特許第6782952号(P6782952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6782952
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】プラズマ生成装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20201102BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20201102BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20201102BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20201102BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20201102BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H05H1/24
   B01J19/08
   C23C16/505
   C23C16/455
   C23C16/54
   H01L21/302
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-541606(P2020-541606)
(86)(22)【出願日】2020年4月27日
(86)【国際出願番号】JP2020017916
【審査請求日】2020年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2019-87983(P2019-87983)
(32)【優先日】2019年5月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000129471
【氏名又は名称】株式会社クメタ製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】河村 尚寿
(72)【発明者】
【氏名】永津 雅章
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−151295(JP,A)
【文献】 特開2000−167336(JP,A)
【文献】 特開2007−317501(JP,A)
【文献】 特開2013−089285(JP,A)
【文献】 特開2007−294414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
H01L 21/3065
B01J 19/08
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺に延びる導体を誘電体で覆った予備放電電極と、
前記予備放電電極に隣接配置されて同予備放電電極に沿って延びる共通放電電極と、
前記予備放電電極と前記共通放電電極との間に交流電圧を印加して予備プラズマを発生させるための予備放電電源と、
前記共通放電電極に対して前記予備放電電極よりも離れた位置に前記共通放電電極および前記予備放電電極にそれぞれ対向した状態で延びる主放電電極と、
前記主放電電極と前記予備放電電極および前記共通放電電極との間に配置されて前記予備放電電極、前記共通放電電極および前記主放電電極に沿って延びる誘電体からなる主放電用誘電体と、
前記主放電電極と前記共通放電電極との間に交流電圧を印加して主プラズマを発生させるための主放電電源とを備え、
前記共通放電電極は、
前記予備放電電極に隣接する位置に同予備放電電極の延びる方向に沿ってプラズマガスを出力させるプラズマガス出力口を備えることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載したプラズマ生成装置において、
前記プラズマガス出力口は、
前記予備放電電極の両側にそれぞれ形成されていることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したプラズマ生成装置において、
前記プラズマガス出力口は、
前記予備放電電極の延びる方向に沿って形成された複数の孔で構成されていることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載したプラズマ生成装置において、
前記プラズマガス出力口は、
前記予備放電電極の両側にそれぞれ形成されているとともに、前記両側のうちの一方側の前記プラズマガス出力口を構成する各孔は他方側の前記プラズマガス出力口を構成する各孔に対してずれた位置にそれぞれ形成されていることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載したプラズマ生成装置において、さらに、
前記プラズマガス出力口に面した状態で同プラズマガス出力口に供給される前記プラズマガスを一時的に貯留するプラズマガスジャケットを備えることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載したプラズマ生成装置において、さらに、
前記プラズマガスジャケットは、
多数の貫通孔を有した多孔体を有しており、前記プラズマガスを前記多孔体を介して前記プラズマガス出力口に導くことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載したプラズマ生成装置において、さらに、
前記プラズマガスジャケットに隣接して設けられて同プラズマガスジャケット内の前記プラズマガスを冷却する冷却器を備えることを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載したプラズマ生成装置において、
前記主放電電極は、
前記主放電用誘電体に向けて前記プラズマガスを出力させる第2プラズマガス出力口を備えることを特徴とするプラズマ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧下でも生成可能なプラズマ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アッシング、エッチングまたは被膜形成などの表面処理、接着性や濡れ性の改善または表面硬化などの表面改質、および医療器具や食べ物の洗浄や殺菌などの洗浄殺菌処理にプラズマ生成装置が用いられている。例えば、下記特許文献1には、誘電体で覆われた主電極の両側に誘電体で覆われた側電極を予備放電領域を介して配置したフラットパネルディスプレイまたは太陽電池の製造用のプラズマ生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−268170号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示されたプラズマ生成装置においては、主電極と側電極との間の予備放電領域がプラズマガスの流路も兼ねているため、予備放電領域の隙間の幅を含む形状がプラズマガスの流路としても機能するように設計しなければならず、予備放電領域の設計の自由度が低いという問題がある。また、上記プラズマ生成装置においては、予備放電領域の隙間が狭いためプラズマ処理空間に十分なプラズマガスを供給することができない場合もありプラズマ処理空間を広く形成することが困難であるという問題もある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、予備放電領域の設計の自由度を広げるとともにプラズマによる処理空間を広げることもできるプラズマ生成装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、長尺に延びる導体を誘電体で覆った予備放電電極と、予備放電電極に隣接配置されて同予備放電電極に沿って延びる共通放電電極と、予備放電電極と共通放電電極との間に交流電圧を印加して予備プラズマを発生させるための予備放電電源と、共通放電電極に対して予備放電電極よりも離れた位置に共通放電電極および予備放電電極にそれぞれ対向した状態で延びる主放電電極と、主放電電極と予備放電電極および共通放電電極との間に配置されて予備放電電極、共通放電電極および主放電電極に沿って延びる誘電体からなる主放電用誘電体と、主放電電極と共通放電電極との間に交流電圧を印加して主プラズマを発生させるための主放電電源とを備え、共通放電電極は、予備放電電極に隣接する位置に同予備放電電極の延びる方向に沿ってプラズマガスを出力させるプラズマガス出力口を備えることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガスを出力させるプラズマガス出力口が予備放電電極に隣接する共通放電電極に同予備放電電極に沿って形成されているため予備放電電極と共通放電電極との間の予備プラズマを生じさせる領域の設計の自由度を広げることができる。