【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 極限シリコン結晶太陽電池の研究開発(次世代超薄型結晶シリコン太陽電池の低コスト・高効率化プロセス開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光が入射する第1の表面と、前記第1の表面と反対側の第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面とを接続する側面とを有する半導体基板を備え、前記半導体基板は、前記第2の表面内に、n型不純物拡散層と、p型不純物拡散層とを含み、さらに、
前記第2の表面上に設けられた複合パッシベーション膜を備え、前記複合パッシベーション膜は、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜と、前記第1のパッシベーション膜を保護する保護膜とを含み、さらに、
前記第2の表面上に設けられるとともに、前記n型不純物拡散層と電気的に接続される第1の電極と、
前記第2の表面上に設けられるとともに、前記p型不純物拡散層と電気的に接続される第2の電極とを備え、
前記半導体基板は、前記p型不純物拡散層を、前記側面の少なくとも一部にも含み、
前記p型不純物拡散層を含む前記側面における、前記第2の表面からの前記p型不純物拡散層の厚さは、前記第2の表面側から平面視したときに前記第2の電極と重なる領域における、前記第2の表面からの前記p型不純物拡散層の厚さよりも大きい、光電変換素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1及び
図2を参照して、実施の形態1に係る光電変換素子1を説明する。
【0010】
本実施の形態の光電変換素子1は、n型不純物拡散層13とp型不純物拡散層12とを含む半導体基板10と、複合パッシベーション膜6と、n型不純物拡散層13と電気的に接続される第1の電極19と、p型不純物拡散層12と電気的に接続される第2の電極18とを、主に備える。
【0011】
半導体基板10は、n型またはp型の半導体基板であってもよい。半導体基板10は、多結晶シリコン基板または単結晶シリコン基板であってもよい。本実施の形態では、半導体基板10として、n型のシリコン基板が用いられている。半導体基板10は、第1の表面10aと、第1の表面10aと反対側の第2の表面10bと、第1の表面10aと第2の表面10bとを接続する側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)とを有する。本明細書において、半導体基板10の側面は、第1の側面10c及び第2の側面10d以外の他の側面(例えば、第1の側面10c及び第2の側面10dに交差する方向(
図1の左右方向)に延在する側面)も含む。半導体基板10の第1の表面10a側から光電変換素子1に光が入射する。半導体基板10の第1の表面10aは、受光面である。半導体基板10の第1の表面10aに凹凸構造11が形成されてもよい。光の入射面である半導体基板10の第1の表面10a上に凹凸を設けることによって、半導体基板10の第1の表面10aにおいて光が反射することが抑制されて、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。そのため、光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
【0012】
半導体基板10は、第2の表面10b内に、n型不純物拡散層13と、p型不純物拡散層12とを含む。n型不純物拡散層13は、半導体基板10に、燐などのn型不純物を拡散させることによって形成された層である。p型不純物拡散層12は、半導体基板10に、ホウ素などのp型不純物を拡散させることによって形成された層である。
【0013】
半導体基板10の第1の表面10aの上に、第2のパッシベーション膜16が設けられてもよい。第2のパッシベーション膜16は、窒化珪素(SiN
x4)または水素化窒化珪素(SiN
x4:H)で形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有してもよい。第2のパッシベーション膜16が、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有することによって、第2のパッシベーション膜16は、反射防止膜として機能し得る。そのため、光電変換素子1における光の反射率が低減されて、より多くの光が光電変換素子1内に入射され得る。光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率を向上させることができる。
【0014】
半導体基板10の第2の表面10b上に、複合パッシベーション膜6が設けられている。本実施の形態では、複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14と、第1のパッシベーション膜14を保護する保護膜15とを含む。半導体基板10の第2の表面10b上において、保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を覆う。第1のパッシベーション膜14は、半導体基板10の第2の表面10bと保護膜15との間に位置する。
【0015】
負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14は、酸化アルミニウム(AlO
x1)または水素化酸化アルミニウム(AlO
x1:H)で形成されてもよい。第1のパッシベーション膜14は、例えば、3nm以上100nm以下の膜厚を有してもよい。
【0016】
保護膜15は、第1のパッシベーション膜14上に設けられて、第1のパッシベーション膜14を保護する。保護膜15は、光電変換素子1の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜14を機械的に保護してもよい。保護膜15は、光電変換素子1の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜14が半導体基板10から剥がれることを防止してもよい。保護膜15は、酸化珪素(SiO
x3)、窒化珪素(SiN
x3)、または水素化窒化珪素(SiN
x3:H)で形成されてもよい。
【0017】
半導体基板10の第2の表面10b上に、第1の電極19と第2の電極18とが設けられる。第1の電極19は、複合パッシベーション膜6に設けられた貫通孔17(
図14を参照)を通じて、n型不純物拡散層13と電気的に接続される。第1の電極19は、n型電極として機能する。第2の電極18は、複合パッシベーション膜6に設けられた貫通孔17(
図14を参照)を通じて、p型不純物拡散層12と電気的に接続される。第2の電極18は、p型電極として機能する。第1の電極19及び第2の電極18は、光が入射する第1の表面10aと反対側の第2の表面10b上に設けられているので、光電変換素子1に入射する光が、第1の電極19及び第2の電極18によって反射されることがない。本実施の形態の光電変換素子1は、裏面接合型の光電変換素子である。
図1および
図2には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13と、第1の電極19及び第2の電極18とはそれぞれ1つしか示されていないが、光電変換素子1は、p型不純物拡散層12、n型不純物拡散層13、第1の電極19及び第2の電極18をそれぞれ複数備えてもよい。
図1および
図2に示される光電変換素子1では、第2の表面10bの第1の側面10c側に第1の電極19が形成され、第2の表面10bの第2の側面10d側の端部に第2の電極18が形成されている。しかし、第2の表面10bの第1の側面10c側の端部及び第2の表面10bの第2の側面10d側の端部に第1の電極19が形成され、第1の電極19の間の第2の表面10b上に第2の電極18が形成されてもよいし、第2の表面10bの第1の側面10c側の端部及び第2の表面10bの第2の側面10d側の端部に第2の電極18が形成され、第2の電極18の間の第2の表面10b上に第1の電極19が形成されてもよい。
【0018】
図3から
図14を参照して、本実施の形態に係る光電変換素子1の製造方法の一例について説明する。
【0019】
図3を参照して、半導体基板10が準備される。半導体基板10は、第1の表面10aと、第1の表面10aと反対側の第2の表面10bと、第1の表面10aと第2の表面10bとを接続する側面(第1の側面10c、第2の側面10d)とを有する。本実施の形態では、半導体基板10は、n型シリコン基板である。半導体基板10として、たとえば、半導体ウエハをスライスして半導体基板10を得る際に生じたスライスダメージが除去された半導体基板が用いられる。ここで、半導体基板10のスライスダメージを除去することは、半導体基板10の表面をフッ化水素水溶液と硝酸との混酸または水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液などでエッチングを行なうことにより実施してもよい。
【0020】
図4を参照して、半導体基板10の第1の表面10aに凹凸構造11が形成される。例えば、n型シリコン基板である半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dがエッチング保護膜4によって被覆される。エッチング保護膜4として、酸化シリコン膜が例示され得る。本実施の形態では、化学気相堆積(CVD)法またはスピンオングラス(SOG)法などを用いて、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に、酸化シリコン膜を形成することによって、エッチング保護膜4が形成される。エッチング保護膜4は、スチーム酸化法などによって、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dを酸化することによって形成されてもよい。エッチング保護膜4の厚さは特に限定されないが、たとえば300nm以上800nm以下の厚さとすることができる。エッチング保護膜4として、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層体などもまた用いられ得る。ここで、窒化シリコン膜は、たとえば、プラズマCVD法または常圧CVD法などで形成され得る。窒化シリコン膜の厚さは特に限定されないが、たとえば60nm以上100nm以下の厚さとすることができる。
【0021】
それから、n型シリコン基板である半導体基板10の第1の表面10aをエッチングすることによって、半導体基板10の第1の表面10aに凹凸構造11が形成されてもよい。このエッチングは、水酸化カリウム(KOH)または水酸化ナトリウム(NaOH)のようなアルカリ水溶液にイソプロピルアルコールを添加した液を、たとえば70℃以上80℃以下に加熱したものなどを用いて行ってもよい。その後、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上のエッチング保護膜4がフッ化水素水溶液などを用いて除去される。
【0022】
図5を参照して、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に、第1の拡散防止マスク5が形成される。第1の拡散防止マスク5は、p型不純物が半導体基板10に拡散することを防止するためのマスクである。第1の拡散防止マスク5として、酸化シリコン膜が例示され得る。第1の拡散防止マスク5は、スチーム酸化法などによって、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dを熱酸化することによって形成されてもよい。第1の拡散防止マスク5の厚さは特に限定されないが、たとえば100nm以上300nm以下の厚さとすることができる。第1の拡散防止マスク5として、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層体などが用いられ得る。ここで、窒化シリコン膜は、たとえば、プラズマCVD法または常圧CVD法などで形成され得る。窒化シリコン膜の厚さは特に限定されないが、たとえば40nm以上80nm以下の厚さとすることができる。
【0023】
図6を参照して、半導体基板10の第2の表面10b上の第1の拡散防止マスク5上の一部に、第1の拡散防止マスク5をエッチングすることができる成分を含有する第1のエッチングペースト26が印刷される。第1のエッチングペースト26は、たとえばスクリーン印刷法などによって、p型不純物拡散層12が形成される箇所に相当する第1の拡散防止マスク5の部分の上に形成される。第1のエッチングペースト26に含まれる、第1の拡散防止マスク5をエッチングする成分として、リン酸が例示され得る。第1のエッチングペースト26は、さらに、水、有機溶媒および増粘剤を含んでいる。
【0024】
