(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、
前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、
前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、
前記移動機構は、前記移動対象のプローブ部を保持するプローブ保持部と、当該プローブ保持部と共に移動する当接部とを備えて構成され、
前記移動規制部は、支持部と、当該支持部に固定されると共に第1目盛りが設けられたスリーブと、当該スリーブに回転可能に支持されると共に回転量に応じて前記支持部からの先端部の突出量が変化するように形成されて当該先端部に前記当接部が当接したときに前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制するスピンドルと、当該スピンドルの基端部に取り付けられて前記第1目盛りと共に前記突出量を示す第2目盛りが設けられたシンブルとを備えて構成されている測定用治具。
測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、
前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、
前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、
前記電気部品の前記各被接触部に前記各プローブ部がそれぞれ接触するときに前記溝部において当該電気部品が位置する測定位置を覆うカバー部を備え、
前記カバー部は、支軸によって回動可能に軸支されて、前記移動機構による前記移動対象のプローブ部の移動動作に連動して回動することによって、前記測定位置を開放する第1状態と前記測定位置を覆う第2状態とを切り替え可能に構成されて、前記移動対象のプローブ部が初期位置に位置している状態において前記第1状態に維持され、前記電気部品の前記各被接触部に前記各プローブ部がそれぞれ接触するときに前記第2状態に切り替えられる測定用治具。
測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、
前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、
前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、
前記保持部は、底面が平坦に形成されると共に当該底面が前記溝部の底部と同じ深さに規定されて、前記溝部における前記測定位置を除く部分に連続するように形成された凹部を備えている測定用治具。
電気部品における対向する一対の被接触部に測定装置に接続された一対のプローブ部をそれぞれ接触させて当該測定装置で測定した当該電気部品の被測定量の測定値を補正するためのオープン補正用の補正値を測定する補正値測定方法であって、
前記測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、前記各プローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向における当該各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって当該移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成されて前記保持部によって保持されている前記電気部品の前記各被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構と、前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部とを備えると共に、前記移動機構は、前記移動対象のプローブ部を保持するプローブ保持部と、当該プローブ保持部と共に移動する当接部とを備えて構成され、かつ前記移動規制部は、支持部と、当該支持部に固定されると共に第1目盛りが設けられたスリーブと、当該スリーブに回転可能に支持されると共に回転量に応じて前記支持部からの先端部の突出量が変化するように形成されて当該先端部に前記当接部が当接したときに前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制するスピンドルと、当該スピンドルの基端部に取り付けられて前記第1目盛りと共に前記突出量を示す第2目盛りが設けられたシンブルとを備えて構成されている測定用治具を用いて、
前記溝部に前記電気部品を載置しない状態で、
前記第1目盛りおよび前記第2目盛りを視認しつつ前記シンブルを回転させて前記スピンドルを回転させることで、当該スピンドルにおける前記先端部を前記支持部から前記電気部品の長さに対応する前記突出量だけ突出させ、
次いで、前記移動機構の前記プローブ保持部を移動させることで、当該プローブ保持部に保持された前記移動対象のプローブ部を前記当接部と共に前記第1の向きへ移動させ、
続いて、前記当接部と前記スピンドルにおける前記先端部とを当接させることで、前記移動対象のプローブ部の前記第1の向きへの移動を規制して、前記各プローブ部の各先端部同士を前記電気部品の長さに相当する前記離間距離だけ離間させ、
