット、またはカップの中に不正確に挿入されたタブレットを示す。例えば、不具合破損タブレットがカップの中に押圧された場合、例えばタブレットの半分のより小さな表面積に起因して、必要なプレス圧力はより小さくなる。このように、このプレス圧力管理によって、不具合な正電極は、その正電極が以降の製造工程中に入り込まないように、検出して確実に選り分けることができる。選別ステーションが、不具合正電極を、不適切な正電極に対する搬送路に向かわせることが好ましい。このために、選別ステーションが二分式取出しバーを含むことを選ぶことができ、適切な正電極は取出しバーの一方のセクションに運ばれ、不適切な正電極は取出しバーの他方のセクションに運ばれる。正電極の取出しの過程で、上側ラム先端部が、カップの底部が型台の上面に到達するまで圧入された金属酸化物タブレット上に留まっていることが好ましい。好ましくは、自動抑え込みデバイスが、上側ラム先端部がカップ内壁にはまり込んでカップを型平面のレベルの上方に持ち上げるのを防止する。同様に、良品正電極は、掻寄デバイスによって排出シュートに供給して収集容器中に導くことができ、不良正電極は、空気作用の個別選別システムによって廃棄品容器に分離することができる。
【0039】
本ロータリプレスのとりわけ好適な実施形態において、両方のプレスステーションは、不具合タブレットおよび不具合正電極の両方を選り分けることができるように、プレス圧力に対する計測デバイスを含む。この組み合わせられた安全チェックは、押圧された正電極のとりわけ高い品質を確実にする。この二重の品質保証によって、本好適なロータリプレスは、たとえ大幅に増大された生産速度においても、正電極の一貫した高品質さを特徴とする。
【0040】
本発明は、本発明によるロータリプレスを用いてボタン型電池用の正電極を製造するための方法にさらに関し、前記方法は、
a)充填ステーションによって、粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を、第1型キャビティの中に添加する(dose)ステップと、
b)粉体、好ましくは金属酸化物の紛体を、第1プレスステーションによって、タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱するタブレットを選択的に取出すステップと、
d)カップ挿入ステーションによって、第2型キャビティの中にカップを挿入するステップと、
e)好ましくは回転ゲートを含む搬送デバイスによって、第2型キャビティ中に置かれたカップにタブレットを挿入するステップと、
f)第2プレスステーション、および第2上側ラム先端部と第2下側ラム先端部との相互作用によって、タブレットをカップの底に押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
g)正電極を取出すステップであって、これら正電極は選択的に、選別ステーションによって、ステップf)で測定されたプレス圧力に基づいて、適切な正電極に対する搬送路または不適切な正電極に対する搬送路に向かわされる、該取出すステップと、
を含む。
【0041】
この好適な方法は、単一のロータリプレスによる、特にコスト節減的仕方での正電極の大量生産を可能にする。本方法は、好ましくは、カップ中にタブレットを押圧するのに適した、本発明によるロータリプレスの上記の好適な実施形態を用いる。該ロータリプレスの好適な実施形態の技術的特徴について前述した利点もまた、上記の方法に有利に適用される。例えば、タブレットを押圧するための好適なロータリプレスに対して、搬送デバイスとしての回転ゲートが、カップの中へのタブレットのとりわけ高速で正確な搬送を可能にすることが開示される。当業者は、回転ゲートが前述の方法で使用するためにもまた好適な搬送デバイスでもあること、およびカップの中へのタブレットの搬送に関して前述した利点もまた本方法に適用されることを推断しよう。
【0042】
