特許第6783347号(P6783347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6783347検査装置、包装シート製造装置及び包装シート製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6783347
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】検査装置、包装シート製造装置及び包装シート製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20201102BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20201102BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/18
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-98336(P2019-98336)
(22)【出願日】2019年5月27日
【審査請求日】2020年7月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−099064(JP,A)
【文献】 特開2014−085190(JP,A)
【文献】 特開昭63−053408(JP,A)
【文献】 特開2009−236633(JP,A)
【文献】 特開2012−225666(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0140413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るときに用いられる検査装置であって、
搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射源を有してなる電磁波照射手段と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有し、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装シートに係る検査を実行可能な画像処理手段とを備えるとともに、
前記包装フィルムの搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも上流に配設され、前記電磁波照射手段の前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させる変形手段と、
前記搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも下流に配設され、少なくとも前記電磁波照射手段から電磁波が照射される位置において、前記変形手段により湾曲された前記包装フィルムの形状を維持可能な変形状態維持手段とを有し、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなしており、
前記搬送経路に沿って前記変形状態維持手段よりも下流に配設され、前記包装フィルムを扁平な状態に戻すための復帰手段を備え、
前記復帰手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って外径が一定のストレートローラを備え、
該ストレートローラの外周面が前記包装フィルムと接触することで、該包装フィルムを扁平な状態に戻すように構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るときに用いられる検査装置であって、
搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射源を有してなる電磁波照射手段と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有し、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装シートに係る検査を実行可能な画像処理手段とを備えるとともに、
前記包装フィルムの搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも上流に配設され、前記電磁波照射手段の前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させる変形手段と、
前記搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも下流に配設され、少なくとも前記電磁波照射手段から電磁波が照射される位置において、前記変形手段により湾曲された前記包装フィルムの形状を維持可能な変形状態維持手段とを有し、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなしており、
前記変形手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が減少する外周面、又は、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が増大する外周面を有する変形用ローラを備え、
該変形用ローラが前記包装フィルムと接触することで、前記包装フィルムを湾曲させるように構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
前記変形手段は、回転可能であって、前記変形用ローラとの間で前記包装フィルムを挟む押さえローラを有することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記変形手段は、前記照射源を中心とした円弧状をなすように前記包装フィルムを湾曲させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第2フィルムは、突状をなし、内部空間が前記収容空間を形成するポケット部を有し、
前記変形手段は、前記ポケット部が前記電磁波照射手段とは反対側に向けて突出した状態となった前記包装フィルムを湾曲させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記変形手段及び前記変形状態維持手段は、それぞれ同一構成の装置からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査装置を備えたことを特徴とする包装シート製造装置。
【請求項8】
不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るための包装シート製造方法であって、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に形成される前記収容空間内に前記内容物を充填する充填工程と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムが取着されかつ前記内容物が前記収容空間内に収容された帯状の前記包装フィルムから前記包装シートを切離す切離工程と、
前記包装シートに係る検査を実行する検査工程とを備え、
前記検査工程は、
所定の電磁波照射手段が有する照射源によって、搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射工程と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有してなる撮像手段を用いて、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装フィルムに関する良否判定を行う良否判定工程とを含み、
前記照射工程及び前記撮像工程は、前記照射源とは反対側に向けて凸となるように、かつ、前記照射源を中心とした円弧状をなすように前記包装フィルムを湾曲させるとともに、該包装フィルムの湾曲形状を維持した状態で行われ、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなし、さらに、
前記包装フィルムの搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも上流に配設された変形手段によって、前記電磁波照射手段の前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させる変形工程と、
前記搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも下流に配設された復帰手段によって、前記包装フィルムを扁平な状態に戻す復帰工程とを備え、
前記復帰手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って外径が一定のストレートローラを備え、
前記復帰工程においては前記ストレートローラの外周面が前記包装フィルムと接触することで、該包装フィルムを扁平な状態に戻すように構成されていることを特徴とする包装シート製造方法。
【請求項9】
不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るための包装シート製造方法であって、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に形成される前記収容空間内に前記内容物を充填する充填工程と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムが取着されかつ前記内容物が前記収容空間内に収容された帯状の前記包装フィルムから前記包装シートを切離す切離工程と、
前記包装シートに係る検査を実行する検査工程とを備え、
前記検査工程は、
