【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明の歩行計測システムは、被検者の足圧を計測し、計測した足圧データを出力する足圧センサと、水平方向に所定のピッチ角度で照射される検出波の反射状態に基づいて被検者の足位置を計測し、計測した足位置データを出力する足位置センサと、前記足位置データに含まれノイズデータを除去するとともに該ノイズデータが除去された足位置処理データを出力するフィルタ処理部、前記足圧センサから出力された前記足圧データと前記足位置処理データを計測時間に対応付けて記憶する記憶部、前記足圧データと前記足位置処理データに基づいて被検者の所定の歩行パラメータを演算する演算部を有する歩行解析装置とを備える。
【0012】
ここで、被検者の足圧を計測し、計測した足圧データを出力する足圧センサを備えることにより、計測された足圧データに基づいて被検者の歩行の際における足部の接地状態、及び足部の離地状態を判定することができるため、被検者の歩行状態を詳細に把握することができる。
【0013】
また、水平方向に所定のピッチ角度で照射される検出波の反射状態に基づいて被検者の足位置を計測し、計測した足位置データを出力する足位置センサを備えることにより、安価なシステムにより、被検者の歩行時の足位置を正確に把握することができる。
【0014】
また、足圧データと足位置データに基づいて被検者の歩行状態を解析する歩行解析装置を備えることにより、時々刻々と変化する被検者の歩行状態を足圧データと足位置データに基づいて正確に解析することができる。
【0015】
また、歩行解析装置は、足位置データに含まれるノイズデータを除去するとともにノイズデータを除去した足位置処理データを出力するフィルタ処理部を有することにより、足位置センサで計測された足位置データに含まれる計測対象物(被検者)とは無関係なノイズデータを検出、除去することで被検者の正確な足位置を検出することができる。
【0016】
また、歩行解析装置は、足圧センサから出力された足圧データと足位置処理データを、計測時間に対応付けて記憶する記憶部を有することにより、足圧データに基づく被検者の歩行時における足部の床面への接地状態と、足位置処理データに基づく被検者の歩行時における足位置を対応付けることができるため、被検者の歩行時における足部の歩行状態を正確に把握することができる。
【0017】
また、歩行解析装置は、足圧データと足位置処理データに基づいて被検者の所定の歩行パラメータを演算する演算部を有することにより、計測時間に対応付けられた足圧データと足位置処理データに基づいて、被検者の歩行状態を示す歩行パラメータを容易、かつ正確に演算することができる。
【0018】
また、フィルタ処理部は、足位置データを直交座標系の座標データに変換する座標変換部を含む場合には、足位置センサで計測された足位置データは、足位置センサと被検者との距離データとして出力されるが、これを座標変換により直交座標データに変換することができる。
【0019】
また、フィルタ処理部は、座標データを所定の有効桁数に近似化するデータ近似化部を含む場合には、座標変換部で直交座標データに変換された座標データを所定の有効桁数まで近似化することができる。
【0020】
また、フィルタ処理部は、データ近似化部での近似化により、同一の座標値となる座標データを集積して一群データとするデータ集積部を含む場合には、データ近似化部により近似化されて同一の座標値となった座標データを集積して、一つのまとまりのある一群データとすることができる。
【0021】
また、フィルタ処理部は、一群データを構成する同一座標からなる座標データ数を計数する座標データ計数部を含む場合には、一群データを構成する同一座標からなる座標データのデータ数を計数することで、一群データの大きさを把握することができる。
【0022】
また、フィルタ処理部は、足位置センサから計測対象物である被検者の足部までの距離に応じて設定された所定の閾値よりも一群データを構成する座標データの数が少ない場合に、一群データをノイズと判定する第1の判定部を含む場合には、座標データ計数部で計数した一群データに含まれる座標データの数に基づいて、足位置センサで計測された足位置データのうち、被検者の足部とは無関係な微小なノイズデータの有無を判定することができる。
【0023】
このとき、閾値は、足位置センサと計測対象物との距離に応じた値に設定される。具体的には、足位置センサは所定のピッチ角度で検出波が照射されるため、足位置センサから照射される計測対象物までの検出波の照射距離が長くなるにつれて、隣接する検出波の間隔が長くなるという特性を有する。そのため、例えば足位置センサから計測対象物までの距離が短い場合には閾値として小さな値を設定し、足位置センサから計測対象物までの距離が長い場合には閾値として大きな値を設定することで、足位置センサと計測対象物との距離差に基づく検出誤差を防止することができる。
