【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例の制御装置Cを備えた工作機械100の概略を示す図である。
工作機械100は、主軸110と、切削工具台130Aとを備えている。
主軸110は、ワーク保持手段としてチャック120を介してワークWを保持する。
主軸110は、図示しない主軸モータの動力によって回転駆動されるように主軸台110Aに支持されている。
前記主軸モータとして主軸台110A内において、主軸台110Aと主軸110との間に形成される従来公知のビルトインモータ等が考えられる。
【0020】
主軸台110Aは、工作機械100のベッド側に、Z軸方向送り機構160によって主軸110の軸線方向となるZ軸方向に移動自在に搭載されている。
主軸110は、主軸台110Aを介してZ軸方向送り機構160によって、前記Z軸方向に移動する。
Z軸方向送り機構160は、主軸110をZ軸方向に移動させる主軸移動機構を構成している。
【0021】
Z軸方向送り機構160は、前記ベッド等のZ軸方向送り機構160の固定側と一体的なベース161と、ベース161に設けられたZ軸方向に延びるZ軸方向ガイドレール162とを備えている。
Z軸方向ガイドレール162に、Z軸方向ガイド164を介してZ軸方向送りテーブル163がスライド自在に支持されている。
Z軸方向送りテーブル163側にリニアサーボモータ165の可動子165aが設けられ、ベース161側にリニアサーボモータ165の固定子165bが設けられている。
【0022】
Z軸方向送りテーブル163に主軸台110Aが搭載され、リニアサーボモータ165の駆動によってZ軸方向送りテーブル163が、Z軸方向に移動駆動される。
Z軸方向送りテーブル163の移動によって主軸台110AがZ軸方向に移動し、主軸110のZ軸方向への移動が行われる。
【0023】
切削工具台130Aは、ワークWを加工するバイト等の切削工具130が装着され、切削工具130を保持する刃物台を構成している。
X軸方向送り機構150が、工作機械100のベッド側に設けられている。
【0024】
X軸方向送り機構150は、前記ベッド側と一体的なベース151と、Z軸方向に対して上下方向で直交するX軸方向に延びるX軸方向ガイドレール152とを備えている。
X軸方向ガイドレール152はベース151に固定され、X軸方向ガイドレール152には、X軸方向送りテーブル153がX軸方向ガイド154を介してスライド自在に支持されている。
X軸方向送りテーブル153には、切削工具台130Aが搭載される。
【0025】
リニアサーボモータ155は可動子155aおよび固定子155bを有し、可動子155aはX軸方向送りテーブル153に設けられ、固定子155bはベース151に設けられている。
X軸方向送りテーブル153がリニアサーボモータ155の駆動によってX軸方向ガイドレール152に沿ってX軸方向に移動すると、切削工具台130AがX軸方向に移動し、切削工具130がX軸方向に移動する。
なお、Y軸方向送り機構を設けてもよい。
Y軸方向は、図示のZ軸方向およびX軸方向に直交する方向である。
前記Y軸方向送り機構は、X軸方向送り機構150と同様の構造とすることができる。
【0026】
X軸方向送り機構150をY軸方向送り機構を介してベッドに搭載することにより、Y軸方向送りテーブルをリニアサーボモータの駆動によってY軸方向に移動させ、切削工具台130AをX軸方向に加えてY軸方向に移動させ、切削工具130をX軸方向およびY軸方向に移動させることができる。
【0027】
前記Y軸方向送り機構を、X軸方向送り機構150を介してベッドに搭載し、前記Y軸方向送りテーブルに切削工具台130Aを搭載してもよい。
【0028】
刃物台移動機構(X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構)と前記主軸移動機構(Z軸方向送り機構160)とが協動し、X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構によるX軸方向とY軸方向への切削工具台130Aの移動と、Z軸方向送り機構160による主軸台110A(主軸110)のZ軸方向への移動によって、切削工具台130Aに装着されている切削工具130は、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に送られる。
主軸110の回転、X軸方向送り機構150やZ軸方向送り機構160等の移動は、制御装置Cで制御される。
【0029】
