特許第6782904号(P6782904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782904
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   E04H17/14 102Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-82260(P2016-82260)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190647(P2017-190647A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】505061447
【氏名又は名称】株式会社アルマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博信
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−043512(JP,U)
【文献】 実開平06−008642(JP,U)
【文献】 特開平11−093920(JP,A)
【文献】 実公昭36−004565(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04G 7/08
E04G 21/32
E04H 17/00
E04H 17/14
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の棒材を連結するための連結具であって、
同一形状の一対の狭持材と、
前記一対の狭持材を連結する連結部材と、
前記一対の狭持材を互いに離反する方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記一対の狭持材は、前記連結部材及び前記付勢部材が取り付けられる中間部と、前記中間部の側に設けられた第1狭持部と、前記中間部の他側に設けられた第2狭持部と、を備え、対向する前記第1狭持部と前記第2狭持部とによって棒材を狭持するものであり、
前記付勢部材の付勢力に抗して前記一対の狭持材を揺動させたときに、向する前記第1狭持部と前記第2狭持部との間隔が拡開することを特徴とする、連結具。
【請求項2】
前記第2狭持部の内側面に、棒材に当接する2箇所の当接部と、この2箇所の当接部の間に設けられたクリアランス形成部と、を備え、
前記第1狭持部と前記第2狭持部とで棒材を狭持したときに、前記2箇所の当接部によって棒材の外周面が支持されるとともに、前記クリアランス形成部によって前記第2狭持部と棒材との間にクリアランスが形成されることを特徴とする、請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記第1狭持部の先端側に第1延出端部が形成されるとともに、前記第2狭持部の先端側に第2延出端部が形成されており、
前記第1延出端部と前記第2延出端部とが挟み込むように押されたときに、反対側の前記第1狭持部と前記第2狭持部との間隔が広がるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒材を連結するための連結具に関し、例えばフェンスの支柱を連結するために使用される連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の連結具として、例えば特許文献1には、S字部材の二つの湾曲面部で2本の棒材の外周の約半周を抱持させ、抱持していない外周の約半周を覆うように相手部材を組み合わせ、相手部材のボルト孔へ挿入したボルトを、S字部材の中間部に形成されたネジ孔へねじ込んで締結するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1409586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の連結具では、棒材の着脱をする際にボルトを着脱する作業が必要となり、作業性が悪かった。また、部品を分解してしまうと、部品を紛失するおそれもあった。
