特許第6783313号(P6783313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783313
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】磁場を発生させる方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/02 20060101AFI20201102BHJP
   H01F 7/20 20060101ALI20201102BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H01F7/02 Z
   H01F7/20 Z
   H02K1/27 501A
【請求項の数】34
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-538617(P2018-538617)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2019-509624(P2019-509624A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】US2016060858
(87)【国際公開番号】WO2017127146
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】15/001,187
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518255570
【氏名又は名称】パラネティックス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PARANETICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、エイ.ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラリー、スタンボー
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−354617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0205854(US,A1)
【文献】 特開2016−5338(JP,A)
【文献】 実開平4−128773(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/02
H01F 7/20
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面、ならびに前記上面と前記下面との間に挟まれた内壁および外壁を有する、基部であって、
前記上面は、前記内壁の上縁によって画定された第1の開口を有し、前記下面は、前記内壁の下縁によって画定された第2の開口を有し、
前記基部は、前記内壁と前記外壁との間で、かつ前記基部の周囲に配置された、磁石配置場所の組をさらに有する、基部と、
前記内壁の周囲に配置された磁石の組であって、前記各磁石が、前記磁石配置場所の組の中の1つの磁石配置場所に配置され、前記各磁石は、前記磁石のN極とS極とを結合する前記磁石の軸線が、前記上面と前記下面とに対してある角度を形成するように、配置される、磁石の組とを備え、
前記磁石の組は、前記基部の内部で、実質的に前記上面と前記下面との間に形成された、第1の極性の第1の磁場と、前記基部の前記第1の開口から外向きに、かつ前記第1の磁場の第1の側に形成された、第2の極性の第2の磁場と、前記基部の前記第2の開口から外向きに、かつ前記第1の側の反対側の、前記第1の磁場の第2の側に形成された、前記第2の極性の第3の磁場と、の3つの一次磁場を生成する、
磁気装置。
【請求項2】
前記磁石配置場所の組が、2つの場所を含む、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項3】
前記磁石配置場所の組が、3つ以上の場所を含む、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項4】
前記磁石の組が、前記内壁の周囲の連続した磁気構造である、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項5】
前記磁石配置場所のそれぞれの上部が、前記磁石配置場所の下部よりも薄い、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項6】
前記磁石の組の中の前記各磁石が、前記内壁の近くに、傾斜した形状を有する表面を含む、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項7】
前記磁石配置場所の組が、前記内壁上で実質的に平坦であり、表面取付磁石を収容するように構成される、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項8】
前記第2の磁場の磁気的影響の領域を、前記第3の磁場の磁気的影響の領域よりも著しく大きくすることができる、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項9】
前記第1の開口および前記第2の開口の大きさおよび形状が、前記第2の磁場および前記第3の磁場のそれぞれの前記磁気的影響の領域を制御するように構成される、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項10】
各磁石の前記N極が、前記基部の中央に面し、前記磁石の前記S極が、前記基部の前記中央とは反対方向に面し、
前記第1の極性の前記第1の磁場が、磁気のS極であり、前記第2の極性の前記第2の磁場、および前記第3の磁場が、磁気のN極である、
請求項1に記載の磁気装置。
【請求項11】
前記各磁石の前記S極が、前記基部の前記中央に面し、前記磁石の前記N極が、前記基部の前記中央とは反対方向に面し、
前記第1の極性の前記第1の磁場が、磁気のN極であり、前記第2の極性の前記第2の磁場、および前記第3の磁場が、磁気のS極である、
請求項1に記載の磁気装置。
【請求項12】
前記基部の前記中央に面する前記磁石の前記第1の極が、前記基部の前記上面に近接して配置され、前記基部の前記中央とは反対方向に面する前記磁石の前記第2の極が、前記基部の前記下面に近接して配置される、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項13】
前記磁石の前記N極と前記S極とを結合する前記磁石の前記軸線と、前記上面および前記下面との間に形成された前記角度が、0〜90度である、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項14】