図7を参照して、第1のエッチングペースト26が形成された半導体基板10に第1の加熱処理を施して、半導体基板10の第2の表面10b上の第1の拡散防止マスク5のうち第1のエッチングペースト26が形成された部分が、エッチングされて除去される。第1の加熱処理の後、半導体基板10の第2の表面10bを水で洗浄することによって、第1のエッチングペースト26が除去される。このようにして、
図7に示すように、第1の拡散防止マスク5の一部が除去されて、第1の拡散防止マスク5の一部に開口部5aが形成される。第1の拡散防止マスク5の開口部5aにおいて、半導体基板10の第2の表面10bの一部が第1の拡散防止マスク5から露出する。
【0025】
図8を参照して、第1の拡散防止マスク5から露出した半導体基板10の第2の表面10bにp型不純物を拡散させて、p型不純物拡散層12が形成される。例えば、BBr
3を用いた気相拡散によって、第1の拡散防止マスク5から露出した半導体基板10の第2の表面10bに、p型不純物であるボロンを、950℃の温度で30分間拡散させて、p型不純物拡散層12が形成されてもよい。なお、p型不純物拡散層12は、第1の拡散防止マスク5から露出した半導体基板10の第2の表面にボロンを含む溶剤を塗布し、ボロンを含む溶剤が塗布された半導体基板10を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1の拡散防止マスク5が除去される。
【0026】
図9を参照して、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に、第2の拡散防止マスク7が形成される。第2の拡散防止マスク7は、n型不純物が半導体基板10に拡散することを防止するためのマスクである。第2の拡散防止マスク7は、半導体基板10の第2の表面10b上において、p型不純物拡散層12を覆う。第2の拡散防止マスク7は、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)も覆う。半導体基板10の第2の表面10b上において、第2の拡散防止マスク7は開口部7aを有する。半導体基板10の第2の表面10bのうち、第2の拡散防止マスク7の開口部7aに対応する領域は、第2の拡散防止マスク7から露出している。半導体基板10の第2の表面10b側から平面視したときに、第2の拡散防止マスク7の開口部7aは、p型不純物拡散層12と重ならない位置に形成される。
【0027】
第2の拡散防止マスク7は、マスキングペーストを用いて形成されてもよい。例えば、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に、二酸化珪素(SiO
2)前駆体を含有するマスキングペーストがスクリーン印刷などの方法によって施される。マスキングペーストは、半導体基板10の第2の表面10b上において、開口部を有する。マスキングペーストが施された半導体基板10を、例えば、800℃以上1000℃以下の温度で、10分以上60分以下の時間加熱して、マスキングペーストを焼結することによって、第2の拡散防止マスク7が形成される。マスキングペーストを用いることによって開口部7aを有する第2の拡散防止マスク7を形成することは、フォトリソグラフィを用いて開口部7aを有する第2の拡散防止マスク7を形成することよりも、安価に光電変換素子1を製造することを可能にする。
【0028】
図10を参照して、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bにn型不純物を拡散させて、n型不純物拡散層13が形成される。例えば、POCl
3を用いた気相拡散によって、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bにn型不純物である燐を、800℃の温度で30分間拡散させて、n型不純物拡散層13が形成されてもよい。なお、n型不純物拡散層13は、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bに燐を含む溶剤を塗布し、燐を含む溶剤が塗布された半導体基板10を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第2の拡散防止マスク7が除去される。
【0029】
図11及び
図12を参照して、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b上に、複合パッシベーション膜6が形成される。具体的には、
図11を参照して、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b上に、第1のパッシベーション膜14が形成される。第1のパッシベーション膜14は、負の固定電荷を有する材料で形成されている。第1のパッシベーション膜14は、酸化アルミニウム(AlO
x1)または水素化酸化アルミニウム(AlO
x1:H)で形成されてもよい。第1のパッシベーション膜14は、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法またはプラズマCVD法などを用いて形成されてもよい。
図12を参照して、第1のパッシベーション膜14上に、保護膜15が形成される。保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を保護する。保護膜15は、酸化珪素(SiO
x3)、窒化珪素(SiN
x3)または水素化窒化珪素(SiN
x3:H)で形成されてもよい。保護膜15は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。
【0030】
図13を参照して、半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16が形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有し、反射防止膜として機能してもよい。
【0031】
図14を参照して、複合パッシベーション膜6に貫通孔17が形成される。それから、複合パッシベーション膜6上に、第1の電極19及び第2の電極18が形成される。第2の電極18は、貫通孔17内に形成されて、p型不純物拡散層12と電気的に接続される。第1の電極19は、貫通孔17内に形成されて、n型不純物拡散層13と電気的に接続される。こうして、
図1及び
図2に示される本実施の形態の光電変換素子1が製造され得る。
【0032】
本実施の形態の光電変換素子1の効果を説明する。
本実施の形態の光電変換素子1は、光が入射する第1の表面10aと、第1の表面10aと反対側の第2の表面10bと、第1の表面10aと第2の表面10bとを接続する側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)とを有する半導体基板10を備える。半導体基板10は、第2の表面10b内に、n型不純物拡散層13と、p型不純物拡散層12とを含む。本実施の形態の光電変換素子1は、さらに、第2の表面10b上に設けられた複合パッシベーション膜6を備える。複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14と、第1のパッシベーション膜14を保護する保護膜15とを含む。本実施の形態の光電変換素子1は、さらに、半導体基板10の第2の表面10b上に設けられるとともに、n型不純物拡散層13と電気的に接続される第1の電極19と、半導体基板10の第2の表面10b上に設けられるとともに、p型不純物拡散層12と電気的に接続される第2の電極18とを備える。
【0033】
本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板10の第2の表面10b上に複合パッシベーション膜6が設けられ、複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14を含む。負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14は、p型不純物拡散層12の表面において、光電変換素子1に光が照射されることによって光電変換素子1内に生成されたキャリアが再結合することを抑制するとともに、第2の電極18にキャリアを効率的に収集することができる。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0034】
本実施の形態の光電変換素子1では、半導体基板10の第2の表面10b上に複合パッシベーション膜6が設けられる。複合パッシベーション膜6は、第1のパッシベーション膜14を保護する保護膜15を含む。保護膜15は、光電変換素子1の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜14を機械的に保護することができる。保護膜15は、光電変換素子1の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜14が半導体基板10から剥がれることを防止することができる。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜14が得られる。本実施の形態の光電変換素子1によれば、向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0035】
本実施の形態の光電変換素子1では、第1の電極19及び第2の電極18は、光が入射する第1の表面10aと反対側の半導体基板10の第2の表面10b上に設けられる。すなわち、本実施の形態の光電変換素子1は、裏面接合型の光電変換素子である。光電変換素子1に入射する光は、第1の電極19及び第2の電極18によって反射されることがない。本実施の形態の光電変換素子1によれば、光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
【0036】
本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子1は、半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16を備えるため、光電変換素子2に光が照射されることによって光電変換素子2内に生成されたキャリアが半導体基板10の第1の表面10aにおいて再結合することが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子1によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0037】
本実施の形態の光電変換素子1では、第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有してもよい。第2のパッシベーション膜16が、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子1の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有することによって、第2のパッシベーション膜16は、反射防止膜として機能し得る。上記のような屈折率を有する第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の第1の表面10aにおいて入射光が反射されることを抑制して、より多くの光を光電変換素子1内に入射させることができる。本実施の形態の光電変換素子1によれば、光電変換素子1において光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率が向上され得る。
【0038】
図15に示すように、本実施の形態の変形例の光電変換素子1aでは、半導体基板10の第2の表面10bと第1のパッシベーション膜14との間に、第2の誘電体膜23が設けられてもよい。第2の誘電体膜は、半導体基板10の第2の表面10bを酸化することによって形成されてもよい。第2の誘電体膜23として、二酸化シリコン(SiO
2)が例示され得る。第1のパッシベーション膜14によるパッシベーション効果がなくならないように、第2の誘電体膜23の材料と厚さとが選択されることが望ましい。
【0039】
(実施の形態2)
図16を参照して、実施の形態2に係る光電変換素子1bについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1aは、基本的には、
図1及び
図2に示す実施の形態1の光電変換素子1と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0040】
本実施の形態では、半導体基板10の第1の表面10a上に表面電界層21が設けられている。表面電界層21は、n型不純物拡散層であってもよい。表面電界層21は、例えばPOCl
