【実施例】
【0101】
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作製および使用するかの完全なる開示および説明を提供するように提示され、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されておらず、以下の実験が全てまたは唯一の実行される実験であると示すようにも意図されていない。使用される数値(例えば、量、温度等)に対する正確さを確保する努力がなされているが、いくつかの実験によるエラーおよび偏差が計上されるはずである。別途示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、セ氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。
【0102】
本明細書において引用される全ての出版物および特許出願は、各個別の出版物または特許出願が、明確かつ個別に参照により組み込まれることが示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
本発明は、本発明者により本発明の実践に好ましい様式を含むことが発見または提示された具体的実施形態に関して説明されている。当業者には、本開示に照らして、本発明の意図される範囲から逸脱せずに、例示された具体的実施形態に数々の修正および変更が行われてもよいことが理解される。例えば、コドンの冗長性により、タンパク質配列に影響を与えずに、基本となるDNA配列に変更を行うことができる。さらに、生物学的な機能的均等性の考慮により、種類または量において生物学的作用に影響を与えずに、タンパク質構造に変更が行われ得る。すべてのそのような修正は、添付される特許請求の範囲内であるよう意図されている。
【0104】
タンパク質発現および精製: ヒトCD47のIgSF ドメイン(残基19〜135)およびヒトSIRPαの第1のIgSF ドメインの変異体(残基31〜148)を、C末端8×ヒスチジンタグを有するpAcGP67にクローニングし、組み換えバキュロウイルスを使用してHi5細胞に発現させた。CD47 IgSF ドメイン上の遊離システインをグリシンに変異させた。タンパク質を、Ni−NTAクロマトグラフィーおよびSuperdex−75カラム上でのゲル濾過により、HBSに精製した(10mM Hepes pH7.4、150mM NaCl)。ビオチン化タンパク質を生成するために、C末端ビオチン受容体ペプチド(BAP)−LNDIFEAQKIEWHEタグを添加し、過剰のビオチン(100μm)を有するBirAリガーゼでタンパク質を共発現させた。結晶化のために、SIRPα変異体FD6を、N末端マルトース結合タンパク質(MBP)タグを有する大腸菌ペリプラズム内で発現させ、これを3Cプロテアーゼでの処置により除去した。CD47 IgSF ドメインを、キフネンシンの存在下でHi5細胞中でEndoFで共発現させ、グリコシル化を除去した。
【0105】
ヒトIgG4およびIgG2 Fc鎖への融合としての、SIRPα変異体タンパク質の発現のために、SIRPα変異体をpFUSE−hIgG4−Fc2およびpFUSE−hIgG2−Fc2ベクター(Invivogen)内に、IL2シグナル配列とのフレーム内でクローニングした。SIRPα変異体融合タンパク質を、293fectin(Invitrogen)によるトランスフェクション後に、Freestyle 293−F細胞(Invitrogen)内で発現させた。96時間のタンパク質発現後に上清を回収し、HiTrapタンパク質Aカラム(GE Healthcare)上で精製した。
【0106】
FD6:CD47複合体の結晶化および構造決定: 大腸菌由来FD6および脱グリコシル化昆虫由来CD47を、1:1の比で混合し、カルボキシペプチダーゼAおよびBで処置し、続いてSuperdex−75カラム上でHBAにゲル濾過した。複合体を22mg/mLに濃縮し、シッティングドロップにおける蒸気拡散により、0.1μLのタンパク質を等しい体積の2.0M硫酸アンモニウム、0.1MトリスpH7.3を添加することによって結晶化させた。回折試験は、Advanced Light Sourceで行われた。結晶構造を、PHASERによる分子置換で解き、PHENIXおよびCOOTを使用して精密化した。
【0107】
表面プラズモン共鳴: Biacore T100機器において、25℃でSPR実験を行った。実験は、Biacore SAセンサチップ(GE Healthcare)を使用し、ビオチン化CD47を約150RUの表面密度で捕捉した。非関連ビオチン化タンパク質を、一致するRUを有するSAセンサチップの参照表面として、実験表面に固定した。流通緩衝液[1×HBS−P(GE Healthcare)]中の非ビオチン化SIRPα変異体の一連の希釈物を、50μL/分の速度でチップ上に流動させた。2M MgCl
2の3回の30秒注入を使用して、CD47を再生した。1:1ラングミュア結合モデルを用い、Biacore T100評価ソフトウェアバージョン2.0を使用してデータを分析した。
【0108】
癌細胞系統および培養条件: Jurkat細胞(ATCC)およびDLD−1細胞(ATCC)を、RPMI(Invitrogen)+10%ウシ胎仔血清(Omega Scientific)+1%GlutaMax(Invitrogen)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Invitrogen)中で維持した。Jurkat細胞を懸濁液中に維持し、一方DLD−1細胞を接着性単一層として維持した。両方の細胞系統を、コンフルエンスに達するまで、3〜4日の通常の間隔で継代した。GFP−ルシフェラーゼ+細胞系統を作製するために、JurkatおよびDLD−1細胞を、pCDH−CMV−MCS−EF1−puro HIV系レンチウイルスベクター(Systems Bioscience)から得られたルシフェラーゼ2(Promega)−eGFP発現レンチウイルスで形質導入した。BD FACSAria IIフローサイトメーターを使用して、細胞をGFP+細胞に関して分類し、親系統と同じ様式で培養物中に維持した。
【0109】
ヒト癌細胞に結合するSIRPα変異体の評価: GFP+Jurkat細胞をPBS中で洗浄し、次いで、滴定濃度のビオチン化SIRPα変異体と共に、氷上で30分間インキュベートした。4:1モル比のビオチン化野生型SIRPαおよびストレプトアビジンを氷上で15分間インキュベートすることにより、野生型SIRPα四量体を事前に形成した。細胞をFACS緩衝液(PBS+2%FBS)中で洗浄し、次いで、Alexa Fluor 647に複合化した50nMのストレプトアビジンと共に、氷上で20分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、次いで、Accuri C6フローサイトメーターを使用して、フローサイトメトリーによりSIRPα変異体結合に関して分析した。野生型SIRPαからCD47への遮断を評価するために、50nMの野生型SIRPα四量体を、滴定濃度のCD47遮断剤と共に、氷上で30分間インキュベートした。抗CD47クローンB6H12(eBioscience)を、遮断の陽性対照として使用した。データは、GraphPad Prism 5を使用して分析した。最大SIRPα変異体結合は、各変異体に対して測定された最大平均蛍光強度のパーセンテージを表す。
【0110】
マクロファージ誘導体化および培養: ヒトマクロファージの誘導体化のために、白血球減少系チャンバを、Stanford Blood Centerから、匿名のドナーから得た。遠心分離により、Ficoll Paque Premium(GE Healthcare)密度勾配で末梢血単核細胞を得た。CD14+マイクロビーズ(Miltenyi)およびAutoMACS Pro Separator(Miltenyi)を使用して、CD14+単球を精製した。IMDM+GlutaMax(Invitrogen)+10%ABヒト血清(Invitrogen)+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中での7日間の培養により、単球をマクロファージに分化させ、その時点でそれらを食作用アッセイに使用した。
