(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6782829
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】サーキュレーター構造及びそれを使用したスライド装置
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
F16H25/24 J
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-229197(P2019-229197)
(22)【出願日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】108135750
(32)【優先日】2019年10月2日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519453870
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】曾坤成
(72)【発明者】
【氏名】陳向緯
(72)【発明者】
【氏名】蘇明淇
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−043408(JP,U)
【文献】
特開2013−145037(JP,A)
【文献】
特開2017−072197(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102017206583(DE,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2019−0044415(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドベースと共に油路供給ラインを形成するように前記スライドベースに設けられることに適用されるサーキュレーター構造において、
前記スライドベースに接続されるように配置される第1の側面と、前記第1の側面に対向する第2の側面と、前記第1の側面から前記第2の側面に延伸するスクリュー貫通孔と、を有する本体と、
前記スクリュー貫通孔の対向する両側に位置する第1のオイルガイド溝及び第2のオイルガイド溝と、前記スクリュー貫通孔の内壁に位置する上端分流開口、及び下端分流開口を有し、前記スクリュー貫通孔の下方に位置し、且つ前記第1のオイルガイド溝のオイルガイド下端と前記第2のオイルガイド溝のオイルガイド下端がそれぞれ接続される分流溝と、を含み、前記第1の側面に凹設される略Y字形溝と、
それぞれ前記第1の側面の対向する両側に位置するように前記第1の側面に凹設され、前記下端分流開口に連通される一対の還流溝と、
を含む分流サーキュレーター構造。
【請求項2】
前記スライドベースの対向する両側に、第1の給油溝と第2の給油溝を有し、
前記第1のオイルガイド溝のオイルガイド上端が前記スライドベースにおける前記第1の給油溝に接続され、且つ前記第2のオイルガイド溝のオイルガイド上端が前記スライドベースにおける前記第2の給油溝に接続される請求項1に記載のサーキュレーター構造。
【請求項3】
前記還流溝同士は接続通路によって互いに連通され、且つ前記分流溝の前記下端分流開口が前記接続通路の内壁に位置する請求項1に記載のサーキュレーター構造。
【請求項4】
前記分流溝の前記上端分流開口は、前記下端分流開口よりも小さい請求項1に記載のサーキュレーター構造。
【請求項5】
磁石を搭載するように配置される少なくとも1つの搭載部を有し、固定部材によって前記本体の前記第2の側面に固定される固定板を更に含む請求項1に記載のサーキュレーター構造。
【請求項6】
前記本体は、鉛含有ナイロンである請求項1に記載のサーキュレーター構造。
【請求項7】
収容空間を有するレール本体と、
前記収容空間に設けられるスライドベースと、
前記スライドベースのスライドを連動できるように、前記スライドベースに穿設されるスクリューと、
前記スクリューを回転駆動するように配置される駆動ユニットと、
それぞれ前記スライドベースの対向する2つの端面に設けられる一対のサーキュレーター構造と、
を備え、
前記サーキュレーター構造の各々は、
前記スライドベースに接続される第1の側面と、前記第1の側面に対向する第2の側面と、前記第1の側面から前記第2の側面に延伸し且つ前記スクリューが穿設されるスクリュー貫通孔と、を有する本体と、
前記スクリュー貫通孔の対向する両側に位置する第1のオイルガイド溝及び第2のオイルガイド溝と、前記スクリュー貫通孔の内壁に位置する上端分流開口、及び下端分流開口を有し、前記スクリュー貫通孔の下方に位置し、且つ前記第1のオイルガイド溝のオイルガイド下端と前記第2のオイルガイド溝のオイルガイド下端がそれぞれ接続される分流溝と、を含み、前記第1の側面に凹設される略Y字形溝と、
