(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0022】
1. 第1実施形態
1.1. 分析装置
まず、第1実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る分析装置100を模式的に示す図である。ここでは、分析装置100が、エネルギー分散型X線検出器(EDS検出器)40を備えた走査電子顕微鏡(SEM)である例について説明する。
【0023】
分析装置100は、
図1に示すように、光学系10と、光学系制御部19と、試料ステージ20と、試料ステージ制御部22と、二次電子検出器30と、電子信号処理部32と、EDS検出器40と、X線信号処理部42と、処理部50と、操作部60と、表示部62と、記憶部64と、を含む。
【0024】
分析装置100では、光学系10で形成された電子プローブ(荷電粒子線の一例)で試料1の表面を走査したときに電子プローブの照射点から放出される二次電子信号(試料からの信号の一例)を二次電子検出器30で検出して画像化することができる。また、分析装置100では、電子プローブを試料1に照射した際に発生するX線(特性X線)信号(試料からの信号の一例)をEDS検出器40にて検出して、EDSスペクトルや元素分布画像を得ることができる。
【0025】
光学系10は、電子線源12と、集束レンズ14と、対物レンズ16と、偏向器18と、を含んで構成されている。電子線源12は、電子線EBを発生させる。電子線源12は、例えば、公知の電子銃である。集束レンズ14は、電子線源12から放出された電子線
EBを集束させる。対物レンズ16は、試料1の直前に配置された最終段の電子プローブ形成レンズである。偏向器18は集束レンズ14および対物レンズ16で集束された電子線EB(電子プローブ)を偏向させる。偏向器18が集束レンズ14および対物レンズ16で集束された電子線EB(電子プローブ)を偏向させることで、電子線EBを試料1上で走査することができる。電子線EBが試料1を照射する位置は、偏向器18の印加電圧により決まる。光学系制御部19は、電子線源12に印加される加速電圧や、集束レンズ14および対物レンズ16の励磁電流、偏向器18の印加電圧等の制御を行う。
【0026】
試料ステージ20は、試料1を支持し、試料1を移動させることができる。試料ステージ制御部22は、試料ステージ20の動作を制御する。
【0027】
二次電子検出器30は、電子線EBが照射されることにより試料1から放出された二次電子を検出する。二次電子検出器30は、例えば、シンチレーターおよび光電子増倍管を含んで構成されている。電子信号処理部32は、二次電子検出器30で検出された二次電子の強度をデジタル信号として処理部50に送る処理を行う。電子信号処理部32から出力された電子信号データ(信号データの一例)は、偏向器18の印加電圧により決定される電子線EBの位置情報データと関連づけられて処理部50に送られる。
【0028】
EDS検出器40は、電子線EBが照射されることにより試料1から発生する特性X線を検出する。EDS検出器40は、例えば、シリコンドリフト検出器(silicon−drift detector、SDD)を含んで構成されている。X線信号処理部42は、マルチチャンネルアナライザーを含んで構成されており、EDS検出器40で検出されたX線信号のパルス波高値に基づいてマルチチャンネルアナライザーによりエネルギー値を解析し、対応するチャンネルを割り当てる処理を行う。X線信号処理部42から出力されたX線信号データ(信号データの一例)は、偏向器18の印加電圧により決定される電子線EBの位置情報データと関連づけられて処理部50に送られる。
【0029】
操作部60は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部50に送る処理を行う。操作部60の機能は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどにより実現できる。
【0030】
表示部62は、処理部50によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部62には、例えば、二次電子像(SEM像)や、元素分布画像などが表示される。
【0031】
記憶部64は、処理部50が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部64は、処理部50の作業領域として用いられ、処理部50が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部64の機能は、ハードディスク、RAMなどにより実現できる。記憶部64には、後述するように、電子信号データ、X線信号データ、電子線EBの位置情報データ、および経過時間情報データが格納される。
【0032】
処理部50は、元素分布画像を生成する処理や、二次電子像を生成する処理、光学系制御部19を制御するための制御信号を生成する処理、試料ステージ制御部22を制御するための制御信号を生成する処理などの処理を行う。処理部50の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部50は、データ格納処理部52と、フレーム群抽出部54と、画像生成部56と、制御部58と、を含む。
【0033】
データ格納処理部52は、電子信号データおよびX線信号データを、電子線EBの位置
情報データおよび測定の経過時間情報データとともに記憶部64に格納(記録)する処理を行う。
【0034】
ここで、記憶部64に格納されるデータの構造について説明する。
【0035】
分析装置100では、電子線EBの照射位置に対応する偏向器18の印加電圧を光学系制御部19で制御し、試料1の所定の座標位置に電子線EBを照射する。そして、電子線EBの照射により発生したX線信号をEDS検出器40で検出してX線信号処理部42でX線信号データに変換する。また、電子線EBの照射により発生した二次電子信号を二次電子検出器30で検出して電子信号処理部32で電子信号データに変換する。X線信号データおよび電子信号データは、電子線EBの位置情報データおよび経過時間情報データとともに、時系列に組み合わせたデータ列(時系列データ)として記憶部64に格納される。分析装置100では、電子線EBで試料1の所定の領域を繰り返し走査して特性X線信号および二次電子信号を検出し、上記の各種データを記憶部64に順次格納する。
【0036】
図2は、記憶部64に格納されたデータの構造を模式的に示す図である。
図2では、位置情報データを「P」、X線信号データを「D」、電子信号データを「S」、経過時間情報データを「T」で表している。また、
図2では、1フレーム目からmフレーム目(mは3以上の整数)までのデータを表している。
【0037】
図2に示すように、記憶部64に格納されたデータ(データ列)は、位置情報データP、X線信号データD、電子信号データS、経過時間情報データTを測定経過時間軸に沿って並べた時系列データとなっている。データ格納処理部52は、位置情報データP、X線信号データD、電子信号データS、経過時間情報データTを積み上げていき、
図2に示すデータ構造のデータ列を形成する。
【0038】
位置情報データPは、試料1上での電子線EBの照射位置を表すデータである。位置情報データPは、例えば、試料1上の照射位置を表す座標値であり、水平方向の位置を表すX軸およびY軸の座標値のデータを含む。位置情報データPは、さらに、X軸およびY軸に直交する位置を表すZ軸や、試料1の傾斜を表すT軸、試料1の回転を表すR軸等の座標値を含んでいてもよい。
【0039】
図3は、位置情報データPを説明するための図である。ここでは
図3を参照しながら、試料1上に設定された区画を位置情報データPの単位として面分析を行う場合について説明する。
【0040】
図3に示すように、電子線EBの1回の走査(1フレーム)の開始位置は、位置情報データ「P1」(n=1)で表され、1回の走査の終了位置は位置情報データ「Pe」(n=e(eは正の整数))で表される。
【0041】
例えば、
