(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料電池と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給通路と、前記酸化剤ガス供給通路に設けられた上流側弁と、各種制御を行う制御部と、を有する燃料電池システムにおいて、
前記上流側弁は、
弁座と、
弁体と、
メインギヤと、
前記メインギヤを収容する弁ハウジングと、
前記メインギヤを介して前記弁体を駆動させて前記弁座と前記弁体との間を開閉させる駆動機構と、
を有し、
前記弁座又は前記弁体のいずれか一方に、閉弁時に前記弁体又は前記弁座に接触するシール部を備えるシール部材が設けられ、
前記制御部は、
前記上流側弁を全閉にする場合、前記駆動機構により前記上流側弁の開度を0よりも大きい制御全閉開度にする制御全閉開度制御を行い、
前記制御全閉開度制御を行っているときに、前記上流側弁にて前記酸化剤ガスの洩れが発生したと判断したときには、前記制御全閉開度を前記上流側弁における前記酸化剤ガスの洩れ量がゼロとなるゼロ位置開度まで閉弁側に補正し、
前記メインギヤは、前記上流側弁の開度が0であるときに前記弁ハウジングの全閉ストッパ部に接触する全閉ストッパ部を備え、
前記上流側弁の開度が前記制御全閉開度であるときには、前記メインギヤの前記全閉ストッパ部は前記弁ハウジングの全閉ストッパ部から離れていること、
を特徴とする燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示に係る実施形態である燃料電池システムについて、
図1を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、燃料電池車に搭載され、その駆動用モータ(図示略)に電力を供給する燃料電池システムに、本開示を適用した場合について説明する。
【0022】
本実施形態の燃料電池システム101は、
図1に示すように、燃料電池スタック(燃料電池)111と、水素系112と、エア系113を有する。
【0023】
燃料電池スタック111は、燃料ガスの供給と酸化剤ガスの供給を受けて発電を行う。本実施形態では、燃料ガスは水素ガスであり、酸化剤ガスはエアである。すなわち、燃料電池スタック111は、水素系112からの水素ガスの供給と、エア系113からのエアの供給を受けて発電を行う。そして、燃料電池スタック111で発電された電力は、インバータ(図示略)を介して駆動用モータ(図示略)に供給される。
【0024】
水素系112は、燃料電池スタック111のアノード側に設けられている。この水素系112は、水素供給通路121、水素排出通路122、充填通路123を備えている。水素供給通路121は、水素タンク131から燃料電池スタック111へ水素ガスを供給するための通路である。水素排出通路122は、燃料電池スタック111から排出される水素ガス(以下、適宜、「水素オフガス」という。)を排出するための通路である。充填通路123は、充填口151から水素タンク131に水素ガスを充填するための通路である。
【0025】
水素系112は、水素供給通路121において、水素タンク131側から順に、主止弁132、高圧レギュレータ133、中圧リリーフ弁134、圧力センサ135、インジェクタ部136、低圧リリーフ弁137、圧力センサ138を備えている。主止弁132は、水素タンク131から水素供給通路121への水素ガスの供給と遮断を切り換える弁である。高圧レギュレータ133は、水素ガスを減圧するための圧力調整弁である。中圧リリーフ弁134は、水素供給通路121における高圧レギュレータ133とインジェクタ部136の間の圧力が所定圧力以上になると開弁して圧力を所定圧力未満に調整する弁である。圧力センサ135は、水素供給通路121における高圧レギュレータ133とインジェクタ部136の間の圧力を検出するセンサである。インジェクタ部136は、水素ガスの流量を調節する機構である。低圧リリーフ弁137は、水素供給通路121におけるインジェクタ部136と燃料電池スタック111の間の圧力が所定圧力以上になると開弁して圧力を所定圧力未満に調整する弁である。圧力センサ138は、水素供給通路121におけるインジェクタ部136と燃料電池スタック111の間の圧力を検出するセンサである。
【0026】
また、水素系112は、水素排出通路122において、燃料電池スタック111側から順に、気液分離器141、排気排水弁142が配置されている。気液分離器141は、水素オフガス内の水分を分離する機器である。排気排水弁142は、気液分離器141からエア系113の希釈器182への水素オフガスや水分の排出と遮断を切り換える弁である。
【0027】
エア系113は、燃料電池スタック111のカソード側に設けられている。このエア系113は、エア供給通路161(酸化剤ガス供給通路)、エア排出通路162、バイパス通路163を備えている。エア供給通路161は、燃料電池システム101の外部から燃料電池スタック111へ、エアを供給するための通路である。エア排出通路162は、燃料電池スタック111から排出されるエア(以下、適宜、「エアオフガス」という。)を排出するための通路である。バイパス通路163は、エア供給通路161から燃料電池スタック111を介さずに(迂回して)エア排出通路162へ、エアを流すための通路である。
【0028】
エア系113は、エア供給通路161において、エアクリーナ171側から順に、コンプレッサ172、インタークーラ173、入口封止弁(上流側弁)174を備えている。エアクリーナ171は、燃料電池システム101の外部から取り込んだエアを清浄化する機器である。コンプレッサ172は、エアを燃料電池スタック111に供給する機器である。インタークーラ173は、エアを冷却する機器である。入口封止弁174は、燃料電池スタック111へのエアの供給と遮断を切り換える封止弁である。この入口封止弁174として、弁体のシール面が回転軸から偏心して配置される偏心弁が適用されている。入口封止弁174の詳細については、後述する。
【0029】
また、エア系113は、エア排出通路162において、燃料電池スタック111側から順に、出口統合弁(下流側弁)181、希釈器182が配置されている。
【0030】
出口統合弁181は、燃料電池スタック111の背圧を調整して燃料電池スタック111からのエアオフガスの排出量を制御する弁(調圧(流量制御)機能を有する弁)である。この出口統合弁181として、入口封止弁174と基本的に同一構成(ゴムシート21の構成が異なる場合がある)の偏心弁が適用されている。出口統合弁181の詳細については、後述する。
【0031】
希釈器182は、エアオフガス及びバイパス通路163を流れるエアにより、水素排出通路122から排出される水素オフガスを希釈する機器である。
【0032】
また、エア系113は、バイパス通路163において、バイパス弁191を備えている。バイパス弁191は、バイパス通路163におけるエアの流量を制御する弁である。バイパス弁191として、入口封止弁174や出口統合弁181とほぼ同一構成(ゴムシート21を備えていない)の偏心弁が適用されている。バイパス弁191の詳細については、後述する。
【0033】
また、燃料電池システム101は、システムの制御を司るコントローラ(制御部)201を備えている。コントローラ201は、燃料電池システム101に備わる各機器を制御するとともに各種判定を行う。なお、燃料電池システム101は、その他、燃料電池スタック111の冷却を行う冷却系(不図示)も有する。
【0034】