次いで、前記測定装置を操作して、前記測定値を測定すると共に、当該測定された測定値を前記オープン補正用の補正値とする補正値測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、出願人が開示している上記の測定治具には、改善すべき以下の課題が存在する。すなわち、この測定治具では、付勢バネによって可動電極支持体が固定電極支持体に向けて付勢されている。ここで、被測定物について被測定量を正確に測定するには、測定系の誤差(例えば、各電極板(各プローブ部)間のインピーダンスや静電容量等の被測定量)を補正する必要がある。この種の補正の1つとしてのオープン補正を行う際には、被測定量をセットしない状態で、各電極板を被測定物の長さ分だけ離間させて被測定量を測定し、その測定値をオープン補正用の補正値とする。しかしながら、上記の測定治具では、付勢バネによって可動電極支持体が固定電極支持体に向けて付勢されているため、各電極板を被測定物の長さ分だけ離間させるには、操作用ノブを把持して、付勢バネの付勢力に抗して可動電極支持体を固定電極支持体から離間させた状態に保持する必要がある。このような操作では、可動電極支持体の保持の仕方次第で各電極板の離間距離が変化してしまうため、正確な補正値の測定が困難となる。
【0005】
一方、出願人は、上記した測定治具とは別の構成として、2つのプローブ部の一方(以下「第1プローブ部」ともいう)を、コイルバネを介して第1プローブ部の長さ方向に移動可能に支持し、2つのプローブ部の他方(以下「第2プローブ部」ともいう)を、第1プローブ部に対して接離するようにスライド可能とした測定治具を開発している。この測定治具では、コイルバネが自然長の状態で第1プローブ部と第2プローブ部とを被測定物の長さよりも長く離間させ、両プローブ部の間に被測定物をセットする。次いで、第2プローブ部を第1プローブ部に近接させて、コイルバネが自然長の状態で両プローブ部の各先端部が被測定物に接触した時点で第2プローブ部の移動を停止させる。続いて、コイルバネが縮長する向きに第1プローブ部を移動させて被測定物を取り除き、次いで、第1プローブ部を元の位置(コイルバネが自然長となる位置)に戻す。これにより、両プローブ部を被測定物の長さ分だけ離間させることができる。しかしながら、この測定治具では、オープン補正用の補正値を測定するために被測定物をセットする必要がある。この場合、微小な被測定物をセットするには、拡大鏡や顕微鏡を用いるため、作業が煩雑で、補正値の測定効率を向上させることが困難となっている。また、第2プローブ部を移動させる際に、両プローブ部の各先端部が被測定物に接触したか否かの判定を作業者の感覚に頼ることとなるため、補正値にばらつきが生じるおそれもある。
【0006】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、電気部品の被測定量の測定値を補正するための補正値を正確にしかも効率的に測定し得る測定用治具、
および補正値測定方
法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項
1記載の測定用治具は、
測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、前記移動機構は、前記移動対象のプローブ部を保持するプローブ保持部と、当該プローブ保持部と共に移動する当接部とを備えて構成され、前記移動規制部は、支持部と、当該支持部に固定されると共に第1目盛りが設けられたスリーブと、当該スリーブに回転可能に支持されると共に回転量に応じて前記支持部からの先端部の突出量が変化するように形成されて当該先端部に前記当接部が当接したときに前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制するスピンドルと、当該スピンドルの基端部に取り付けられて前記第1目盛
りと共に前記突出量を示す第2目盛りが設けられたシンブルとを備えて構成されている。
【0010】
また、請求項
2記載の測定用治具は、測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、前記電気部品の前記各被接触部に前記各プローブ部がそれぞれ接触するときに前記溝部において当該電気部品が位置する測定位置を覆うカバー部を備え、前記カバー部は、支軸によって回動可能に軸支されて、前記移動機構による前記移動対象のプローブ部の移動動作に連動して回動することによって、前記測定位置を開放する第1状態と前記測定位置を覆う第2状態とを切り替え可能に構成されて、前記移動対象のプローブ部が初期位置に位置している状態において前記第1状態に維持され、前記電気部品の前記各被接触部に前記各プローブ部がそれぞれ接触するときに前記第2状態に切り替えられる。
【0011】
また、請求項
3記載の測定用治具は、測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、一対のプローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向に当該移動対象のプローブ部を移動させて前記保持部によって保持されている前記電気部品における対向する一対の被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構とを備え、前記移動機構は、前記各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって前記移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成され、前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を備えている測定用治具であって、前記保持部は、底面が平坦に形成されると共に当該底面が前記溝部の底部と同じ深さに規定されて、前記溝部における前記測定位置を除く部分に連続するように形成された凹部を備えている。
【0013】
また、請求項