このことは、予備プラズマの発生のし易さのみに着目して予備放電電極と共通放電電極との間の予備プラズマを生じさせる領域を設定できることを意味しており、予備プラズマを効果的に発生させることができることを意味している。また、本発明に係るプラズマ生成装置は、予備放電電極と共通放電電極との間の予備プラズマを生じさせる領域の幅を狭く形成してもプラズマガスの流量を自由に設定することができ主プラズマによる処理空間を広げることもできる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、プラズマガス出力口は、予備放電電極の両側にそれぞれ形成されていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガス出力口が予備放電電極の両側にそれぞれ形成されているため、より広範で均一なプラズマガス雰囲気を形成することができ効果的に主プラズマによる処理空間を広げることができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、プラズマガス出力口は、予備放電電極の延びる方向に沿って形成された複数の孔で構成されていることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガス出力口が予備放電電極の延びる方向に沿って形成された複数の孔で構成されているため、共通放電電極の剛性を確保し易いとともにプラズマガス出力口への異物の侵入を防止することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、プラズマガス出力口は、予備放電電極の両側にそれぞれ形成されているとともに、前記両側のうちの一方側のプラズマガス出力口を構成する各孔は他方側のプラズマガス出力口を構成する各孔に対してずれた位置にそれぞれ形成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガス出力口が予備放電電極の両側にそれぞれ形成されるとともに、これらの両側のうちの一方側のプラズマガス出力口を構成する各孔と他方側のプラズマガス出力口を構成する各孔とが互いにずれた位置にそれぞれ形成されているため、出力されたプラズマガスのムラを抑制して均一な主プラズマを生成することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、さらに、プラズマガス出力口に面した状態で同プラズマガス出力口に供給されるプラズマガスを一時的に貯留するプラズマガスジャケットを備えることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガス出力口に面した状態で同プラズマガス出力口に供給されるプラズマガスを一時的に貯留するプラズマガスジャケットを備えているため、プラズマガス出力口を構成する一つの孔内においてまたは複数の孔同士間でムラのないプラズマガスを出力させることができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、さらに、プラズマガスジャケットは、多数の貫通孔を有した多孔体を有しており、プラズマガスを多孔体を介してプラズマガス出力口に導くことにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガスジャケットが多数の貫通孔を有した多孔体を有しておりプラズマガスをこの多孔体を介してプラズマガス出力口に導くため、プラズマガス出力口を構成する一つの孔内または複数の孔間でムラのないプラズマガスを出力させることができる。この場合、多孔体としては、板状体に多数の貫通孔を形成したパンチングプレートのほか、無数の空洞を有したスポンジまたは繊維の集合体などの多孔質体で構成することができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、さらに、プラズマガスジャケットに隣接して設けられて同プラズマガスジャケット内のプラズマガスを冷却する冷却器を備えることにある。
【0019】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、プラズマガスジャケットに隣接して設けられて同プラズマガスジャケット内のプラズマガスを冷却する冷却器を備えているため、プラズマガスを介して予備放電電極、共通放電電極および主放電電極を冷却することができるとともに被処理物の加熱も防止することができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記プラズマ生成装置において、主放電電極は、主放電用誘電体に向けてプラズマガスを出力させる第2プラズマガス出力口を備えることにある。
【0021】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、プラズマ生成装置は、主放電電極は、主放電用誘電体に向けてプラズマガスを出力させる第2プラズマガス出力口を備えているため、主放電用誘電体に対して主放電電極側にプラズマガスを供給することができ主プラズマを早期にかつ広範な範囲で発生および維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るプラズマ生成装置の構成の概略を模式的に示した側面断面図である。
図2図1に示すプラズマ生成装置の構成の概略を模式的に示した正面断面図である。
図3図1に示すプラズマ生成装置における予備放電電極を備えた共通放電電極の外観構成を模式的に示した平面図である。
図4図1に示すプラズマ生成装置における共通電極の外観構成を模式的に示した底面図である。
図5図1に示すプラズマ生成装置におけるジャケット覆い体の外観構成を模式的に示した底面図である。
図6図2に示すプラズマ生成装置における予備放電電極と共通放電電極との間に交流電圧を印加して予備プラズマを生成した状態を模式的に示す正面図である。
図7図2に示すプラズマ生成装置における予備放電電極と共通放電電極との間および主放電電極および共通放電電極との間にそれぞれ交流電圧を印加して主プラズマを生成した状態を模式的に示す正面図である。
図8】本発明の変形例に係るプラズマ生成装置における予備放電電極を備えた共通放電電極の外観構成を模式的に示した平面図である。
図9】本発明の変形例に係るプラズマ生成装置の構成の概略を模式的に示した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るプラズマ生成装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るプラズマ生成装置100の構成の概略を模式的に示した側面断面図である。また、図2は、図1に示すプラズマ生成装置100の構成の概略を模式的に示した正面断面図である。また、図3は、図1に示すプラズマ生成装置100における予備放電電極101を備えた共通放電電極104の外観構成を模式的に示した平面図である。なお、本明細書において参照する図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このプラズマ生成装置100は、標準大気圧の大気に開放された環境下でプラズマを生成して食品からなる被処理物WKに照射して殺菌する機械装置である。
【0024】
(プラズマ生成装置100の構成)