3を用いた気相拡散によって、半導体基板10の第1の表面10aにn型不純物であるリンを、750℃の温度で30分間拡散させることによって形成してもよい。表面電界層21は、半導体基板10内に生成されて、受光面である第1の表面10a側に向かって拡散するキャリアが、第1の表面10aの近くで再結合することを抑制する表面電界(FSF)障壁として機能する。本実施の形態の光電変換素子1bによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0041】
(実施の形態3)
図17を参照して、実施の形態3に係る光電変換素子1cについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1bは、基本的には、
図16に示す実施の形態2の光電変換素子1bと同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0042】
本実施の形態の光電変換素子1cは、第2のパッシベーション膜16上に、第1の誘電体膜22をさらに備える。第2のパッシベーション膜16は、第1の誘電体膜22の屈折率よりも大きく、半導体基板10の屈折率よりも小さな屈折率を有する。第1の誘電体膜22は、窒化珪素(SiN
x5)、水素化窒化珪素(SiN
x5:H)または酸化珪素(SiO
x5)で形成されてもよい。
【0043】
本実施の形態の光電変換素子1cの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子1cの効果は、実施の形態2の光電変換素子1bの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0044】
本実施の形態の光電変換素子1cは、第2のパッシベーション膜16上に、誘電体膜(第1の誘電体膜22)をさらに備えてもよい。第2のパッシベーション膜16は、誘電体膜(第1の誘電体膜22)の屈折率よりも大きく、半導体基板10の屈折率よりも小さな屈折率を有する。半導体基板10と光電変換素子1cの外部との間の屈折率がゆるやかに変化するため、光電変換素子1cにおける光の反射率がさらに低減されて、より多くの光が光電変換素子1c内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子1cによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率がさらに向上された光電変換素子が提供され得る。
【0045】
(実施の形態4)
図18を参照して、実施の形態4に係る光電変換素子1dについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1dは、基本的には、
図1及び
図2に示す実施の形態1の光電変換素子1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0046】
本実施の形態の光電変換素子1dでは、複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dをさらに含む。半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、第1のパッシベーション膜14が設けられ、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、第3のパッシベーション膜14dが設けられる。半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dとして、酸化ケイ素(SiO
2)が例示され得る。
【0047】
本実施の形態の光電変換素子1dの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子1dの効果は、実施の形態1の光電変換素子1の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0048】
本実施の形態の光電変換素子1dでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14が設けられている。そのため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(正孔)は、p型不純物拡散層12に電気的に接続された第2の電極18に効率的に収集され得る。
【0049】
本実施の形態の光電変換素子1dでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられている。負の固定電荷を有する膜がn型不純物拡散層13上に位置すると、負の固定電荷を有する膜における負の固定電荷の密度と、n型不純物拡散層13におけるn型不純物の濃度との条件によっては、負の固定電荷を有する膜とn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成され得る。そのため、光電変換素子の出力が低下するおそれがある。これに対し、本実施の形態の光電変換素子1dでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13上に、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられているため、第3のパッシベーション膜14dとn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子1dによれば、向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0050】
また、半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。そのため、第3のパッシベーション膜14dと半導体基板10との界面においても反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子1dによれば、さらに向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0051】
本実施の形態の光電変換素子1dでは、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dは、正の固定電荷を有する誘電体膜であってもよい。第3のパッシベーション膜14dが正の固定電荷を有するため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(電子)は、n型不純物拡散層13に電気的に接続された第1の電極19に効率的に収集され得る。本実施の形態の光電変換素子1dによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0052】
(実施の形態5)
図19を参照して、実施の形態5に係る光電変換素子1eについて説明する。本実施の形態の光電変換素子1eは、基本的には、
図1及び
図2に示す実施の形態1の光電変換素子1と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0053】
本実施の形態の光電変換素子1eでは、p型不純物拡散層12は、n型不純物拡散層13に接している。そのため、p型不純物拡散層12またはn型不純物拡散層13と、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の領域との界面に形成されるpn接合の面積が増加し得る。例えば、半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12の面積が増加するため、pn接合の面積が増加し得る。半導体基板10がp型を有する場合には、n型不純物拡散層13の面積が増加するため、pn接合の面積が増加し得る。本実施の形態の光電変換素子1eによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0054】
実施の形態1から実施の形態5のうちの複数の実施の形態を適宜組み合わせて、実施の形態1から実施の形態5の変形例としてもよい。一つの変形例として、実施の形態4における負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dを有する複合パッシベーション膜6が、実施の形態2、3、5の光電変換素子1b、1c、1eに適用されてもよい。別の変形例として、実施の形態2から実施の形態4の光電変換素子1b、1c、1dにおけるp型不純物拡散層12が、実施の形態5の光電変換素子1eのように、n型不純物拡散層13に接してもよい。さらに別の変形例として、実施の形態3の光電変換素子1cにおいて、表面電界層21が省略されてもよい。
【0055】
(実施の形態6)
図20を参照して、実施の形態6に係る光電変換素子2について説明する。本実施の形態の光電変換素子2は、基本的には、
図16に示す実施の形態2の光電変換素子1bと同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0056】
本実施の形態の光電変換素子2では、半導体基板10は、n型不純物拡散層13を、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部にも含む。n型不純物拡散層13が含まれる半導体基板10の側面は、第1の側面10c及び第2の側面10d以外の他の側面であってもよい。n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)における、半導体基板10の第2の表面10bからのn型不純物拡散層13の厚さd
1は、半導体基板10の第2の表面10b側から平面視したときに、n型不純物拡散層13と電気的に接続される第1の電極19と重なる領域における、半導体基板10の第2の表面10bからのn型不純物拡散層13の厚さd
2よりも大きくてもよい。
【0057】
本実施の形態の光電変換素子2は、半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16をさらに備えてもよい。第2のパッシベーション膜16は、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられてもよい。
【0058】
図21から
図28を参照して、本実施の形態の光電変換素子2の製造方法を説明する。本実施の形態の光電変換素子2の製造方法は、基本的には、
図3から
図14に示す実施の形態1の光電変換素子1の製造方法と同様の工程を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0059】
本実施の形態の光電変換素子2の製造方法は、
図3から
図8に示される工程を備える。
図3及び
図4に示される工程により、半導体基板10の第1の表面10aに凹凸構造11が形成される。
図5から
図8に示される工程により、半導体基板10の第2の表面10bの一部に、p型不純物拡散層12が形成される。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1の拡散防止マスク5が形成される。
【0060】
それから、
図21を参照して、半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第1のマスク8が形成される。第1のマスク8の材料として、二酸化珪素(SiO
2)が例示され得る。半導体基板10の第2の表面10b及び側面上に第1のマスク8の材料を蒸着すること、または、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dを熱酸化することによって、第1のマスク8が形成されてもよい。
【0061】
図22を参照して、第1のマスク8が形成されていない半導体基板10の第1の表面10aに、表面電界層21が形成される。表面電界層21は、n型不純物拡散層であってもよい。表面電界層21は、例えばPOCl
3を用いた気相拡散によって、半導体基板10の第1の表面10aにn型不純物であるリンを、750℃の温度で30分間拡散させることによって形成されてもよい。表面電界層21は、半導体基板10の第1の表面10aにn型半導体層を蒸着することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1のマスク8が除去される。
【0062】
図23を参照して、半導体基板10の第1の表面10a及び第2の表面10b上に、第2の拡散防止マスク7が形成される。第2の拡散防止マスク7は、半導体基板10の第2の表面10b上において、p型不純物拡散層12を覆う。半導体基板10の第2の表面10bのうちp型不純物拡散層12が形成されていない領域、半導体基板の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)は、第2の拡散防止マスク7から露出している。本実施の形態の第2の拡散防止マスク7は、実施の形態1の第2の拡散防止マスク7と同じ材料と同じ形成方法を用いて、形成されてもよい。例えば、本実施の形態の第2の拡散防止マスク7は、マスキングペーストを用いて形成されてもよい。具体的には、半導体基板10の第2の表面10bの一部及び第1の表面10a上に、マスキングペーストがスクリーン印刷などの方法によって施される。マスキングペーストが施された半導体基板10を、例えば、800℃以上1000℃以下の温度で、10分以上60分以下の時間加熱して、マスキングペーストを焼結することによって、第2の拡散防止マスク7が形成される。マスキングペーストを用いて第2の拡散防止マスク7を形成することは、フォトリソグラフィを用いて第2の拡散防止マスク7を形成することよりも、安価に光電変換素子2を製造することを可能にする。