前記基部の前記内壁が、放物線形状または傾斜した形状を有する、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項15】
前記各磁石の表面が、放物線形状、傾斜した形状または平坦な形状を有する、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項16】
前記第1の極性の前記第1の磁場が、実質的に前記第1の開口と前記第2の開口と前記内壁とによって囲まれた空間内に位置する、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項17】
前記第1の極性の前記第1の磁場と、前記第2の極性の前記第2の磁場との間にある第1の遷移境界が、前記基部の前記第1の開口の近くにあり、前記第1の磁場と、前記第2の極性の前記第3の磁場との間にある第2の遷移境界が、前記基部の前記第2の開口の近くにある、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項18】
磁石が前記第1の遷移境界または前記第2の遷移境界に挿入されたときに、前記磁石が前記遷移境界で浮遊するまたは位置合わせされるように、前記第1の遷移境界および前記第2の遷移境界のそれぞれが物体にアクセス可能な、請求項17に記載の磁気装置。
【請求項19】
前記磁気装置が、前記浮遊している磁石に圧力が印加されてから解放された場合に、前記磁石が傾斜して実質的に同じ場所に戻るように構成される、請求項18に記載の磁気装置。
【請求項20】
前記磁石と前記磁気装置との組み合わせが、トランスデューサ、弁、スピーカ、マイクおよびポンプの作成に用いられる、請求項18に記載の磁気装置。
【請求項21】
前記磁石がそれぞれ、永久磁石、電磁石、超伝導電磁石または上記の組み合わせである、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項22】
前記基部が、前記基部の中実のリング構造の中に形成され、前記基部の中央にある空間と前記基部の外部の空間とを結合する、隙間をさらに有する、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項23】
第1の場所から第2の場所へ磁性物体を推進させる装置であって、
第1の極性の第1の磁場、ならびに、両方とも第2の極性であり前記第1の磁場の両側に配置される第2の磁場および第3の磁場を含む、第1の磁場パターンを発生させるように構成された、第1の磁場発生装置と、
前記第1の磁場発生装置と直列に結合され、前記第1の磁場パターンと実質的に同一の第2の磁場パターンを発生させるように構成された、第2の磁場発生装置とを含み、
前記第1の磁場パターンおよび前記第2の磁場パターンは、第1−第2−第1−第1−第2−第1の極性を有する、混合した直線磁場パターンを形成し、前記磁性物体と前記混合した直線磁場パターンとの間の磁気的な相互作用の結果として、前記混合した直線磁場パターンが、前記磁性物体を、前記混合した直線磁場パターンの第1の端部から入れ、前記混合した直線磁場パターンの前記各磁場を横断させ、前記混合した直線磁場パターンの第2の端部から出す、磁性物体を推進させる装置。
【請求項24】
前記第1の極性が、磁気のN極であり、前記第2の極性が、磁気のS極である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の極性が、磁気のS極であり、前記第2の極性が、磁気のN極である、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の磁場発生装置、および前記第2の磁場発生装置がそれぞれ、
上面、下面、ならびに前記上面と前記下面との間に挟まれた内壁および外壁を有する、基部であって、前記上面は、前記内壁の上縁によって画定された第1の開口を有し、前記下面は、前記内壁の下縁によって画定された第2の開口を有する、基部と、
前記内壁の一部を覆うように配置された、磁石の組であって、前記磁石がそれぞれ、前記N極と前記S極とを結合する前記磁石の軸線が、前記上面および前記下面に対してある角度を形成するように配置される、磁石の組とを備える、
請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記磁石の組が、前記基部の前記内壁にある、凹所の組の内側に配置される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記磁石の組が、前記基部の前記内壁の表面に取り付けられる、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記内壁の中にまたは周囲に配置された前記磁石の組がそれぞれ、台形、円形、正方形および/または三角形の形状を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記磁石の組が、2つ以上の磁石を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の極性の前記第1の磁場が、前記基部内で、実質的に前記上面と前記下面との間に形成され、前記第2の極性の前記第2の磁場が、前記基部の前記第1の開口から外向きに形成され、前記第2の極性の前記第3の磁場が、前記基部の前記第2の開口から外向きにかつ前記第1の磁場の反対側に形成される、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の磁場発生装置および前記第2の磁場発生装置に直列に結合され、前記第1の磁場パターンおよび前記第2の磁場パターンと実質的に同一の、1つ以上の追加の磁場パターンを発生させるように構成された、1つ以上の追加の磁場発生装置をさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の磁場発生装置、前記第2の磁場発生装置、および前記1つ以上の追加の磁場発生装置が、直線経路で前記磁性物体を推進させるための直線配列を形成する、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記第1の磁場発生装置、前記第2の磁場発生装置、および前記1つ以上の追加の磁場発生装置が、円形経路で前記磁性物体を推進させるための円形配列を形成する、請求項32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実施形態は、磁場を発生させることに関し、より詳細には、複数の極性を用いた磁場の発生に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる種類の磁石、例えば、永久磁石、電磁石、および超伝導電磁石は、対向する側に、極性が反対の2つの磁極を発生させる。これは、図1に示す棒磁石100を参照して、示すことができる。図1に見られるように、棒磁石100は、S極102、およびN極104の2つの磁極をそれぞれ有する。図1は、棒磁石100によって生成された、N極104からS極102へ向かう方向を有する、磁場106をさらに示す。
