特許第6783173号(P6783173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783173
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20201102BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20201102BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20201102BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20201102BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B60K11/04 F
   B60K13/04 B
   B60K11/04 D
   F01N3/02 101L
   F01P5/06 504Z
   F01P5/06 510Z
   A01D34/64 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-59613(P2017-59613)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-161938(P2018-161938A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】野上 和昭
(72)【発明者】
【氏名】戸越 義和
(72)【発明者】
【氏名】白神 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 征矢
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−124428(JP,A)
【文献】 特開2001−199251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
A01D 34/64
B60K 13/04
F01N 3/02
F01P 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンの前方に配置された冷却ファンと、
前記ディーゼルエンジンの後方に配置されて前記ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、が機体後部のエンジンボンネット内に備えられ、
前記冷却ファンの前方で前記エンジンボンネットの前面に防塵網が設けられ、
前記ディーゼルエンジンの左右方向での横一側面に沿って、前記ディーゼルエンジンの排気マニホールドを経て前記排出ガス浄化装置に至る排気流路が設けられ、
前記エンジンボンネット内に、前記排気流路と前記排出ガス浄化装置との接続箇所付近における放熱温度が高い高温領域に向けて、前記冷却ファンからの冷却風のうちの一部を案内する冷却風案内路が設けられ、
前記冷却風案内路が、前記冷却ファンからの冷却風の送風方向を案内する導風ガイドと、前記高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在するボンネット内部材と、の対向間隔によって形成され、
前記ボンネット内部材が、前記高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在する前記排気マニホールドが配設された側の前記ディーゼルエンジンの横一側面によって構成され、
前記導風ガイドが、前記横一側面に対向する位置で冷却風の送風方向における下手側ほど前記横一側面に近づくように配設された横側ガイド面を備えて、前記対向間隔が、送風方向の下手側ほど狭められた後ろ窄まり状に形成されている作業車。
【請求項2】
前記導風ガイドは、前記冷却ファンからの冷却風を、水平方向で誘導する第一ガイド板と上下方向で誘導する第二ガイド板を備えたものである請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記エンジンボンネットは後ろ支点で揺動開閉可能に設けられ、
前記第二ガイド板は、前記冷却風案内路の上部に位置する上側ガイド面を備え、かつ前記上側ガイド面が後ろ下がり形状に形成されている請求項2記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体後部にディーゼルエンジンを内装するエンジンボンネットを設けた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題を改善及び解決するために、ディーゼルエンジンなどに対する排出ガス規制が強化されている。建設機械や農業機械などの作業車両においても、このような排出ガス規制に対処するために排出ガスに含まれる粒子状物質を低減させる技術が様々に開発されている。例えば、従来のマフラーに代えて、排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集する排出ガス浄化装置が作業車両に搭載されている。排出ガス浄化装置は、排出ガスを内部に設けたディーゼルパーティキュレートフィルタ(以下単にDPFと称する)に通過させて粒子状物質を捕集する。この捕集された粒子状物質は排出ガス浄化装置のDPFに徐々に堆積するので、DPFが目詰まりを起こして排気系の空気抵抗が大きくならないように、粒子状物質を燃焼させて除去して、DPFを再生しなくてはならない。このため、DPFを内蔵する排出ガス浄化装置の外面を冷却しすぎないようにするとともに、排出ガス浄化装置からの外部に放出される排気ガスを低温化するために排気管を効果的に冷却しなければならない。
