(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783232
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】グリコシド組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20201102BHJP
A23L 27/30 20160101ALI20201102BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L27/30 Z
A23L27/30 A
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-527735(P2017-527735)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公表番号】特表2017-535275(P2017-535275A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015062310
(87)【国際公開番号】WO2016085919
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年9月19日
(31)【優先権主張番号】62/083,651
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディ・ガスリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アラン・モーテンソン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・エイシー・スミス
【審査官】
山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/096420(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/122328(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0227421(US,A1)
【文献】
特表2013−545490(JP,A)
【文献】
特表2013−518118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコシド組成物を含む甘味料組成物であって、該グリコシド組成物は、約1〜15%のレバウジオシドAと、約4〜20%のレバウジオシドBと、約3〜45%のレバウジオシドDと、約35〜81%のレバウジオシドMと、を含む、甘味料組成物。
【請求項2】
5〜10%のレバウジオシドAを含む、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項3】
8〜15%のレバウジオシドBを含む、請求項1又は2に記載の甘味料組成物。
【請求項4】
8〜40%のレバウジオシドDを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項5】
12〜35%のレバウジオシドDを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項6】
35〜70%のレバウジオシドMを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項7】
前記グリコシド組成物は、0.1%のクエン酸および0.015%のクエン酸ナトリウムを含有する蒸留水中で400ppmの濃度にて、7.2より大きいSEVを提供する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項8】
約1〜18%のレバウジオシドAと、約4〜25%のレバウジオシドBと、約3〜40%のレバウジオシドDと、約30〜81%のレバウジオシドMと、を含む、甘味料組成物。
【請求項9】
5〜15%のレバウジオシドAを含む、請求項8に記載の甘味料組成物。
【請求項10】
5〜20%のレバウジオシドBを含む、請求項8又は9に記載の甘味料組成物。
【請求項11】
10〜35%のレバウジオシドDを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項12】
15〜30%のレバウジオシドDを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項13】
40〜70%のレバウジオシドMを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項14】
前記グリコシド組成物は、0.1%のクエン酸および0.015%のクエン酸ナトリウムを含有する蒸留水中で400ppmの濃度にて、7.2より大きいSEVを提供する、請求項8〜13のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項15】
前記甘味料組成物が、蒸留水、0.1%のクエン酸および0.015%のクエン酸ナトリウムのテスト溶液中で600ppmのステビオールグリコシド濃度の甘味料を有し;唯一のステビオールグリコシドとしてレバウジオシドDを含む甘味組成物のisosweet濃度が、600ppmより大きいステビオールグリコシド濃度を有し、および唯一のステビオールグリコシドとしてレバウジオシドMを含む甘味組成物のisosweet濃度が、600ppmより大きいステビオールグリコシド濃度を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の甘味料組成物を含む食品組成物。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の甘味料組成物を含む飲料組成物。