【0024】
また、フィルタ処理部は、第1の判定部により閾値以上であると判定された一群データを構成する座標データを検出点座標として設定する検出点座標設定部を含む場合には、第1の判定部によりノイズデータでないと判定された一群データを構成する座標データを、被検者の足部の検出のための検出点座標として設定することができる。
【0025】
また、フィルタ処理部は、検出点座標の中から特定の検出点座標を特定検出点座標として選択する特定検出点座標設定部を含む場合には、例えば被検者の足部の検出に際しての中心座標となる検出点座標を特定検出点座標として設定することができる。
【0026】
また、フィルタ処理部は、特定検出点座標を中心とした所定の判定領域を設定する領域設定部を含む場合には、例えば判定領域として一般的な被検者の足部周りの大きさに基づいて判定領域を設定することができる。
【0027】
また、フィルタ処理部は、判定領域内において、特定検出点座標の周囲に検出点座標が所定の数だけ存在する場合に、特定検出点座標を計測対象物の一部であると判定する第2の判定部を含む場合には、特定検出点座標の周囲に検出点座標が所定の数だけ存在することにより一定の広がりを持ったデータ群が存在するものとして、当該データ群を被検者の足部の一部であると判定することができる。
【0028】
また、歩行計測システムは、水平方向に所定のピッチ角度で照射される検出波の反射状態に基づいて被検者の腰位置を計測し、計測した腰位置データを出力する腰位置センサを備え、フィルタ処理部は、腰位置データに含まれるノイズデータ基づいて足位置データに含まれるノイズデータを特定する場合には、足位置データと腰位置データの両方に基づいて計測対象物の周囲に存在するノイズデータを検出することができるため、ノイズデータの検出精度を高めることができる。
【0029】
また、演算部は、被検者の歩行時における左右両足の一方の足部のn歩目(nは自然数)の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶された足位置処理データと、被検者の歩行時における他方の足部の(n+1)歩目の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶された足位置処理データとに基づいて、被検者の歩幅を計測する歩幅計測部を含む場合には、足圧データと足位置処理データに基づき歩幅を計測するため、より正確な歩幅を計測することができる。
【0030】
また、演算部は、被検者の歩行時における一方の足部のn歩目(nは自然数)の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶されている足位置処理データ、被検者の歩行時における他方の足部の(n+1)歩目の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶されている足位置処理データ、及び被検者の歩行時における一方の足部の(n+2)歩目の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶されている足位置処理データに基づいて、被検者のストライドを計測するストライド計測部を含む場合には、足圧データと足位置処理データに基づきストライドを計測するため、より正確なストライドを計測することができる。
【0031】
また、演算部は、被検者の歩行時における一方の足部のn歩目(nは自然数)の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶された足位置処理データと、被検者の歩行時における他方の足部の(n+1)歩目の所定の接地状態を足圧データに基づいて判定した時間に対応する記憶部に記憶された足位置処理データとに基づいて、被検者の歩隔を計測する歩隔計測部を含む場合には、足圧センサで計測した足圧データから、歩行時における被検者の足部の床面への接地状況を把握できるとともに、床面への足部の接地状況に基づいた足位置処理データに基づき歩隔を計測するため、より正確な歩隔を計測することができる。
【0032】
また、演算部は、足圧データに基づいて、被検者の歩行時における左右一方の足と他方の足の接地、又は離地状態に基づいて計測対象領域における歩数を演算する歩数計測部を含む場合には、足圧センサで計測した足圧データに基づく被検者の足部の床面への接地、離地状態から被検者の歩数を正確に演算することができる。
【0033】
