(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末であって、前記端末が、互いに対向して配置された導電性基板とプリント回路基板とを備え、前記導電性基板の第1の側縁部から前記導電性基板の中心に向かう方向に第1のスロットが配置され、前記導電性基板上の前記プリント回路基板の突出部が前記導電性基板の内側に配置され、
第1のフィーダが前記第1のスロットの内側に配置され、前記第1のフィーダの第1の接続端部が前記第1の側縁部の重ね継手に接続され、前記第1のフィーダの第2の接続端部が前記プリント回路基板上の第1の給電源に接続され、前記導電性基板上の前記第1の側縁部の前記重ね継手の突出部と前記第1の給電源とが、前記第1のスロットの両側に配置され、
前記第1の給電源が前記導電性基板の中心に近い領域に配置されている、
端末。
マッチングネットワークが前記プリント回路基板上に配置され、前記第1のフィーダの前記第2の接続端部は前記マッチングネットワークを介して前記第1の給電源に接続されている、請求項1または2に記載の端末。
前記マッチングネットワークが共振回路を含み、前記共振回路内の共振パラメータが第1のパラメータである場合、前記端末のアンテナ動作帯域は第1の動作帯域であり、前記共振回路内の前記共振パラメータが第2のパラメータである場合、前記端末の前記アンテナ動作帯域は第2の動作帯域であり、前記第1のパラメータは前記第2のパラメータとは異なり、前記第1の動作帯域は前記第2の動作帯域とは異なる、請求項3に記載の端末。
前記第1のスロットと平行になる傾向がある第3のスロットが前記導電性基板上にさらに配置され、前記第3のスロットのスロット位置は、前記端末の表示領域から遠い前記第1のスロットの側に位置し、
前記第3のスロットに対応する第3の給電源が前記プリント回路基板上にさらに配置されている、
請求項2から5のいずれか一項に記載の端末。
第4のスロットが前記導電性基板の前記第1の側縁部から前記中心に向かう方向にさらに配置され、前記第4のスロットに対応する第4の給電源が前記プリント回路基板上にさらに配置され、
第5のスロットが前記導電性基板の前記第2の側縁部から前記中心に向かう方向にさらに配置され、前記第5のスロットに対応する第5の給電源が前記プリント回路基板上にさらに配置され、
前記第4のスロットおよび前記第5のスロットは、前記端末の表示領域から遠い前記第1のスロットの側に配置されている、
請求項2から5のいずれか一項に記載の端末。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、サイドフィードスロットアンテナが実際に端末内で使用されることができるように、サイドフィードスロットアンテナの給電源の位置に関する制限を克服するために端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明の実施形態では以下の技術的解決策が使用される。
【0008】
第1の態様によれば、本発明の一実施形態は端末を提供する。端末は、互いに対向して配置された導電性基板とプリント回路基板とを含み、導電性基板の第1の側縁部から導電性基板の中心に向かう方向に第1のスロットが配置され、ここで、第1のフィーダが第1のスロットの内側に配置され、第1のフィーダの第1の接続端部は第1の側縁部の重ね継手に接続され、第1のフィーダの第2の接続端部はプリント回路基板上の第1の給電源に接続され、導電性基板上の第1の側縁部の重ね継手の突出部と第1の給電源とが、第1のスロットの両側に配置されている。このように、従来のスロットアンテナの設計解決策と比較して、本発明の実施形態によって提供される端末では、第1の給電源を導電性基板の中心に近い領域に配置することができ、その領域を通常はプリント回路基板で覆うことができる。したがって、プリント回路基板上の第1の給電源は第1のフィーダに高周波信号をうまく送信することができ、それによって従来のサイドフィードスロットアンテナでは給電源を導電性基板の側縁部に配置する必要があるという制限を破り、その結果、サイドフィードスロットアンテナを実際に端末で使用することができる。
【0009】
可能な実装形態では、第1の給電源は端末の表示領域に近い側に配置され、重ね継手は端末の表示領域から遠い側に配置される。
【0010】
可能な実装形態では、マッチングネットワークがプリント回路基板上に配置され、第1のフィーダの第2の接続端部はマッチングネットワークを介して第1の給電源に接続される。マッチングネットワークは、第1の給電源によって出力される高周波信号と第1のフィーダによって受信される高周波信号との間の電力伝送関係を調整し、第1の給電源と第1のフィーダとの間でインピーダンス整合が達成されるとき、最大電力伝送が得られる。
【0011】