そこで、本発明は、容易に棒材の着脱をすることができ、作業性に優れた連結具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明は、2本の棒材を連結するための連結具であって、同一形状の一対の狭持材と、前記一対の狭持材を連結する連結部材と、前記一対の狭持材を互いに離反する方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記一対の狭持材は、前記連結部材及び前記付勢部材が取り付けられる中間部と、前記中間部の側に設けられた第1狭持部と、前記中間部の他側に設けられた第2狭持部と、を備え、対向する前記第1狭持部と前記第2狭持部とによって棒材を狭持するものであり、前記付勢部材の付勢力に抗して前記一対の狭持材を揺動させたときに、向する前記第1狭持部と前記第2狭持部との間隔が拡開することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記第2狭持部の内側面に、棒材に当接する2箇所の当接部と、この2箇所の当接部の間に設けられたクリアランス形成部と、を備え、前記第1狭持部と前記第2狭持部とで棒材を狭持したときに、前記2箇所の当接部によって棒材の外周面が支持されるとともに、前記クリアランス形成部によって前記第2狭持部と棒材との間にクリアランスが形成されることを特徴とする
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、前記第1狭持部の先端側に第1延出端部が形成されるとともに、前記第2狭持部の先端側に第2延出端部が形成されており、前記第1延出端部と前記第2延出端部とが挟み込むように押されたときに、反対側の前記第1狭持部と前記第2狭持部との間隔が広がるように構成されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、一対の狭持材が対向する狭持部によって棒材を狭持するとともに、付勢部材の付勢力に抗して一対の狭持材を揺動させたときに、対向する狭持部の間隔が拡開するように形成されている。このような構成によれば、一対の狭持材を連結した状態であっても、一対の狭持材を揺動させるだけで、狭持部の間隔を広げて棒材の着脱を行うことができる。よって、ボルトを着脱する作業が不要であり、容易に棒材の着脱をすることができる。また、ボルトやナットなどの部品を紛失することもない。よって、作業性に優れた連結具を提供することができる。
【0010】
なお、連結部材ネジ部材とすれば、ネジの締結によって一対の狭持材の間隔を調整することができる。よって、棒材の太さに合わせて一対の狭持材の間隔を調整することができる。また、一対の狭持材を強固に連結するためにネジを絞めつけたり、逆に、棒材の着脱を容易とするためにネジを緩めたり、といった調整も可能となる。
【0011】
また、勢部材は連結部材の軸に装着されていてもよい。このような構成によれば、一対の狭持材を確実に軸方向に付勢することができる。また、付勢部材の組み付けも容易であるため、製造時やメンテナンス時の作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】連結具をフェンスに取り付けた状態の図である。
図2】連結具の(a)平面図、(b)正面図である。
図3】(a)連結具が棒材を保持している状態の図、(b)狭持材を揺動させた状態の図である。
図4】連結具に取り付けた棒材を互いに離反する方向に傾ける力が加わったときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態に係る連結具10は、2本の棒材41を連結するためのものであり、例えば図1に示すようにフェンス40の支柱を連結するために使用される。この連結具10は、図2に示すように、同形状の一対の狭持材11と、一対の狭持材11を連結する連結部材20と、一対の狭持材11を互いに離反する方向に付勢する付勢部材30と、を備える。
【0015】
狭持材11は、もう一方の狭持材11と協働して棒材41を狭持するための金具である。この狭持材11は、連結部材20及び付勢部材30が取り付けられる中間部12と、中間部12の一側に設けられた第1狭持部13と、中間部12の他側に設けられた第2狭持部14と、を備える。
【0016】
中間部12は、平板状の部位であり、それぞれの狭持材11の中間部12が互いに平行となるように配置されている。この中間部12の外側面には、後述するボルト21の頭部に係合してボルト21の回り止めとして機能するボルト固定溝12aが形成されている。また、この中間部12の内側面は、後述する付勢部材30の付勢力を受けるために平坦に形成されたバネ受面12bとなっている。
【0017】
第1狭持部13は、もう一方の狭持材11の第2狭持部14に対向するように配置され、第2狭持部14と協働して棒材41を狭持するための部位である。この第1狭持部13は、第2狭持部14よりも短く突出している。この第1狭持部13は、内側面が棒材41に臨むようになっており、この内側面に、棒材41に当接する第1当接部13aと、第1当接部13aよりも先端側に設けられた第1クリアランス形成部13bと、を備える。また、第1狭持部13の先端には、第1延出端部13cが形成されている。