【0063】
図24を参照して、第2の拡散防止マスク7から露出した、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dに、n型不純物を拡散させて、n型不純物拡散層13が形成される。本実施の形態のn型不純物拡散層13は、実施の形態1のn型不純物拡散層13と同じ材料と同じ形成方法を用いて形成されてもよい。例えば、POCl
3を用いた気相拡散によって、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の露出した第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dにn型不純物である燐を、800℃の温度で30分間拡散させて、n型不純物拡散層13が形成されてもよい。なお、n型不純物拡散層13は、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bに燐を含む溶剤を塗布し、燐を含む溶剤が塗布された半導体基板10を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第2の拡散防止マスク7が除去される。
【0064】
図25及び
図26を参照して、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b上に、複合パッシベーション膜6が形成される。具体的には、
図25を参照して、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b上に、第1のパッシベーション膜14が形成される。第1のパッシベーション膜14は、負の固定電荷を有する材料で形成されている。第1のパッシベーション膜14は、酸化アルミニウム(AlO
x1)または水素化酸化アルミニウム(AlO
x1:H)で形成されてもよい。第1のパッシベーション膜14は、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法またはプラズマCVD法などを用いて形成されてもよい。
図26を参照して、第1のパッシベーション膜14上に、保護膜15が形成される。保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を保護する。保護膜15は、酸化珪素(SiO
x3)、窒化珪素(SiN
x3)または水素化窒化珪素(SiN
x3:H)で形成されてもよい。保護膜15は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。
【0065】
図27を参照して、半導体基板10の第1の表面10a及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第2のパッシベーション膜16が形成されてもよい。より特定的には、半導体基板10の第1の表面10a上に形成された表面電界層21及び半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第2のパッシベーション膜16が形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子2の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有し、反射防止膜として機能してもよい。
【0066】
図28を参照して、複合パッシベーション膜6に貫通孔17が形成される。それから、複合パッシベーション膜6上に、第1の電極19及び第2の電極18が形成される。第2の電極18は、貫通孔17内に形成されて、p型不純物拡散層12と電気的に接続される。第1の電極19は、貫通孔17内に形成されて、n型不純物拡散層13と電気的に接続される。こうして、
図20に示される本実施の形態の光電変換素子2が製造され得る。
【0067】
本実施の形態の光電変換素子2の効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子2の効果は、実施の形態2の光電変換素子1bの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0068】
本実施の形態の光電変換素子2では、半導体基板10は、n型不純物拡散層13を、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部にも含む。そのため、本実施の形態の光電変換素子2によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0069】
例えば、半導体基板10がn型を有する場合には、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部に設けられたn型不純物拡散層13は、側面電界層として機能してもよい。半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部に設けられたn型不純物拡散層13による電界効果により、光電変換素子2に入射される光によって光電変換素子2内に生成されたキャリアが半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において再結合することが防がれ得る。そのため、光電変換素子2に入射される光によって半導体基板10内に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。例えば、半導体基板10がp型を有する場合には、pn接合が半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)付近にも形成されて、pn接合の面積が増加する。そのため、光電変換素子2に入射される光によって半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)付近に生成されたキャリアは効率的に収集され得る。
【0070】
本実施の形態の光電変換素子2では、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)における、半導体基板10の第2の表面10bからのn型不純物拡散層13の厚さd
1は、半導体基板10の第2の表面10b側から平面視したときに、第1の電極19と重なる領域における、半導体基板10の第2の表面10bからのn型不純物拡散層13の厚さd
2よりも大きくてもよい。半導体基板10の厚さ方向(第1の表面10aと第2の表面10bとが対向する方向)に、n型不純物拡散層13が形成される領域は拡大され得る。そのため、半導体基板10の第1の表面10aの近くで生成されたキャリアは効率的に収集され得る。本実施の形態の光電変換素子2によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0071】
本実施の形態の光電変換素子2は、半導体基板10の第1の表面10a上に設けられる第2のパッシベーション膜16をさらに備えてもよい。半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16を備えるため、光電変換素子2に光が照射されることによって光電変換素子2内に生成されたキャリアが半導体基板10の第1の表面10aにおいて再結合することが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子2によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0072】
本実施の形態の光電変換素子2では、第2のパッシベーション膜16は、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられてもよい。本実施の形態の光電変換素子2では、第2のパッシベーション膜16が、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に設けられるため、光電変換素子2に光が照射されることによって光電変換素子2内に生成されたキャリアが半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において再結合することが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子2によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0073】
(実施の形態7)
図29を参照して、実施の形態7に係る光電変換素子2aについて説明する。本実施の形態の光電変換素子2aは、基本的には、
図20に示す実施の形態6の光電変換素子2と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0074】
本実施の形態に係る光電変換素子2aでは、保護膜15は、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられる。第2のパッシベーション膜16は、n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)と保護膜15との間に位置する。n型不純物拡散層13を含む半導体基板10の側面(第1の側面10c、第2の側面10d)において、保護膜15は、第2のパッシベーション膜16を覆う。
【0075】
保護膜15は、光電変換素子2aの外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16を機械的に保護することができる。保護膜15は、光電変換素子2aの製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が半導体基板10から剥がれることを防止することができる。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が得られる。本実施の形態の光電変換素子2aによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0076】
(実施の形態8)
図30を参照して、実施の形態8に係る光電変換素子2bについて説明する。本実施の形態の光電変換素子2bは、基本的には、
図20に示す実施の形態6の光電変換素子2と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0077】
本実施の形態の光電変換素子2bでは、複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dをさらに含む。半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、第1のパッシベーション膜14が設けられ、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、第3のパッシベーション膜14dが設けられる。半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。
【0078】
本実施の形態の光電変換素子2bの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子2bの効果は、実施の形態6の光電変換素子2の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0079】
本実施の形態の光電変換素子2bでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14が設けられる。そのため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(正孔)は、p型不純物拡散層12に電気的に接続された第2の電極18に効率的に収集され得る。
【0080】