図2に示す記憶部64に格納されたデータ列から、位置情報データP1と、次に現れる位置情報データP1と、の間に挟まれるX線信号データDを抽出することで、1フレーム分のX線信号データDを抽出することができる。また、例えば、記憶部64に格納されたデータ列において、2つの位置情報データPを指定し、当該2つの位置情報データPに挟まれるX線信号データDを抽出することで、2つの位置情報データPで表される照射領域のX線信号データDを得ることができる。例えば、記憶部64に格納されたデータ列から、位置情報データPn(nは1≦n≦eを満たす整数)と位置情報データPn+m+1(mは正の整数)との間のX線信号データDを抽出することで、
図3に示す位置情報データPnが示す領域から位置情報データPn+mが示す領域までの範囲のX線信号データDを抽出することができる。このように、位置情報データPを用いて領域(位置情報
範囲)を指定することにより、記憶部64に格納されたデータ列から、任意の照射位置および任意の領域のX線信号データDを抽出することができる。
【0042】
X線信号データDは、EDS検出器40で検出されたX線信号(特性X線信号)を表すデータである。X線信号データDは、EDS検出器40に入射するX線量子を解析したエネルギー値(またはマルチチャンネルアナライザーにより割り当てられたチャンネル)を表すデータである。X線信号データDは、13bit程度の深さを持つことが望ましい。
【0043】
電子信号データSは、二次電子信号を二次電子検出器30で検出して得られたデータである。電子信号データSは、二次電子信号の強度の情報を含む。
【0044】
なお、電子信号データSは、反射電子信号のデータであってもよい。すなわち、図示はしないが、分析装置100が反射電子検出器を備えており、電子信号データSは当該反射電子検出器で反射電子信号を検出して得られたデータであってもよい。また、電子信号データSは、二次電子信号のデータ、および反射電子信号のデータの両方を含んでいてもよい。
【0045】
経過時間情報データTは、測定の経過時間を表すデータであり、実経過時間(Real
Time)および有効時間(Live Time)の少なくとも一方を含むデータである。ここで、実経過時間とは測定開始から実際に経過した時間であり、有効時間とはEDSの不感時間(Dead Time)を除いた測定時間である。
【0046】
例えば、記憶部64に格納されたデータ列から、経過時間aのデータを持つ経過時間情報データTと、経過時間aから時間bが経過したときの経過時間a+bの経過時間情報データTと、の間に含まれるX線信号データDを抽出することで、時間aから時間a+bの間に収集されたX線信号データDを抽出することができる。
【0047】
なお、上述したように、データ格納処理部52は、各種データを個々に積み上げて順番に格納することで
図2に示すデータ列を形成するため、例えば試料吸収電流の信号データや、カソードルミネッセンスの信号データ等の、上記以外のデータを追加することもできる。
【0048】
図4は、記憶部64に格納されたデータからX線信号データDを抽出して生成したX線スペクトルの一例を示す図である。
図4に示すグラフでは、横軸がX線のエネルギーを表し、マルチチャンネルアナライザーの所定のエネルギー間隔に区切られた各チャンネルに対応している。また、縦軸は、X線信号データDの個数をチャンネルごとに積算した値(すなわちX線強度)である。
【0049】
ROI_1、ROI_2、ROI_3は、所望のエネルギーを持つX線信号のみを選択するためのエネルギー範囲(ROI、Region Of interest)を示している。ROIが示すエネルギー範囲は、ユーザーが任意に設定することができる。分析装置100は、ユーザーが元素を指定するとその元素に対応するROIを自動的に設定する機能を備えている。例えば、ROI_1は、酸素(O)に対応し、ROI_2は、クロム(Cr)に対応し、ROI_3は、鉄(Fe)に対応している。
【0050】
例えば、
図2に示すデータ列のX線信号データDをすべて積算することで、すべてのエネルギー範囲のX線強度の情報を得ることができる。また、指定されたROIに含まれるX線信号データDの数(ROIカウント)を積算することで、指定されたROIのX線強度の情報を得ることができる。例えば、ROI_1が示すエネルギー範囲に含まれるX線信号データDの数を積算することで、酸素のX線強度の情報を得ることができる。同様に
、ROI_2が示すエネルギー範囲に含まれるX線信号データDの数を積算することで、クロムのX線強度の情報を得ることができ、ROI_3が示すエネルギー範囲に含まれるX線信号データDの数を積算することで、鉄のX線強度の情報を得ることができる。
【0051】
フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。
【0052】
フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレームのX線信号の強度差に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。例えば、フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレームのX線信号の強度差が設定された閾値以下のフレームが連続する範囲をフレーム群として抽出する。これにより、記憶部64に格納されたフレームから、X線信号の強度の変動が小さい連続する複数のフレームからなるフレーム群を抽出することができる。
【0053】
検出の対象となるX線信号の強度は、例えば、指定された領域(照射領域、位置情報範囲)における指定されたエネルギー範囲(ROI)のX線信号の強度である。なお、検出の対象となるX線信号の強度は、全領域(照射領域全体)における指定されたROIのX線信号の強度であってもよい。連続する2つのフレームのX線信号の強度をf
n、f
n−1と表すと、X線信号の強度差は、|f
n−f
n−1|で表すことができる。また、閾値は、任意に設定することができる。
【0054】
なお、ここでは、フレーム群抽出部54が、フレーム間のX線信号の強度の変化を、連続する2つのフレームのX線信号の強度差を検出している例について説明したが、X線信号の強度の変化を求める方法はこれに限定されない。例えば、1番目のフレームのX線信号の強度とn番目のフレームのX線信号の強度との差から、X線信号の強度の変化を検出してもよい。
【0055】
画像生成部56は、記憶部64に記録されているX線信号データから、フレーム群抽出部54が抽出したフレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、元素分布画像を生成する。複数のROIが指定されている場合には、画像生成部56は、抽出されたフレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データのなかから、指定された各ROIに含まれるX線信号データの数を照射位置ごとに数えて、各ROIに対応する元素分布画像を生成する。
【0056】
画像生成部56は、フレーム群抽出部54が複数のフレーム群を抽出した場合には、記憶部64に記録されているX線信号データから、フレーム群ごとにX線信号データを抽出して、フレーム群ごとに元素分布画像を生成する。
【0057】
制御部58は、光学系制御部19を制御するための制御信号や、試料ステージ制御部22を制御するための制御信号を生成する処理を行う。例えば、ユーザーの光学系の条件を変更する操作を操作部60が受け付けると、制御部58は、操作部60からの操作信号に基づき制御信号(光学系制御部19を制御するための制御信号)を生成する。これにより、光学系をユーザーの指定した条件にすることができる。また、例えば、試料1を所望の位置へ移動させる操作を操作部60が受け付けると、制御部58は、操作部60からの操作信号に基づき制御信号(試料ステージ制御部22を制御するための制御信号)を生成する。これにより、試料1の位置をユーザーが指定した位置へ移動させることができる。
【0058】
1.2. 分析方法
次に、分析装置100による分析方法について、図面を参照しながら説明する。