【0003】
特許文献1に開示された作業車は乗用型草刈機として構成されており、左右一対の前輪と後輪との間で機体フレームの下方にモーアユニットが配置され、機体フレームの中央部には運転座席が、機体フレームの後部にはボンネットで覆われたエンジンルームが形成され、そのエンジンルーム内にエンジン及びエンジン補機が配置されている。エンジンは、ラジエータ及び冷却ファンを前側に配備したディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジンの後方側且つ上方側の位置には、エンジン排気ガスを浄化するDPF(排気ガス浄化装置)が配置され、エンジンの上方の位置には、エアクリーナが配置されている。DPFの左前方側から流入した排気ガスは、DPFの右側方の排気口から一旦、機体下方側へ降下するように案内され、その下端側から機体の左横側方に向けて水平方向に延出された排気管を通じて、機体の左横側方に向く端部開口から機外へ排出される。
【0004】
特許文献1に記載の乗用型草刈機では、比較的コンパクトなエンジンボンネット内に、エンジンとエンジン補機、及びDPFを配置して、DPF外面の過冷却を避けながら、DPFの排気口から排気管の端部までの距離を比較的長くして排気ガス温度の低下も図り得ている点で有用なものである。
この構造のものにおいてエンジンボンネット内には、エンジンの排気口からDPFに至る排気マニホールド部分などで、特に高温の領域が存在している。このような高温領域に対しては、エンジン冷却用のファンによる送風が行われているので、通常の場合には、エンジンボンネット内に舞う刈草や塵埃が高温領域に堆積する虞は少ない。
しかしながら、その高温領域よりも送風方向での上流側には、エアクリーナのホースやリザーブタンクなどが錯綜した状態で配置される傾向があるため、ボンネット前部の防塵網の目詰まり等、何らかの状況でファンの風が弱まると、高温域に刈草や塵埃などが堆積する虞があり、この点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−124428号公報(図1図5図6参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機体後部に配設されたエンジンボンネット内の高温領域で刈草や塵埃が堆積する傾向を、簡単な構造で極力低減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による作業車は、
ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンの前方に配置された冷却ファンと、
前記ディーゼルエンジンの後方に配置されて前記ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、が機体後部のエンジンボンネット内に備えられ、
前記冷却ファンの前方で前記エンジンボンネットの前面に防塵網が設けられ、
前記ディーゼルエンジンの左右方向での横一側面に沿って、前記ディーゼルエンジンの排気マニホールドを経て前記排出ガス浄化装置に至る排気流路が設けられ、
前記エンジンボンネット内に、前記排気流路と前記排出ガス浄化装置との接続箇所付近における放熱温度が高い高温領域に向けて、前記冷却ファンからの冷却風のうちの一部を案内する冷却風案内路が設けられ、
前記冷却風案内路が、前記冷却ファンからの冷却風の送風方向を案内する導風ガイドと、前記高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在するボンネット内部材と、の対向間隔によって形成され、
前記ボンネット内部材が、前記高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在する前記排気マニホールドが配設された側の前記ディーゼルエンジンの横一側面によって構成され、
前記導風ガイドが、前記横一側面に対向する位置で冷却風の送風方向における下手側ほど前記横一側面に近づくように配設された横側ガイド面を備えて、前記対向間隔が、送風方向の下手側ほど狭められた後ろ窄まり状に形成されている。
【0008】
この構成によれば、冷却ファンからの冷却風の送風方向を案内する導風ガイドが、高温領域が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在するボンネット内部材と対向する箇所に設けられている。そして、この導風ガイドと、高温領域の上手側に存在するボンネット内部材との対向間隔によって、高温領域に向けて冷却ファンからの冷却風のうちの一部を案内する冷却風案内路が構成される。