4記載の補正値測定方法は、電気部品における対向する一対の被接触部に測定装置に接続された一対のプローブ部をそれぞれ接触させて当該測定装置で測定した当該電気部品の被測定量の測定値を補正するためのオープン補正用の補正値を測定する補正値測定方法であって、前記測定対象の電気部品を載置可能な溝部を有して当該溝部に載置された当該電気部品を保持する保持部と、前記各プローブ部の少なくとも一方を移動対象として前記溝部の長さ方向における当該各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの付勢力によって当該移動対象のプローブ部を当該第1の向きに移動可能に構成されて前記保持部によって保持されている前記電気部品の前記各被接触部に当該各プローブ部をそれぞれ接触させる移動機構と、前記各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部とを備えると共に、前記移動機構は、前記移動対象のプローブ部を保持するプローブ保持部と、当該プローブ保持部と共に移動する当接部とを備えて構成され、かつ前記移動規制部は、支持部と、当該支持部に固定されると共に第1目盛りが設けられたスリーブと、当該スリーブに回転可能に支持されると共に回転量に応じて前記支持部からの先端部の突出量が変化するように形成されて当該先端部に前記当接部が当接したときに前記第1の向きへの前記移動対象のプローブ部の移動を規制するスピンドルと、当該スピンドルの基端部に取り付けられて前記第1目盛りと共に前記突出量を示す第2目盛りが設けられたシンブルとを備えて構成されている測定用治具を用いて、前記溝部に前記電気部品を載置しない状態で、前記第1目盛りおよび前記第2目盛りを視認しつつ前記シンブルを回転させて前記スピンドルを回転させることで、当該スピンドルにおける前記先端部を前記支持部から前記電気部品の長さに対応する前記突出量だけ突出させ、次いで、前記移動機構の前記プローブ保持部を移動させることで、当該プローブ保持部に保持された前記移動対象のプローブ部を前記当接部と共に前記第1の向きへ移動させ、続いて、前記当接部と前記スピンドルにおける前記先端部とを当接させることで、前記移動対象のプローブ部の前記第1の向きへの移動を規制して、前記各プローブ部の各先端部同士を前記電気部品の長さに相当する前記離間距離だけ離間させ、次いで、前記測定装置を操作して、前記測定値を測定すると共に、当該測定された測定値を前記オープン補正用の補正値とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1
,3記載の測定用治具、および請求項
4記載の測定値測定方法によれば、各プローブ部の各先端部同士を任意の離間距離だけ離間させた状態で各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの移動対象のプローブ部の移動を規制する移動規制部を用いることにより、電気部品を保持部にセットすることなく、各プローブ部の各先端部同士を電気部品の長さに相当する離間距離だけ離間させ、かつその状態を確実に維持することができる。したがって、この測定用治具および測定値測定方法によれば、各プローブ部の各先端部同士の離間距離が変化してしまうおそれがある従来の構成とは異なり、補正値を正確に測定することができる。また、この測定用治具および測定値測定方法によれば、補正値を測定するために電気部品を保持部にセットする必要がない分、補正値の測定効率を十分に向上させることができる。
【0016】
また、請求項1記載の測定用治具、および請求項
4記載の測定値測定方法によれば、第1目盛りが設けられたスリーブと、スリーブに回転可能に支持されて回転量に応じて先端部の突出量が変化して移動機構の当接部に先端部が当接して、各プローブ部が互いに近接する第1の向きへの移動対象のプローブ部の移動を規制するスピンドルと、スピンドルに取り付けられて第1目盛りと共に突出量を示す第2目盛りが設けられたシンブルとを備えて移動規制部を構成したことにより、電気部品の長さに対応する突出量だけスピンドルの先端部を突出させることで、各プローブ部の各先端部同士を電気部品の長さ分だけ正確に離間させることができる。したがって、この測定用治具、および補正値測定方法によれば、補正値をより正確に測定することができる。
【0018】
また、請求項
2記載の測定用治具によれば、支軸によって回動可能に軸支されて、移動機構による移動対象のプローブ部の移動動作に連動して回動することによって第1状態と第2状態とを切り替え可能にカバー部を構成したことにより、溝部の長さ方向に平行な方向や溝部の長さ方向に直交する方向にカバー部を移動させて第1状態と第2状態とを切り替える構成と比較して、少ない移動量で第1状態と第2状態とを切り替えることができるため、カバー部を十分に小形化することができる。
【0019】
また、請求項
3記載の測定用治具によれば、底面が平坦に形成されると共に底面が溝部の底部と同じ深さに規定されて、溝部における測定位置を除く部分に連続するように形成された凹部を備えて保持部を構成したことにより、凹部の底面に電気部品を載置させた後に、凹部の底面から溝部の底部に電気部品を滑らせつつ移動させることができる。このため、この測定用治具によれば、電気部品が小形の場合であっても、電気部品を溝部に容易に載置することができる結果、測定効率を十分に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、測定用治具、補正値測定方法および補正方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、測定用治具の一例としての
図1,2に示す測定用治具1の構成について、図面を参照して説明する。測定用治具1は、両図に示すように、本体部2、保持部3、移動機構4、カバー部5、移動規制部6およびプローブ部50a,50b(
図3参照:以下、区別しないときには「プローブ部50」ともいう)を備えて、例えば、
