(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782840
(24)【登録日】2020年10月22日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ノズルリングとタービンハウジングとの間にシーリング面を備えるターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
F02B39/00 N
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-524977(P2019-524977)
(86)(22)【出願日】2017年8月28日
(65)【公表番号】特表2019-534421(P2019-534421A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2017071511
(87)【国際公開番号】WO2018099618
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】102016123249.1
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ホスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヴァイスブロート
(72)【発明者】
【氏名】パウル・ショーラー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・レザニナ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ボゼック
【審査官】
小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−183653(JP,A)
【文献】
特開2012−117483(JP,A)
【文献】
特開2012−127280(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01988261(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体を膨張させるためのタービンと、
前記第1の媒体の膨張中に前記タービンで抽出されたエネルギーを利用して第2の媒体を圧縮するための圧縮機と、
を有しており、
前記タービンは、タービンハウジング(1)と、タービンロータと、を備えており、
前記圧縮機は、圧縮機ハウジングと、シャフトを介して前記タービンロータに連結された圧縮機ロータと、を備えており、
前記タービンハウジング(1)と前記圧縮機ハウジングとは、前記タービンハウジング(1)と前記圧縮機ハウジングとの間に配置されるベアリングハウジング(2)にそれぞれ接続されており、前記ベアリングハウジング(2)の中に前記シャフトが取り付けられており、
前記タービンハウジング(1)と前記ベアリングハウジング(2)とは、締結デバイス(5)を介して、前記締結デバイスが第1のセクション(7)で前記タービンハウジング(1)のフランジ(6)に取り付けられかつ第2のセクション(9)で前記ベアリングハウジング(2)のフランジ(10)をカバーする様式で、少なくともこれらセクションにおいて連結されており、
前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)と前記ベアリングハウジング(2)の前記フランジ(10)との間には、ノズルリング(3)の少なくとも1つのフランジ(11)がクランプされており、
前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)と前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)との間において、互いに当接するよう配置されるこれらのフランジ(6,11)の軸方向シーリング面(14,15)間に軸方向シーリング領域(13)が形成されており、
これら軸方向シーリング面(14,15)の少なくとも1つが、平坦な外形から逸脱した外形を有し、
前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)の前記軸方向シーリング面に突出部が形成されており、前記突出部は、前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)の前記軸方向シーリング面の凹部に係合することを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
前記軸方向シーリング面(14,15)の両方が、平坦な外形から逸脱する外形を有することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)の前記軸方向シーリング面(14)に突出部(16)が形成されており、前記突出部(16)は、前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)の前記軸方向シーリング面(15)における凹部(17)に係合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
前記突出部(16)および前記凹部(17)は、ラビリンスシールを形成することを特徴とする請求項3に記載のターボチャージャ。
【請求項5】
2つの前記軸方向シーリング面(14,15)の一方のみが平坦な外形から逸脱する外形を有する一方で、これに対して2つの前記軸方向シーリング面(15,14)の他方が平坦な外形を有することを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項6】
前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)の前記軸方向シーリング面(15)は、平坦な外形の前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)の前記軸方向シーリング面(14)の方向において外側に凸状に湾曲していることを特徴とする請求項5に記載のターボチャージャ。
【請求項7】