【請求項18】
(Reb ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)10%〜50%のReb Dと、50%〜90%のReb Mと、を含む、Reb ABDM組成物であって、Reb D及びReb Mの組み合わせは、該Reb ABDM組成物の少なくとも80%を占める、Reb ABDM組成物。
【請求項19】
(Reb ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)18%〜40%のReb Dと、60%〜82%のReb Mと、を含む、Reb ABDM組成物であって、Reb D及びReb Mの組み合わせは、該Reb ABDM組成物の少なくとも80%を占める、Reb ABDM組成物。
【請求項20】
(前記Reb ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)22%〜38%のReb Dと、62%〜78%のReb Mと、を含む、請求項19に記載のReb ABDM組成物。
【請求項21】
前記Reb ABDM組成物が、蒸留水、0.1%のクエン酸および0.015%のクエン酸ナトリウムのテスト溶液中で600ppmのステビオールグリコシド濃度の甘味料を有し;レバウジオシドDのisosweet濃度が、600ppmより大きいステビオールグリコシド濃度を有し;およびレバウジオシドMのisosweet濃度が、600ppmより大きいステビオールグリコシド濃度を有する、請求項18〜20のいずれか一項に記載のReb ABDM組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、発明の名称が「GLYCOSIDE COMPOSITIONS」である2014年11月24日に出願された米国仮特許出願第62/083,651号の利益を主張し、その全体が参照として本明細書に援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、グリコシド組成物を含む甘味料組成物に関連する。本開示の甘味料組成物は、1種又は2種以上の充填剤などの他の成分を更に含み得る。本開示はまた、食品及び/又は飲料への甘味料組成物の組み込みに関連する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、特定のグリコシド組成物を含む甘味料組成物に関連する。本開示の甘味料組成物はまた、充填剤、香味料、他の高甘味度甘味料などの他の成分を含み得る。本開示はまた、飲食品での甘味料組成物の使用に関係する。
【0004】
特定のグリコシドのある割合のある混合物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも効果の高い甘味力を有する組成物をもたらす。更に、いくつかの組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも(同じ又はより高い甘味でありながら)苦味が低い。いくつかの組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも早い甘味の発現及び/又は少ない残味を有する。更に他の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも好ましい味を有し得る。これらのグリコシドの混合物は、例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMを含む。
【0005】
本明細書で使用される際、用語「グリコシド組成物」は、ステビア植物から得られる様々なグリコシドの組成物を意味する。これらのグリコシドは、レバウジオシドA〜F、M、ステビオシド、ズルコシド、ステビオビオシド、及びルブソシドを含むが、これらに限定されない。とりわけ、本開示のグリコシド組成物には、主にレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMのうちいずれか又は全てからなる組成物が挙げられる。
【0006】
本明細書で使用される際、用語「レバウジオシド−ABDM」、「Reb−ABDM」、及びこれらの変形例は、グリコシド組成物の主成分が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドM(故に「ABDM」)であるグリコシド組成物を指す。他のグリコシド組成物も同様に称することができる。レバウジオシド−ABDM組成物において、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの組み合わせは、レバウジオシド−ABDM組成物において、総グリコシドの少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99%を占めることとなる。
【0007】
効果がより高い甘味力は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも低い濃度で特定のレバウジオシド−ABDM組成物によって特定のSEVを得ることができることを意味し得る。あるいは、効果がより高い甘味力は、組成物が、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも大きな効力を有すること、即ち、組成物が、同等の濃度で、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも高いSEVを示すことを意味し得る。効果がより高い甘味力はまた、特定の組成物が、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも早く甘味を発現することを意味し得る。効果がより高い甘味力を有する組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独と比較した場合、甘味がより高い、又は甘味が増加しているなどとして本明細書に記載することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、グリコシド組成物は、甘味料組成物において比較的高いSEVを提供する。これらの実施形態において、特定の食品又は飲料用途のための甘味料組成物中により高レベルの甘味が必要である場合、グリコシド組成物が提供する実質的な利益をより十分に実現することができると考えられる。