所定の電磁波照射手段が有する照射源によって、搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射工程と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有してなる撮像手段を用いて、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装フィルムに関する良否判定を行う良否判定工程とを含み、
前記照射工程及び前記撮像工程は、前記照射源とは反対側に向けて凸となるように、かつ、前記照射源を中心とした円弧状をなすように前記包装フィルムを湾曲させるとともに、該包装フィルムの湾曲形状を維持した状態で行われ、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなし、さらに、
前記包装フィルムの搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも上流に配設された変形手段によって、前記電磁波照射手段の前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させる変形工程を備え、
前記変形手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が減少する外周面、又は、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が増大する外周面を有する変形用ローラを備え、
前記変形工程においては前記変形用ローラが前記包装フィルムと接触することで、前記包装フィルムを湾曲させるように構成されていることを特徴とする包装シート製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容した包装シートを製造する際に用いられる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や食料品などの各種分野において、錠剤などの内容物を包装する包装シートとして、PTP(Press Throuugh Package)シートが広く利用されている。
【0003】
PTPシートは、内容物を収容するポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されたカバーフィルムとを備えており、ポケット部を外側から押圧し、そこに収容された内容物によって蓋となるカバーフィルムを突き破ることで、該内容物を取出すことが可能に構成されている。
【0004】
かかるPTPシートは、帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成していくポケット部形成工程、該ポケット部に内容物を充填していく充填工程、該ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムのポケット部周りに形成されるフランジ部に対し帯状のカバーフィルムを取着し、PTPフィルムを製造する取着工程、該PTPフィルムから最終製品となるPTPシートを切離す切離工程等を経て製造される。通常、PTPフィルムには、該PTPフィルムの長手方向に沿って並ぶ、内容物を充填するポケット部の列が、PTPフィルムの幅方向に沿って複数形成される。
【0005】
一般に、PTPシートを製造する際には、その製造過程(ポケット部に内容物が収容された後工程かつPTPフィルムからPTPシートが切離される前工程)において、内容物の異常(例えばポケット部内における内容物の有無、割れや欠け等の破損など)に関する検査や、フランジ部の異常(例えばフランジ部における異物の有無など)に関する検査などが行われる。
【0006】
近年では、遮光性や防湿性の向上等を図るといった観点から、容器フィルム及びカバーフィルムの両フィルムがアルミニウム等を基材とした不透明材料により形成されることも多くなっている。
【0007】
かかる場合、上記各種検査はX線検査装置等を用いて行われることとなる。一般にX線検査装置は、連続搬送されるPTPフィルムに対しX線を照射するX線発生器(X線源)と、該PTPフィルムを透過したX線を検出するX線検出器とを備え、そのX線の透過量に基づいて各種検査を行う。また、検査手法としては、PTPフィルムを透過するX線に応じたX線画像を取得するとともに、該X線画像に対し内容物(ポケット部)の列ごとに同一の画像処理アルゴリズムを適用し、該アルゴリズムの適用されたX線画像に基づき、内容物の列ごとに設定された閾値を用いて、内容物の良否を判定する手法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この手法は、簡単に言えば、X線発生器(X線源)からX線が扇状(放射状)に照射され、ある列の内容物と他の列の内容物との間でX線の照射される角度が異なることから、各列の内容物間でX線画像における面積値や体積値に差異が生じることを課題として、この課題を解決するために、内容物の列ごとに都合のよい閾値を設定するといったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−253832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記検査手法では、内容物の列ごとに閾値を設定する必要があり、閾値設定に多大な手間や時間を要する。例えば、内容物の列が10列存在するPTPフィルムでは、検査のために少なくとも10個の閾値を設定する必要が生じる。
【0010】
さらに、各列で閾値を異ならせると、ある列では不良と判定される内容物が、別の列では良品と判定されてしまうといった事態が生じ得る。また、内容物の列間に位置するフランジ部分の検査を行うときには、いずれの列の閾値を選択するかによって判定結果が変動するといった不具合も生じ得る。すなわち、PTPフィルムにおける位置の相違に伴い検査結果が変動し、検査品質の均一性を保つことが困難となるおそれがある。
【0011】
尚、上記課題は、PTP包装のみならず、SP(Strip Package)包装など、錠剤などの内容物を包装する他の包装分野においても生じ得るものである。また、X線に限らず、テラヘルツ電磁波など、包装シートを透過する他の電磁波を用いる場合においても生じ得るものである。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査の効率低下を抑制できるとともに、検査品質の均一性をより確実に担保することができる検査装置、包装シート製造装置及び包装シート製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0014】
手段1.不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るときに用いられる検査装置であって、
搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射源を有してなる電磁波照射手段と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有し、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装シートに係る検査を実行可能な画像処理手段とを備えるとともに、
前記包装フィルムの搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも上流に配設され、前記電磁波照射手段の前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させる変形手段と、
前記搬送経路に沿って前記電磁波照射手段よりも下流に配設され、少なくとも前記電磁波照射手段から電磁波が照射される位置において、前記変形手段により湾曲された前記包装フィルムの形状を維持可能な変形状態維持手段とを有し、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなすことを特徴とする検査装置。
【0015】
尚、以下の手段においても同様であるが、上記「包装シート」には、例えば「PTPシート」や「SPシート」などが含まれる。また、上記「包装シートに係る検査」には、例えば収容空間内における内容物の有無や破損などの「内容物に関する検査」や、収容空間周りに形成されるフランジ部(第1フィルムと第2フィルムとを取着した部分)における異物の有無などの「フランジ部に関する検査」などが含まれる。さらに、電磁波としては、X線又はテラヘルツ電磁波を挙げることができる。
【0016】
上記手段1によれば、変形手段によって電磁波照射手段とは反対側に向けて凸となるように包装フィルムが湾曲されるとともに、変形状態維持手段によって包装フィルムの湾曲形状が維持された状態で、電磁波照射手段によって電磁波が包装フィルムに照射されるとともに、撮像手段によって電磁波透過画像が取得される。従って、包装フィルムが扁平状態で検査される場合と比べて、電磁波の照射源から包装フィルムの各位置までの距離の差を低減させることができ、包装フィルムの各位置において、照射される電磁波の強度にばらつきが生じることを抑制できる。また、撮像手段における電磁波の検出部は包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状とされるため、包装フィルムを透過して検出部に入射される電磁波の入射角度が、透過した包装フィルムの位置によって大きく異なるといったことがない。これらの作用効果が相俟って、得られる電磁波透過画像は各位置においてより均質なものとなる。これにより、電磁波透過画像を基に包装シートに係る検査を実行するときに、内容物の列ごとに閾値を設定する必要がなくなり、検査効率の低下を抑制することができる。また、包装フィルムにおける位置の相違によって検査結果が変動することをより確実に抑制でき、検査品質の均一性をより確実に担保することができる。
【0017】
手段2.前記変形手段は、前記照射源を通り前記包装フィルムの搬送方向と直交する断面において、前記照射源を中心とした円弧状をなすように前記包装フィルムを湾曲させるように構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0018】