【0003】
2つの磁極は、反発し、かつ引き合う能力をもつ。例えば、第2の棒磁石のN極を、磁石100のS極102などに近づけた場合、磁石100は、第2の磁石と引き合う。逆に、第2の磁石のS極を磁石100のS極102に近づけた場合は、磁石100は、第2の磁石に反発する。磁石100のN極104は逆に作用し、すなわち第2の磁石のN極に反発して、S極と引き合う。
【0004】
磁石の前述の特性は、装置の作成に用いることができるが、その用途に制限があったり、少なくともその効果が制限されたりする場合がある。これは、電気モータの固定子/回転子の組み合わせによって例示することができる。
【0005】
図2は、固定子リングを形成する複数の磁石202と、固定子リングの中央に配置された回転子磁石204とを図示する、ブロック図を示す。図2に見られるように、磁石202のそれぞれ(すなわち202a〜202d)は、図示されているように配置された、SおよびNの磁極を有し、回転子磁石204は、図示されているように配置された、その磁極を有する。動作時は、固定子磁石202aおよび202dのS極は、回転子磁石204のS極に反発し、固定子磁石202bおよび202cのN極は、回転子磁石204のS極と引き合う。同時に、固定子磁石202bおよび202cのN極は、回転子磁石204のN極に反発し、固定子磁石202dおよび202aのS極は、回転子磁石204のN極と引き合う。累積的影響によって、回転子磁石204は、軸205の周囲で時計回りに回転する。残念なことに、図2に見られるように、固定子磁石202はそれぞれ、固定子リングの外側に、使用されない第2の極を生成する。その結果、固定子の使用可能な磁場全体の使用率は、最高で50%である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書で説明する実施形態は、複数の磁極を含む磁場パターンを発生させるための装置、システム、および技術を提供する。特定の実施形態において磁気装置が開示され、これは、磁気装置の両端、すなわち両側にある、極性が同一の2つの磁極と、他の2つの磁極とは極性が異なる第3の磁極とを含む磁場パターンを発生させ、第3の磁極は、磁気装置の内部で、かつ他の2つの磁極同士の間に位置する。この3極の磁場パターンは、磁気装置の1つの側から磁気装置のもう一方の側へ、磁石、または別の磁気装置を加速させるために用いることができる。
【0007】
様々な実施形態において、複数の3極磁場パターンを含む、混合した磁場パターンを発生させるために、開示される複数の磁気装置を、直列で、または互いに連結して配置することができる。この混合した磁場パターンは、別の磁石装置をより長い距離にわたって直線経路で、または磁気回転子−固定子装置のフライホイールの周囲を円形経路で、加速させるのに用いることができる。
【0008】
様々な実施形態において、3極磁場を発生させる磁気装置は、3極磁場の2つの遷移境界/境界面に配置された、2つの開口を伴って構成される。こうして、2つの遷移境界は物体にアクセス可能になる。特に、2つの磁極同士の間の境界面に別の磁石が挿入されると、磁石はちょうど境界面に「位置合わせ」されて、磁気装置の開口で浮遊する、または浮上する。このような磁石と磁気装置との組み合わせは、トランスデューサ、弁、スピーカ、マイク、およびポンプの作成に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、所望の磁場パターンを発生させる磁気装置が開示される。この磁気装置は、上面、下面、ならびに上面と下面との間に挟まれた内壁および外壁とを有する、基部を備える。上面は、内壁の上縁によって画定された第1の開口を有し、下面は、内壁の下縁によって画定された第2の開口を有する。基部は、内壁と外壁との間に配置された、磁石配置場所の組をさらに含む。磁気装置は、このような配置場所に配置された磁石の組をさらに含み、各磁石は、磁石のN極とS極とを結合する磁石の軸線が、上面および下面に対してある角度を形成するような、内壁の場所に配置される。装置構成の結果、磁気装置は、基部の内部で、ほぼ上面と下面との間に形成される、第1の極性の第1の磁場と、基部の第1の開口から外向きに、かつ第1の磁場の第1の側に形成される、第2の極性の第2の磁場と、基部の第2の開口から外向きに、かつ第1の側とは反対側の、第1の磁場の第2の側に形成される、第2の極性の第3の磁場との、3つの一次磁場を発生させる。こうして、2つの遷移境界は物体にアクセス可能になる。特に、2つの磁極同士の間の境界面に別の磁石が挿入されると、磁石はちょうど境界面に「位置合わせ」されて、2つの磁極同士の間の境界面で浮遊する、または浮上する。このような磁石と磁気装置との組み合わせは、トランスデューサ、弁、スピーカ、マイク、およびポンプの作成に用いることができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、磁石配置場所の組は、2つの場所を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、磁石配置場所の組は、3つ以上の場所を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、磁石の組は、内壁の周囲に連続した磁気構造を形成する。
【0013】
いくつかの実施形態において、磁石配置場所のそれぞれの上部は、磁石配置場所の下部よりも薄い。
【0014】
いくつかの実施形態において、磁石の組の中の各磁石は、内壁の近くに、傾斜した形状を有する表面を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、磁石配置場所の組は、内壁上で実質的に平坦であり、表面取付磁石を収容するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第2の磁場の磁気的影響の領域は、第3の磁場の磁気的影響の領域よりも著しく大きい。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1の開口、および第2の開口の大きさおよび形状は、第2の磁場、および第3の磁場のそれぞれの磁気的影響の領域を制御するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、各磁石のN極は基部の中央に面し、磁石のS極は、基部の中央とは反対方向に面する。さらに、第1の極性の第1の磁場は磁気のS極であり、第2の極性の第2の磁場、および第3の磁場は磁気のN極である。
【0019】