したがって、冷却ファンからの冷却風の一部を高温領域に向けて積極的に導く冷却風案内路が備えられることになるので、エンジンボンネット内に錯綜する部材の影響を受ける虞の少ない状態で、冷却ファンからの冷却風を風速低減の虞が少ない状態で高温領域に向けて送風し易い。これにより、エンジンボンネット内で舞う刈草や塵埃の、高温領域での堆積を効果的に抑制し得る利点がある。
しかも、この冷却風案内路は、導風ガイドを高温領域の上手側に存在するボンネット内部材と対向配置したことで、高温領域の上手側に存在するボンネット内部材も冷却風案内路の構成要素として有効利用している。これにより、冷却風案内路を構造簡単に構成し易い。
【0009】
【0010】
また、この構成によれば、後ろ窄まり状に形成された冷却風案内路を流れる冷却風は、送風方向の下手側ほど導風ガイドと前記ボンネット内部材との対向間隔が狭められることによって、送風方向の下手側ほど風速を増す傾向にある。その結果、高温領域に吹き付けられる冷却風の動圧が働いて、効果的に刈草や塵埃の堆積を抑制し易い。
【0011】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記導風ガイドは、前記冷却ファンからの冷却風を、水平方向で誘導する第一ガイド板と上下方向で誘導する第二ガイド板を備えたものである。
【0012】
この構成によれば、冷却風の送風方向を水平方向にも上下方向にも自在に変化させて、エンジンボンネット内に錯綜する部材を避けながら高温領域へ冷却風を導き易い。
そして、導風ガイドの製造に際しては、案内方向の異なる第一ガイド板と第二ガイド板とを組み合わせることで、比較的構造簡単に構成し易いものである。
【0013】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記エンジンボンネットは後ろ支点で揺動開閉可能に設けられ、前記第二ガイド板は、前記冷却風案内路の上部に位置する上側ガイド面を備え、かつ前記上側ガイド面が後ろ下がり形状に形成されている。
【0014】
この構成によれば、エンジンボンネットを後ろ支点で揺動開閉しようとした際に、そのエンジンボンネットの前面に設けてある防塵網に付着していた刈草や塵埃が、揺動開閉の途中で落下したとしても、冷却風案内路上に落下した刈草や塵埃は、冷却風案内路の上部に位置する上側ガイド面によって受け止められた状態となる。このため、落下物が冷却風案内路での冷却風の通風を妨げる位置に堆積することは避けられる。しかも、上側ガイド面は後ろ下がり形状に形成されているので、その上側ガイド面に受け止められた落下物は、エンジンの振動や機体走行に伴う振動等によって、自然に後方側へ滑落し易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の1つであるゼロターンモーアの側面図である。
図2】ゼロターンモーアの平面図である。
図3】エンジンボンネットの内部におけるエンジンと排出ガス浄化装置及び冷却風案内路の配置関係を示す斜視図である。
図4】エンジンルームの側面図である。
図5】エンジンルームの平面図である。
図6図4におけるVI-VI線断面図である。
図7】導風ガイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面の記載に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した乗用草刈機(作業車の一例)の作業走行時における前進側の進行方向(図1,2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1,2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左」である。
【0017】
〔全体構成〕
図1及び図2に作業車の一例としての乗用草刈機が示されている。図1は、乗用草刈機の一例である、ゼロターンモーアとも称される芝刈機の側面図であり、図2は平面図である。
芝刈機は、左右一対の前輪11を有する前輪ユニットと、回転駆動される左右一対の後輪12を有する後輪ユニット(図示せず)とによって対地支持された走行機体1を備えている。走行機体1は、ベース部材として機体フレーム10を有しており、前輪11と後輪12との間で、モーアユニット6がリンク機構14を介して機体フレーム10から吊り下げられている。このモーアユニット6は、後方側から刈草を排出するリヤディスチャージ式に構成された周知の構造のものである。
【0018】
走行機体1の機体前後方向中央領域に運転部5が配置されている。運転部5には運転座席50が設けられ、運転座席50の左右両側にフェンダ17が形成され、運転座席50の前方にステップ15が設けられている。
運転座席50は機体フレーム10の中央領域の上方に配置されており、トランスミッション16は運転座席50の下方に配置され、後輪ユニットの後車軸はトランスミッション16の後部から機体横断方向に延びている。運転部5の後部には、エンジンボンネット20内にディーゼルエンジン3(以下、単にエンジンと略称する)を内装する原動部2が設けられている。