上記手段2によれば、電磁波の照射源から包装フィルムの各位置までの距離をほぼ一定とすることができ、包装フィルムの各位置において、照射される電磁波の強度をほぼ等しいものとすることができる。また、包装フィルムを透過して検出部に入射される電磁波の入射角度を、透過した包装フィルムの位置によらずほぼ同一とすることができる。これらの結果、得られる電磁波透過画像は各位置において一層均質なものとなる。
【0019】
手段3.前記搬送経路に沿って前記変形状態維持手段よりも下流に配設され、前記包装フィルムを扁平な状態に戻すための復帰手段を備えることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0020】
上記手段3によれば、復帰手段によって、湾曲された包装フィルムを扁平な状態に戻すことができる。そのため、検査後の包装フィルムに対する各種処理(例えば、包装フィルムを切離して包装シートを得る処理など)をより正確に(狙い通りに)行うことができる。
【0021】
手段4.前記復帰手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って外径が一定のストレートローラを備え、
該ストレートローラの外周面が前記包装フィルムと接触することで、該包装フィルムを扁平な状態に戻すように構成されていることを特徴とする手段3に記載の検査装置。
【0022】
尚、ストレートローラの外周面に、ポケット部を収容するための凹部が形成されていてもよい。この場合、ストレートローラの外周面を含む仮想円筒の外径が回転軸方向に沿って一定であれば、上記手段4の構成を満たしているといえる。
【0023】
上記手段4によれば、包装フィルムをより確実かつ簡便に扁平状態とすることができる。また、復帰手段に係る構造の複雑化を防止することができ、装置の簡素化や小型化を図ることができる。
【0024】
手段5.前記第2フィルムは、突状をなし、内部空間が前記収容空間を形成するポケット部を有し、
前記変形手段は、前記ポケット部が前記電磁波照射手段とは反対側に向けて突出した状態となった前記包装フィルムを湾曲させることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【0025】
ポケット部が湾曲内側に配置されるようにして包装フィルムを湾曲させる場合には、湾曲時に、ポケット部を圧縮する方向の力が包装フィルムに加わる。そのため、包装フィルムが滑らかに湾曲しにくくなったり、ポケット部の潰れ変形が生じたりする可能性がある。
【0026】
この点、上記手段5によれば、変形手段は、ポケット部が電磁波照射手段とは反対側に向けて突出した状態の包装フィルムを湾曲させる。従って、包装フィルムは、ポケット部が湾曲外側に配置されるようにして湾曲される。これにより、包装フィルムをより確実に滑らかに湾曲させることができ、また、ポケット部の潰れ変形をより確実に防止することができる。
【0027】
手段6.前記変形手段は、回転可能であって、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が減少する外周面、又は、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が増大する外周面を有する変形用ローラを備え、
該変形用ローラが前記包装フィルムと接触することで、前記包装フィルムを湾曲させるように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の検査装置。
【0028】
尚、変形用ローラの外周面に、ポケット部を収容するための凹部があってもよい。この場合、変形用ローラの外周面を含む仮想外周面の周長が、回転軸方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に減少する又は徐々に増大する形状となっていれば、上記手段6の構成を満たしているといえる。
【0029】
上記手段6によれば、変形用ローラが包装フィルムと接触することで、包装フィルムが湾曲させられる。従って、搬送される包装フィルムに過度な負荷を加えることなく、包装フィルムを滑らかに湾曲させることができる。その結果、製造される包装シートの品質低下をより確実に防止することができる。また、変形手段を比較的簡素な構成により実現可能となるため、装置の小型化や低コスト化、メンテナンスに係る利便性の向上などを図ることができる。
【0030】
手段7.前記変形手段は、回転可能であって、前記変形用ローラとの間で前記包装フィルムを挟む押さえローラを有することを特徴とする手段6に記載の検査装置。
【0031】
上記手段7によれば、包装フィルムをより確実に狙いの形状に湾曲させることができる。従って、検査に係る上述した各種作用効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
【0032】
手段8.前記変形手段及び前記変形状態維持手段は、それぞれ同一構成の装置からなることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の検査装置。
【0033】
上記手段8によれば、変形手段及び変形状態維持手段は、同じ装置によって構成される。従って、各手段を異なる装置によって構成する場合と比べて、製造コストの低減や部品管理の容易化、メンテナンス性の向上などを図ることができる。
【0034】
手段9.手段1乃至8のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とする包装シート製造装置。
【0035】
上記手段9によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0036】
手段10.不透明材料からなる帯状の第1フィルムと、不透明材料からなる帯状の第2フィルムとが取着されるとともに、該両フィルム間に形成される収容空間内に内容物が収容された帯状の包装フィルムを製造し、該包装フィルムを切離して包装シートを得るための包装シート製造方法であって、
搬送される帯状の前記第1フィルムと、搬送される帯状の前記第2フィルムとを取着する取着工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの間に形成される前記収容空間内に前記内容物を充填する充填工程と、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムが取着されかつ前記内容物が前記収容空間内に収容された帯状の前記包装フィルムから前記包装シートを切離す切離工程と、
前記包装シートに係る検査を実行する検査工程とを備え、
前記検査工程は、
所定の電磁波照射手段が有する照射源によって、搬送される前記包装フィルムに対し、前記第1フィルム側から前記包装フィルムを透過可能な電磁波を照射する照射工程と、
前記包装フィルムを挟んで前記電磁波照射手段と対向するように前記第2フィルム側に配置されるとともに前記包装フィルムを透過した電磁波を検出可能な検出部を有してなる撮像手段を用いて、前記包装フィルムを透過した電磁波に基づく電磁波透過画像を取得する撮像工程と、
前記撮像工程により取得された電磁波透過画像を基に、前記包装フィルムに関する良否判定を行う良否判定工程とを含み、
前記照射工程及び前記撮像工程は、前記照射源とは反対側に向けて凸となるように前記包装フィルムを湾曲させるとともに、該包装フィルムの湾曲形状を維持した状態で行われ、
前記撮像手段の前記検出部は、前記包装フィルムの湾曲形状に沿った湾曲形状をなすことを特徴とする包装シート製造方法。
【0037】
上記手段10によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】PTPシートの斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムの斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成図である。
図5】X線検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6】X線検査装置の概略構成を示す模式図である。
図7】X線照射装置、X線ラインセンサカメラ及びPTPフィルムの位置関係を模式的に示す斜視図である。
図8】変形用装置や維持用装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図9図8におけるJ−J線断面図である。
図10】PTPフィルム及びX線照射装置の位置関係を示す模式図である。
図11】製造工程を示すフローチャートである。
図12】良否判定工程を示すフローチャートである。
図13】別の実施形態における変形用装置及び維持用装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図14図13のK−K線断面図である。
図15】別の実施形態において、ポケット部が湾曲外側に位置するようにして湾曲されたPTPフィルム等を示す模式図である。
図16】SPシートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず包装シート(シート状包装体)としてのPTPシート1について説明する。
【0040】
図1,2に示すように、PTPシート1は、突状をなす複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態において「容器フィルム3」が「第1フィルム」を構成し、「カバーフィルム4」が「第2フィルム」を構成する。
【0041】
本実施形態における容器フィルム3及びカバーフィルム4は、アルミニウムを基材(主材料)とした不透明材料により構成されている。例えば容器フィルム3は、アルミラミネートフィルム(アルミフィルムに対し合成樹脂フィルムをラミネートしたもの)により形成されている。一方、カバーフィルム4は、アルミフィルムにより形成されている。