いくつかの実施形態において、各磁石のS極は基部の中央に面し、磁石のN極は、基部の中央とは反対方向に面する。さらに、第1の極性の第1の磁場は磁気のN極であり、第2の極性の第2の磁場、および第3の磁場は磁気のS極である。
【0020】
いくつかの実施形態において、基部の中央に面する各磁石の第1の極は、基部の上面に近接して配置され、基部の中央とは反対方向に面する磁石の第2の極は、基部の下面に近接して配置される。
【0021】
いくつかの実施形態において、磁石のN極とS極とを結合する各磁石の軸線と、上面および下面との間に形成される角度は、0〜90度である。
【0022】
いくつかの実施形態において、基部の内壁は、放物線形状または傾斜した形状を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、各磁石の表面は、放物線形状、傾斜した形状または平坦な形状を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1の極性の第1の磁場は、実質的に第1の開口と第2の開口と内壁とによって囲まれた空間内に位置する。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1の極性の第1の磁場と、第2の極性の第2の磁場との間にある第1の遷移境界は、基部の第1の開口の近くにあり、第1の磁場と、第2の極性の第3の磁場との間にある第2の遷移境界は、基部の第2の開口の近くにある。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1の遷移境界および第2の遷移境界はそれぞれ物体にアクセス可能であり、その結果、第1の遷移境界または第2の遷移境界に磁石が挿入されたときに、磁石は磁気装置の対応する開口で浮遊する。
【0027】
いくつかの実施形態において、磁気装置は、浮遊している磁石に圧力が印加されてから解放された場合に、磁石が傾斜して実質的に同じ場所に戻るように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態において、磁石と磁気装置との組み合わせは、トランスデューサ、弁、スピーカ、マイクおよびポンプの作成に用いられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、磁石はそれぞれ、永久磁石、電磁石、超伝導電磁石または上記の組み合わせである。
【0030】
いくつかの実施形態において、基部は、基部の中に形成された隙間をさらに有し、隙間は、基部の中央にある空間と基部の外部の空間とを結合する。
【0031】
別の態様において、第1の場所から第2の場所へ磁性物体を推進する装置が開示される。この装置は、第1の磁場パターンを発生させるように構成された、第1の磁場発生装置を含み、第1の磁場パターンは、第1の極性の第1の磁場と、両方とも第2の極性であって第1の磁場の両側に位置する第2の磁場および第3の磁場とを含む。この装置は、第1の磁場発生装置に直列に結合され、第1の磁場パターンと実質的に同一の第2の磁場パターンを発生させるように構成された、第2の磁場発生装置をさらに含む。第1の磁場パターンおよび第2の磁場パターンは、第1−第2−第1−第1−第2−第1の極性を有する、混合した直線磁場パターンを形成する。混合した直線磁場パターンにより、磁性物体は、磁性物体と混合した直線磁場パターンとの間の磁気的な相互作用の結果、混合した直線磁場パターンの第1の端部から入って、混合した直線磁場パターン内の各磁場を横断し、混合した直線磁場パターンの第2の端部から出る。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1の極性は、磁気のN極であり、第2の極性は、磁気のS極である。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1の極性は、磁気のS極であり、第2の極性は、磁気のN極である。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1の磁場発生装置、および第2の磁場発生装置はそれぞれ、上面、下面、ならびに上面と下面との間に挟まれた内壁および外壁とを有する、基部を備える。上面は、内壁の上縁によって画定された第1の開口を有し、下面は、内壁の下縁によって画定された第2の開口を有する。各磁場発生装置は、内壁の一部を覆うように配置された、磁石の組をさらに備え、磁石はそれぞれ、磁石のN極とS極とを結合する磁石の軸線が、上面および下面に対してある角度を形成するように配置される。
【0035】
いくつかの実施形態において、磁石の組は、基部の内壁にある、凹所の組の内側に配置される。
【0036】
いくつかの実施形態において、磁石の組は、基部の内壁の表面に取り付けられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、磁石の組はそれぞれ、台形、円形、正方形および/または三角形の形状を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、磁石の組は、2つ以上の磁石を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1の極性の第1の磁場は、基部内で、実質的に上面と下面との間に形成され、第2の極性の第2の磁場は、基部の第1の開口から外向きに形成され、第2の極性の第3の磁場は、基部の第2の開口から外向きにかつ第1の磁場の反対側に形成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、本装置は、第1の磁場発生装置および第2の磁場発生装置に直列に結合され、第1の磁場パターンおよび第2の磁場パターンと実質的に同一の、1つ以上の追加の磁場パターンを発生させるように構成された、1つ以上の追加の磁場発生装置をさらに備える。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1の磁場発生装置、第2の磁場発生装置、および1つ以上の追加の磁場発生装置は、直線経路で磁性物体を推進させるための直線配列を形成する。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1の磁場発生装置、第2の磁場発生装置、および1つ以上の追加の磁場発生装置は、円形経路で磁性物体を推進させるための円形配列を形成する。
【0043】
これらその他の特徴、態様、および実施形態は、以下の「発明を実施するための形態」と題する節で説明される。
【0044】
添付の図面と併せて、特徴、態様、および実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】2つの極を有する、従来の棒磁石を示す。
図2】固定子リングを形成している複数の磁石と、固定子リングの中央に配置された回転子磁石とを図示する、ブロック図を示す。