図5は
、分析装置100による分析方法の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず、データ格納処理部52は、
図2に示すように、X線信号データおよび電子信号データを、位置情報データ、経過時間情報データとともに、記憶部64に格納する(ステップS100)。
【0060】
次に、フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、フレーム群を抽出する(ステップS102)。
【0061】
図6は、分析装置100の表示部62に表示されたメインウィンドウ2を模式的に示す図である。メインウィンドウ2には、
図6に示すように、記憶部64に格納されたデータ(
図2参照)から生成された二次電子像4a,4b、元素分布画像6a,6b,6c、が表示されている。二次電子像4aは、例えば1フレーム目の二次電子像であり、二次電子像4bは、例えば現在測定中のフレームの二次電子像である。なお、二次電子像4bは、記憶部64に格納された全部のフレームを積算した二次電子像であってもよい。また、元素分布画像6a,6b,6cは、指定された元素の元素分布画像(例えば、酸素の元素分布画像、クロムの元素分布画像、鉄の元素分布画像)である。元素分布画像6a,6b,6cは、記憶部64に格納された全部のフレームのX線信号データから、指定された元素に対応するROIに含まれるX線信号データの数を積算することで得られた画像である。
【0062】
例えば、ユーザーの元素分布画像6a,6b,6c上の領域(位置情報範囲)および検出の対象となるROIを指定する操作を操作部60が受け付けると、フレーム群抽出部54はフレーム群を抽出するための処理を開始する。
【0063】
以下、フレーム群抽出部54におけるフレーム群を抽出する処理について説明する。
【0064】
図7は、指定された領域におけるROIカウントの変化を示すグラフである。
図7に示すグラフは、フレームごとに、指定された領域におけるROI(ROI_1,ROI_2,ROI_3)のカウント(X線強度)をプロットしたものである。
図7に示すグラフでは、横軸はフレームであり、紙面左から紙面右に向かって1回目の走査であるフレーム1から最終の走査であるフレームmまで順に並べられている。また、縦軸は、ROIカウントであり、各ROIに対応する元素のX線強度に対応している。
【0065】
図7に示すグラフは、記憶部64に格納されたデータ列から、フレームごとに、位置情報データに基づき指定された領域のX線信号データを抽出し、抽出されたX線信号データから、指定されたROIに含まれるX線信号データの数をカウントすることで作成される。
【0066】
ここで、ROI_2が指定された場合について説明する。
【0067】
図8は、ROI_2のカウントの変化を示すグラフである。ROI_2が指定された場合、フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレーム間のROI_2のカウント差に基づいて、フレーム群を抽出する。
【0068】
フレーム群抽出部54は、フレーム1〜フレームmのROI_2のカウントに対して、次式(1)に示す一次元差分フィルターをかけることで、ROIのカウントの変化を検出する。
【0070】
ただし、g
nはn番目のフレームのフィルター処理後の値(差分値)であり、f
nはn番目のフレームのROIカウントであり、f
n−1はn−1番目のフレームのROIカウントである。
【0071】
図9は、各フレームの差分値g
nを示すグラフである。
図9に示すように、閾値+TS,−TS(ただしTS>0)を設定し、差分値g
nが閾値+TSと閾値−TSとの間に含まれるフレームが連続する範囲を抽出してフレーム群とする。すなわち、連続する2つのフレーム間のROIカウント差が設定された閾値TS以下のフレームが連続する範囲を抽出してフレーム群とする。
図9に示す例では、連続する2つのフレーム間のROIカウント差が閾値TS以下のフレームが連続する範囲が3つ抽出されている。
【0072】
図10は、ROI_2のカウントの変化を示すグラフである。
図10に示すように、上記処理の結果、フレーム群A,B,Cが抽出される。このようにして、フレーム群抽出部54は、フレーム群A,B,Cを抽出することができる。
【0073】
次に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、指定されたROI(元素)の元素分布画像を生成する(ステップS104)。
【0074】
例えば、ROI_1、ROI_2、ROI_3の元素分布画像を生成する指定がなされている場合、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Aを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。同様に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Bを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。同様に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Cを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。
【0075】
なお、画像生成部56は、生成した元素分布画像に二次元フィルターをかける処理や、カラースケールを変更する処理等を行うことができる。
【0076】
図11は、表示部62に表示された比較用ウィンドウ8を模式的に示す図である。画像生成部56は、フレーム群A、B,CのROI_1の元素分布画像6a−A,6a−B,6a−C、フレーム群A、B,CのROI_2の元素分布画像6b−A,6b−B,6b−C、フレーム群A、B,CのROI_3の元素分布画像6c−A,6c−B,6c−Cを比較用ウィンドウ8に表示する。
【0077】
また、画像生成部56は、フレーム群Aを構成する複数のフレームの電子信号データを抽出し、フレームごとに積算して二次電子像4−Aを生成する。同様に、画像生成部56は、フレーム群Bを構成する複数のフレームの電子信号データを抽出し、フレームごとに積算して二次電子像4−Bを生成する。同様に、画像生成部56は、フレーム群Cを構成する複数のフレームの電子信号データを抽出し、フレームごとに積算して二次電子像4−Cを生成する。そして、画像生成部56は、これらの二次電子像4−A,4−B,4−Cを比較用ウィンドウ8に表示する。
【0078】
また、画像生成部56は、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を表示するためのフレームバー9を比較用ウィンドウ8に表示する。
【0079】
以上の工程により、元素分布画像を生成することができる。
【0080】
図12および
図13は、元素の追加が行われた場合の処理について説明するための図である。
図12に示すメインウィンドウ2の元素追加ボタン7を操作することにより元素分布画像を表示する元素の追加を行うことができる。元素追加ボタン7を操作して元素(ROI_4)を追加した場合には、メインウィンドウ2において追加されたROI_4の元素分布画像6dが表示される。そして、画像生成部56は、フレーム群A,B,CごとにROI_4の元素分布画像6d−A,6d−B,6d−Cを生成し、
図13に示すように、比較用ウィンドウ8に表示する。
【0081】
図14および
図15は、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を変更する処理(すなわち、抽出する信号データの範囲を変更する処理)について説明するための図である。
【0082】