プラズマ生成装置100は、4つの予備放電電極101を備えている。各予備放電電極101は、予備プラズマPを発生させるための部品であり、それぞれ長尺に延びる棒状に形成されている。これらの各予備放電電極101は、主として、導体102および予備放電用誘電体103をそれぞれ備えて構成されている。
【0025】
導体102は、後述する共通放電電極104と対を構成する電極であり、導電性を有する材料を長尺に延ばして形成されている。本実施形態においては、導体102は、直径1.8mmで長さが250mmの銅線で構成されている。なお、導体102は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタンまたはアルミニウム材など銅以外の材料で構成することもできる。この導体102は、後述する予備放電電源150に電気的に接続されているとともにアース151を介して接地されている。
【0026】
予備放電用誘電体103は、導体102を覆うとともに導体102と共通放電電極104との間で両者を電気的に絶縁するための部品であり、導体102を覆う大きさの不導体で構成されている。本実施形態においては、予備放電用誘電体103は、石英材を直径が4mm、内径が2mmおよび長さが230mmの有底円筒状に形成した透明な石英管で構成されている。
【0027】
なお、予備放電用誘電体103は、導体102を覆う不導電体であれば良く、例えば、半透明または不透明のガラス、ガラス以外のセラミック材、樹脂材またはゴム材などで構成することもできる。また、導体102および予備放電用誘電体103からなる予備放電電極101の大きさは、予備プラズマPを生成する必要性に応じて適宜設計されるものであり、本実施形態に限定されるものではないことは当然である。この予備放電用誘電体103は、導体102における予備放電電源150に接続される端部を露出させた状態で同端部以外の部分を収容して共通放電電極104に支持されている。
【0028】
共通放電電極104は、予備放電電極101と対を構成して予備プラズマPを発生させるとともに主放電電極120と対を構成して主プラズマPを発生させるための部品であり、導電性を有する材料を長尺に延ばして形成されている。より具体的には、共通放電電極104は、予備放電電極101に沿って長尺に延びるとともに主放電電極120に対して対向する板状体で構成されている。本実施形態においては、共通放電電極104は、アルミニウム材を長さが200mm、幅が60mmおよび厚さが15mmの板状体に形成して構成されている。なお、共通放電電極104は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタンまたは銅などアルミニウム材以外の材料で構成することもできる。
【0029】
この共通放電電極104には、主放電電極120に対向する主電極対向面104aに電極収容部105が形成されているとともにこの電極収容部105に沿ってプラズマガス出力口106が形成されている。また、共通放電電極104には、主電極対向面104aおよび電極収容部105の裏側にプラズマガスジャケット110が形成されている。
【0030】
主電極対向面104aは、主放電電極120に面して主プラズマPを発生させるための部分であり、主放電電極120と平行な平面状に形成されている。この場合、主電極対向面104aは、共通放電電極104の長手方向および同長手方向に直交する幅方向の各端部および電極収容部105が開口する縁部分がそれぞれ丸みを帯びた曲面形状に形成されて局所的な放電が発生すること防止している。
【0031】
電極収容部105は、4つの予備放電電極101をそれぞれ収容する部分であり、各予備放電電極101に沿って凹状に窪んで延びる溝状に形成されている。より具体的には、電極収容部105は、予備放電電極101における主放電電極120側の外表面を露出させた状態でその他の部分を覆う深さの溝状に形成されている。この場合、電極収容部105は、予備放電電極101の両側面に対して僅かな空隙を介して収容する形状に形成されている。本実施形態においては、電極収容部105は、深さが3mm、幅が4.1mmで主放電電極120の長手方向に沿って貫通した状態で形成されている。
【0032】
また、電極収容部105は、共通放電電極104の長手方向に直交する幅方向に4つ形成されている。この場合、4つの電極収容部105は、主プラズマPが均一に生成されるように共通放電電極104の幅方向に等間隔でかつ互いに平行に延びて形成されている。そして、各電極収容部105内には、4つの予備放電電極101がそれぞれセラミック接着剤105aによって固着された状態で収容され支持されている。
【0033】
プラズマガス出力口106は、予備プラズマPを発生し易くさせるとともに発生させた予備プラズマPを主放電電極120側に導いて主プラズマPを発生および維持させるためのプラズマガスを噴出させる部分であり、一方の端部(図示下端部)がプラズマガスジャケット110に連通するとともに他方の端部(図示上端部)が主電極対向面104aに開口する貫通孔で形成されている。このプラズマガス出力口106は、電極収容部105内に収容される予備放電電極101に隣接する位置に同予備放電電極101が延びる長手方向に沿って複数の貫通孔が等間隔に配置されて構成されている。
【0034】
この場合、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101を挟むように予備放電電極101の両側にそれぞれ一列に並んで形成されている。ここで、予備放電電極101の両側とは、主電極対向面104a上において予備放電電極101が延びる長手方向に直交する幅方向である。また、この場合、主電極対向面104aの幅方向に互いに隣接する2つのプラズマガス出力口106をそれぞれ構成する一列の貫通孔は、幅方向において互いに隣接し合わないように予備放電電極101の長手方向にずれて配置されている。
【0035】
このプラズマガス出力口106は、本実施形態においては、直径1mmの円筒形に形成されているが、直径、ピッチ、形状および数はプラズマ生成装置100の仕様に応じて適宜設定されることは当然である。なお、図1図4においては、プラズマガス出力口106の大きさを誇張して示している。
【0036】
このプラズマガス出力口106から噴出されるプラズマガスは、予備プラズマPを発生させ易くするとともに生成された予備プラズマPを主放電電極120側に導いて主プラズマPを発生および維持させるための気体であり、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの空気よりも電離電圧の低い気体を単体でまたはこれらを混合して、さらには、これらに水蒸気またはアンモニアなどのガスを添加して構成されている。このプラズマガスは、ポンプまたはタンクからなるプラズマガス供給設備(図示せず)からプラズマガスジャケット110を介してプラズマガス出力口106に供給される。
【0037】
プラズマガスジャケット110は、図4に示すように、プラズマガス出力口106から噴射させるプラズマガスを一時的に貯留するための部分であり、共通放電電極104の裏面側を凹状に切り欠いた空洞部で構成されている。本実施形態においては、プラズマガスジャケット110は、共通放電電極104の裏面側から見た平面視で略長方形状に形成されている。このプラズマガスジャケット110内には、多孔体111,112およびスペーサ113がそれぞれ設けられている。
【0038】
この共通放電電極104は、ジャケット覆い体114を介して予備放電電源150に電気的に接続されているとともにこの予備放電電源150を介して主放電電源152に電気的に接続された状態で主放電電極120に対して所定の距離を介した位置に電極支持体130によって支持されている。
【0039】
多孔体111,112は、前記したプラズマガス供給設備からプラズマガスジャケット110内に導入されたプラズマガスの流れを緩衝するための部品であり、金属製、樹脂製またはセラミック製の板状体でそれぞれ構成されている。これらの多孔体111,112は、板面の全体に多数の貫通孔111a,112aが形成された所謂パンチングプレートである。
【0040】