可能な実装形態では、マッチングネットワークは共振回路を含み、共振回路内の共振パラメータが第1のパラメータであるとき、端末のアンテナ動作帯域は第1の動作帯域であり;共振回路内の共振パラメータが第2のパラメータであるとき、端末のアンテナ動作帯域は第2の動作帯域であり、第1のパラメータは第2のパラメータとは異なり、第1の動作帯域は第2の動作帯域とは異なる。具体的には、共振回路における共振パラメータを異なる値に設定すると、端末のアンテナ動作帯域が変化する。したがって、マッチングネットワークにおける共振パラメータの値を調整することにより、新規なアンテナ構造の動作帯域を変更することができ、それによって、端末は異なるアンテナ動作帯域で無線通信を行うことができる。
【0012】
可能な実装形態では、第2のスロットは、導電性基板の第2の側縁部から導電性基板の中心に向かう方向に配置され、第2のフィーダが第2のスロットの内側に配置され、第2のフィーダの第3の接続端部が第2の側縁部の重ね継手に接続され、第2のフィーダの第4の接続端部がプリント回路基板上の第2の給電源に接続され、導電性基板上の第2の側縁部の重ね継手の突出部と第2の給電源とが、第2のスロットの両側に配置されている。具体的には、前述の新規なアンテナ構造を、端末の第1の側縁部と第2の側縁部の両方に配置することができる。このようにして、端末の両側にある新規なアンテナ構造は、両方とも異なるアンテナ動作帯域での動作をサポートすることができる。この場合、ユーザがどちらかの側から端末を保持し、その結果電磁シールドが生じると、端末は反対側の新規なアンテナ構造を使用することによって無線通信を実行することを選択することができる。
【0013】
可能な実装形態では、第1のスロットと平行になる傾向がある第3のスロットが導電性基板上にさらに配置され、第3のスロットのスロット位置は、端末の表示領域から遠い第1のスロットの側に位置し、第3のスロットに対応する第3の給電源がプリント回路基板上にさらに配置されている。第3の給電源は、比較的低い周波数を有する高周波信号を第3のスロットに供給することができ、それによって第3のスロットは低周波アンテナの機能を実行するために励起される。
【0014】
可能な実装形態では、第4のスロットが導電性基板の第1の側縁部から中心に向かう方向にさらに配置され、第4のスロットに対応する第4の給電源がプリント回路基板上にさらに配置され、第5のスロットが導電性基板の第2の側縁部から中心に向かう方向にさらに配置され、第5のスロットに対応する第5の給電源がプリント回路基板上にさらに配置され、ここで、第4のスロットおよび第5のスロットは、端末の表示領域から遠い第1のスロットの側に配置されている。
【0015】
可能な実装形態では、導電性基板は曲面形状である。
【0016】
可能な実装形態では、導電性基板は端末の金属製ハウジングである。
【0017】
なお、上記態様における導電性基板は、具体的には、金属基板、またはITO(インジウム錫酸化物、Indium tin oxide)基板等の導電性を有する任意の基板であればよい。本発明の実施形態に制限はない。導電性基板は、電磁場の作用下で電磁波を空間に放射するために、アンテナ内の放射部品として使用されてもよい。
【0018】
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、本実施形態または従来技術を説明するために必要な添付図面を以下に簡単に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面を参照して、明確かつ完全に以下に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく、一部にすぎない。
【0021】
さらに、「第1」および「第2」という用語は単に説明を目的としたものであり、相対的重要性の表示または含意、あるいは示された技術的特徴の数量の暗示的な表示として理解されるべきではない。したがって、「第1」または「第2」によって制限される特徴は、1つ以上のそのような特徴を明示的に示すか暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に断りのない限り、「複数の」とは2もしくは2より多いことを意味する。
【0022】
