特許第6783061号(P6783061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783061
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】流路切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/087 20060101AFI20201102BHJP
   F16K 27/06 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   F16K11/087 Z
   F16K27/06 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-42289(P2016-42289)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-155909(P2017-155909A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100182176
【弁理士】
【氏名又は名称】武村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】原 聖一
(72)【発明者】
【氏名】望月 健一
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−097826(JP,U)
【文献】 特開昭51−128728(JP,A)
【文献】 実開平02−135773(JP,U)
【文献】 特開2001−349452(JP,A)
【文献】 実公昭46−011025(JP,Y1)
【文献】 実開昭55−094967(JP,U)
【文献】 米国特許第2604904(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第984102(FR,A1)
【文献】 英国特許出願公告第939733(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00− 5/22,11/08−11/087,
27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室、該弁室の底部に開口せしめられた底部入出口、及び、該弁室の側部に開口せしめられた複数の側部入出口を有する弁本体と、前記弁室内に回転自在に配在された弁体とを備え、前記弁体を回転させることにより、前記底部入出口及び前記複数の側部入出口の連通状態を選択的に切り換えるようにされた流路切換弁であって、
前記弁体には、該弁体を貫通する貫通孔からなり、前記底部入出口と常時連通するとともに前記複数の側部入出口のうちのいずれかと択一的に連通する内部通路と、該弁体の外周に設けられた凹溝からなり、前記複数の側部入出口のうちの少なくとも2つの側部入出口と連通する外周通路とが設けられ、
前記内部通路は、前記弁体内を下部から側部まで貫通する側面視へ字状で構成され、
前記外周通路は、前記内部通路の前記へ字状の一辺に沿って傾いて形成され、
前記外周通路には、該外周通路を流れる流体を前記側部入出口側に案内する傾斜面を有する案内部が設けられ、
前記外周通路は、前記案内部と前記側部入出口との間に、前記複数の側部入出口のうちの側部流入口から側部流出口へ向けて流体が流出するように傾いて形成されていることを特徴とする流路切換弁。
【請求項2】
前記外周通路は、前記弁体の一側部から他側部に亘って形成された平面視U字状の凹溝で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流路切換弁。
【請求項3】
前記弁体の下部には、前記底部入出口に内挿される円筒部が突設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の流路切換弁。
【請求項4】
前記円筒部と前記底部入出口との間には、前記円筒部と前記底部入出口との摺動面隙間を封止するシール部材が介装されていることを特徴とする請求項3に記載の流路切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路切換弁に係り、例えばボール状の弁体(ボール弁体)を弁室内で回転摺動させることにより流路を切り換えるロータリー形の流路切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の流路切換弁として、流入路と流出路とを有するボール弁体(ボール状の弁体)と、該ボール弁体が回転可能に収容される弁室と、該弁室に連通する入口流路及び複数の出口流路を有する弁ケース(弁本体)とを備え、前記流入路が常時前記入口流路に連通し、前記ボール弁体の回転動作によって、前記流出路が前記複数の出口流路のいずれかに択一的に連通するものが知られている。
【0003】
より詳しくは、前記従来の流路切換弁(三方切換弁)は、下部に1つの入口流路と側部に2つの出口流路とを有する弁ケースと、弁ケースの上部に配置されたモータと、弁ケースの弁室内に配置されたボール弁体とを備え、このボール弁体には、その中心部付近で合流する断面円形の流入路と流出路とが穿設され、流入路は、常時入口流路に連通し、流出路は、2つの出口流路のいずれか一方と択一的に連通するように配置され、そのボール弁体をモータにより弁軸を介して回転駆動することにより、2つの出口流路に択一的に流体の流れを切り換えるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、この種の流路切換弁としては、前記した三方切換弁に対して入口流路を追加したバタフライ式の四方切換弁等も既に知られている。