図10に示す測定対象のチップ部品100(電気部品の一例)を保持すると共に、保持した状態のチップ部品100に対してプローブ部50を接触可能に構成されている。なお、
図3〜
図5、
図7および
図9〜
図13では、本体部2における後述する各パネル2b〜2fを取り外した状態で図示している。
【0023】
本体部2は、
図1,2に示すように、例えば、直方体の箱状に形成されて、保持部3および移動機構4を内部に収容可能に構成されている。また、本体部2の正面パネル2aには、プローブ部50と図外の測定装置との間で電気信号を入出力するための接続ケーブルのBNCコネクタ(BNCプラグ)を接続させる複数(この例では、4つ)のBNCコネクタ10(BNCレセプタクル)が配設されている。
【0024】
また、
図1,2に示すように、本体部2には、背面パネル2bおよび天面パネル2cの一部を切り欠くことにより、保持部3にチップ部品100を保持させる際に、チップ部品100を出し入れするための開口部2gが形成されている。また、
図1に示すように、本体部2の側面パネル2eには、移動機構4を構成する構成部品21c(
図3参照)のレバー22を本体部2の外側に突出させる切り欠き2hが形成されている。
【0025】
保持部3は、
図3,4に示すように、台座11および保持部材12を備えて構成されている。台座11は、本体部2の底面パネル2dに取り付けられている。保持部材12は、台座11の上に固定されている。また、保持部材12の上面には、
図10に示すように、チップ部品100を載置可能な溝部13が形成されている。この場合、溝部13は、
図11に示すように、断面が矩形に形成されている。また、保持部材12の上面には、
図10に示すように、凹部14が形成されている。この場合、凹部14は、チップ部品100の電極101a,101bにプローブ部50a,50bがそれぞれ接触するときに溝部13においてチップ部品100が位置する測定位置13b(
図12参照)を除く溝部13の一部(この例では、測定位置13bよりも
図10における左側の部分)に連続するようにして形成されている。また、凹部14は、
図11に示すように、底面14aが平坦に形成されると共に、底面14aまでの深さが溝部13における底部13aまでの深さと同じになるように(つまり、底部13aと底面14aとが面一となるように)規定されている。
【0026】
移動機構4は、保持部3における溝部13の長さ方向(
図3に示す矢印Aの方向:以下「A方向」ともいう)にプローブ部50bを移動させて、保持部3によって保持(保持部3の溝部13に載置)されているチップ部品100の電極101a,101b(対向する一対の被接触部:
図12参照)にプローブ部50a,50bをそれぞれ接触可能に構成されている。具体的には、移動機構4は、
図3〜
図5に示すように、構成部品21a〜21h、レバー22、ベアリング23、スプリング24および当接板25(当接部に相当する)を備えて構成されている。
【0027】
構成部品21aは、レールで構成されて、
図3〜
図5に示すように、A方向に直交する方向(各図に矢印Bで示す方向:以下「B方向」ともいう)に延在するようにして、本体部2の底面パネル2dに固定されている。構成部品21bは、構成部品21aの上に配設されて構成部品21a上をB方向にスライド可能に構成されている。構成部品21cは、構成部品21bの上に配設されて、ねじ60(
図5参照)で固定されている。また、構成部品21cには、プローブ部50bをA方向に移動させる移動操作の際に用いるレバー22が取り付けられている。また、構成部品21cには、
図4に示すように、B方向に対して傾斜する(A方向に対しても傾斜する)傾斜部31が設けられている。
【0028】
構成部品21dは、レールで構成されて、
図3〜
図5に示すように、A方向に延在するようにして、本体部2の底面パネル2dに固定されている。構成部品21eは、構成部品21dの上に配設されて構成部品21d上をA方向にスライド可能に構成されている。構成部品21fは、構成部品21eの上に配設されて、ねじ60(
図5参照)で固定されている。また、構成部品21fの端部(
図3〜
図5における左側の端部)には、ベアリング23が回転可能に取り付けられている。
【0029】
構成部品21gは、
図3〜
図5に示すように、構成部品21eの上に配設されて、ねじ60(
図5参照)で固定されている。また、構成部品21gは、プローブ保持部に相当し、プローブ部50bを保持可能に構成されている。構成部品21hは、構成部品21fの端部(各図における右側の端部)に固定されている。また、構成部品21hには、
図4に示すように、B方向に対して傾斜する(A方向に対しても傾斜する)傾斜部32が設けられている。また、構成部品21hには、後述する移動規制部6のスピンドル63に当接する当接板25が取り付けられている。スプリング24は、一例として、引っ張りコイルバネで構成されて、プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向き(
図4に示す矢印A1の向き)に構成部品21e〜21hを付勢する(引っ張る向きの付勢力を作用させる)。
【0030】
この移動機構4では、
図4に示すように、構成部品21cが正面パネル2a側(同図における上部側)に位置しているとき(構成部品21cのレバー22が位置P1に位置しているとき)には、構成部品21cの傾斜部31よりも背面パネル2b側のB方向に平行な部分(以下、「平行部33」ともいう)が構成部品21fに取り付けられているベアリング23に当接している。この状態では、構成部品21e〜21hが側面パネル2e側(同図における左側)に位置して、プローブ部50a,50bの先端部同士が離間している。
【0031】
また、この移動機構4では、