図3】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、所望の磁場パターンを作成するための、提案する磁気装置の形成に使用できる、例示的な装置を示す。
図4A図3で説明した、基部の磁石配置場所に取り付けられた磁石の組を有する磁気装置と、図1に示す磁場パターンを前提として、生成されることが予想される磁場パターンとを示す。
図4B】装置の磁石構成によって実際に発生した例示的な磁場パターンと、図4Aに示した予想される磁場パターンとを対比して示す。
図5】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、3つの一次磁場を含む提案する磁気装置の、おおよその磁場パターンを示す。
図6】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、ロッドその他の安定化装置に取り付けられた磁石を含む装置を、図5に示す複数の磁場パターンで形成された磁場を通って加速させる、例示的な工程を示す。
図7A】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、磁気回転子−固定子装置を示し、軸の周囲で回転子ホイールを駆動させる固定子として構成された、磁場発生装置の円形配列を含み、軸は、一組のロッドを介して回転子ホイールに取り付けられた磁石の円形配列を含む。
図7B】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、回転子として作用する中央軸に取り付けられた磁場発生装置の円形配列と、対応するロッドの組を介して回転子−固定子装置の外側に取り付けられて、固定子として作用する磁石の組とを含む、代替的な磁気回転子−固定子装置を示す。
図7C図7Bで説明した磁気回転子−固定子装置に基づく、磁気回転子−固定子装置の別の例を示す。
図8A】磁場パターン500aの第1のN極に入る前の、電磁装置の初期位置を示す。
図8B】電磁装置が、磁場パターン500aの第1のN極によって引き付けられた後に、第1のN極磁場に完全に入ったところを示す。
図8C】電磁装置が、S極の引力を受けて第1のN極磁場から移動し、磁場パターン500aの中央にあるS極磁場に入ったところを示す。
図8D】電磁装置が、磁場510aに完全に入り、装置の極性はそのままになっているところを示す。
図8E】電磁装置が、磁場パターン500aの第2のN極磁場508aに入り、装置800の極性はそのままになっているところを示す。
図8F】電磁装置が、S−NからN−Sに戻すように、極性を再度切り替えたところを示す。
図8G】電磁装置が、極性を切り替えた後に、第2の磁場パターン500bの第1のN極磁場に入ったところを示す。
図8H】装置が磁場パターン500bの第2のS極磁場を横切るのを容易にするために、電磁装置が、N−SからS−Nに戻すように、極性を再度切り替えたところを示す。
図9A】放物線形状の内壁と、内壁内にある、対応する磁石配置場所の組の内部に取り付けられた、磁石の組とを有する基部を備える、提案する磁場発生装置の例示的な実施形態を示す。
図9B】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、表面取付磁石を用いる、代替的な磁場発生装置を示す。
図10A】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの類似した大きさの開口と、3つの極を含む関連する磁場パターンとを有する、提案する磁気装置の別の例の断面図を示す。
図10B】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの開口に2つの遷移境界を有する、磁気装置の斜視図を示す。
図10C】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの永久磁石1および2が、位置1および位置2の2つの遷移境界で浮上する、磁気装置1000を用いた磁気浮上系を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、放物線形状を形成するように配置された、複数の磁石を含む装置に関する。磁石は、永久磁石、電磁石、超伝導電磁石、または前述のものの組み合わせであってもよい。本明細書で説明するように磁石が放物線形状で配置されると、磁石は、装置からそれぞれ反対方向に外向きに延びる、同じ極性の磁力の2つの一次磁場と、装置のほぼ中央にある、反対の極性をもつ第3の磁場とを発生させることができる。
【0047】
図3は、本明細書で説明するいくつかの実施形態による、所望の磁場パターンを生成するための、提案する磁気装置の形成に使用できる、例示的な装置300を示す。図3に見られるように、装置300は、少なくとも2つの開口を含むリング形状を有する、基部302を備える。より詳細には、基部302は、上面307、下面305、内壁311、および面305と307との間に挟まれた外壁313を有する。上面307は、この事例では円の形状の開口308をさらに含み、下面305は、図示されている例では、これも円の形状の開口310を含む。特に、上面307の開口308は、下面305の開口310よりも直径が大きい。結果として、内壁311は、放物線形状、または傾斜した形状を有することができる。図3の実施形態における基部302は、リング/円形の形状を有するものとして図示されているが、装置300の他の実施形態は、非円形の開口、例えば、これに限定されないが、正方形、五角形、六角形その他の多角形の形状の開口を含む、他の閉じた形状の基部を有してもよい。したがって、本開示の実施形態は、図3に示すリング形状の基部を用いることに限定されない。
【0048】
基部302は、それぞれが磁石を収容できる、複数の磁石配置場所304をさらに含む。図3に見られるように、複数の磁石配置場所304は、内壁311と、外壁313との間に配置され、リング状の基部302の周囲でほぼ均等に離間される。例えば、一対の隣接する磁石配置場所同士の距離は、「d」で示すことができる。しかしながら、いくつかの他の実施形態において、複数の磁石配置場所304は、リング状の基部302の周囲で、不均等に離間されて配置されてもよい。なお、各磁石配置場所304は、磁石を受けるために、内壁311に開口を有する。このように、内壁311が放物線形状、または傾斜した形状を有する場合は、各磁石配置場所304の開口もまた、放物線形状、または傾斜した形状を有してもよい。このような実施形態では、内壁311の放物線形状、または傾斜した形状により、磁石配置場所304はそれぞれ、下部314よりも薄い上部312を有することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、各磁石配置場所304の裏壁は、基部302の中実部分の内部に埋め込まれ、基部302の外壁313に対して、ある角度に設定することができる。このような実施形態では、磁石配置場所304の中に取り付けられる磁石の表面もまた、放物線形状、または傾斜した形状を有することができる。いくつかの実施形態では、内壁の中にある凹所として構成された磁石配置場所を用いる代わりに、提案する磁気装置の基部は、内壁の周囲にある、磁石配置場所の組を用いる。このような磁石配置場所は、以下で図9Aおよび図9Bと共により詳細に説明するように、表面取付磁石を収容するために用いることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、基部302は、基部302の中実のリング構造の中に形成された隙間306をさらに有し、隙間306は、基部302の中央を基部302の外部の空間に結合する。このような隙間306の機能および用途は、以下でより詳細に説明する。明示されていないが、各磁石配置場所304は、磁石を収容することができる。提案する磁気装置300は、磁石が磁石配置場所304の中に適切に取り付けられているときに形成される。