【0009】
特定の一実施形態において、1%〜15%のレバウジオシドA、4%〜15%のレバウジオシドB、3%〜45%のレバウジオシドD、及び25%〜81%のレバウジオシドMを含む組成物が提供される。本組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも高い甘味を有し得る。更に又はあるいは、本組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも早い甘味の発現及び/又は少ない残味を有することができる。
【0010】
別の特定の実施形態において、1%〜18%のレバウジオシドA、4%〜18%のレバウジオシドB、8%〜37%のレバウジオシドD、及び43%〜75%のレバウジオシドMを含む組成物が提供される。本組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも低い苦味を有し得る。更に又はあるいは、本組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも短い間、苦味の後味を有し得る。
【0011】
実施形態において、レバウジオシド−ABDM組成物を組み込む食品又は飲料のpHは、約2〜7の範囲であり得る。他の実施形態において、この食品又は飲料のpHは、6未満、5未満、4未満、3未満、2.5未満、又は2未満であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示のレバウジオシド−ABDM組成物は、5より大きい、6より大きい、7より大きい、7.2より大きい、7.5より大きい、7.8より大きい、8より大きい、8.3より大きい、9より大きい、又は10より大きいSEVを提供する。
【0013】
別の実施形態において、本開示のレバウジオシド−ABDM組成物で製造された甘味料組成物が提供される。甘味料組成物は、本開示の任意のレバウジオシド−ABDM組成物と、充填剤と、を含み、他の実施形態において、本発明のレバウジオシド−ABDM組成物を風味改質剤として利用することができる。
【0014】
本発明のこれらの目的、特徴、及び利益並びに他の目的、特徴、及び利益は、以下の発明を実施するための形態及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
出願人は、驚くべきことに、主にレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMから構成された特定の組成物は、純粋成分であるレバウジオシドD又はレバウジオシドMよりも効果が高い甘味力を有する組成物(Reb−ABDM組成物)をもたらすことを発見した。即ち、純粋成分であるレバウジオシドD又はレバウジオシドMで必要とされるであろう量よりも低い濃度のReb−ABDM組成物で、同レベルの甘味を得ることができる。一定レベルの甘味を得るために必要なグリコシドの濃度を低下させることにより、甘味料組成物中により少ない量のグリコシドを利用するだけですむにもかかわらず、同レベルの甘味を得ることによって、十分な節約効果を生じさせることができる。更に、グリコシドのレベルが低いほど、特定の飲食品への組み込みがより簡単になると考えられる。いくつかの実施形態において、(同じ甘味を得つつも)苦味が低減するという更なる利益もまた得られる。レバウジオシドD及びレバウジオシドMが、苦味のレベルが低い特に甘いグリコシドであると考えれば、これらの効果は特に驚くべきことである。
【0016】
更に又はあるいは、本開示の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独と比較して甘味が増加し、この組成物は、高度な純度(即ち、少なくとも60%純度、いくつかの実施形態では少なくとも80%純度、他の実施形態では少なくとも90%純度、更に他の実施形態では少なくとも95%純度)を有する。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独と比較して苦味が低下している。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも早い甘味の発現を(味わう人に)提供する。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独と比較して甘草の味が低下している。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも残味が少ない。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりもショ糖様の味が強い。更に又はあるいは、本開示の特定の組成物は、レバウジオシドD又はレバウジオシドM単独よりも好ましい味を提供する。本明細書に記載されている特定のグリコシド組成物は、特にレバウジオシドD若しくはレバウジオシドM単独と比較した場合、又は他のグリコシド組成物と比較した場合、これらの又は他の味の効果を示すことができる。
【0017】
レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドMの化学構造は、当該技術分野において周知である。これらの化合物の化学構造はまた、特許出願国際公開第2012/082677号及び国際公開第2014/052457号に見出され、その両方が参照により援用されている。