例えば、メインウィンドウ2および比較用ウィンドウ8には、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を表示し変更するためのフレームバー9が表示されており、このフレームバー9を操作することで、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を変更することができる。フレームの範囲を変更する操作が行われると、画像生成部56は、変更されたフレーム群A,B,Cについて、X線信号データを抽出し、元素分布画像を生成する。図示の例では、フレーム群Bを構成するフレームの範囲が変更されており、画像生成部56は、変更されたフレーム群Bを構成するフレームの範囲に含まれる複数のフレームのX線信号データを抽出し、元素分布画像6a−B,6b−B,6c−B,6d−Bを生成する。このとき、変更されたフレーム群Bの二次電子像4−Bも同様に生成される。
【0083】
なお、上述した実施形態では、フレーム群を抽出する工程(ステップS102)において、1つのROI(ROI_2)が指定された場合について説明したが、複数のROIが指定されてもよい。以下、フレーム群を抽出する工程において、複数のROIが指定された場合の処理について説明する。
【0084】
図16は、ROI_1のカウントおよびROI_2のカウントの変化を示すグラフである。
【0085】
指定されたROIがROI_1およびROI_2である場合、フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレーム間のROI_1のカウント差および連続する2つのフレーム間のROI_2のカウント差に基づいて、フレーム群を抽出する。具体的には、フレーム群抽出部54は、ROI_1のカウントおよびROI_2のカウントに対して、それぞれ上述した一次元差分フィルター(g
n=f
n−f
n−1)をかけることで、ROI_1のカウントの変化およびROI_2のカウントの変化を検出する。
【0086】
図17は、各フレームの、ROI_1の差分値g
nおよびROI_2の差分値g
nを示すグラフである。
図17に示すように、ROI_1に対して閾値+TS
1,−TS
1(ただしTS
1>0)を設定し、ROI_2に対して閾値+TS
2,−TS
2(ただしTS
2>0)を設定する。そして、ROI_1の差分値g
nが閾値TS
1以下のフレームが連続し、かつ、ROI_2の差分値g
nが閾値TS
2以下のフレームが連続する範囲を抽出し、フレーム群とする。
図17に示す例では、ROI_1の差分値g
nが閾値TS
1以下のフレームが連続し、かつ、ROI_2の差分値g
nが閾値TS
2以下のフレームが連続する範囲が4つ抽出されている。
【0087】
図18は、指定された領域におけるROIカウントの変化を示すグラフである。
図18
に示すように、上記処理の結果、フレーム群A,B,C,Dが抽出される。このようにして、フレーム群抽出部54は、複数のROIが指定された場合にも、フレーム群A,B,C,Dを抽出することができる。
【0088】
分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0089】
分析装置100では、フレーム群抽出部54が記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。そのため、測定中に試料1の状態が変化する試料1の測定において、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、X線信号が変化する前のX線信号データと、X線信号が変化した後のX線信号データと、をそれぞれ抽出することができる。このように分析装置100では、X線信号が変化する前後のX線信号データを抽出することができるため、容易に、試料1の状態(元素分布)の変化を確認することができる。また、長時間の測定でフレーム数が膨大な量になった場合であっても、容易に、試料の状態(元素分布)が変化する前後のX線信号データを抽出することができ、分析のスループットが向上する。
【0090】
分析装置100では、画像生成部56が記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、元素分布画像を生成する。そのため、測定中に試料1の状態が変化する試料1の測定において、X線信号が変化する前の元素分布画像と、X線信号が変化した後の元素分布画像と、を得ることができる。
【0091】
分析装置100では、画像生成部56は、フレーム群抽出部54が複数のフレーム群を抽出した場合に、フレーム群ごとにX線信号データを抽出して、フレーム群ごとに元素分布画像を生成するため、X線信号が変化する前後の元素分布画像を得ることができる。
【0092】
分析装置100では、フレーム群抽出部54が連続する2つのフレームのX線信号の強度差に基づいてフレーム群を抽出するため、測定中に試料1の状態が変化する試料1の測定において、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、X線信号の強度が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。
【0093】
本実施形態に係る分析方法では、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出するため、X線信号が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。
【0094】
1.3. 変形例
次に、第1実施形態に係る分析装置の変形例について説明する。なお、本変形例に係る分析装置の構成は、
図1に示す分析装置100の構成と同じであり図示を省略する。以下、上述した分析装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0095】
上述した分析装置100の例では、フレーム群抽出部54は、X線信号の変化に基づいて、フレーム群を抽出していた。
【0096】
これに対して、本変形例に係る分析装置では、フレーム群抽出部54は、二次電子信号の変化に基づいて、フレーム群を抽出する。
【0097】
フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納された電子信号データに基づきフレーム間の電子信号の変化を検出し、電子信号の変化に基づいて、フレーム群を抽出する。例えば
、フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレームの電子信号データから生成された2つの二次電子像の類似度に基づいて、フレーム群を抽出する。フレーム群抽出部54は、記憶部64に記憶されたデータ列から、連続する2つのフレームの電子信号データを抽出し、フレームごとに二次電子像を生成する。そして、生成された2つの二次電子像の類似度を求める。フレーム群抽出部54は、この処理を各フレームに対して順次行うことで類似度をモニターし変化を検出する。
【0098】
二次電子像の類似度は、例えば、SAD(Sum of Absolute Difference)や、SSD(Sum of Squared Difference)、NCC(Normalized Cross−Correlation)、ZNCC(Zero−means Normalized Cross−Correlation)等のいずれかを用いる。
【0099】
なお、SAD(S
SAD)、SSD(S
SSD)、NCC(S
NCC)、ZNCC(S
ZNCC)は、次式で表される。
【0104】
ただし、Xは水平方向の画素数であり、Yは垂直方向の画素数であり、xは水平方向の座標であり、yは垂直方向の座標であり、F
nはn番目のフレームの輝度であり、F
n−1はn−1番目のフレームの輝度である。また、μ
nはn番目のフレームの輝度の平均値であり、μ
n−1はn−1番目のフレームの輝度の平均値である。
【0105】
図19は、各フレームの類似度を示すグラフである。
図19では、類似度としてSADを用いた場合である。なお、SADの値が小さいほど2つの画像が類似しているといえる。
【0106】
図19に示すように、閾値TS
SAD(ただしTS
SADは任意の値)を設定し、SA
Dが閾値TS
SAD以下のフレームが連続する範囲を抽出してフレーム群とする。
図19に示す例では、閾値TS