本明細書における「および/または」という用語は、関連オブジェクトを記述するための関連関係のみを記述し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、Aのみが存在する場合、AとBの両方が存在する場合、Bのみが存在する場合、の3つの場合を表すことができる。さらに、本明細書中の文字「/」は一般に、関連するオブジェクト間の「または」関係を示す。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態による端末の概略構成図である。端末は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯型/ウェアラブルデバイス、UMPC(Ultra-mobile Personal Computer、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ)、ネットブック、PDA(Personal Digital Assistant、パーソナルデジタルアシスタント)などとすることができる。本発明の実施形態では、端末が携帯電話である例を説明に用いる。
図2は、本発明の実施形態に関する携帯電話100の一部構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、携帯電話100は、アンテナ160、ベースバンド回路110、RF(radio frequency、高周波)回路120、メモリ130、入力ユニット140、表示ユニット150、オーディオ回路170、プロセッサ180、および電源などの構成要素を含む。当業者は、
図2に示される携帯電話の構造が携帯電話に対するいかなる限定も構成せず、図に示されるものより多いまたは少ない構成要素を含み得ること、またはいくつかの構成要素が組み合わされ得ること、または別の構成要素レイアウトが使用され得ることを理解することができる。
【0025】
以下、
図2を参照して、詳細に携帯電話100の各構成要素について具体的に説明する。
【0026】
RF回路120は、アンテナ160と協働して、情報送受信プロセスまたは呼プロセスにおいて信号を送受信することができる。特に、RF回路120は、アンテナ160を介して基地局によって配信されたダウンリンク情報を受信し、ベースバンド回路110を介して処理のためにプロセッサ180にダウンリンク情報を送信することができる。また、RF回路120は、アンテナ160を介してアップリンクデータを基地局にさらに送信することができる。一般に、RF回路は、少なくとも1つの増幅器、トランシーバ、カプラ、LNA(low noise amplifier、低雑音増幅器)、デュプレクサなどを含むがこれらに限定されない。また、RF回路120は、無線通信を介してネットワークや他の装置とさらに通信することができる。
【0027】
プロセッサ180は、携帯電話100の制御センターであり、各種インタフェースや回線を用いて携帯電話の各部と接続されている。プロセッサ180は、メモリ130に格納されたソフトウェアプログラムおよび/またはモジュールを実行し、メモリ130に格納されたデータを呼び出すことによって、携帯電話100の各種機能およびデータ処理を実行し、それにより、携帯電話全体のモニタリングを行う。任意選択で、プロセッサ180は1つ以上の処理ユニットを含むことができる。
【0028】
プロセッサ180は、アプリケーションプロセッサとモデムプロセッサとを統合することができる。アプリケーションプロセッサは、主にオペレーティングシステム、ユーザインタフェース、アプリケーションプログラムなどを処理する。モデムプロセッサは主に無線通信を処理する。前述のモデムプロセッサは、代替的にプロセッサ180に統合されなくてもよいことが理解され得る。例えば、
図2に示すように、ベースバンド回路110は、プロセッサ180によって生成されたソース信号を変調し、スクランブルし、そして符号化し、最後にRF回路320に符号化されたデジタル信号を入力して、デジタル信号を高周波信号に変換し、アンテナ160を介して電磁波を放射するように構成されるモデムプロセッサとして独立して配置され得る。
【0029】
メモリ130は、ソフトウェアプログラムおよびモジュールを格納するように構成され得る。プロセッサ180は、メモリ130に格納されたソフトウェアプログラムおよびモジュールを実行して、携帯電話100の様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実施する。
【0030】
入力ユニット140は、入力された数字または文字情報を受信し、携帯電話100のユーザ設定および機能制御に関するキー信号入力を生成するように構成され得る。具体的には、入力ユニット140は、タッチパネル141と他の入力装置142とを含むことができる。
【0031】
表示ユニット150は、ユーザによって入力された情報またはユーザに提供された情報と携帯電話100の多様なメニューを表示するように構成され得る。表示ユニット150は表示パネル151を含むことができる。任意選択で、表示パネル
151は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)などを用いて構成され得る。