【0018】
組成物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及び/又はレバウジオシドMに加えて、所望により、レバウジオシドC(ズルコシドB)、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、及びルブソシドなどのステビア植物由来の1種又は2種以上の他のグリコシドを含む。組成物は、15%以下のこれらの任意のグリコシドを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、典型的には、約10%以下のこれらの他のグリコシドを含む。他の実施形態において、組成物は、典型的には、約5%以下のこれらの他のグリコシドを含み、更に他の実施形態では、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの他に、約3%、2%、又は1%以下のグリコシドを含む。
【0019】
予想外に高レベルの甘味及び低レベルの苦味を有する組成物の具体例を表1及び表2に提供する。
【0022】
いくつかの実施形態において、これらの組成物は、特に高いSEVレベルを有する甘味料組成物を提供することができる。いくつかの他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、5より大きいSEVを提供し、更に他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、6より大きいSEVを提供し、更に他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、7より大きいSEVを提供し、更に他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、8より大きいSEVを提供し、更に他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、9より大きいSEVを提供し、更に他の実施形態において、これらの組成物は、甘味料組成物中に存在する場合、10より大きいSEVを提供する。
【0023】
概して、レバウジオシド−ABDM組成物は、(組成物中のレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの量に対して)1重量%以上15重量%以下のレバウジオシドAと、4重量%以上20重量%以下のレバウジオシドBと、3重量%以上45重量%以下のレバウジオシドDと、35重量%以上81重量%以下のレバウジオシドMと、を含む。
【0024】
いくつかの好ましいレバウジオシド−ABDM組成物は、(組成物中のレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの量に対して)1重量%以上15重量%以下のレバウジオシドAと、4重量%以上20重量%以下のレバウジオシドBと、3重量%以上45重量%以下のレバウジオシドDと、35重量%以上81重量%以下のレバウジオシドMと、を含む。
【0025】
他の好ましいレバウジオシド−ABDM組成物は、(組成物中のレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの量に対して)1重量%以上18重量%以下のレバウジオシドAと、4重量%以上18重量%以下のレバウジオシドBと、8重量%以上37重量%以下のレバウジオシドDと、43重量%以上75重量%以下のレバウジオシドMと、を含む。
【0026】
Reb−ABDM組成物の他の例を表3〜9において提供する。
【0028】
表4〜6において提供されたReb−ABDM組成物は、一定の濃度、例えば、450ppm〜1000ppm、450ppm〜850ppm、500ppm〜800ppm、500ppm〜700ppm、550ppm〜650ppm、575ppm〜625ppm、又は約600ppmで提供された場合、特有の効果を示した。
【0032】
実施形態において、300〜500ppmを含む組成物は、2〜15%、5〜10%、8〜12%、5〜15%、7〜12%のレバウジオシドAと、5〜20%、10〜15%、5〜15%、8〜12%、7〜12%のレバウジオシドBと、25〜45%、30〜40%、20〜35%、10〜30%、18〜25%、5〜25%、8〜18%のレバウジオシドDと、35〜55%、40〜50%、45〜60%、50〜55%、50〜65%、55〜62%、60〜80%、62〜76%のレバウジオシドMと、を含み得る。別の例示的な実施形態において、300〜500ppmを含む組成物は、2〜8%のレバウジオシドAと、10〜20%、12〜17%、2〜15%、5〜10%のレバウジオシドBと、35〜45%、38〜42%、25〜35%、28〜32%、20〜30%、22〜28%、10〜25%、15〜22%、2〜15%、5〜10%のレバウジオシドDと、35〜45%、38〜42%、45〜55%、48〜52%、50〜60%、53〜57%、57〜67%、60〜64%、71〜81%、74〜78%のレバウジオシドMと、を含み得る。
【0033】
表7〜9において提供されるReb−ABDM組成物は、一定の濃度、例えば、250ppm〜550ppm、300ppm〜500ppm、350ppm〜450ppm、375ppm〜425ppm、又は約400ppmで提供された場合、特有の効果を示した。
【0037】