それぞれ前記第1の側面の対向する両側に位置するように前記第1の側面に凹設され、前記下端分流開口に連通される一対の還流溝と、
を含むスライド装置。
【請求項8】
前記スライドベースの対向する両側に、第1の給油溝と第2の給油溝を有し、
前記第1のオイルガイド溝のオイルガイド上端が前記スライドベースにおける前記第1の給油溝に接続され、且つ前記第2のオイルガイド溝のオイルガイド上端が前記スライドベースにおける前記第2の給油溝に接続される請求項7に記載のスライド装置。
【請求項9】
前記還流溝同士は接続通路によって互いに連通され、且つ前記分流溝の前記下端分流開口が前記接続通路の内壁に位置する請求項7に記載のスライド装置。
【請求項10】
前記分流溝の前記上端分流開口は、前記下端分流開口よりも小さい請求項7に記載のスライド装置。
【請求項11】
前記レール本体の前記収容空間を覆い、且つ前記スライドベースの上方に位置する防塵ベルトを更に備え、
前記サーキュレーター構造は、磁石を搭載するように配置される少なくとも1つの搭載部を有し、固定部材によって前記本体の前記第2の側面に設けられる固定板を更に含み、前記磁石が前記防塵ベルトを吸着するように配置される請求項7に記載のスライド装置。
【請求項12】
前記本体は、鉛含有ナイロンである請求項7に記載のスライド装置。
【請求項13】
前記スライドベースは、約32mm以下の高さ及び32mm以下の幅を有する請求項7に記載のスライド装置。
【請求項14】
前記還流溝に、各々のサイズの直径が1mm〜3mmにある複数のボールが設けられる請求項7に記載のスライド装置。
【請求項15】
前記スクリューに嵌設されるように前記スライドベースに設けられるナットと、
対向する両側にそれぞれ締付穴が設けられる板体部と、前記板体部に接続され、前記締付穴の間に設けられ、且つ前記スライドベースの頂部を貫通して前記ナットに位置決めされ、前記締付穴と結ぶ線が前記スライドベースのスライド方向に平行となるロッド部と、を含む固定ピンと、
前記固定ピンを前記スライドベースに固定するように、それぞれ前記締付穴にロックされる2つの固定部材と、
を更に備える請求項7に記載のスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーキュレーター構造及びその適用に関し、特に、スライド装置全体の油路設計を簡素化できるサーキュレーター構造及びその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド装置への潤滑油の供給は、主に、スライド装置におけるスライドとスクリューとの摩耗の問題を回避して、スライド装置の伝達効率を改善するために使用される。現在の潤滑油供給構造では、スライドベースにおける油路とエンドキャップにおける油路を接続するために、油路分岐ブロックを使用することが多い。
【0003】
しかしながら、このような構造では、油路設計が複雑であるだけでなく、部品の数や組み立ての困難性も増大する。そして、潤滑油の伝達が複数の部品を通過する必要があるので、供給速度が遅く、分布が不均一となり、更には油漏れの問題が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本開示の一目的は、スライド装置内の油路分布を簡素化及び整合して、潤滑オイルの供給効率を向上させ、スライド装置全体の製造コストを削減できるサーキュレーター構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の上記目的によれば、スライドベースと共に油路供給ラインを形成するようにスライドベースに設けられることに適用されるサーキュレーター構造において、スライドベースに接続されるように配置される第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、第1の側面から第2の側面に延伸するスクリュー貫通孔と、を有する本体と、スクリュー貫通孔の対向する両側に位置する第1のオイルガイド溝及び第2のオイルガイド溝と、スクリュー貫通孔の内壁に位置する上端分流開口、及び下端分流開口を有し、スクリュー貫通孔の下方に位置し、且つ第1のオイルガイド溝のオイルガイド下端と第2のオイルガイド溝のオイルガイド下端がそれぞれ接続される分流溝と、を含み、第1の側面に凹設される略Y字形溝と、それぞれ第1の側面の対向する両側に位置するように第1の側面に凹設され、下端分流開口に連通される一対の還流溝と、を含む分流サーキュレーター構造を提出する。
【0006】
本開示の一実施例によれば、前記スライドベースの対向する両側に、第1の給油溝と第2の給油溝を有し、第1のオイルガイド溝のオイルガイド上端がスライドベースにおける第1の給油溝に接続され、且つ第2のオイルガイド溝のオイルガイド上端がスライドベースにおける第2の給油溝に接続される。