【0005】
しかし、従来知られたバタフライ式の四方切換弁は、2つの入口流路と2つの出口流路が弁ケース(弁本体)の四方に平面的に配在されており、配置箇所が制約される、閉弁時に弁体の周囲や先端部が当接する弾性パッキンの潰し代(圧縮率)の設定が難しい、弁体を保持するために常時保持トルクを印加する必要がある等の様々な問題がある。
【0006】
そこで、近年では、当該流路切換弁の利用範囲を拡充すべく、前記したボール弁体を用いた三方切換弁を改良した四方切換弁等の開発が検討されている。
【0007】
このような四方切換弁を実現し得る従来技術として、特許文献2には、ボール弁体内に2つの独立した流路を設け、1つのボール弁体で水平方向(横、横方向)とL字方向(下、横方向)に各々流体を流すようにしたものが開示されている。なお、特許文献2では、前記した如くのボール弁体を三方切換弁に使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−223418号公報
【特許文献2】特開平9−280390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に所載の従来技術では、ボール弁体内に、水平方向(横、横方向)に流体を流すための流路が直線状に形成され、その流路の中間に、L字方向(下、横方向)に流体を流すための流路との間を仕切る仕切壁が形成されているので、このボール弁体を四方切換弁等に採用した場合、当該流路(水平方向の流路)を流れる流体の圧力損失が大きくなる、大流量化が難しいといった問題が生じる可能性がある。また、ボール弁体と弁ケース(弁本体)との摺動面積が大きいため、ボール弁体の駆動トルク(つまり、流路切換に要するトルク)が大きくなり、大型化、コストアップ等を招くおそれもある。
【0010】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、大型化、コストアップを招くことなく、かつ、圧力損失低減、大流量化を図ることのできる流路切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記する課題を解決するために、本発明に係る流路切換弁は、弁室、該弁室の底部に開口せしめられた底部入出口、及び、該弁室の側部に開口せしめられた複数の側部入出口を有する弁本体と、前記弁室内に回転自在に配在された弁体とを備え、前記弁体を回転させることにより、前記底部入出口及び前記複数の側部入出口の連通状態を選択的に切り換えるようにされ、前記弁体には、該弁体を貫通する貫通孔からなり、前記底部入出口と常時連通するとともに前記複数の側部入出口のうちのいずれかと択一的に連通する内部通路と、該弁体の外周に設けられた凹溝からなり、前記複数の側部入出口のうちの少なくとも2つの側部入出口と連通する外周通路とが設けられ、前記内部通路は、前記弁体内を下部から側部まで貫通する側面視へ字状で構成され、前記外周通路は、前記内部通路の前記へ字状の一辺に沿って傾いて形成され、前記外周通路には、該外周通路を流れる流体を前記側部入出口側に案内する傾斜面を有する案内部が設けられ、前記外周通路は、前記案内部と前記側部入出口との間に、前記複数の側部入出口のうちの側部流入口から側部流出口へ向けて流体が流出するように傾いて形成されていることを特徴としている。
【0013】
別の好ましい態様では、前記外周通路は、前記弁体の一側部から他側部に亘って形成された平面視U字状の凹溝で構成される。
【0014】
他の好ましい態様では、前記弁体の下部には、前記底部入出口に内挿される円筒部が突設される。
【0015】
更なる好ましい態様では、前記円筒部と前記底部入出口との間には、前記円筒部と前記底部入出口との摺動面隙間を封止するシール部材が介装される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の側部入出口のうちの少なくとも2つの側部入出口と連通する流路(外周通路)が弁体の外周に設けられた凹溝から構成されているので、例えば水平方向(横、横方向)に流体を流すための流路が直線状に形成された従来のボール弁体を使用した流路切換弁と比べて、当該流路を流れる流体の圧力損失を小さくできるとともに、その流量を確保することもできる。また、弁体と弁本体との摺動面積が小さくなるので、弁体の駆動トルク(つまり、流路切換に要するトルク)を可及的に低減することもできる。
【0017】
また、弁体の下部には、底部入出口に内挿される円筒部が突設されているので、当該弁体を弁室内に位置決めして配置できるとともに、その弁体の円筒部と底部入出口との間には、円筒部と底部入出口との摺動面隙間を封止するシール部材が介装されているので、弁室と底部入出口との間の流体漏れ(弁漏れ)を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る流路切換弁の一実施形態を示す図であり、(A)は外観斜視図、(B)は部分切欠(平面視で中心角90度部分が切欠)斜視図。