前記主軸移動機構(Z軸方向送り機構160)と前記刃物台移動機構(X軸方向送り機構150とY軸方向送り機構)とから構成される送り手段により、主軸110と切削工具台130Aとを相対的に移動させ、切削工具130を、ワークWに対して相対的に任意の加工送り方向に送ることによって、
図2に示すように、ワークWは、前記切削工具130により任意の形状に切削加工される。
【0030】
なお本実施形態においては、主軸台110Aと切削工具台130Aの両方を移動するように構成しているが、主軸台110Aを工作機械100のベッド側に移動しないように固定し、刃物台移動機構を、切削工具台130AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるように構成してもよい。
この場合、前記送り手段が、切削工具台130AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる刃物台移動機構から構成され、固定的に位置決めされて回転駆動される主軸110に対して、切削工具台130Aを移動させることによって、前記切削工具130をワークWに対して加工送り動作させることができる。
【0031】
また切削工具台130Aを工作機械100のベッド側に移動しないように固定し、主軸移動機構を、主軸台110AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させるように構成してもよい。
この場合、前記送り手段が、主軸台110AをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる主軸台移動機構から構成され、固定的に位置決めされる切削工具台130Aに対して、主軸台110Aを移動させることによって、前記切削工具130をワークWに対して加工送り動作させることができる。
【0032】
なお本実施形態においては、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構、Z軸方向送り機構160は、リニアサーボモータによって駆動されるように構成されているが、従来公知のボールネジとサーボモータとによる駆動等とすることもできる。
【0033】
本実施形態においては、ワークWと切削工具130とを相対的に回転させる回転手段が、前記ビルトインモータ等の前記主軸モータによって構成され、ワークWと切削工具130との相対的な回転は、主軸110の回転駆動によって行われる。
本実施例では、切削工具130に対してワークWを回転させる構成としたが、ワークWに対して切削工具130を回転させる構成としてもよい。
この場合切削工具130としてドリル等の回転工具が考えられる。
主軸110の回転、Z軸方向送り機構160、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構は、制御装置Cが有する制御部C1を制御手段として、制御部C1によって駆動制御される。
制御部C1は、各送り機構を反復的移動手段として、各々対応する移動方向に沿って第1速度での相対移動およびこの第1速度での相対移動と異なり第1速度より遅い第2速度での相対移動を繰り返して主軸110と切削工具130とを相対的に反復的移動させながら、主軸台110A又は切削工具台130Aを各々の方向に移動させるように制御するように予め設定されている。
【0034】
各送り機構は、制御部C1の制御により、
図3に示すように、主軸110又は切削工具台130Aを、1回の反復的移動において、第1速度での相対移動として所定の前進量だけ各移動方向に前進移動してから第2速度での相対移動として各移動方向に停止し、その進行量だけ各移動方向に移動させ、協動してワークWに対して前記切削工具130を前記加工送り方向に送る。
【0035】
工作機械100は、
図4に示すように、Z軸方向送り機構160、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構により、切削工具130が前記加工送り方向に沿った反復的移動しながら、主軸1回転分当たりの量、すなわち、主軸位相0度から360度まで変化したとき当たりの量を送り量として、加工送り方向に送られることによって、ワークWの加工を行う。
【0036】
ワークWが回転した状態で、主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)が、反復的移動しながら移動し、切削工具130によって、ワークWを所定の形状に外形切削加工する場合、ワークWの周面は、反復的移動の波形に沿った曲線状に切削される。
なお曲線状の波形の谷を通過する仮想線(1点鎖線)において、主軸位相0度から360度まで変化したときの位置の変化量が、前記送り量を示す。