【0007】
本開示の一実施例によれば、前記還流溝同士は接続通路によって互いに連通され、且つ分流溝の下端分流開口が接続通路の内壁に位置する。
【0008】
本開示の一実施例によれば、前記分流溝の上端分流開口は、下端分流開口よりも小さい。
【0009】
本開示の一実施例によれば、前記サーキュレーター構造は、磁石を搭載するように配置される少なくとも1つの搭載部を有し、固定部材によって本体の第2の側面に固定される固定板を更に含む。
【0010】
本開示の一実施例によれば、前記本体は、鉛含有ナイロンである。
【0011】
本開示の上記目的によれば、収容空間を有するレール本体と、収容空間に設けられるスライドベースと、スライドベースのスライドを連動できるように、スライドベースに穿設されるスクリューと、スクリューを回転駆動するように配置される駆動ユニットと、それぞれスライドベースの対向する2つの端面に設けられる一対のサーキュレーター構造と、を備え、サーキュレーター構造の各々は、スライドベースに接続されるように配置される第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、第1の側面から第2の側面に延伸し、且つスクリューがスクリュー貫通孔に穿設されるスクリュー貫通孔と、を有する本体と、スクリュー貫通孔の対向する両側に位置する第1のオイルガイド溝及び第2のオイルガイド溝と、スクリュー貫通孔の内壁に位置する上端分流開口、及び下端分流開口を有し、スクリュー貫通孔の下方に位置し、第1のオイルガイド溝のオイルガイド下端と第2のオイルガイド溝のオイルガイド下端がそれぞれ接続される分流溝と、を含み、第1の側面に凹設される略Y字形溝と、それぞれ第1の側面の対向する両側に位置するように第1の側面に凹設され、下端分流開口に連通される一対の還流溝と、を含むスライド装置を更に提出する。
【0012】
本開示の一実施例によれば、前記スライドベースの対向する両側に、第1の給油溝と第2の給油溝を有し、第1のオイルガイド溝のオイルガイド上端がスライドベースにおける第1の給油溝に接続され、且つ第2のオイルガイド溝のオイルガイド上端が前記スライドベースにおける第2の給油溝に接続される。
【0013】
本開示の一実施例によれば、前記還流溝同士は接続通路によって互いに連通され、且つ分流溝の下端分流開口が接続通路の内壁に位置する。
【0014】
本開示の一実施例によれば、前記分流溝の上端分流開口は、下端分流開口よりも小さい。
【0015】
本開示の一実施例によれば、前記スライド装置は、レール本体の収容空間を覆い、且つスライドベースの上方に位置する防塵ベルトを更に備え、サーキュレーター構造は、磁石を搭載するように配置される少なくとも1つの搭載部を有し、固定部材によって本体の第2の側面に設けられる固定板を更に含み、磁石が防塵ベルトを吸着するように配置される。
【0016】
本開示の一実施例によれば、前記本体は、鉛含有ナイロンである。
【0017】
本開示の一実施例によれば、前記スライドベースは、約32mm以下の高さ及び32mm以下の幅を有する。
【0018】
本開示の一実施例によれば、前記還流溝に、各々のサイズの直径が1mm〜3mmにある複数のボールが設けられる。
【0019】
本開示の一実施例によれば、前記スライド装置は、スクリューに嵌設されるようにスライドベースに設けられるナットと、対向する両側にそれぞれ締付穴が設けられる板体部と、板体部に接続され、締付穴の間に設けられ、且つスライドベースの頂部を貫通してナットに位置決めされ、締付穴と結ぶ線がスライドベースのスライド方向に平行となるロッド部と、を含む固定ピンと、固定ピンをスライドベースに固定するように、それぞれ締付穴にロックされる2つの固定部材と、を更に備える。
【発明の効果】
【0020】
上記から分かるように、本発明のサーキュレーター構造は、略Y字形溝の設計を有し、スライドベースの油路と直接整合すると共に、潤滑油をスクリュー貫通孔と還流溝に直接分配して、潤滑剤を迅速且つ均等に分配する目的を達成することができる。この設計によれば、スライド装置の関連部品のサイズを小さくすることに加えて、一部の部品の使用を省略し、更にスライド装置全体の組立フロー及び製造コストを簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
下記図面の簡単な説明は、本考案の前記または他の目的、特徴、メリット、実施形態をより分かりやすくするためのものである。
【
図1】本開示の一実施形態によるスライド装置を示す装置模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるスライド装置を示す部分分解模式図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるスライド装置の一部の部品を示す分解模式図である。