【0111】
C57Bl/Ka Rosa26−mRFP1形質転換マウスから骨髄を単離し、10μg/mLマウスM−CSF(Peprotech)を添加したRPMI(Invitrogen)+10%FBS+1%GlutaMax+1%ペニシリン/ストレプトマイシン中で培養することにより、マウスマクロファージを得た。7日間の分化後、マクロファージを回収し、食作用アッセイに使用した。
【0112】
インビトロ食作用アッセイ: インビトロ食作用アッセイは、マウスおよびヒトマクロファージを使用して行った。フローサイトメトリーによる評価のために、96ウェル組織培養プレートにおいて、ウェル当たり約50,000マクロファージを添加した。200,000GFP+腫瘍細胞を、血清不含培地中で、抗体またはSIRPα変異体治療薬と共に30分間プレインキュベートし、次いでマクロファージを添加した。オプソニン化のために、抗CD47クローン2D3(eBioscience)およびセツキシマブ(Bristol−Myers Squibb)を、説明されるように使用した。マクロファージおよび標的細胞を、5%二酸化炭素を含有する加湿した37℃インキュベータ内で2時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄し、プレートから除去し、フローサイトメトリー用に調製した。DAPI(Invitrogen)での染色により、死細胞を分析から除外した。Alexa Fluor 647複合化抗ヒトCD14(BioLegend)での染色により、ヒトマクロファージを同定した。高スループットサンプラーを有するBD Biosciences LSRFortessaを使用して、試料を分析した。GFP+マクロファージにより表現される腫瘍細胞を貪食しているマクロファージのパーセンテージを、FlowJo 7.6.4(Treestar)を使用して決定した。
【0113】
インビトロでの食作用の可視化のために、50,000マクロファージを24ウェルプレートに播種した。腫瘍細胞を、5μM CFSE(Invitrogen)で、製造者のプロトコルに従い標識化した。200,000CFSE+腫瘍を、抗体またはSIRPα変異体処置で、血清不含培地中で30分間処置し、マクロファージに添加し、次いで、37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルを広範囲に洗浄し、残留標的細胞を除去した。その後、倒立型蛍光顕微鏡(Leica DMI6000 B)を使用して、ウェルを可視化した。食作用指標は、マクロファージ当たりの標的細胞の数に100を乗じてスコア化した。
【0114】
結果。異種移植免疫不全マウスを処置するインビボ実験は、高親和性SIRPα−Fc試薬による処置が、腫瘍増殖を遮断したことを示している。ルシフェラーゼ発現HL60白血病細胞が移植されたマウスは、可溶性SIRP試薬で処置された。ルシフェラーゼ−HL60細胞から放出される放射輝度により測定される全身腫瘍組織量は、バックグラウンドレベルまで降下したが、これは腫瘍細胞の排除を示しており、一方、IgG対照処置マウスにおいては、放射輝度が増加し、腫瘍増殖の増加を反映している。結果は、hu5F9抗CD47abに関して観察される結果と同等であった。これらのデータは、高親和性可溶性SIRPα試薬が、HL60細胞上のCD47に結合し、細胞の食作用および排除を可能とすることにより、「貪食拒否(don’t eat−me)シグナル」の効果的な遮断において抗CD47抗体と同等であることを示している。
【0115】
実施例2
高親和性SIRPαは、癌細胞のマクロファージ食作用の閾値を低下させる
免疫系を回避する腫瘍の能力は、癌の新たな特徴であり、癌細胞に対する免疫反応を誘導する新たな治療戦略が、実験および臨床の場において有望である。マクロファージは一般に腫瘍に浸潤し、最近の研究では、CD47が、マクロファージ媒介破壊を回避するために多くの種類の癌において高度に発現する抗食作用的「貪食拒否(don’t eat me)シグナル」として特定されている。マクロファージ上の阻害受容体であるSIRPαに対するCD47の結合を遮断する抗体は、癌細胞の食作用を大きく増加させ、抗腫瘍免疫治療による操作に対する興味深い新たな軸を特定している。指向進化およびタンパク質改質を使用して、SIRPαの結合ドメインを修飾したが、その野生型親和性は、CD47の高親和性競合的拮抗剤として治療上有用となるには弱すぎる。
【0116】
我々は、野生型SIRPαに比べ約50,000倍の親和性の増加を伴ってCD47に結合する、SIRPα変異体を作製した。多量体高親和性SIRPα−Fc融合タンパク質として生成された場合、変異体は、インビトロで食作用を誘導し、インビボでヒト腫瘍の増殖を低減するための単一薬剤として機能する。単一ドメイン高親和性SIRPα単量体は、それ自身では最大食作用を誘導するのに十分ではないが、併用療法において与えられると、確立された治療モノクローナル抗体の有効性を大きく向上させる。CD47は、腫瘍細胞が免疫系を回避するために使用する波及メカニズムであるため、本研究において生成された分子は、単剤療法および他の標的生物製剤へのアジュバントの両方として、数多くの癌患者に有益である。
【0117】
理想的なCD47拮抗剤を生成するために、タンパク質改質を使用して、CD47に対する可溶性SIRPαの親和性を改善した(
図1A)。我々は、酵母表面ディスプレイのために、Aga2pに複合化したSIRPαのN末端VセットIgドメインの変異ライブラリを作製した(
図1B)。選択試薬としてCD47 IgSFドメインを使用して、我々は、2つの「世代」のインビトロ進化を行った。第1世代は、2つのクラスのSIRPα残基、すなわちCD47に接触するもの、または疎水性コア内に存在するものへの無作為化を含むプールされた変異ライブラリからの5ラウンドの選択を伴った(
図5A)。得られた第1世代のSIRPα変異体は、表面プラズモン共鳴により測定されるように、野生型SIRPαよりも20〜100倍高い親和性でCD47に結合した。さらに高い親和性の変異体を得るために、我々は、第1世代の選択物において変異した13残基の完全適用を達成したライブラリを構築することにより、第2世代の指向進化を実行した。さらなる5ラウンドの選択の後、我々は、解離定数(K
D)が34.0pMまで低く、減衰半減期(t
1/2)が44分まで長い(野生型SIRPαに対する0.3〜0.5μMのK
D および1.8秒のt
1/2と比較して)、CD47に結合した変異体を得た(
図1C)。興味深いことに、高親和性SIRPα変異体の配列は、変異のコンセンサスセットに収束した。我々がこれらの9つの保存的置換を主要な野生型SIRPα対立遺伝子(対立遺伝子2)にグラフトすると、得られる変異体(CV1、コンセンサス変異体1と呼ばれる)は、11.1pMの親和性でCD47に結合した(
図1C)。
【0118】
CV1配列は、野生型対立遺伝子に比べ、以下のアミノ酸変化を有する:V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66T;V92I。CV1は、例えば、以下のようにd1ドメインアミノ酸配列を含んでもよい:
(配列番号10)EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS
【0119】
高親和性SIRPα変異体が野生型タンパク質と同様のCD47結合構造を保持するかを理解するために、我々は、高親和性変異体FD6とCD47 IgSF ドメインとの間の複合体の結晶構造を決定した(
図1D)。FD6:CD47複合体は、僅か0.613Åの標準偏差で野生型SIRPα:CD47複合体と重なり、これは、高度な構造類似性を示し、野生型相互作用の構造を保存する我々の取り組みの正当性を実証している(
図1E)。FD6および野生型SIRPαのCD47に対する重複した結合様式は、それらが、同じCD47エピトープに対して競合し、それにより最大の潜在的拮抗作用を提供することを示している。顕著な違いとして、FD6のC’Dループは、コンセンサス配列に存在する4つの接触変異のうち3つを含有する(