図4に示されるように、ワークWの1回転当たりの主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130Aの反復的移動の繰り返し回数Nが、1.5回(1回転当たりの反復的移動の繰り返し回数N=1.5)を例に説明する。
【0037】
この場合、主軸110のn回転目(nは1以上の整数)とn+1回転目の切削工具130により旋削されるワークW周面形状の位相が、主軸位相方向(グラフの横軸方向)でずれる。
このためn+1回転目の前記位相の谷(点線波形グラフの第1速度での相対移動から第2速度ゼロで停止に切り替わる
図4上向きに凸の曲線部分)の位置が、n回転目の前記位相の谷(実線波形グラフの
図4上向きに凸の曲線部分)の位置に対して、主軸位相方向でずれる。
【0038】
これにより、n回転目の切削工具130の移動軌跡(実線波形グラフ)と、n+1回転目の切削工具130の移動軌跡(点線波形グラフ)との間の距離が、短くなる箇所が生じる。
この箇所においては、ワークWから生じる切屑の幅が狭くなるため、この箇所で切粉が折れるように分断されやすくなる。
【0039】
また、
図5に示すように、
図4の前進移動のような第1速度での相対移動と、第2速度での相対移動として
図4の停止に代えて加工送り方向において第1速度での移動方向と同じ方向へ第1速度より遅い速度での移動とを繰り返してもよい。
これにより、
図4に示す反復的移動と比べて、送り量を多くして切削効率を高めることができる。
【0040】
図5に示すように、
図4と同様、n回転目の切削工具130の移動軌跡(実線波形グラフ)と、n+1回転目の切削工具130の移動軌跡(点線波形グラフ)との間の距離が、短くなる箇所が生じる。
この箇所においては、ワークWから生じる切屑の幅が狭くなるため、この箇所で切粉が折れるように分断されやすくなる。
このように、本発明の反復的移動手段による反復的移動について、加工送り方向への第2速度はゼロでもよいし、第2速度での相対移動は、第1速度での相対移動と同じ向きでもよいし、また、第2速度での相対移動の方向を第1速度での相対移動の方向と逆向きにして加工送り方向への往復振動としてもよい。
【0041】
この往復振動の場合、制御部C1の制御により、ワーク周面のn+1回転目における復動時(第2速度での相対移動時)の切削工具130の軌跡を、ワーク周面のn回転目における切削工具130の軌跡まで到達させることにより、第1速度での相対移動時の切削加工部分と、第2速度での相対移動時の切削加工部分とが接する、すなわち、一部重複することが可能となる。
これによって、1反復的移動において切削工具130の第1速度での相対移動時の切削加工部分に、第2速度での相対移動時の切削加工部分が理論上「点」として含まれ、第2速度での相対移動中に切削工具130がワークWから離れる空振り動作が「点」で生じることにより、切削加工時にワークWから生じる切屑は、前記空振り動作(第1速度での相対移動時の切削加工部分と、第2速度での相対移動時の切削加工部分とが接する点)によって順次分断される。
【0042】
なお、n回転目とn+1回転目との関係について、n回転目とn+1回転目のワークWにおける切削工具130により旋削される形状の位相が一致(同位相)とならなければよく、必ずしも180度反転させる必要はない。
例えば1回転当たりの反復的移動の繰り返し回数Nは、1.1や1.25、2.6、3.75等とすることができる。
ワークWの1回転で1回より少ない反復的移動(0<前記繰り返し回数N<1.0)を行うように設定することもできる。
これにより、1反復的移動に対して1回転以上主軸110が回転する(多数回転に対して反復的移動の繰り返し回数が1回)。
【0043】
工作機械100において、制御部C1による動作指令は、所定の指令周期で行われる。
主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)の反復的移動は、前記指令周期に基づく所定の周波数で動作が可能となる。
例えば、制御部C1によって1秒間に250回の指令を送ることが可能な工作機械100の場合、制御部C1による動作指令は、1÷250=4(ms)周期(基準周期)で行われる。
【0044】
前記指令周期は前記基準周期に基づいて定まり、一般的には前記基準周期の整数倍となる。
前記指令周期の値に応じた周波数で反復的移動を実行させることが可能となる。