運転部5の後側で原動部2の前部にはロプス装置13が設けられている。ロプス装置13は、下端側が機体フレーム10に固定された左右一対の支柱13aと、その左右の支柱13aの上端に連なる横架部材13bとを有した門形に形成されている。
【0019】
〔原動部〕
原動部2は、次のように構成されている。
原動部2は、エンジンボンネット20を備え、このエンジンボンネット20で覆われたエンジンルーム内に、エンジン3が配設されている。そしてエンジン3とともに、エンジン周辺機器として、ラジエータ31、冷却ファン33、エアクリーナ32、排出ガス浄化装置35がエンジンルーム内に配設されている。
エンジンルーム内では、前後方向での中央部にエンジン3が配置され、エンジンルームの最前部にラジエータ31が配置されている。そして、そのラジエータ31とエンジン3のエンジンボディ30の前面との間に冷却ファン33が配置されている。エアクリーナ32はエンジンボディ30の上方に配置され、排出ガス浄化装置35はエンジンボディ30の後方側上部に配置されている。
【0020】
エンジンルームを作り出すエンジンボンネット20は、機体フレーム10の後端部に固定されている後ボンネットである固定ボンネット21と、機体横断方向で水平に延びた開閉軸心x1(図1参照)の周りで開閉する前ボンネットである可動ボンネット22とからなる。
可動ボンネット22は、側面を形成する左右一対の側板22aと上面を形成する天板22bと前面を形成する前板22cとからなり、後面は開口されている。前板22cの全体にわたって吸気用開口部23が形成され、その吸気用開口部23に防塵網24が装着されている。この吸気用開口部23が可動ボンネット22の閉鎖状態で、ラジエータ31の冷却面に向き合う位置にある。したがって、冷却ファン33は、可動ボンネット22の前面からラジエータ31の冷却面を介して冷却風を吸い込むことができる。
【0021】
可動ボンネット22の前板22c及びその前板22cの吸気用開口部23に装着された防塵網24は、横方向の屈曲線で折れ曲がった形状に形成されている。したがって、可動ボンネット22の閉鎖状態において、前板22cの下半分は鉛直な面となっているのに対して、前板22cの上半分は、後方に傾斜した傾斜面となっている。図4から明らかなように、閉鎖状態の可動ボンネット22の前板22cと、着座状態のシートバック51との間には、実質的に上に行くほど水平断面積が大きくなる空気流通可能な空間が作り出される(図4参照)。
【0022】
固定ボンネット21は、冷却ファン33による冷却風がエンジン3の上方を通過した後、排出ガス浄化装置35の後方を通過して排出ガス浄化装置35の下方に達するように向きを変更させる下向き偏向板として機能する。
【0023】
ラジエータ31は、トランスミッション16とエンジン3との間の領域に配置されている。ラジエータ31の下端は、エンジン3からの動力をトランスミッション16に伝達する入力軸(図示せず)の上方に位置し、ラジエータ31の上端は、エアクリーナ32より上方に突き出している。また、ラジエータ31の高さ方向での中央部は、エンジンボディ30の上面の高さとほぼ同じ高さとなっている。
【0024】
冷却ファン33は、エンジン3の前方で、その回転円の上端がエンジンボディ30の上面よりも少し高くなるように配置されている。冷却ファン33は、エンジンボディ30の前壁の上部に位置し、クランク軸の延長部からベルト伝動で動力が伝達される、前後方向に延びた回転軸33aに支持されている。
冷却ファン33の前方にはラジエータ31が配置されている。ラジエータ31は、その冷却面を冷却ファン33の回転軌跡面に対向させて、直立姿勢で、つまり鉛直方向に延びるように設けられている。ラジエータ31と冷却ファン33との間にはファンシュラウドを兼ねる機能を有した隔壁部材34が設けられている。図5に示されているように、隔壁部材34の左右の側部はエンジンボンネット20の側板22aの近くまで延びており、エンジンルームをエンジン側空間とラジエータ側空間とに区分けするように機能している。
【0025】
エンジン3の動力で駆動される冷却ファン33の回転に伴って、前述した空気流通空間から吸い込まれた冷却風がラジエータ31を通過して、エンジン3が存在するエンジンルーム内の領域に流れ込む。このエンジンルーム内の領域に流れ込んだ冷却風は、一部がエンジンボディ30の前壁に衝突して、エンジンボディ30の左右両側に流れ、他の一部がエンジンボディ30の上側を通ってエンジンルーム内の上方空間に流れる。
【0026】
エンジンボディ30の上方には、円筒状のエアクリーナ32が横置き(円筒軸が機体横断方向に沿っている)されている。エアクリーナ32の流入管32aはエアクリーナ32からわずかに斜め上方に延びて隔壁部材34の上部を貫通しており、その吸入口はラジエータ側空間においてラジエータ31の上端部に達している。エアクリーナ32の流出管32bはU字状に屈曲しながら下方に延びており、エンジン3の吸気マニホールド30aに接続している。
【0027】