図7に示すように、構成部品21cが背面パネル2b側(同図における下部側)に位置しているとき(構成部品21cのレバー22が位置P2に位置しているとき)には、構成部品21cの傾斜部31の先端部側がベアリング23に当接している。この状態では、構成部品21e〜21hが側面パネル2f側(同図における右側)に位置して、プローブ部50a,50bの先端部同士が近接する。つまり、この移動機構4では、構成部品21cとベアリング23とによってカム機構が構成されている。
【0032】
カバー部5は、
図12に示すように、チップ部品100の電極101a,101bに各プローブ部50a,50bがそれぞれ接触するときにチップ部品100が位置する溝部13の測定位置13bを覆う部材であって、保持部3における保持部材12の上面に配設されている。この場合、カバー部5は、底面パネル2dに対して直交する方向に配置された支軸5a(
図3参照)に軸支されることにより、底面パネル2dに平行な面に沿って回動可能に構成されている。また、カバー部5は、図外のバネ(例えば、支軸5aに軸支されたねじりコイルバネ)によって平面視右回りに回動する向きに付勢されている。また、カバー部5は、移動機構4によるプローブ部50b(移動対象のプローブ部)の移動動作に連動して、測定位置13bを開放する第1状態(
図10に示す状態)と、測定位置13bを覆う第2状態(
図12に示す状態)とが切り替えられる。具体的には、プローブ部50bが初期位置に位置している状態(
図4,10に示す状態)において第1状態に維持され、チップ部品100の電極101a,101bにプローブ部50a,50bがそれぞれ接触するとき(
図12に示すとき)に第2状態に切り替えられる。
【0033】
移動規制部6は、
図1,2,6に示すように、本体部2における天面パネル2cの上に配設されて、プローブ部50a,50bの各先端部同士を任意の離間距離La(
図9参照)だけ離間させた状態で、同図に示す矢印A1の向き(プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向き)へのプローブ部50bの移動を規制する。具体的には、移動規制部6は、
図6,8に示すように、支持部61、スリーブ62、スピンドル63およびシンブル64を備えて構成されている。支持部61は、本体部2の天面パネル2cに取り付けられている。スリーブ62は、支持部61に固定されている。また、支持部61には、第1目盛り71が設けられている。
【0034】
スピンドル63は、スリーブ62によって回転可能に支持されると共に、回転量に応じて支持部61からの先端部63aの突出量Lb(
図6,8参照)が変化(増減)するように形成されている。シンブル64は、スピンドル63の基端部63bに取り付けられている。また、シンブル64には、スリーブ62の第1目盛り71と共にスピンドル63の先端部63aの突出量Lbを示す第2目盛り72が設けられている。この移動規制部6では、
図8に示すように、スピンドル63の先端部63aが、移動機構4の構成部品21hに取り付けられている当接板25に当接することにより、同図に示す矢印A1の向き(プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向き)へのプローブ部50bの移動を規制する。したがって、スピンドル63における先端部63aの突出量Lbを調節することで、プローブ部50a,50bの各先端部同士を任意の離間距離Laだけ離間させた状態に維持することが可能となっている。
【0035】
プローブ部50a,50bは、一例として、4端子法で被測定量を測定するためのプローブ部であって、筒状の第1プローブ(図示せず)と第1プローブ内に配設されて第1プローブに対して付勢部材を介して長さ方向に微小移動可能な棒状の第2プローブ(図示せず)とを備えてそれぞれ構成されている。また、この測定用治具1では、
図3,4に示すように、プローブ部50aが固定台51に固定され、プローブ部50b(移動対象のプローブ)が移動機構4の構成部品21gによって保持されて、A方向(溝部13の長さ方向)に移動させられる。つまり、プローブ部50a,50bの一方だけがA方向に移動可能な構成となっている。
【0036】
次に、測定用治具1を用いてチップ部品100についての被測定量を測定する方法、被測定量の測定値を補正するための補正値を測定する補正値測定方法、およびその補正値を用いて被測定量の測定値を補正する方法について図面を参照して説明する。
【0037】
まず、測定用治具1における本体部2の正面パネル2aに配設されているBNCコネクタ10に、図外の接続ケーブルのBNCコネクタ(BNCプラグ)を接続して、図外の測定装置と測定用治具1とを接続する。次いで、
図4に示すように、移動機構4における構成部品21cのレバー22を位置P1に位置させる。この場合、移動機構4における構成部品21e〜21hがスプリング24によって同図に示す矢印A1の向き(側面パネル2fに向かう向き)に付勢されているため、構成部品21fに取り付けられているベアリング23が、構成部品21cの平行部33に当接している。
【0038】
この状態では、構成部品21e〜21hが側面パネル2e側(
図4における左側)に位置して、プローブ部50bが初期位置に位置し、プローブ部50a,50bの先端部同士が離間している。また、この状態では、
図4に示すように、カバー部5が保持部3の保持部材12に形成されている溝部13の測定位置13bを開放する第1状態となっている。また、構成部品21hの傾斜部32がカバー部5の外周部に当接して、図外のバネの付勢力によるカバー部5の右回りの回動を規制している。このため、カバー部5が第1状態に維持されている。
【0039】