【
図4】
図1のA−A断面線に沿って切断した断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるスライド装置を示す部分断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるサーキュレーター構造を示す斜視模式図である。
【
図7】
図1のB−B断面線に沿って切断した断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態によるスライド装置の一部の部品を示す組立模式図である。
【
図9】
図1のC−C断面線に沿って切断した断面図である。
【
図10】
図1のD−D断面線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の一実施形態によるスライド装置を示す装置模式図及び部分分解模式図である
図1及び
図2を同時に参照されたい。本実施形態のスライド装置100は、主に、レール本体110、スライドベース120、スクリュー130、駆動ユニット140、及び一対のサーキュレーター構造200を備える。レール本体110は、方向D1に沿って延伸し、且つ収容空間111を有する。スクリュー130は、スライドベース120と共に収容空間111に設けられ、且つスライドベース120を貫通する。駆動ユニット140は、スクリュー130に接続され、且つスクリュー130を回転駆動して、更にスライドベース120をレール本体110において方向D1に沿ってスライドするように駆動することができる。サーキュレーター構造200は、それぞれスライドベース120の対向する2つの端面(例えば端面120aと端面120b)に設けられ、且つスライドベース120と共に油路供給ラインを形成するように配置される。
【0023】
本開示の一実施形態によるスライド装置の一部の部品を示す分解模式図である
図3、
図1のA−A断面線に沿って切断した断面図である
図4、本開示の一実施形態によるスライド装置を示す部分断面図である
図5を同時に参照されたい。スライドベース120の方向D1に沿った対向する2つの側面は端面120a及び端面120bであり、サーキュレーター構造200がそれぞれ端面120a及び端面120bに設けられる。スライドベース120は、レール本体110に跨れる上部121と、ラック本体110の収容空間111に位置し且つスクリュー130によって貫通される下部122と、を有する。
図4に示すように、スライドベース120は、方向D2に沿ってスライドベース120の上部121の一方の側面から他方の側面に延伸し且つその両端に注油ノズル123が設けられる注油溝121aを有する。また、スライドベース120は、第1の給油溝124及び第2の給油溝125を更に含む。第1の給油溝124は、一端が注油溝121a(
図4及び
図5参照)に連通され、他端がスライドベース120の端面120a(
図3参照)に形成される。同様に、第2の給油溝125は、一端が注油溝121a(
図4参照)に連通され、他端がスライドベース120の端面120a(
図3参照)に形成される。これにより、潤滑油は、注油ノズル123から注油溝121aに入ってから、それぞれ第1の給油溝124と第2の給油溝125を通ってサーキュレーター構造200に入ることができる。
【0024】
図3、
図6及び
図7を同時に参照されたく、
図6は、本開示の一実施形態によるサーキュレーター構造を示す斜視模式図であり、
図7は、
図1のB−B断面線に沿って切断した断面図である。本実施形態のサーキュレーター構造200は、主に、本体210、略Y字形溝220、接続通路230、及び一対の還流溝240を含む。本体210は、第1の側面211、第2の側面212、及びスクリュー貫通孔213を有する。第1の側面211はスライドベース120の表面に接続されることに用いられ、第2の側面212は第1の側面211に対向する。スクリュー貫通孔213は、第1の側面211から第2の側面212に延伸する。本実施例において、略Y字形溝220は、第1の側面211に凹設され、且つ第1のオイルガイド溝221、第2のオイルガイド溝222、及び分流溝223を含む。
図6及び
図7に示すように、第1のオイルガイド溝221と第2のオイルガイド溝222がスクリュー貫通孔213の対向する両側に位置し、分流溝223がスクリュー貫通孔213の下方に位置する。第1のオイルガイド溝221は、オイルガイド上端221a及びオイルガイド下端221bを有し、オイルガイド上端221aがスライドベース120の第1の給油溝124(