図2では、タッチスクリーン141および表示パネル151は、携帯電話100の入出力機能を実行するために2つの別々の部分として使用されているが、いくつかの実施形態では、タッチスクリーン141および表示パネル151は統合されて、携帯電話100の入出力機能を実施することができる。
【0032】
オーディオ回路170、スピーカ171、およびマイクロフォン172は、ユーザと携帯電話100との間のオーディオインタフェースを提供し得る。オーディオ回路170は、受信したオーディオデータを電気信号に変換して、電気信号をスピーカ171に送信することができる。スピーカ171は、電気信号を音声信号に変換して出力する。一方、マイクロフォン172は、集音した音声信号を電気信号に変換する。オーディオ回路170は、電気信号を受信して、電気信号をオーディオデータに変換し、オーディオデータをRF回路120に出力して、オーディオデータを他の携帯電話などに送信したり、さらなる処理のためにオーディオデータをメモリ130に出力したりする。
【0033】
携帯電話100は、重力センサ(gravity sensor)、光学式センサ、ジャイロスコープ、気圧計、湿度計、温度計、および赤外線センサなどの他のセンサをさらに含んでもよい。詳細はここでは説明しない。
【0034】
実際の用途では、通常、プロセッサ180、RF回路120、およびベースバンド回路110などの構成要素は、プリント回路基板上に集積されている。携帯電話100は、アンテナ160、表示パネル、バックライト光源などの構成要素を用いてプリント回路基板を組み立てた後に形成される。
【0035】
可能な設計方法では、前述のアンテナ160はスロットアンテナとすることができる。
図3に示すように、スロットアンテナは、具体的には、スロットが配置された導電性基板200と、スロット内のフィーダ22と、プリント回路基板201上に配置されてフィーダ22と接触する給電源21とを含む。
【0036】
図3に示すように、通常、導電性基板200とプリント回路基板201とは対向して配置されている。具体的には、通常、導電性基板200におけるフィーダ22と平行な面と、プリント回路基板201における回路部品と一体化された面とが対向するように配置されている。
【0037】
さらに、プリント回路基板201の給電源21は、高周波信号を出力するための導電性基板200の信号源として解釈されてもよい。例えば、
図3に示すように、高周波回路の出力端を給電源21として用いてもよい。給電源21から出力された高周波信号は、高周波信号をフィーダ22に入力するために、突出ドーム202と突出ドーム202を通るフィーダ22(フィーダ22は導電性基板200のスロットに配置されている)との間の接触を介してフィーダ22に入力され得る。フィーダ22は給電を行い、最後にスロット内の高周波電磁場を励起して上記スロットアンテナから特定の方向に電磁波を放射させることができる。
【0038】
以下の実施形態で言及される第1の側縁部および第2の側縁部は、端末がハンドヘルド装置として使用されるときにユーザの手のひらが接触する可能性がある一群の対向する縁部であることに留意されたい。通常、第1の側縁部および第2の側縁部は、比較的長い縁部長さを有する一群の対向する縁部である。
【0039】
具体的には、本発明の実施形態では、
図4に示すように、導電性基板200において、導電性基板200の第1の側縁部23aから導電性基板の中心に向かう方向に第1のスロット24aが配置され、ここで、第1のフィーダ22aは第1のスロット24aの内側に配置され、第1のフィーダ22aの一方の端部、すなわち第1の接続端部31は第1の側縁部23aの重ね継手Aに接続されており、第1のフィーダ22aの他方の端部、すなわち、第2の接続端部32はプリント回路基板201上の第1の給電源21aに接続されている。重ね継手Aは、第1の側縁部23a上の任意の点でもよいし、第1の側縁部23aに近い任意の点でもよい。また、導電性基板200上の第1のスロット24aの両側に重ね継手Aの突出部と第1の給電源21aとが配置されている。
【0040】
導電性基板200上のプリント回路基板201の突出部は導電性基板200の内側に位置する。具体的には、導電性基板200上のプリント回路基板201の突出部は、第1の側縁部23aまで延びることができない。したがって、
図1に示したスロットアンテナの設計解決策と比較して、本発明の実施形態で提供される端末において、第1の給電源21aは、導電性基板の中心に近い領域に配置されてもよく、その領域は通常、プリント回路基板201によって覆われることができることが分かる。したがって、プリント回路基板201上の第1の給電源21aは第1のフィーダ22aに高周波信号をうまく送信することができ、それによって、従来のサイドフィードスロットアンテナでは給電源を導電性基板200の側縁部に配置する必要があるという制限を破る。