この場合、多孔体111の貫通孔111aと多孔体112の貫通孔112aとは、多孔体111と多孔体112とが図示上下方向に互いに対向配置された際に貫通孔111aと貫通孔112aとが互いに重ならないように互いにずれた位置に形成されている。これらの多孔体111,112は、互いの板面が隙間を介して対向するように重ねられてプラズマガスジャケット110内に配置されている。
【0041】
スペーサ113は、多孔体111,112が互いに密着して重なること防止するとともに、多孔体111,112の各板面がプラズマガスジャケット110およびジャケット覆い体114にそれぞれ密着することを防止してこれらの各間に隙間を形成するための部品である。このスペーサ113は、金属材、樹脂材またはセラミック材を平板リング状に形成して構成されている。
【0042】
本実施形態においては、スペーサ113は、プラズマガスジャケット110の天井部分と多孔体111との間、多孔体111と多孔体112との間、多孔体112とジャケット覆い体114の図示上面との間にそれぞれ配置されている。なお、図2においては、プラズマガスジャケット110を破線で示しているが多孔体111,112およびスペーサ113の図示を省略している。
【0043】
ジャケット覆い体114は、図5に示すように、プラズマガスジャケット110の図示下方に向かって開口する開口部を覆ってプラズマガスジャケット110内を密閉するとともにプラズマガスジャケット110内にプラズマガスを導くための部品であり、導電性を有する金属材料を平面視で共通放電電極104と同じ大きさの方形の板状に形成して構成されている。
【0044】
この場合、ジャケット覆い体114は、導電性を有する金属材料で構成されているが、共通放電電極104が直接予備放電電源150に電気的に接続される場合には必ずしも導電性を有する材料で構成する必要はなく樹脂材またはセラミック材で構成することもできる。このジャケット覆い体114には、導入路115、冷却器取付部116、第1取付孔117aおよび第2取付孔117bがそれぞれ形成されている。
【0045】
導入路115は、前記したプラズマガス供給設備から供給されるプラズマガスをプラズマガスジャケット110に導くための流路であり、ジャケット覆い体114の厚み方向に貫通する貫通孔で構成されている。この導入路115は、プラズマガスジャケット110に対向する複数(本実施形態においては6つ)の位置に略均等に配置されて形成されている。そして、各導入路115は、前記プラズマガス供給設備に対して図示しない配管を介して接続されている。なお、図5においては、プラズマガスジャケット110を二点鎖線で示している。
【0046】
冷却器取付部116は、冷却器118を取り付ける部分であり、ジャケット覆い体114における図示下面に凹状に切り欠かれて形成されている。この場合、冷却器取付部116は、プラズマガスジャケット110に対向する部分に形成されているとともに、前記導入路115に隣接する位置に形成されている。本実施形態においては、冷却器取付部116は、2つの冷却器118に対応して2つ形成されている。
【0047】
第1取付孔117aは、ジャケット覆い体114を共通放電電極104に取り付けるためのボルト(図示せず)が貫通する貫通孔であり、本実施形態においては6つ形成されている。また、第2取付孔117bは、ジャケット覆い体114を電極支持体130に取り付けるためのボルト(図示せず)がネジ嵌合する貫通する有底の孔部であり、本実施形態においては4つ形成されている。
【0048】
冷却器118は、プラズマガスを冷却するための装置であり、熱伝導率の高い銅などの金属製の板状体内に冷却液が流通する配管118aが埋め込まれて構成されている。この冷却器118は、ジャケット覆い体114における図示下面に形成された2つの冷却器取付部116内にそれぞれ嵌め込まれた状態で取り付けられている。これら2つの冷却器118は、互いの配管118aが図示しないホースを介して直列的に連結されており、図示しないポンプなどからなる冷却液供給設備によって水などからなる冷却液が供給される。
【0049】
主放電電極120は、共通放電電極104と対を構成して主プラズマPを発生させるための部品であり、導電性を有する材料を長尺に延ばして形成されている。より具体的には、主放電電極120は、共通放電電極104の主電極対向面104aに主放電用誘電体140を介して対向する共通電極対向面120aを有した板状体で構成されており、共通放電電極104に対して予備放電電極101よりも離れた位置に配置されている。本実施形態においては、主放電電極120は、アルミニウム材を長さが200mm、幅が60mmおよび厚さが15mmの板状体に形成して構成されている。この主放電電極120は、共通放電電極104に対して所定の距離を介した位置に電極支持体130によって支持された状態で主放電電源152に電気的に接続されている。
【0050】
共通電極対向面120aは、共通放電電極104に面して主プラズマPを発生させるための部分であり、主電極対向面104aと平行な平面に形成されている。この場合、共通電極対向面120aは、主放電電極120の長手方向および同長手方向に直交する幅方向の各端部がそれぞれ丸みを帯びた曲面形状に形成されて局所的な放電が発生することを防止している。なお、主放電電極120は、導電性を有する材料であれば良く、例えば、銀、金、チタンまたは銅などアルミニウム材以外の材料で構成することもできる。
【0051】
電極支持体130は、共通放電電極104と主放電電極120とを互いに所定の距離を介した離隔した位置にそれぞれ保持する部品であり、共通放電電極104および主放電電極120をこれら以外の物品から電気的に絶縁する不導体で構成されている。本実施形態においては、電極支持体130は、フッ素樹脂材で構成されている。この電極支持体130は、主として、共通電極支持体131、主電極支持体132および支柱133をそれぞれ備えて構成されている。
【0052】
共通電極支持体131は、共通放電電極104をジャケット覆い体114を介して図示下方から支持する部品であり、平面視でジャケット覆い体114よりも大きな面積の方形の板状体で構成されている。この場合、共通電極支持体131には、ジャケット覆い体114の各導入路115にそれぞれ連結されるプラズマガスの配管(図示せず)が貫通する貫通孔131aが形成されている。この共通電極支持体131は、図示しないボルトが第2取付孔117bにネジ嵌合することでジャケット覆い体114を図示下方から固定的に支持している。
【0053】
主電極支持体132は、主放電電極120を共通放電電極104に対向した状態で図示上方から支持する部品であり、平面視で主放電電極120よりも大きな面積の方形の板状体で構成されている。この主電極支持体132は、図示しないボルトを介して主放電電極120を図示上方から固定的に支持している。
【0054】
支柱133は、共通電極支持体131に対して所定の距離を介して対向した状態で主電極支持体132を支持することで主放電電極120を共通放電電極104に対して所定の空隙を介した位置に対向配置するための部品であり、丸棒状に形成されている。この支柱133は、共通電極支持体131および主電極支持体132の各四隅に設けられた図示しないボルトを介して共通電極支持体131および主電極支持体132にそれぞれ固定的に連結されている。なお、図1図2図6および図7においては、支柱133の中央部分の図示を省略している。
【0055】
本実施形態においては、支柱133は、共通放電電極104の主電極対向面104aに対して主放電電極120の共通電極対向面120aを10mmだけ離隔した位置に対向配置する長さに形成されている。なお、この電極支持体130は、共通放電電極104と主放電電極120とを互いに所定の距離を介した位置で互いに電気的に絶縁した状態で支持することができれば本実施形態に限定されるものでないことは当然である。また、図1図3図6および図7においては、電極支持体130を二点鎖線で示している。
【0056】
主放電用誘電体140は、予備放電電極101および共通放電電極104と主放電電極120との間で両者を電気的に絶縁するとともに被処理物WKを支持するための部品であり、主電極対向面104aと共通電極対向面120aとの間で両者を覆う大きさの不導体で構成されている。より具体的には、主放電用誘電体140は、主電極対向面104aおよび共通電極対向面120aの各長手方向および各幅方向の長さよりも長い長さのフッ素樹脂製のシート材を環状の無端ベルト状に形成して構成されている。本実施形態においては、主放電用誘電体140は、厚さが1mmのフッ素樹脂製のシートを用いている。