以上のような構成の燃料電池システム101において、水素供給通路121から燃料電池スタック111に供給された水素ガスは、燃料電池スタック111にて発電に使用された後、燃料電池スタック111から水素オフガスとして水素排出通路122と希釈器182を介して、燃料電池システム101の外部に排出される。また、エア供給通路161から燃料電池スタック111に供給されたエアは、燃料電池スタック111にて発電に使用された後、燃料電池スタック111からエアオフガスとしてエア排出通路162と希釈器182を介して、燃料電池システム101の外部に排出される。
【0035】
ここで、入口封止弁174、出口統合弁181及びバイパス弁191について、
図2〜
図21を参照しながら説明する。なお、これらの弁は、入口封止弁174と出口統合弁181とでゴムシートの構成が異なる場合やバイパス弁191がゴムシートを備えていないことを除いて、基本的に同一構成であるため、以下では入口封止弁174を中心に説明し、適宜、出口統合弁181及びバイパス弁191についても説明する。
【0036】
図2及び
図3に示すように、入口封止弁174は、弁部2と駆動機構部3を備える。弁部2は、内部にエア(空気)が流れる流路11を有する管部12(
図8参照)を備え、流路11の中には弁座13、弁体14及び回転軸15が配置されている。回転軸15に対しては、駆動機構部3から駆動力(回転力)が伝えられる。駆動機構部3は、モータ32と減速機構33(
図8や
図9参照)を備えている。
【0037】
図4及び
図5に示すように、流路11には段部10が形成され、その段部10に弁座13が組み込まれている。弁座13は、円環状をなし、中央に弁孔16を有する。弁孔16の縁部には、環状のシート面17が形成されている。弁体14は、円板状の部分を備え、その外周には、シート面17に対応する環状のシール面18が形成されている。弁体14は、回転軸15に一体的に設けられ、回転軸15と一体的に回転する。
【0038】
本実施形態では、弁座13に、ゴムシート(シール部材)21が設けられている(
図21参照)。そして、ゴムシート21に、シート面17が形成されている。このゴムシート21の詳細については、後述する。なお、バイパス弁191には、ゴムシート21が備わっていないため、シート面17は弁座13に形成されている。
【0039】
本実施形態では、
図4及び
図5において、弁座13に対して弁体14や回転軸15とは反対側に形成される流路11が燃料電池スタック111側(エアの流れの下流側)に配置され、弁座13に対して弁体14や回転軸15側に形成される流路11がコンプレッサ側(エアの流れの上流側)に配置されている。すなわち、本実施形態では、エアは、流路11内において、弁体14(回転軸15)側から弁座13側に向かって流れる。
【0040】
なお、出口統合弁181においては、入口封止弁174とは逆に、弁座13に対して弁体14や回転軸15とは反対側に形成される流路11が燃料電池スタック111側(エアの流れの上流側)に配置され、弁座13に対して弁体14や回転軸15側に形成される流路11が希釈器182側(エアの流れの下流側)に配置されている。すなわち、出口統合弁181では、エアは、流路11内において、弁座13側から弁体14(回転軸15)側に向かって流れる。
【0041】
また、バイパス弁191においては、弁座13に対して弁体14や回転軸15側に形成される流路11がエア供給通路161側(エアの流れの上流側)に配置され、弁座13に対して弁体14や回転軸15とは反対側に形成される流路11がエア排出通路162側(エアの流れの下流側)に配置されている。すなわち、バイパス弁191では、エアは、流路11内において、弁体14(回転軸15)側から弁座13側に向かって流れる。
【0042】
図6及び
図7に示すように、回転軸15の中心軸Lsは、弁体14の径方向(詳しくは、弁体14の円板状の部分の径方向)と平行に伸び、弁孔16の中心軸P1から弁孔16の径方向へ偏心して配置されると共に、弁体14のシール面18が回転軸15の中心軸Lsから弁体14の中心軸Lvが伸びる方向へ偏心して配置されている。
【0043】
また、弁体14について回転軸15の中心軸Lsを中心に回転させることにより、弁体14のシール面18が、シート面17に面接触する閉弁位置(
図4参照)とシート面17から最も離れる全開位置(
図5参照)との間で移動可能となっている。
【0044】
図8及び
図9に示すように、金属製又は合成樹脂製の弁ハウジング35は、流路11及び管部12を備えている。また、金属製又は合成樹脂製のエンドフレーム36は、弁ハウジング35の開口端を閉鎖している。弁体14及び回転軸15は、弁ハウジング35内に設けられている。回転軸15は、その先端部にピン15aを備えている。このように、ピン15aは、回転軸15の中心軸Ls方向の一方(弁体14側)の端部に設けられている。ピン15aの径は、回転軸15におけるピン15a以外の部分の径よりも小さい。なお、回転軸15の中心軸Ls方向の他方(メインギヤ41側)の端部には、基端部15bが設けられている。
【0045】
回転軸15は、ピン15aがある先端側を自由端とし、その先端部が管部12の流路11に挿入されて配置されている。また、回転軸15は、互いに離れて配置された2つの軸受である第1軸受37と第2軸受38を介して弁ハウジング35に対し回転可能に片持ち支持されている。第1軸受37と第2軸受38は、ともにボールベアリングにより構成されている。第1軸受37と第2軸受38は、回転軸15の中心軸Ls方向について弁体14とメインギヤ41との間の位置に配置され、回転軸15を回転可能に支持している。本実施形態では、第1軸受37が、第2軸受38に対してメインギヤ41側の位置に配置されている。弁体14は、回転軸15の先端部に形成されたピン15aに対して溶接により固定され、流路11内に配置されている。
【0046】
エンドフレーム36は、弁ハウジング35に対し複数のクリップ39(
図2及び
図3参照)により固定されている。
図8及び
図9に示すように、回転軸15の基端部15bには、扇形ギヤを備えるメインギヤ41が固定されている。弁ハウジング35とメインギヤ41との間には、リターンスプリング力Fs1を発生させるリターンスプリング40が設けられている。リターンスプリング力Fs1は、回転軸15を閉弁方向に回転させる力であって、弁体14を閉弁方向へ付勢する力である。
【0047】
リターンスプリング40は、線材がコイル状に巻かれて形成された弾性体である。リターンスプリング40は、その線材の両端部において、
図11に示すように、奥側フック40aと、手前側フック40bを備えている。奥側フック40aと手前側フック40bは、リターンスプリング40の周方向について約180°離れた位置に配置されている。奥側フック40aは、弁ハウジング35側(
図11の紙面奥側)に配置され、弁ハウジング35のスプリングフック部35c(
図19参照)に接触している。一方、手前側フック40bは、メインギヤ41側(
図11の紙面手前側)に配置され、メインギヤ41のスプリングフック部41cに接触している。
【0048】
また、
図8〜
図11に示すように、メインギヤ41は、全閉ストッパ部41aと、歯車部41bと、スプリングフック部41cと、スプリングガイド部41dなどを備えている。そして、メインギヤ41の周方向(
図11の反時計方向)について、順に、全閉ストッパ部41a、歯車部41b、スプリングフック部41cが形成されている。メインギヤ41は、回転軸15と一体的に設けられ、モータ32で発生する駆動力を受給する。全閉ストッパ部41aは、開度θが「0」であるときに、弁ハウジング35の全閉ストッパ部35bに接触する部分である。
【0049】
図8に示すように、モータ32は、弁ハウジング35に形成された収容凹部35aに収容されて固定されている。モータ32は、回転軸15を開弁、および、閉弁方向に回転させる駆動力を発生させる。モータ32は、弁体14を開閉駆動するために減速機構33を介して回転軸15に駆動力が伝達されるようにして連結されている。すなわち、モータ32の出力軸32a(