【0041】
本発明の実施形態では、第1のフィーダ22aを重ね継手Aで導電性基板に接続することができるように、第1のフィーダ22aの第1の接続端部31は第1の側縁部23aの重ね継手Aに接続される。このように、第1の給電源21aによって入力された高周波信号は、第1のフィーダ22aを通って第1の側縁部23aのスロットに導かれ、高周波電磁場を励起することができ、その結果、従来のサイドフィードスロットアンテナと同様の放射特性を有する。
【0042】
具体的には、
図5に示すように、第1の給電源21aによって入力される高周波信号が2.35GHzのとき、第1のフィーダ22aの第1の接続端部31が第1の側縁部23aの重ね継手Aに接続されているので、重ね継手Aにおける電流分布状況が変化する(すなわち、重ね継手Aにおける境界条件が変化する)。この場合、従来のサイドフィードスロットアンテナの電流ゼロ点、すなわち重ね継手Aと比較して、導電性基板200上の電流ゼロ点Oは導電性基板の中心に向かってわずかにずれているが、導電性基板200上の電流は、依然として第1のスロット24aに沿って分布している。これは、従来のサイドフィードスロットアンテナの電流分布と基本的に一致している。したがって、本発明の実施形態によって提供されるアンテナ設計解決策を使用することによって、従来のサイドフィードスロットアンテナと同様の放射特性を有する。
【0043】
したがって、本発明の実施形態によって提供される端末におけるアンテナ設計解決策は、従来のサイドフィードスロットアンテナでは、給電源を導電性基板200の側縁部に配置する必要があるという制限を破ることができ、その結果、サイドフィードスロットアンテナを実際に端末で使用することができる。
【0044】
従来のサイドフィードスロットアンテナと本発明の実施形態によって提供されるサイドフィードスロットアンテナとを区別するために、続いて、本発明の実施形態によって提供されるサイドフィードスロットアンテナは、一様に新規なアンテナ構造と呼ばれる。
【0045】
一方、第1のフィーダ22aの第1の接続端部31は第1の側縁部23aの重ね継手Aに接続されているので、第1のフィーダ22aを通過した後、第1の給電源21aから入力される高周波信号は導電性基板200の第1のスロット24aに沿って伝達され、最後に第1の給電源21aに戻って閉ループを形成する。したがって、ループアンテナ(Loop Antenna)と同様の放射特性を有する。
【0046】
具体的には、
図6に示すように、第1の給電源21aによって入力される高周波信号が3.6GHzのとき、第1のフィーダ22aの第1の接続端部31が第1の側縁部23aの重ね継手Aに接続されるので、この場合、導電性基板200上に電流ゼロ点Cが発生し、第1のフィーダ22a上に別の電流ゼロ点C’が発生し、点Cから両側に向かって電流が流れ、最後に、第1のフィーダ22a上の点C’に戻る。これはループアンテナの電流分布と同じである。具体的には、本発明の実施形態によって提供されるアンテナ設計解決策を使用することによって、ループアンテナ(Loop Antenna)の放射特性と同様の放射特性を代替的に有することができる。
【0047】
例えば、
図7は、
図4に示す新規なアンテナ構造を用いて得られる反射減衰量のシミュレーション結果を示している。2GHz〜3.9GHzの周波数領域範囲において、
図4に示される新規なアンテナ構造の反射減衰量は常に−4dB未満であることが分かる。具体的には、1.4GHz〜4GHzの周波数領域では、そのインピーダンス帯域幅の割合は約(3.9GHz〜2GHz)/(4GHz〜1.4GHz)=73%である。また、
図4に示した新規なアンテナ構造を用いて得られる放射効率のシミュレーション結果を
図8に示す。2GHz〜3.9GHzの周波数領域範囲において、
図4に示される新規なアンテナ構造の放射効率は常に−3dBより大きいことが分かる。具体的には、本発明の実施形態によって提供される端末内の新規なアンテナ構造は、より広い動作帯域幅を得ることができる。
【0048】
さらに、前述の新規なアンテナ構造の設計解決策では、導電性基板200上の第1の側縁部23aの重ね継手Aの突出部と第1の給電源21aとが第1のスロット24aの両側に配置されるだけでよいことに留意されたい。例えば、
図4に示すように、第1の給電源21aは端末の表示領域に近い側に位置し、重ね継手Aは端末の表示領域から遠い側に位置している。あるいは、第1の給電源21aが端末の表示領域から遠い側に位置し、重ね継手Aが端末の表示領域に近い側に位置すると特定することもできる。当業者は、実際の経験または要件に基づいて設定を行うことができる。本明細書では本発明の実施形態に制限はない。
【0049】
また、