更に別の実施形態において、500〜700ppmを含む組成物は、5〜15%、8〜12%、10〜13%、8〜15%、2〜15%、5〜13%のレバウジオシドAと、5〜15%、8〜12%、10〜13%、8〜15%、4〜15%、5〜13%のレバウジオシドBと、20〜35%、25〜32%、10〜30%、13〜25%、10〜25%、13〜20%のレバウジオシドDと、45〜60%、48〜55%、50〜65%、55〜61%、57〜75%、61〜70%のレバウジオシドMと、を含み得る。また更に別の実施形態において、500〜700ppmを含む組成物は、8〜18%、11〜15%、2〜10%、3〜7%のレバウジオシドAと、8〜18%、11〜15%、4〜10%、4〜7%のレバウジオシドBと、27〜37%、30〜34%、20〜30%、23〜27%、8〜18%、11〜15%、15〜25%、8〜22%のレバウジオシドDと、43〜53%、46〜50%、50〜60%、53〜57%、56〜66%、59〜63%、65〜75%、68〜72%のレバウジオシドMと、を含み得る。
【0038】
予想外に高レベルの甘味及び低レベルの苦味を有する組成物の更に他の例を表10及び表11において提供する。
【0041】
実施形態において、組成物は、約50〜60%、又は約57〜67%のレバウジオシドMを含んでもよい。別の実施形態、すなわち、組成物は、約35〜45%、又は約71〜81%のレバウジオシドMを含んでもよい。更に別の実施形態、すなわち、組成物は、約45〜55%のレバウジオシドMを含んでもよい。
【0042】
別の実施形態において、組成物は、約56〜66%、又は約43〜53%のレバウジオシドMを含んでもよい。別の実施形態において、組成物は、50〜60%、又は約65〜75%のレバウジオシドMを含んでもよい。
【0043】
更に他の実施形態は、Reb−ABDM組成物中のReb D及びReb Mの量、並びにReb−ABDM組成物中のReb D及びReb Mの相対的割合に従って記載することができる。これらの実施形態のうちいくつかにおいて、Reb DとReb Mとの組み合わせは、Reb−ABDM組成物の少なくとも60%を占め、他の実施形態では、Reb−ABDM組成物の少なくとも70%、更に他の実施形態では、Reb−ABDM組成物の少なくとも74%、更に他の実施形態では、Reb ABDM組成物の少なくとも80%、更に他の実施形態では、Reb−ABDM組成物の少なくとも84%、更に他の実施形態では、Reb−ABDM組成物の少なくとも90%を占める。他の実施形態において、Reb DとReb Mとの組み合わせは、Reb−ABDM組成物の74%〜90%を構成する。更に他の実施形態において、Reb DとReb Mとの組み合わせは、Reb−ABDM組成物の80%〜90%を構成する。更に他の実施形態において、Reb DとReb Mとの組み合わせは、Reb−ABDM組成物の84%〜90%を構成する。更に他の実施形態において、Reb DとReb Mとの組み合わせは、Reb−ABDM組成物の80%〜84%を構成する。
【0044】
これらの実施形態のうちいくつかにおいて、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)10%〜50%のReb D及び50%〜90%のReb Mを含む。他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)31%〜50%のReb D及び50%〜69%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)38%〜50%のReb D及び50%〜63%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)40%〜50%のReb D及び50%〜60%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)38%〜40%のReb D及び60%〜63%のReb Mを含む。
【0045】
更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)18%〜40%のReb D及び60%〜82%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)22%〜40%のReb D及び60%〜78%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)22%〜38%のReb D及び63%〜78%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)22%〜31%のReb D及び69%〜78%のReb Mを含む。
【0046】
更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)10%〜22%のReb D及び78%〜90%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)10%〜18%のReb D及び82%〜90%のReb Mを含む。更に他の実施形態において、Reb−ABDM組成物は、(Reb−ABDM組成物中のReb DとReb Mを合わせた合計の)22%〜38%のReb D及び63%〜78%のReb Mを含む。
【0047】
Reb−ABDM組成物中のReb D及びReb Mの量、並びにReb−ABDM組成物中のReb D及びReb Mの相対的割合に従って記載されたReb−ABDM組成物の実施形態はまた、Reb A及びReb Bを含むことができる。
【0048】
グリコシド組成物を含む甘味料組成物
上述したように、レバウジオシドA、レバウジオシドB、及び/又はレバウジオシドDと組み合わせたレバウジオシドMの特定の組成物は、レバウジオシドD単独又はレバウジオシドM単独よりも高い甘味力を有する組成物をもたらす。したがって、甘味料組成物においてこれらの組成物を利用することにより大幅にコストを削減することができると考えられる。
【0049】