本実施の形態の光電変換素子2bでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられる。負の固定電荷を有する膜がn型不純物拡散層13上に位置すると、負の固定電荷を有する膜における負の固定電荷の密度と、n型不純物拡散層13におけるn型不純物の濃度との条件によっては、負の固定電荷を有する膜とn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成され得る。そのため、光電変換素子の出力が低下するおそれがある。これに対し、本実施の形態の光電変換素子2bでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13上に、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられているため、第3のパッシベーション膜14dとn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子2bによれば、向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。また、半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない、半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。そのため、第3のパッシベーション膜14dと半導体基板10との界面においても反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子2bによれば、さらに向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0081】
本実施の形態の光電変換素子2bでは、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dは、正の固定電荷を有する誘電体膜であってもよい。第3のパッシベーション膜14dが正の固定電荷を有するため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(電子)は、n型不純物拡散層13に電気的に接続された第1の電極19に効率的に収集され得る。本実施の形態の光電変換素子2bによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0082】
実施の形態6から実施の形態8のうちの複数の実施の形態を適宜組み合わせて、実施の形態6から実施の形態8の変形例としてもよい。例えば、実施の形態8における負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dを有する複合パッシベーション膜6は、実施の形態7の光電変換素子2aに適用されてもよい。実施の形態6から実施の形態8の光電変換素子2、2a、2bにおいて、表面電界層21が省略されてもよい。実施の形態6及び実施の形態7の光電変換素子2、2aにおいて、
図15に示すように、第1のパッシベーション膜14と半導体基板10の第2の表面10bとの間に第2の誘電体膜23が設けられてもよい。実施の形態8の光電変換素子2bにおいて、
図15に示すように、第1のパッシベーション膜14及び第3のパッシベーション膜14dと、半導体基板10の第2の表面10bとの間に、第2の誘電体膜23が設けられてもよい。実施の形態6から実施の形態8の光電変換素子2、2a、2bにおいて、
図17に示すように、第2のパッシベーション膜16上に第1の誘電体膜22が設けられてもよい。実施の形態6から実施の形態8の光電変換素子2、2a、2bにおいて、
図19に示すように、p型不純物拡散層12がn型不純物拡散層13に接してもよい。実施の形態6から実施の形態8の光電変換素子2、2a、2bにおいて、n型不純物拡散層13は、半導体基板10の第1の側面10c及び第2の側面10dの少なくとも1つに形成されてもよい。n型不純物拡散層13が半導体基板10の第1の側面10c及び第2の側面10dの一つに形成される場合には、n型不純物拡散層13が形成されていない第1の側面10c及び第2の側面10dの他の一つ上に、第2のパッシベーション膜16が形成されなくてもよい。
【0083】
(実施の形態9)
図31を参照して、実施の形態9に係る光電変換素子3について説明する。本実施の形態の光電変換素子3は、基本的には、
図16に示す実施の形態2の光電変換素子1bと同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0084】
本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板10は、p型不純物拡散層12を、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部にも含む。p型不純物拡散層12が含まれる半導体基板10の側面は、第1の側面10c及び第2の側面10d以外の他の側面であってもよい。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)における、半導体基板10の第2の表面10bからのp型不純物拡散層12の厚さd
3は、半導体基板10の第2の表面10b側から平面視したときに、第2の電極18と重なる領域における、半導体基板10の第2の表面10bからのp型不純物拡散層12の厚さd
4よりも大きくてもよい。
【0085】
本実施の形態の光電変換素子3では、第1のパッシベーション膜14及び保護膜15は、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられる。第1のパッシベーション膜14は、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)と保護膜15との間に位置する。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において、保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を覆う。
【0086】
図32から
図43を参照して、本実施の形態の光電変換素子3の製造方法を説明する。本実施の形態の光電変換素子3の製造方法は、基本的には、
図3から
図14に示す実施の形態1の光電変換素子1の製造方法と同様の工程を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0087】
本実施の形態の光電変換素子3の製造方法は、
図3及び
図4に示される工程を備える。
図3及び
図4に示される工程により、半導体基板10の第1の表面10aに凹凸構造11が形成される。その後、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上のエッチング保護膜4がフッ化水素水溶液などを用いて除去される。
【0088】
それから、
図32を参照して、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第2の拡散防止マスク7が形成される。第2の拡散防止マスク7は、n型不純物が半導体基板10に拡散することを防止するためのマスクである。第2の拡散防止マスク7として、酸化シリコン膜が例示され得る。第2の拡散防止マスク7は、スチーム酸化法などによって、半導体基板10の第1の表面10a、第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dを熱酸化することによって形成されてもよい。第2の拡散防止マスク7の厚さは特に限定されないが、たとえば100nm以上300nm以下の厚さとすることができる。第2の拡散防止マスク7としては、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層体などが用いられ得。ここで、窒化シリコン膜は、たとえば、プラズマCVD法または常圧CVD法などで形成され得る。窒化シリコン膜の厚さは特に限定されないが、たとえば40nm以上80nm以下の厚さとすることができる。
【0089】
図33を参照して、半導体基板10の第2の表面10b上の第2の拡散防止マスク7上の一部に、第2の拡散防止マスク7をエッチングすることができる成分を含有する第2のエッチングペースト27が印刷される。第2のエッチングペースト27は、たとえばスクリーン印刷法などによって、n型不純物拡散層13が形成される箇所に相当する第2の拡散防止マスク7の部分の上に形成される。第2のエッチングペースト27に含まれる、第2の拡散防止マスク7をエッチングする成分として、リン酸が例示され得る。第2のエッチングペースト27は、さらに、水、有機溶媒および増粘剤を含んでいる。
【0090】
図34を参照して、第2のエッチングペースト27が形成された半導体基板10に第1の加熱処理を施して、半導体基板10の第2の表面10b上の第2の拡散防止マスク7のうち第2のエッチングペースト27が形成された部分がエッチングされて除去される。第1の加熱処理の後、半導体基板10の第2の表面10bを水で洗浄することによって、第2のエッチングペースト27が除去される。このようにして、
図34に示すように、第2の拡散防止マスク7の一部が除去されて、第2の拡散防止マスク7の一部に開口部7aが形成される。第2の拡散防止マスク7の開口部7aにおいて、半導体基板10の第2の表面10bの一部は、第2の拡散防止マスク7から露出する。
【0091】
図35を参照して、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bにn型不純物を拡散させて、n型不純物拡散層13が形成される。例えば、POCl
3を用いた気相拡散によって、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bにn型不純物である燐を、800℃の温度で30分間拡散させて、n型不純物拡散層13が形成されてもよい。なお、n型不純物拡散層13は、第2の拡散防止マスク7から露出した半導体基板10の第2の表面10bに燐を含む溶剤を塗布し、燐を含む溶剤が塗布された半導体基板10を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第2の拡散防止マスク7が除去される。
【0092】
図36を参照して、半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第1のマスク8が形成される。第1のマスク8の材料として、二酸化珪素(SiO
2)が例示され得る。半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に第1のマスク8の材料を蒸着すること、または、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10dを熱酸化することによって、第1のマスク8は形成されてもよい。
【0093】
図37を参照して、第1のマスク8が形成されていない半導体基板10の第1の表面10a上に、表面電界層21が形成される。表面電界層21は、n型不純物拡散層であってもよい。表面電界層21は、例えばPOCl
3を用いた気相拡散によって、半導体基板10の第1の表面10aにn型不純物であるリンを、750℃の温度で30分間拡散させることによって形成されてもよい。表面電界層21は、半導体基板10の第1の表面10aにn型半導体層を蒸着することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1のマスク8が除去される。
【0094】
図38を参照して、半導体基板10の第1の表面10a及び第2の表面10b上に、第1の拡散防止マスク5が形成される。第1の拡散防止マスク5は、p型不純物が半導体基板10に拡散することを防止するためのマスクである。第1の拡散防止マスク5は、表面電界層21を覆う。第1の拡散防止マスク5は、半導体基板10の第2の表面10b上において、n型不純物拡散層13を覆う。半導体基板10の第2の表面10bのうちn型不純物拡散層13が形成されていない領域と、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)とは、第1の拡散防止マスク5から露出している。本実施の形態の第1の拡散防止マスク5は、マスキングペーストを用いて形成されてもよい。具体的には、表面電界層21、半導体基板10の第2の表面10bの一部及び第1の表面10a上に、マスキングペーストがスクリーン印刷などの方法によって施される。マスキングペーストが施された半導体基板10を、例えば、800℃以上1000℃以下の温度で、10分以上60分以下の時間加熱して、マスキングペーストを焼結することによって、第1の拡散防止マスク5が形成される。マスキングペーストを用いて第1の拡散防止マスク5を形成することは、フォトリソグラフィを用いて第1の拡散防止マスク5を形成することよりも、安価に光電変換素子3を製造することを可能にする。
【0095】
図39を参照して、第1の拡散防止マスク5から露出した、半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)に、p型不純物を拡散させて、p型不純物拡散層12が形成される。本実施の形態のp型不純物拡散層12は、実施の形態1のp型不純物拡散層12と同じ材料と同じ形成方法を用いて、形成されてもよい。例えば、BBr