SAD以下のフレームが連続する範囲が4つ抽出されている。このようにして、フレーム群抽出部54は、フレーム群A,B,C,Dを抽出することができる。
【0107】
画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データ「D」から、フレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データ「D」を抽出して、元素分布画像を生成する(ステップS104)。
【0108】
画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Aを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、元素分布画像を生成する。複数のROIが指定されている場合(ROI_1,ROI_2,ROI_3、ROI_4が指定されている場合)、画像生成部56は、指定された各ROIの元素分布画像(ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像、ROI_4の元素分布画像)を生成する。
【0109】
画像生成部56は、フレーム群B,C,Dについても同様の処理を行い、各フレーム群B,C,Dごとに、元素分布画像を生成する。
【0110】
図20は、表示部62に表示された比較用ウィンドウ8を模式的に示す図である。画像生成部56は、生成したフレーム群A、B,C,DのROI_1の元素分布画像6a−A,6a−B,6a−C,6a−D、ROI_2の元素分布画像6b−A,6b−B,6b−C,6b−D、フレーム群A、B,C,DのROI_3の元素分布画像6c−A,6c−B,6c−C,6a−D、フレーム群A、B,C,DのROI_4の元素分布画像6d−A,6d−B,6d−C,6d−Dを比較用ウィンドウ8に表示する。また、画像生成部56は、フレーム群A,B,C,Dの二次電子像4−A,4−B,4−C,4−Dを生成し、比較用ウィンドウ8に表示する。
【0111】
本変形例に係る分析装置では、フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納された電子信号データに基づきフレーム間の電子信号の変化を検出し、フレーム間の二次電子信号の変化に基づいてフレーム群を抽出する。これにより、測定中に試料の状態(例えば形状)が変化する試料の測定において、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、二次電子信号が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。したがって、試料1の二次電子信号が変化する前後の元素分布画像を得ることができる。
【0112】
本変形例に係る分析装置では、フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレームの二次電子信号データから生成された2つの二次電子像の類似度に基づいて、フレーム群を抽出する。これにより、測定中に試料1の状態(例えば形状)が変化する試料1の測定において、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、試料1の二次電子像の類似度が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。したがって、試料1の二次電子像の類似度が変化する前後の元素分布画像を得ることができる。
【0113】
なお、本変形例では、フレーム群抽出部54が二次電子信号データから生成された2つの二次電子像の類似度に基づいてフレーム群を抽出する例について説明したが、フレーム群抽出部54は連続する2つのフレームのX線信号データから生成された2つの元素分布画像の類似度に基づいて、フレーム群を抽出してもよい。これにより、測定中に試料の状態が変化する試料の測定において、試料1を繰り返して走査して得られたX線信号データから、試料の元素分布が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。したがって、試料の元素分布が変化する前後の元素分布画像を得ることができる。
【0114】
2. 第2実施形態
2.1. 分析装置
次に、第2実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。
図21は、第2実施形態に係る分析装置200を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る分析装置において、第1実施形態に係る分析装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0115】
分析装置200は、
図21に示すように、分析装置100の構成部材に加えて、さらに、温度可変ホルダー210と、温度可変ホルダー210の温度を制御する温度制御部212と、を含んで構成されている。
【0116】
温度可変ホルダー210は、試料ステージ20上で試料1を保持するとともに、試料1を加熱することができる加熱ホルダーである。なお、温度可変ホルダー210は、試料1を冷却する冷却ホルダーであってもよい。温度可変ホルダー210の温度は、温度制御部212で制御される。温度制御部212は、温度可変ホルダー210の温度の情報を処理部50に送る。ここで、温度制御部212が出力する温度可変ホルダー210の温度の情報は、温度制御部212が温度可変ホルダー210の温度を制御するための制御情報に基づく温度の情報であってもよいし、実際に温度可変ホルダー210の温度を測定した測定結果の情報であってもよい。
【0117】
データ格納処理部52は、電子信号データおよびX線信号データを、電子線EBの位置情報データ、測定の経過時間情報データ、温度情報データ(環境情報データの一例)とともに記憶部64に格納(記録)する処理を行う。
【0118】
図22は、記憶部64に格納されたデータの構造を模式的に示す図である。
図22では、位置情報データを「P」、X線信号データを「D」、電子信号データを「S」、経過時間情報データを「T」、温度情報データを「t」で表している。また、
図22では、1フレーム目からmフレーム目までのデータを表している。
【0119】
図22に示すように、データ格納処理部52は、位置情報データ「P」、X線信号データ「D」、電子信号データ「S」、経過時間情報データ「T」、温度情報データ「t」を積み上げていき、
図22に示すデータ構造のデータ列を形成する。
【0120】
温度情報データ「t」は、試料1の温度の情報である。温度情報データ「t」は、試料1を直接測定した温度の情報であってもよいし、試料1の温度を制御する温度可変ホルダー210の温度や温度可変ホルダー210の温度の制御情報であってもよい。データ格納処理部52は、温度制御部212から出力された温度可変ホルダー210の温度の情報を受け取り、温度情報データ「t」として記憶部64に格納する。また、図示はしないが、分析装置200が試料1の温度を測定する試料温度測定装置を備えており、データ格納処理部52が当該温度測定装置の測定結果の情報を受け取り、温度情報データ「t」として記憶部64に格納してもよい。温度情報データ「t」は、所定の時間間隔で(例えば1フレームに対して複数回)、記憶部64に格納される。
【0121】
フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納された温度情報データに基づきフレーム間の温度可変ホルダー210の温度の変化を検出し、温度可変ホルダー210の温度の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。
【0122】
フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレームの試料1の温度差に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。これにより、記憶部64に格納されたフレームから、試料1の温度の変動が小さい連続する複数のフレームからなるフレーム
群を抽出することができる。