甘味料組成物はまた、グリコシド組成物に加えて他の成分も含むことができる。いくつかの実施形態において、甘味料組成物は、充填剤、高甘味度甘味料、調味料、抗酸化剤、カフェイン、他の栄養甘味料、塩、タンパク質、苦味抑制剤、又は甘味増強剤のうち1種又は2種以上を含むことができる。
【0050】
充填剤は、高甘味度甘味料のかさ増しに使用される、当該技術分野において既知の任意の組成物を含むことができる。充填剤は、本開示のグリコシド組成物などの高甘味度甘味料と共に使用されることが多く、焼成用、調理用、及び卓上用などの用途において、本開示の甘味料を、砂糖などの他の甘味料と容易に直接置換することができる。充填剤は、バルク甘味料、低グリセミック炭水化物、繊維、親水コロイド、及びこれらの組み合わせから選択することができる。バルク甘味料は、トウモロコシ甘味料、ショ糖、ブドウ糖、転化糖、マルトース、デキストリン、マルトデキストリン、フルクトース、レブロース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固形分、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、フラクトオリゴ糖、及びこれらの組み合わせから選択することができる。低グリセミック炭水化物は、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、オリゴデキストラン、D−タガトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリトリトール、マルチトール、他のポリオール、水素化デンプン加水分解物、イソマルト、D−プシコース、1,5アンヒドロD−フルクトース、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0051】
繊維は、ポリデキストロース、難消化性マルトデキストリン、難消化性デンプン、イヌリン、水溶性トウモロコシ繊維、βグルカン、オオバコ、セルロース、ヘミセルロース、及びこれらの組み合わせから選択することができる。親水コロイドは、ペクチン(例えば、リンゴ、ビート、柑橘類)、アラビアガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、nOSA(n−オクテニル無水コハク酸)、ローカストビーンガム、カシアガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0052】
高甘味度甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、アリテーム、ソーマチン、ジヒドロカルコン、ネオテーム、サイクラミン酸塩、モグロシド、グリチルリチン、フィロズルチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、サーキュリン、ペンタジン、モナチン、及びこれらの組み合わせから選択することができる。香味料は、コーラの香味、柑橘類の香味、ルートビールの香味、及びこれらの組み合わせから選択することができる。甘味増強剤は、クルクリン、ミラクリン、シナリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ストロジン、アラビノガラクタン、マルトール、ジヒロキシ安息香酸(dihyroxybenzoic acid)、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0053】
食用デンプン、小麦粉、タンパク質分離物、タンパク質濃縮物、食用脂肪及び食用油(ココアバターなど)、乳化剤、食用エキス(麦芽エキスなど)、及びジュース濃縮物などの他の成分もまた、甘味料組成物中に含まれていてもよい。
【0054】
いくつかの特定の実施形態において、甘味料組成物はまた、低グリセミック炭水化物を含むことができる。特定の実施形態において、低グリセミック炭水化物は、エリスリトール又は別のポリオールである。
【0055】
飲食品組成物
本開示のグリコシド組成物及び/又は甘味料組成物を、飲食品組成物内に組み込むことができる。したがって、本開示はまた、本開示のグリコシド組成物及び/又は甘味料組成物を含む食品組成物及び飲料組成物についても企図する。
【0056】
食品組成物の例には、焼いた食品、スープ、ソース、加工肉、缶詰のフルーツ、缶詰の野菜、乳製品、冷凍菓子、菓子、チューインガム、ケーキ、クッキー、バー、及び他の甘いベーカリー品、シリアル、シリアルバー、ヨーグルト、栄養バー、グラノーラバー、硬いキャンデー、ゼリーキャンデー、チョコレートキャンデー、並びに他の甘い菓子が挙げられる。飲料の例としては、炭酸ソフトドリンク、粉末ソフトドリンク、レディ・トゥ・ドリンクタイプのお茶、スポーツドリンク、乳製ドリンク、ヨーグルト含有ドリンク、アルコール飲料、栄養ドリンク、フレーバーウォーター、ビタミンドリンク、フルーツドリンク、及びフルーツジュースが挙げられる。
【0057】
本開示の甘味料組成物を使用することができる他の食用組成物の例には、歯磨き粉、洗口剤、及び口腔用リンスなどのオーラルケア製品、タブレット、カプセル、トローチ、及び懸濁剤などの医薬品、並びにサプリメント、ビタミン、プロバイオティクス、及びプレバイオティクスなどの栄養補助食品製品が挙げられる。
【0058】
非食用製品だが、食品製品とみなすことができる、本開示の甘味料組成物を添加することができる製品には、パイプタバコ、嗅ぎタバコ、及び噛みタバコなどのタバコ製品が挙げられる。
【0059】
組成物及び甘味料組成物の製造方法
本開示はまた、グリコシド組成物及び甘味料組成物の製造方法にも企図する。典型的な従来のステビア系甘味料は、グリコシド組成物を含み、このグリコシド組成物は、主にレバウジオシドA(例えば、80%超のレバウジオシドA、95%超のレバウジオシドA、又は97%超のレバウジオシドA)からなる。本開示は、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMをかかる従来の甘味料に添加することを企図する。いくつかの実施形態において、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMのいずれかをかかる甘味料に添加して、所望のグリコシド組成比を得ることができる。
