(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782956
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】吸収促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20201102BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20201102BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20201102BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20201102BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20201102BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K8/9789
A61P43/00 105
A61Q19/00
A23L33/105
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-103295(P2016-103295)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-210417(P2017-210417A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】足立 浩章
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
(72)【発明者】
【氏名】田所 修平
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【審査官】
鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第101259116(CN,A)
【文献】
特開2015−160843(JP,A)
【文献】
特開2009−269842(JP,A)
【文献】
Zhongguo Yaoli Xuebao,1999年,Vol.20,No.5,pp.435-439
【文献】
Huaxue Xuebao,1995年,Vol.53,No.5,pp.516-520
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23L 33/00−33/29
A61K 8/00−8/99
A61P 43/00
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテモヤの熱水抽出物を含有することを特徴とするエンドサイトーシス促進剤(多剤耐性腫瘍細胞に対する適用を除く)。
【請求項2】
アテモヤの熱水抽出物を含有することを特徴とする受容体非依存性エンドサイトーシス促進剤(多剤耐性腫瘍細胞に対する適用を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アテモヤの抽出物を含有することを特徴とする吸収促進剤、エンドサイトーシス促進剤、受容体非依存性エンドサイトーシス促進剤及び該吸収促進剤を含む医薬組成物、化粧品、食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞は、その内外を隔てている脂質二重膜構造である細胞膜を介して、栄養分を細胞内に吸収し、生命活動を維持している。
【0003】
エンドサイトーシスは、細胞が細胞外の物質を取り込む細胞膜機能であり、取り込む物質の種類や大きさ、関与する生体分子の違い等により細かく分類されている。例えば、クラスリン依存性エンドサイトーシス、カベオラ依存性エンドサイトーシス、クラスリン非依存性エンドサイトーシス、ファゴサイトーシス(食作用)、ピノサイトーシス(飲作用)、マクロピノサイトーシス等が知られている。
【0004】
これらを細胞膜に存在する受容体への刺激が必要か否かによって分けた場合、大きく受容体依存性エンドサイトーシスと受容体非依存性エンドサイトーシスに分類できる。受容体依存性エンドサイトーシスは、クラスリン依存性エンドサイトーシスやカベオラ依存性エンドサイトーシス等を含み、被覆小胞と呼ばれる構造を形成し、認識した特定の物質を選択的に取り込む仕組みである。一方、受容体非依存性エンドサイトーシスは、クラスリン非依存性エンドサイトーシス、ファゴサイトーシス(食作用)、ピノサイトーシス(飲作用)、マクロピノサイトーシス等を含み、被覆小胞を形成せず、細胞外の物質を非選択的に取り込む仕組みである(特許文献1、非特許文献1)。
【0005】
この受容体非依存性エンドサイトーシスを利用して、細胞内に薬効成分を取り込ませる仕組みは、選択的抗癌剤(特許文献2)、トリアムシノロンアセトニド及びヒアルロン酸を含有する眼の局所治療用組成物(特許文献3)、生物可逆性基を有するポリヌクレオチド(特許文献4)等において既に知られている。又、ナノキャリアを工夫して、より選択的に薬効成分を細胞へと届ける仕組みも以前から試みられており、陽イオン性多糖類共重合体の抗癌剤デリバリーシステム(特許文献5)が例に挙げられる。
【0006】
これらに加えて、細胞の受容体非依存性エンドサイトーシス活性を高めて、薬効成分の取り込みを更に増やす試みがある。遺伝子導入によるマクロピノサイトーシスの誘導が、抗癌剤の取り込みを促進させ、癌細胞の死滅を促進した(非特許文献2)ことが報告されている。従って、より薬効の高い剤を提供する為には、細胞の受容体非依存性エンドサイトーシスを促進する効果を有する物質の開発が望まれる。
【0007】
アテモヤ(学名:Annona atemoya)は、バンレイシ科(Annonaceae)バンレイシ属(Annona)に属する植物であるが、これまで、アンジオテンシン変換酵素阻害効果(特許文献6)、シワ予防又は改善効果及び抗炎症効果(特許文献7)、糖化反応阻害効果(特許文献8)があることが知られている。しかしながら、受容体非依存性エンドサイトーシス促進効果については、これまで何ら知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−139391
【特許文献2】特開平6−157346
【特許文献3】特開2012−102141
【特許文献4】特表2015−529073
【特許文献5】特開2014−001198
【特許文献6】特開2011−335494
【特許文献7】特開2009−269842
【特許文献8】特開2015−160843
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】藤岡容一郎、生化学 第87巻第1号、pp.91−100(2015)