図6に示されるように、例えば前記基準周期(4(ms))の4倍の16(ms)を指令周期とすると、16(ms)毎に第1速度での相対移動と第2速度での相対移動とを実行させることになり、1÷(0.004×4)=62.5(Hz)で主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)を反復的移動させることができる。
【0045】
その他、1÷(0.004×5)=50(Hz),1÷(0.004×6)=41.666(Hz),1÷(0.004×7)=35.714(Hz),1÷(0.004×8)=31.25(Hz)等の複数の所定の飛び飛びの周波数でのみ、主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)を反復的移動させることができる。
【0046】
主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)の反復的移動の周波数(反復的移動周波数)f(Hz)は、上記周波数から選択される値に定まる。
なお制御装置C(制御部C1)によっては、前記基準周期(4ms)の整数倍以外の倍数で指令周期を設定することができる。
この場合、この指令周期に応じた周波数を反復的移動周波数fとすることができる。
【0047】
主軸台110A(主軸110)又は切削工具台130A(切削工具130)を反復的移動させる場合、主軸110の回転数をS(r/min)とすると、1回転当たりの反復的移動の繰り返し回数Nは、N=f×60/Sと定まる。
図7に示すように、回転数Sと前記繰り返し回数Nとは、反復的移動周波数fを定数として反比例する。
主軸110は、反復的移動周波数fを高くとるほど、また前記繰り返し回数Nを小さくするほど高速回転することができる。
【0048】
本実施例の工作機械100では、回転数Sと前記繰り返し回数Nと反復的移動周波数fとをパラメータとし、ユーザによって、3つのパラメータうちの回転数Sと前記繰り返し回数Nとの2つを、数値設定部C2等を介して制御部C1に設定することができるように構成されている。
回転数S又は前記繰り返し回数Nの制御部C1への設定は、回転数S又は前記繰り返し回数Nの値を、制御部C1にパラメータ値として入力することができる他、例えば回転数Sや前記繰り返し回数Nの値を加工プログラムに記載して設定したり、プログラムブロック(プログラムの1行)において前記繰り返し回数Nを引数として設定したりすることができる。
【0049】
特に前記繰り返し回数Nを加工プログラムのプログラムブロックにおいて引数として設定することができるように、設定手段を構成すると、一般的に加工プログラム上に記載される主軸110の回転数Sと、プログラムブロックでの引数として記載される前記繰り返し回数Nとによって、加工プログラムから容易に回転数Sと前記繰り返し回数Nとをユーザが設定することができる。
なお、前記設定手段による設定は、プログラムによるものでもよいし、ユーザが数値設定部C2を介して設定するものでもよい。
【0050】
また周速とワーク径を、加工プログラム等を介して設定入力することができるように構成し、前記周速とワーク径に基づき回転数Sを算出させて設定することもできる。
加工プログラム等を介して設定入力される周速とワーク径とに基づき回転数Sを算出するように、前記設定手段を構成することで、ワークWの材質や切削工具130の種類や形状、材質等に応じて定められる周速に応じて、ユーザが意識することなく容易に回転数Sを設定することができる。
【0051】
制御部C1は、設定された回転数Sと前記繰り返し回数Nとに基づき、この回転数Sで主軸110を回転させ、この前記繰り返し回数Nで切削工具130が前記加工送り方向に沿って反復的移動しながら加工送り方向に送られるように、主軸台110Aまたは切削工具台130Aを反復的移動しながら移動させるように制御する。
【0052】
ただし回転数Sと前記繰り返し回数Nは前述のように反復的移動周波数fに起因して定まるため、制御部C1は、設定された回転数Sと前記繰り返し回数Nとを反復的移動周波数fに基づいて補正する補正手段を備える。
補正手段は、反復的移動周波数fを、N=60f/Sに基づいて、設定された前記繰り返し回数Nと回転数Sから算出される値に近い値を持つものに設定し、設定された反復的移動周波数fによって、前記繰り返し回数Nと回転数Sとをそれぞれ設定された値に近い値に補正するように構成することができる。
【0053】
例えば、ユーザによって、S=3000(r/min)、N=1.5と設定されたとする。
この場合、S=3000(r/min)、N=1.5から反復的移動周波数の値が75(Hz)となるため、補正手段は、例えば、反復的移動周波数f=62.5(Hz)に設定する。