図1E)。我々は、これらの変異がC’Dループを安定化し、これがArg53の正電荷をCD47上のグルタミン酸のクラスタ内に位置付けると推測している(
図1E)。FD6とCD47との間の結合界面の残りは、野生型SIRPα:CD47界面と極めて類似しており、最も顕著な例外は、Ile31からPheへの変異である。これらの構造的試験は、高親和性SIRPα変異体が有効なCD47拮抗剤として作用し得ることを示している。
【0120】
高親和性SIRPα変異体の機能的特性を試験するために、我々は、まず、癌細胞の表面上のCD47に結合し拮抗するその能力を検査した。我々は、増加したCD47親和性を有するSIRPα変異体が、細胞表面CD47に結合し(
図8a、c)、遮断する(
図2aおよび
図8b)上で、より大きな効力を示すことを発見した。単一ドメイン単量体として、FD6およびCV1変異体は両方とも、野生型SIRPαと比べて強力な拮抗作用を示した。重要なことに、両方の高親和性変異体は、インビトロおよびインビボにおいて治療有効性を示す十分特性決定されたCD47拮抗剤である抗CD47抗体クローンB6H12から生成されたFab断片より強力なCD47拮抗剤であった(
図8a)。
【0121】
次に、我々は、CD47遮断剤の存在下でマクロファージおよび腫瘍細胞を共培養することにより、インビトロで食作用を増加させる高親和性SIRPα変異体の能力を評価した。ヒトIgG4(hIgG4)のFc断片への融合タンパク質として、高親和性SIRPα変異体は、顕微鏡法により可視化されるように、癌細胞の食作用の劇的な増加をもたらした(
図2b)。食作用の定量的測定値を得るために、初代ヒトマクロファージおよびGFP
+腫瘍細胞を、CD47遮断剤と共培養し、次いでフローサイトメトリーにより分析した(
図2c)。固形および血液悪性腫瘍の両方を発現する複数癌細胞系統を使用して、我々は、飽和濃度の高親和性SIRPα−hIgG4変異体による処置が、野生型SIRPα−hIgG4対照と比べて、食作用の劇的な増加をもたらすことを発見した(
図2d)。高親和性SIRPα−hIgG4変異体およびアイソタイプ適合抗CD47抗体は、飽和濃度において同等レベルの食作用をもたらしたが(
図2d)、高親和性SIRPα変異体は、用量反応曲線を生成するために滴定されると明確な利点を示した(
図2e)。FD6−hIgG4およびCV1−hIgG4の高い親和性は、EC
50の減少に対応していたが、これは、食作用のより強力な誘導を示している。
【0122】
興味深いことに、飽和濃度の高親和性SIRPα単量体による処置後には、食作用の実質的な増加は観察されなかった(
図2d)が、これは、CD47の遮断だけでは、最大の食作用を誘導するのに不十分であることを示唆している。結果として、我々は、高親和性SIRPα単量体による処置が、腫瘍特異的モノクローナル抗体の存在下で食作用の閾値を低下させるという仮説を立てた。この仮説を調査するために、我々は、DLD−1細胞、すなわちヒト結腸癌細胞株を標的化する抗体を使用して食作用アッセイを行った。高親和性SIRPα単量体が、単独または非特異的アイソタイプ対照抗体と組み合わせて添加されると、基礎レベルの食作用が観察された(
図2f)。
【0123】
CD47に結合するがSIRPαとの相互作用を遮断しない抗CD47クローン2D3、または抗EpCam抗体による処置は、中程度のレベルの食作用をもたらした。しかしながら、両方の抗体処置に高親和性SIRPα単量体FD6を添加すると、マクロファージは、食作用の顕著な増加を示した(
図2f)。したがって、CD47の遮断は、他の活性化刺激、例えば抗体Fcの存在下で、マクロファージ食作用の閾値を低下させる。
【0124】
この原理の臨床的意義を実証するために、我々は、現在癌治療薬として使用されている確立されたモノクローナル抗体の有効性を向上させる、高親和性SIRPα単量体の能力を調査した。まず、抗EGFR抗体セツキシマブで処置されたDLD−1結腸癌細胞を使用して、食作用アッセイを行った。単独、野生型SIRPα単量体と組み合わせた、または高親和性SIRPα単量体と組み合わせた滴定濃度のセツキシマブに応じた食作用を評価した。単独または野生型SIRPα単量体と組み合わせたセツキシマブの両方と比べ、セツキシマブおよび高親和性SIRPα単量体の組み合わせは、セツキシマブの最大の有効性および効力の両方の大幅な増加をもたらした(
図2g)。滴定濃度の抗CD20抗体リツキシマブで処置されたRajiリンパ腫細胞を用いて食作用を評価した際にも同様の効果が観察された(
図2h)。この場合も、高親和性SIRPα単量体は、リツキシマブの最大の有効性および効力の両方を増加させた。臨床の場において、モノクローナル抗体は、しばしば、限定された反応を達成するのみであり、処置後にぶり返すことが一般的である。高親和性SIRPα単量体は、腫瘍特異的抗体に対する普遍的アジュバントとして作用することにより、これらの問題に対する解決策を提供する。
【0125】
次に、我々は、マウス腫瘍モデルを使用して、高親和性SIRPα変異体のインビボでの有効性を評価した。進行期のヒト結腸癌の侵攻性モデルとして、GFP−ルシフェラーゼ
+DLD−1細胞を、NSGマウスの腹腔にグラフトした(
図3a)。生物発光画像法によりグラフトを確認した後、単剤療法としてビヒクル対照または高親和性SIRPα変異体CV1−hIgG4による毎日の処置を開始した。全フラックスの生物発光監視により、CV1−hIgG4による処置の最初の週の間の腫瘍増殖速度の中程度の減少が明らかであり(
図9)、これは、経時的に大幅な生存率の利点をもたらした(
図3b)、赤血球喪失は、抗マウスCD47抗体による処置後に観察される主要な副作用であることから、我々は、同様の疾患に対して、CV1−hIgG4処置マウスの血液を検査した。フローサイトメトリーにより、CV1−hIgG4は、血液中の全ての細胞に結合し(
図3c)、ヘマトクリットの中程度の減少をもたらした(
図3d)ことが明らかとなった。しかしながら、以前に観察されたように、長期的処置は、さらなる毒性を引き起こさなかった。
【0126】
CV1−hIgG4は、単一薬剤として抗腫瘍有効性を示したため、我々は、次に、現在標的生物製剤が存在しない癌の種類であるヒト膀胱癌のモデルにおけるその有効性を評価した。GFP−ルシフェラーゼ
+639−V膀胱癌細胞を、NSGマウスの背側皮下組織に注射した。生物発光画像法によりグラフトを確認し、マウスをビヒクル対照またはCV1−hIgG4による毎日の処置の群に無作為化した。CV1−hIgG4による処置は、生物発光画像法により評価されるように、腫瘍増殖速度を実質的に低減した(
図3e、f)。第1の対照処置マウスの死亡直前に腫瘍体積を評価したが、この時点で全ての対照マウスにおいて大きな腫瘍が測定可能であり、CV1−hIgG4処置マウスにおいては、識別可能な腫瘍は確認されなかった(
図3g)。したがって、全ての対照マウスが死亡した時に処置を中止した後であっても、生存率における著しい利点が観察された(
図3h)。
【0127】
以前に観察されたように、CV1−hIgG4による処置は、赤血球指数の減少をもたらした(
図10a)。CV1−hIgG4処置マウスはまた、腫瘍グラフト部位の周囲に明確な間質組織を発達させた。この組織の組織病理学的検査では、マクロファージを含有する広範囲の炎症性浸潤物に埋没した微小な腫瘍小結節が明らかであった(
図10b、c)。
【0128】
次に、我々は、高親和性SIRPα単量体のインビボでのアジュバント効果を調査した。ヒトリンパ腫の局在化モデルにおいて、GFP−ルシフェラーゼ+Raji細胞を、NSGマウスの脇腹に皮下グラフトした。生物発光画像法によりグラフトを確認した後、マウスを、ビヒクル、CV1単量体単独、リツキシマブ単独、またはリツキシマブおよびCV1単量体の組み合わせによる毎日の処置の3週間のコースの群に無作為化したCV1単量体またはリツキシマブ単独による処置は、腫瘍増殖を低減しただけであり、一方併用療法による処置は、大半のマウスにおいて 腫瘍を劇的に根絶した(
図4a、b、c)。処置期間中、顕著な赤血球減少は観察されなかった。(
図11a、b、c)。各治療の効果は、生存率曲線におけるそれぞれの傾向に変換された(