3を用いた気相拡散によって、第1の拡散防止マスク5から露出した半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)にp型不純物であるボロンを、例えば950℃の温度で30分間拡散させて、p型不純物拡散層12が形成されてもよい。なお、p型不純物拡散層12は、第1の拡散防止マスク5から露出した半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)にボロンを含む溶剤を塗布し、ボロンを含む溶剤が塗布された半導体基板10を加熱することによって形成されてもよい。その後、フッ化水素水溶液などを用いて、第1の拡散防止マスク5が除去される。
【0096】
図40及び
図41を参照して、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、複合パッシベーション膜6が形成される。具体的には、
図40を参照して、p型不純物拡散層12またはn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b及び側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、第1のパッシベーション膜14が形成される。第1のパッシベーション膜14は、負の固定電荷を有する材料で形成されている。第1のパッシベーション膜14は、酸化アルミニウム(AlO
x1)または水素化酸化アルミニウム(AlO
x1:H)で形成されてもよい。第1のパッシベーション膜14は、原子層堆積(ALD)法、スパッタ法またはプラズマCVD法などを用いて形成されてもよい。
図41を参照して、第1のパッシベーション膜14上に、保護膜15が形成される。より特定的には、保護膜15は、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が拡散された半導体基板10の第2の表面10b上に加えて、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にも形成されてもよい。保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を保護する。保護膜15は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。
【0097】
図42を参照して、半導体基板10の第1の表面10a上に、第2のパッシベーション膜16が形成されてもよい。より特定的には、半導体基板10の第1の表面10a上に形成された表面電界層21上に、第2のパッシベーション膜16が形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、化学気相堆積(CVD)法またはスパッタ法などを用いて形成されてもよい。第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の屈折率と、空気などの光電変換素子3の周囲に存在する物質の屈折率との間の屈折率を有し、反射防止膜として機能してもよい。
【0098】
図43を参照して、複合パッシベーション膜6に貫通孔17が形成される。それから、複合パッシベーション膜6上に、第1の電極19及び第2の電極18が形成される。第2の電極18は、貫通孔17内に形成されて、p型不純物拡散層12と電気的に接続される。第1の電極19は、貫通孔17内に形成されて、n型不純物拡散層13と電気的に接続される。こうして、
図31に示される本実施の形態の光電変換素子3が製造され得る。
【0099】
本実施の形態の光電変換素子3の効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子3の効果は、実施の形態2の光電変換素子1bの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0100】
本実施の形態の光電変換素子3では、半導体基板10は、p型不純物拡散層12を、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部にも含む。そのため、本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0101】
例えば、半導体基板10がn型を有する場合には、pn接合が半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)付近にも形成されて、pn接合の面積が増加する。そのため、光電変換素子3に入射される光によって半導体基板10の側面付近に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。例えば、半導体基板10がp型を有する場合には、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部に設けられたp型不純物拡散層12は、側面電界層として機能してもよい。半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)の少なくとも一部に設けられたp型不純物拡散層12による電界効果により、光電変換素子3に入射される光によって光電変換素子3内に生成されたキャリアが半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において再結合することが防がれ得る。そのため、光電変換素子3に入射される光によって半導体基板10内に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。
【0102】
本実施の形態の光電変換素子3では、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)における、半導体基板10の第2の表面10bからのp型不純物拡散層12の厚さd
3は、半導体基板10の第2の表面10b側から平面視したときに、p型不純物拡散層12と電気的に接続される第2の電極18と重なる領域における、半導体基板10の第2の表面10bからのp型不純物拡散層12の厚さd
4よりも大きくてもよい。半導体基板10の厚さ方向(第1の表面10aと第2の表面10bとが対向する方向)に、p型不純物拡散層12が形成される領域は拡大され得る。そのため、半導体基板10の第1の表面10aの近くで生成されたキャリア(例えば、少数キャリアである正孔)は効率的に収集され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0103】
本実施の形態の光電変換素子3は、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子3では、第1のパッシベーション膜14は、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられるため、光電変換素子3に光が照射されることによって光電変換素子3内に生成されたキャリアが半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において再結合することが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0104】
本実施の形態の光電変換素子3では、保護膜15は、p型不純物拡散層12を含む側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上にさらに設けられてもよい。第1のパッシベーション膜14は、p型不純物拡散層12を含む側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)と保護膜15との間に位置してもよい。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において、保護膜15は、第1のパッシベーション膜14を覆う。保護膜15は、光電変換素子3の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜14を機械的に保護することができる。保護膜15は、光電変換素子3の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜14が半導体基板10から剥がれることを防止することができる。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜14が得られる。本実施の形態の光電変換素子3によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0105】
(実施の形態10)
図44を参照して、実施の形態10に係る光電変換素子3aについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3aは、基本的には、
図31に示す実施の形態9の光電変換素子3と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0106】
本実施の形態に係る光電変換素子3aでは、第2のパッシベーション膜16は、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上及び半導体基板10の第1の表面10a上に設けられる。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上において、第2のパッシベーション膜16は、第1のパッシベーション膜14と保護膜15との間に位置する。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において、第2のパッシベーション膜16は、第1のパッシベーション膜14を覆う。p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)において、保護膜15は、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16を覆う。
【0107】
図45から
図47を参照して、本実施の形態の光電変換素子3aの製造方法を説明する。本実施の形態の光電変換素子3aの製造方法は、基本的には、
図32から
図43に示す実施の形態9の光電変換素子3の製造方法と同様の工程を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0108】
本実施の形態の光電変換素子3aの製造方法は、
図32から
図40に示される工程を備える。こうして、半導体基板10の第2の表面10b、第1の側面10c及び第2の側面10d上に、第1のパッシベーション膜14が形成される。
【0109】
その後、
図45を参照して、第2のパッシベーション膜16が、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上及び半導体基板10の第1の表面10a上に形成される。より特定的には、第2のパッシベーション膜16は、半導体基板10の第1の表面10a上に形成された表面電界層21上と、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に形成された第1のパッシベーション膜14上とに形成される。
【0110】
図46を参照して、保護膜15が、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上及び半導体基板10の第2の表面10b上に形成される。より特定的には、保護膜15は、半導体基板10の第2の表面10b上に形成された第1のパッシベーション膜14上と、半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上に形成された第2のパッシベーション膜16上とに形成される。
【0111】
図47を参照して、複合パッシベーション膜6に貫通孔17が形成される。それから、複合パッシベーション膜6上に、第1の電極19及び第2の電極18が形成される。第2の電極18は、貫通孔17内に形成されて、p型不純物拡散層12と電気的に接続される。第1の電極19は、貫通孔17内に形成されて、n型不純物拡散層13と電気的に接続される。こうして、
図44に示される本実施の形態の光電変換素子3aが製造され得る。
【0112】
本実施の形態の光電変換素子3aの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子3aの効果は、実施の形態9の光電変換素子3の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0113】