【0057】
この主放電用誘電体140は、図示しない駆動ローラと従動ローラとの間に水平方向に張られた状態で架設されて駆動ローラの回転駆動によって無限軌道状に送られる。すなわち、主放電用誘電体140は、ベルトコンベアにおける搬送ベルトを構成している。なお、本実施形態における主放電用誘電体140は、無端ベルトの周方向に沿って柔軟に屈曲する不導体で構成されていればよく、フッ素樹脂材以外の樹脂材(例えば、ポリアミド樹脂材など)からなるシート材であってもよい。
【0058】
予備放電電源150は、予備放電電極101と共通放電電極104とに対して交流電圧を印加するための電気機器である。本実施形態においては、予備放電電源150は、一般家庭用電源(100V)から電力供給を受けて予備放電電極101および共通放電電極104に対して電圧が±1kV〜±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz〜30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。この場合、予備放電電源150は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、予備放電電源150は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的または間欠的に出力するものであってもよい。
【0059】
アース151は、予備放電電極101と共通放電電極104との間に交流電圧を印加する電気回路である予備放電回路および主放電電極120と共通放電電極104との間で交流電圧を印加する電気回路である主放電電気回路についてそれぞれ接地するための電気回路である。本実施形態においては、予備放電電源150および主放電電源152にそれぞれ電気的に接続された予備放電電極101に設けられている。
【0060】
なお、アース151は、予備放電電源150および主放電電源152にそれぞれ電気的に接続された共通放電電極104に設けられていてもよいまた、アース151は、予備放電電気回路および主放電電気回路に対して共通に設けてもよいし、予備放電電気回路および主放電電気回路に対してそれぞれ別々に設けてもよい。さらに、アース151は、省略してもよい。
【0061】
主放電電源152は、主放電電極120と共通放電電極104とに対して交流電圧を印加するための電気機器である。本実施形態においては、主放電電源152は、一般家庭用電源(100V)から電力供給を受けて主放電電極120および共通放電電極104に対して電圧が±1kV〜±20kVの範囲でかつ周波数が100Hz〜30kHzの範囲で所望の電圧および周波数の交流電圧を印加することができる。この場合、主放電電源152は、出力電圧の位相を変化させる図示しない移相器を備えている。また、主放電電源152は、矩形波、正弦波、台形波および三角波のうちのいずれの交流電圧を連続的にまたは間欠的に出力するものであってもよいが、予備放電電源150と同じ波形を逆位相で出力することが好ましい。
【0062】
なお、これらの予備放電電源150および主放電電源152の出力電圧および周波数は、生成する予備プラズマPおよび主プラズマPに応じて適宜設定されるものであって本実施形態に限定されるものでないことは当然である。また、このプラズマ生成装置100は、被処理物WKにプラズマを照射する作業を行う屋内または屋外の作業台上に直接載置または取り付けて設けられるほか、被処理物WKにプラズマを照射する作業を含む被処理物WKの加工装置や搬送装置の一部に組み込んで設けられる。
【0063】
(プラズマ生成装置100の作動)
次に、上記のように構成したプラズマ生成装置100の作動について説明する。本実施形態においては、プラズマ生成装置100は、豆、小麦、ゴマ、胡椒または茶葉(碾茶や抹茶を含む)などの粉状または粒状の食品の製造加工ラインに組み込まれてこれらを被処理物WKとして殺菌消毒処理を行う場合について説明する。この場合、プラズマ生成装置100は、標準大気圧の大気中に直接露出した状態で設置される。
【0064】
プラズマ生成装置100を使用して被処理物WKにプラズマ照射を行う作業者は、まず、プラズマ生成装置100における予備放電電極101と共通放電電極104との間に予備プラズマPを発生させる。具体的には、作業者は、プラズマ生成装置100における予備放電電源150を操作して予備放電電極101と共通放電電極104との間に交流電圧を印加する。この場合、作業者は、予備放電電源150を操作して主プラズマPを発生させるために必要な予備プラズマPを発生させるための電圧および周波数の交流電圧を出力する。
【0065】
本実施形態においては、予備放電電源150は、電圧が±5kV、電流が20mAおよび周波数が10kHzの交流電圧を出力する。この場合、予備放電電源150が出力する交流電圧および周波数は、発生させる主プラズマPに応じて予め実験的に求めることができる。これにより、プラズマ生成装置100における予備放電電極101と共通放電電極104との間では、図6に示すように、両者間に存在する大気の一部が電離するとともに活性化されて予備プラズマPが発生する。
【0066】
この場合、予備プラズマPは、4つの予備放電電極101にそれぞれ沿って4つの線状に生成される。すなわち、予備プラズマPは、大気圧下における誘電体バリア放電によって生成される。なお、図6においては、予備プラズマPを薄いハッチングで示している。
【0067】
また、この予備プラズマPの生成に際して作業者は、プラズマガス出力口106からプラズマガスを出力させることができる。具体的には、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスジャケット110にプラズマガスの供給を開始させる。プラズマガスジャケット110内に導入されたプラズマガスは、2つの多孔体111,112に遮られながら通過して蛇行しながらプラズマガス出力口106に達した後、このプラズマガス出力口106によって主電極対向面104a上に噴射される。この場合、プラズマガス出力口106から噴射されたプラズマガスは、その一部が予備放電電極101側に直接または主放電用誘電体140などを介して間接的に導かれる。
【0068】
これにより、予備プラズマPの発生および成長が促進される。この場合、主電極対向面104a上においては、複数のプラズマガス出力口106間でプラズマガスの噴出量のムラが抑えられることで噴出されたプラズマガスの雰囲気内におけるプラズマガスの濃度のムラが抑えられるため、予備放電電極101の長さ方向に沿って均一な予備プラズマPの発生および成長が促進される。なお、均一な予備プラズマPとは、少なくとも人が目視で均一と確認できるレベルである。また、図1および図6においては、プラズマガスの流れを破線矢印で示している。
【0069】
また、プラズマガス出力口106からプラズマガスを噴出させる場合には、作業者は、プラズマガスを冷却することができる。具体的には、作業者は、冷却水供給設備(図示せず)を操作して2つの冷却器118に対してそれぞれ冷却水の供給を開始させる。これにより、プラズマガスジャケット110内のプラズマガスは冷却器118によって冷却されてプラズマガス出力口106から主電極対向面104a上に噴出される。この場合、プラズマガスジャケット110内に供給されたプラズマガスは、多孔体112および多孔体111によって流動が妨げられているため効果的に冷却される。これにより、プラズマガスは、予備放電電極101および共通放電電極104の加熱を防止する。
【0070】
次に、作業者は、主放電電極120と共通放電電極104との間に主プラズマPを発生させる。具体的には、作業者は、プラズマ生成装置100における主放電電源152を操作して主放電電極120と共通放電電極104との間に交流電圧を印加する。この場合、作業者は、主放電電源152を操作して主プラズマPを発生させるために必要な電圧および周波数の交流電圧を出力する。
【0071】