【非特許文献2】I.Nakase et.al.,Sci.Rep.,Jun 3,5,(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、薬物や栄養成分の細胞への取り込みを高めることができる、吸収促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題の解決に向け鋭意検討を行った結果、アテモヤの抽出物が優れた吸収促進作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)アテモヤの抽出物を含有することを特徴とする吸収促進剤。
(2)アテモヤの抽出物を含有することを特徴とするエンドサイトーシス促進剤。
(3)アテモヤの抽出物を含有することを特徴とする受容体非依存性エンドサイトーシス促進剤。
(4)(1)〜(3)いずれか記載の剤を含む医薬組成物。
(5)(1)〜(3)いずれか記載の剤を含む化粧品。
(6)(1)〜(3)いずれか記載の剤を含む食品。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吸収促進剤は、アテモヤの抽出物を有効成分とするものであり、他の薬物や栄養成分と併用して投与又は塗布することにより、細胞膜を介した同薬物や同栄養成分の細胞内への吸収効率を高める作用を有する。従って、この吸収促進剤は、細胞膜を介して機能する薬剤の細胞への取り込みを高め、その効果を増強する。又、本発明の吸収促進剤は、細胞の栄養成分の取り込みを高めることにより、皮膚を含む非病変組織の栄養状態を改善する効果も期待される。尚、本発明の吸収促進剤は、作用が緩和な植物の抽出物を有効成分とすることから、副作用がなく安全性が高い。よって、医薬品、化粧品又は食品に安心して使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に用いるアテモヤ(学名:Annona atemoya)は、バンレイシ科バンレイシ属に属する植物であり、バンレイシ(バンレイシ科、学名:Annona squamosa)とチェリモヤ(バンレイシ科:Annona cherimola)を人工的に掛け合わせ品種改良した果樹である。
【0015】
本発明に用いるアテモヤの抽出物とは、アテモヤの葉、茎、樹皮、花、果実、根等の植物体の一部又は全草から抽出したものである。好ましくは、果実、果肉、果皮、種子から抽出したものが良い。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。又、生のアテモヤを用いても良いし、乾燥したものを用いても良い。
【0016】
本発明のアテモヤの抽出方法は、特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温又は低温で抽出したものであっても良い。抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は、1種でも2種以上を混合して用いても良い。
【0017】
上記抽出物は抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭等の処理をして用いても良い。又、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良いし、カラム精製等を行い、有効成分を濃縮したり単離したりしてから用いても良い。本発明で用いるアテモヤは、天然由来の植物であり、アテモヤから抽出される成分は、多様な構造の化合物が多数同時に存在する混合物である。従って、含有する成分の構造又は特性をすべて明らかにすることは困難であり、抽出物として扱うことが好ましい。
【0018】
本発明の医薬組成物や化粧品、食品は、アテモヤの抽出物をそのまま使用しても良く、これらの効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料等の成分を含有することもできる。
【0019】
本発明は、医薬品、化粧品又は食品等に用いることができ、その剤型としては、例えば、散剤、丸剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、注射剤、坐剤、乳剤、化粧水、クリーム、マッサージクリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、パン類、麺類、菓子類、乳製品、水産・畜産加工食品、油脂及び油脂加工食品、調味料、各種飲料(清涼飲料、炭酸飲料、美容ドリンク、栄養飲料、果実飲料、乳飲料等)等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いるアテモヤの抽出物の含有量は、内用の場合、投与量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人1人当たりの1日の量としては、乾燥物に換算して、5mg以上が好ましく、10mg〜5gがより好ましい。更に、100mg〜1gが最も好ましい。一方、外用の場合、全量に対し、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001〜10重量%がより好ましい。更に、0.01〜5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて含有した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0021】
次に、本発明を詳細に説明するため、具体的な実施例を挙げて説明する。これらの実施例は効果を具体的に説明するもので、発明の範囲を限定するものではない。実施例中の含有量は重量%である。
【実施例1】
【0022】
アテモヤの抽出物を以下のとおり製造した。
【0023】
製造例1 アテモヤ果皮の熱水抽出物
アテモヤ(果皮の乾燥品)20gに精製水を400mL加え、90〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してアテモヤ果皮の熱水抽出物5.4gを得た。
【0024】
製造例2 アテモヤ果皮の50%エタノール抽出物
アテモヤ(果皮の乾燥品)20gに50%エタノール水溶液を400mL加え、室温で1週間抽出した後、濾過し、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥してアテモヤ果皮の50%エタノール抽出物5.5gを得た。
【0025】
製造例3 アテモヤ果皮のエタノール抽出物
アテモヤ(果皮の乾燥品)20gにエタノールを400mL加え、室温で1週間抽出した後、濾過し、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥してアテモヤ果皮のエタノール抽出物0.6gを得た。