図10参照)には、モータギヤ43が固定されている。このモータギヤ43は、中間ギヤ42を介してメインギヤ41に駆動力が伝達されるようにして連結されている。
【0050】
中間ギヤ42は、大径ギヤ42aと小径ギヤ42bを有する二段ギヤであり、ピンシャフト44を介して弁ハウジング35に回転可能に支持されている。大径ギヤ42aの直径は、小径ギヤ42bの直径よりも大きい。大径ギヤ42aには、モータギヤ43が駆動連結され、小径ギヤ42bには、メインギヤ41が駆動連結されている。本実施形態では、減速機構33を構成するメインギヤ41と中間ギヤ42とモータギヤ43は、樹脂により形成されている。
【0051】
なお、モータ32は、本開示における「駆動機構」の一例である。また、中間ギヤ42(駆動伝達部)は、モータ32の駆動力を回転軸15に伝達する。
【0052】
詳しくは後述するが、このような構成の入口封止弁174は、
図4に示すような閉弁状態(弁体14のシール面18の全周と弁座13(ゴムシート21)のシート面17の全周とが接触している状態)から、モータ32に通電させると、メインギヤ41にギヤ歯を押す力(モータ駆動力Fm1(
図14参照))が加わり、てこの原理により弁体14を弁座13に向かう方向へ移動させる(
図15参照)。その後、モータ32に印加する駆動電圧(電流)が徐々に大きくなると、出力軸32aとモータギヤ43が正方向(弁体14を開弁させる方向)へ回転して、その回転が中間ギヤ42により減速されてメインギヤ41に伝達される。そして、リターンスプリング40により発生する力であって閉弁方向へ付勢するリターンスプリング力Fs1に抗して、弁体14が開弁して流路11が開かれる(
図16及び
図18参照)。その後、弁体14が開弁する途中でモータ32に印加する駆動電圧が一定に維持されると、そのときの弁体14の開度にてモータ駆動力Fm1とリターンスプリング力Fs1とが均衡して、弁体14は所定開度に保持される。
【0053】
そこで、本実施形態における入口封止弁174の作用について詳細に説明する。まず、モータ32へ通電がなされていないモータ32の非駆動時(モータ32が停止しているとき)には、開度θが「0」の状態、すなわち、入口封止弁174が全閉(機械的全閉開度)になっている。そして、このとき、
図11に示すように、メインギヤ41の全閉ストッパ部41aは、弁ハウジング35の全閉ストッパ部35bに接触している。
【0054】
このとき、回転軸15の周方向についての力関係を考えると、
図12に示すように、メインギヤ41のスプリングフック部41cには、リターンスプリング40の手前側フック40bからリターンスプリング力Fs1が加わっている。なお、
図12に示すように、回転軸15の中心軸Lsを原点とし、x軸を水平方向とし、y軸を鉛直方向とする直交座標系において、+x方向かつ+y方向を第1象限、−x方向かつ+y方向を第2象限、−x方向かつ−y方向を第3象限、+x方向かつ−y方向を第4象限とする。このとき、奥側フック40aおよび全閉ストッパ部41aは第1象限に位置するように配置され、手前側フック40bおよびスプリングフック部41cは第3象限に位置するように配置されている。
【0055】
ここで、てこの原理において、全閉ストッパ部41aに支点が設定され、スプリングフック部41cに力点が設定され、全閉ストッパ部41aとスプリングフック部41cとの間の中央部に作用点が設定されるとする。すると、スプリングフック部41cに加わるリターンスプリング力Fs1により、全閉ストッパ部41aとスプリングフック部41cとの間の中央部に力Fs2が作用する。なお、(力Fs2)=2×(リターンスプリング力Fs1)である。なお、
図12において、全閉ストッパ部41aとスプリングフック部41cとの間の距離は「2R」としている。
【0056】
このとき、回転軸15の中心軸Ls方向に沿った断面における力関係を考えると、
図13に示すように、力Fs2の+y方向成分は、分力Fs3となる。なお、+y方向とは、第1軸受37や第2軸受38の中心軸Lj方向(x方向)に対して垂直な方向であって、弁体14に対して弁座13方向(
図12や
図13の図面上方向)である。また、(分力Fs3)=(力Fs2)×(sinθ1)である。なお、
図12に示すように、角度θ1は、x方向に対して、全閉ストッパ部41aとスプリングフック部41cの配列方向がなす角度である。
【0057】
そして、この分力Fs3により、スプリングガイド部41dの位置では、力Fs4(反弁座方向付勢力)が+y方向に作用している。なお、(力Fs4)=(分力Fs3)×Lb/Laである。このように、力Fs4は、リターンスプリング力Fs1に起因して発生する力であって、かつ、第1軸受37と第2軸受38の中心軸Ljに対して垂直な方向に作用する力である。なお、距離Laは、x方向について第1軸受37が配置される位置から力Fs4が作用する位置までの距離である。また、距離Lbは、x方向について第1軸受37が配置される位置から分力Fs3が作用する位置までの距離である。
【0058】
このようにスプリングガイド部41dの位置で力Fs4が+y方向に作用することにより、スプリングガイド部41dと一体の回転軸15は、第1軸受37を支点に、
図13における時計回りに回転して傾く。これにより、てこの原理により、回転軸15の基端部15bに設けられるメインギヤ41は+y方向に移動する一方で、回転軸15のピン15aに設けられる弁体14は−y方向に移動する。そのため、弁体14は、弁座13から離れる方向(反弁座方向)に移動する。このようにして、モータ32の非駆動時であって、入口封止弁174が閉弁状態であるときに、弁体14は、力Fs4により、弁座13から離れる方向に移動する。なお、このとき、回転軸15は、第2軸受38により制止される。
【0059】
本実施形態では、このとき、
図13に示すように、弁体14は、弁座13に設けられたゴムシート21(シール部材)に接触している。詳しくは、
図21に示すように、弁体14は、ゴムシート21に備わるシール部21aに接触している。なお、このとき、弁体14は、シール部21aのシート面17の全周に亘って接触している。シール部21aは、弁体14に押されて撓むことができるように形成されている。そして、シール部21aは、入口封止弁174の上流側圧力が下流側圧力よりも大きくなる(前後差圧が大きくなる)にしたがって弁体14のシール面18に接触する面圧が高められる形状をなしている。例えば、シール部21aとして、ビードシールやリップシール等を適用することができる。このようにして、弁座13と弁体14との間はゴムシート21で封止(シール)されており、入口封止弁174は簡単な構成でシール性が確保されている。
【0060】
これにより、燃料電池システム101が搭載された車両の減速時において、燃料電池スタック111へのエアの供給を停止する場合に、入口封止弁174を全閉にしてエア供給通路161の圧力を高める、あるいは燃料電池スタック111のスタック圧を下げることにより、燃料電池スタック111の入口側でエアを封止することができる。従って、燃料電池スタック111へのエアの供給を停止する際に、燃料電池スタック111への余剰(不要)なエアの供給を少なくすることができるので、減速時における燃料電池スタック111での不要な発電を最小限に抑えることができる。
【0061】
また、このとき、開度θと開口面積Sの関係は
図20に示す点P1aの様になる。ここで、「入口封止弁174が全閉(機械的全閉)状態であるとき」とは、開度θ(弁体14の開度)が「0」のときであり、言い換えると、回転軸15の回転角度が全閉のときの角度(回転軸15の回転範囲内における最小角度)であるときである。