排出ガス浄化装置35は、エンジン3の機体横断方向の長さとほぼ同じ長さの略円筒形ハウジングを有している。その略円筒形ハウジングの筒軸心が機体横断方向に沿うように配置され、かつエンジンボディ30の上面とほぼ同じ高さ位置に略円筒形ハウジングの筒軸心が位置する状態で、機体フレーム10から立設された支持部材10bによって支持されている。
この排出ガス浄化装置35は、エンジン3から排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集する、DPFと呼ばれるフィルタを内蔵している。排出ガス浄化装置35は、エンジン3の排気流路36に介装されている。排気流路36は、排出ガスを機体外に放出する放出口39aを形成する終端排気管39と、エンジン3の排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37と、排出ガス浄化装置35の流出口に終端排気管39を接続する中間排気管38とを備えて、その管路内空間によって構成されている。
【0028】
エンジンボディ30の上側を通ってエンジンルーム内の上方空間を流れる冷却風が、エンジンボディ30と、その上側に配置されているエアクリーナ32との間、及びエアクリーナ32の左右両側の空間を通って後方の排出ガス浄化装置35側へ流れる。このとき、エアクリーナ32と排出ガス浄化装置35との上端を結ぶ線が後方に下がっていることから、エンジンボンネット20の天板22bも同様に傾斜している。したがって、ラジエータ31の上半分を通り抜けた冷却風はエンジンボンネット20の天板22bに沿って斜め下方に流れるとともに、固定ボンネット21の後壁が作り出す偏向板機能により下方に引き込まれるように流れる。
また、エンジンボディ30の前壁に衝突してエンジンボディ30の左右両側に流れた冷却風が、エンジンボディ30の左右両側面に沿って後方側へ流れ、エンジン3を冷却しながら、中間排気管38と終端排気管39に接触して、排出ガス浄化装置35から排出される排気を冷却する。
【0029】
〔冷却風案内路〕
エンジンボンネット20内には、エンジン3からの放熱温度、及び排出ガス浄化装置35からの放熱温度が高い領域であるところの、高温領域H1に向けて、冷却ファン33からの冷却風のうちの一部を案内するための冷却風案内路4が設けられている。
この冷却風案内路4、及び冷却風案内路4を構成する要素としての導風ガイド40について説明する。
【0030】
図3乃至図6に示すように、冷却風案内路4は、冷却ファン33の送風方向における下流側で、図4及び図5に矢印で示すように、エンジンボディ30の前方から左横側方へ向けて冷却風を流す流路である。この冷却風案内路4は、冷却ファン33からの冷却風の送風方向を案内する導風ガイド40と、その導風ガイド40に対して、図中に示す高温領域H1が存在する箇所よりも冷却風の送風方向における上手側に存在するボンネット内部材との対向間隔によって形成される。
【0031】
ここで云うボンネット内部材とは、エンジンボディ30の左側面(横一側面に相当する)のうち導風ガイド40と対向する箇所、及びラジエータ31の左側部後端からエンジンボンネット20の左側面に向けて後方斜め外向きに延設された隔壁部材34の存在箇所を意味する。
また、高温領域H1とは、エンジンボディ30の上部、エンジン3の排気マニホールド30b、排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37、及び排出ガス浄化装置35自体、等が集中的に配置されている高温領域を示している。
【0032】
導風ガイド40は、図7に示すように、冷却ファン33の送風方向における上流側に位置する第一ガイド板41と、その第一ガイド板41よりも下流側に位置する第二ガイド板42とを備えている。
第一ガイド板41は、前端部にラジエータ31の取り付け枠体を兼ねる隔壁部材34の後面側に当接する前連結片部41aを備え、後端部に第二ガイド板42との後連結片部41bを備えた板状体で構成されている。この第一ガイド板41の前連結片部41aは、前連結片部41aに備えたボルト孔41cを介して、図示しない連結ボルトを用いてラジエータ31の背部で隔壁部材34に連結される。第一ガイド板41の後連結片部41bは、第二ガイド板42の後述する右連結部42aに対して図示しない連結ボルトにより、連結されている。
第二ガイド板42は、前端側の右側端部に前記第一ガイド板41と連結される右連結部42aが備えられ、左側端部に、ラジエータ31の左側部とエンジンボンネット20の左側面とをつなぐ隔壁部材34に対する左連結部42bが形成されている。この第二ガイド板42の左連結部42bにもボルト孔42cが形成されていて、図示しない連結ボルトにより、前記隔壁部材34に連結されている。
【0033】
第一ガイド板41は、図5に示すように、上下方向に沿う縦板状に形成されていて、その前半部に相当する前側ガイド面43が前後方向に沿い、後半部に相当する後側ガイド面44が斜め左後方に向けて屈曲された形状となっている。この後側ガイド面44が上下方向に幅広く形成されていて、冷却ファン33から送り出される冷却風を左横方向へ案内する役割を担う、つまり、冷却ファン33から送風される冷却風を、水平方向で誘導するものである。