【0026】
製造例4 アテモヤ果実の熱水抽出物
アテモヤ(果実の乾燥品)20gに精製水を400mL加え、90〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してアテモヤ果実の熱水抽出物9.2gを得た。
【0027】
製造例5 アテモヤ種子の熱水抽出物
アテモヤ(種子)20gに精製水を400mL加え、90〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してアテモヤ種子の熱水抽出物1.5gを得た。
【実施例2】
【0028】
アテモヤの抽出物の効果の評価実験を次のとおり行った。
【0029】
実験例1 線維芽細胞における吸収促進効果の評価
実施例1で製造したアテモヤの抽出物(製造例1〜5)の細胞膜を介した薬物や栄養成分の吸収に及ぼす影響を、ニュートラルレッドの細胞内取り込み量を指標に評価した。ニュートラルレッドは、細胞膜を介し生細胞に取り込まれる染色色素の1つである。具体的方法について以下に記載する。
【0030】
ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を96wellプレートに1well当たり2×10
3個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO
2条件下で4日間培養した。次に、試料(最終濃度5、20μg/mL)を添加したDMEM培養液にて、24時間培養した後、50μg/mLのニュートラルレッドを添加したDMEM培養液にて、更に2時間培養した。余分なニュートラルレッドをPBSで洗った後、酢酸を1%含む50%エタノールを1well当たり100μL加え、細胞が取り込んだニュートラルレッドを15分間抽出した。ブランクを対照として、得られた抽出液の540nm吸光度を測定し、ニュートラルレッド値とした。一方、ニュートラルレッドを抽出した後の細胞を固定し、メチレンブルーを用いて染色後、0.1N塩酸で抽出した。ブランクを対照として、メチレンブルー抽出液の650nm吸光度を測定し、メチレンブルー値とした。メチレンブルー値は、細胞数を反映する値として、データの補正に用いた。即ち、ニュートラルレッド値をメチレンブルー値に対する割合として求め、一定細胞数当たりのニュートラルレッド取り込み量とした。ニュートラルレッド取り込み量は、コントロールのニュートラルレッド取り込み量に対する試料添加群のニュートラルレッド取り込み量の比率として算出した。
【0031】
これらの試験結果を表1に示した。その結果、アテモヤの抽出物(製造例1〜5)に、顕著な吸収促進効果が認められた。
【0032】
【表1】
【実施例3】
【0033】
製造例1〜5で製造したアテモヤの抽出物を含有した製品の処方例を以下に示す。
【0034】
処方例1 錠剤
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 1.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 24.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1〜5を混合し、次いで10%の水を結合剤として加えて、押出し造粒後乾燥する。成形した顆粒に成分6を加えて混合し打錠する。1錠0.52gとする。
【0035】
処方例2 カプセル剤
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 5.0
2.微結晶セルロース 60.0
3.トウモロコシデンプン 15.0
4.乳糖 18.0
5.ポリビニルピロリドン 2.0
[製造方法]成分1〜5を混合して顆粒化した後、2号硬カプセルに250mg充填してカプセル剤を得る。
【0036】
処方例3 散剤
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 5.0
2.微結晶セルロース 40.0
3.トウモロコシデンプン 55.0
[製造方法]成分1〜3を混合し、常法により散剤を得る。
【0037】
処方例4 クリーム
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 0.1
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.精製水 残量
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。次いで、油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0038】
処方例5 軟膏
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 2.0
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水 残量
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化し、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0039】
処方例6 錠菓
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 1.0
2.乾燥コーンスターチ 50.0
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 1.0
[製造方法]成分1〜4に精製水を適量加えて練和し、押出し造粒した後、乾燥して顆粒を得る。顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1錠1gとする。
【0040】
処方例7 飲料
処方 含有量(重量%)
1.アテモヤの抽出物 0.1
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.アスコルビン酸ナトリウム 1.0
5.香料 0.1
6.精製水 残量
[製造方法]成分1〜5を成分6の一部の精製水に撹拌溶解する。次いで、成分6の残りの精製水を加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に関わる、アテモヤの抽出物を含有することを特徴とする吸収促進剤は、細胞膜を介して細胞に取り込まれて作用する薬剤の効果を増強する。従って、受容体非依存性エンドサイトーシスを利用した医薬組成物、例えば、抗癌剤やsiRNAを用いた遺伝子治療剤等の効果を底上げし、より安全に効果を高めること等に利用できる。