【0051】
図4Aは、図3で説明した基部302の磁石配置場所304に取り付けられた、磁石402の組(すなわち402aおよび402b)を含む、磁気装置400と、図1に示す磁場パターンを前提として、生成されることが予想される磁場パターンとを示す。特に、例示的な装置400では、各磁石402のN極は、基部302の中央に面し、かつ基部302の上面に近接して配置され、各磁石402のS極は、基部302の中央とは反対方向に面し、かつ基部302の下面に近接して配置される。このように、磁石402はそれぞれ、磁石のN極とS極とを結合する磁石の軸線(磁石402を通過するまっすぐな点線で示す)が、上面および下面に対してある角度を形成するように配置される。様々な実施形態において、N極とS極とを結合する磁石の軸線と、上面および下面との間に形成される角度は、0〜90度である。様々な実施形態において、磁石の組は、2つ、3つ、またはそれ以上の、別個の永久磁石を含んでもよい。いくつかの実施形態において、磁石の組は、内壁の周囲に連続した磁気構造を形成する。
【0052】
図4Aに示す装置構成において、磁石は、図示されているような極、すなわち装置400の中央に形成された、組み合わされたN極と、装置400の対向する端部に形成された2つのS極とを伴う、磁場404を発生させることが予想される。しかしながら、図4Aに示す磁場パターンは、説明した構成に基づいて、装置400によって実際に生成されるものではない。
【0053】
図4Bは、装置400の磁石構成によって実際に発生した例示的な磁場パターンを示す。より詳細には、図4Bは、装置400の断面図を表し、装置400の右側縦縁部は、図3に示す基部302の上面307に対応し、装置400の左側縦縁部は、図3に示す基部302の下面305に対応する。図4Bに見られるように、3つの一次磁場406、408、および410が生成される。より詳細には、磁気のN極ではなく、磁気のS極の極性を有する第1の一次磁場410は、基部302のほぼ中央に形成される。示されている例において、磁場410は、上面の上部開口と、下面の下部開口と、基部302の内壁とに囲まれた空間の、ほぼ内側に配置される。
【0054】
図4Bにさらに示すように、磁気のN極の極性を有する第2の一次磁場408は、基部302の上側、すなわちより大きい開口から外向きに形成され、これも磁気のN極の極性を有する第3の一次磁場406は、基部302の下側、またはより小さい開口から、かつ一次磁場410の反対側に、外向きに形成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の一次磁場410と、第2の一次磁場408との間の境界は、基部302のより大きい開口(右側の太い垂直線で示す)の近くにあり、第1の一次磁場410と、第3の一次磁場406との間の境界は、リング形状の基部302のより小さい開口(左側の太い垂直線で示す)の近くにある。また、開口308は開口310よりもサイズが大きいため(図4Bにおいて、2本の太線416、および418でも示されている)、第2の磁場408の磁気的影響の領域は、第3の磁場406の磁気的影響の領域よりもずっと大きくなり得ることにも留意されたい。いくつかの実施形態において、基部302の開口308および310は、第2の磁場408、および第3の磁場406のそれぞれの磁気的影響の領域を制御するための、所望の大きさおよび形状になるように構成することができる。
【0056】
例示的な装置400は、2つの磁気のN極同士の間に、1つの磁気のS極を形成するように構成され、装置400の代替的な設計では、図4Bに示す構成とは反転させて、磁石を取り付けることができる。このような設計では、3つの一次磁場406´、408´、および410´が生成されて、磁気Nの第1の一次磁場410´が、基部302のほぼ中央に形成され、磁気Sの第2の一次磁場408´、および第3の一次磁場406が、第1の一次磁場410の両側に形成される。
【0057】
図4Bにさらに示すように、3つの一次磁場406〜410に加えて、いくつかの付加的な磁場効果412および414が存在してもよい。しかしながら、本明細書で考察を進めるために、装置400によって生成された磁場は、おおむね前述の3つの一次磁場としてもよい。図5は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、3つの一次磁場406〜410を含む磁気装置400の、おおよその磁場パターン500を示す。図5に示すように、装置400によって生成された磁場パターン500は、両側に配置された2つのN極と、2つのN極同士の間に配置された1つのS極とを含む。開示されている装置400の磁場特性は、様々な利益を達成するために、様々な用途に使用することができ、例えば、電気モータに使用すると、電気モータの効率が向上する。
【0058】
図3と共に前述したように、装置300または400の基部302は、基部302内に隙間306をさらに有することができる。このような隙間は、別の磁石を加速させるために、例示的な用途に使用することができる。図6は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、ロッド604その他の安定化装置に取り付けられた磁石602を含む装置600を、図5に示す複数の磁場パターン500で形成された磁場606を通って加速させる、例示的な工程を示す。
【0059】