前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)の前記軸方向シーリング面(14)は、平坦な外形の前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)の前記軸方向シーリング面(15)の方向において外側に凸状に湾曲していることを特徴とする請求項5に記載のターボチャージャ。
【請求項8】
互いに接するように配置される前記タービンハウジング(1)の前記フランジ(6)の前記軸方向シーリング面(14)と前記ノズルリング(3)の前記フランジ(11)の前記軸方向シーリング面(15)とは、金属面接触していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項9】
前記タービンはラジアルタービンであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターボチャージャに関するものである。特許文献1から、ターボチャージャの基本構造が公知となっている。ターボチャージャは、第1の媒体が膨張されるタービンを備える。ターボチャージャはさらに、第2の媒体が圧縮される、すなわち第1の媒体の膨張中にタービンで抽出されたエネルギーを利用する圧縮機を備える。ターボチャージャのタービンは、タービンハウジングとタービンロータとを備える。ターボチャージャの圧縮機は、圧縮機ハウジングと圧縮機ロータとを備える。タービンのタービンハウジングと圧縮機の圧縮機ハウジングとの間にはベアリングハウジングが配置されており、ベアリングハウジングは、一方の側においてタービンハウジングに接続されており、かつ他方の側において圧縮機ハウジングに接続されている。ベアリングハウジング内にはシャフトが取り付けられており、当該シャフトを介してタービンロータが圧縮機ロータに連結される。
【背景技術】
【0002】
実際には、タービンのタービンハウジングすなわちいわゆるタービン流入ハウジングと、ベアリングハウジングとが、クランプ爪として優先的に設計された締結デバイスを介して互いに接続されることが公知となっている。クランプ爪として優先的に設計されたそうした締結デバイスは、当該締結デバイスの第1のセクションを用いて、締結手段を介してタービンハウジングのフランジに取り付けられており、かつ第2のセクションを用いて少なくともベアリングハウジングのフランジをカバーする。そうした締結デバイスによって、特にノズルリングのフランジと、必要に応じてタービンハウジングのフランジとベアリングハウジングのフランジとの間の熱シールドのフランジとをクランプする間、ベアリングハウジングとタービンハウジングとの結合体が固定される。
【0003】
タービンハウジングは、膨張される第1の媒体、特に膨張される排気ガスで満たされている。タービンハウジングのタービン流入ハウジングは、タービンロータの方向に排気ガスを誘導する。タービン流入ハウジング内は周囲に対して陽圧がある状態となっており、タービン内の陽圧は、第1の媒体の膨張中のエネルギーの抽出を受けて除去される。タービンハウジング、すなわちタービン流入ハウジングとベアリングハウジングとの接続領域において、漏出が発生する可能性があり、それによって、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間の接続領域を介してタービン内で膨張される第1の媒体が周囲に広がる可能性がある。これは不都合である。
【0004】
タービン内で膨張される第1の媒体のそうした漏出を防止するために、実際には特に締結手段のためにより高い締め付けトルクによってタービンハウジングまたはタービン流入ハウジングとベアリングハウジングとの間の固定力が高められ、それによって、クランプ爪として優先的に設計された締結デバイスは、タービンハウジングに取り付けられる。これはまた、締結デバイスとベアリングハウジングとの間のクランプ力も増大させる。ベアリングハウジングと締結デバイスとの間の接触ポイントは、ベアリングハウジングとタービンハウジングまたはタービン流入ハウジングとの熱膨張が異なる結果として、高い相対運動にさらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第10 2013 002 605号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これから出発して、本発明の目的は、改良されたフランジ接続を伴う新しいタイプのターボチャージャを創出することに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1に基づくターボチャージャによって達成される。
【0008】
本発明によれば、互いに当接するよう配置されるタービンハウジングのフランジの軸方向シーリング面とノズルリングのフランジの軸方向シーリング面との間の軸方向シーリング領域が、タービンハウジングのフランジとノズルリングのフランジとの間に形成されており、タービンハウジングのフランジとベアリングハウジングのフランジとの間においてノズルリングのフランジがクランプされており、これら軸方向シーリング面の少なくとも一方が、平坦な外形から逸脱した外形を有する。
【0009】
これによって、タービンハウジングまたはタービン流入ハウジングとベアリングハウジングとの接続ポイントの特に有利なシーリングが実現可能となる。タービン内で膨張される媒体が、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間の接続領域を通って周囲に広がるリスクが低減される。
【0010】
本発明の有利な第1のさらなる展開例によれば、両方の軸方向シーリング面は、平坦な外形から逸脱する外形を有する。優先的には、ノズルリングのフランジの軸方向シーリング面に突出部が形成されており、突出部は、タービンハウジングのフランジの軸方向シーリング面の凹部に係合する。代替的には、タービンハウジングのフランジの軸方向シーリング面に突出部を形成することもでき、突出部は、ノズルリングのフランジの軸方向シーリング面における凹部に係合する。突出部および凹部は、ラビリンスシールを形成する。ベアリングハウジングと、タービンハウジングまたはタービン流入ハウジングと、ノズルリングとの異なる熱膨張の間、突出部は、凹部に押し込まれて、形成されたラビリンスシールのシーリング効果を強化する。タービン内の膨張された媒体が、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間の接続領域を通って周囲に広がるリスクが低減される。