【0123】
画像生成部56は、記憶部64に記録されているX線信号データから、フレーム群抽出部54で抽出されたフレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、元素分布画像を生成する。
【0124】
制御部58は、温度制御部212を制御するための制御信号を生成する処理を行う。例えば、ユーザーの試料1(温度可変ホルダー210)の温度を設定する操作を操作部60が受け付けると、制御部58は、操作部60からの操作信号に基づき制御信号(温度制御部212を制御するための制御信号)を生成する。これにより、試料1の温度をユーザーの指定した温度にすることができる。
【0125】
2.2. 分析方法
次に、分析装置200による分析方法について、図面を参照しながら説明する。なお、分析装置200による分析方法の流れは、
図5に示すフローチャートと同様であり図示を省略する。
【0126】
まず、データ格納処理部52は、
図22に示すように、X線信号データ「D」および電子信号データ「S」を、位置情報データ「P」、経過時間情報データ「T」、温度情報データ「t」とともに、記憶部64に格納する(ステップS100)。
【0127】
次に、フレーム群抽出部54は、記憶部64に格納された温度情報データに基づきフレーム間の試料1の温度の変化を検出し、試料1の温度の変化に基づいて、フレーム群を抽出する(ステップS102)。
【0128】
例えば、ユーザーの元素分布画像を生成する処理を開始する操作を操作部60が受け付けると、フレーム群抽出部54は連続する複数のフレームからなるフレーム群を抽出するための処理を開始する。
【0129】
以下、フレーム群抽出部54におけるフレーム群を抽出する処理について説明する。
【0130】
図23は、試料1の温度の変化を示すグラフである。
図23に示すグラフは、フレームごとに、試料1の温度をプロットしたものである。
図23に示すグラフでは、横軸はフレームであり、紙面左から紙面右に向かって1回目の走査であるフレーム1から最終の走査であるフレームmまで順に並べられている。また、縦軸は、試料1の温度である。
【0131】
なお、各フレームの試料1の温度は、例えば、
図22に示すデータ列において、位置情報データ「P1」と、次に現れる位置情報データ「P1」と、の間で抽出された温度情報「t」の平均値とした。
【0132】
フレーム群抽出部54は、連続する2つのフレーム間の試料1の温度差に基づいて、フレーム群を抽出する。
【0133】
具体的には、フレーム群抽出部54は、フレーム1〜フレームmの試料1の温度に対して、次式に示す一次元差分フィルターをかけることで、試料1の温度の変化を検出する。
【0135】
ただし、Δt
nはn番目のフレームの温度の差分値であり、t
nはn番目のフレームの試料1の温度であり、t
n−1はn−1番目のフレームの試料1の温度である。
【0136】
図24は、各フレームの差分値Δt
nを示すグラフである。
図24に示すように、閾値+TS
t,−TS
t(ただしTS
t>0)を設定し、差分値Δt
nが閾値+TS
tと閾値−TS
tとの間に含まれるフレームが連続する範囲を抽出してフレーム群とする。すなわち、連続する2つのフレーム間の試料1の温度差が設定された閾値TS
t以下のフレームが連続する範囲を抽出してフレーム群とする。
図24に示す例では、連続する2つのフレーム間の試料1の温度差が設定された閾値TS
t以下のフレームが連続する範囲が3つ抽出されている。
【0137】
次に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、指定された元素(ROI)の元素分布画像を生成する(ステップS104)。
【0138】
画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Aを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。同様に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Bを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。同様に、画像生成部56は、記憶部64に格納されたX線信号データから、フレーム群Cを構成している複数のフレームのX線信号データ「D」を抽出し、ROI_1の元素分布画像、ROI_2の元素分布画像、ROI_3の元素分布画像を生成する。
【0139】
図25は、表示部62に表示された比較用ウィンドウ8を模式的に示す図である。画像生成部56は、フレーム群A、B,CのROI_1の元素分布画像6a−A,6a−B,6a−C、フレーム群A、B,CのROI_2の元素分布画像6b−A,6b−B,6b−C、フレーム群A、B,CのROI_3の元素分布画像6c−A,6c−B,6c−Cを比較用ウィンドウ8に表示する。また、画像生成部56は、フレーム群A,B,Cの二次電子像4−A,4−B,4−Cを生成し、比較用ウィンドウ8に表示する。このとき、画像生成部56は、フレーム群ごとに試料1の平均温度の情報を表示する。フレーム群における試料1の平均温度は、フレーム群を構成している複数のフレームに含まれる温度情報データの平均値である。
【0140】
また、
図25に示すように、比較用ウィンドウ8では、フレームバー9にカーソルCを合わせると、カーソルCで選択されたフレームの試料1の温度の情報がウィンドウWに表示される。
【0141】
分析装置200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0142】
分析装置200では、フレーム群抽出部54が記憶部64に格納された温度情報データに基づきフレーム間の試料1の温度の変化を検出し、フレーム間の試料1の温度の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する。そのため、測定中に試料1の状態が変化する試料の測定において、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、試料の温度が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。これにより、測定中に試料の温度に応じて元素分布が変化する試料を測定する際に、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、試料1の元素分布が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。
【0143】
分析装置200では、フレーム群抽出部54は、フレーム間の試料1の温度差に基づいて、フレーム群を抽出するため、試料1を繰り返し走査して得られたX線信号データから、試料の温度が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。
【0144】
なお、上述した実施形態では、分析装置200が試料1の温度を制御するための温度可変ホルダー210を備えている例について説明したが、分析装置200は、温度以外の試料1の環境を制御するための環境制御装置を備えていてもよい。このような環境制御装置としては、例えば、試料1が収容されている空間の圧力を制御するための圧力制御装置、試料1と反応させるための反応ガスの濃度を制御するための反応ガス制御装置等が挙げられる。
【0145】
この場合、データ格納処理部52は、温度情報データに変えて、温度以外の試料1の環境の情報である環境情報データを記憶部64に格納する処理を行う。このような試料1の環境の情報としては、試料1が収容されている空間の圧力の情報、反応ガスの濃度の情報等が挙げられる。このような分析装置では、データ格納処理部52が、X線信号データ等を、試料1の環境情報データとともに記憶部64に格納し、フレーム群抽出部54が環境情報データに基づきフレーム間の試料1の環境の変化を検出し、フレーム間の環境の変化に基づいて、フレーム群を抽出することができる。したがって、測定中に試料の状態が変化する試料の測定において、試料を繰り返し走査して得られたX線信号データから、試料の環境が変化する前後のX線信号データを抽出することができる。
