【実施例】
【0020】
(実施例1)
図1は、オス型コネクタをメス型コネクタに嵌合させたときの外観斜視図、
図2は、
図1をSA−SA線を含む水平面で切断して上の部分を下方側から見たときの図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、コネクタ10は、第1コネクタとしてのメス型コネクタ11と、第2コネクタとしてのオス型コネクタ12とを備えている。メス型コネクタ11は、アウターハウジング13及びアウターハウジング13内に収容されたインナーハウジン14を有している。
【0022】
アウターハウジング13は、
図3に示すように、筒型形状を成しており、その一側(図において左側)に端部壁13Aが、他側(図において右側)に開口端13B(
図4も参照)がそれぞれ形成されている。またアウターハウジング13は、
図1に示すように、矢印A方向から見ると4つの角部が丸みを帯びた略矩形に形成されている。
【0023】
アウターハウジング13には一側の端部壁13Aに開口部13Cが形成されている。またアウターハウジング13には、他側の開口端13Bからインナーハウジング14が挿入されている(
図2参照)。
【0024】
アウターハウジング13の上部壁13D及び端部壁13A(端部壁13Aのうち開口部13Cの上方部分)には2本のスリット13E,13Eがそれぞれ形成され、また端部壁13Aには2本のスリット13E,13Eの間に操作穴13Fが形成されている。ここで、上部壁13D及び端部壁13Aは板状を成しており、スリット13E,13Eは上部壁13Dや端部壁13Aを貫通して形成されている。このような構成により、人が指先を操作穴13Fに当ててスリット13E,13E間の部分を上方へ引き上げることにより、上部壁13D及び端部壁13Aのうちスリット13E,13E間の部分を上方へ変形させることができる。
【0025】
また、アウターハウジング13の左右両側の側部壁13G,13Gには、端部壁13Aに近い部分に溝部13H,13Hがそれぞれ形成され、これら溝部13H,13Hには、インナーハウジング14の左右両側に設けられた係合突起14A,14A(
図2参照)がそれぞれ係合されている。
【0026】
ここで、
図4は、
図3のSB−SB線に沿った断面図である。図に示すように、アウターハウジング13の上部壁13Dの下面のうち、上記スリット13E,13E(
図1及び
図3参照)で挟まれた部分には1つの突起13Iが下方に突出して形成されている。この突起13Iの一側側面(図において右側側面)は、上部が開口端13Bに接近し、下部が開口端13Bから離れるよう斜めに形成されている。すなわち、突起13Iは開口端13Bに近い側に傾斜面13Jを有する。
【0027】
インナーハウジング14には、
図5に示すように、その一側(図において左側)に円形穴を有する部分が連続して配置され、各円形穴にリード線が挿通されるリード線挿通部14Bが設けられている。またインナーハウジング14には、その他側(図において右側)に、前記リード線が接続され第1端子としての複数のメス端子20(
図7参照)が取り付けられた端子取付部14Cが設けられている。なお、前記リード線はアウターハウジング13の端部壁13Aに形成された開口部13Cを通ってアウターハウジング13の外部へと繋げられる。
【0028】
端子取付部14Cの外周にはパッキン22(
図7参照)が設けられ、このパッキン22はリード線挿通部14Bと端子取付部14Cとの間に設けられた板状のフランジ14Dにより位置決めされて保持される。
【0029】
フランジ14Dは、端子取付部14Cの外周全体に設けられてはおらず、端子取付部14Cの上面中央部に切り欠き部14Eが形成されている。そして、リード線挿通部14Bの上面には切り欠き部14Eに対向してリブ14Fが上方に突出して設けられている。リブ14Fには、ハウジング12Bのロック部材12A(
図6参照)が変形したときに、そのロック部材12Aの先端部が突き当たる。
【0030】
また、リード線挿通部14Bの左右下部にはコイルスプリング挿入部14G,14Gが設けられ、これらコイルスプリング挿入部14G,14Gには弾性部材としてのコイルスプリング15,15(
図2参照)が挿入される。コイルスプリング15,15は、
図2に示すように、一端がアウターハウジング13の端壁部13Aに、他端がコイルスプリング挿入部14G,14Gの底面にそれぞれ支持されている。
【0031】
図6は、オス型コネクタ12の外観斜視図である。オス型コネクタ12は、有底筒型形状のハウジング12Bを有している。ハウジング12Bは、その一側(図において左側)に開口端12Cが、他側(図において右側)に端部壁12D(