【0011】
本発明の第2の代替的なさらなる展開例によれば、2つの軸方向シーリング面のうちの一方のみが平坦な外形から逸脱する外形を有しており、これに対して2つの軸方向シーリング面の他方が平坦な外形を有する。優先的には、タービンハウジングのフランジの軸方向シーリング面は、平坦な外形のノズルリングのフランジの軸方向シーリング面の方向において外側に凸状に湾曲している。代替的には、ノズルリングのフランジの軸方向シーリング面は、平坦な外形のタービンハウジングのフランジのシーリング面の方向において外側に凸状に湾曲することもできる。ベアリングハウジングと、タービンハウジングまたはタービン流入ハウジングと、ノズルリングとの異なる熱膨張の間、特にノズルリングの熱変形中、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間の接続領域において良好なシーリング効果を確実なものとすることができる。タービン内で膨張される媒体が、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間の接続領域を通って周囲に広がるリスクが低減される。
【0012】
本発明の好ましいさらなる展開例は、従属請求項および以下の説明から得られる。本発明の例示的な実施形態は、図面を用いてより詳細に説明されるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ベアリングハウジングへのタービンハウジングの接続領域における、本発明に基づく第1のターボチャージャを通る断面の抜粋を示す図である。
【
図2】ベアリングハウジングへのタービンハウジングの接続領域における、本発明に基づく第2のターボチャージャを通る断面の抜粋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明はターボチャージャに関するものである。
【0015】
ターボチャージャは、第1の媒体を膨張させるための、特に内燃機関の排気ガスを膨張させるためのタービンを備える。さらにターボチャージャは、第2の媒体、特に給気を圧縮するために、すなわち第1の媒体の膨張中にタービンで抽出されたエネルギーを利用するために、圧縮機を備える。本発明では、タービンは、タービンハウジングとタービンロータとを備える。圧縮機は、圧縮機ハウジングと圧縮機ロータとを備える。圧縮機ロータは、ベアリングハウジング内に取り付けられたシャフトを介してタービンロータに連結されており、ベアリングハウジングは、タービンハウジングと圧縮機ハウジングとの間に配置されており、かつタービンハウジングおよび圧縮機ハウジングの両方に接続されている。本明細書に取り組む当業者であれば、ターボチャージャのこの基本構造には精通している。本発明は、ここではターボチャージャのラジアルタービンとして優先的に設計されたタービンのタービンハウジングとベアリングハウジングとの接続に関連する、ターボチャージャのそうした詳細に関するものである。以下では、
図1および
図2を参照しながら、ターボチャージャのさまざまな例示的な実施形態について説明するが、
図1および
図2はそれぞれ、タービンハウジングをベアリングハウジングに接続する領域におけるターボチャージャの関連する抜粋を示す。
【0016】
ターボチャージャの第1の例示的な実施形態が
図1に示されており、
図1では、タービンハウジングつまりタービンハウジングのタービン流入ハウジング1と、排気ガスターボチャージャのベアリングハウジング2との間の接続ポイントが示されている。さらに
図1は、ノズルリング3および熱シールド4を示す。タービン流入ハウジング1は、締結デバイス5が第1のセクション7ですなわち複数の締結手段8を介してタービン流入ハウジング1のフランジ6に取り付けられ、かつ締結デバイス5が第2のセクション9でこれらセクションにおいてベアリングハウジング2のフランジ10をカバーする様式で、締結デバイス5を介してベアリングハウジング2に接続されている。締結デバイス5はクランプ爪とも称され、かつタービン流入ハウジング1およびベアリングハウジング2を互いに固定する。締結デバイス5は、周方向に見て細分化され得る。
【0017】
図1および
図2に示す例示的な実施形態では、各締結手段8は、タービン流入ハウジング1のフランジ6にねじ込まれるねじ8aと、ねじ8aの他端に作用するナット8bとを備えており、ナット8bを締めることによって、締結デバイス5を介してタービン流入ハウジング1およびベアリングハウジング10に所定の予荷重力を付与できる。その過程で、ノズルリング3のフランジ11と熱シールド4のフランジ12とを、タービン流入ハウジング1のフランジ6とベアリングハウジング2のフランジ10との間にクランプできる。
【0018】
図1のターボチャージャにおいて、タービン流入ハウジング1とベアリングハウジング2との間の接続領域をシールするために、タービン流入ハウジング1のフランジ6とノズルリング3のフランジ11との間において、軸方向シーリング領域13が、互いに当接するよう位置されるタービンハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面14とノズルリングのフランジ11の軸方向シーリング面15との間に形成されるように設けられている。これらの軸方向シーリング面14,15の少なくとも一方、すなわちノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面14および/またはタービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面15は、平坦な外形から逸脱する外形を有する。これにより、タービン流入ハウジング1とベアリングハウジング2とノズルリング3との異なる熱膨張中に、タービン流入ハウジング1とベアリングハウジング2との間の接続領域に、すなわちタービン流入ハウジング1とノズルリング3との間の軸方向シーリング領域13に、特に有利なシーリングを提供できる。
【0019】