図9に示すように、プリント回路基板201上にはマッチングネットワーク41がさらに配置されている。この場合、第1のフィーダ22aの第2の接続端部32は、マッチングネットワーク41を介して第1の給電源21aに接続されている。
【0050】
マッチングネットワーク41は、第1の給電源21aによって出力される高周波信号と第1のフィーダ22によって受信される高周波信号との間の電力伝送関係を調整することができ、第1の給電源21aと第1のフィーダ22aとの間のインピーダンス整合が達成されるとき、最大電力伝送が得られる。
【0051】
例えば、マッチングネットワーク41は直接スルー状態にあってもよい。すなわち、マッチングネットワーク41は、コンデンサやインダクタなどの電流の通過を妨げる装置を含まない。
【0052】
あるいは、マッチングネットワーク41は、共振回路を含み得、共振回路内の共振パラメータ(例えば、共振回路内の容量値および/またはインダクタンス値)は調整可能であり、その結果、共振回路内の共振パラメータが異なる値に設定されると、端末のアンテナ動作帯域もそれに応じて変化する。
図10は、マッチングネットワークにおいて異なる容量値Cとインダクタンス値Lとを設定した場合の、
図9に示した新規なアンテナ構造を用いて得られた反射減衰量のシミュレーション結果を示している。異なる容量値Cとインダクタンス値Lを設定すると、共振が発生する帯域および共振量も変化することが分かる。したがって、端末が異なるアンテナ動作帯域で無線通信を行うことができるように、マッチングネットワーク41内の共振パラメータの値を調整することによって、新規なアンテナ構造の動作帯域を変更することができる。
【0053】
さらに、
図11に示すように、
図4または
図9の新規なアンテナ構造に基づいて、前述の端末は、導電性基板200の第2の側縁部23bから導電性基板の中心に向かう方向に配置された第2のスロット24bをさらに含み得る。前述の第1のスロット24aの関連構造と同様に、第2のフィーダ22bが第2のスロット24bの内側に配置され、第2のフィーダ22bの第3の接続端部33が第2の側縁部23bの重ね継手Bに接続され、第2のフィーダ22bの第4の接続端部34は、プリント回路基板201上の第2の給電源21bに接続されており、第2の側縁部23bの重ね継手Bの突出部と導電性基板200上の第2の給電源21bとが第2のスロット24bの両側に配置されている。
【0054】
具体的には、前述の新規なアンテナ構造を、端末の両側の側縁部(第1の側縁部と第2の側縁部)に配置することができる。このようにして、端末の2つの側、すなわち左側と右側にある新規なアンテナ構造は、両方とも異なるアンテナ動作帯域での動作をサポートすることができる。この場合、ユーザが片側から端末を掴むとき、例えば、ユーザが右手で右側から端末を掴むとき、人体は導電性であるため、右側の新規なアンテナ構造は電磁的に遮蔽されてもよい。この場合、端末は、左側の新規なアンテナ構造を使用することによって無線通信を実行することを選択することができる。
【0055】
なお、本発明の実施形態において、重ね継手Aと重ね継手Bとの位置関係、および第2の給電源21bと第1の給電源21aとの位置関係は定義されていない。第1の側縁部23aおよび第2の側縁部23bに対応する新規なアンテナ構造は、完全に同じでも異なっていてもよい。
【0056】
同様に、前述の第1のスロット24aの関連構造と同様に、第2のスロット24bに対応するマッチングネットワークがプリント回路基板201上にさらに配置され、第2のフィーダ22bの第4の接続端部34がマッチングネットワークを介して第1の給電源21bに接続されてもよい。
【0057】
また、
図11に示した新規なアンテナ構造に基づいて、
図12の(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、第1のスロット24aと平行な第3のスロット24cが導電性基板200上にさらに配置され、第3のスロット24cのスロット位置は、端末の表示領域から遠い第1のスロット24aの側の任意の境界に位置してもよい。この場合、第3のスロット24cに対応する第3の給電源(図示せず)がプリント回路基板201上にさらに配置される。
【0058】
このようにして、第3の給電源は、比較的低い周波数を有する高周波信号を第3のスロット24cに給電することができ、それによって第3のスロット24cは励起されて低周波アンテナの機能を実行する。例えば、低周波アンテナはIFA(Invert F Antenna、逆Fアンテナ)の動作原理を使用する。
図13は、