【0062】
その後、モータ32へ通電がなされるモータ32の駆動時には、中間ギヤ42の小径ギヤ42b(
図11参照)からメインギヤ41の歯車部41b(
図11参照)に対して当該メインギヤ41を回転させようとするモータ駆動力Fm1が作用する。このとき、回転軸15の周方向についての力関係を考えると、
図14に示すように、モータ駆動力Fm1は、−y方向に作用する。なお、−y方向とは、第1軸受37や第2軸受38の中心軸Lj方向(x方向)に対して垂直な方向であって、弁座13に対して弁体14が配置される方向(
図12や
図13の図面下方向)である。
【0063】
そして、モータ駆動力Fm1により、回転軸15の中心軸Lsの位置では、力Fm2が−y方向に作用している。さらに、回転軸15の中心軸Ls方向に沿った断面における力関係を考えると、
図15に示すように、スプリングガイド部41dの位置では、力Fm3(弁座方向付勢力)が−y方向に作用している。なお、(力Fm3)=(力Fm2)×Lb/Laである。このように、モータ32の駆動時に、力Fm3が発生する。この力Fm3は、モータ駆動力Fm1に起因して発生する力であって、かつ、第1軸受37と第2軸受38の中心軸Ljに対して垂直な方向に作用する力である。そして、力Fm3は、第1軸受37を支点として回転軸15を回転させて傾けて、弁体14を弁座13に向かう方向に付勢する。
【0064】
そして、
図15に示すように、力Fm3が前記の力Fs4よりも大きくなると、メインギヤ41のスプリングガイド部41dと一体の回転軸15は、第1軸受37を支点に
図15における反時計回りに回転して傾く。これにより、てこの原理により、メインギヤ41は−y方向に移動する一方で、弁体14は+y方向に移動する。このようにして、弁体14は、力Fm3により、弁座13に向かう方向(弁座方向)に移動する。
【0065】
本実施形態では、このとき、ゴムシート21のシール部21aは、弁体14に押されて変形しているが、シール部21aの変形は弾性領域内で行われ、塑性変形はしない。なお、このとき、開度θと開口面積Sの関係は
図20に示す、点P1bの様になる。
【0066】
その後、モータ32に印加させる駆動電圧が大きくなってモータ駆動力Fm1が大きくなると、回転軸15は、第1軸受37を支点に
図16における反時計回りにさらに回転して傾く。これにより、メインギヤ41は−y方向にさらに移動する一方で、弁体14は+y方向にさらに移動する。このとき、回転軸15は中心軸Lsを中心に回転し、開度θ(回転軸15の回転角度)が開度「0°」から僅かに開いた開度「α」になる(
図17参照)。そして、このとき、
図17に示すように、メインギヤ41の全閉ストッパ部41aは、弁ハウジング35の全閉ストッパ部35bから離れる。この状態が、後述する制御全閉状態であり、開度「α」が制御全閉開度となる。制御全閉開度の詳細については後述する。なお、
図16に示すように、回転軸15は、第2軸受38により制止される。また、このとき、開度θと開口面積Sは
図20に示す点P1cの様になり、開口面積Sはほぼゼロである。
【0067】
そして、モータ駆動力Fm1がさらに大きくなると、回転軸15は中心軸Lsを中心にさらに回転し、
図18に示すように、弁体14が弁座13から離れて、開口面積Sが増加して開弁される。このとき、開度θが「β」になる(
図19参照)。また、このとき、開度θと開口面積Sの関係は
図20に示す点P1dの様になる。以上のようにして、モータ駆動力Fm1による入口封止弁174の開弁動作が行われる。
【0068】
上記のような構成を出口統合弁181も有している。ただし、出口統合弁181におけるゴムシートのシール部は、出口統合弁181の上流側圧力が下流側圧力よりも大きくなるにしたがって、弁体のシール面に接触する面圧が下がるようになっている。また、バイパス弁191は、ゴムシート21を備えていない点を除き、上記のような構成を有している。このようにエア系113では、
図22に示すように、入口封止弁174、出口統合弁181及びバイパス弁191として、入口封止弁174と出口統合弁181とでゴムシートの構成が異なる場合やバイパス弁191がゴムシートを備えていないことを除いて、基本的な構成が同一である偏心弁を使用して、エア系113における弁の共通化を図っている。また、入口封止弁174、出口統合弁181及びバイパス弁191において、ゴムシート以外の構成は共通しているので、開閉制御(動作)自体は同一であるため、これらの弁を協調制御することができる。これらのことにより、燃料電池システム101のコストを低減することができるとともに、コントローラ201における弁の開閉制御を簡素化することができる。
【0069】
ここで、入口封止弁174では、システム停止時や減速時に全閉にする際、弁体14のシール面18がゴムシート21のシール部21aを摺りながら、弁体14が弁座13に着座する。そのため、シール部21aの摩耗が進行していくと、入口封止弁174のシール性を確保することができなくなってしまうおそれがある。そして、システム停止時において、入口封止弁174のシール性を確保することができなくなると、システム停止時における燃料電池スタック111の密閉度が低下し、燃料電池スタック111内で反応が起こり、燃料電池スタック111内で酸化による劣化が生じてしまう。
【0070】
そこで、燃料電池システム101において、減速時又はシステム停止時に燃料電池スタック111へのエアの供給を停止する場合、燃料電池スタック111の劣化防止のために、上記の制御を基本とした以下に述べる制御を実施して、システム停止時において入口封止弁174のシール性を確保することができるように、シール部21aの摩耗を抑制することが好ましい。
【0071】
具体的には、コントローラ201が、
図23〜
図25に示す制御フローチャートに基づく制御を実行すればよい。まず、コントローラ201は、
図23に示すように、燃料電池スタック111の作動要求が継続しているか否かを判断する(ステップS50)。燃料電池スタック111の作動要求が継続している場合には(ステップS50:YES)、コントローラ201は、車両が加速/定常状態から減速状態になったか否かを判断する(ステップS51)。
【0072】
車両が加速/定常状態から減速状態になると(ステップS51:YES)、コントローラ201は、放電解除フラグが「0」であるか否かを判断する(ステップS52)。放電解除フラグは、「0」の場合に放電要求があることを示し、「1」の場合に放電要求がないことを示す。なお、放電要求は、減速時に燃料電池スタック111で発電された電気をバッテリに充電することができない場合に生じる。
【0073】
そして、放電解除フラグが「0」である場合には(ステップS52:YES)、コントローラ201は、バイパス弁191を全閉状態から全開にするための全開制御を実施する(ステップS53)。これにより、入口封止弁174にコンプレッサ172のコンプレッサ圧が作用しなくなるため、入口封止弁174の前後差圧が小さくなる。なお、放電解除フラグが「1」である場合には(ステップS52:NO)、コントローラ201は、後述するステップS90〜S93の処理を実施する。
【0074】
また、出口統合弁181を減速前の出力(加速/定常)要求に応じた開度から制御全閉開度αにする制御全閉開度制御を実施する(ステップS54)。なお、このステップS54の処理は省略することもできるが、ステップS53の処理に加えてステップS54の処理を行うことにより、どちらか一方の弁が故障(バイパス弁閉故障又は出口統合弁開故障)した場合であっても、入口封止弁174の前後差圧を小さくすることができる。
【0075】
