(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係るドアシステムについて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドアシステムを示す(a)正面図、(b)芯材部分の拡大断面図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
図3は、
図1のB−B断面図である。
図4は、
図1のC−C断面図である。
【0026】
図1から
図4に示すように、ドアシステム100は、例えば、マンションやアパート等の集合住宅に設置され、隣接する居室等の空間P1,P2を仕切るものである。なお、ドアシステム100は、戸建等の一般の住宅等にも設置可能である。
【0027】
ドアシステム100は、上レール1と、下レール2と、吊元パネル5と、戸先パネル6と、ドア7と、を備えている。
【0028】
上レール1は、天井側に設けられ、吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6の上側に連続して配置されている。
【0029】
図4に示すように、上レール1は、天井面Dに沿って配置され断面視矩形状に形成された上部取付部11と、上部取付部11の下面11Bに設けられ断面視矩形状に形成された上部レール部12と、を有している。
【0030】
上部取付部11及び上部レール部12は、例えば木材や鋼材等で構成されている。上部レール部12は、接着や不図示の固定具により上部取付部11に固定されている。
【0031】
本実施形態では、上部取付部11の断面寸法は、例えば幅50mm、高さ60mmとされている。なお、上部取付部11の下面11Bに凹部(不図示。以下同じ。)が設けられ、断面視矩形状の上部レール部が当該凹部に嵌め込まれて、上部レール部が上部取付部11の下面11Bから下方に突出するように設けられていてもよい。
【0032】
図3に示すように、ドア7が設置される箇所では、上レール1は上部取付部11のみが設けられ、上部レール部12は設けられていない。
【0033】
また、
図4に示すように、上部取付部11の上面11Uには、ゴム材等で構成された弾性材16が設けられていてもよい。弾性材16が設けられた上部取付部11は、ビス等の固定具11Xで天井面Dに固定されている。弾性材16により、天井面Dと上レール1との間の隙間が生じないように構成されている。なお、弾性材16は、吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6の上側に連続して設けられていてもよい。
なお、上部レール部12の下側から、上部取付部11及び弾性材16を貫通するように、ビス等の固定具(不図示)で、上レール1が天井面Dに固定される構成であってもよい。
【0034】
また、吊元パネル5及び戸先パネル6が設置される箇所では、上部取付部11の下面11Bには、上部取付部11の延在方向に沿って、ゴム製のガスケット17が設けられている。ガスケット17は、上部レール部12を挟んで両側(間仕切りパネル3の厚み方向の両側)に設けられている。
【0035】
下レール2は、床側に設けられ、吊元パネル5及び戸先パネル6の下側に連続して配置されている。
【0036】
下レール2は、床面側に設けられている。下レール2は、床面Fに沿って配置され断面視矩形状に形成された下部支持部21と、下部支持部21の上面21Uに設けられ断面視矩形状に形成された下部レール部22と、を有している。下部支持部21及び下部レール部22は、例えば木材や鋼材等で構成されている。
【0037】
下部支持部21の下面21Bには、ゴム材等で構成された弾性材26が設けられていてもよい。下レール2は、下部レール部22の上からビス等の固定具22Xで、下部支持部21及び弾性材26を貫通して床面Fに固定されている。弾性材26により、床面Fと下レール2との間の隙間が生じないように構成されている。
【0038】
本実施形態では、下部支持部21の断面寸法は、例えば幅50mm、高さ35mmとされている。なお、下部支持部21の上面21Uに凹部(不図示。以下同じ。)が設けられ、断面視矩形状の下部レール部が当該凹部に嵌め込まれて、下部レール部が下部支持部21の上面21Uから上方に突出するように設けられていてもよい。
【0039】