より詳細には、磁場606は、磁場パターン500aおよび500bの配列を含み、そのそれぞれが、基部302、および磁石402の組を有する、図4Aおよび図4Bの装置400の1つのインスタンスによって生成される。なお、磁場606を生成する装置400の配列は、直列に、すなわち互いに連結して配置することができる。2つの磁場パターン500aおよび500bのみが示されているが、装置400のより長い配列を形成するために、2つよりも多い装置400のインスタンスが組み込まれてもよく、装置400のより長い配列は、対応する磁場パターン500のより長い配列を生成して、より長い距離にわたって磁石600を加速させる。例えば、装置400のこのより長い配列は、図6の挿入図に示すように、磁場パターン500の7つのインスタンスを含む、円形パターンで構成することができる。この例では、磁石602は、円形経路608の周囲で円形運動して加速/推進することができる。別の例では、磁石602を直線経路(図示せず)で加速/推進させるために、複数の磁場パターン500を線形に構成することができる。これらすべての例において、磁石602が磁場パターン500の配列を通って移動するときは、比較的細いロッド604は、装置400の各インスタンスの、各基部302のそれぞれの隙間306を通過することができ、より太い磁石602は、基部302の中央にある、各基部302の開口を通過する。
【0060】
ここで、磁石602が、磁場606を通って加速する方法についてより詳細に見てみることにする。図6に見られるように、磁石602が最初に磁場パターン500aの左側に配置されると、磁石602のS極は、磁場パターン500aの、磁場506aのN極と引き合う。この相互作用により、装置600は、図6の右側に向けて加速する。磁石602は、磁場506aに入り、磁場506aは、磁石602のN極に反発し始めて、磁石602を右へとさらに加速させる。磁石602が最初に、S極、すなわち磁石602のS極上にある、磁場パターン500aの磁場510aの反発効果を克服するのに十分なほど加速された場合は、次に磁場510aは、磁石602のN極と引き合い続けながら、磁石602のS極に反発し始める。その一方で、第2のN極、すなわち磁場パターン500aの磁場508aが、磁石602のS極と引き合い始める。磁石602が磁場508aに入ると、磁場508aは、磁石602のN極に反発し始め、その結果、磁石602は、磁場パターン500aを出るまで右へと加速を続ける。
【0061】
したがって、磁場パターン500aの3つの一次磁場と、磁石602の極との間の相互作用によって、装置600を、図6における左側から右側へ移動させることができる。前述したように、基部302の隙間306は、ロッド604を収容して、装置600が、磁場パターン500aを発生させる装置400の第1のインスタンスを通って、障害物なく移動できるように構成することができる。次に、磁場パターン500bで表されている、装置400の第2のインスタンスがこの工程を継続し、第2のインスタンスは、装置400の第1のインスタンスと直列に、すなわち連結されて配置される。装置400の複数のインスタンスは、後述するように、これに限定されないが、円形配列、または直線配列を含む、様々な構成で連結することができる。
【0062】
図7Aは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、磁気回転子−固定子装置710を示し、軸702の周囲で回転子ホイール704を駆動させる固定子として構成された、磁場発生装置410a〜410lの円形配列を含み、軸702は、一組のロッド706a〜706lを介して回転子ホイール704に取り付けられた磁石700a〜700lの円形配列を含む。磁気回転子−固定子装置710は、図6に示す例示的なシステムよりも多くの磁場発生装置400のインスタンスと、多くの磁石700とを含んでいるが、駆動機構は、図6と共に前述した工程と本質的に同じである。回転子ホイール704が回転している間は、比較的細いロッド706はそれぞれ、各装置410の各基部302の、それぞれの隙間306(図示せず)を通過することができ、磁石700はそれぞれ、各基部302の中央にある、各基部302の開口を通過する。
【0063】
図7Bは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、回転子として作用する中央軸712に取り付けられた磁場発生装置420a〜420hの円形配列を示し、その一方で、対応するロッド716a〜716hの組を介して回転子−固定子装置720の外側に取り付けられて、固定子として作用する磁石714a〜714hの組とを含む、代替的な磁気回転子−固定子装置720を示す。
【0064】
図7Cは、図7Bで説明した磁気回転子−固定子装置720に基づく、磁気回転子−固定子装置730の別の例を示す。図7Cに見られるように、磁気回転子−固定子装置730は、一組の同一の小区画730a〜730eを含み、各小区画730は、図7Bで説明した磁気回転子−固定子装置720と同様の方法で構築される。
【0065】
いくつかの実施形態において、図6の磁石602が電磁石である場合は、磁石602の極性は、好適には、前述の動作を補助するように切り替える、またはオフにすることができる。このことは、図8A図8Hと共に図示されており、電磁装置800が、装置800の極性を切り替えながら、装置400の3つのインスタンスの、磁場パターン500a〜500cの配列を通って左側から右側へ移動する工程を説明している。
【0066】
図8Aは、磁場パターン500aの第1のN極に入る前の、電磁装置800の初期位置を示す。図8Aに見られるように、装置800は、示されているようにN−Sの磁気の極性配向を有することができ、その結果、前述したように、磁場パターン500aの影響によって、左側から右側へ移動する。図8Bは、電磁装置800が、磁場パターン500aの第1のN極によって引き付けられた後に、第1のN極磁場506aに完全に入ったところを示す。より詳細には、図8Bでは、装置800の極性は、装置800が、磁場パターン500aの中央にあるS極の中に容易に移動して、横断するのを促進するために、初期のN−Sから、S−Nに切り替わったところである。この最初の切り替え動作は、磁場パターン500aのN極が、磁場パターン500aのS極からの反発力を克服するのに十分な運動量を提供しないときに有用となり得る。
【0067】
図8Cは、電磁装置800が、S極の引力で、磁場506aから、磁場パターン500aの中央にあるS極磁場510aに移動したところを示し、図8Dは、電磁装置800が磁場510aに完全に入り、装置800の極性は同じままであることを示す。
【0068】
図8Eは、電磁装置800が、磁場パターン500aの第2のN極磁場508aに入り、装置800の極性はそのままになっているところを示す。なお、装置800がS極磁場510aから出て、N極磁場508aに入る際に、ある時点において、次の磁場パターン500bのN極磁場506bは、装置800の押し戻しを開始していない。一実施形態において、これは、装置800のN極が、磁場パターン500aのN極磁場506aと相互作用したままになっている時点である。これは、装置800の極性を切り替えてS−NからN−Sに戻すか、または電磁石を一斉にオフにして、惰行できるようにすることが望ましい時点とすることができる。
【0069】