本実施形態においては、主放電電源152は、電圧が±9kV、電流が20mAおよび周波数が10kHzで予備放電電源150の出力電圧とは逆位相の交流電圧を出力する。この場合、主放電電源152が出力する交流電圧および周波数は、被処理物WKに必要なプラズマ処理内容に応じて予め実験的に求めることができる。これにより、プラズマ生成装置100における主放電電極120と共通放電電極104との間では、図7に示すように、両者間に存在する大気の一部が前記予備プラズマPによって発生した電子または活性種をトリガとして電離するとともに活性化されて主プラズマPが発生する。
【0072】
この場合、主電極対向面104a上においては、前記したように、プラズマガスの雰囲気内におけるプラズマガスの濃度のムラが抑えられる。これにより、主プラズマPは、4つの線状に形成された予備プラズマPのうちの外側に形成された2つの予備プラズマP間における方形の面状の領域内で放電が一様で柱状に延びて形成される。すなわち、本発明に係るプラズマ生成装置100は、主放電電極120と共通放電電極104との間で均一な放電が面状に広がって柱状に立ち上る主プラズマPを形成することができる。また、この場合、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給量を増加させて主プラズマPの生成を促進させて主プラズマPが生成される領域を広げることができる。なお、図7においては、プラズマガスの流れを破線矢印で示している。
【0073】
また、この場合、主電極対向面104a上においては、前記したように、冷却器118によって冷却されたプラズマガスが供給される。これにより、プラズマガスは、予備放電電極101および共通放電電極104に加えて主放電電極120および主放電用誘電体140上の被処理物WKの加熱を防止する。また、この場合、作業者は、冷却水供給設備(図示せず)を操作して冷却器118に対する冷却水の供給量を増加させることで予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120に対する冷却能力を向上させることで主プラズマPが生成される領域を広げることができる。
【0074】
なお、図7においては、主プラズマPを予備プラズマPよりも濃いハッチングで示している。また、主放電電極120と共通放電電極104との間で均一な放電が面状に広がって柱状に立ち上る主プラズマPとは、少なくとも人が目視で均一と確認できるレベルである。
【0075】
次に、作業者は、主放電用誘電体140を回転駆動させる。具体的には、作業者は、図示しないベルトコンベアの制御装置を操作することで主放電用誘電体140を回転駆動させる(図7における破線矢印参照)。
【0076】
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を行う。具体的には、作業者は、主放電用誘電体140上に被処理物WKを連続的に供給する供給装置(図示せず)の作動を開始させることによって主放電用誘電体140上に被処理物WKを連続的に供給する。これにより、主放電用誘電体140上に載置された被処理物WKは、主放電電極120と共通放電電極104との間に形成された主プラズマP中を通過することでプラズマ照射されて殺菌処理が行なわれる。そして、主プラズマPが照射された被処理物WKは、図示しない被処理物WKの回収装置によって回収される。この場合においても、主放電用誘電体140上の被処理物WKは、プラズマガス出力口106から出力されるプラズマガスによって予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120による加熱が防止される。
【0077】
なお、本発明者らは、プラズマ生成装置100を用いて豆に大腸菌を付着させた被処理物WKに対して主プラズマPを照射する実験を行ったところ、主放電用誘電体140の載置場所に因らず均一な殺菌効果が発揮されたことを確認した。また、本発明者らは、セルロースの繊維でできた短冊に芽胞菌(例えば、Geobacillus Stearothermophilus)を浸み込ませたものをグラシン紙で包装したバイオロジカルインディケータに対してプラズマ生成装置100を用いて約30秒〜約120秒の範囲のプラズマ照射したところ、この芽胞菌を死滅させることができることを確認した。
【0078】
次に、作業者は、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了する場合には、予備放電電源150および主放電電源152の作動を停止させて予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120への交流電圧の印加を停止させる。これにより、プラズマ生成装置100は、予備プラズマPおよび主プラズマPが消滅するため、被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了することができる。
【0079】
なお、この場合、プラズマ生成装置100は、主放電電源152の作動を停止させることで主プラズマPを消滅させて被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了することができるが、予備放電電源150の作動を停止させることでも主プラズマPを消滅させて被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了させることができる。すなわち、作業者は、予備放電電源150および主放電電源152のうちの一方の作動を停止させることで主プラズマPを消滅させて被処理物WKへのプラズマ照射処理を終了することができる。この場合、作業者は、予備放電電源150および主放電電源152のうちの一方の作動を停止させた後、他方の作動を停止させることになる。
【0080】
また、作業者は、プラズマガス供給設備(図示せず)を操作してプラズマガスの供給を停止させることによっても予備プラズマPおよび主プラズマPを消滅させることができる。これの場合、作業者は、予備プラズマPおよび主プラズマPの消滅とともに、主放電用誘電体140への被処理物WKの供給、主放電用誘電体140の回転駆動および冷却器118への冷却水の供給もそれぞれ停止させる。
【0081】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、プラズマ生成装置100は、プラズマガスを出力させるプラズマガス出力口106が予備放電電極101に隣接する共通放電電極104に同予備放電電極101に沿って形成されているため予備放電電極101と共通放電電極104との間の予備プラズマPを生じさせる領域の設計の自由度を広げることができる。このことは、予備プラズマPの発生のし易さのみに着目して予備放電電極101と共通放電電極104との間の予備プラズマPを生じさせる領域を設定できることを意味して予備プラズマPを効果的に発生させることができることを意味している。また、本発明に係るプラズマ生成装置100は、予備放電電極101と共通放電電極104との間の予備プラズマPを生じさせる領域の幅を狭く形成してもプラズマガスの流量を自由に設定することができ主プラズマPによる処理空間を広げることもできる。
【0082】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記変形例の説明においては、参照する各図における上記実施形態と同様の構成部分に同じ符号または対応する符号を付すとともに直接関わらない部分については一部の構成を適宜省略して示して、それらの説明も省略する。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101の両側にそれぞれ一列ずつ設けて構成した。しかし、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101に隣接して設けられていればよい。したがって、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101の片側に一列または2列以上設けて構成することもできる。また、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101の両側にそれぞれ2列以上ずつ設けて構成することもできる。