【0042】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成され、その四隅が円弧状に丸みを帯びた形状となっている。PTPシート1には、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2内の収容空間2aには、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0043】
また、PTPシート1には、所定数(本実施形態では2つ)のポケット部2を含むシート小片6単位に切離し可能とするための切離線としてのミシン目7がシート短手方向に沿って複数形成されている。
【0044】
さらに、PTPシート1には、シート長手方向一端部において、錠剤名称やロットナンバー等の各種情報(本実施形態では「ABC」の文字)が刻印されたタグ部8が付設されている。タグ部8は、ポケット部2が設けられておらず、シート小片6との間で1本のミシン目7によって仕切られている。
【0045】
本実施形態のPTPシート1は、帯状の容器フィルム3と帯状のカバーフィルム4とが取着されてなる包装フィルム(帯状包装体)としての帯状のPTPフィルム9(図3参照)から最終製品たるPTPシート1を矩形シート状に打抜く工程等を経て製造される。
【0046】
図3に示すように、本実施形態に係るPTPフィルム9は、その長手方向に沿って並ぶポケット部2の列が、その幅方向に沿って複数(本実施形態では10)設けられたものとされている。つまり、本実施形態におけるPTPフィルム9は、その幅方向に沿って2シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっている。また、PTPフィルム9の幅方向中央部には、2枚のPTPシート1の各タグ部8に対応する部位が位置するように構成されており、該幅方向中央部はポケット部2が存在しない平坦状とされている。
【0047】
次に、上記PTPシート1を製造する包装シート製造装置としてのPTP包装機10の概略構成について説明する。
【0048】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0049】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、ポケット部形成手段としてのポケット部形成装置16が配設されている。このポケット部形成装置16によって、冷間加工により容器フィルム3の所定の位置に複数のポケット部2が一度に形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバル中に行われる。
【0050】
但し、本実施形態におけるPTP包装機10は、容器フィルム3を、アルミニウム製のみならず、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によっても製造可能に構成された包装機(兼用機)である。そのため、ポケット部形成装置16の上流側には、容器フィルム3を加熱し柔軟な状態とするための加熱装置15が設けられている。勿論、アルミニウム製の容器フィルム3を形成する場合には加熱装置15は使用されない。
【0051】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0052】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、充填手段としての錠剤充填装置21が配設されている。
【0053】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0054】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール22を介して加熱ロール23の方へと案内されている。加熱ロール23は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,23間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0055】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,23間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3のポケット部2周りのフランジ部3a(図1〜3参照)に対しカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム9が製造される。尚、加熱ロール23の表面には、シール用の網目状の微細な凸条(不図示)が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている
また、フィルム受けロール20には、図示しないエンコーダが設けられており、該フィルム受けロール20が所定量回転する毎、すなわちPTPフィルム9が所定量搬送される毎に、後述するX線検査装置45に対し所定のタイミング信号が出力されるよう構成されている。
【0056】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム9は、間欠送りロール28に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。
【0057】
フィルム受けロール20と間欠送りロール28との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿ってX線検査装置45が配設されている。X線検査装置45は、ポケット部2に収容された錠剤5の異常(例えば錠剤5の有無、割れ、欠けなど)の検出や、ポケット部2以外のフランジ部3aの異常(例えばフランジ部3a上に存在する異物など)の検出を主目的としたX線検査を行うためのものである。本実施形態では、「X線検査装置45」が「検査装置」を構成する。
【0058】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール29及び間欠送りロール30の順に掛装されている。間欠送りロール30は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール29は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,30間でのPTPフィルム9の弛みを防止する。
【0059】
間欠送りロール28とテンションロール29との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、ミシン目形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。
【0060】
ミシン目形成装置33は、PTPフィルム9の所定位置に上記ミシン目7を形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム9の所定位置(上記タグ部8に対応する位置)に上記刻印「ABC」を付す機能を有する。
【0061】
間欠送りロール30から送り出されたPTPフィルム9は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール30とテンションロール35との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜く切離手段としての機能を有する。
【0062】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記X線検査装置45によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0063】
連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。ここで、連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。
【0064】
裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する機能を有する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0065】
尚、上記各ロール14,19,20,28,29,30などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の各ロールの表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各ロールの各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0066】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下に上記X線検査装置45の構成について図面を参照して詳しく説明する。但し、図6等においては、簡素化のため、PTPフィルム9のポケット部2など一部の構成を省略して示している。
【0067】
図5〜10に示すように、X線検査装置45は、PTPフィルム9に対し該PTPフィルム9(特に容器フィルム3及びカバーフィルム4)を透過可能なX線を照射するX線照射装置51と、該X線の照射されたPTPフィルム9のX線透過画像を撮像するX線ラインセンサカメラ52と、X線照射装置51やX線ラインセンサカメラ52の駆動制御などX線検査装置45内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施するための制御処理装置53とを備えている。
【0068】
本実施形態では、「X線」が「電磁波」に相当する。また、「X線透過画像」が「電磁波透過画像」を構成し、「制御処理装置53」が「画像処理手段」を構成し、「X線照射装置51」が「電磁波照射手段」を構成し、「X線ラインセンサカメラ52」が「撮像手段」を構成する。