図4d)。意外なことに、高親和性SIRPα単量体を腫瘍特異的モノクローナル抗体と組み合わせる相乗効果は、処置が中止された後であっても、大半の動物において長期持続的治癒をもたらした(
図4d)。
【0129】
高親和性SIRPα変異体の開発は、タンパク質レベルでの分子工学から始まって、精製された免疫エフェクター細胞を使用したインビトロ検証、および最終的には動物モデルにおける治療評価に至るまでの、集学的な合理的薬物設計への取り組みである。以前の研究は、癌に対する免疫介入としてCD47−SIRPα相互作用を標的化することの価値を実証したが、我々はここで、治療薬として最適な特性を示す極めて有効で強力なCD47拮抗剤を生成するために、この系をさらに操作した。
【0130】
我々のインビトロおよびインビボでの所見は、癌に対するマクロファージの活性、および免疫調節治療に対するその反応への新たな洞察を提供する。高親和性SIRPα単量体において観察されたように、CD47単独の遮断は、最大の食作用を誘導するのに不十分である。同様に、CD47がマクロファージ上のSIRPαを介して自由に阻害シグナルを伝達する場合、モノクローナル抗体はその最大の有効性を達成しない。しかしながら、マクロファージは、表面結合抗体Fcの存在下でCD47が高親和性SIRPα単量体により遮断されると、強固に刺激される。高親和性SIRPα−Fc融合タンパク質および抗CD47抗体は、CD47遮断成分および食作用促進抗体Fcを単一分子に組み合わせ、したがってそれらは単一薬剤としての有効性を示すが、標的外毒性のより高い可能性を有する。一方、高親和性SIRPα単量体と別個の抗腫瘍モノクローナル抗体、例えばリツキシマブとの組み合わせは、特に抗腫瘍反応を向上させる。この戦略は、明確な利益、具体的には識別可能な毒性の欠如を提供するが、最大反応の達成は、臨床的に認可されたモノクローナル抗体の利用可能性および有効性に依存する。
【0131】
最近の報告は、野生型SIRPα−Fc融合タンパク質がヒト白血病を処置するために使用され得ることを示唆した。しかしながら、我々の研究は、野生型SIRPαとCD47との間の弱い親和性が、そのような治療の可能性を制限することを示している。他の者により観察された効果は、マクロファージが内毒素およびインターフェロン−γにより事前活性化された場合にのみ食作用が現れるため、CD47拮抗作用とは対照的に、主としてFcの食作用促進効果により媒介されると考えられる。インビボにおいて、野生型ヒトSIRPαとマウスCD47との間の交差反応性の欠如は、人間における処置および毒性を不十分にモデル化し、身体の全ての細胞上のCD47発現に起因して大きな「抗原シンク」が存在する。
【0132】
高親和性SIRPα試薬は、さらなる改質が可能な新規クラスの抗腫瘍生物製剤を構成する。修飾は、有効性、特異性、組織浸透度、クリアランス、および毒性を改変するように設計され得る。さらに、多くの腫瘍はCD47を過剰発現し、発現レベルは、低い患者予後と相関するため、高親和性SIRPα変異体は、癌用の非侵襲性造影剤として適合され得る。CD47は、免疫系を回避するために腫瘍細胞により一般的に使用され、したがって、高親和性SIRPα変異体は、様々な人間の癌に対する有益な治療薬となり得る。高親和性SIRPα−Fc融合タンパク質は、単一薬剤としての有効性を示し、したがって、現在標的療法が存在しない癌の治療薬として特に有用となり得る。さらに、高親和性SIRPα単量体は、従来のモノクローナル抗体治療に対する普遍的アジュバントとして使用され得る。全体として、本研究は、悪性細胞に対するマクロファージ反応の我々の知識を深め、高親和性SIRPα試薬の癌の免疫ベース治療薬としての使用を支持する。
【0133】
方法
タンパク質発現および精製。 C15G変異およびC末端8ヒスチジンタグを有するCD47 IgSFドメイン(残基1〜117)を、バキュロウイルスを使用してイラクサギンウワバ(Hi−5)細胞から分泌させ、Ni−NTAおよびSuperdex−75カラムを有するサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。結晶学のためのグリカン最小化CD47を生成するために、キフネンシンの存在下でCD47をエンドグリコシダーゼ−H(endoH)と共発現させた。MBPタグおよびC末端8ヒスチジンタグの後にライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位を含有する修飾pMal−p2X発現ベクター(New England Biolabs)を使用して、単量体SIRPα変異体(残基1〜118)をBL−21(DE3)大腸菌のペリプラズム内にMBP融合体として発現させた。細胞を、1mM IPTGで0.8のOD
600で誘導し、振盪と共に22℃で24時間インキュベートした。浸透圧衝撃によりペリプラズムタンパク質を得、ニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)クロマトグラフィーを使用してMBP融合タンパク質を精製した。溶出したタンパク質は、3Cプロテアーゼにより4℃で12時間分解させてMBPを除去し、追加的なNi−NTAクロマトグラフィーステップにより、続いてSuperdex−S75カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィーによりさらに精製した。インビトロ食作用アッセイおよびインビボ実験のために、以前に説明されたようにTriton X−114を使用して内毒素を除去し、ToxinSensor Chromogenic LAL Endotoxin Assay Kit(Genscript)を使用して内毒素除去を確認した。SIRPα−Fc融合体は、SIRPα変異体をIL−2シグナル配列および改質されたSer228 Pro変異を有する修飾pFUSE−hIgG4−Fcベクター(Invivogen)にクローニングすることにより生成した。タンパク質は、Freestyle 293−F細胞(Invitrogen)における一時的トランスフェクションにより発現させ、HiTrap Protein Aカラム(GE Healthcare)上で精製した。キメラ抗CD47クローンB6H12−hIgG4は、CHO細胞(Lonza)における好適な発現により、組み換え生成した。
【0134】
ビオチン化CD47およびSIRPαを得るために、カルボキシ末端ビオチン受容体ペプチドタグ(GLNDIFEAQKIEWHE)でタンパク質を発現させ、上述のように精製した。精製されたタンパク質をBirAリガーゼでインビトロでビオチン化し、次いで、サイズ排除クロマトグラフィーにより反応混合物から再精製した。
【0135】
B6H12のFab断片の調製。 B6H12抗体を、20mMクエン酸ナトリウムpH6.0、25mMシステイン、5mM EDTAに脱塩し、4mg/mLの濃度に希釈した。次いで、抗体を、抗体1mL当たり250μLの固定フィシン樹脂(Thermo Scientific)と混合し、37℃で5時間回転させながらインキュベートした。反応混合物をmonoQカラムに通過させ(B6H12 Fabは通過物に存在した)、続いてSuperdex−20カラムを用いたゲル濾過により、分解された断片を精製した。
【0136】
酵母ディスプレイおよびSIRPα変異体のライブラリ生成。 以前に説明されたように、pCT302ベクターを使用して、Aga2へのC末端融合体として、SIRPαのN末端Vセットドメイン(残基1〜118)を、S.セレビシエ株EBY100の表面上に提示した。縮重コドンを有する以下のプライマーセットを使用して、プールされた第1世代のライブラリを、それぞれSIRPαのCD47−接触残基および疎水性「コア」残基を無作為化する2つの別個のアセンブリPCR反応により生成した:接触残基PCRプライマーセット、無作為化Ser29=RST、Leu30=NTT、Ile31=NTT、Pro32=CNT、Val33=NTT、Gly34=RST、Pro35=CNT、Gln52=SAW、Lys53=ARG、Glu54=SAW、Ser66=RST、Thr67=RST、Lys68=ARG、Arg69=ARG、Phe74=NTT、Lys93=ANG、Lys96=ANG、Gly97=RST、Ser98=RST、およびAsp100=RAS:
(配列番号11)5’GAGGAGGAGCTGCAGGTGATTCAGCCTGACAAGTCCGTATCAGTTGCAGCT3’;(配列番号12)5’GGTCACAGTGCAGTGCAGAATGGCCGACTCTCCAGCTGCAACTGATACGGA3’;(配列番号13)5’CTGCACTGCACTGTGACCRSTNTTNTTCNTNTTRSTCNTATCCAGTGGTTCAGAGGA3’;(配列番号14)5’ATTGTAGATTAATTCCCGGGCTGGTCCAGCTCCTCTGAACCACTGGAT3’;(配列番号15)5’CGGGAATTAATCTACAATSAWARGSAWGGCCACTTCCCCCGGGTAACAACTGTTTCAGAG3’;(配列番号16)5’GTTACTGATGCTGATGGAAANGTCCATGTTTTCCYTCYTASYASYCTCTGAAACAGTTGTTAC3’;(配列番号17)5’TCCATCAGCATCAGTAACATCACCCCAGCAGATGCCGGCACCTACTACTGTGTG3’;(配列番号18)5’TCCAGACTTAAACTCCGTWTYAGGASYASYCNTCCGGAACNTCACACAGTAGTA GGTGCC3’;(配列番号19)5’ACGGAGTTTAAGTCTGGAGCAGGCACTGAGCTGTCTGTGCGTGCCA AACCCTCT3’
【0137】
「コア」残基PCRプライマー、無作為化Leu4、Val6、Val27、Ile36、Phe38、Leu47、Ile49、Tyr50、Phe57、Val60、Met72、Phe74、Ile76、V92、Phe94、およびPhe103からNTT:
(配列番号20)5’GGATCCGAGGAGGAGNTTCAGNTTATTCAGCCTGACAAGTCCGTATCAGTTGCAGCT GGAGAG3’;(配列番号21)5’GGGCCCCACAGGGATCAGGGAGGTAANAGTGCAGTGCAGAATGGCCGA CTCTCCAGCTGCAAC3’;(配列番号22)5’CTGATCCCTGTGGGGCCCNTTCAGTGG NTTAGAGGAGCTGGACCAGCCCGGGAA3’;(配列番号23)5’GTGGCCTTCTTTTTGATTAANAANAA NTTCCCGGGCTGGTCCAGC3’;(配列番号24)5’AATCAAAAAGAAGGCCACNTTCCCC GGNTTACAACTGTTTCAGAGTCCACAAAGAGAGAAAAC3’;(配列番号25)5’GCCGGCATCTG CTGGGGTGATGTTACTGATGCTAANGGAAANGTCAANGTTTTCTCTCTTTGTGGA3’;(配列番号26)5’ACCCCAGCAGATGCCGGCACCTACTACTGTNTTAAGNTTCGGAAAGGGAGCCCTGACACGGAG3’,(配列番号27)5’AGAGGGTTTGGCACGCACAGACAGCTCAGTGCCTGCTCCAGACTTAANCTCCGTGTCAGGGCTCCC3’。
PCR産物を、pCT302ベクターとの相同性を含有するプライマーでさらに増幅し、線形化pCT302ベクターDNAと組み合わせ、EBY100酵母に共電気穿孔した。得られたライブラリは、4.0・10
8 の形質転換体を含有した。
【0138】
第2世代のライブラリを、第1世代のライブラリと同一に生成および形質転換したが、以下のプライマー、無作為化Leu4=NTT、Val6=NTT、Val27=NTT、Ile31=WYT、Glu47=SWA、Lys53=ARG、Glu54=SAK、His56=CNT、Ser66=RST、Lys68=ARG、Val92=NTT、Phe94=NTT、Phe103=NTTを用いてアセンブルした:
(配列番号28)5’GGATCCGAGGAGGAGNTTCAGNTTATTCAGCCTGACAAGTCCGTATC3’;(配列番号29)5’GTGCAGTGCAGAATGGCCGACTCTCCAGCTGCAACTGATACGGACTTGTCAGGCTGAA3’;(配列番号30)5’CATTCTGCACTGCACTNTTACCTCCCTGWYTCCTGTGGGGCCCATCCAG3’;(配列番号31)5’CGGGCTGGTCCAGCTCCTCTGAACCACTGGATGGGCCCCACAGG3’;(配列番号32)5’GAGCTGGACCAGCCCGGSWATTAATCTACAATCAAARGSAKGGCCNTTTCCCCCGGGTAACAACTGTTTCAGAG3;(配列番号33)5’GAAAAGTCCATGTTTTCTCTCYTTGTASYCTCTGAAACAGTTGTTAC3’;(配列番号34)5’AGAGAAAACATGGACTTTTCCATCAGCATCAGTAACATCACCCCAGCAGATGCC GGCAC3’;(配列番号35)5’CTCCGTGTCAGGGCTCCCTTTCCGAANCTTAANACAGTAGTAGGTGCCGGCATC TGCTG3’、(配列番号36)5’GAGCCCTGACACGGAGNTTAAGTCTGGAGCAGGCACTGAGCTGTCTGTGCGTGCCAA ACCCTCT3’。得られたライブラリは、2×10
8の形質転換体を含有した。
【0139】
第1世代のライブラリの選択。 形質転換された酵母を、SDCAA液体培地中で30℃で増殖させ、SGCAA液体培地中で20℃で誘導した。全ての選択ステップは、4℃で行った。第1ラウンドの選択において、ライブラリ形質転換体の数の10倍の範囲を表す4×10
9の誘導酵母を、5mL PBE(0.5%ウシ血清アルブミンおよび0.5mM EDTAが添加されたリン酸緩衝生理食塩水)中に懸濁させた。酵母を、ビオチン化CD47で事前にコーティングされた500μLの常磁性ストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi)と混合し、混合物を回転させながら1時間インキュベートした。5,000gで5分間の遠心分離により、酵母をペレット化し、10mL PBEで2回洗浄した。磁気標識化酵母を、5mLのPBEに懸濁させ、製造者の指示に従い(Miltenyi)、LS MACSカラムで分離した。溶出した酵母をペレット化し、SDCAA培地に再懸濁させ、次のラウンドの選択のために増殖させた。第1のラウンドと同様に、以下の修正と共に4つの追加的な選択ラウンドを行った:1×10
8の酵母を、FITC標識化抗c−Myc抗体(Miltenyi)、または、1μmから100nMの連続低下濃度のビオチン化CD47タンパク質を含有する、500μLのPBEに再懸濁させた。1時間のインキュベーション後、酵母をPBEで洗浄し、CD47による選択のために、ストレプトアビジン−PE(Invitrogen)またはストレプトアビジン−Alexa Fluor 647(独自に生成)で15分間標識化した。酵母をさらに2回PBEで洗浄し、50μLの適切な抗フルオロフォアマイクロビーズ(抗FITC、抗PE、または抗Alexa Fluor 647;Miltenyi)で15分間、磁気標識化した。酵母を1回洗浄し、3mLのPBEに再懸濁させ、第1ラウンドと同様にLSカラムで分離した。
【0140】
第2世代のライブラリの選択。 第2世代のライブラリの最初の2ラウンドの選択においては、第1世代の選択のラウンド2から5の場合と同様に、単量体ビオチン化CD47で酵母を選択した。リガンド枯渇を避けるためにより大量の染料体積(10mL PBE)を使用して、第1ラウンドは、20nMのビオチン化CD47で選択し、第2ラウンドは、1nMのビオチン化CD47で選択した。全ての後続の選択ラウンドにおいては、動力学的選択を行った。簡潔に説明すると、20nMビオチン化CD47で1時間酵母を染色し、PBEで洗浄し、次いで1μMの非ビオチン化CD47を含有する500μLのPBE中に懸濁させた。細胞を25℃で90分間(ラウンド3)または300分間(ラウンド4および5)インキュベートし、その後それらを氷冷PBEで洗浄し、蛍光標識ストレプトアビジンで染色した。ラウンド1から4においては、第1世代ライブラリに関して説明したように、MACSを使用して酵母を分離した。第5ラウンドの選択においては、FITC標識化抗c−Mycおよびストレプトアビジン−Alexa Fluor 647で酵母を共標識化し、FACSAria細胞選別機(BD Biosciences)で選択した。