前記の目的を達成するために、本発明の歩行計測プログラム、及び歩行計測方法は、計測対象領域において計測した被検者の足圧を示す足圧データを受信する足圧データ受信ステップと、計測対象領域において計測した被検者の足位置を示す足位置データを受信する足位置データ受信ステップと、前記足位置データに含まれるノイズデータを検出するノイズ検出ステップと、前記足圧データ、及び検出された前記ノイズデータが除去された足位置処理データを計測時間に対応付けて記憶する記憶ステップと、前記足圧データと前記足位置処理データに基づいて被検者の所定の歩行パラメータを演算する演算ステップとを備える。
【0034】
ここで、計測対象領域において計測した被検者の足圧を示す足圧データを受信する足圧データ受信ステップを備えることにより、受信した足圧データに基づいて被検者の歩行の際における足部の接地状態、及び足部の離地状態を判定することができるため、被検者の歩行状態を正確に把握することができる。
【0035】
また、計測対象領域において計測した被検者の足位置を示す足位置データを受信する足位置データ受信ステップを備えることにより、受信した足位置データに基づいて被検者の歩行時の足位置を判定することができるため、被検者の歩行状態を正確に把握することができる。
【0036】
また、足位置データに含まれるノイズデータを検出するノイズ検出ステップを備えることにより、足位置データに含まれるノイズデータを検出し、計測対象物とは無関係なノイズデータを足位置データから除去することで、歩行パラメータの演算精度を高めることができる。
【0037】
足圧データ、及びノイズデータが除去された足位置処理データを計測時間に対応付けて記憶する記憶ステップを備えることにより、足圧データと足位置処理データが計測時間に対応付けて対のデータとして記憶することができる。
【0038】
また、足圧データと足位置処理データに基づいて被検者の所定の歩行パラメータを演算する演算ステップを備えることにより、計測時間に対応づけられて記憶部に記憶されている足圧データと足位置処理データに基づいて、被検者の歩行状態を示す歩行パラメータを演算するための演算精度を高めることができる。
【0039】
また、ノイズ検出ステップは、足位置データを直交座標系の座標データに変換する座標変換ステップを含む場合には、例えば距離データとして受信した足位置データを座標変換により直交座標データに変換することができる。
【0040】
また、ノイズ検出ステップは、座標データを所定の有効桁数に近似化する近似化ステップを含む場合には、座標変換ステップにより直交座標データに変換された座標データを所定の有効桁数まで近似化することができる。
【0041】
また、ノイズ検出ステップは、近似化ステップによる近似化により、同一の座標値となる座標データを集積して一群データとする集積ステップを含む場合には、近似化ステップにより近似化されて同一の座標値となった座標データを集積して、一つのまとまりのある一群データとすることができる。
【0042】
また、ノイズ検出ステップは、一群データを構成する同一座標からなる座標データ数を計数する計数ステップを含む場合には、一群データを構成する同一座標からなる座標データのデータ数を計数し、一群データの大きさを把握することができる。
【0043】
また、ノイズ検出ステップは、一群データを構成する座標データの数が所定の閾値よりも少ない場合に、一群データをノイズと判定する第1の判定ステップを含む場合には、一群データに含まれる同一座標からなる座標データのデータ数と所定の閾値を比較して、計測対象物とは無関係な微小なノイズデータの有無を判定することができる。
【0044】
また、ノイズ検出ステップは、第1の判定部により閾値以上であると判定された一群データを構成する座標データを検出点座標として設定する検出点座標設定ステップを含む場合には、第1の判定ステップによりノイズデータでないと判定された一群データを構成する同一座標値からなる座標データを、被検者の足部の検出のための検出点座標として設定することができる。
【0045】
また、ノイズ検出ステップは、検出点座標の中から特定の検出点座標を特定検出点座標として選択する特定検出点座標設定ステップを含む場合には、例えば計測対象物の中心座標となる検出点座標を特定検出点座標として設定することができる。
【0046】
また、ノイズ検出ステップは、特定検出点座標を中心とした所定の判定領域を設定する領域設定ステップを含む場合には、例えば判定領域として一般的な被検者の足部周りの大きさに基づいて判定領域を設定することができる。
【0047】
また、ノイズ検出ステップは、判定領域内において、特定検出点座標の周囲に検出点座標が所定の数だけ存在する場合に、特定検出点座標を計測対象物であると判定する第2の判定ステップを含む場合には、特定検出点座標の周囲に検出点座標が所定の数だけ存在することにより、一定の広がりを持ったデータ群が存在するものとして、当該データ群を被検者の足部の一部であると判定することができる。