補正手段は、設定された反復的移動周波数(62.5Hz)に基づき、例えば、回転数S(3000(r/min))を維持して前記繰り返し回数N=1.25と補正したり、前記繰り返し回数N(1.5)を維持して回転数S=2500(r/min)と補正したりする。
また反復的移動周波数f=50(Hz)に設定し、回転数S=2400(r/min)、前記繰り返し回数N=1.25と両方を補正することもできる。
【0054】
補正手段による回転数Sと前記繰り返し回数Nとの補正によって、設定手段により設定された前記繰り返し回数Nと回転数Sとに基づいた条件で、工作機械100は、Z軸方向送り機構160、X軸方向送り機構150、Y軸方向送り機構により、切削工具130を前記加工送り方向に沿った反復的移動させながら加工送り方向に送り、切屑を分断しながら又は切屑を分断されやすくしながら、ワークWの切削加工を円滑に行うことができ、場合によっては、例えば切削工具130の寿命を延長させることも可能となる。
これによりユーザが意図した回転数Sおよび前記繰り返し回数Nに比較的近い条件でワークWの加工を行うことができる。
【0055】
この際、加工条件等に応じて、回転数Sや前記繰り返し回数Nのいずれかを優先して補正したり、両方を補正したりして、補正条件を変更することもできる。
なお前記設定手段によって使用する反復的移動周波数fを予めユーザ側において設定し、設定された反復的移動周波数fに応じて、前記繰り返し回数Nや回転数Sを補正するように構成することもできる。
【0056】
この場合、制御部C1を特に安定した制御状態として、切削工具130を前記加工送り方向に沿った反復的移動させながら加工送り方向に送り、切屑を分断しながら又は切屑を分断されやすくしながら、ワークWの外形切削加工を円滑に且つ安定的に行わせることができる。
【0057】
一方加工のサイクルタイムを縮めるためには、主軸110の回転をできるだけ高速に設定することが望ましい。
このためには、反復的移動周波数fをできる限り高くする必要があるが、安定制御等の観点から必要以上に高く設定することは容易ではない。
このため前記繰り返し回数Nをできる限り小さくすることで、回転数Sを可能な限り大きくすることが可能となる。
【0058】
この際、1反復的移動当たりの主軸110の回転数Sで前記繰り返し回数Nを設定するように前記設定手段を構成することによって、容易に回転数Sを上昇させる設定を行うことができる。
1反復的移動当たりの主軸110の回転数Sが1回以上に設定され、前記繰り返し回数Nが0より大きい1未満の数に設定されることによって、主軸110を高速回転させることが可能となる。
ただし、分断される切屑の長さは比較的長くなるため、前記繰り返し回数Nは、前記加工に悪影響が出ない程度に設定する必要がある。
【0059】
なお、本実施例では、3つのパラメータうち前記繰り返し回数Nや回転数Sを、数値設定部C2等を介して制御部C1に設定するように構成したが、例えば、予め繰り返し回数Nを所定の値に固定して、入力不要にしておき、3つのパラメータうち1つとして回転数Sのみをユーザが設定して、この回転数Sと前記繰り返し回数Nとに応じて反復的移動周波数fを設定し、回転数S又は前記繰り返し回数Nを補正するようにしてもよい。
【0060】
さらに、3つのパラメータうち1つとして回転数Sのみをユーザが設定する場合、制御部C1を、設定された回転数Sに対して各反復的移動周波数に対応する振動数を各反復的移動周波数毎に算出し、設定された回転数Sを補正することなく、切削工具130の前記往復振動によって切屑が分断されるような繰り返し回数Nを設定するように構成することもできる。
この場合、制御部C1は、ユーザによって設定された回転数Sに対して、制御部C1が設定した繰り返し回数Nとなる反復的移動周波数fで、切削工具130の前記往復振動を実行する。ただし、ユーザによって設定された回転数Sや動作可能な反復的移動周波数によって、前記のように切屑が分断されるような繰り返し回数Nの設定が困難な場合は、制御部C1によって、前記往復振動の振幅を、切屑が分断されるような値に調節設定するように構成することもできる。
【0061】
また、制御部C1の補正手段を、設定された回転数Sを反復的移動周波数fに基づいて補正するように構成し、
図8に示すように、制御部C1が、主軸1回転当たりの反復的移動の反復的移動数N1、N2、N3…と、動作指令が可能な周期に起因する反復的移動周波数f1、f2、f3…とに対応する主軸110の回転数S11、S12、S13…、S21…、S31…のテーブルを有して、補正手段が、ユーザによって設定された回転数Sの値を、前記テーブル内の回転数Sの値に補正するようにしてもよい。