【0069】
尚、X線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52は、X線を遮蔽可能な材質で構成された遮蔽ボックス(不図示)内に収容されている。遮蔽ボックスは、PTPフィルム9を通過させるためのスリット状の開口が設けられている他は、外部へのX線の漏洩を極力抑えた構造となっている。
【0070】
X線照射装置51は、鉛直方向下向きに搬送されるPTPフィルム9の容器フィルム3側に配置されている。X線照射装置51は、PTPフィルム9の幅方向中心部と相対する位置に、X線を照射する照射源51aを有している。照射源51aは、X線の発生源やX線を絞るためのコリメータ(それぞれ不図示)を有しており、PTPフィルム9の幅方向へ所定の広がり(ファン角)を有するファンビーム状のX線を、容器フィルム3側から、PTPフィルム9に対し照射可能に構成されている。尚、PTPフィルム9の搬送方向に対しても所定の広がりを有するコーンビーム状のX線を照射可能な構成としてもよい。
【0071】
X線ラインセンサカメラ52は、PTPフィルム9の搬送方向と直交する方向に沿ってX線照射装置51と対向するように、PTPフィルム9を挟んでX線照射装置51とは反対側(本実施形態ではカバーフィルム4側)に配置されている。
【0072】
X線ラインセンサカメラ52は、PTPフィルム9を透過したX線を検出可能な複数のX線検出素子が1列に並ぶX線ラインセンサ52aを有しており、PTPフィルム9を透過したX線を検出可能に構成されている。本実施形態では、X線ラインセンサカメラ52によって、PTPフィルム9を透過したX線を撮像(露光)可能である。X線検出素子としては、例えばシンチレータによる光変換層を持つCCD(Charge Coupled Device)などが挙げられる。本実施形態では、「X線ラインセンサ52a」が「検出部」を構成する。
【0073】
また、PTPフィルム9は、後述する変形用装置54や維持用装置55によって円弧状に湾曲変形されるとともに、この変形状態を維持されたまま、X線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52側に搬送されるところ、X線ラインセンサ52aは、PTPフィルム9の湾曲形状に沿った湾曲形状をなすように構成されている。本実施形態において、X線ラインセンサ52aは、照射源51aを通りPTPフィルム9の搬送方向と直交する断面において、該照射源51aを中心とする円弧状に湾曲した形状をなしている。
【0074】
X線ラインセンサカメラ52によって取得されたX線透過画像は、PTPフィルム9が所定量搬送される毎に、該カメラ52内部においてデジタル信号(画像信号)に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置53(次述する画像データ記憶装置74)に対し出力される。そして、制御処理装置53は、該X線透過画像に所定の処理等を行うことで後述する各種検査を実施する。
【0075】
次に、制御処理装置53について説明する。制御処理装置53は、X線検査装置45全体の制御を司るマイクロコンピュータ71、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている(図5参照)。尚、これら各装置72〜76は、マイクロコンピュータ71に対し電気的に接続されている。
【0076】
マイクロコンピュータ71は、演算手段としてのCPU71aや、各種プログラムを記憶するROM71b、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM71cなどを備え、制御処理装置53における各種制御を司るとともに、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。
【0077】
また、マイクロコンピュータ71は、例えばX線照射装置51やX線ラインセンサカメラ52を駆動制御して、PTPフィルム9に係るX線透過画像を取得する撮像処理や、該X線透過画像を基にPTPシート1を検査する検査処理、該検査処理に係る検査結果をPTP包装機10の不良シート排出機構などへ出力する出力処理などを実行する。
【0078】
画像データ記憶装置74は、X線ラインセンサカメラ52により取得されるX線透過画像をはじめ、検査時に二値化処理された二値化画像や、マスキング処理されたマスキング画像などの各種画像(画像のデータ)を記憶する。
【0079】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0080】
設定データ記憶装置76は、検査に用いられる各種情報を記憶するためのものである。これら各種情報として、例えばPTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法や、検査領域(検査対象となる領域)を画定するためのシート枠の形状及び寸法、ポケット部2の領域を画定するためのポケット枠の形状及び寸法、二値化処理を行うときに用いられる輝度閾値、各種良否判定を行うための判定基準値(例えば、後述する基準錠剤面積値Lo等)などが設定記憶されている。本実施形態では、二値化処理を行うための輝度閾値として、例えば、第1閾値δ1及び第2閾値δ2の2種類が設定されている。第1閾値δ1は、錠剤5の良否判定を行うときに用いられ、第2閾値δ2は、フランジ部3aの良否判定を行うときに用いられる。
【0081】
また、X線検査装置45は、変形用装置54及び維持用装置55を備えている。本実施形態では、「変形用装置54」が「変形手段」を構成し、「維持用装置55」が「変形状態維持手段」を構成する。
【0082】
変形用装置54は、PTPフィルム9の搬送経路に沿ってX線照射装置51よりも上流に配設されており、該X線照射装置51の照射源51aとは反対側に向けて凸となるようにPTPフィルム9を湾曲させるためのものである。変形用装置54は、変形用ローラ54a及び変形用押さえローラ54bを備えている。本実施形態では、「変形用押さえローラ54b」が「押さえローラ」を構成する。
【0083】
変形用ローラ54aは、図示しない動作軸によって自由回転可能な状態で支持されており、自身の回転軸Ar1方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が減少する外周面を有している(図9参照)。変形用ローラ54aの外周面がPTPフィルム9(本実施形態ではカバーフィルム4)と接触することで、PTPフィルム9の幅方向中心部以外の部位がX線照射装置51の位置する側へと押圧されることとなり、ひいてはPTPフィルム9がX線照射装置51の照射源51aとは反対側に向けて凸となるようにして湾曲することとなる。
【0084】
尚、本実施形態では、PTPフィルム9の搬送方向に沿って変形用ローラ54aやX線照射装置51を投影したときに、投影された変形用ローラ54aの外周面のうち、投影されたX線照射装置51側に位置する面は、投影されたX線照射装置51の照射源51aを中心とした円弧状をなすように構成されている。そのため、本実施形態では、照射源51aを通りPTPフィルム9の搬送方向と直交する断面において、照射源51aを中心とした円弧状をなすようにしてPTPフィルム9が湾曲することとなる。
【0085】
変形用押さえローラ54bは、図示しない動作軸によって自由回転可能な状態で支持されており、自身の回転軸Ar2方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が増大する外周面(図9参照)を有している。変形用押さえローラ54bの外周面は変形用ローラ54aに圧接可能となっており、両ローラ54a,54b間にはPTPフィルム9が送り込まれるようになっている。送り込まれたPTPフィルム9は、両ローラ54a,54bによって挟まれた状態となる。
【0086】
尚、本実施形態では、PTPフィルム9の搬送方向に沿って変形用押さえローラ54bやX線照射装置51を投影したときに、投影された変形用押さえローラ54bの外周面のうち、投影されたX線照射装置51側に位置する面は、投影されたX線照射装置51の照射源51aを中心とした円弧状をなすように構成されている。これにより、PTPフィルム9を、照射源51aを中心とした円弧状をなすように湾曲させることがより確実に可能となっている。
【0087】
また、本実施形態において、変形用押さえローラ54bは、PTPフィルム9のうち、タグ部8に対応する部位であってポケット部2の存在しない幅方向中央部と接触するように構成されている。これにより、PTPフィルム9に対する変形用押さえローラ54bの接触面積を十分に確保することができ、ひいては変形用押さえローラ54bからPTPフィルム9に加わる圧力を比較的小さくして、PTPフィルム9に加わる負荷の低減を図ることが可能になっている。
【0088】
維持用装置55は、PTPフィルム9の搬送経路に沿ってX線照射装置51よりも下流に配設されており、少なくともX線照射装置51からX線が照射される位置において、変形用装置54により湾曲されたPTPフィルム9の形状を維持するためのものである。維持用装置55は、維持用ローラ55a及び維持用押さえローラ55bを備えている。本実施形態において、維持用ローラ55aは変形用ローラ54aと同様の構成とされ、維持用押さえローラ55bは変形用押さえローラ54bと同様の構成とされている。すなわち、変形用装置54及び維持用装置55は、それぞれ同一構成の装置により構成されている。
【0089】
さらに、X線検査装置45は、PTPフィルム9の搬送方向に沿って維持用装置55よりも下流に、復帰手段としてのストレートローラ56を備えている。ストレートローラ56は、図示しない動作軸によって自由回転可能な状態で支持されており、自身の回転軸方向に沿って外径が一定とされている。ストレートローラ56にはPTPフィルム9が掛装されており、ストレートローラ56の外周面がPTPフィルム9(カバーフィルム4)と接触することで、PTPフィルム9を扁平な状態に戻すことが可能となっている。