さらに、コントローラ201は、入口封止弁174の開度を全開状態から所定開度γに閉じる閉弁制御を実施する(ステップS55)。なお、所定開度γとしては、弁体14がシール部21aに接触する少し手前の開度(例えば、5〜15°程度)を設定すればよい。本実施形態では、所定開度γをγ=10°に設定している。
【0076】
次に、コントローラ201は、コンプレッサ172のコンプレッサ圧(Pin)とスタック圧pstackを取り込み(ステップS56)、入口封止弁174の前後差圧ΔPIN(=Pin−pstack)を算出する(ステップS57)。そして、この前後差圧ΔPINが所定圧Pより小さくなると(ステップS58:YES)、コントローラ201は、入口封止弁174の開度を制御全閉開度にする制御全閉開度制御を実施する(ステップS59)。つまり、コントローラ201は、モータ32を制御して入口封止弁174を制御全閉開度αまで閉じていく。これにより、入口封止弁174の開度が、所定開度γから制御全閉開度αとなる。
【0077】
なお、制御全閉開度αは、機械的全閉開度(開度0°)より僅かに大きく、弁体14がシール部21aに接触して閉弁状態が維持される開度であって、例えば、数度に設定すれば良い。本実施形態では、制御全閉開度αをα=3°に設定している。また、所定圧Pは、ゴムシート21のシール部21aが確実に変形しない圧力(数kPa程度)を設定すればよい。
【0078】
このとき、バイパス弁191が全開にされているため、基本的には入口封止弁174の前後差圧ΔPINは小さくなっている。しかしながら、例えば、バイパス弁191の弁孔径を小さくした場合等に、バイパス弁191を開弁してから入口封止弁174の前後差圧ΔPINが小さくなるまでに時間がかかり、入口封止弁174の前後差圧ΔPINが下がる前に、入口封止弁174が制御全閉開度αにされてしまうおそれがある。そうすると、シール部21aが変形している状態で入口封止弁174が制御全閉となるおそれがある。
【0079】
そのため、入口封止弁174を制御全閉にする場合、上記のように、まず入口封止弁174を所定開度γまで閉弁し、入口封止弁174の前後差圧ΔPINが一定圧Pより小さくなった後に、制御全閉開度制御を行うことにより、シール部21aが変形した状態で入口封止弁174が制御全閉にされてしまうことを確実に回避することができる。
【0080】
その後、コントローラ201は、ステップS59で制御全閉開度制御が実施された入口封止弁174の開度が制御全閉開度αになったか否かを判断する(ステップS60)。そして、入口封止弁174の開度が制御全閉開度αになったことを確認すると(ステップS60:YES)、入口封止弁174の制御全閉フラグを「1」して(ステップS61)、全開状態になっているバイパス弁191を全閉にするための全閉制御を実施する(ステップS62)。これにより、入口封止弁174のシール部21aに対してコンプレッサ172のコンプレッサ圧が作用して、シール部21aが弁体14に押しつけられる。そのため、入口封止弁174において、開度が制御全閉開度αに制御されても、シール性を確保することができる。従って、減速時に燃料電池スタック111へのエアの供給を停止する際、入口封止弁174を機械的全閉にせずに制御全閉としても、入口封止弁174でエアを封止することができる。
【0081】
このように、入口封止弁174では、減速時における全閉開度(制御全閉開度)が、システム停止時における全閉開度(機械的全閉開度)と異なっている。そのため、
図26に示すように、システム停止時における機械的全閉開度状態での弁体14とシール部21aとの接点端CP1の位置と、減速時における制御全閉開度状態での弁体14とシール部21aとの接点端CP2の位置とが異なる。そして、入口封止弁174が全閉にされる作動回数の多い減速時における全閉開度位置(制御全閉開度位置:開度θ=α)でのシール部21aの摩耗は生じてしまうが、減速時に比べると大幅に作動回数の少ないシステム停止時における全閉開度位置(機械的全閉位置:開度θ=0)でのシール部21aの摩耗を大幅に抑制することができる。従って、システム停止時における入口封止弁174のシール性を確保することができる。なお、入口封止弁174において、制御全閉開度位置でシール部21aの摩耗が生じたとしても、減速時にはコンプレッサ172のコンプレッサ圧によりシール部21aが弁体14に押しつけられるため、シール性を確保することができる。
【0082】
そして、
図24に示すように、放電要求がある場合には(ステップS80:YES)、コントローラ201は、コンプレッサ172のコンプレッサ圧(Pin)及びコンプレッサ回転数(cprpm)を取り込む(ステップS81)。次に、コンプレッサ圧(Pin)が放電目標圧Aより小さい(Pin<A)か否かを判断する(ステップS82)。このとき、コンプレッサ圧(Pin)が放電目標圧Aより小さい場合には(ステップS82:YES)、バイパス弁191を閉弁制御してコンプレッサ圧(Pin)を上げる(ステップS83)。一方、コンプレッサ圧(Pin)が放電目標圧A以上である場合には(ステップS82:NO)、バイパス弁191を開弁制御してコンプレッサ圧(Pin)を下げる(ステップS84)。
【0083】
次に、コントローラ201は、コンプレッサ回転数(cprpm)が放電目標回転数Bより小さい(cprpm<B)か否かを判断する(ステップS85)。このとき、コンプレッサ回転数(cprpm)が放電目標回転数Bより小さい場合には(ステップS85:YES)、コンプレッサ172の回転数を上げる(ステップS86)。一方、コンプレッサ回転数(cprpm)が放電目標回転数B以上である場合には(ステップS85:NO)、コンプレッサ172の回転数を下げる(ステップS87)。
【0084】
このような放電制御により、コンプレッサ圧及びコンプレッサ回転数をそれぞれ放電目標圧A及び放電目標回転数B付近に制御して、燃料電池スタック111で余剰に発電された電気を効率よくコンプレッサ172で放電することができる。
【0085】
一方、放電要求がない場合、言い換えるとバッテリが充電可能である場合には(ステップS80:NO)、コントローラ201は、放電解除フラグを「1」にする(ステップS88)。そして、補機類発電要求が無いか否かを判断する(ステップS90)。補機類発電要求が無い場合には(ステップS90:YES)、回生ブレーキ制御を実施して、燃料電池スタック111で発電された電気をバッテリに充電するために、回生ブレーキ要求に応じて、バイパス弁191を開弁しコンプレッサ172の回転数を制御する。なお、コンプレッサ172が一定回転数を維持していても、バイパス弁191が開弁されているため、コンプレッサ172の負荷(電力消費)は小さい。
【0086】
そして、補機類発電要求が有る場合には(ステップS90:NO)、コントローラ201は、入口封止弁174の制御全閉フラグが「0」であるか否かを判断する(ステップS92)。入口封止弁174の制御全閉フラグが「0」である場合には(ステップS92:YES)、補機類発電要求に応じて、出口統合弁181の開度とバイパス弁191の開度とをそれぞれ制御するとともに、コンプレッサ172の回転数を制御する(ステップS93)。なお、入口封止弁174の制御全閉フラグが「1」である場合には(ステップS92:NO)、後述するステップS70以降の処理を行う。
【0087】
図23に戻って、加速/定常状態が維持されている場合、又は減速が終了した場合には(ステップS51:NO)、コントローラ201は、
図25に示すように、入口封止弁174の制御全閉フラグが「1」であるか否かを判断する(ステップS70)。制御全閉フラグが「1」である場合には(ステップS70:YES)、減速制御からの復帰制御を行う。すなわち、コントローラ201は、バイパス弁191を全閉状態から全開にするための全開制御を実施する(ステップS71)。このとき、出口統合弁181については制御全閉開度制御が継続される(ステップS72)。なお、ステップS72の処理は、ステップS54の処理を省略する場合には不要となる。