【0084】
また、上記実施形態においては、プラズマガス出力口106は、共通放電電極104の幅方向に互いに隣接するプラズマガス出力口106を構成する各貫通孔が幅方向において互いに隣接し合わないように予備放電用誘電体103の長手方向にずれて配置されている。これにより、プラズマ生成装置100は、噴出されたプラズマガスのムラを抑制して均一な予備プラズマPおよび主プラズマPを生成することができる。しかし、プラズマガス出力口106は、共通放電電極104の幅方向に互いに隣接する一列のプラズマガス出力口106を構成する各貫通孔が幅方向において互いに隣接し合うように配置することもできる。
【0085】
また、上記実施形態においては、プラズマガス出力口106は、予備放電電極101の長手方向に沿って一列に並ぶ複数の円筒形の貫通孔で構成した。これにより、プラズマ生成装置100は、共通放電電極104の剛性を確保し易いとともにプラズマガス出力口106への異物の侵入を防止することができる。しかし、プラズマガス出力口106は、図8に示すように、予備放電用誘電体103の長手方向に沿って延びる1つまたは複数の長孔状のスリットで構成することもできる。
【0086】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、プラズマガス出力口106に供給されるプラズマガスを一時的に貯留するプラズマガスジャケット110を有して構成した。これにより、プラズマ生成装置100は、プラズマガス出力口106を構成する一つの孔内または複数の孔間でムラのないプラズマガスを出力させることができる。しかし、プラズマ生成装置100は、プラズマガス出力口106に導入路115またはプラズマガス供給設備(図示せず)を直結してプラズマガスジャケット110を省略して構成することもできる。この場合、プラズマ生成装置100は、ジャケット覆い体114を省略して構成することができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、プラズマガスジャケット110内に多孔体111,112を備えて構成した。これにより、プラズマ生成装置100は、プラズマガス出力口106を構成する一つの孔内または複数の孔間でムラのないプラズマガスを出力させることができる。しかし、プラズマ生成装置100は、プラズマガスジャケット110内に多孔体111,112を省略して構成することもできる。
【0088】
また、上記実施形態においては、多孔体111,112は、2つのパンチングプレートで構成した。しかし、多孔体111,112は、1つまたは3つ以上のパンチングプレートで構成することができる。この場合、多孔体を2つ以上で構成する場合には、各多孔体における孔部同士が重ならないように位置をずらして形成するとよい。また、多孔体は、ブロック体内に無数の空洞を有したスポンジまたは繊維の集合体などの多孔質体で構成することもできる。
【0089】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、水冷方式の冷却器118を備えて構成した。これにより、プラズマ生成装置100は、プラズマガスを介して予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120を冷却することができるとともに被処理物WKの加熱も防止することができる。しかし、プラズマ生成装置100は、水冷方式以外の冷却器118を備えて構成することもできる。例えば、プラズマ生成装置100は、ジャケット覆い体114における冷却器取付部116に対してファン(図示せず)によって冷却風を送るように構成してもよいし、冷却器取付部116に代えてヒダ状のヒートシンクを形成して構成することもできる。また、プラズマ生成装置100は、冷却器118を省略して構成することもできる。
【0090】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、共通放電電極104にのみプラズマガス出力口106を設けて構成した。しかし、プラズマ生成装置100は、図9に示すように、共通放電電極104に対向する主放電電極120にプラズマガス出力口106と同様の第2プラズマガス出力口121を設けて構成することができる。
【0091】
この場合、第2プラズマガス出力口121は、プラズマガス出力口106と対向する位置またはプラズマガス出力口106に対してずれた位置に形成することができるほか、主放電電極120における共通電極対向面120aの前面に均等配置して形成することもできる。また、主放電電極120には、プラズマガスジャケット110と同様の第2プラズマガスジャケット122を設けるとともに、この第2プラズマガスジャケット122内に多孔体111,112と同様に多数の貫通孔123a,124aを有した第2多孔体123,124がスペーサ113と同様のスペーサ125を介してそれぞれ設けることができる。また、この場合、主放電電極120は、第2プラズマガスジャケット122に連通する導入路127を備えた板状の第2ジャケット覆い体126によって第2プラズマガスジャケット122内が気密的に塞がれている。
【0092】
このように構成したプラズマ生成装置100は、主電極支持体132に設けられた貫通孔132aを介してプラズマガス供給設備(図示せず)から供給されるプラズマガスが第2プラズマガスジャケット122および第2プラズマガス出力口121を介して主放電用誘電体140に向けて噴射される(破線矢印参照)。これにより、プラズマ生成装置100は、主放電用誘電体140に対して主放電電極120側にプラズマガスを供給することができ主プラズマPを早期にかつ広範な範囲で発生および維持させることができる。なお、プラズマ生成装置100は、第2プラズマガスジャケット122および第2ジャケット覆い体126をそれぞれ省略して構成することができることは当然である。
【0093】
また、上記実施形態においては、作業者は、予備放電電源150は電圧が±5kVで周波数が10kHzの交流電圧を出力するとともに、主放電電源152は電圧が±9kVで周波数が10kHzの交流電圧を出力するように調整した。しかし、予備放電電源150および主放電電源152の各出力の仕様は、被処理物WKに対して必要な主プラズマPの量および強さに応じて適宜設定されるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、予備放電電源150から出力される交流電圧が主放電電源152から出力される交流電圧よりも高電圧、高周波数、低電圧、低周波、同電圧および同周波数のうちのいずれかであることは当然に生じ得ることである。なお、プラズマ生成装置100は、予備放電電源150および主放電電源152を1つの電源設備で構成することもできる。
【0094】
また、予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120にそれぞれ印加する交流電圧の電圧および周波数についても被処理物WKに対して必要な主プラズマPの量および強さに応じて適宜設定されるものであり、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120にそれぞれ印加する交流電圧の電圧値および周波数は、±1kV以下または±20kV以上の電圧値であってもよいし、100Hz以下または10kHz以上の周波数であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態においては、主放電電源152は、共通放電電極104に対して予備放電電源150を介して接続した。しかし、主放電電源152は、主放電電極120と共通放電電極104との間に交流電圧を印加できるように接続されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、主放電電源152は、例えば、共通放電電極104に対して予備放電電源150を介することなく直接接続することもできる。なお、予備放電電源150についても同様に、予備放電電極101と共通放電電極104との間に交流電圧を印加できるように接続されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。
