(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782893
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】コネクター保持具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20201102BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/02 502
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-121845(P2018-121845)
(22)【出願日】2018年6月27日
(65)【公開番号】特開2020-418(P2020-418A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】513261783
【氏名又は名称】メディカル・イノベイション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 美千裕
(72)【発明者】
【氏名】片山 正輝
(72)【発明者】
【氏名】山添 真治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 誠一郎
【審査官】
高松 大
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0217088(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/157077(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローテーター部とサムホイール部とを有してカテーテルを貫通させるコネクターを、支持部材に保持させるコネクター保持具であって、
前記支持部材に固定される本体部と、
前記本体部から立ち上がって形成された一対の壁部と、前記一対の壁部に挟まれた空間部と、前記一対の壁部の近傍で前記本体部から立ち上がって前記空間部の底部よりも高く形成された支持部とを有し、前記コネクターの前記ローテーター部が装着される装着部と、
を備え、前記ローテーター部が前記空間部に挿入されると、前記支持部によって前記サムホイール部を前記ローテーター部より高くした傾斜状態が維持されて、前記ローテーター部が前記一対の壁部で弾性支持されることを特徴とするコネクター保持具。
【請求項2】
前記装着部および前記本体部の何れか一方または双方、または前記装着部および前記本体部の一部または全部が柔軟性材料または弾性材料で形成され、前記装着部に前記ローテーター部が弾性支持される、請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項3】
前記装着部は、前記ローテーター部に角度を設定する角度設定部を備える請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項4】
前記装着部は、前記ローテーター部から突出する複数のリブを保持する、請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項5】
前記装着部は、前記ローテーター部の高さ調整部を備える、請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項6】
前記支持部は、前記ローテーター部と前記サムホイール部との間に形成されたブランチ部と、前記コネクターから突出するサイドポート部とを支持することを特徴とする、請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項7】
前記本体部は、前記ローテーター部の中心軸方向と交差方向に張出部を備える、請求項1に記載のコネクター保持具。
【請求項8】
前記本体部は、接着部材により前記支持部材に固定される、請求項1に記載のコネクター保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はたとえば、カテーテルなどの線状部材を貫通させ、その操作に用いられるコネクター保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
クモ膜下出血、脳梗塞、脳出血などの原因となる脳疾患の治療方法の1つに、コイル塞栓術が知られている。このコイル塞栓術では、脳動脈瘤に、プラチナ製コイルなどの塞栓物が詰め込まれ、この施術にカテーテル類が用いられる。斯かる施術具を用いた施術にはYコネクターや保持具などの医療具が必要である。
【0003】
このYコネクターの操作保持に関し、Yコネクターを固定する固定部と一体の載置部が備えられ、この載置部に施術者の片手を置いた状態で、Yコネクターのメインブランチから突出したデリバリデバイスとカテーテル類を指で操作可能な操作補助具が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5124057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血管内治療や検査において、Yコネクターを使用し、カテーテルからの血液の脱血や逆流を防止することが必要である。このため、カテーテルの施術操作は、一方の手でYコネクターを押さえ、他方の手でカテーテルやワイヤーを操作し、両手が必要である。
【0006】
Yコネクターの保持形態では、固定部が特許文献1に記載されているように、メインブランチとサイドポートのY型分岐部を保持している。固定部がYコネクターを保持する強度は保持具とY型分岐部の接触面積に依存することになる。施術中、カテーテル操作でY型分岐部の保持部分に応力が加わると、Yコネクターが移動してしまう。このような移動に対し、施術者はカテーテルを操作する手または他方の手でYコネクターの保持部分を押さえ、Yコネクターの移動を阻止しなければならないという課題がある。