図12に示す新規なアンテナ構造を用いた反射減衰量のシミュレーション結果を示しており、ここで、曲線1は第3のスロット24cが励起された後の反射減衰量であり、曲線2は第1のスロット24aが励起された後の反射減衰量であり、曲線3は、第2のスロット24bが励起された後の反射減衰量である。0.75GHz〜0.85GHzの低周波数帯域では、第3のスロット24cが励振された後に共振が生じることが分かる。約1.8GHzの中周波数帯域では、サイドフィードスロットアンテナの動作モードを実現するために、第1のスロット24aまたは第2のスロット24bが励起された後に共振が生じる。約2.4GHzの高周波帯域では、ループアンテナの動作モードが実現するために、第1のスロット24aまたは第2のスロット24bが励起された後に共振が生じる。このようにして、端末は、3つの帯域、すなわち、低、中、および高周波数帯域で同時に無線通信機能を実現することをサポートする。
【0059】
あるいは、
図11に示す新規なアンテナ構造に基づいて、14に示すように、第4のスロット24dが導電性基板の第1の側縁部23aから中心に向かう方向にさらに配置され、第4のスロット24dに対応する第4の給電源(図示せず)がプリント回路基板201上にさらに配置され、第5のスロット24eが導電性基板の第2の側縁部23bから中心に向かう方向にさらに配置され、第5のスロット24eに対応する第5の給電源(図示せず)がプリント回路基板201上にさらに配置され、ここで、第4のスロット24dおよび第5のスロット24eは、端末の表示領域から遠い第1のスロット24aの側に配置されている。
【0060】
第4のスロット24dおよび第5のスロット24eによって実現される低周波アンテナの動作原理は、
図12の第3のスロット24cによって実現される低周波アンテナの動作原理と同じである。異なる点は、
図14に示す新規なアンテナ構造では、低周波アンテナの動作原理が2つの側、すなわち第1の側縁部23aと第2の側縁部23bとで別々に実現されることである。したがって、3つの帯域、すなわち、低、中、および高周波数帯域において同時に動作可能であることに加えて、新規なアンテナ構造は、任意の2つの側縁部上のアンテナ間でさらに切り替えることができる。例えば、ユーザが端末を右側(第1の側縁部23a)から保持しているとき、ユーザは無線通信を実行するために左側(第2の側縁部23b)の新規なアンテナ構造を使用することを選択することができる。第2のスロット24bと第4のスロット24dは第2の側縁部23bに配置されているので、第2のスロット24bは中周波数帯域と高周波数帯域で端末の動作をサポートすることができ、第4のスロット24dは低周波数帯域における端末の動作をサポートすることができる。したがって、切り替え後、端末は依然として3つの帯域、すなわち低、中、および高周波数帯域で動作することができる。
【0061】
また、前述の導電性基板200を、具体的には、平面形状(
図4または
図9に示すように)とすることもできる。あるいは、
図15に示すように、導電性基板200を代替的に曲面形状とすることもできる。例えば、端末の側縁部がラジアンを有するように設計されている場合には、導電性基板200上の対応する側縁部を代替的に
図15に示すような曲面構造とすることもできる。
【0062】
もちろん、前述の導電性基板200は、端末全体の金属製ハウジングとして使用されてもよい。このように、本実施形態により提供される新規なアンテナ構造を有する端末を用いることにより、新規なアンテナ構造の放射効率を確保することができるだけでなく、端末の外観を考慮することもできる。
【0063】
例えば、第1のスロット24aおよび第2のスロット24bの幅を3mmとすることができ、第1のスロット24aおよび第2のスロット24bの長さを300mmとすることができる。具体的には、1/4波長スロットアンテナ(Quarter-Wavelength Slot Antenna、QWSA)が形成される。もちろん、当業者は、実際の経験または実際の要件に基づいて、第1のスロット24aまたは第2のスロット24bの幅および長さを設定することができる。本発明の実施形態に制限はない。
【0064】
これまでのところ、本発明の実施形態は端末を提供する。端末は、互いに対向して配置された導電性基板とプリント回路基板とを含み、導電性基板の第1の側縁部から導電性基板の中心に向かう方向に第1のスロットが配置され、ここで、第1のフィーダが第1のスロットの内側に配置され、第1のフィーダの第1の接続端部は第1の側縁部の重ね継手に接続され、第1のフィーダの第2の接続端部はプリント回路基板上の第1の給電源に接続され、導電性基板上の第1の側縁部の重ね継手の突出部と第1の給電源とが、第1のスロットの両側に配置されている。このように、第1のフィーダは第1の側縁部の位置で導電性基板に接続されているので、第1の給電源によって入力された高周波信号は第1のフィーダを通って第1の側縁部のスロットに導かれ、従来のサイドフィードスロットアンテナの放射原理を実行することができる。この場合、第1のフィーダの第2の接続端部に接続された第1の給電源は、導電性基板の中心に近い領域に配置され、その領域は通常プリント回路基板によって覆われることができる。したがって、プリント回路基板上の第1の給電源は第1のフィーダに高周波信号をうまく送信することができ、それによって従来のサイドフィードスロットアンテナでは給電源を導電性基板の側縁部に配置する必要があるという制限を破り、その結果、サイドフィードスロットアンテナを実際に端末で使用することができる。