次いで、チップ部品100についての被測定量の測定に先立ち、測定系の誤差を補正するための補正値(オープン補正用の補正値)の測定を行う。具体的には、移動規制部6のシンブル64を回転(回動)させる。この際に、スピンドル63がシンブル64と共に回転して、これに伴ってスピンドル63における先端部63aの支持部61からの突出量Lb(
図6参照)が変化する。次いで、シンブル64の回転量を調節して、離間距離としての測定対象のチップ部品100の長さ(電極101a,101b(一対の被接触部)間の長さ)に対応する突出量Lbだけ先端部63aを突出させる。この場合、この移動規制部6では、スリーブ62に設けられている第1目盛り71とシンブル64に設けられている第2目盛り72とによって先端部63aの突出量Lbが示されるため、両目盛り71,72を視認しつつシンブル64を回転させることで、測定対象のチップ部品100の長さに対応する突出量Lbだけ、正確に先端部63aを突出させることが可能となっている。
【0040】
続いて、
図7に示すように、構成部品21cのレバー22を本体部2の背面パネル2b側に移動させて、位置P2に位置させる。この際に、構成部品21cの傾斜部31が同図に示す矢印B1の向き(背面パネル2bに向かう向き)に移動し、これに伴い、ベアリング23と構成部品21cとの当接部位が平行部33から傾斜部31に移動し、次いで、傾斜部31に沿って同図に示す矢印A1の向きに移動する。これにより、構成部品21e〜21hが矢印A1の向きに移動し、構成部品21gに保持されているプローブ部50bが矢印A1の向き、つまりプローブ部50aに近接する向きに移動させられる。また、構成部品21e〜21hの矢印A1の向きでの移動に伴って構成部品21hに取り付けられている当接板25も矢印A1の向きに移動する。
【0041】
次いで、
図8に示すように、当接板25が移動規制部6におけるスピンドル63の先端部63aに当接したときには、構成部品21e〜21hの矢印A1への移動が規制される。この状態では、
図9に示すように、プローブ部50a,50bの各先端部がチップ部品100の長さに相当する離間距離Laだけ離間し、かつその状態が維持される。
【0042】
この場合、この測定用治具1では、移動規制部6のスピンドル63の先端部63aを移動機構4の当接板25に当接させて、プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向きへのプローブ部50bの移動を規制する構成のため、チップ部品100を保持部3にセットすることなく、チップ部品100の長さに対応する突出量Lbだけスピンドル63の先端部63aを突出させることで、プローブ部50a,50bの各先端部同士をチップ部品100の長さに相当する離間距離Laだけ離間させ、かつその状態を確実に維持することが可能となっている。このため、この測定用治具1では、補正値を測定するためにチップ部品100を保持部3にセットする必要がない分、補正値の測定効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0043】
一方、
図7に示すように、構成部品21e〜21hの矢印A1への移動に伴って構成部品21hの傾斜部32とカバー部5とが離間する(当接状態が解除される)。この際に、図外のバネの付勢力によってカバー部5が右回りに回動して、
図9に示すように、保持部3における溝部13の測定位置13bを覆う第2状態に切り替えられる。
【0044】
続いて、測定装置を操作して、被測定量(インピーダンスや静電容量)を測定してその測定値をオープン補正用の補正値とする。この場合、この測定用治具1では、上記したように、プローブ部50a,50bの各先端部同士をチップ部品100の長さに相当する離間距離Laだけ離間させ、かつその状態を確実に維持することが可能となっている。このため、この測定用治具1では、オープン補正用の補正値を正確に測定することが可能となっている。以上により、測定系の誤差を補正するための補正値の測定が終了する。
【0045】
次いで、チップ部品100についての被測定量を測定する。具体的には、
図4に示すように、レバー22を本体部2の正面パネル2a側に移動させて、位置P1に位置させる。この際に、同図に示すように、構成部品21cの傾斜部31が同図に示す矢印B2向き(正面パネル2aに向かう向き)に移動し、これに伴い、ベアリング23と構成部品21aとの当接部位が傾斜部31に沿って矢印A2の向きに移動し、続いて、傾斜部31から平行部33に移動する。
【0046】
これにより、構成部品21e〜21hが
図4に示す矢印A2の向きに移動し、構成部品21gに保持されているプローブ部50bが矢印A2の向き、つまりプローブ部50aから離間する向きに移動させられる。また、構成部品21hの移動により、同図に示すように、構成部品21hの傾斜部32がカバー部5の外周部に当接して、カバー部5が左回りに回動させられ、これによって、カバー部5が第2状態から第1状態に切り替えられる。
【0047】
続いて、チップ部品100を保持部3の溝部13にセットする。具体的には、まず、
図10に示すように、保持部材12に形成されている凹部14の底面14aにチップ部品100を載置する。次いで、棒等を用いてチップ部品100を押すことにより、チップ部品100を凹部14から溝部13に移動させる。この場合、凹部14の底面14aと溝部13の底部13aとが面一となっているため(
図11参照)、底面14aから底部13aにチップ部品100を滑らせつつ移動させることで、スムーズな移動を行うことが可能となっている。なお、凹部14の底面14aに測定対象のチップ部品100を複数載置し、測定する度に、チップ部品100を溝部13に1つずつ移動させることもできる。つまり、凹部14を、溝部13に移動させるチップ部品100の待機場所として使用することができる。
【0048】