【0007】
施術中、熟練した補助者の協力があれば、理想的であるが、緊急時や不慣れな補助者を伴う場合には、施術者がYコネクターの保持を余儀なくされ、施術者がYコネクターの保持に支配されてしまうと、手の自由度が損なわれるなどの課題がある。
【0008】
Yコネクターは移動や回動を予定しない保持となり、保持具上でYコネクターの回転は想定されず、サイドポートを所望の向きに回動させることができない。つまり、Yコネクターの保持が可能であっても、Yコネクターの着脱ができないばかりか、操作性に乏しいという課題がある。
【0009】
サイドポートの向きを変更するには、Yコネクターの保持具とともに向きを変えなければならないし、迅速な施術が妨げられるという課題がある。
【0010】
そこで、本開示のコネクター保持具の目的は上記課題に鑑み、カテーテルなどの線状材の保持性を改善し、施術者の利便性と施術操作の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示のコネクター保持具は、
ローテーター部とサムホイール部とを有してカテーテルを貫通させるコネクターを
、支持部材に保持させるコネクター保持具であって、前記支持部材に固定される本体部と、
前記本体部から立ち上がって形成された一対の壁部と、前記一対の壁部に挟まれた空間部と、前記一対の壁部の近傍で前記本体部から立ち上がって前記空間部の底部よりも高く形成された支持部とを有し、前記コネクターの
前記ローテーター部が装着される装着部とを備え
、前記ローテーター部が前記空間部に挿入されると、前記支持部によって前記サムホイール部を前記ローテーター部より高くした傾斜状態が維持されて、前記ローテーター部が前記一対の壁部で弾性支持されることを特徴とする。
【0012】
このコネクター保持具において、前記装着部および前記本体部の何れか一方または双方、または前記装着部および前記本体部の一部または全部が柔軟性材料または弾性材料で形成され、前記装着部に前記ローテーター部が弾性支持されてよい。
【0013】
このコネクター保持具において、前記装着部は、前記ローテーター部に角度を設定する角度設定部を備えてよい。
【0014】
このコネクター保持具において、前記装着部は、前記ローテーター部から突出する複数のリブを保持してよい。
【0015】
このコネクター保持具において、前記装着部は、前記ローテーター部の高さ調整部を備えてよい。
【0016】
このコネクター保持具において、
前記支持部は、前記ローテーター部と前記サムホイール部との間に形成されたブランチ部と、前記コネクターから突出するサイドポート部
とを支持
してよい。
【0017】
このコネクター保持具において、前記本体部は、前記ローテーター部の中心軸方向と交差方向に張出部を備えてよい。
【0018】
このコネクター保持具において、前記本体部は、接着部材により前記支持部材に固定されてよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコネクター保持具によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 一方の手でコネクター(ローテーター部)を押さえる手法の代用になり、コネクターの保持または固定が可能な保持具を提供できる。
【0020】
(2) コネクターは、ローテーター部で保持されるので、コネクターの保持性とともに、着脱性や操作性を高めることができる。
【0021】
(3) 人体上のドレープなどの支持部材に固定したコネクター保持具にコネクターを保持させることができ、コネクター保持による支配から施術者の一方の手を開放でき、施術の自由度が高められる。
【0022】
(4) コネクターを貫通する線状材がローテーター部を中心に操作でき、迅速な施術に寄与することができる。
【0023】
(5) ローテーター部を保持するので、線状材からコネクターに作用する応力を装着部に受けて緩衝させることができ、人体上のドレープなどの支持部材に対するコネクター保持具の固定の安定性が高められる。
【0024】
(6) カテーテル交換操作には、長いワイヤー(たとえば、260cm〜300cm)が用いられるが、その際、施術者が両手を広げて操作する必要があり、このとき、片手を解放させることができ、無理なくカテーテルの交換が可能で、かつ交換操作の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施の形態に係るコネクター保持具およびYコネクターを示す分解斜視図である。
【
図2】Yコネクターが装着されたコネクター保持具を示す斜視図である。
【
図4】Aは装着部へのローテーター部の装着前を示す断面図、Bは装着部に装着されたローテーター部を示す断面図である。
【
図5】Yコネクターを装着させたコネクター保持具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、コネクター保持具の一実施の形態を示している。
図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0027】
血管内治療の施術には、デリバリーワイヤー102、ガイディングカテーテル104、マイクロカテーテル、類似カテーテルなどの部材105を挿通させるYコネクター106、このYコネクター106を保持するコネクター保持具2が用いられる。
【0028】
Yコネクター106にはたとえば、サムホイール部108、ブランチ部110、ローテーター部112が備えられる。サムホイール部108には、固定バルブ114、止血バルブ116、オープナー118およびスクリュー120が備えられる。
【0029】