【0096】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、4つの予備放電電極101を備えて構成した。この場合、4つの予備放電電極101は、主放電電極120と共通放電電極104との間で主プラズマPが面状に形成される間隔で配置した。これにより、プラズマ生成装置100は、予備放電電極101の長手方向に直交する幅方向にも幅広な面状の主プラズマPを生成することができる。なお、この場合、予備放電電極101の配置間隔は、印加電圧や電極間距離に応じて予め実験的に求められる。しかし、プラズマ生成装置100は、少なくとも1つの予備放電電極101を備えて構成することができるものであり、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、プラズマ生成装置100は、5つ以上の予備放電電極101を備えて構成することもできる。
【0097】
また、複数の予備放電電極101を設ける場合、予備放電電極101の配置間隔を主放電電極120と共通放電電極104との間で主プラズマPが幅広な面状に形成されない間隔、すなわち、各予備放電電極101が単独で線状または帯状の主プラズマPを形成する間隔で配置することもできる。
【0098】
また、上記実施形態においては、予備放電電極101は、導体102の外周面と予備放電用誘電体103の内周面との間に空気を介した僅かな空隙を設けて構成されている。しかし、予備放電電極101は、導体102の外周面と予備放電用誘電体103の内周面とを密着、または両者の間の空間を真空または不導体(例えば、セラミック接着剤)で塞いで構成することもできる。これによれば、導体102の外周面と予備放電用誘電体103の内周面との間の空間内で放電が生じることを防止することができる。
【0099】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、導体102をガラス管製の予備放電用誘電体103内に配置した予備放電電極101を共通放電電極104に形成した電極収容部105内に配置して構成した。しかし、予備放電電極101は、長尺に延びる導体102を誘電体で覆って構成されていればよい。この場合、予備放電電極101は、棒状または板状に形成することができる。また、共通放電電極104は、予備放電電極101に隣接配置されて同予備放電電極101に沿って延びて形成されていればよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、予備放電電極101は、共通放電電極104の主電極対向面104aに溝状に形成した電極収容部105内に主放電電極120側を露出させた状態で配置した。これにより、予備放電電極101は、開口した電極収容部105に容易に嵌め込んで取り付けることができるとともに向きも正確に配置することができる。また、予備放電電極101は、電極収容部105の溝自身や溝内に塗布した接着剤によって安定的に保持されるとともに、予備放電電極101の周囲に存在する主放電用誘電体140や被処理物WKなどとの物理的接触による破損および予備放電電極101の破損時における飛散を防止することができる。さらに、予備放電電極101は、共通放電電極104で囲まれることで予備プラズマPを発生させ易くできるとともに発生させた予備プラズマPを安定的に持続させることができる。
【0101】
この場合、電極収容部105は、予備放電電極101の径方向の半分以上、より好ましくは2/3以上を覆う深さに形成するとともに、深さ方向に直交する溝幅を対向する予備放電電極101の両側面に対して僅かな空隙を介して収容する溝幅に形成するとよい。しかし、電極収容部105は、予備放電電極101の径方向の半分以下を覆う深さに形成すること、および溝幅を予備放電電極101の両側面に接触する溝幅、すなわち、予備放電電極101の外径と同じ溝幅に形成することを排除するものではない。また、電極収容部105は、予備放電電極101を完全に覆う筒状、例えば、共通放電電極104の側面に貫通孔状または止り穴状に形成した横孔状または横穴状に形成することもできる。
【0102】
一方で、予備放電電極101は、共通放電電極104との間で予備プラズマPを生成することができるように配置されていればよい。したがって、予備放電電極101は、例えば、電極収容部105が形成されていない平面状の主電極対向面104a上に直接配置することもできる。
【0103】
また、上記実施形態においては、主放電用誘電体140は、無端ベルト状に形成した。しかし、主放電用誘電体140は、主放電電極120と予備放電電極101および共通放電電極104との間に配置されて予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120に沿って延びる誘電体で構成されていればよい。したがって、主放電用誘電体140は、例えば、図9に示すように、ガラスを含むセラミック材、樹脂材またはゴム材などの不導体を環状に形成されていない単なる平面状のシート状または板状に形成して構成することができる。この場合、主放電用誘電体140は、支柱133で支持することができる。
【0104】
また、上記実施形態においては、主放電用誘電体140は、被処理物WKを支持するように構成した。しかし、主放電用誘電体140は、他の支持部材で被処理物WKを支持するように構成すれば、必ずしも被処理物WKを支持するように構成する必要はない。
【0105】
また、上記実施形態においては、プラズマ生成装置100は、食品からなる被処理物WKに対して主プラズマPを照射して殺菌消毒するように構成した。しかし、プラズマ生成装置100は、食品以外の被処理物WK(例えば、医療器具など)に対して主プラズマPを照射して殺菌消毒するように構成してもよいし、殺菌挿毒以外の目的で被処理物WKに対して主プラズマPを照射してもよい。プラズマ生成装置100は、例えば、アッシング、エッチングまたは被膜形成などの表面処理、接着性や濡れ性の改善または表面硬化などの表面改質に用いることができる。
【符号の説明】
【0106】
WK…被処理物、P…予備プラズマ、P…主プラズマ、
100…プラズマ生成装置、
101…予備放電電極、102…導体、103…予備放電用誘電体、104…共通放電電極、104a…主電極対向面、105…電極収容部、105a…セラミック接着剤、106…プラズマガス出力口、
110…プラズマガスジャケット、111,112…多孔体、111a,112a…貫通孔、113…スペーサ、114…ジャケット覆い体、115…導入路、116…冷却器取付部、117a…第1取付孔、117b…第2取付孔、118…冷却器、118a…配管、
120…主放電電極、120a…共通電極対向面、121…第2プラズマガス出力口、122…第2プラズマガスジャケット、123,124…第2多孔体、123a,124a…貫通孔、125…スペーサ、126…第2ジャケット覆い体、127…導入路、
130…電極支持体、131…共通電極支持体、131a…貫通孔、132…主電極支持体、132a…貫通孔、133…支柱、
140…主放電用誘電体、
150…予備放電電源、151…アース、152…主放電電源。
【要約】

予備放電領域の設計の自由度を広げるとともにプラズマによる処理空間を広げることもできるプラズマ生成装置を提供する。
プラズマ生成装置100は、予備放電電極101、共通放電電極104および主放電電極120を備えている。予備放電電極101は、導線102をガラス管製の予備放電用誘電体103内に収容した長尺の棒状に形成されている。共通放電電極104は、予備放電用電極101に沿って延びる板状体で構成されているとともに予備放電電極101を露出した状態で収容する溝状の電極収容部105が形成されている。また、共通放電電極104には、予備放電電極101に沿ってプラズマガスを噴出する複数の貫通孔で構成されたプラズマガス出力口106が形成されている。主放電電極120は、共通放電電極104に沿って延びる板状体で構成されており共通放電電極104に対向配置されている。
図1
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図9