そして、この後側ガイド面44では、後側ガイド面44の案内面部分と、第二ガイド板42よりも上流側における隔壁部材34による案内面部分とが、平面視で角度θ1を有した状態に、つまり下流側ほど狭くなる後ろ窄まり状に形成されている。
また、第一ガイド板41の前側ガイド面43のうち、その前側ガイド面43の前後方向での中間位置より前方側の下部は、中間位置よりも後方側に比べて大きく抉られた状態に切り欠かれて、左右方向での通気が可能な状態に構成されている。
【0034】
第二ガイド板42は、図3乃至図6に示すように、水平方向い沿う幅広の上側ガイド面45と、その上側ガイド面45の左横端部から下方に向けて延出された縦板状の横側ガイド面46と、上側ガイド面45の右横端部から下向きに折り曲げられた短い突片部分47とを備えている。
そして、図5に示すように第二ガイド板42は、縦板状の横側ガイド面46による案内面と、この横側ガイド面46に対向する位置のエンジンの左側面とが、平面視で角度θ2を有した状態に、つまり下流側ほど狭くなる後ろ窄まり状に形成されている。
【0035】
また、第二ガイド板42の上側ガイド面45は、概ね水平方向に沿うものではあるが、図4に示されているように、前後方向では、送風方向の下流側ほど下方に位置する後ろ下がり形状に形成されている。つまり、水平方向に沿う冷却ファン33の回転軸心p1に対して、上側ガイド面45は側面視で角度θ3だけ傾斜した後ろ下がり傾斜面に形成されている。これによって、第二ガイド板42が、冷却ファン33から高温領域H1側へ送られる冷却風を、上下方向で少し下向きに誘導することになる。
そして、第二ガイド板42における上側ガイド面45の上下方向高さ位置は、冷却ファン33の回転円の上端と、これとほぼ同高さ位置にある排出ガス浄化装置35の上端縁とを結ぶ仮想線分L1と側面視で交差する高さ位置に設けられている。
第二ガイド板42における横側ガイド面46は、その下端縁が、側面視での高温領域H1の下部に位置する排気マニホールド30bよりも下方にまで延出されている。
【0036】
〔別実施の形態の1〕
上記実施形態では、導風ガイド40として、冷却風を水平方向で誘導する第一ガイド板41と、上下方向で誘導する第二ガイド板42との組み合わせで構成した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、第一ガイド板41と第二ガイド板42とが一体に構成されたものであっても良いし、誘導方向が水平方向と上下方向との組み合わせであるものに限らず、水平方向と水平方向、あるいは上下方向と上下方向の組み合わせなど、適宜の方向に誘導するものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0037】
〔別実施の形態の2〕
上記実施形態では、導風ガイド40が第一ガイド板41と第二ガイド板42との組み合わせで構成されたものを例示したが、これに限らず(、第)二ガイド板42のみで構成されたものであってもよい。また、これらの第一ガイド板41と第二ガイド板42のみならず、さらに別のガイド板を付加した構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0038】
〔別実施の形態の3〕
上記実施形態では、エンジンボンネット20内における一箇所の高温領域H1に対して、冷却ファン33からの冷却風を誘導する構造のものを例示したが、この構造に限らず、エンジンボンネット20内の複数箇所の高温領域H1に対して、冷却ファン33からの冷却風を誘導する構造のものであっても良い。この場合、高温領域H1としては、エンジンボディ30の上部、エンジン3の排気マニホールド30b、排気マニホールド30bと排出ガス浄化装置35の流入口とを接続する上流排気管37、及び排出ガス浄化装置35自体、に限らず、その他の高温領域であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0039】
〔別実施の形態の4〕
上記実施形態では、導風ガイド40として用いた第一ガイド板41と第二ガイド板42とが、ともに冷却風案内路4を後ろ窄まり状とするように形成されたものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、第一ガイド板41と第二ガイド板42のうちの、(第二ガイド板42)のみが冷却風案内路4を後ろ窄まり状とするように形成(したものであって)も良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、機体後部の原動部にディーゼルエンジンを搭載した各種の作業車に適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
3 ディーゼルエンジン
4 冷却風案内路
20 エンジンボンネット
33 冷却ファン
35 排ガス浄化装置
40 導風ガイド
41 第一ガイド板
42 第二ガイド板
H1 高温領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7