【0065】
当業者であれば、簡便な説明の目的のために、前述の機能モジュールの分割を例示のための一例として考えることを明確に理解されよう。実際の応用において、前述の機能は異なる機能モジュールに割り当てられ、必要に応じて実行されることができ、すなわち装置の内部構造は異なる機能モジュールに分割されて上述の機能の全部または一部を実行する。前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な作動プロセスについては、前述の方法の実施形態における対応するプロセスを参照することができ、詳細は本明細書では説明されない。
【0066】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置、および方法は、他の態様で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、説明した装置の実施形態は単なる例である。例えば、モジュールまたはユニットの部分は単に論理機能の部分であり、実際の実装においては他の部分であってもよい。例えば、複数のユニットまたは構成要素が組み合わされてもよく、または別のシステムに統合されてもよく、あるいは、一部の機能が無視されて、実行されなくてもよい。また、表示されたまたは議論された相互結合または直接的な結合もしくは通信接続は、いくつかのインタフェースを使用することによって実現されてもよい。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電気的に、機械的に、または他の形式で実現されてもよい。
【0067】
別々の部分として記載されたユニットは、物理的に分離されていてもいなくてもよく、ユニットとして表示された部分は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置されていてもよく、または複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。ユニットの一部またはすべては、本実施形態の解決策の目的を達成するために実際のニーズに応じて選択され得る。
【0068】
また、本発明の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに組み込まれてもよく、または各ユニットは、単独で、物理的に存在してもよく、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。統合ユニットは、ハードウェアの形態で実装されてもよく、またはソフトウェア機能ユニットの形態で実装されてもよい。
【0069】
統合ユニットが、ソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売または使用される場合、統合ユニットは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。このような理解に基づいて、基本的に本発明の技術的解決策、または従来技術に寄与する部分、または技術的解決策のすべてもしくは一部は、ソフトウェア製品の形態で実現されてもよい。ソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、本発明の実施形態に記載の方法のステップのすべてまたは一部を実行するために、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置であってもよい)またはプロセッサ(processor)に指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM、Read−Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク、または光ディスクなどの、プログラムコードを格納することができる任意の媒体を含む。
【0070】
説明は、本発明の単なる特定の実装形態であり、本発明の保護範囲を限定することを意図されていない。本発明で開示された技術的範囲内で当業者が容易に考え出す任意の変化または置換は、本発明の保護範囲内に入るものとする。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。