次いで、プローブ部50a,50bをチップ部品100の電極101a,101bに確実に接触させるために、移動規制部6のシンブル64を回転させて、スピンドル63の先端部63aの突出量Lbを、補正値の測定の際に設定した突出量Lbよりもやや減少させる。
【0049】
続いて、
図7に示すように、構成部品21cのレバー22を本体部2の背面パネル2b側に移動させて、位置P2に位置させる。この際に、構成部品21e〜21hが同図に示す矢印A1の向きに移動し、構成部品21gに保持されているプローブ部50bがプローブ部50aに近接する向きに移動させられる。この結果、
図12に示すように、プローブ部50a,50bがチップ部品100の電極101a,101bにそれぞれ接触する。
【0050】
一方、
図7に示すように、構成部品21e〜21fの矢印A1への移動に伴って構成部品21hの傾斜部32とカバー部5とが離間し、カバー部5が右回りに回動して、
図12に示すように、保持部3における溝部13の測定位置13bを覆う第2状態に切り替えられる。この第2状態では、
図13に示すように、測定位置13bの上方がカバー部5によって覆われているため、プローブ部50a,50bから電極101a,101bに力が加わったとしても、チップ部品100が溝部13(測定位置13b)から飛び出す事態を確実に防止することが可能となっている。
【0051】
続いて、測定装置を操作して、チップ部品100についての被測定量を測定する。この場合、溝部13からのチップ部品100の飛び出しが確実に防止されるため、チップ部品100の被測定量を確実に測定することが可能となっている。続いて、測定した被測定量の測定値を上記した補正値で補正する。以上により、チップ部品100についての被測定量の測定が終了する。
【0052】
次いで、測定が終了したチップ部品100を溝部13から取り出す。このときには、
図4に示すように、レバー22を本体部2の正面パネル2a側に移動させて、位置P1に位置させる。この際に、同図に示すように、構成部品21cの傾斜部31が同図に示す矢印B2向きに移動し、これに伴い、ベアリング23と構成部品21aとの当接部位が傾斜部31に沿って矢印A2の向きに移動し、続いて、傾斜部31から平行部33に移動する。
【0053】
これにより、構成部品21e〜21hが
図4に示す矢印A2の向きに移動し、構成部品21gに保持されているプローブ部50bがプローブ部50aから離間する向きに移動させられて、
図10に示すように、チップ部品100の電極101a,101bに対するプローブ部50a,50bの接触が解除される。また、構成部品21hの移動により、
図4に示すように、構成部品21hの傾斜部32がカバー部5の外周部に当接して、カバー部5が左回りに回動させられ、これによって、カバー部5が第2状態から第1状態に切り替えられる。次いで、開放された測定位置13bからチップ部品100を取り出す。以上により、チップ部品100についての被測定量の測定が終了する。
【0054】
このように、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、プローブ部50a,50bの各先端部同士を任意の離間距離Laだけ離間させた状態で、プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向きへのプローブ部50bの移動を規制する移動規制部6を用いることにより、チップ部品100を保持部3にセットすることなく、プローブ部50a,50bの各先端部同士をチップ部品100の長さに相当する離間距離Laだけ離間させ、かつその状態を確実に維持することができる。したがって、この測定用治具1によれば、プローブ部50a,50bの各先端部同士の離間距離Laが変化してしまうおそれがある従来の構成とは異なり、補正値を正確に測定することができる。また、この測定用治具1によれば、補正値を測定するためにチップ部品100を保持部3にセットする必要がない分、補正値の測定効率を十分に向上させることができる。
【0055】
また、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、第1目盛り71が設けられたスリーブ62と、スリーブ62に回転可能に支持されて回転量に応じて先端部63aの突出量Lbが変化して移動機構4の当接板25に先端部63aが当接して、プローブ部50a,50bが互いに近接する第1の向きへのプローブ部50bの移動を規制するスピンドル63と、スピンドル63に取り付けられて第1目盛り71と共に突出量Lbを示す第2目盛り72が設けられたシンブル64とを備えて移動規制部6を構成したことにより、チップ部品100の長さに対応する突出量Lbだけスピンドル63の先端部63aを突出させることで、プローブ部50a,50bの各先端部同士をチップ部品100の長さ分だけ正確に離間させることができる。したがって、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、補正値をより正確に測定することができる。
【0056】