吊元パネル5及び戸先パネル6は、板状に形成されている。吊元パネル5及び戸先パネル6は、四方枠状に形成された四方枠30と、四方枠30の内部に設けられた遮音部材40と、四方枠30の両面に設けられた表面材46と、を有している。本実施形態では、吊元パネル5及び戸先パネル6の寸法は、例えば幅250mm、高さ2395mm、厚さ60mmとされている。
【0040】
四方枠30は、上桟31と、下桟34と、上桟31の端部と下桟34の端部とを鉛直方向に連結する縦桟37と、を有している。
【0041】
上桟31は、断面視矩形状に形成され、上面31Uには下方に凹む上部凹溝32が形成されている。上部凹溝32は、上桟31の延在方向に沿って形成されている。
【0042】
上部凹溝32には、上レール1の上部レール部12が嵌め込まれている。上桟31の上面31Uと上部取付部11の下面11Bとの間には、隙間31Sが形成されている。上レール1の上部取付部11に設けられたガスケット17により、隙間31Sの上下方向は塞がれている。
【0043】
下桟34は、断面視矩形状に形成され、下面34Bには上方に凹む下部凹溝35が形成されている。下部凹溝35は、下桟34の延在方向に沿って形成されている。
【0044】
下部凹溝35の下面には、不図示の滑り材が設けられている。滑り材は、下桟34の延在方向に離間して複数設けられている。下部凹溝35には下レール2の下部レール部22が嵌め込まれ、滑り材が下部レール部22の上面に当接している。
【0045】
ドア7側に配置された縦桟37には、ドア7側に向かって突出する戸当たり部37Aが設けられている。戸当たり部37Aは、見込み方向において、ドア7が開く側Qと反対側に設けられている。
【0046】
戸当たり部37Aは、ドア7との隙間を塞ぐゴム材や樹脂材等で構成されたガスケット(閉塞部)38が設けられている。ガスケット38により、戸当たり部37Aとドア7の端部との隙間38Sは塞がれている。なお、
図2では、ドア7側に配置された縦桟37はドア7の厚み方向に分割した2本で構成されているが、一体として1本で構成されていてもよい。
【0047】
また、壁Wに隣接して配置された吊元パネル5の縦桟37の側面には、内方に向かって凹む側部凹溝39が形成されている。側部凹溝39は、縦桟37の延在方向に沿って形成されている。
【0048】
側部凹溝39と壁部Wとの間には、やとい実51が嵌め込まれている。やとい実51は、ビス等の固定具(不図示)により壁部Wに固定されていてもよい。
【0049】
遮音部材40は、隔壁41により多数の空隙部41Sが形成されたハニカム材(芯材)42と、ハニカム材42の空隙部41Sに充填された吸音材43と、を有している。遮音部材40は、例えば上桟31、下桟34、表面材46で囲まれた空間全体にわたって配置されている。なお、遮音性能がさほど必要とされていない場合には、四方枠30の内部に遮音部材40が設けられていない構成や、ハニカム材42のみが設けられていて吸音材43が設けられていなくてもよい。
【0050】
ハニカム材42は、例えば紙や樹脂の材料で断面視六角形のハニカム形状に形成されている。吸音材43として、例えば発砲樹脂等により形成され、空隙部41Sに隙間なく充填されている。なお、芯材は、断面視六角形のものに限られず、多数の空隙部41Sが形成されていれば、断面視円形状、四角形等であってもよい。
【0051】
表面材46は、化粧が施された板材であり、例えばオレフィンシートが貼られた化粧版を採用することができる。
【0052】
図3に示すように、ドア7は、板状に形成されている。ドア7は、四方枠(枠体)70と、四方枠70の内部に設けられた遮音部材40と、四方枠70の両面に設けられた表面材80と、を有している。ドア7は、吊元パネル5の縦桟37に不図示の蝶番により開閉自在に取り付けられている。
【0053】
四方枠70は、ドア7の上部に設けられた一対の上桟71,72を有している。上側の上桟71には、ゴム材や樹脂材等で構成されたガスケット(閉塞部)73が設けられている。ガスケット73により、上桟71の上面7Uと上部取付部11の下面11Bとの間の隙間31Sの上下方向は塞がれている。なお、隙間31Sの高さ寸法は、例えば10mm程である。
【0054】
四方枠70は、ドア7の下側に設けられた下桟75を有している。下桟75の下部には、吸音材76が設けられている。吸音材76は、グラスウール等を採用することができる。
【0055】