【0088】
このとき、入口封止弁174の前後差圧ΔPINが大きいと、その差圧によってゴムシート21のシール部21aが反り返って変形するおそれがある。そして、
図27に示すように、入口封止弁174を開弁していくときに、ゴムシート21のシール部21aが反り返って変形してしまうと、シール部21aが異常に摩耗するおそれがある。そして、シール部21aが異常に摩耗すると、入口封止弁174が全閉時においてシール性を確保することができなくなる。
【0089】
そこで、コントローラ201は、コンプレッサ172のコンプレッサ圧(Pin)とスタック圧pstackを取り込み(ステップS73)、入口封止弁174の前後差圧ΔPIN(=Pin−pstack)を算出する(ステップS74)。この前後差圧ΔPINが所定圧Pより小さくなると(ステップS75:YES)、コントローラ201は、入口封止弁174の開度を制御全閉開度から全開にする全開制御を行う(ステップS76)。その後、コントローラ201は、入口封止弁174の制御全閉フラグを「0」にして(ステップS77)、放電解除フラグを「0」にする(ステップS78)。
【0090】
これにより、入口封止弁174の前後差圧ΔPINが小さくなってから、入口封止弁174が開弁されるため、入口封止弁174の開弁時にゴムシート21のシール部21aが反り返って変形することを確実に防止することができる。従って、減速終了後に入口封止弁174を開弁させる時に、ゴムシート21のシール部21aが異常に摩耗することを防止することができ、入口封止弁174のシール性を確保することができる。
【0091】
なお、制御全閉フラグが「0」である場合、言い換えると加速/定常状態が維持されている場合には(ステップS70:NO)、入口封止弁174は全開状態が維持されており、コントローラ201は、そのときの出力(加速/定常)要求に応じて、出口統合弁181の開度とバイパス弁191の開度とをそれぞれ制御するとともに、コンプレッサ172の回転数を制御する(ステップS79)。
【0092】
図23に戻って、燃料電池スタック111の作動要求が継続していない、つまりシステムの停止要求がある場合には(ステップS50:NO)、コントローラ201は、ステップS100以降の処理を実施して燃料電池システム101を停止させる。
【0093】
ここで、減速時に制御全閉開度制御が実施されると、弁体14とシール部21aとが摺動する回数が、システム停止時における機械的全閉開度位置よりも、
図28に示す減速時における制御全閉開度位置で大幅に多くなる。そのため、
図29に示すように、制御全閉開度位置において弁体14とシール部21aとが接触・摺動する部分(網掛け部分)でシール部21aが摩耗していくので、
図30に示すように、シール部21aに段差Dが発生してしまうおそれがある。そして、シール部21aに段差Dが発生すると、システム停止時に入口封止弁174がリターンスプリング40の付勢力(リターンスプリング力Fs1)だけでは機械的全閉開度(開度「0°」)まで閉じないおそれがある。
【0094】
そこで、システム停止時には、コントローラ201は入口封止弁174に対して、以下に述べるゼロ開度制御を実施して、システム停止時において入口封止弁174を確実に全閉(機械的全閉開度)にする。
【0095】
すなわち、コントローラ201は、バイパス弁191を全閉状態から全開にするための全開制御を実施する(ステップS100)。また、入口封止弁174の開度を、モータ32によって強制的に「0°」にするゼロ開度制御を実施して、入口封止弁174を全閉(機械的全閉)にする(ステップS101)。同様に、出口統合弁181に対してもゼロ開度制御を実施して、出口統合弁181を全閉にする(ステップS102)。
【0096】
その後、コントローラ201は、コンプレッサ172を停止させ、回転数が「0」になると(ステップS103:YES)、バイパス弁191を全開から全閉にする全閉制御を実施し(ステップS104)、燃料電池システム101を停止させる(ステップS105)。
【0097】
このようにして燃料電池システム101を停止することにより、シール部21aに段差Dが生じたとしても、モータ32によって入口封止弁174を確実に機械的全閉開度まで閉じることができる。そして、上記したように機械的全閉位置におけるシール部21aの摩耗が大幅に抑制されている。従って、システム停止時において入口封止弁174のシール性が確保される。また、本実施形態では、出口統合弁181においても入口封止弁174と同様にゼロ開度制御を実施するため、システム停止時において出口統合弁181のシール性も確保される。そのため、システム停止時における燃料電池スタック111の密閉度を高めることができるので、燃料電池スタック111内で反応が起こり難くなり、燃料電池スタック111内での酸化による劣化を抑制することができる。
【0098】
次に、入口封止弁174の制御全閉位置学習について説明する。前記のように、コントローラ201は、減速時に入口封止弁174を全閉にする場合、入口封止弁174の開度を制御全閉開度αにする制御全閉開度制御を行う(
図23のステップS59参照)。ここで、制御全閉開度制御は作動回数が多い減速時に行われるので、入口封止弁174の開度が制御全閉開度αとなる頻度が多くなる。そのため、弁座13に設けたゴムシート21のシール部21aに弁体14が接触する頻度が多くなり、シール部21aの摩耗が多くなるおそれがある。したがって、シール部21aの摩耗を低減するためには、制御全閉開度αを制御することが求められる。
【0099】
また、万が一、シール部21aの摩耗が多くなり、入口封止弁174の開度を制御全閉開度にしたときに入口封止弁174においてエアの洩れが生じた場合には、燃料電池スタック111に不要なエアが供給される。そのため、供給される不要なエアと燃料電池スタック111に既に供給された水素ガスとが反応して発電が行われて、燃料電池スタック111で不要な発電がなされる。そして、燃料電池で不要な発電が多くなされると、補機類による電力消費だけでは放電を完了させることが困難になる。また、例えば、コンプレッサ172の消費電力を上昇させる必要があるため、コンプレッサ172の回転数が上昇したりコンプレッサ172の出口圧が上昇する。そして、これにより、燃費が低下したり、NV(ノイズ・バイブレーション)が発生するおそれがある。
【0100】
そこで、シール部21aにおける摩耗量に応じて制御全閉開度αを制御すれば、制御全閉開度制御を行うときの入口封止弁174におけるエアの洩れ量をゼロに維持できる。そこで、本実施形態では、燃料電池スタック111の発電量で入口封止弁174におけるエアの洩れ量を判断し、制御全閉開度αを閉弁(0°)側に変更(学習)する。なお、以下の説明では、便宜上、制御全閉開度αの代わりに制御全閉開度Kα
+と表記する。
【0101】
具体的には、コントローラ201は、
図31に示す制御を行う。
図31に示すように、コントローラ201は、制御全閉開度制御を行っているときに(ステップS201:YES)、スタック残存発電分の電力が消費された後(ステップS202:YES)において、制御全閉開度Kα
+(開度α
+(i))を取り込む(ステップS203)。なお、ステップS203において取り込んだときの制御全閉開度Kα
+を開度α
+(i)とする。
【0102】
ここで、「制御全閉開度制御を行っているとき」とは、例えば前記のように減速時に入口封止弁174が全閉になるとき(
図23のステップS59)が考えられるが、これに限定されず、減速時以外の時に入口封止弁174が全閉になるときも含まれるとしてもよい。
【0103】