【0141】
表面プラズモン共鳴(SPR)。 Biacore T100を用いて25℃で実験を行った。Nanodrop2000分光計(Thermo Scientific)を用い、タンパク質濃度を280nMの吸光度により定量化した。Biacore SAセンサチップ(GE Healthcare)を使用して、ビオチン化CD47 (R
max〜150RU)を捕捉した。非関連ビオチン化タンパク質を、基準表面のRU値と一致するRU値で固定し、非特異的結合を制御した。HBS−P+緩衝液(GE Healthcare)中のSIRPα変異体の連続希釈液により、測定を行った。CD47表面を、2M MgCl
2の3回の60秒注入により再生した。1:1ラングミュア結合モデルを用い、Biacore T100評価ソフトウェアバージョン2.0を使用して、全てのデータを分析した。
【0142】
FD6:CD47複合体の結晶化および構造決定。 グリカン最小化CD47および大腸菌由来FD6を、1:1の比で混合し、カルボキシペプチダーゼAおよびBで分解し、そのC末端8×ヒスチジンタグを除去した。分解したFD6:CD47複合体を、Superdex−75カラムを用いてHEPES緩衝生理食塩水(HBS;10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl)へのゲル濾過により精製し、22mg/mLに濃縮した。等体積の2.0M硫酸アンモニウムおよび0.1MトリスpH7.3への0.1μLタンパク質の添加により結晶を得、パラフィン油中で凍結防止した。Advanced Light Source (Berkeley、CA、USA)において、ビームライン8−2で回折試験を行った。異方性1.9Åデータセットを得て、HKL−3000で処理した。FD6:CD47複合体を、Protein Data Bank受託コード2JJSからのCD47およびSIRPαの個々のモデルとの分子置換により解いた。PHENIXを用いて精密化を行い、COOTでモデル調整を行った。溶媒補正には、バルク溶媒平滑化(bulk solvent flattening)を使用した。最初の精密化は、剛体、座標、および実空間精密化と共に、個別の原子転移パラメータ精密化を使用した。その後の精密化の繰り返しにおいて、TLS精密化を追加した。
【0143】
細胞系統およびGFP−ルシフェラーゼ+形質導入。 DLD−1細胞(ATCC)、HT−29細胞(ATCC)、Raji細胞(ATCC)、Jurkat細胞(ATCC)、および639−V細胞(DSMZ)を、10%ウシ胎仔血清(Omega Scientific)、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したRPMI+GlutaMax(Invitrogen)中で培養した。GFP−ルシフェラーゼ
+系統を、eGFP−ルシフェラーゼ2(pgl4)融合タンパク質を発現するように改質されたpCDH−CMV−MCS−EF1 puro HIV系レンチウイルスベクター(Systems Biosciences)を使用した形質導入により生成した。FACSAria II細胞選別機(BD Biosciences)上でのGFP発現の選別により、安定な系統を形成した。
【0144】
細胞ベースCD47結合アッセイ。 様々な濃度のビオチン化SIRPα単量体、SIRPα−hIgG4融合タンパク質、または抗CD47抗体を、示されたように癌細胞と共にインキュベートした。ビオチン化単量体の結合は、2次染色試薬として100nM Alexa Fluor 647複合化ストレプトアビジンを使用して検出し、Accuri C6フローサイトメーター(BD Biosciences)上で分析した。SIRPα−hIgG4融合タンパク質または抗CD47抗体の結合は、ヤギ抗ヒトIgG抗体(Invitrogen)で検出し、高スループットサンプラー(BD Biosciences)を有するLSRFortessa上で分析した。データは、各クラスの試薬の最大結合に正規化された平均傾向強度を表し、点は、Prism 5(Graphpad)を使用して、S字用量反応曲線にフィッティングされた。
【0145】
細胞ベースCD47遮断アッセイ。 ビオチン化WTa1d1 SIRPαを、Alex Fluor 647複合化ストレプトアビジンと共にインキュベートし、WTa1d1 SIRPα四量体を形成した。100nM WTa1d1 SIRPα四量体を、滴定濃度のCD47拮抗剤と組み合わせ、50,000GFP−ルシフェラーゼ+Raji細胞に同時に添加した。細胞を4℃で30分間インキュベートし、次いで洗浄して未結合四量体を除去した。試料をDAPI(Sigma)で染色して死細胞を除外し、高スループットサンプラーを有するLSRFortessa(BD Biosciences)を使用して蛍光を分析した。データは、最大四量体結合に正規化されたFlowJo v9.4.10(Tree Star)を使用して分析された幾何平均蛍光強度を表し、Prism 5(Graphpad)を使用して、S字用量反応曲線にフィッティングされた。
【0146】
マクロファージ誘導体化および食作用アッセイ。 白血球減少系(LRS)チャンバを、Stanford Blood Centerから、匿名のドナーから得て、末梢血単核細胞を、Ficoll−Paque Premium(GE Healthcare)上で密度勾配遠心分離により濃縮した。単球をAutoMACS (Miltenyi)上で抗CD14マイクロビーズ(Miltenyi)を使用して精製し、10%AB−ヒト血清(Invitrogen)ならびに100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を添加したIMDM+GlutaMax(Invitrogen)中での7〜10日間の培養により、マクロファージに分化させた。50,000マクロファージの100,000GFP+腫瘍細胞との2時間の共培養により食作用アッセイを行い、次いで、高スループットサンプラーを有するLSRFortessa細胞分析機(BD Biosciences)を使用して分析した。処置に使用された抗体は、IgG1アイソタイプ対照(eBioscience)、抗CD47クローン2D3(eBioscience)、抗EpCam(BioLegend)、セツキシマブ(Bristoll−Myers Squibb)、およびリツキシマブ(Genentech)を含んでいた。マクロファージは、抗CD14、抗CD45、または抗CD206抗体(BioLegend)を使用したフローサイトメトリーにより同定した。死細胞は、DAPI(Sigma)での染色により、分析から除外された。食作用は、FlowJo v9.4.10(Tree Star)を使用して、GFP
+マクロファージのパーセンテージとして評価し、各細胞系統に対するそれぞれの独立したドナーによる最大反応に正規化された。統計的有意性は、二元配置ANOVAおよびBonferroniの事後試験により決定し、示される場合には、データは、Prism 5(Graphpad)を使用して、S字用量反応曲線にフィッティングされた。
【0147】
食作用の生細胞画像化。 RFP
+マウスマクロファージを生成し、以前に説明したように、生細胞画像化アッセイにおいて評価した。簡潔に説明すると、骨髄細胞をC57BL/K
a Rosa26 mRFP1形質転換マウスから単離し、10ng/mLマウスM−CSF(Peprotech)中で分化させた。500,000Raji細胞を0.5?M CFSE(Invitrogen)で標識化し、50,000RFP+マクロファージと共培養し、37℃および5%二酸化炭素に平衡化されたBioStation IMQ(Nikon)を使用して画像化した。
【0148】
マウス。Nod.Cg−Prkdc
scid IL2rg