図2図1(B)の弁体を示す図であり、(A)は内部通路側から視た斜視図、(B)は外周通路側から視た斜視図。
図3図1に示される流路切換弁の第1連通状態(回転角度:0度)を示す図であり、(A)は部分切欠(平面視で中心角90度部分が切欠)斜視図、(B)は横断面図。
図4図1に示される流路切換弁の第2連通状態(回転角度:180度)を示す図であり、(A)は部分切欠(平面視で中心角90度部分が切欠)斜視図、(B)は横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
なお、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、誇張して描かれている場合がある。また、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、図1の方向矢印表示を基準としており、実際の使用状態での位置、方向を指すものではない。
【0021】
図1は、本発明に係る流路切換弁の一実施形態を示す図であり、図1(A)は外観斜視図、図1(B)は部分切欠(平面視で中心角90度部分が切欠)斜視図である。また、図2は、図1(B)の弁体を示す図であり、図2(A)は内部通路側から視た斜視図、図2(B)は外周通路側から視た斜視図である。
【0022】
図示実施形態の流路切換弁1は、例えば自動車のエンジンルーム内等を流れる流体の流路を多方向に切り換えるロータリー形の四方切換弁として使用されるもので、基本的に、弁室11を有する金属製の弁本体10と、弁室11内に回転自在に配在されたボール状の弁体(ボール弁体ともいう)20と、弁体20を回転軸線回りで回転させるべく、弁本体10の上部に配置されたモータ(回転駆動部)50と、を備えている。なお、弁体20の回転軸線(上下方向に延びる軸線)は、後述する底部流入口p1や弁軸26の中心線と同軸とされている。
【0023】
前記弁本体10は、横倒し円筒状の基体部材12とホルダ部材15とで構成されており、前記基体部材12は、内部に弁室11が形成されるとともに、その底部、前部、及び左部にそれぞれ、前記弁室11に開口する、縦向きの底部流入口p1、前後向きの前部流入口p2、及び横向きの左部流出口p3が設けられている。また、前記基体部材12の天井部には、弁体20に連結される弁軸26が挿通される嵌挿穴13が設けられている。基体部材12の右端開口には、前記弁室11に開口する横向きの右部流出口p4が(基体部材12の左部流出口p3と対向するように)設けられた短円筒状のホルダ部材15が、超音波溶着、圧入、かしめ等により内嵌固定されている(図3及び図4も併せて参照)。
【0024】
すなわち、弁本体10には、弁室11の底部に開口せしめられた底部流入口p1が設けられるとともに、弁室11の側部に開口せしめられた左部流出口p3、前部流入口p2、右部流出口p4が90度の角度間隔をあけて設けられている。
【0025】
前記弁体20は、例えば合成樹脂や金属等からなり、前記弁本体10に設けられた底部流入口p1、前部流入口p2、左部流出口p3、及び右部流出口p4を選択的に連通させるべく、言い換えれば、底部流入口p1、前部流入口p2、左部流出口p3、及び右部流出口p4の連通状態を選択的に切り換えるべく、それぞれが独立した流路を形成する内部通路21と外周通路22とが設けられている。
【0026】
内部通路21は、図2(A)を参照すればよく分かるように、弁体20内をその下部から側部まで貫通する側面視逆L字状ないしはへ字状かつ断面円形の貫通孔で構成されており、その下部開口が底部流入口p1と常時連通するとともに、その側部開口が左部流出口p3、及び右部流出口p4のいずれかと択一的に連通するようにされている。
【0027】
一方、外周通路22は、図1(B)とともに図2(B)を参照すればよく分かるように、弁体20の外周にその一側部から他側部(弁体20の回転軸線に対して一側部とは反対側)に亘って形成された平面視U字状かつ断面略半円形の凹溝で構成されており、その外面開口が前部流入口p2、左部流出口p3、及び右部流出口p4のうちの隣り合う2つ(つまり、左部流出口p3及び前部流入口p2、又は、前部流入口p2及び右部流出口p4)と選択的に連通するようにされている。
【0028】
また、外周通路(凹溝)22の中間(内部通路21の側部開口とは反対側の位置)には、当該外周通路22を流れる流体を左部流出口p3側に案内する傾斜面23a及び右部流出口p4側に案内する傾斜面23bを有する、平面視略三角形状の案内部23が形成されている。
【0029】
また、弁体20の下部(における内部通路21の下部開口の周り)には、底部流入口p1に内挿される円筒部24が下向きに突設されるとともに、当該円筒部24と底部流入口p1との間(図示例では、円筒部24の外周に形成された環状溝)には、当該円筒部24と底部流入口p1との摺動面隙間を封止するシール部材としてのOリング24Aが介装されている。
【0030】
なお、弁体20の上部には、図2(A)、(B)に示される如くに、平面視T字状の嵌合溝25が設けられ、この嵌合溝25に、モータ50(の出力軸)に連結される弁軸26の先端部(に形成された平面視T字状の係合部)が嵌合されることにより、モータ50の回転力が弁軸26を介して弁体20に伝達されて、当該弁体20が回転せしめられる。なお、ここでは、弁軸26に、シール部材としてのOリング26Aが二段介装されている。
【0031】