【0018】
一方、第2狭持部14は、棒材41の半周を支持するように湾曲して形成されている。この第2狭持部14は、内側面が棒材41に臨むようになっており、この内側面に、棒材41に当接する第2当接部14aと、第2当接部14aよりも先端側で棒材41に当接する第3当接部14bと、第2当接部14aと第3当接部14bとの間に設けられた第2クリアランス形成部14cと、を備える。また、第2狭持部14の先端には、第2延出端部14dが形成されている。
【0019】
この第1狭持部13と第2狭持部14とで棒材41を狭持すると、図3(a)に示すように、少なくとも第1当接部13aと第2当接部14aと第3当接部14bとの3点によって棒材41の外周面が支持され、棒材41が外れないようになっている。言い換えると、棒材41の断面で見たときに、棒材41の外周面で形成される円が、第1当接部13aと第2当接部14aと第3当接部14bとの3点を通過するようになっている。このとき、第1クリアランス形成部13bは、第1当接部13aよりも先端側に、第1狭持部13と棒材41との間にクリアランスを形成している。このクリアランスにより、棒材41を着脱する際に、第1狭持部13と第2狭持部14との間が大きく開口するようになっている(図3(b)参照)。また、第2クリアランス形成部14cは、第2当接部14aと第3当接部14bとの間に、第2狭持部14と棒材41との間にクリアランスを形成している。このクリアランスにより、狭持材11を揺動させたときに、拡開しない側の棒材41の逃げが形成されている(図3(b)参照)。
【0020】
連結部材20は、本実施形態においては図2に示すようにネジ部材で構成されており、具体的には、ボルト21と、ナット22と、座金23と、を備える。ボルト21は、一対の狭持材11の中間部12を貫通するように取り付けられ、頭部が一方の狭持材11のボルト固定溝12aに係合する。一対の狭持材11を貫通したボルト21の先端には、座金23とナット22が取り付けられる。座金23は、ボルト固定溝12aの幅よりも大きく形成されており、ナット22がボルト固定溝12aに入り込むことを防止している。このため、ナット22は回転自在の状態となっており、ナット22を締め付けることで一対の狭持材11が連結できるようになっている。なお、連結部材20は、一対の狭持材11の間に間隙Gが生じうるように一対の狭持材11を連結している。このため、一対の狭持材11がボルト21の軸を中心に互いに揺動可能に連結されている。
【0021】
付勢部材30は、ボルト21の軸に装着された圧縮バネである。この付勢部材30は、一方の狭持材11のバネ受面12bと、他方の狭持材11のバネ受面12bと、の間に配置されて、これらを離反する方向に付勢している。この付勢部材30が設けられることで、一対の狭持材11は互いに接触しないようにボルト21の軸方向に付勢されており、自然状態において一対の狭持材11の間に間隙Gが生じるようになっている。言い換えると、この付勢部材30が一対の狭持材11を互いに離反する方向に付勢しているため、一対の狭持材11が接触するまで連結部材20を締結しなくても、付勢部材30の付勢力を受けるバネ受面12bが平行となる状態で一対の狭持材11が安定している。
【0022】
このような連結具10によれば、付勢部材30の付勢力に抗して一対の狭持材11を揺動させたときに、対向する一対の狭持部(第1狭持部13及び第2狭持部14)の間隔が拡開することで、この一対の狭持部の間に棒材41を着脱することができる。
【0023】
すなわち、図3(b)に示すように、右側の棒材41を着脱したい場合には、右側の第1狭持部13と第2狭持部14との間隔が広がるように一対の狭持材11を揺動させる。例えば棒材41を取り外すときには、取り外す棒材41を斜めに傾けるようにすれば、棒材41がてこの役割を果たし、容易に第1狭持部13と第2狭持部14との間隔を広げることができる。また、着脱する側とは反対側の第1延出端部13cと第2延出端部14dとを指で挟み込むように押しても、着脱する側の第1狭持部13と第2狭持部14との間隔を広げることができる。このように第1狭持部13と第2狭持部14との間隔を広げることで、棒材41を着脱することができる。
【0024】
このとき、着脱する側とは反対側の第1狭持部13と第2狭持部14との間隔が狭まることになるが、第2クリアランス形成部14cによって形成されたクリアランスがあるので、このクリアランスを利用して棒材41が逃げるようになっている(図3(b)の左側の第2クリアランス形成部14cを参照)。このように棒材41の逃げを設けることで、着脱する側とは反対側に取り付けられた棒材41が一対の狭持材11の揺動をロックすることを防止している。