tm1Wjl/SzJ(NSG)マウスを、全てのインビボ実験に使用した。約6〜10週齢でマウスに腫瘍をグラフトし、8〜15のマウスの年齢および性別一致コホートで実験を行った。マウスは、Stanford Veterinary Services Centerのケアの下、バリア施設内に維持し、Stanford University Administrative Panel on Laboratory Animal Careにより認可されたプロトコルに従い取り扱った。
【0149】
腫瘍モデル。 ヒト結腸癌をモデル化するために、1・10
5GFP−ルシフェラーゼ+DLD−1細胞を、NSGマウスの腹腔内に注入した。腫瘍小結節を、DFC500カメラ(Leica)を備えるM205FA蛍光解剖顕微鏡(Leica)上で可視化した。25%Matrigel(BD Biosciences)中で1.25・10
5GFP−ルシフェラーゼ
+639−V細胞をNSGマウスの背側皮下組織内にグラフトすることにより、膀胱癌をモデル化した。ヒトリンパ腫の局在化モデルにおいて、1・10
6GFP−ルシフェラーゼ
+Raji細胞を、下脇腹に皮下グラフトした。全てのモデルにおいて、処置は、グラフトの確認後に開始し、示されたように継続した。全ての処置において、200μgのSIRPα変異体または抗体を、毎日のスケジュールで腹腔内注射により投与した。生物発光画像法により腫瘍増殖を監視し、腫瘍寸法を測定して、楕円の式(π/6・長さ・幅
2)に従って体積を計算した。統計的有意性は、Mann−Whitney試験またはKruskal−WallisおよびDunnの事後試験により適宜決定した。生存率は、Mantel−Cox試験により分析した。
【0150】
血液学的分析。 後眼窩静脈叢(retro−orbital plexus)から血液を採取し、二カリウム−EDTA Microtainer管(BD Biosciences)内に収集した。HemaTrue分析機(Heska)を使用して、血液学的パラメータを評価した。統計的有意性は、二元配置ANOVAおよびBonferroniの事後試験により決定した。マウス全血に対するSIRPα−Fc変異体の結合は、Alexa Fluor 647ヤギ抗ヒトIgG抗体(Invitrogen)を使用したフローサイトメトリーにより決定した。
【0151】
生物発光画像法。 麻酔されたマウスに、無菌PBS中16.67mg/mLで再構成した200μLのD−ルシフェリン(蛍)カリウム塩(Biosynth)を注射した。生物発光画像法は、20分にわたりIVIS Spectrum(Caliper Life Sciences)を使用して行い、最大放射輝度を記録した。ピーク全フラックス値は、Living Image 4.0(Caliper Life Sciences)を使用して対象解剖領域から評価し、分析に使用した。
【0152】
タンパク質配列。 本明細書に記載の実施例において使用されたタンパク質の中には、以下が含まれる:
ヒトIgG4のCH2、CH3およびヒンジ領域、ならびに高親和性SIRPα FD6のd1ドメインを含む、FD6−hIgG4(FD6は下線付き、ヒトIgG4 S228Pは太字):
(配列番号40)
EEEVQIIQPDKSVSVAAGESAILHCTITSLFPVGPIQWFRGAGPARVLIYNQRQGPFPRVTTISETTRRENMDFSISISNITPADAGTYYCIKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPSAAAPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG4のCH2、CH3およびヒンジ領域、ならびに高親和性SIRPαCV1のd1 ドメインを含む、CV1−hIgG4(CV−1は下線付き、ヒトIgG4S228Pは太字)。CV1アミノ酸置換は、ヒト野生型対立遺伝子2上に「構築」されていることに留意されたい:
(配列番号41)
EEELQIIQPDKSVLVAAGETATLRCTITSLFPVGPIQWFRGAGPGRVLIYNQRQGPFPRVTTVSDTTKRNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCIKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPSAAAPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG2のCH2、CH3およびヒンジ領域、ならびに高親和性SIRPα FD6のd1ドメインを含む、FD6−hIgG2(FD6は下線付き、ヒトIgG2は太字):
(配列番号42)
EEEVQIIQPDKSVSVAAGESAILHCTITSLFPVGPIQWFRGAGPARVLIYNQRQGPFPRVTTISETTRRENMDFSISISNITPADAGTYYCIKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPSAAAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGMEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
ヒトIgG2のCH2、CH3およびヒンジ領域、ならびに高親和性SIRPα CV−1のd1ドメインを含む、CV1−hIgG2(CV−1は下線付き、ヒトIgG2は太字):
(配列番号43)
EEELQIIQPDKSVLVAAGETATLRCTITSLFPVGPIQWFRGAGPGRVLIYNQRQGPFPRVTTVSDTTKRNNMDFSIRIGNITPADAGTYYCIKFRKGSPDDVEFKSGAGTELSVRAKPSAAAVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGMEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
GCN4ロイジン(leuzine)ジッパー融合体:
GCN4に融合したFD6のd1ドメインを含み、ロイシンジッパー機能を使用して二量体化する、FD6−ジッパー(FD6は下線付き、GCN4ロイシンジッパーは太字):
(配列番号44)
EEEVQIIQPDKSVSVAAGESAILHCTITSLFPVGPIQWFRGAGPARVLIYNQRQGPFPRVTTISETTRRENMDFSISISNITPADAGTYYCIKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPSAAARMKQLEDKVEELLSKNYHLENEVARLKKLVGAASGAD
コンカタマーコンストラクト:
FD6コンカタマー(FD6は下線付き、GGGGSGGGGSリンカー、FD6は下線付き)
(配列番号45)
EEEVQIIQPDKSVSVAAGESAILHCTITSLFPVGPIQWFRGAGPARVLIYNQRQGPFPRVTTISETTRRENMDFSISISNITPADAGTYYCIKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPSGGGGSGGGGS
EEEVQIIQPDKSVSVAAGESAILHCTITSLFPVGPIQWFRGAGPARVLIYNQRQGPFPRVTTISETTRRENMDFSISISNITPADAGTYYCIKFRKGSPDTEFKSGAGTELSVRAKPS
【0153】
選択された配列の表
【表1】
【0154】
例示的な実施形態
1. 高親和性SIRPαポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、SIRPα膜貫通ドメインを欠き、野生型SIRPα配列に比べて少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、CD47に結合するSIRPαポリペプチドの親和性を増加させる、高親和性SIRPαポリペプチド。
2. 前記高親和性SIRPαポリペプチドは、CD47に対し少なくとも1×10
−9MのK
Dを有する、実施形態1に記載のポリペプチド。
3. 前記高親和性SIRPαポリペプチドは、CD47に対し少なくとも1×10
−10MのK
Dを有する、実施形態1に記載のポリペプチド。