図3参照)に接続され、オイルガイド下端221bが分流溝223に連通される。同様に、第2のオイルガイド溝222は、オイルガイド上端222a及びオイルガイド下端222bを有し、オイルガイド上端222aがスライドベース120の第2の給油溝125(
図3参照)に接続され、オイルガイド下端221bが分流溝223に連通される。第1のオイルガイド溝221のオイルガイド上端221aと第2のオイルガイド溝222のオイルガイド上端222aは、それぞれスクリュー貫通孔213の対向する両側から、スクリュー貫通孔213の下方に位置する分流溝223に延伸して、分流溝223と共に略Y字形溝220を形成する。
【0025】
引き続き
図3、
図6及び
図7を参照されたく、還流溝240は、それぞれ前記第1の側面211の対向する両側に位置するように、第1の側面211に凹設される。接続通路230は、分流溝223の下方に位置し、且つそれぞれ還流溝240に接続されるように還流溝240の間に位置する。分流溝223は、上端分流開口223a及び下端分流開口223bを有し、上端分流開口223aがスクリュー貫通孔213に連通され、下端分流開口223bが還流溝240に連通される。一具体的な実施例において、分流溝223が上から下へ延伸し、上端分流開口223aがスクリュー貫通孔213の内壁に位置し、下端分流開口223bが接続通路230の内壁に位置する。これにより、スライドベース120の第1の給油溝124と第2の給油溝125からの潤滑油は、それぞれ略Y字形溝220の第1のオイルガイド溝221と第2のオイルガイド溝222に沿って流れて、分流溝223に合流して、また分流溝223を介してそれぞれスクリュー貫通孔213と還流溝240に輸送される。一実施例において、分流溝223の上端分流開口223aが下端分流開口223bよりも小さくなるように設計されてよいため、分流溝223が潤滑油で満たされた後、潤滑油の一部が大きな圧力で上端分流開口223aからスクリュー貫通孔213に送り出されることができるが、潤滑油の別の部分が重力によって下端分流開口223bから接続通路230と還流溝240に送り出されることができる。前記から分かるように、本発明のサーキュレーター構造200は、主に、略Y字形溝220の設計によって、直接スライドベース120の油路と一体的に連通されて、スライドベース120からの潤滑油を直接スクリュー貫通孔213と還流溝240に分配することで、潤滑油を迅速且つ均一に分配する目的を達成する。この設計によって、スライド装置100の油路設計を簡素化し、部品点数を削減して、スライド装置100全体の体積を減少することができる。一例において、スライドベース120の体積としては、異なる設計要求を満たすように、高さと幅がそれぞれ約32mm以下となるように小さくされてよい。
【0026】
図7に示すように、本実施例において、サーキュレーター構造200が転向部材250及び還流溝240の中に設けられる複数のボール(未図示)を更に含むため、スライドベース120がレール本体110においてスライドする場合、ボールが転向部材250を介してスライドベース120の内部からスライドベース120とレール本体110との間に転がって、更にスライドベース120の内部に戻って、スライドベース120とレール本体110との間の摩擦力を低減することができる。いくつかの実施例において、騒音低減の効果を達成するために、サーキュレーター構造200の本体210は、ボールとサーキュレーター構造200との間の衝突による騒音を吸収することのできる鉛含有ナイロンのものであってよい。一実施例において、ボールの各々は、小体積のスライドベース120に合わせて使用されるように、サイズの直径が1mm〜3mmであってよい。他の実施例において、ボールの摺動するレールとして、レール本体110の内壁におけるボールの設置位置に応じて内蔵型硬化レール112が設けられてよく、レール本体110の負荷能力と強度が更に強められる。
【0027】
別に
図2、
図8及び
図9を同時に参照されたく、
図8は、本開示の一実施形態によるスライド装置の一部の部品を示す組立模式図であり、
図9は、
図1のC−C断面線に沿って切断した断面図である。一実施例において、サーキュレーター構造200は、固定板260を更に含む。固定板260は、固定部材S1(
図9参照)によって本体210の第2の側面212(
図9、
図3参照)に固定される。本実施例において、固定板260は、H字形の屈曲構造である。具体的には、固定板260は、側面からL字状に見え、且つ搭載部261を有する。搭載部261は、磁石M1を搭載するように配置される。本実施例において、スライド装置100は、防塵ベルト150及び上蓋160を更に含む。一例において、防塵ベルト150は、スチールストリップであってよい。防塵ベルト150は、スライドベース120の頂面に位置し且つ方向D1に沿って延伸し、レール本体110の収容空間111を覆う。上蓋160は、スライドベース120に設けられ、防塵ベルト150を上蓋160とスライドベース120との間に位置制限する。これにより、スライドベース120がレール本体110においてスライドする場合、固定板260に設けられる磁石M1は、同時に防塵ベルト150を吸着することで、防塵ベルト150がずれたり反ったりしないようにし、更に防塵ベルト150がレール本体110に密接に接触した状態を維持することができる。