また、図示例では、弁本体10の内壁面における左部流出口p3周り及び右部流出口p4周りに、テフロン(登録商標)等から作製され、左部流出口p3周り及び右部流出口p4に対応する開口を持つ円環状のシート部材28、28が配在されており、そのシート部材28、28の内側に、前記弁体20が回転摺動自在に配在されている。また、各シート部材28、28と弁本体10との間(具体的には、弁本体10の基体部材12の左部流出口p3周りに形成された環状凹溝、及び、弁本体10のホルダ部材15の右部流出口p4周りに形成された環状凹溝)には、ゴム等の弾性材料により構成されたシール部材としてのOリング29、29が介装されている。
【0032】
かかる構成の流路切換弁1では、モータ50によって弁体20が弁室11内で回転されると、弁体20に設けられた内部通路21と外周通路22とによって、弁本体10に設けられた底部流入口p1、前部流入口p2、左部流出口p3、及び右部流出口p4の連通状態が選択的に切り換えられる。
【0033】
具体的には、図3に示される回転位置(弁体20の回転角度が0度の位置)では、弁体20の内部に設けられた内部通路21が、底部流入口p1と連通するとともに、左部流出口p3と連通し、弁体20の外周に設けられた外周通路22が、前部流入口p2及び右部流出口p4と連通する。そのため、底部流入口p1から上向きに流入した流体は、内部通路21内を通って(その流れ方向が左向きに変えられて)左部流出口p3から流出する。一方で、前部流入口p2から後向きに流入した流体は、外周通路22を通るとともにその外周通路22の中間に設けられた案内部23(の傾斜面23b)によって右部流出口p4側に案内されて(その流れ方向が右向きに変えられて)右部流出口p4から流出する(第1連通状態)。
【0034】
図3に示される回転位置(第1連通状態)から、モータ50によって弁体20を180度(例えば、上から視て時計回りに180度)回転させると、図4に示される如くに、内部通路21が、底部流入口p1と連通するとともに、右部流出口p4と連通し、外周通路22が、前部流入口p2及び左部流出口p3と連通する。そのため、底部流入口p1から上向きに流入した流体は、内部通路21内を通って(その流れ方向が右向きに変えられて)右部流出口p4から流出する。一方で、前部流入口p2から後向きに流入した流体は、外周通路22を通るとともにその外周通路22の中間に設けられた案内部23(の傾斜面23a)によって左部流出口p3側に案内されて(その流れ方向が左向きに変えられて)左部流出口p3から流出する(第2連通状態)。
【0035】
このように、本実施形態の流路切換弁1では、弁室11の側部に開口せしめられた左部流出口p3、前部流入口p2、右部流出口p4の2つ(左部流出口p3及び前部流入口p2、又は、前部流入口p2及び右部流出口p4)と連通する流路(外周通路22)が弁体20の外周に設けられた凹溝から構成されているので、例えば水平方向(横、横方向)に流体を流すための流路が直線状に形成された従来のボール弁体を使用した流路切換弁と比べて、当該流路を流れる流体の圧力損失を小さくできるとともに、その流量を確保することもできる。また、弁体20と弁本体10との摺動面積が小さくなるので、弁体20の駆動トルク(つまり、流路切換に要するトルク)を可及的に低減することもできる。
【0036】
また、弁体20の下部には、底部流入口p1に内挿される円筒部24が突設されているので、当該弁体20を弁室11内に位置決めして配置できるとともに、その弁体20の円筒部24と底部流入口p1との間には、円筒部24と底部流入口p1との摺動面隙間を封止するシール部材24Aが介装されているので、弁室11と底部流入口p1との間の流体漏れ(弁漏れ)を確実に阻止することができる。
【0037】
さらに、図3(B)及び図4(B)に示されるように、弁体20の内部通路21(の側部開口)が左部流出口p3又は右部流出口p4と対向するときは、弁体20(の内部通路21)の周囲はOリング29の弾性力により弁体20側に付勢されたシート部材28に密着するので、内部通路21(の側部開口)と左部流出口p3又は右部流出口p4とは良好にシールがなされる。一方、この状態においては、シールを行う必要のない弁体20の外周通路22側は、該外周通路22の存在により、弁体20とシート部材28との接触部分が少なくなる。したがって、弁体20の回転時に必要とされるトルクの軽減に寄与できるといった効果も得られる。
【0038】
なお、上記実施形態では、弁室11の底部に底部流入口p1が開口せしめられ、弁室11の側部(左部、前部、右部)に左部流出口p3、前部流入口p2、右部流出口p4が開口せしめられているが、例えば、流入口と流出口とを入れ換えてもよいし、弁室11の側部に開口せしめられる側部入出口の数や配置構成等を変更してもよいことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0039】
1 流路切換弁
10 弁本体
11 弁室
12 基体部材
13 嵌挿穴
15 ホルダ部材
20 弁体
21 内部通路
22 外周通路
23 案内部
23a、23b 傾斜面
24 円筒部
24A Oリング(シール部材)
25 嵌合溝
26 弁軸
26A Oリング
28 シート部材
29 Oリング
50 モータ
p1 底部流入口(底部入出口)
p2 前部流入口(側部入出口)
p3 左部流出口(側部入出口)
p4 右部流出口(側部入出口)
図1
図2
図3
図4