4. 前記ポリペプチドは、SIRPαのd1ドメイン内に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
5. 前記SIRPα d1ドメインの全てまたは一部からなる、実施形態4に記載のポリペプチド。
6. d1ドメインの外のSIRPαからのアミノ酸配列を含む、実施形態4に記載のポリペプチド。
7. アミノ酸修飾は、SIRPαの疎水性コア残基のセット内のアミノ酸の1つ以上でなされる、実施形態4に記載のポリペプチド。
8. 前記疎水性コア残基のセットは、配列番号1に比べて、L4、V6、V27、I36、F39、L48、I49、Y50、F57、V60、M72、F74、I76、V92、F94およびF103を含む、実施形態7に記載のポリペプチド。
9. アミノ酸修飾は、CD47と相互作用する接触残基のセット内のアミノ酸の1つ以上でなされる、実施形態4に記載のポリペプチド。
10. 前記接触残基のセットは、配列番号1に比べて、A29、L30、I31、P32、V33、G34、P35、Q52、K53、E54、S66、T67、K68、R69、F74、K93、K96、G97、S98、およびD100を含む、実施形態9に記載のポリペプチド。
11. アミノ酸残基は、組み合わされた接触残基のセットおよび疎水性コア残基のセット内の2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、および14個以下のアミノ酸で修飾される、実施形態4に記載のポリペプチド。
12. アミノ酸修飾は、残基L4、V6、A21、V27、I31、E47、K53、E54、H56、S66、K68、V92、F94、およびF103、またはそれらの組み合わせを制限なく含むセット内のアミノ酸の1つ以上でなされる、実施形態4に記載のポリペプチド。
13. (1)L4V;L4I;(2)V6I;V6L;(3)A21V;(4)V27I;V27L;(5)I31T;I31S;I31F;(6)E47V;E47L;(7)K53R;(8)E54Q;(9)H56P;H56R;(10)S66T;S66G;(11)K68R;(12)V92I;(13)F94L;F94V;(14)V63I;および(15)F103Vから選択される少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、実施形態12に記載のポリペプチド。
14. ・V27IまたはV27L;K53R;S66TまたはS66G;K68R;およびF103V、
・L4VまたはL4I;V27IまたはV27L;E47VまたはE47L;K53R;E54Q;S66TまたはS66G;K68R;V92I;およびF103V、
・L4VまたはL4I;V6IまたはV6L;A21V;V27IまたはV27L;I31T、I31SまたはI31F;E47VまたはE47L;K53R;H56PまたはH56R;S66TまたはS66G;K68R;およびF94LまたはF94V、
・V6IまたはV6L;V27IまたはV27L;I31T、I31S、またはI31F;E47VまたはE47L;K53R;E54Q;H56PまたはH56R;S66TまたはS66G;V92I;およびF94LまたはF94V、
・L4VまたはL4I;A21V;V27IまたはV27L;I31T、I31S、またはI31F;E47VまたはE47L;K53R;E54Q;H56PまたはH56R;S66TまたはS66G;F94LまたはF94V;およびF103V、
・L4VまたはL4I;V6IまたはV6L;V27IまたはV27L;I31T、I31S、またはI31F;E47VまたはE47L;K53R;H56PまたはH56R;S66TまたはS66G;K68R;V92I;およびF94LまたはF94V、
・L4VまたはL4I;V6IまたはV6L;I31T、I31S、またはI31F;E47V、またはE47L;K53R;H56PまたはH56R;S66T、またはS66G;V92I;およびF103V、
・V6I;V27I;I31F;E47L;K53R;E54Q;H56P;およびS66T、
・L4V;V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;V63I;S66T;K68R;およびV92I、
・V6I;V27I;I31T;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66G;K68R;V92I;およびF103V、
・V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66T;およびV92I
から選択されるアミノ酸修飾を含む、実施形態13に記載のポリペプチド。
15. ・(配列番号3)に示されるような{V27I;K53R;S66T;S66G;K68R;F103V};
・(配列番号4)に示されるような{L4V;V27L;E47V;K53R;E54Q;S66G;K68R;V92I};
・(配列番号5)に示されるような{L4V;V6I;A21V;V27I;I31T;E47L;K53R;H56P;S66T;K68R;F94L};
・(配列番号6)に示されるような{V6I;V27I;I31S;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66G;V92I;F94L};
・(配列番号7)に示されるような{L4I;A21V;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56R;S66G;F94V;F103V};
・(配列番号8)に示されるような{L4V;V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;H56R;S66G;K68R;V92I;F94L};または
・(配列番号9)に示されるような{L4V;V6L;I31F;E47V;K53R;H56P;S66G;V92I;F103V
・例えば配列番号37に示されるような{V6I;V27I;I31F;E47L;K53R;E54Q;H56P;S66T}、
・例えば配列番号38に示されるような{L4V;V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;V63I;S66T;K68R;V92I}、
・例えば配列番号39に示されるような{V6I;V27I;I31T;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66G;K68R;V92I;F103V}、
・例えば配列番号10に示されるような{V6I;V27I;I31F;E47V;K53R;E54Q;H56P;S66T;V92I}
から選択されるアミノ酸修飾を含む、実施形態13に記載のポリペプチド.
16. 免疫グロブリンFc配列に融合した、実施形態1〜15のいずれか一項に記載のポリペプチド。
17. 前記高親和性SIRPαポリペプチドは、多量体である、実施形態1〜16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
18. 前記高親和性SIRPαポリペプチドは、単量体である、実施形態1〜16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
19. 実施形態1〜18のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む治療製剤。
20. 検出可能な標識をさらに含む、実施形態1〜18のいずれか一項に記載のポリペプチド。
21. CD47を発現する細胞の食作用を調節する方法であって、前記細胞を実施形態19の製剤と接触させることを含む方法。
22. 前記細胞を腫瘍特異的抗体と接触させることをさらに含む、実施形態21に記載の方法。
23. 前記接触させることは、インビトロである、実施形態21に記載の方法。
24. 前記接触させることは、インビボである、実施形態21に記載の方法。
25. CD47を発現する前記細胞は、癌細胞である、実施形態18に記載の方法。
26. 腫瘍を画像化する方法であって、がん細胞を実施形態20に記載のポリペプチドと接触させることを含む方法。