【0060】
本開示はまた、本開示のグリコシド組成物を得るために、1種のグリコシドと別の種のグリコシドとの間の制御変換も企図する。したがって、一実施形態において、1種又は2種以上のグリコシドを含む組成物を、開示された比率の特定のレバウジオシド−ABDM組成物に変換することができる。
【実施例】
【0061】
20名の官能パネルが甘味及び苦味を測定するように訓練された。以下の表12に示すスケール値に従って、それぞれの標準物質(甘味用のショ糖及び苦味用のカフェイン)を、pH3.1のクエン酸系(0.1%のクエン酸と0.015%のクエン酸ナトリウムを含有する蒸留水)に溶解することによって参照食味標準(reference tasting standard)を調製した。
【0062】
【表12】
【0063】
純粋な、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMを、本実施例において使用した。
【0064】
訓練された官能パネルは、表13及び表14に示す比率及び濃度のレバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMの組成物溶液を評価した。溶液は、訓練用の溶液と同じクエン酸系において製造された。全ての溶液は、12分間55℃に加熱されて、全てのグリコシド物質を確実に完全に溶解させた。溶液は、パネリストに提供する前に室温まで冷却した。それぞれの溶液には無作為な3桁のコードを与え、無作為な順番でパネリストに提供した。パネリストは、2mLのそれぞれの溶液を、ピペットから口の中へ分注した。その後、パネリストは、溶液の「甘味強度」及び「苦味強度」を評価し、非固定型の(un-anchored)15cm直線スケールで反応を示すように求められた。データを回収し、EyeQuestion官能評価ソフトウェア(Logic8)を使用してコンパイルした。
【0065】
200〜700ppmの商用のレバウジオシドA(Cargill,Incorporated)の対照試料を試験を通して使用して、パネリストの一貫性をモニタした。試験試料間において、パネリストは水及びリンゴのスライスで口蓋を洗浄した。パネリストはまた、それぞれの試料と試料との間において5分間待機した。パネリストの反応を、試料ごとに測定、コンパイル、及び平均化した。官能評価データが、あるデータポイントが同じ組成物の600ppmの試料の故意ではない二重使用であると示唆したため、このデータポイントは、本実施例(13%のレバウジオシドA、13%のレバウジオシドB、61%のレバウジオシドD、及び13%のレバウジオシドMにおいて総濃度400ppm)の検討から除外された。
【0066】
様々な濃度の純粋なレバウジオシドD及び純粋なレバウジオシドMの甘味反応及び苦味反応もまた上述した方法で官能パネルを利用して得られた。
【0067】
表13及び表14は、試験した組成物の濃度(ppm)を示し、組成物中の別のグリコシドに対するあるグリコシドの割合を百分率で示す。それぞれの組成物の甘味及び苦味は、訓練されたパネルによって測定された。組成物の甘味は、SEV(ショ糖等量)として測定された。
【0068】
その後、それぞれの組成物を、純粋なレバウジオシドD及び純粋なレバウジオシドMのisosweet濃度と比較した。この値は、組成物に対して測定されたSEVを得るために必要な純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMの濃度を表す。したがって、この値が組成物の値より大きい場合、(より少ない用量で)組成物によって得られる甘味と同じ甘味を得るために、純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMの濃度がより大きい必要があると考えられる。
【0069】
表13及び表14はまた、純粋なレバウジオシドD及び純粋なレバウジオシドMのisosweetの苦味を含む。この値は、純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMの濃度に対して測定された苦味の強度を表す。
【0070】
レバウジオシドD及びレバウジオシドMのisosweet溶液の濃度並びにisosweet溶液の苦味は、標準的な心理感覚モデルに対する純粋な成分の感覚反応の適合によって算出した。
【0071】
表13及び表14に見られるように、特定のReb−ABDM組成物は、純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMよりも予想外に高い甘味力を示した。更に、これらの組成物の多くは、同じSEVレベルにおいて苦味がより少ないという更なる利益を示した。したがって、(純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMと比較して)同じSEVレベルを得るために使用される総グリコシドが少なくなるだけでなく、Reb−ABDM組成物は、純粋なレバウジオシドD又は純粋なレバウジオシドMのいずれか一方よりも苦味が少ないと考えられる。レバウジオシドD及びレバウジオシドMは、レバウジオシドA及びレバウジオシドBを含む多くの他のグリコシドよりも甘く、苦味が少ないと考えられているため、これは非常に驚くべきことである。これらの特に有益なReb−ABDM組成物は、本出願を通して記載されているが、特に、表1〜表11に記載されている。
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】