図2及び
図7参照)がそれぞれ設けられている。また、ハウジング12Bは、矢印B方向から見ると4つの角部が丸みを帯びた矩形に形成されている。
図1及び
図2に示すように、オス型コネクタ12はメス型コネクタ11に嵌合され、このとき、ハウジング12Bの開口端12Cはアウターハウジング13の開口端13Bに挿入されるとともに、ハウジング12Bの開口端12Cにはインナーハウジング14が挿入される。
【0032】
図6に示すように、ハウジング12Bの上部壁12Eには、開口端12Cまで達する2本のスリット12F,12Fがそれぞれ形成されている。ここで、上部壁12Eは板状を成しており、スリット12F,12Fは上部壁12Eを貫通して形成されている。このような構成により、スリット12F,12Fの部分は下方に容易に弾性変形することが可能となる。なお、スリット12F,12Fで挟まれた部分はロック部材12Aを構成している。
【0033】
ロック部材12Aにはその略中央部分に穴部としての貫通穴12Gが形成されており、この貫通穴12Gは、アウターハウジング13の上部壁13Dの下面に形成された突起13Iに対応して設けられている。つまり、貫通穴12Gに突起13Iが係合可能となっている。
【0034】
また、ハウジング12Bの端部壁12Dの内面(ハウジング12Bの底面)には、第2端子として複数のオス端子21(
図7参照)が設けられている。
【0035】
次に、本実施例の作用について
図7を参照しながら説明する。
【0036】
先ず、同図(a)に示すように、メス型コネクタ11にはアウターハウジング13の内部にインナーハウジング14が収納されている。そして、アウターハウジング13の開口端13Bに、オス型コネクタ12のハウジング12Bの開口端12Cが対向するようにオス型コネクタ12を配置する。
【0037】
次に、同図(b)に示すように、オス型コネクタ12をコイルスプリング15,15の付勢力に抗してメス型コネクタ11に挿入する。このとき、アウターハウジング13に設けられた突起13Iがハウジング12Bのロック部材12Aに当接し、ロック部材12Aをハウジング12Bの中心軸側へ変形させる。この場合、突起13Iの側部が傾斜面13J(
図4参照)になっているので、ロック部材12Aは突起13Iに容易に乗り上げることができる。
【0038】
なお、同図(b)の状態は半嵌合状態であるから、オス型コネクタ12の挿入を解くと、オス型コネクタ12はコイルスプリング15,15の付勢力で押し戻され、メス型コネクタ11から外れてしまう。
【0039】
上記のようにロック部材12Aが変形すると、ロック部材12Aの先端部が、インナーハウジング14の外面に設けられたリブ14Fに突き当たって、その位置にインナーハウジング14を一旦係止させる。
【0040】
さらにオス型コネクタ12を挿入していくと、同図(c)に示すように、ハウジング12Bのロック部材12Aの貫通穴12Gの位置がアウターハウジング13の突起13Iに一致するので、ロック部材12Aは弾性復帰し、貫通穴12Gに突起13Iが係合する。これにより、オス型コネクタ12は、メス型コネクタ11に嵌合される。
【0041】
このとき、ロック部材12Aによるインナーハウジング14の係止状態が解除されるので、インナーハウジング14は、同図(d)に示すように、コイルスプリング15,15が弾性復帰するときの付勢力によってハウジング12Bの端部壁12D側(つまりハウジング12Bの底部側)へ移動する。このようにインナーハウジング14がハウジング12Bの底部側へ移動することで、インナーハウジング14内のメス端子20にハウジング12B底部のオス端子21が押し込まれる。すなわち、メス端子20とオス端子21が互いに接続される。なお、
図7において、メス端子20及びオス端子21は紙面垂直方向に複数個並んで設けられている。
【0042】
本実施例によれば、オス型コネクタ12をメス型コネクタ11に嵌合させる際に、オス型コネクタ12のハウジング12Bをメス型コネクタ11のアウターハウジング13に挿入させるタイミングと、オス端子21をメス端子20に押し込むタイミングが時間的にずれて行われるので、メス型コネクタ11に対するオス型コネクタ12の挿入力と、メス端子20に対するオス端子21の押し込み力とが同時に生じることがなく、その結果、オス側コネクタ12をメス型コネクタ11に嵌合させる際の操作力を低減させることができる。
【0043】
また、本実施例においては、アウターハウジング13に溝部13H,13Hが、インナーハウジング14に溝部13H,13Hに係合する係合突起14A,14Aがそれぞれ形成されているので、溝部13H,13Hによって係合突起14A,14Aの移動範囲を規制することで、コイルスプリング15,15によって付勢されたインナーハウジング14がアウターハウジング13から外れるのを防ぐことができる。