【0146】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る分析装置について説明する。なお、第3実施形態に係る分析装置の構成は、
図21に示す分析装置200の構成と同じであり図示を省略する。以下、上述した第2実施形態に係る分析装置200の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0147】
第3実施形態に係る分析装置では、制御部58が記憶部64に格納されているX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、X線信号の変化に基づいて、温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御する。
【0148】
制御部58は、例えば、試料1の温度を一定の割合で変化させる制御を行っているときに、X線信号の強度が閾値以下になると、温度可変ホルダー210が試料1の温度を一定にする制御に切り替える。X線信号の強度は、例えば、指定された領域における指定されたエネルギー範囲(ROI)のX線信号の強度である。
【0149】
制御部58は、まず、試料1の温度を一定の割合で変化させる制御を行う。そして、制御部58は、記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号が変化したか否かを判定する。例えば、制御部58は、各フレームの指定されたROIカウントをモニターし、1番目のフレームのROIカウントに対して以降のフレームのROIカウントがX%以下になった場合に、X線信号が変化したと判定する。制御部58は、各フレームの指定されたROIカウントを、次式(2)に代入して、ROIカウントがX%以下になったか否か、すなわちROIカウントが変化したか否かを判定する。
【0151】
ただし、Cnはn番目のフレームのROIカウントであり、C1は1番目のフレームのROIカウントであり、Xは規定したパーセントである。
【0152】
図26は、指定されたROIカウントの変化および試料1の温度の変化を示すグラフで
ある。
図26に示すグラフでは、横軸はフレームであり、紙面左から紙面右に向かって1回目の走査であるフレーム1から最終の走査であるフレームmまで順に並べられている。また、縦軸は、ROIカウントであり、元素のX線強度に対応している。なお、
図26の閾値TS
Cは、TS
C=(100−X)/100)×C1である(上記式(2)の右辺)。
【0153】
制御部58は、
図26に示すように、1番目のフレームのROIカウントとn番目のフレームのROIカウントとの差が閾値TS
C以下になった場合(
図26の矢印参照)に、X線信号が変化したと判定する。そして、X線信号が変化したと判定された場合に、制御部58は試料1の温度が一定になるように、温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御する。
【0154】
なお、ここでは、制御部58は、1番目のフレームのX線信号の強度とn番目のフレームのX線信号の強度との差に基づいて判定を行ったが、2つの連続するフレームのX線信号の強度差に基づいて判定を行ってもよい(上記式(1)参照)。
【0155】
本実施形態に係る分析装置において、フレーム群抽出部54および画像生成部56は、例えば、上述した分析装置100と同様の動作を行う。フレーム群抽出部54は、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、
図26に示すフレーム群A,Bを抽出する。そして、画像生成部56は、記憶部64に格納されているX線信号データから、フレーム群Aを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して元素分布画像を生成し、フレーム群Bを構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して元素分布画像を生成する。
【0156】
なお、ここでは、制御部58がX線信号の強度の変化に基づいて温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御する例について説明したが、制御部58が電子像や元素分布画像の類似度に基づいて温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御してもよい(上述した「1.3. 変形例」参照)。
【0157】
第3実施形態に係る分析装置では、制御部58が記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御する。そのため、例えば、
図26に示すように、所定の温度で元素分布の変化を起こす試料であった場合に、その温度(所定の温度)を維持することができる。したがって、試料の信号が変化した温度において、電子線で試料1を繰り返し走査して試料1からのX線信号を検出することができる。これにより、試料1の状態が変化した後のX線信号データを得ることができる。
【0158】
第3実施形態に係る分析装置では、制御部58は、温度可変ホルダー210(温度制御部212)を制御して試料1の温度を変化させる処理と、記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号が変化したか否かを判定する処理と、X線信号が変化したと判定された場合に、試料1の温度を一定にする制御と、を行う。これにより、例えば、
図26に示すように、所定の温度で元素分布の変化を起こす試料であった場合に、その温度(所定の温度)を維持することができる。したがって、容易に、試料の元素分布が変化する前後のX線信号データを得ることができる。
【0159】
なお、本実施形態においても、分析装置200の例と同様に、試料1の環境の情報は、温度に限定されない。すなわち、本実施形態では、制御部58は、フレーム間のX線信号の変化に基づいて、上記環境制御装置を制御する。これにより、測定中に試料の状態が変化する試料の測定において、試料1のX線信号が所定の環境条件で変化した場合に、当該所定の環境条件を維持することができる。したがって、試料1のX線信号が変化した環境
条件において、電子線で試料1を繰り返し走査して試料1からの信号を検出することができる。これにより、試料1の状態が変化した後のX線信号データを得ることができる。
【0160】
また、本実施形態は、分析装置において、試料1を加工装置(FIB装置等)を用いて加工しながら分析する際に、制御部が加工装置を制御する場合にも適用することができる。
【0161】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。
図27は、第4実施形態に係る分析装置300を模式的に示す図である。以下、第4実施形態に係る分析装置において、第1〜3実施形態に係る分析装置の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0162】
分析装置300では、
図27に示すように、処理部50は、信号変化検出部55を含んで構成されている。信号変化検出部55は、記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出する。検出の対象となるX線信号の強度は、例えば、照射位置ごとの指定されたROIのX線信号の強度である。
【0163】
信号変化検出部55は、例えば、1番目のフレームのX線信号(ROIカウント)の強度とn番目のフレームのX線信号の強度との差から、X線信号の強度の変化を検出する(上記式(2)、
図26等参照)。信号変化検出部55は、例えば、ROIカウントが20%以下(式(2)のX=20)になった場合に、X線信号の強度が変化したと判定する。
【0164】
画像生成部56は、記憶部64に記録されているX線信号データに基づいて、指定されたROI(元素)の元素分布画像を生成する。画像生成部56は、記憶部64に記録されている全フレームを積算して、指定されたROI(元素)の元素分布画像を生成する。