別の好適な実施形態において、本発明は、ロータリプレスの1周回の過程で少なくとも3つのプレス作業を遂行するためのロータリプレスに関し、該ロータリプレスが有核タブレットの製造に適すること、および、該ロータリプレスは、第1充填ステーションと、第1プレスステーションと、第2充填ステーションと、第2プレスステーションと、搬送デバイスと、第3充填ステーションと、第3プレスステーションとを含み、第1充填ステーションは、第1粉体を第1型キャビティの中に添加するように構成され、第1プレスステーションは、第1プレス作業において、第1型キャビティ中で第1粉体を核タブレットに押圧するように構成され、第2充填ステーションは、第2粉体を第2型キャビティの中に添加するように構成され、第2プレスステーションは、第2プレス作業において、第2型キャビティに対し第2粉体を押し固める(tamp)ように構成され、搬送デバイスは、核タブレットを、第2型キャビティの中の既に圧入された第2粉体の上に挿入するように構成され、第3充填ステーションは、第2粉体を第2型キャビティの中に添加するように構成され、これにより核タブレットは第2粉体によって覆われ、第3プレスステーションは、第2型キャビティ中の第2粉体で覆われた核タブレットを有核タブレットに押圧するように構成されることを特徴とする。
【0043】
本好適なロータリプレスは、少なくとも3つの逐次的プレス作業を遂行するために、より有利に適しており、相重ねて行われるプレス作業において、プレス対象の材料/プレス済み製品をさらに処理することができる。第1充填ステーションと、第1プレスステーションと、第2充填ステーションと、第2プレスステーションと、搬送デバイスと、第3充填ステーションと、第3プレスステーションとが、ロータリプレスの周回の方向に沿って配置されていることが、とりわけ好ましい。第1充填ステーションによって、第1型キャビティの中に粉末状材料を添加することが好ましくは可能である。好ましくは、従来技術で既知のフィードシューを用いることができる。次いで、プレス対象の第1材料は、第1プレスステーションによって、第1型キャビティ中で押圧される。有核タブレットを製造するためには、型キャビティが円形の断面を有し、第1型キャビティの直径が第2型キャビティの直径よりも小さいことが特に好ましい。第1プレス作業において粉体を押圧することによって、プレス対象の第1材料は、好ましくは有核タブレットの核を形成する。本発明によれば、用語、核と核タブレットとは、好ましくは同義的に使用される。核の医薬組成物はコーティングの組成物とは異なる。例えば、核は、第1有効成分を含むことができ、これは、経口摂取の後でコーティングが消化された後、時間遅延を置いて生体によって吸収される。したがって、第2粉体は、好ましくは有核タブレットのコーティングを形成する粉末状材料である。第2粉体は、第2充填ステーションを使って、第2型キャビティの中に添加することができ、その間これらキャビティは第2下側ラム先端部によって下方を閉じられる。第2粉体は、好ましくは、第2プレスステーションを使い、第2上側および下側ラム先端部の相互作用によって第2下側ラム先端部に対して押し固められる。これは、核タブレットの安定した受容を可能にする。この押圧ステップは、本発明では押し固め(tamping)と呼ばれる。搬送デバイスは、第1プレス作業において製造された核を、容易に且つ迅速に第2型キャビティの中に搬送するために有利に使用することができる。下側ラムの高さ段違い設計は、この工程において前述の諸利点を発揮する。核は、好ましくは、第1下側ラム先端部が型台面と同一平面レベルにある間に搬送される。この配置において、第2下側ラム先端部は、第2型キャビティ中の型表面より下方にある。長さ差L
D2は、製造対象の有核タブレットの縁高さの少なくとも半分、好ましくは少なくとも当該縁高さであることが好ましい。この時点で、核は、搬送デバイス、好ましくは回転ゲートまたは滑動具によって、とりわけ低い摩損で、型台上を第2型キャビティの中に移動することができる。タブレットを昇降または把持したり、または破砕を被り易い他の搬送運動を行ったりする必要はない。代わりに、核タブレットは、コーティング紛体上の中心に落下し、この粉体は、第2型キャビティ中の第2下側ラム先端部に対し押し固められている。有利には、これは、製造対象の有核タブレット内の核タブレットの正確な位置付けを可能にする。
【0044】
当業者は、段違いラムの長さ差L
D1およびL