図8Fは、電磁装置800が、S−NからN−Sに戻すように再度極性を切り替えて、その結果、磁場パターン500aのN極磁場508aが、装置800のN極に反発し、磁場パターン500bのN極磁場506bが、装置800のS極と引き合う。図に見られるように、この状況は、図8Aに示す最初の状況と類似しており、装置800は、図8Gに示されているように、磁場パターン500bの磁場506bの中に移動されて、前述の工程を繰り返すことができる。図8Hに見られるように、装置800の極性は、装置800が磁場パターン500bの第2のS極磁場510bを横切るのを容易にするために、N−SからS−Nに戻すように再度切り替えられている。
【0070】
図6と共に説明した切り替えなしの工程と比較して、前述した、電磁石をオフにすることと組み合わせた切り替え動作によって、動作をずっと効率的にすることができる。様々な実施形態において、装置400の隣接するインスタンス同士の間隔、および切り替えのタイミングは、動作において、かつ動作効率の改善の余地において重要な役割を果たす。
【0071】
前述した工程に対する代替実施形態では、電磁石800の極性を切り替えるのではなく、工程のある時点で一時的に磁気をオフにして、電磁装置800の極から極への移動を容易にしてもよい。例えば、図8Bにおいて、切り替える代わりに、電磁装置800の磁気を一時的にオフにして、運動量によって電磁装置800をS極磁場510aの中に運べるようにしてもよい。電磁装置がS極に完全に入った後に、磁気をオンに戻して、電磁装置800のS極と、N極磁場508aとの間の引力、ならびに電磁装置800のS極と、S極磁場510aとの間の反発力を有効にすることができ、その結果、電磁装置800は、効率的に第2のN極磁場508aの中に移動する。いくつかの他の実施形態では、極性の切り替え、および磁気のオンオフは、同じ動作にまとめることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、磁石−ロッド装置は、実際には固定位置にあってもよく、磁場発生装置は、磁場間の同じ相互作用の原理で、磁石−ロッド装置が右から左へ移動可能なように構成できることにも留意するべきである。
【0073】
図9Aは、放物線形状の、または傾斜した内壁と、内壁内にある、対応する磁石配置場所の組の内部に取り付けられた、磁石の組とを有する基部を備える、装置300または装置400の例示的な実施形態である、装置900Aを示す。
【0074】
図9Bは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、表面取付磁石を用いる、代替的な磁場発生装置900Bを示す。図9Bに見られるように、装置900Bは、装置900Bの基部とほぼ同一の基部を備える。しかしながら、装置900Aにおけるように凹所の中に取り付けられた磁石を使用するのではなく、装置900Bは、装置900Bの内壁の表面に直接取り付けられた、一組の表面取付磁石902を使用する。特に、このような磁石はそれぞれ、内壁の放物線形状をとる。いくつかの実施形態では、各磁石902は、内壁の最大被覆の達成を容易にするために、台形の形状を有する。この内壁の被覆の増加により、より高い強度を有する、所望の3極磁場の磁場パターンの生成が可能になる。
【0075】
図4Bに戻ると、図4Bに示す、装置400の別の重要な態様または特性は、N極406および408の、S極410との境界面に関する。なお、2本の太線416および418で示された2つの開口にほぼ配置される、これら2つの境界面は、磁場が極性を変える場所である。装置400がこのような開口を有する結果、N極とS極との間のこれらの境界面、または遷移境界は、物体にアクセス可能になる。これとは対照的に、これらの場所は、図1の棒磁石100などの永久磁石にはアクセス可能でなく、これは、これらの場所が磁石自体の内部に位置しているからである。
【0076】
装置400の構成は、N極406と、S極410との間、またはN極408と、S極410との間に、それぞれ開口416および418よりも小さい別の磁石が挿入された場合は、磁石はちょうど極の境界面に「位置合わせ」されて、開口416または418で浮遊する、または「浮上」する。特に、この特性は、装置400が垂直に配置されるか、それとも水平に配置されるかという、装置400の配向によって影響されることはない。浮遊している磁石に圧力が印加されてから解放された場合、磁石は、傾斜してほぼ同じ場所に戻る。したがって、このような磁石と装置400との組み合わせは、力測定トランスデューサの作成に使用することができる。さらに、この組み合わせ装置は、特に、他の種類のトランスデューサ、弁、スピーカ、マイク、ポンプの作成にも使用することができる。また、この組み合わせ装置の極性が突然留保されると、位置合わせされた磁石が、浮上している空間内で反転することにも留意されたい。この付加的な特性は、この特性を活かすことができる、モータ、ファン、流動装置、その他の装置の作成に使用することができる。
【0077】
図10Aは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの開口と、3つの極を含む関連する磁場パターンとを有する、提案する磁気装置1000の別の例の断面図を示す。この図において、2つの遷移境界はそれぞれ、「位置1」および「位置2」として示されている。図10Bは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの開口に2つの遷移境界を有する、磁気装置1000の斜視図を示す。
【0078】
図10Cは、本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、2つの永久磁石1および2が、位置1および位置2の2つの遷移境界で、完全な忠実度で浮上する、磁気装置1000を用いた磁気浮上系を示す。特に、図10Bの磁気装置1000には隙間が示されているが、磁気装置1000の他の実施形態では、前述したように装置が永久磁石を浮上させるために使用されるときは、必ずしも隙間がなくてもよい。
【0079】
前述した例示的な装置およびシステムに加えて、装置400などの提案した磁気装置の磁場特性を活かすことができる、多くの他の装置、および機械を設計することができる。例えば、運動エネルギーを蓄積するための、効率的なフライホイールを設計することができ、あるいは装置400は、電磁石部品を冷却するためのファンブレードとして使用することもできる。
【0080】
いくつかの実施形態について前述したが、説明した実施形態は、単に例示のためであることは理解されよう。したがって、本明細書で説明されるシステムおよび方法は、説明した実施形態に基づいて限定されるべきではない。むしろ、本明細書で説明したシステムおよび方法は、前述の説明、および添付の図面と併せて、以下の特許請求の範囲に照らしてのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C