【0090】
尚、本実施形態におけるストレートローラ56は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とするように構成されている。これにより、PTPフィルム9をより確実に扁平な状態に戻すことが可能となっている。また、フィルム受けロール20及び間欠送りロール28間(すなわちX線検査装置45の配設箇所に対応する位置)において、フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム9の弛みを防止してPTPフィルム9を常時緊張状態に保持することも可能となっている。
【0091】
次にX線検査装置45により行われる検査工程を含む、PTPシート1の製造工程について説明する。
【0092】
図11に示すように、まず、ステップS1のポケット部形成工程において、容器フィルム3に対し、ポケット部形成装置16によりポケット部2が順次形成されていく。次いで、ステップS2の充填工程において、錠剤充填装置21によりポケット部2の収容空間2aへと錠剤5が充填される。
【0093】
充填工程S2に続いては、ステップS3の取着工程が行われる。取着工程では、前記両ロール20,23間に、搬送される容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれることで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、PTPフィルム9が得られる。
【0094】
その後、X線検査装置45を用いたステップS4の検査工程が行われる。ステップS4の検査工程では、連続搬送されるPTPフィルム9が、変形用装置54及び維持用装置55によって、湾曲状に変形されつつ、この変形状態が維持された上で、前記遮蔽ボックスの外部から内部へと順次搬入されていく。
【0095】
そして、ステップS41の照射工程において、マイクロコンピュータ71によりX線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52が駆動制御されることで、湾曲したPTPフィルム9に対しX線が照射される(図10参照)。このとき、PTPフィルム9は照射源51aを中心とした円弧状をなすため、照射源51aからPTPフィルム9の各部までの距離はほぼ等しくなり、X線照射装置51からPTPフィルム9の各部に照射されるX線強度はほぼ同一となる。
【0096】
また、ステップS42の撮像工程において、PTPフィルム9が所定量搬送される毎に、X線ラインセンサ52aによって、PTPフィルム9を透過したX線を撮像した一次元的なX線透過画像が取得される。このとき、X線ラインセンサ52aはPTPフィルム9の湾曲形状に沿った湾曲形状とされるため、PTPフィルム9を透過してX線ラインセンサ52aに入射されるX線の入射角度αは、透過したPTPフィルム9の位置によって大きく異なることはなく、X線ラインセンサ52aの各部でほぼ同一となる(図10参照)。
【0097】
そして、X線ラインセンサカメラ52によって取得されたX線透過画像は、該カメラ52内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置53(画像データ記憶装置74)に対し出力される。
【0098】
より詳しくは、X線照射装置51からPTPフィルム9に対し常時X線を照射した状態で、上記エンコーダからタイミング信号がマイクロコンピュータ71へ入力されると、マイクロコンピュータ71によって、X線ラインセンサカメラ52による露光処理が開始される。
【0099】
そして、次のタイミング信号が入力されると、それまでにフォトダイオード等の受光部に蓄積された電荷がまとめてシフトレジスタへ転送される。続いて、シフトレジスタに転送された電荷が、次のタイミング信号が入力されるまでの間に、転送クロック信号に従って、順次、画像信号(X線透過画像)として出力される。
【0100】
つまり、上記エンコーダから所定のタイミング信号を入力した時点から、次にタイミング信号を入力するまでの時間がX線ラインセンサカメラ52における露光時間となる。
【0101】
尚、本実施形態では、PTPフィルム9の搬送方向におけるX線ラインセンサ52aの幅、すなわちCCD1つ分の幅に相当する長さ分、PTPフィルム9が搬送される毎に、X線ラインセンサカメラ52によってX線透過画像が取得される構成となっている。勿論、これとは異なる構成を採用してもよい。
【0102】
X線ラインセンサカメラ52から出力されたX線透過画像は、画像データ記憶装置74に時系列で順次記憶されていく。
【0103】
そして、PTPフィルム9が所定量搬送される毎に上記一連の処理が繰り返し行われることで、画像データ記憶装置74には、最終的にPTPフィルム9の幅方向に並ぶ2枚のPTPシート1に係るX線透過画像が記憶される。このようにして、製品となるPTPシート1に係るX線透過画像が取得されると、マイクロコンピュータ71によって、ステップS43の良否判定工程が実行される。
【0104】
次に、良否判定工程(検査ルーチン)について図12のフローチャートを参照して詳しく説明する。尚、図12に示す良否判定工程は、製品となる各PTPシート1のそれぞれに対し行われる処理である。従って、本実施形態では、PTPフィルム9が1枚のPTPシート1に相当する分だけ搬送される毎に、X線透過画像に含まれる2枚のPTPシート1に係る部分のそれぞれに対し良否判定工程が行われることとなる。
【0105】
まず、ステップS4301において検査画像取得処理が実行される。詳しくは、X線透過画像のうち、検査対象となるPTPシート1に係る画像が画像データ記憶装置74から検査画像として読み出される。
【0106】
次いで、ステップS4302において二値化処理が実行される。詳しくは、上記ステップS4301において検査画像として取得したX線透過画像を錠剤異常検知レベルで二値化した二値化画像が生成され、これが錠剤検査用の二値化画像として画像データ記憶装置74に記憶される。ここでは、例えば前記第1閾値δ1以上を「1(明部)」、前記第1閾値δ1未満を「0(暗部)」としてX線透過画像が二値化画像に変換される。
【0107】
併せて、上記ステップS4301において検査画像として取得したX線透過画像をフランジ異常検知レベルで二値化した二値化画像が生成され、これがフランジ部検査用の二値化画像として画像データ記憶装置74に記憶される。ここでは、例えば前記第2閾値δ2以上を「1(明部)」、前記第2閾値δ2未満を「0(暗部)」としてX線透過画像が二値化画像に変換される。
【0108】
次に、マイクロコンピュータ71によって、ステップS4303における塊処理が実行される。詳しくは、上記ステップS4302において取得した各種二値化画像に対して塊処理を実行する。塊処理としては、二値化画像の「0(暗部)」及び「1(明部)」についてそれぞれ連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とが行われる。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はX線ラインセンサカメラ52の画素に応じたドット数で表される。
【0109】
次に、マイクロコンピュータ71によって、ステップS4304の検査対象特定処理が実行される。詳しくは、錠剤検査用の二値化画像を基に上記ステップS4303の塊処理によって特定した「0(暗部)」の連結成分の中から、錠剤5に相当する連結成分すなわち錠剤領域が特定される。錠剤5に相当する連結成分は、所定の座標を含む連結成分、所定の形状である連結成分、或いは所定の面積であるところの連結成分等を判断することにより特定することができる。併せて、フランジ部検査用の二値化画像を基に上記ステップS4303の塊処理によって特定した「0(暗部)」の連結成分が、異物に相当する連結成分すなわち異物領域として特定される。
【0110】
次に、マイクロコンピュータ71により、ステップS4305のマスキング処理が実行される。詳しくは、錠剤検査用の二値化画像に対し前記シート枠及び前記ポケット枠を設定することで、該二値化画像における検査領域を画定するとともに、該検査領域に対応する二値化画像のうちポケット部2領域以外の領域(すなわちフランジ部3aに対応する領域)に対しマスキング処理を行う。かかるマスキング処理が行われた画像は、錠剤検査用のマスキング画像として画像データ記憶装置74に記憶される。併せて、フランジ部検査用の二値化画像に対し前記シート枠や前記ポケット枠を設定することで、該二値化画像における検査領域を画定するとともに、該検査領域に対応する二値化画像のうちポケット部2領域に対しマスキング処理を行う。かかるマスキング処理が行われた画像は、フランジ部検査用のマスキング画像として画像データ記憶装置74に記憶される。
【0111】
尚、本実施形態において、上記シート枠及び上記ポケット枠の設定位置は、PTPフィルム9との相対位置関係により予め定められている。そのため、本実施形態では、シート枠及びポケット枠の設定位置が検査画像に応じてその都度、位置調整されることはないが、これに限らず、位置ずれの発生等を考慮して、検査画像から得られる情報を基にシート枠及びポケット枠の設定位置を適宜、調整する構成としてもよい。
【0112】
次に、ステップS4306において、マイクロコンピュータ71により全ポケット部2の錠剤良品フラグの値が「0」に設定される。尚、「錠剤良品フラグ」は、対応するポケット部2に収容された錠剤5の良否判定結果を示すためのものであり、演算結果記憶装置75に設定される。そして、所定のポケット部2に収容された錠剤5が良品判定された場合には、これに対応する錠剤良品フラグの値が「1」に設定される。
【0113】
続くステップS4307において、マイクロコンピュータ71により、演算結果記憶装置75に設定されたポケット番号カウンタの値Cが初期値である「1」に設定される。尚、「ポケット番号」とは、1枚のPTPシート1に係る検査領域内における10個のポケット部2のそれぞれに対応して設定された通し番号であり、ポケット番号カウンタの値C(以下、単に「ポケット番号C」という)によりポケット部2の位置を特定することができる。