また、「スタック残存発電分の電力」とは、制御全閉開度制御が行われて燃料電池スタック111へのエアの供給停止が開始された時において燃料電池スタック111内に残存しているエアにより燃料電池スタック111が発電した分の電力である。
【0104】
また、制御全閉開度Kα
+(開度α
+(i))は、機械的全閉開度(開度0°)より僅かに大きく、弁体14がシール部21aに接触して閉弁状態が維持される開度であって、例えば、数度に設定されている。本実施形態では、制御全閉開度Kα
+(開度α
+(i))は3°以下に設定されている。なお、iは正の整数である。
【0105】
次に、コントローラ201は、燃料電池スタック111の発電量であるスタック発電量sekwを取り込んで(ステップS204)、このスタック発電量sekwが所定発電量Akw未満であるか否かを判断する(ステップS205)。なお、所定発電量Akwは、燃料電池スタック111にて発電停止であると判定すること(みなすこと)ができる発電量であり、例えば、0kW〜数(例えば、3)kWである。
【0106】
ここで、燃料電池スタック111は、水素ガスがリッチな状態(多い状態)に維持されている。そのため、燃料電池スタック111へのエアの供給の有無により、燃料電池スタック111の発電が行われたり停止したりする。したがって、制御全閉開度制御を行っているときに、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていなければ燃料電池スタック111へのエアの供給が停止されるので、燃料電池スタック111の発電は停止する。そうすると、燃料電池スタック111の発電が継続している場合には、燃料電池スタック111へエアが供給されていることから、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていると考えることができる。
【0107】
そこで、本実施形態では、コントローラ201は、スタック発電量sekwを用いて、入口封止弁174におけるエアの洩れ量を判断する。ここで、スタック発電量sekwは、制御全閉開度制御を開始したときに燃料電池スタック111内に残存するエアが消費された後において燃料電池スタック111により発電した量である。なお、制御全閉開度制御を開始したときに燃料電池スタック111内に残存するエアの量は、制御全閉開度制御を開始する直前のエア供給通路161におけるエアの流量をもとに(例えば、コンプレッサ172の回転数をもとに)求められる。
【0108】
そこで、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量Akw以上であると判断した場合(ステップS205:NO)には、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていると考えられるので、制御全閉開度閉弁制御(制御全閉開度の更新)を行う(ステップS206)。ここで、「制御全閉開度閉弁制御」とは、開度α
+(i)(制御全閉開度)を閉弁側(0°側)に補正(更新)する制御である。具体的には、コントローラ201は、以下の数式に示す演算を行う。なお、a%=0.01〜0.1%である。
(数1)
α
+(i)=α
+(i−1)−a%
【0109】
そして、ステップS206にて制御全閉開度閉弁制御を行った後、一定時間t(例えば、数秒間(1〜2秒間))経過後(ステップS207:YES)、コントローラ201は、改めて、スタック発電量sekwを取り込む(ステップS204)。
【0110】
そして、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量Akw未満であると判断した場合(ステップS205:YES)には、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていない(洩れ量がゼロである)と考えられるので、制御全閉位置学習(制御全閉開度の記憶)を行う(ステップS208)。すなわち、ステップS208においては、コントローラ201は、制御全閉開度Kα
+を開度α
+(i)にする学習(補正)を行う。
【0111】
このようにして本実施形態では、コントローラ201は、制御全閉開度制御を行っているときに、スタック残存発電分の電力が消費された後において、スタック発電量sekwに基づいて入口封止弁174におけるエアの洩れ量を判断する。そして、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量Akw以上であるため、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていると判断したときには、制御全閉開度Kα
+を入口封止弁174におけるエアの洩れ量がゼロとなるゼロ位置開度まで閉弁側に補正する。一方、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量Akw未満であるため、入口封止弁174にてエアの洩れが生じていない(洩れ量がゼロである)と判断したときには、制御全閉開度Kα
+は維持される。
【0112】
以上のように本実施形態によれば、コントローラ201は、制御全閉開度制御を行っているときに、入口封止弁174にてエアの洩れが発生したと判断したときには、制御全閉開度Kα
+を入口封止弁174におけるエアの洩れ量がゼロとなるゼロ位置開度まで閉弁側に補正する。
【0113】
これにより、制御全閉開度制御を行っているときに、入口封止弁174にてシール部21aの摩耗によるエアの洩れが発生したときに、シール部21aの摩耗量に応じて制御全閉開度Kα
+を閉弁側に補正して、入口封止弁174にてエアの洩れ量をゼロにできる。そのため、燃料電池スタック111への不要なエアの供給が抑制されるので、燃料電池スタック111での不要な発電を抑制できる。したがって、燃料電池スタック111での不要な発電により生じた電力を消費するための補機類の電力消費による放電が不要になり、燃費の低下やNVの発生を抑制できる。
【0114】
ここで、制御全閉開度Kα
+を弁体14のシール面18に作用するシール部21aの面圧が低くなるような開度に設定しておくと、僅かなシール部21aの摩耗によりエアの洩れが生じ易くなる。しかしながら、本実施形態のようにシール部21aの摩耗量に応じて制御全閉開度Kα
+を制御することで、シール部21aの面圧を低くしてシール部21aの摩耗を抑制し(耐久性を向上させ)つつ、制御全閉開度制御を行うときのエアの洩れ量をゼロに維持できる。
【0115】
また、コントローラ201は、スタック発電量sekwに基づいて入口封止弁174におけるエアの洩れ量を判断する。これにより、入口封止弁174におけるエアの洩れ量を検出するためのセンサなどの検出手段を新たに追加する必要がないので、コストを低減できる。
【0116】
また、スタック発電量sekwは、制御全閉開度制御を開始したときに燃料電池スタック111内に残存するエアが消費された後に発電した量である。これにより、スタック発電量sekwは、制御全閉開度制御を行っているときに発生した入口封止弁174におけるエアの洩れに対応した発電量となる。そのため、スタック発電量sekwに基づいて入口封止弁174におけるエアの洩れ量を正確に判断できる。
【0117】
次に、出口統合弁181の補機制御位置学習について説明する。補機発電要求時、例えば
図24において補機類発電要求が有る場合(ステップS90:NO)において、コントローラ201は、モータ32により出口統合弁181の開度を要求補機発電量に対応した補機発電開度にする補機発電開度制御を行う。なお、「補機発電要求時」とは、コンプレッサ172などの補機類を駆動させるために燃料電池スタック111での発電が要求されるときである。
【0118】