本実施の形態に係る光電変換素子3aでは、p型不純物拡散層12を含む半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)上において、第2のパッシベーション膜16は、第1のパッシベーション膜14と保護膜15との間に位置する。保護膜15は、光電変換素子3aの外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16を機械的に保護することができる。保護膜15は、光電変換素子3aの製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が半導体基板10から剥がれることを防止することができる。半導体基板10の第1の表面10a側から半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)を覆う層(第2のパッシベーション膜16)と、半導体基板10の第2の表面10b側から半導体基板10の側面(例えば、第1の側面10c、第2の側面10d)を覆う層(第1のパッシベーション膜14、保護膜15)とが、交互に積層されるため、第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が半導体基板10から剥がれることがより効果的に防止され得る。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が得られる。本実施の形態の光電変換素子3aによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0114】
(実施の形態11)
図48を参照して、実施の形態11に係る光電変換素子3bについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3bは、基本的には、
図44に示す実施の形態10の光電変換素子3aと同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0115】
本実施の形態の光電変換素子3bは、第2のパッシベーション膜16上に、第1の誘電体膜22をさらに備える。第2のパッシベーション膜16は、第1の誘電体膜22の屈折率よりも大きく、半導体基板10の屈折率よりも小さな屈折率を有する。第1の誘電体膜22は、窒化珪素(SiN
x5)、水素化窒化珪素(SiN
x5:H)または酸化珪素(SiO
x5)で形成されてもよい。
【0116】
本実施の形態の光電変換素子3bの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子3bの効果は、実施の形態10の光電変換素子3aの効果に加えて、以下の効果を有する。
【0117】
本実施の形態の光電変換素子3bは、第2のパッシベーション膜16上に、誘電体膜(第1の誘電体膜22)をさらに備えてもよい。本実施の形態の光電変換素子3bでは、第2のパッシベーション膜16は、誘電体膜(第1の誘電体膜22)の屈折率よりも大きく、半導体基板10の屈折率よりも小さな屈折率を有する。半導体基板10と光電変換素子3bの外部との間の屈折率がゆるやかに変化するため、光電変換素子3bにおける光の反射率がさらに低減されて、より多くの光が光電変換素子3b内に入射され得る。本実施の形態の光電変換素子3bによれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率がさらに向上された光電変換素子が提供され得る。
【0118】
(実施の形態12)
図49を参照して、実施の形態11に係る光電変換素子3cについて説明する。本実施の形態の光電変換素子3cは、基本的には、
図31に示す実施の形態9の光電変換素子3と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0119】
本実施の形態の光電変換素子3cでは、複合パッシベーション膜6は、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dをさらに含む。半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、第1のパッシベーション膜14が設けられ、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、第3のパッシベーション膜14dが設けられる。半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。
【0120】
本実施の形態の光電変換素子3cの効果を説明する。本実施の形態の光電変換素子3cの効果は、実施の形態9の光電変換素子3の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0121】
本実施の形態の光電変換素子3cでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるp型不純物拡散層12の上に、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜14が設けられる。そのため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(正孔)は、p型不純物拡散層12に電気的に接続された第2の電極18に効率的に収集され得る。
【0122】
本実施の形態の光電変換素子3cでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13の上に、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dが設けられる。負の固定電荷を有する膜がn型不純物拡散層13上に位置すると、負の固定電荷を有する膜における負の固定電荷の密度と、n型不純物拡散層13におけるn型不純物の濃度との条件によっては、負の固定電荷を有する膜とn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成され得る。そのため、光電変換素子の出力が低下するおそれがある。これに対し、本実施の形態の光電変換素子3cでは、半導体基板10の第2の表面10bにおけるn型不純物拡散層13上に、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられているため、第3のパッシベーション膜14dとn型不純物拡散層13との界面に反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子3cによれば、向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0123】
また、半導体基板10がn型を有する場合には、p型不純物拡散層12及びn型不純物拡散層13が形成されていない半導体基板10の第2の表面10b上にも、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dが設けられてもよい。第3のパッシベーション膜14dと半導体基板10との界面においても反転層が形成されることが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子3cによれば、さらに向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0124】
また、本実施の形態の光電変換素子3cでは、負の固定電荷を有しない第3のパッシベーション膜14dは、正の固定電荷を有する誘電体膜であってもよい。第3のパッシベーション膜14dが正の固定電荷を有するため、半導体基板10の第1の表面10a側から入射する光によって半導体基板10内に生成されたキャリア(電子)は、n型不純物拡散層13に電気的に接続された第1の電極19に効率的に収集され得る。本実施の形態の光電変換素子3cによれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0125】
実施の形態9から実施の形態12のうちの複数の実施の形態を適宜組み合わせて、実施の形態9から実施の形態12の変形例としてもよい。例えば、実施の形態12における負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜14dを有する複合パッシベーション膜6が、実施の形態9から実施の形態11の光電変換素子3、3a、3bに適用されてもよい。実施の形態9から実施の形態12の光電変換素子3、3a、3b、3cにおいて、表面電界層21が省略されてもよい。実施の形態9から実施の形態12の光電変換素子3、3a、3b、3cにおいて、
図15に示すように、第1のパッシベーション膜14と半導体基板10の第2の表面10bとの間に第2の誘電体膜23が設けられてもよい。実施の形態9から実施の形態12の光電変換素子3、3a、3b、3cにおいて、
図19に示すように、p型不純物拡散層12がn型不純物拡散層13に接してもよい。実施の形態11の光電変換素子3bにおいて、誘電体膜(第1の誘電体膜22)が、p型不純物拡散層12が形成された半導体基板10の側面(第1の側面10c、第2の側面)にさらに形成されてもよい。実施の形態9から実施の形態12の光電変換素子3、3a、3b、3cにおいて、p型不純物拡散層12は、半導体基板10の第1の側面10c及び第2の側面10dの少なくとも1つに形成されてもよい。p型不純物拡散層12が半導体基板10の第1の側面10c及び第2の側面10dの一つに形成される場合には、p型不純物拡散層12が形成されていない第1の側面10c及び第2の側面10dの他の一つ上に、第1のパッシベーション膜14が形成されなくてもよい。
【0126】
[付記]
(1)ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、光が入射する第1の表面と、第1の表面と反対側の第2の表面と、第1の表面と第2の表面とを接続する側面とを有する半導体基板を備える。半導体基板は、第2の表面内に、n型不純物拡散層と、p型不純物拡散層とを含む。ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、さらに、第2の表面上に設けられた複合パッシベーション膜を備える。複合パッシベーション膜は、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜と、第1のパッシベーション膜を保護する保護膜とを含む。ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、さらに、第2の表面上に設けられるとともに、n型不純物拡散層と電気的に接続される第1の電極と、第2の表面上に設けられるとともに、p型不純物拡散層と電気的に接続される第2の電極とを備える。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0127】
(2)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板は、p型不純物拡散層を、半導体基板の側面の少なくとも一部にも含んでもよい。そのため、ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。例えば、半導体基板がn型を有する場合には、pn接合が半導体基板の側面付近にも形成されて、pn接合の面積が増加する。そのため、光電変換素子に入射される光によって半導体基板の側面付近に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。例えば、半導体基板がp型を有する場合には、半導体基板の側面の少なくとも一部に設けられたp型不純物拡散層は、側面電界層として機能してもよい。半導体基板の側面の少なくとも一部に設けられたp型不純物拡散層による電界効果により、光電変換素子に入射される光によって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の側面において再結合することが防がれ得る。そのため、光電変換素子に入射される光によって半導体基板内に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。
【0128】
(3)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、p型不純物拡散層を含む半導体基板10の側面における、第2の表面からのp型不純物拡散層の厚さは、第2の表面側から平面視したときに第2の電極と重なる領域における、第2の表面からのp型不純物拡散層の厚さよりも大きくてもよい。ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板10の厚さ方向(第1の表面と第2の表面とが対向する方向)に、p型不純物拡散層が形成される領域は拡大され得るので、半導体基板の第1の表面の近くで生成されたキャリア(例えば、少数キャリアである正孔)は効率的に収集され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0129】
(4)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられてもよい。ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の側面において再結合することが防止され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0130】