D2が、好ましくは所望の有核タブレットの製造に対して調整されることが分かるであろう。しかして、これら長さ差は、核および有核タブレットの寸法だけでなく、プレス対象の材料の特性によっても左右される。多層または有核タブレットでは、プレス対象の材料の圧縮比は重要な役割を果たす。バルク粉体のペレットへの圧縮比は、好ましくは、1.5対1から7対1までの間とすることができる。有核タブレットを製造するための段違いラムの好ましい長さ差は、例えば、L
D1は0.5mm〜4mmの間、L
D2は0.5mm〜4mmの間である。第3充填ステーションは、好ましくは、上の方からコーティング粉体で核を覆うことを可能にする。第3プレスステーションは、好ましくは、第3充填ステーションのすぐ後に続き、第2上側および下側ラム先端部の相互作用によってプレス対象の第3多層材料を押圧するように構成される。第3プレス品は、好ましくは、第1粉体で構成される内部核と、第2粉体で構成され、有核タブレットを形成する外部コーティングとから成る。
【0045】
本発明による段違いされた上側および下側ラムを含むロータリプレスを用いて、1周回の過程で有核タブレットが製造できることは予想以上のものであった。従来技術では、核タブレットを押圧し、その後それらをコートするために、別々のロータリプレスが使われていたが、今や、これを単一のロータリプレスで遂行することができる。これは、エネルギおよびプレスのオペレーションのための仕入れ原価を節減する。さらに、この製造では、必要なスペースが従来技術のソリューションよりも小さい。1つのロータリプレス上への様々なプレス作業の組み合わせが、品質の低下をもたらさず、むしろ有核タブレットの品質を向上させることはとりわけ予想以上のものであった。1つのプレス上の連続的なステップにおける異なった粉体の使用にもかかわらず、有核タブレットの個々の成分の高純度を保証することができる。これは、高さ段違いラムが搬送デバイスと相まって、各製造ステップおよびプレス作業の正確な遂行と分離とを可能にすることによる。
【0046】
本発明の或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、プレスステーションが上側および下側加圧ローラを含み、それらがラム上に作用することを特徴とする。これらのプレスステーションは、加圧ローラステーションとして設計されることが好ましい。かかる加圧ローラステーションは、好ましくは、上側加圧ローラに対する上側受けデバイスおよび下側加圧ローラに対する下側受けデバイスを含む。上側および下側ラム上への力の印加は、加圧ローラによってとりわけ高精度で制御することができることが判明した。これは、高スループットでの均一なプレスを可能にする。
【0047】
本発明の或る好適な実施形態において、第1プレスステーションは、第1プレス作業過程におけるプレス圧力を測定するための計測デバイスを含み、ロータリプレスは取出しステーションを含み、このステーションは、プレス工程過程におけるプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱する核タブレットを取出すように構成される。この好適な実施形態では、押圧された核タブレットの品質は、第1プレスステーションにおいて、力測定によってチェックされる。このプレスステーションは、好ましくは、上側および下側加圧ローラを含む加圧ローラステーションとすることができ、第1プレス作業の過程で加えられたプレス圧力は、計測デバイスを使って測定することが可能である。第1プレス作業の過程で加えられたプレス圧力が規定正常範囲から逸脱している場合、不良品が発生した確率が極めて高い。例えば、核タブレットが軽すぎたり重すぎたりしていないかどうか、または該タブレットが、縁高さもしくはタブレット硬度に関して規定の製品特性を逸脱しているかどうかを判定することができる。核タブレットは、取出しステーションによって、迅速且つ高精度で選り分けることが可能である。既知の従来技術では、核タブレットの搬送および保管ステップは、コーティングのためにそれらを第2ロータリプレス中に供給するための品質管理の後で行われる。従来技術における搬送過程での損傷は、コストの高い追加のチェックによってだけ検出することが可能である。このプレス作業は、核タブレットがコーティング中に挿入されるのと同じロータリプレス上で実行されるので、有核タブレットの高品質を確実にすることができる。
【0048】