そして、このとき、補機発電開度は微少開度に制御されており、弁体14とシール部21aとの接触面積が大きいので、シール部21aの摩耗により、出口統合弁181におけるエアの流量(洩れ量)が増加するおそれがある。すると、燃料電池スタック111へのエアの供給量が多くなって燃料電池スタック111の発電量が過剰になるので、不要な電力を消費させるために、燃費が低下したり、不要な補機類を駆動させる必要が生じる。
【0119】
そこで、本実施形態では、入口封止弁174と同様に、出口統合弁181について、補機制御を行っているときのスタック発電量sekwをもとに、シール部21aの摩耗によるエアの流量の増加を判断し、補機発電制御開度を閉弁側(0°側)に変更(学習)する。
【0120】
具体的には、コントローラ201は、
図32に示す制御を行う。
図32に示すように、コントローラ201は、補機類発電要求に応じて出口統合弁181の開度を制御する補機制御を行っているとき(ステップS301:YES)に、要求補機発電量Bkwを求める(ステップS302)。ここで、「要求補機発電量Bkw」とは、補機制御を行うときに要求される燃料電池スタック111での発電量である。
【0121】
次に、コントローラ201は、求めた要求補機発電量Bkwにより、
図33に示す関係図をもとに、補機発電制御開度β(目標出口弁制御開度)を求める(ステップS303)。
【0122】
次に、コントローラ201は、補正制御開度kβ(i)を取り込み(ステップS304)、補機発電出口弁制御開度tβを求める(ステップS305)。すなわち、コントローラ201は、以下の数式に示すように、補機発電制御開度βを補正制御開度kβ(i)により補正して、補機発電出口弁制御開度tβを算出する。
(数2)
tβ=β+kβ(i)
【0123】
次に、コントローラ201は、出口統合弁181の開度を補機発電出口弁制御開度tβに制御する(ステップS306)。そして、その後、一定時間(例えば、数秒間(1〜2秒間))経過後(ステップS307:YES)に、コントローラ201は、スタック発電量sekwを取り込んで(ステップS308)、このスタック発電量sekwが要求補機発電量Bkw以下であるか否かを判断する(ステップS309)。
【0124】
このようにして、本実施形態では、出口統合弁181を補機発電出口弁制御開度tβに制御してから一定時間経過した後において、スタック発電量sekwに基づいて出口統合弁181におけるエアの流量を判断する。
【0125】
そして、コントローラ201は、スタック発電量sekwが要求補機発電量Bkwよりも多いと判断した場合(ステップS309:NO)には、出口統合弁181におけるエアの流量が過大である、すなわち、第1の所定流量よりも多いと考えられるので、補正制御開度kβ(i)を求める(ステップS310)。ここで、ステップS310においては、コントローラ201は、補正制御開度kβ(i)を閉弁側(0°側)に更新する。そこで、ステップS310においては、コントローラ201は、以下の数式に示す演算を行う。なお、b%は、例えば0.1%〜1%であり、前記のa%よりも大きい。
(数3)
kβ(i)=kβ(i−1)−b%
【0126】
次に、コントローラ201は、補正制御開度kβ(i)を取り込む(ステップS304)。そして、コントローラ201は、ステップS305〜S308の処理を行った後、スタック発電量sekwが要求補機発電量Bkw以下であると判断した場合(ステップS309:YES)には、スタック発電量sekwが所定発電量(Bkw−Ckw)以上であるか否かを判断する(ステップS311)。なお、Ckwは、例えば、Bkwに対して10%〜20%の大きさである。
【0127】
そして、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量(Bkw−Ckw)以上であると判断した場合(ステップS311:YES)には、補機制御位置学習(記憶)を行う(ステップS312)。このようにして、コントローラ201は、補機発電開度を出口統合弁181におけるエアの流量が第1の所定流量となる第1目標位置開度まで閉弁側(0°側)に補正する。
【0128】
一方、コントローラ201は、スタック発電量sekwが所定発電量(Bkw−Ckw)未満であると判断した場合(ステップS311:NO)には、出口統合弁181におけるエアの流量が過少である、すなわち、第1の所定流量よりも少ない第2の所定流量よりもさらに少ないと考えられるので、補正制御開度kβ(i)を求め(ステップS313)、ステップS304以降の処理を行う。ここで、ステップS313においては、コントローラ201は、補正制御開度kβ(i)を開弁側に更新する。そこで、ステップS313においては、コントローラ201は、以下の数式に示す演算を行う。
(数4)
kβ(i)=kβ(i−1)+b%
【0129】
このようにして、コントローラ201は、補機発電開度を出口統合弁181におけるエアの流量が第2の所定流量となる第2目標位置開度まで開弁側に補正する。
【0130】
このように本実施形態では、補機制御は、微少開度にて行う制御であり、また、発電要求(開度)で微妙にずれることが予想されるので、スタック発電量sekwによるフィードバック制御を行う。
【0131】
以上のように本実施形態によれば、コントローラ201は、補機発電開度制御を行っているときに、出口統合弁181におけるエアの流量が第1の所定流量よりも多いと判断したときには、補機発電開度を出口統合弁181におけるエアの流量が第1の所定流量となる第1目標位置開度まで閉弁側に補正する。
【0132】
これにより、補機発電開度制御を行っているときに、出口統合弁181においてシール部21aの摩耗によりエアの流量が増加したときには、シール部21aの摩耗量に応じて補機発電開度を閉弁側に補正して、出口統合弁181におけるエアの流量を目標流量にできる。そのため、燃料電池スタック111への不要な(余分な)エアの供給が抑制されるので、燃料電池スタック111での不要な(余分な)発電を抑制できる。したがって、燃料電池スタック111での発電量が過剰になることを抑制できるので、燃費の低下を抑制でき、また、不要な補機類を駆動させる必要もなくなる。
【0133】
また、コントローラ201は、補機発電開度制御を行っているときに、出口統合弁181におけるエアの流量が第1の所定流量よりも少ない第2の所定流量よりもさらに少ないと判断したときには、補機発電開度を出口統合弁181におけるエアの流量が第2の所定流量となる第2目標位置開度まで開弁側に補正する。
【0134】
これにより、補機発電開度を補正する制御を行うときに、出口統合弁181のハンチングの発生を抑制して、出口統合弁181におけるエアの流量を目標範囲内に制御することができる。そのため、燃料電池スタック111で要求される電力を発電できるので、補機類発電要求に応じて補機類を駆動させることができる。
【0135】
また、コントローラ201は、スタック発電量sekwに基づいて出口統合弁181におけるエアの流量を判断する。これにより、出口統合弁181におけるエアの流量を検出するためのセンサなどの検出手段を新たに追加する必要がないので、コストを低減できる。
【0136】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施形態では、ゴムシート21は弁座13に設けられているが、ゴムシート21は弁体14に設けられていてもよい。また、回転軸15が第1軸受37と弁体14の反対側に別途設けられる軸受とにより両持ち支持されていてもよい。また、入口封止弁174や出口統合弁181やバイパス弁191は、上記した実施形態で構成される弁に限定されず、弁体が弁座のシート面から直角方向に移動するポペット式の弁などの他の弁であってもよい。