【0028】
別に
図3及び
図10を同時に参照されたく、
図10は、
図1のD−D断面線に沿って切断した断面図である。いくつかの実施例において、スライド装置100は、ナット170、固定ピン180、及び2つの固定部材190を更に備える。ナット170はスライドベース120の内部に設けられ且つスクリュー130に嵌設され、且つ固定ピン180はスライドベース120の頂部を貫通してナット170の中に固定されて、ナット170を位置決める目的を達成する。具体的には、固定ピン180は、板体部181及び板体部181に接続されるロッド部182を含む。板体部181の対向する両側にそれぞれ締付穴181aが設けられ、且つロッド部182が締付穴181aの間に設けられる。これにより、固定ピン180のロッド部182をスライドベース120から貫通させてナット170に挿入した後、2つの固定部材190をそれぞれロッド部182の両側の締付穴181aからスライドベース120の頂部にロックすることで、固定ピン180をスライドベース120に固着することができる。また、本実施例において、ロッド部182と締付穴181aの配列方向は方向D1に平行となり、つまり、固定ピン180の板体部181の延伸方向がスライドベース120のスライド方向に平行となるため、スライドベース120の振動による固定ピン180の受けた横力を低減し、更に固定ピン180の緩みという問題を防止することができる。
【0029】
図1に示す実施例において、駆動ユニット140はベルト型伝動ユニットであるが、これは本発明を限定するためのものではないことは理解されたい。他の適用において、駆動ユニット140は、スクリューを駆動するために、スクリューをカップリングによってモータの軸端に直接接続する直接連結型伝動ユニットであってもよい。
【0030】
本発明の上記の実施形態から分かるように、本発明のサーキュレーター構造は、略Y字形溝の設計を有し、スライドベースの油路と直接整合すると共に、潤滑油をスクリュー貫通孔と還流溝に直接分配して、潤滑剤を迅速且つ均等に分配する目的を達成することができる。この設計によれば、スライド装置の関連部品のサイズを小さくすることに加えて、一部の部品の使用を省略し、更にスライド装置全体の組立フロー及び製造コストを簡素化することができる。
【0031】
本開示を実施例により前述の通りに開示したが、これは本開示を限定するものではなく、当業者なら誰でも、本開示の精神と領域から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0032】
100 スライド装置
110 レール本体
111 収容空間
112 内蔵型硬化レール
120 スライドベース
120a、120b 端面
121 上部
121a 注油溝
122 下部
123 注油ノズル
124 第1の給油溝
125 第2の給油溝
130 スクリュー
140 駆動ユニット
150 防塵ベルト
160 上蓋
170 ナット
180 固定ピン
181 板体部
181a 締付穴
182 ロッド部
190、S1 固定部材
200 サーキュレーター構造
210 本体
211 第1の側面
212 第2の側面
213 スクリュー貫通孔
220 略Y字形溝
221 第1のオイルガイド溝
221a、222a オイルガイド上端
221b、222b オイルガイド下端
222 第2のオイルガイド溝
223 分流溝
223a 上端分流開口
223b 下端方流開口
230 接続通路
240 還流溝
250 転向部材
260 固定板
261 搭載部
D1、D2 方向
M1 磁石
【要約】
【課題】サーキュレーター構造及びそれを使用したスライド装置を提供する。
【解決手段】スライドベースに接続されるように配置される第1の側面と、第2の側面と、スクリュー貫通孔と、を有する本体と、スクリュー貫通孔の対向する両側に位置する第1のオイルガイド溝及び第2のオイルガイド溝と、スクリュー貫通孔の内壁に位置する上端分流開口、及び下端分流開口を有し、スクリュー貫通孔の下方に位置し、且つ第1のオイルガイド溝の下端と第2のオイルガイド溝の下端がそれぞれ接続される分流溝と、を含み、第1の側面に凹設される略Y字形溝と、それぞれ第1の側面の対向する両側に位置するように、第1の側面に凹設され、下端分流開口に連通される一対の還流溝と、を含むサーキュレーター構造。
【選択図】
図6