また、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、移動機構4によるプローブ部50bの移動動作に連動して、溝部13の測定位置13bを開放する第1状態と測定位置13bを覆う第2状態とを切り替え可能に構成されて、プローブ部50bが初期位置に位置している状態において第1状態に維持され、チップ部品100の電極101a,101bにプローブ部50a,50bがそれぞれ接触するときに第2状態に切り替えられるカバー部5を備えたことにより、プローブ部50a,50bがチップ部品100の電極101a,101bに接触するときに、測定位置13bをカバー部5によって覆うことができる。つまり、カバー部5は、溝部13の蓋として機能し、その蓋をプローブ部50bの移動動作に連動して自動的に開閉させることができる。この場合、A方向(溝部13の長さ方向)でのチップ部品100の移動がプローブ部50a,50bによって規制され、溝部13の上方へのチップ部品100の移動がカバー部5によって規制される。このため、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、プローブ部50a,50bから電極101a,101bに力が加わったとしても、チップ部品100が溝部13から飛び出す事態を確実に回避することができる。したがって、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、溝部13からのチップ部品100の飛び出しによる測定の中断やチップ部品100の紛失を確実に防止することができる。
【0057】
また、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、支軸5aによって回動可能に軸支されて、移動機構4によるプローブ部50bの移動動作に連動して回動することによって第1状態と第2状態とを切り替え可能にカバー部5を構成したことにより、溝部13の長さ方向(A方向)に平行な方向や溝部13の長さ方向に直交する方向にカバー部5を移動させて第1状態と第2状態とを切り替える構成と比較して、少ない移動量で第1状態と第2状態とを切り替えることができるため、カバー部5を十分に小形化することができる。
【0058】
また、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、底面14aが平坦に形成されると共に底面14aが溝部13の底部13aと同じ深さに規定されて、溝部13における測定位置13bを除く部分に連続するように形成された凹部14を備えて保持部3を構成したことにより、凹部14の底面14aにチップ部品100を載置させた後に、凹部14の底面14aから溝部13の底部13aにチップ部品100を滑らせつつ移動させることができる。このため、この測定用治具1、補正値測定方法および補正方法によれば、チップ部品100が小形の場合であっても、チップ部品100を溝部13に容易に載置することができる結果、測定効率を十分に向上させることができる。
【0059】
なお、測定用治具の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、例えば、プローブ部50aを固定し、プローブ部50bだけをA方向に移動させる構成例について上記したが、プローブ部50a,50bの双方をA方向に移動させる構成を採用することもできる。この場合、この構成では、プローブ部50aの移動を規制する移動規制部、およびプローブ部50bの移動を規制する移動規制部の2つの移動規制部を備えることで、プローブ部50a,50bの先端部同士を任意の離間距離Laだけ離間させた状態に維持することができる。
【0060】
また、移動規制部の構成は、上記した移動規制部6の構成に限定されない。例えば、本体部2の天面パネル2c上においてA方向(プローブ部50bの移動方向)に沿って配設されたレールと、レール上をスライド可能でかつレール上の任意の位置でスライドのロックが可能にスライド部材とを備え、スライドロックされたスライド部材に移動機構4の当接板25が当接したときに、プローブ部50bの移動を規制するように構成した移動規制部を採用することもできる。
【0061】
また、補正値としてオープン補正用の補正値だけを測定する例について上記したが、オープン補正用の補正値に加えて、ショート補正用の補正値を測定し、双方の補正値で測定値を補正することもできる。この場合、ショート補正用の補正値を測定するときには、移動規制部6におけるスピンドル63の先端部63aの突出量Lbを減少させることにより、移動機構4のレバー22を位置P2に位置させたときにプローブ部50a,50bの先端部同士を接触させ、この状態で被測定量を測定してその測定値をショート補正用の補正値とする。
【0062】
また、底面パネル2dに平行な面に沿って回動可能にカバー部5を構成した例について上記したが、例えば、底面パネル2dに平行な支軸に軸支されて、その支軸を中心として、底面パネル2dに対する傾斜角度が増減するように回動可能なカバー部を用いて、カバー部の傾斜角度が90°以上のときに測定位置13bを開放する第1状態となり、カバー部の傾斜角度が0°のときに測定位置13bを覆う第2状態となるような構成を採用することもできる。
【0063】
また、移動機構4によるプローブ部50bの移動動作に連動してカバー部5を回動させて、第1状態と第2状態とを切り替える構成例について上記したが、プローブ部50bの移動動作に連動して、A方向(溝部13の長さ方向)に平行な方向、B方向(A方向に直交する方向)、およびA方向やB方向に対して傾斜する方向等にカバー部5を移動させて、第1状態と第2状態とを切り替える構成を採用することもできる。
【0064】
また、第1プローブおよび第2プローブを備えた4端子法用のプローブ部50を用いる例について上記したが、単一のプローブで構成されたプローブ部(2端子法用のプローブ)を用いる構成を採用することもできる。
【0065】
また、引っ張りコイルバネで構成されたスプリング24の付勢力(引っ張る向きの付勢力)によってプローブ部50b(構成部品21e〜21h)を第1の向きに移動させるように移動機構4を構成した例について上記したが、圧縮コイルバネの付勢力(押圧する向きの付勢力)によってプローブ部50bを第1の向きに移動させるように移動機構4を構成することもできる。また、コイルバネ以外のバネ(例えば板バネ)の付勢力や、ゴム等の弾性材料の付勢力によってプローブ部50bを第1の向きに移動させるように移動機構4を構成することもできる。