本発明の或る好適な実施形態において、本ロータリプレスは、第3プレスステーションが第3プレス作業過程におけるプレス圧力を測定するための計測デバイスを備え、ロータリプレスが選別ステーションを含み、該選別ステーションは、第3プレス作業の過程で、第3プレス作業過程におけるプレス圧力に基づいて、有核タブレットを、適切な有核タブレットに対する搬送路または不適切な有核タブレットに対する搬送路に導くように構成される、ことを特徴とする。この実施形態では、好ましくは完成品の品質を監視することが可能である。第3プレス作業において測定されたプレス圧力が規定の正常範囲から逸脱している場合、当該有核タブレットは、選別ステーションによって選り分けられる。選別ステーションは、好ましくは、正常な有核タブレットと不具合な有核タブレットとに対する分離された搬送路を備えた二分式取出しバーを含むことができる。適切な有核タブレットと不適切な有核タブレットとに対する、効率的で高速な選別メカニズムが、単一のロータリプレスに実装可能なことは予想以上のものであった。単一のロータリプレス上での、有核タブレットの品質管理は、核タブレットの品質の監視と併せ、系統的検出エラーを低減するのでシナジーアドバンテージを有する。
【0049】
或る好適な実施形態において、本発明は、本発明またはその好適な実施形態によるロータリプレスを用いて有核タブレットを製造するための方法に関し、本方法は、
a)第1充填ステーションによって、有核タブレットの核のための第1粉体を第1型キャビティの中に添加する(dose)ステップと、
b)第1プレスステーションによって、該第1粉体を核タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
c)ステップb)で測定されたプレス圧力が正常範囲から逸脱する核タブレットを選択的に取出すステップと、
d)第2充填ステーションによって、有核タブレットのコーティングのための第2粉体を第2型キャビティの中に添加するステップと、
e)第2プレスステーションによって、第2粉体を押し固めるステップと、
f)好ましくは回転ゲートを含む搬送デバイスによって、第2型キャビティ中に配置された、押し固められた第2粉体の中に核タブレットを挿入するステップと、
g)第3充填ステーションによって、核タブレットが第2粉体で覆われるように第2粉体を第2型キャビティの中に添加するステップと、
h)第3プレスステーションによって、第2粉体でコートされた核タブレットを有核タブレットに押圧するステップであって、プレス圧力が個別的に測定される、該押圧するステップと、
i)有核タブレットを取出すステップであって、これら有核タブレットは、ステップh)で測定されたプレス圧力に基づいて、適切な有核タブレットに対する搬送路、または不適切な有核タブレットに対する搬送路に選択的に向かわされる、該取出すステップと、
を含む。
【0050】
本方法は、少なくとも3つのプレス作業を逐次的に遂行することが可能で、プレス対象の諸材料は1周回の過程でさらに加工される。これは、従来技術と比べて特殊なさらなる進展である。本方法が、1つのロータリプレス上の1周回の過程で有核タブレットを量産するために使用できることはとりわけ予想以上のものであった。別々のロータリプレス、およびそれらの間でのプレス済み製品の搬送は、有利に必要とされない。本方法は、好ましくは、本発明による、少なくとも3つのプレス作業を実行するのに適したロータリプレスの好適な当該実施形態を用いる。該ロータリプレスの好適な実施形態の技術的特徴について前述した利点は、上記の方法にもまた有利に適用される。例えば、有核タブレットを押圧するための好適なロータリプレスに対して、前述の核が、好ましくは、内側ピッチのサークルに在る第1型キャビティ中で押圧されることが開示される。第1型キャビティの大きさは、好ましくは第2型キャビティの大きさよりも小さく、第2型キャビティは外側ピッチのサークル上に同心円状に配置される。ロータリプレスの好適な実施形態において、これは、後続するコーティングのための、とりわけ穏やかで且つ迅速な核の搬送をもたらす。当業者は、例えば、上記の型キャビティの寸法および型式は、前述の方法においてもまた好ましいこと、および核タブレットの搬送に関して前述した利点もまた本方法に適用されることが理解できよう。
【0051】
本発明を、以降の例を参照して詳細に説明することになるが、本発明はこれらの例には限定はされない。