【0044】
さらに、本実施例においては、オス型コネクタ12がメス型コネクタ11に嵌合したときに、メス型コネクタ11のインナーハウジング14の外面とオス型コネクタ12のハウジング12Bの内面との間にはパッキン22が介在しているので、メス端子20やオス端子21が設けられた部分への水の浸入を防ぐことができる。
【0045】
また、本実施例においては、アウターハウジング13の端部壁13A及び上部壁13Dにスリット13E,13Eを設け、さらに端部壁13Aのうちスリット13E,13E間に操作穴13Fを設けたので、人が指先を操作穴13Fに当ててスリット13E,13E間の部分を上方へ引き上げることにより、上部壁13Dのうちスリット13E,13E間の部分だけを上方へ変形させることで、オス型コネクタ12をメス型コネクタ11から容易に取り外すことができる。
【0046】
(実施例2)
次に、実施例2について
図8を参照しながら説明する。
【0047】
本実施例では、メス型コネクタ11のインナーハウジング14に、隣り合う少なくとも一対のオス端子21の導通を検出して、メス型コネクタ11に対するオス型コネクタ12の嵌合状態を検知する導電性の嵌合検知部材25が設けられている。なお、嵌合検知部材25は金属製のばね状部材で形成されている。
【0048】
先ず、同図(a)に示すように、メス型コネクタ11にはアウターハウジング13の内部にインナーハウジング14が収納されている。そして、アウターハウジング13の開口端13Bに、オス型コネクタ12のハウジング12Bの開口端12Cが対向するようにオス型コネクタ12を配置する。
【0049】
次に、同図(b)に示すように、オス型コネクタ12をコイルスプリング15,15の付勢力に抗してメス型コネクタ11に嵌合させる。このとき、アウターハウジング13に設けられた突起13Iがハウジング12Bのロック部材12Aに当接し、ロック部材12Aをハウジング12Bの中心軸側へ変形させる。
【0050】
ロック部材12Aが変形すると、ロック部材12Aの先端部が、インナーハウジング14の外面に設けられたリブ14Fに突き当たって、その位置にインナーハウジング14を一旦係止させる。
【0051】
さらにオス型コネクタを挿入すると、同図(c)に示すように、ハウジング12Bのロック部材12Aの貫通穴12Gの位置がアウターハウジング13の突起13Iに一致するので、ロック部材12Aは弾性復帰し、これにより貫通穴12Gに突起13Iが係合する。
【0052】
ロック部材12Aが弾性復帰すると、ロック部材12Aによるインナーハウジング14の係止状態が解除され、インナーハウジング14は、同図(d)に示すように、コイルスプリング15,15の付勢力でハウジング12Bの端部壁12D側(つまりハウジング12Bの底部側)へ移動する。
【0053】
このようにインナーハウジング14がハウジング12Bの底部側へ移動することで、インナーハウジング14内のメス端子20にハウジング12Bのオス端子21が押し込まれる。
【0054】
この場合、オス端子21のうち隣り合う一対のオス端子21に外部から電圧をかけておき、当該一対のオス端子21をインナーハウジング14側の嵌合検知部材25に押し込んだとき、両オス端子21間に電流が流れるか否か検出する。電流が流れれば、一対のオス端子21が導電性の嵌合検知部材25に完全に接触したことを示しており、メス型コネクタ11に対するオス型コネクタ12の嵌合状態が完全であると判断できる。
【0055】
なお、本実施例では、隣り合う一対のオス端子21に外部から電圧をかけておいたが、これに限らず、隣り合わなくとも2本のオス端子21に電圧をかけておき、これらのオス端子21間の導通を嵌合検知部材25で検出するようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明の各実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0057】
例えば、上記各実施例においては、ロック部材12Aが一対のスリット13E,13E間に形成されていたが、これに限らず、ロック部材12Aは、アウターハウジング13の端部壁13Aより前方へ突出して設けられたものでもよい。
【0058】
また、上記各実施例においては、インナーハウジング14にメス端子20が、ハウジング12Bにオス端子21がそれぞれ設けられていたが、インナーハウジング14にオス端子21を、ハウジング12Bにメス端子20をそれぞれ設けるようにしてもよい。