吸音材76の下側には、上下方向の貫通孔が形成された有孔板77が設けられている。ドア7の下端部である有孔板77と床面Fとの間には、通気用空隙77Sが形成されている。なお、通気用空隙77Sの高さ寸法は、例えば10〜15mm程度である。
なお、有孔板77の下側に、毛状に形成されたモヘア(不図示)を設けて、ドア7の下面7Bと床面Fとの間の通気用空隙77Sを所定量塞いでもよい。
【0056】
また、四方枠70の内部には、吊元パネル5及び戸先パネル6と同様に、遮音部材40が設けられている。
【0057】
次に、上記のドアシステム100の施工方法について説明する。
まず、上レール1の上部取付部11の上面11Uに弾性材16を貼付し、下レール2の下部支持部21の下面21Bに弾性材26を貼付しておく。さらに、ドア7の上面7Uに、ガスケット73を貼付しておく。
【0058】
そして、弾性材16が貼付された上レール1の上部取付部11を天井面Dに固定具11Xで固定する。この際に、吊元パネル5及び戸先パネル6が設置される箇所では、上レール1の下面に、上部レール部12を固定する。
【0059】
上レール1の上部取付部11の下面11Bに、上部レール部12を挟んで両側にガスケット17を取り付ける。なお、ガスケット17は、上レール1を天井面Dに固定する前の段階で、上部取付部11に取り付けておいてもよい。
【0060】
また、吊元パネル5及び戸先パネル6が設置される箇所に、弾性材26が貼付された下レール2を床面Fに固定具22Xで固定する。
【0061】
次に、予め工場等で製造しておいた吊元パネル5、戸先パネル6及びドア7を用意する。上レール1及び下レール2の延在方向の端部(壁Wと反対側)側に、吊元パネル5を配置する。吊元パネル5の上部凹溝32及び下部凹溝35に、それぞれ上レール1の上部レール部12及び下レール2の下部レール部22を嵌め込み、上レール1及び下レール2に沿って、吊元パネル5を所定の位置までスライドさせる。この際に、吊元パネル5の下端部には不図示の滑り材が設けられているため、スライドさせやすい。
【0062】
吊元パネル5の側部凹溝39にやとい実51を嵌め込み、吊元パネル5を壁部Wに当接させる。
【0063】
吊元パネル5の縦桟37に、蝶番を介してドア7を固定する。次いで、戸先パネル6も吊元パネル5と同様に、所定の位置までスライドさせる。
【0064】
吊元パネル5及び戸先パネル6は、上下端部に設けられた不図示のアングルにより、それぞれ上レール1及び下レール2に固定する。
【0065】
このようにして、吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6は設置される。なお、上レール1と吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6の上端部との間の隙間31Sの上下方向は、ガスケット17により塞がれている。
【0066】
なお、吊元パネル5及び戸先パネル6の上面31Uと上レール1の上部取付部11の下面11Bとの間の隙間31Sの高さが十分にある場合には、吊元パネル5及び戸先パネル6の上部凹溝32に上レール1の上部レール部12を嵌め込み、吊元パネル5及び戸先パネル6を上方に持ち上げた後に、下部凹溝35に下部レール部22を嵌め込んで下方に移動させて、吊元パネル5及び戸先パネル6を上レール1に係止及び下レール2に支持させてもよい。吊元パネル5及び戸先パネル6を上方に持ち上げた際には、ゴム製のガスケット17は弾性変形して圧縮されるが、吊元パネル5及び戸先パネル6を下方に移動させた際に元の状態に戻り、隙間31Sの上下方向は、ガスケット17により塞がれる。
【0067】
このように構成されたドアシステム100では、予め工場等で吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6を製造しておけば、施工現場で、当該吊元パネル5、ドア7及び戸先パネル6を運搬してきて、隣接する空間P1,P2の間に設置するだけで、空間P1,P2の間の出入りを可能とするドア7及び空間P1,P2の間を仕切る壁を設置することができる。よって、ドア枠や戸当たり等の木製品を空間P1,P2の間を仕切る壁等に取り付ける工事が省略され、現場での施工性が向上される。
【0068】
また、ドア7は、四方枠70との両側の表面材80とで囲まれた部分には、隔壁41により多数の空隙部41Sが形成されたハニカム材42が配置され、空隙部41Sには吸音材43が充填されている。よって、ハニカム材42によりドア7の剛性が高められるとともに、吸音材43により遮音性が向上される。