図1の例示的な実施形態では、2つの軸方向シーリング面14,15の一方が平坦な外形から逸脱する外形を有しており、これに対して、2つの軸方向シーリング面15,14の他方が平坦な外形を有する。優先的には、平坦な外形から逸脱する外形を有するそのシーリング面14,15は、平坦な外形の他方の軸方向シーリング面の方向において外側に凸状に湾曲している。
【0020】
図1の例示的な実施形態では、タービン流入ハウジング1のフランジ6におけるシーリング面15は、平坦な外形のノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面14の方向において外側に凸状に、すなわち曲率半径Rを有して湾曲している。好ましくはないが、代替的にそうした曲率半径をノズルリング3のフランジ11のシーリング面14に設けることも可能であり、このときシーリング面14は、平坦な外形のタービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面の方向において外側に凸状に湾曲する。
【0021】
図1の例示的な実施形態は、運転中にノズルリング3が熱変形し、このためノズルリング3とタービン流入ハウジング1との間のシーリングに必要な表面圧力をもはや維持することができないという認識に基づいている。ノズルリングの熱変形は、具体的には、特にベアリングハウジング1のフランジ6のシーリング面15の凸状の湾曲によって、すなわちタービン流入ハウジング1のフランジ6のこの凸状に湾曲したシーリング面15上でノズルリング3のフランジ11のシーリング面14自体を回転可能にする様式で利用されており、これによって互いに面するタービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面14とノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面15との間の連続的な線形接触を確実なものとすることができ、その結果、この接続領域を介して排気ガスがその周囲に広がるリスクが回避される。
【0022】
図2は本発明の第2の例示的な実施形態を示しており、
図2のターボチャージャは、特に
図2のターボチャージャにおいてノズルリング3のフランジ11のみが、ベアリングハウジング2のフランジ10とタービン流入ハウジング1のフランジ6との間にクランプされている点で、
図1のターボチャージャとは異なっており、なお
図1のように熱シールド4およびそのフランジ12を備えていない。
【0023】
図2の例示的な実施形態と
図1の例示的な実施形態とは、
図2の例示的な実施形態においてタービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面14およびノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面15の両方が、平坦な外形から逸脱する外形を有する点でさらに異なっている。
【0024】
したがって、
図2の例示的な実施形態では、ノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面14に突出部16が形成されており、当該突出部16は、タービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面15における対応する凹部17内に係合するよう設けられている。突出部16は、横断面において突起状の外形を有しており、かつ周方向に延在している。周方向凹部17に突出部16が相互係合することよって、ラビリンスタイプのシールが形成される。タービン流入ハウジング1、ノズルリング3およびベアリングハウジング2の異なる熱膨張中、突出部16は溝17に押しつけられて、軸方向シーリング領域13におけるシーリング効果を強化する。
【0025】
好ましくはないが、
図2ではノズルリング3のフランジ11のシーリング面14上にある突出部16を、タービン流入ハウジング1のフランジ6のシーリング面15の領域に設けることも可能であり、この場合、対応するよう外形を形成された凹部が、ノズルリング3のフランジ11のシーリング面14に形成される。
【0026】
図2の例示的な実施形態では、タービン流入ハウジング1とベアリングハウジング2との間の接続領域をさらにシールするために、さらなるシーリング要素18が、ベアリングハウジング2のフランジ10とタービン流入ハウジング1のフランジ6との間に配置されている。これは優先的には金属製のシーリング要素18、例えば金属製のOリングまたは金属製のCリングである。さらに、シーリング要素18はグラファイトから構成することもできる。
【0027】
タービン流入ハウジング1のフランジ6とベアリングハウジング2のフランジ10との間に位置決めされかつ軸方向および半径方向の両方においてシールする
図2のシーリング要素18もまた、
図1のターボチャージャとともに使用できる。
【0028】
図1および
図2の両方の例示的な実施形態は、共通して、タービン流入ハウジング1のフランジ6とノズルリング3のフランジ11との間に形成された軸方向シーリング領域13を有しており、軸方向シーリング領域13において、タービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面14とノズルリングのフランジ11の軸方向シーリング面15とは互いに当接するよう配置されている。特に、これらの軸方向シーリング面14,15の間に金属面接触が存在する。タービン流入ハウジング1のフランジ6の軸方向シーリング面14とノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面15との少なくとも一方は、平坦な外形から逸脱する外形を有する。軸方向シーリング面14,15の両方が平坦な外形から逸脱した外形を有する、すなわちノズルリング3のフランジ11の軸方向シーリング面14に形成された周方向の突出部が、タービン流入ハウジング1のフランジ6のシーリング面15に導入された対応する外形の凹部17に係合する
図2のバージョンが特に好ましい。
【符号の説明】
【0029】
1 タービン流入ハウジング
2 ベアリングハウジング
3 ノズルリング
4 熱シールド
5 締結デバイス
6 フランジ
7 セクション
8 締結手段
8a ねじ
8b ナット
9 セクション
10 フランジ
11 フランジ
12 フランジ
13 シーリング領域
14 シーリング面
15 シーリング面
16 突出部
17 凹部
18 シーリング要素