【0114】
そして、ステップS4308において、マイクロコンピュータ71により、ポケット番号Cが一検査領域あたり(1枚のPTPシート1あたり)のポケット数N(本実施形態では「10」)以下であるか否かが判定される。
【0115】
ステップS4308で肯定判定された場合にはステップS4309へ移行し、マイクロコンピュータ71によって、上記錠剤検査用のマスキング画像を基に、現在のポケット番号C(例えばC=1)に対応するポケット部2における、上記錠剤領域(連結成分)の面積値が前記基準錠剤面積値Lo以上となった塊が抽出される(Lo未満の塊が除去される)。
【0116】
続いて、ステップS4310において、マイクロコンピュータ71により、前記ポケット部2における塊個数が「1」であるか否かが判定される。ここで肯定判定された場合、すなわち塊個数が「1」である場合には、ステップS4311へ移行する。一方、否定判定された場合には、現在のポケット番号Cに対応するポケット部2に収容された錠剤5が不良品であるとみなし、そのままステップS4313へ移行する。
【0117】
ステップS4311では、マイクロコンピュータ71によって、錠剤5の形状、長さ、面積等が適正であるか否かが判定される。ここで肯定判定された場合にはステップS4312へ移行する。一方、否定判定された場合には、現在のポケット番号Cに対応するポケット部2に収容された錠剤5が不良品であるとみなし、そのままステップS4313へ移行する。
【0118】
ステップS4312では、マイクロコンピュータ71によって、現在のポケット番号Cに対応するポケット部2に収容された錠剤5が良品であると判定され、該ポケット番号Cに対応する錠剤良品フラグの値が「1」に設定される。その後、ステップS4313へ移行する。
【0119】
ステップS4313では、マイクロコンピュータ71によって現在のポケット番号Cに「1」が加えられることで、新たなポケット番号Cが設定される。その後、ステップS4308へ戻る。
【0120】
そして、新たに設定したポケット番号Cが未だポケット数N(本実施形態では「10」)以下である場合には、再度ステップS4309へ移行し、上記一連の錠剤検査処理が繰り返し実行される。
【0121】
一方、新たに設定したポケット番号Cがポケット数Nを超えたと判定された場合、つまりステップS4308にて肯定判定された場合には、すべてのポケット部2に収容された錠剤5に関する良否判定処理が終了したとみなし、ステップS4314へ移行する。
【0122】
ステップS4314では、マイクロコンピュータ71により、フランジ部3aが良品であるか否かが判定される。詳しくは、フランジ部検査用のマスキング画像を基に、例えばフランジ部3aの領域内に所定の大きさ以上の異物が存在しないか否か等が判定される。
【0123】
ここで肯定判定された場合にはステップS4315へ移行する。一方、否定判定された場合すなわちフランジ部3aに異常があると判定された場合には、ステップS4317へ移行する。
【0124】
ステップS4315では、マイクロコンピュータ71により、検査領域内の全ポケット部2の錠剤良品フラグの値が「1」であるか否かが判定される。これにより、該検査領域に対応するPTPシート1が良品であるか、不良品であるかが判定される。
【0125】
ここで肯定判定された場合、すなわち検査領域内のすべてのポケット部2に収容された錠剤5が「良品」で、「不良品」判定された錠剤5(ポケット部2)が1つも存在しない場合には、ステップS4316において、該検査領域に対応するPTPシート1が「良品」と判定され、良否判定工程が終了される。
【0126】
一方、ステップS4315において否定判定された場合、すなわち検査領域内に「不良品」判定された錠剤5(ポケット部2)が1つでも存在する場合には、ステップS4317へ移行する。
【0127】
ステップS4317では、マイクロコンピュータ71により、該検査領域に対応するPTPシート1が「不良品」と判定され、良否判定工程が終了される。
【0128】
尚、ステップS4316の良品判定処理、及び、ステップS4317の不良品判定処理では、マイクロコンピュータ71により、検査領域に対応するPTPシート1に関する検査結果が、演算結果記憶装置75に記憶されるとともに、PTP包装機10(不良シート排出機構を含む)に対し出力される。
【0129】
図11に戻り、ステップS4の検査工程の後には、ステップS5のミシン目形成工程において、ミシン目形成装置33によりPTPフィルム9の所定位置にミシン目が形成される。また、続くステップS6の刻印工程において、刻印装置34によりPTPフィルム9に刻印が設けられる。その後、ステップS7の切離工程が行われることで、PTPシート1の製造工程が終了する。切離工程では、シート打抜装置37によりPTPフィルム9が打抜かれて、PTPフィルム9からPTPシート1が切離されることで、PTPシート1が製造される。
【0130】
以上詳述したように、本実施形態によれば、変形用装置54によってX線照射装置51とは反対側に向けて凸となるようにPTPフィルム9が湾曲されるとともに、維持用装置55によってPTPフィルム9の湾曲形状が維持された状態で、X線がPTPフィルム9に照射されるとともに、X線透過画像が取得される。従って、PTPフィルム9が扁平状態で検査される場合と比べて、X線の照射源51aからPTPフィルム9の各位置までの距離の差を低減させることができ、PTPフィルム9の各位置において、照射されるX線の強度にばらつきが生じることを抑制できる。また、X線ラインセンサ52aはPTPフィルム9の湾曲形状に沿った湾曲形状とされるため、PTPフィルム9を透過してX線ラインセンサ52aに入射されるX線の入射角度が、透過したPTPフィルム9の位置によって大きく異なるといったことがない。これらの作用効果が相俟って、得られるX線透過画像は各位置においてより均質なものとなる。これにより、X線透過画像を基にPTPシート1に係る検査を実行するときに、錠剤5の列ごとに閾値を設定する必要がなくなり、検査効率の低下を抑制することができる。また、PTPフィルム9における位置の相違によって検査結果が変動することをより確実に抑制でき、検査品質の均一性をより確実に担保することができる。
【0131】
また本実施形態では、照射源51aを中心とした円弧状をなすようにPTPフィルム9を湾曲させるように構成されている。そのため、照射源51aからPTPフィルム9の各位置までの距離をほぼ一定とすることができ、PTPフィルム9の各位置において、照射されるX線の強度をほぼ等しいものとすることができる。また、PTPフィルム9を透過してX線ラインセンサ52aに入射されるX線の入射角度を、透過したPTPフィルム9の位置によらずほぼ同一とすることができる。これらの結果、得られるX線透過画像は各位置において一層均質なものとなる。
【0132】
加えて、本実施形態では、変形用装置54は周長が徐々に変化する外周面を有してなる変形用ローラ54aを備えており、該変形用ローラ54aがPTPフィルム9と接触することで、PTPフィルム9が湾曲させられる。従って、搬送されるPTPフィルム9に過度な負荷を加えることなく、PTPフィルム9を滑らかに湾曲させることができる。その結果、製造されるPTPシート1の品質低下をより確実に防止することができる。また、変形用装置54を比較的簡素な構成により実現可能となるため、装置の小型化や低コスト化、メンテナンスに係る利便性の向上などを図ることができる。
【0133】
併せて、変形用装置54は、変形用ローラ54aとの間でPTPフィルム9を挟む変形用押さえローラ54bを備えているため、PTPフィルム9をより確実に狙いの形状に湾曲させることができる。従って、検査に係る上述した各種作用効果をより効果的に発揮させることが可能となる。
【0134】
また、変形用装置54及び維持用装置55は、同一装置によって構成されている。従って、変形用装置54及び維持用装置55を異なる装置によって構成する場合と比べて、製造コストの低減や部品管理の容易化、メンテナンス性の向上などを図ることができる。
【0135】
さらに、ストレートローラ56によって、湾曲されたPTPフィルム9を扁平な状態に戻すことができる。そのため、検査後のPTPフィルム9に対する各種処理(例えば、ミシン目形成工程や刻印工程、切離工程における各種処理)をより正確に(狙い通りに)行うことができる。加えて、復帰手段としてストレートローラ56を用いるため、PTPフィルム9をより確実かつ簡便に扁平状態とすることができるとともに、復帰手段に係る構造の複雑化を防止することができる。
【0136】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0137】
(a)上記実施形態において、変形用ローラ54aは、回転軸Ar1方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が減少する外周面を有する構成とされているが、図13,14(尚、図13等ではポケット部2を不図示)に示すように、回転軸Ar3方向に沿って両端部側から中心部側に向けて徐々に周長が増大する外周面を有するように変形用ローラ57aを構成してもよい。この変形用ローラ57aによれば、PTPフィルム9の幅方向中央部をX線ラインセンサカメラ52の位置する側へと押圧することで、PTPフィルム9を照射源51aとは反対側に向けて凸となるように湾曲させることができる。
【0138】
尚、この場合には、変形用ローラ57aの外周面に、ポケット部2を収容するための凹部を設けることとしてもよい。また、変形用押さえローラ57bを、PTPフィルム9における少なくとも幅方向両端部と接触するように構成してもよい。さらに、維持用ローラ58aを変形用ローラ57aと同一の構成とし、維持用押さえローラ58bを変形用押さえローラ57bと同一の構成とすることで、変形用装置57及び維持用装置58をそれぞれ同一構成の装置からなるようにしてもよい。