ブランチ部110にはサムホイール部108とローテーター部112との間にメインブランチ部122が備えられる。このメインブランチ部122にはメインブランチ部122の軸方向と交差方向にサイドポート部124が形成されている。
【0030】
ローテーター部112はメインブランチ部122と同心円状の摺動環であり、メインブランチ部122の端部に回転可能に取り付けられている。このローテーター部112には放射状に突出する複数の突出部としてたとえば、4枚のリブ126が備えられる。この例では、90度の角度間隔で配置された各リブ126は、ローテーター部112の円環部128からの突出幅が同一で、その長さがローテーター部112と同一長である。
【0031】
このようなYコネクター106を固定するためのコネクター保持具2には、本体部4および装着部6が備えられ、これら本体部4および装着部6はたとえば、樹脂の一体成形により構成される。
【0032】
本体部4には張出部8が一体に備えられ、その裏面側に接着材層10が備えられる。この本体部4は、人体上に被せられたドレープ、または支持部材に固定される。
【0033】
装着部6には、支持部12、高さ調整部14、高さ調整部材16が備えられる。支持部12および高さ調整部材16には湾曲支持部18が形成されている。高さ調整部14には高さ調整部材16が着脱可能である。これにより、ローテーター部112の高さ調整や角度設定が可能である。
【0034】
このコネクター保持具2には
図2に示すように、ローテーター部112が挿抜され、本体部4にYコネクター106のサムホイール部108側が置かれ、装着部6にローテーター部112を挿入させてYコネクター106が装着される。支持部12が、装着部6の空間部より高く設定されているので、Yコネクター106はサムホイール部108が高く傾斜状態で維持される。高さ調整部14には高さ調整部材16の装着で、Yコネクター106の装着位置が調整される。Yコネクター106のサイドポート部124は、支持部12および高さ調整部材16により支持されている。
【0035】
図3は、コネクター保持具2の平面形状を示している。本体部4はほぼ長方形状の主体部を備え、この主体部の一方の長縁側にはローテーター部112の中心軸方向と交差方向に張出部8が備えられる。
【0036】
装着部6は、本体部4の主体部側の幅より狭い幅に形成されている。この装着部6の挿通口部はガイディングカテーテル104の直径より大きい幅である。
そして、本体部4の周縁部は全て円弧状である。本体部4の裏面側には接着材層10が形成されている。
【0037】
図4のAに示す状態から
図4のBに示す状態にローテーター部112を移動させれば、ローテーター部112のリブ126を装着部6の壁部に当てることができる。この状態からローテーター部112に下方向に加圧すると、ローテーター部112のリブ126が把持された状態で装着部6内に弾性支持されて装着される。これにより、
図5および
図6に示すように、装着部6にYコネクター106のローテーター部112が内包状態で収納され、適当な保持力によって保持され、Yコネクター106はコネクター保持具2に強固に装着される。
【0038】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
(1) 人体上に被せられたドレープなどの支持部材などに設置される本体部4に装着部6が備えられ、この装着部6に着脱可能にYコネクター106を装着し、強固に保持することができる。
【0039】
(2) Yコネクター106は装着部6が備える弾性や柔軟性を利用し、容易に着脱させることができる。
【0040】
(3) 装着部6に対して本体部4は充分な広がりのある平板状であるため、人体や支持部材に対する安定性に優れる。
【0041】
(4) 本体部4は接着材層10を以て人体上に被せられたドレープなどの支持部材に固定でき、Yコネクター106の保持強度が高められるので、施術者がYコネクター106を手で支える必要がなく、Yコネクター106の保持に手を奪われることなく、施術に専念できる。デバイスのデリバリー交換で長いワイヤーやカテーテルが施術者のみで容易にできる。
【0042】
〔他の実施の形態〕
(1) コネクター保持具2の製造材料には柔軟性材料または弾性材料の一例としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の他、熱硬化性樹脂、金属材料を用いてもよい。
【0043】
(2) 上記実施の形態では、デリバリーワイヤー102およびガイディングカテーテル104には任意の角度を設定しているが、この角度は上昇方向または下降方向のいずれでもよい。
【0044】
(3) ローテーター部112の形態について、一例として円環部128およびリブ126を備える場合を説明したが、リブ126に代え、メインブランチ部122に回動可能な角筒体を備え、この角筒体を装着部12に装着可能にしてもよい。
【0045】
(4) 装着部6にはローテーター部112の挿入を案内する案内面を備えてよい。
【0046】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示の技術は、カテーテルなどの線状材を貫通させるコネクターを保持し、施術者の利便性と施術操作の自由度を高めることができ、有益である。
【符号の説明】
【0048】
2 コネクター保持具
4 本体部
6 装着部
8 張出部
10 接着材層
12 支持部
14 高さ調整部
16 高さ調整部材
18 湾曲支持部
102 デリバリーワイヤー
104 ガイディングカテーテル
106 Yコネクター
108 サムホイール部
110 ブランチ部
112 ローテーター部
114 固定バルブ
116 止血バルブ
118 オープナー
120 スクリュー
122 メインブランチ部
124 サイドポート部
126 リブ
128 円環部