【0069】
また、ドア7の上桟71に設けられたガスケット73により、上桟71の上面7Uと上部取付部11の下面11Bとの間の隙間31Sが塞がれている。また、吊元パネル5及び戸先パネル6の戸当たり部37Aに設けられたガスケット38により、戸当たり部37Aとドア7の端部との隙間38Sは塞がれている。よって、これらの隙間31S,38Sからの音漏れが抑制され、ドアシステム100の遮音性が向上される。
【0070】
また、ドア7の下桟75の下部には、吸音材76が設けられているため、通気用空隙77Sを通過する音は有孔板77を通過して吸音材76により吸音されるため、遮音性が向上される。
【0071】
(変形例)
次に、上記に示す実施形態の変形例について、主に
図5を用いて説明する。
図5に示すように、ドアシステム100Xにおいて、ドア7の上下端部には、それぞれ第一騒音低減機構110が設けられている。また、上レール1の上部取付部11には、ドア7が設置される箇所において、第二騒音低減機構120が設けられている。
【0072】
第一騒音低減機構110は、ドア7の板厚方向に沿う鉛直断面視コ字状をなしている。第一騒音低減機構110は、対向する一対の側壁部111と、一対の側壁部111の一端どうしを連結する底壁部112と、一対の側壁部111の他端に設けられた第一開口形成壁部113と、を有している。側壁部111と底壁部112及び第一開口形成壁部113とは、直交している。
【0073】
第一開口形成壁部113には、第一開口形成壁部113の板厚方向に貫通する第一開口部114が形成されている。第一開口形成壁部113には、第一開口部114のドア7の板厚方向の両側から底壁部112側に延びる隔壁部115が設けられている。
【0074】
第一開口部114及び一対の隔壁部115に沿って、スリット状のスリット状開口部116が形成されている。
【0075】
ドア7の上端部では、底壁部112を上桟72に当接させるととともに、第一開口形成壁部113がドア7の上面7Uに沿って配置されている。スリット状開口部116は、上下方向に開口し、ドア7の幅方向に延びている。
【0076】
また、ドア7の下端部では、底壁部112を下桟75に当接させるととともに、第一開口形成壁部113がドア7の下面7Bに沿って配置されている。スリット状開口部116は、上下方向に開口し、ドア7の幅方向に延びている。
【0077】
第二騒音低減機構120は、第一騒音低減機構110と同様に、一対の側壁部121と、底壁部122と、第二開口形成壁部123と、を有している。
【0078】
第二開口形成壁部123には、第二開口形成壁部123の板厚方向に貫通する第二開口部124が形成されている。第二開口形成壁部123には、第二開口部124のドア7の板厚方向(上レール1の厚み方向)の両側から底壁部122側に延びる隔壁部125が設けられている。
【0079】
第二開口部124及び一対の隔壁部125に沿って、スリット状のスリット状開口部126が形成されている。
【0080】
上レール1に、第二開口形成壁部123が上レール1の下面11Bに沿って配置されている。スリット状開口部126は、上下方向に開口し、ドア7の幅方向に延びている。
【0081】
第一騒音低減機構110と第二騒音低減機構120とは、ドア7が閉まった状態で、第一開口部114と前記第二開口部124とを対向させるように配置されている。
【0082】
図5(b)に示すように、第一騒音低減機構110、第二騒音低減機構120の寸法の一例では、側壁部111,121の長さ寸法Bが30mm、底壁部112,122の長さ寸法Cが30mm、第一開口部114、第二開口部124の幅寸法aが10mm、隔壁部115,125の長さ寸法lが5mmとされている。
【0083】
次に、第一騒音低減機構110、第二騒音低減機構120による騒音低減方法の原理について説明する。ここで、第一騒音低減機構110、第二騒音低減機構120を総称して、騒音低減機構と称する。
【0084】
一般的に、空間を騒音が伝搬するとき、空間の断面(騒音伝搬方向に対して垂直な面)が騒音の波長に比べて半分以下の場合には、騒音は隙間内を平面波として一次元的に伝搬する。
【0085】
ドア7を挟んで一方側の空間(P1またはP2)に騒音源が存在し、騒音源からの騒音が他方側の空間(P2またはP1)に伝搬されるものをする。