【0025】
なお、一対の狭持材11は、図2(b)に示すように棒材41を取り付けていない状態では、容易に揺動することができる。一方、図3(a)に示すように棒材41を取り付けた状態では、棒材41に対する摩擦が生じるので一対の狭持材11が容易に揺動することができない。よって、棒材41を取り付けていない状態では棒材41の装着が容易である一方で、棒材41を取り付けた状態では棒材41が外れにくくなっており、作業性と安全性とを両立させている。
【0026】
特に、本実施形態においては、第2狭持部14の第3当接部14bによって、棒材41が連結方向(図3における左右方向)に移動できないようにロックされるので、連結具10によって連結された2本の棒材41を互いに引き離すような力が働いた場合でも、棒材41が連結具10から外れないようになっている。すなわち、図3(a)に示すように、一対の狭持材11の中間線C(この中間線Cは、連結具10によって連結された2本の棒材41の中心を結んだ線とも言える)よりも外側まで第3当接部14bが延設されているため、2本の棒材41を互いに引き離すような力が働いた場合でも、棒材41が第3当接部14bに引っ掛かって外れないように形成されている。
【0027】
また、一対の狭持材11は連結部材20を軸にして互いに揺動可能であるため、図4に示すように2本の棒材41を互いに離反する方向に傾ける力が加わっても、棒材41が連結具10から外れないようになっている。すなわち、2本の棒材41が傾いたときに一対の狭持材11が互いに揺動することで、一対の狭持材11のそれぞれの第3当接部14bが棒材41に係合した状態を維持できるので、棒材41が連結具10から外れることがない。
【0028】
このように、2本の棒材41を互いに引き離すような力が働いても棒材41が連結具10から外れないので、意図せずに棒材41が外れることがなく、安全に使用することができる。
【0029】
もちろん、棒材41をより強固に固定したい場合には、棒材41を取り付けた後にボルト21・ナット22を締め付けてもよい。また、棒材41を取り外すときには、棒材41を取り外す前にボルト21・ナット22を緩めてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、一対の狭持材11が対向する狭持部によって棒材41を狭持するとともに、付勢部材30の付勢力に抗して一対の狭持材11を揺動させたときに、対向する狭持部の間隔が拡開するように形成されている。このような構成によれば、一対の狭持材11を連結した状態であっても、一対の狭持材11を揺動させるだけで、狭持部の間隔を広げて棒材41の着脱を行うことができる。よって、ボルト21を着脱する作業が不要であり、容易に棒材41の着脱をすることができる。また、ボルト21やナット22などの部品を紛失することもない。よって、作業性に優れた連結具10を提供することができる。
【0031】
また、連結部材20はネジ部材であるので、ネジの締結によって一対の狭持材11の間隔を調整することができる。よって、棒材41の太さに合わせて一対の狭持材11の間隔を調整することができる。また、一対の狭持材11を強固に連結するためにネジを絞めつけたり、逆に、棒材41の着脱を容易とするためにネジを緩めたり、といった調整も可能となる。
【0032】
また、付勢部材30は連結部材20の軸に装着されている。このような構成によれば、一対の狭持材11を確実に軸方向に付勢することができる。また、付勢部材30の組み付けも容易であるため、製造時やメンテナンス時の作業性がよい。
【0033】
また、狭持材11として同形状の部材を使用しており、その他の部品は汎用品を使用している。よって、専用品としては一種類の狭持材11のみであるので、製造コストを抑制でき、在庫管理も容易である。
【0034】
なお、上記した実施形態においては、連結部材20に六角ボルトを使用しているが、これ以外のものを使用してもよい。例えば、蝶ネジなどの部材を使用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 連結具
11 狭持材
12 中間部
12a ボルト固定溝
12b バネ受面
13 第1狭持部
13a 第1当接部
13b 第1クリアランス形成部
13c 第1延出端部
14 第2狭持部
14a 第2当接部
14b 第3当接部
14c 第2クリアランス形成部
14d 第2延出端部
20 連結部材
21 ボルト
22 ナット
23 座金
30 付勢部材
40 フェンス
41 棒材
G 間隙
C 中間線
図1
図2
図3
図4