(5)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、保護膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられ、第1のパッシベーション膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面と保護膜との間に位置する。第1のパッシベーション膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面と保護膜との間に位置するため、保護膜は、光電変換素子の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜を機械的に保護することができる。保護膜は、光電変換素子の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が半導体基板から剥がれることを防止することができる。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が得られる。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0131】
(6)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面上に設けられる第2のパッシベーション膜をさらに備えてもよい。半導体基板の第1の表面上に、第2のパッシベーション膜を備えるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の第1の表面において再結合することが防止され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0132】
(7)ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、第2のパッシベーション膜は、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にも設けられてもよい。p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上において、第2のパッシベーション膜は、第1のパッシベーション膜と保護膜との間に位置してもよい。半導体基板の第1の表面上に、第2のパッシベーション膜を備えるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の第1の表面において再結合することが防止され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0133】
また、ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、p型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上において、第2のパッシベーション膜は、第1のパッシベーション膜と保護膜との間に位置している。そのため、保護膜は、光電変換素子の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜を機械的に保護することができる。保護膜は、ここで開示された実施の形態の光電変換素子の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が半導体基板から剥がれることを防止することができる。半導体基板の第1の表面側から側面を覆う層(第2のパッシベーション膜)と、半導体基板の第2の表面側から側面を覆う層(第1のパッシベーション膜、保護膜)とが、交互に積層されるため、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が半導体基板から剥がれることがより効果的に防止され得る。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が得られる。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0134】
(8)ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、第2のパッシベーション膜上に、誘電体膜をさらに備えてもよい。第2のパッシベーション膜は、誘電体膜の屈折率よりも大きく、半導体基板の屈折率よりも小さな屈折率を有してもよい。ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板と光電変換素子の外部との間の屈折率がゆるやかに変化するため、光電変換素子における光の反射率がさらに低減されて、より多くの光が光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率がさらに向上された光電変換素子が提供され得る。
【0135】
(9)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板は、n型不純物拡散層を、半導体基板の側面の少なくとも一部にも含んでもよい。そのため、ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。例えば、半導体基板がn型を有する場合には、半導体基板の側面の少なくとも一部に設けられたn型不純物拡散層は、側面電界層として機能してもよい。半導体基板の側面の少なくとも一部に設けられたn型不純物拡散層による電界効果により、光電変換素子に入射される光によって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の側面において再結合することが防がれ得る。そのため、光電変換素子に入射される光によって半導体基板内に生成されたキャリアは、効率的に収集され得る。例えば、半導体基板がp型を有する場合には、pn接合が半導体基板の側面付近にも形成されて、pn接合の面積が増加する。そのため、光電変換素子に入射される光によって半導体基板10の側面付近に生成されたキャリアが効率的に収集され得る。
【0136】
(10)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、n型不純物拡散層を含む半導体基板10の側面における、半導体基板の第2の表面からのn型不純物拡散層の厚さは、半導体基板の第2の表面側から平面視したときに第1の電極と重なる領域における、半導体基板の第2の表面からのn型不純物拡散層の厚さよりも大きくてもよい。ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板10の厚さ方向(第1の表面と第2の表面とが対向する方向)に、n型不純物拡散層が形成される領域は拡大され得るので、半導体基板の第1の表面の近くで生成されたキャリアは効率的に収集され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0137】
(11)ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、半導体基板の第1の表面上に設けられる第2のパッシベーション膜をさらに備えてもよい。半導体基板の第1の表面上に、第2のパッシベーション膜を備えるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の第1の表面において再結合することが防止され得きる。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。また、第2のパッシベーション膜が、n型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にも設けられるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の側面において再結合することが防止され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0138】
(12)ここで開示された実施の形態の光電変換素子は、第2のパッシベーション膜上に、誘電体膜をさらに備えてもよい。第2のパッシベーション膜は、誘電体膜の屈折率よりも大きく、半導体基板の屈折率よりも小さな屈折率を有する。ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板と光電変換素子の外部との間の屈折率がゆるやかに変化するため、ここで開示された実施の形態の光電変換素子における光の反射率がさらに低減されて、より多くの光がここで開示された実施の形態の光電変換素子内に入射され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率がさらに向上された光電変換素子が提供され得る。
【0139】
(13)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、第2のパッシベーション膜は、n型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられてもよい。第2のパッシベーション膜は、n型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられるため、光電変換素子に光が照射されることによって光電変換素子内に生成されたキャリアが半導体基板の側面において再結合することが防止され得る。本実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0140】
(14)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、保護膜は、n型不純物拡散層を含む半導体基板の側面上にさらに設けられてもよい。第2のパッシベーション膜は、n型不純物拡散層を含む半導体基板の側面と保護膜との間に位置してもよい。保護膜は、ここで開示された実施の形態の光電変換素子の外部から加わる衝撃等から、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜を機械的に保護することができる。保護膜は、ここで開示された実施の形態の光電変換素子の製造プロセス中及び製造後において、第1のパッシベーション膜及び第2のパッシベーション膜が半導体基板から剥がれることを防止することができる。そのため、膜質の高い第1のパッシベーション膜14及び第2のパッシベーション膜16が得られる。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0141】
(15)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、複合パッシベーション膜は、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜をさらに含んでもよい。半導体基板の第2の表面におけるp型不純物拡散層の上に、第1のパッシベーション膜が設けられ、半導体基板の第2の表面におけるn型不純物拡散層の上に、第3のパッシベーション膜が設けられてもよい。半導体基板の第2の表面におけるp型不純物拡散層の上に、負の固定電荷を有する第1のパッシベーション膜が設けられるため、半導体基板の第1の表面側から入射する光によって半導体基板内に生成されたキャリア(正孔)は、p型不純物拡散層に電気的に接続された第2の電極に効率的に収集され得る。また、半導体基板の第2の表面におけるn型不純物拡散層の上に、負の固定電荷を有さない第3のパッシベーション膜が設けられるため、第3のパッシベーション膜とn型不純物拡散層との界面に反転層が形成されることが防止され得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、向上された出力を有する光電変換素子が提供され得る。
【0142】
(16)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、半導体基板の第1の表面に、表面電界層をさらに備えてもよい。表面電界層は、半導体基板内に生成されて、受光面である第1の表面側に向かって拡散するキャリアが、第1の表面の近くで再結合することを抑制する表面電界障壁として機能する。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0143】
(17)ここで開示された実施の形態の光電変換素子では、p型不純物拡散層は、n型不純物拡散層に接してもよい。そのため、p型不純物拡散層またはn型不純物拡散層と、p型不純物拡散層及びn型不純物拡散層が形成されていない半導体基板10の領域との界面に形成されるpn接合の面積が増加し得る。ここで開示された実施の形態の光電変換素子によれば、さらに向上されたキャリアの収集効率を有する光電変換素子が提供され得る。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。