【0086】
ドア7の上面7U、上部取付部11の下面11B及び床面Fは、音響的にソフトな状態であることを想定している。音響的にソフトな状態、すなわちドア7の上面7U、上部取付部11の下面11B及び床面Fにおける音響インピーダンス比が0である場合、上流側から伝搬してきた騒音は上流側へ反射され、下流側へ伝搬しないことが知られている。
【0087】
騒音低減機構の各寸法が波長に対して十分に小さい場合、スリット状開口部116,126における音響インピーダンス比Zは、次式(1)で求めることができる。
【0089】
ただし、fは騒音の周波数、cは音速、ρは媒質(空気)密度を表す。また、Vnはスリット状開口部116,126と隔壁部115,125とで囲まれた
図5(b)の斜線部以外の空気の体積で、開口端補正に関連して次式(2)で計算される。なお、式(2)における{}内の第2項が、開口端補正に関連する項である。また、
図5(b)における斜線部の空気は、共鳴器として機能する騒音低減機構の空気層に相当する。
なお、以下の式におけるB,C,a,lは、
図5(b)に示す部分の寸法である。また、Aは騒音低減機構の延在長さ(ドア7の幅方向の長さ)寸法である。
【0091】
また、Vは騒音低減装置の空洞部の体積(空気層の体積)で、次式(3)で計算される。
【0093】
また、Sはスリット状開口部の面積で、次式(4)で計算される。
【0095】
式(1)の右辺第1項のrは、共鳴器として機能する騒音低減装置の隔壁部115,125表面と空気との間に生じる摩擦等の音響抵抗である。隔壁部115,125を金属等表面が平滑な材料で構成する場合、音響抵抗rは極めて小さな値となり、次式(5)を満足する共鳴周波数fにおいてスリット状開口部116,126の開口における音響インピーダンス比Zがほぼ0となる。
【0097】
このような共鳴器として機能する2つの騒音低減装置を、上レール1及びドア7の上端部に対向配置すると、上記の周波数においては対向するスリット状開口部116,126が音響的にソフトな状態となり、上流側から伝搬してきた周波数fの騒音は上流側へ反射され、下流側に伝搬しない。つまり、騒音源側の空間側から入射した騒音が、ドア7の上部において、ドア7の上面7Uと上部取付部11の下面11Bとの間の隙間31Sを通過することが抑制される。
【0098】
また、ドア7の下部において、通気用空隙77Sが騒音の音波の波長に対して短く、床面Fの音圧反射率が互い場合には、同様に、騒音が通気用空隙77Sを通過することが抑制される。
【0099】
また、ドア7の表面材80の裏面(四方枠70側の面)には、ボード材や合板等の裏打ち材81が設けられている。裏打ち材81は、上端部がドア7の上桟72に当接するとともに、下端部が下桟75に当接するように配置されている。裏打ち材81を設けることで、表面材80と合わせて面材の質量が増加するため、遮音性は向上する。
また、裏打ち材81とドア7の上桟72との間及び下桟75との間に隙間があると、一般的に、当該隙間からの透過音により全体の遮音性能が低下する。本発明では、裏打ち材81はその上端部と上桟72との間及び下端部と下桟75との間に隙間が生じないように配置されているため、透過音による遮音性能の低下が防止される。
なお、裏打ち材81は一対の表面材80の両方に設けられていることが好ましいが、一方の表面材80のみに設けられていてもよい。
【0100】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0101】
例えば、遮音部材40として、ドア7の表面材80の裏面に、不図示の制振材を設けてもよい。ゴム系、合金系、アスファルト系、高分子系等の制振部材を、裏打ち材81のように表面材80の裏面に貼付してもよい。あるいは、合成樹脂、天然樹脂、ゴム等の高分子材、可塑剤、効果促進剤等の補助剤、溶剤、充填材、発泡剤、着色顔料等で構成される制振塗料(塗布型制振材)を、表面材80の裏面に塗装してもよい。これらの塗装により形成される制振コーティング層が伸縮変形することにより、熱エネルギーへ変換され、振動を抑制することができる。また、アクリル樹脂と、振動を摩擦熱に変換するための無機粒子とを主成分とする制振塗料であってもよい。これら制振部材及び制振塗料により、遮音性が向上する。
なお、制振材は一対の表面材80の両方に設けられていることが好ましいが、一方の表面材80のみに設けられていてもよい。