【0165】
図28は、表示部62に表示されたメインウィンドウ2を模式的に示す図である。画像生成部56は、ROI_1の元素分布画像6aと、ROI_2の元素分布画像6bと、ROI_3の元素分布画像6cと、を生成し、メインウィンドウ2に表示させる。ここで、元素分布画像6a,6b,6cは、記憶部64に格納された全X線信号データから、指定された元素に対応するROIに含まれるX線信号データの数を、領域ごとに数えることで得られた画像である。すなわち、元素分布画像6a,6b,6cは、全フレームを積算して得られた画像である。
【0166】
画像生成部56は、元素分布画像6a,6b,6cにおいて、元素の種類(ROI)を色彩に対応させており、X線信号の強度を明度に対応させており、X線信号の変化を彩度に対応させている。画像生成部56は、例えば、ROI_1の元素分布画像6aを赤で表示し、ROI_1の元素分布画像6aを青で表示し、ROI_1の元素分布画像6aを緑で表示する。また、画像生成部56は、元素分布画像上において、例えばX線信号の強度が強い(ROIカウント数が多い)位置ほど明度を高くする。画像生成部56は、信号変化検出部55において、ある照射位置においてROI_1のX線信号の強度が変化したと判定された場合に、その照射位置に対応する元素分布画像上の位置の彩度を初期値である100%から80%に下げる。例えば、ROI_1の元素分布画像6aにおいて、測定中領域SAのROI_1に対応する元素のX線強度が減少した場合には、領域SAの彩度が他の領域に比べて低く表示される。
【0167】
なお、上記では、彩度の初期値を100%に設定しているが、彩度の初期値を50%にしてもよい。これにより、例えば、元素のX線強度が増加した場合には彩度を上昇させ、元素のX線強度が減少した場合には彩度を下げることができる。
【0168】
また、上記では、画像生成部56は、X線信号の強度が変化した場合に彩度を下げる処理を行ったが、X線信号の強度に応じて彩度を下げる処理をおこなってもよい。
【0169】
図29は、X線信号の強度に応じて彩度を下げる処理を説明するための図である。
図29に示すように、複数の閾値TS
C−1(式(2)のX=20),TS
C−2(式(2)のX=40),TS
C−3(式(2)のX=50)を設定し、画像生成部56は、|C
n−C
n−1|が閾値TS
C−1以下になった場合に、彩度を100%から80%に下げ、|C
n−C
n−1|が閾値TS
C−2以下になった場合に、彩度を80%から60%に下げ、|C
n−C
n−1|が閾値TS
C−3以下になった場合に、彩度を60%から40%に下げる処理を行う。
【0170】
また、上記では、信号変化検出部55は、照射位置ごとの指定されたROIのX線信号の強度を検出していたが、指定された領域における指定されたROIのX線信号の強度を検出してもよい。
【0171】
分析装置300は、例えば、以下の特徴を有する。
【0172】
分析装置300では、信号変化検出部55が記憶部64に格納されたX線信号データに基づきフレーム間のX線信号の変化を検出し、画像生成部56がX線信号データおよびフレーム間のX線信号の変化の検出結果に基づいて、元素分布画像を生成する。そして、画像生成部56は、X線信号の強度を元素分布画像の明度に対応させ、フレーム間のX線信号の変化の検出結果を元素分布画像の彩度に対応させて、元素分布画像を生成する。そのため、測定中に試料1の状態が変化したか否かを容易に判断することができる。
【0173】
5. 第5実施形態
次に、第5実施形態に係る分析装置について図面を参照しながら説明する。
図30は、第5実施形態に係る分析装置400を模式的に示す図である。以下、第5実施形態に係る分析装置において、第1実施形態に係る分析装置の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0174】
分析装置300では、
図1に示すように、処理部50は、フレーム群抽出部54を含んで構成されており、フレーム群抽出部54がX線信号の変化に基づいて、フレーム群を抽出する処理を行っていた。
【0175】
これに対して、分析装置400では、
図30に示すように、処理部50はフレーム群抽出部54を有していない。分析装置400では、操作部60がユーザーによる連続した複数のフレームからなるフレーム群を指定するための操作を受け付け、画像生成部56が操作部60からの操作情報に基づいて、記憶部64に格納されたX線信号データから、指定されたフレーム群を構成している複数のフレームのX線信号データを抽出して、元素分布画像を生成する。
【0176】
図31は、分析装置300のGUI(Graphical User Interface)画面402の一例を示す図である。
【0177】
図31に示すように、GUI画面402には、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を表示し変更するためのフレームバー9が表示されており、このフレームバー9上においてカーソル404でフレームの範囲を指定することで、各フレーム群A,B,Cを構成するフレームの範囲を指定することができる。フレームの範囲を指定する操作が行われると、画像生成部56は、指定されたフレーム群A,B,Cを構成するフレームの
範囲でX線信号データを抽出し、元素分布画像を生成する。
【0178】
分析装置400による分析方法について説明する。分析装置400では、
図5に示す分析装置100による分析方法と、フレーム群を抽出する工程(ステップS102)において、ユーザーがフレーム間のX線信号(または二次電子信号)の変化に基づいて、連続した複数のフレームからなるフレーム群を抽出する点が異なる。
【0179】
具体的には、ユーザーは、フレームごとに生成された元素分布画像を見てX線信号の変化を確認し、
図31に示すGUI画面のフレームバー9、カーソル404等を用いて、フレーム群を抽出する。このとき、ユーザーは、
図31に示すように複数のフレーム群(図示の例では、フレーム群A,B,C)を抽出することができる。
【0180】
分析装置400によれば、データ格納処理部52がX線信号データを位置情報データとともに、記憶部64に格納し、操作部60が連続した複数のフレームからなるフレーム群を指定するための操作を受け付け、画像生成部56が、操作部60からの操作信号に基づいて、記憶部64に格納されたX線信号データから、指定されたフレーム群を構成している複数のフレームの信号データを抽出して、画像を生成する。そのため、測定中に試料の状態が変化する試料の測定において、試料のX線信号が変化する前後のデータを抽出することができる。
【0181】
なお、ユーザーは、フレームごとに生成された二次電子像を見てフレーム間の二次電子像の変化を確認し、フレーム間の二次電子像の変化(類似度)に基づいてフレーム群を抽出してもよい。
【0182】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0183】
上述した実施形態では、分析装置100,200,300,400がEDS検出器40を備えた走査電子顕微鏡(SEM)である例について説明したが、本発明に係る分析装置は、荷電粒子線で試料を繰り返し走査して試料からの信号を検出し、試料を分析する装置であればよい。このような分析装置としては、波長分散型X線検出器(WDS検出器)が搭載された走査電子顕微鏡、EDS検出器、WDS検出器、および電子エネルギー損失分光器(EELS)の少なくとも1つが搭載された走査透過電子顕微鏡(STEM)等が挙げられる。ここで、本願発明に係る分析装置として、走査透過電子顕微鏡を用いる場合、試料からの信号は試料1を透過した透過電子信号を含み、電子信号データ「S」(
図2参照)は透過電子信号を透過電子検出器で検出して得られたデータである。
【0184】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0185】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。