【0139】
さらに、変形用ローラは、PTPフィルム9における幅方向中央部及び幅方向両端部のうちの一方のみと接触することで、PTPフィルム9を湾曲させるものであってもよい。
【0140】
(b)上記実施形態では、ポケット部2がX線照射装置51側に向けて突出した状態となったPTPフィルム9を湾曲させるように構成されている。これに対し、図15に示すように、ポケット部2がX線照射装置51とは反対側に向けて突出した状態となったPTPフィルム9を湾曲させるように構成してもよい。この場合、PTPフィルム9は、ポケット部2が湾曲外側に配置されるようにして湾曲される。従って、PTPフィルム9をより確実に滑らかに湾曲させることができ、また、ポケット部2の潰れ変形をより確実に防止することができる。
【0141】
尚、この場合には、ポケット部2を有する容器フィルム3がX線ラインセンサカメラ52側に配置され、カバーフィルム4がX線照射装置51側に配置される。そのため、「容器フィルム3」が「第2フィルム」を構成し、「カバーフィルム4」が「第1フィルム」を構成することとなる。
【0142】
(c)検査対象物となる包装シートの構成は、上記実施形態に係るPTPシート1に限定されるものではない。例えばSPシートを検査対象としてもよい。
【0143】
図16に示すように、一般的なSPシート90は、アルミニウムを基材とした不透明材料よりなる帯状の2枚のフィルム91,92を重ね合わせていくとともに、両フィルム91,92間に錠剤5を充填しつつ、該錠剤5の周囲に袋状の収容空間93を残すように、該収容空間93の周囲(図16中の網掛模様部分)の両フィルム91,92を接合することにより、帯状の包装フィルムとした上で、該包装フィルムを矩形シート状に切離すことにより形成されている。
【0144】
尚、SPシート90には、1つの収容空間93を含むシート小片94単位に切離し可能とするための切離線として、シート長手方向に沿って形成された縦ミシン目95、及び、シート短手方向に沿って形成された横ミシン目96を形成してもよい。また、SPシート90には、シート長手方向一端部において、各種情報(本実施形態では「ABC」の文字)が印刷されたタグ部97を付設してもよい。
【0145】
(d)上記実施形態では、照射工程や撮像工程において、PTPフィルム9を照射源51aを中心とした円弧状に湾曲させるように構成されているが、照射源51aとは反対側に向けて凸となるのであれば、PTPフィルム9の湾曲態様を適宜変更してもよい。従って、照射源51aを通りPTPフィルム9の搬送方向と直交する断面において、前記照射源51aとは異なる位置(点)を中心とする円弧状をなすようにPTPフィルム9を湾曲させてもよい。また、PTPフィルム9を楕円弧状をなすように湾曲させてもよい。
【0146】
(e)上記実施形態において、変形用装置54及び維持用装置55は、それぞれ同一構成の装置から構成されているが、変形用装置54及び維持用装置55をそれぞれ異なる装置によって構成してもよい。
【0147】
(f)PTPシート1単位のポケット部2の配列や、個数も上記実施形態の態様(2列、10個)に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部2(収容空間2a)を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる(上記SPシートについても同様)。勿論、1つのシート小片に包含されるポケット部(収容空間)の数も上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0148】
(g)上記実施形態に係るPTPシート1には、切離線として、PTPシート1の厚み方向に貫通した切込みが断続的に並んだミシン目7が形成されているが、切離線は、これに限定されるものではなく、容器フィルム3及びカバーフィルム4の材質等に応じて異なる構成を採用してもよい。例えば、断面略V字状のスリット(ハーフカット線)のような非貫通の切離線を形成した構成としてもよい。また、ミシン目7等の切離線が形成されない構成としてもよい。
【0149】
(h)第1フィルム及び第2フィルムの材質や層構造等は、上記実施形態に係る容器フィルム3やカバーフィルム4に係る構成に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、アルミニウム等の金属材料を基材として形成されているが、これに限らず、他の材質のものを採用してもよい。例えば可視光等を透過しない合成樹脂材料等を採用してもよい。
【0150】
(i)包装フィルムの構成は上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0151】
上記実施形態において、PTPフィルム9は、その幅方向に沿って2シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。勿論、PTPフィルム9は、その幅方向に沿って3枚以上のシート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0152】
また、上記実施形態では、PTPフィルム9の幅方向中央部に、2枚のPTPシート1の各タグ部8に対応する部位が配置されるように構成されている。これに対し、2枚のPTPシート1の各タグ部8に対応する部位が、PTPフィルム9の幅方向両端部に配置されるように構成してもよい。また、2枚のPTPシート1のうち、一方のPTPシート1のタグ部8に対応する部位がPTPフィルム9の幅方向中央部に配置され、他方のPTPシート1のタグ部8に対応する部位がPTPフィルム9の幅方向端部に配置されるように構成してもよい。
【0153】
(j)電磁波照射手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、電磁波としてX線を照射する構成となっているが、これに限らず、テラヘルツ電磁波など、PTPフィルム9を透過する他の電磁波を用いる構成としてもよい。
【0154】
(k)撮像手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、撮像手段としてシンチレータを使用したCCDカメラ(X線ラインセンサカメラ52)を採用したが、これに限らず、X線をダイレクトに入射して撮像するカメラを採用してもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、撮像手段としてCCDを1列に並べたX線ラインセンサカメラ52を採用しているが、これに限らず、例えばPTPフィルム9の搬送方向にCCD列(検出素子列)を複数列備えたX線TDI(Time Delay Integration)カメラを採用してもよい。これにより、検査精度及び検査効率のさらなる向上を図ることができる。
【0156】
(l)X線検査装置45に係る構成や配置位置等は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0157】
例えば上記実施形態では、PTPフィルム9が上下方向に搬送される位置においてX線検査装置45が配置された構成となっているが、これに限らず、例えばPTPフィルム9が水平方向に搬送される位置や、斜めに搬送される位置にX線検査装置45を配置した構成としてもよい。
【0158】
また、PTPフィルム9の大きさやレイアウトなどに合わせて、X線照射装置51及びX線ラインセンサカメラ52を、PTPフィルム9の搬送方向やPTPフィルム9に対する接離方向に沿って移動可能な位置調整機構(位置調整手段)を備えた構成としてもよい。
【0159】
(m)上記実施形態において、復帰手段としてのストレートローラ56は、PTPフィルム9に張力を付与する機能を備えているが、このような機能を備えないものであってもよい。
【0160】
また、復帰手段として、変形用装置54によるPTPフィルム9の湾曲方向とは反対側にPTPフィルム9を湾曲可能なものを用いてもよい。この場合には、変形用装置54や維持用装置55によるPTPフィルム9の湾曲形状を効果的に矯正して、PTPフィルム9をより確実に扁平な状態に戻すことが可能となる。
【0161】
(n)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物はこれに限られず、例えばカプセルや食料品、小型部品などであってもよい。
【符号の説明】
【0162】
1…PTPシート(包装シート)、2…ポケット部、2a…収容空間、3…容器フィルム(第1フィルム)、4…カバーフィルム(第2フィルム)、5…錠剤(内容物)、9…PTPフィルム(包装フィルム)、10…PTP包装機(包装シート製造装置)、45…X線検査装置(検査装置)、51…X線照射装置(電磁波照射手段)、51a…照射源、52…X線ラインセンサカメラ(撮像手段)、52a…X線ラインセンサ(検出部)、53…制御処理装置(画像処理装置)、54…変形用装置(変形手段)、54a…変形用ローラ、54b…変形用押さえローラ(押さえローラ)、55…維持用装置(変形状態維持手段)、56…ストレートローラ(復帰手段)。
【要約】
【課題】検査の効率低下を抑制できるとともに、検査品質の均一性をより確実に担保することができる検査装置等を提供する。
【解決手段】PTPフィルム9を透過可能なX線を照射しつつ、X線ラインセンサ52aによりPTPフィルム9を透過したX線に基づくX線透過画像を取得し、該X線透過画像を基に検査を実行する。X線透過画像の取得は、X線の照射源とは反対側に向けて凸となるようにPTPフィルム9を湾曲させるとともに、PTPフィルム9の湾曲形状を維持した状態で行われる。X線ラインセンサ52aは、PTPフィルム9の形状に沿った湾曲形状とされる。これにより、PTPフィルム9の各位置に照射される電磁波強度のばらつきを抑えること等が可能となる。その結果、X線透過画像は各位置においてより均質となる。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16