(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783387
(24)【登録日】2020年10月23日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】ユーザ機器装置が基地局からのMACメッセージを要求するための方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20201102BHJP
【FI】
H04W36/08
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-518976(P2019-518976)
(86)(22)【出願日】2017年10月10日
(65)【公表番号】特表2019-537326(P2019-537326A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】US2017055900
(87)【国際公開番号】WO2018071397
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】62/406,721
(32)【優先日】2016年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/407,243
(32)【優先日】2016年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コムストック デイビッド
【審査官】
▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/156655(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0181493(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0127955(US,A1)
【文献】
ETRI,Remaining Issues on Running Stage 2 CR[online], 3GPP TSG-RAN WG2#95bis R2-166577,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_95bis/Docs/R2-166577.zip>,2016年 9月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置が、前記ターゲット基地局に対して、RRC接続再構成完了メッセージを送信することと、
前記UE装置が、前記RRC接続再構成完了メッセージを送信した後、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信することと、を含む方法。
【請求項2】
前記ターゲット基地局が、前記RRC接続再構成完了メッセージを前記UE装置から受信することに応答して、前記UE競合解決識別MAC制御要素を前記UE装置に送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UE装置が、前記UE競合解決識別MAC制御要素を受信したとき、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ユーザ機器(UE)装置を含み、
前記UE装置は、
ソース基地局からターゲット基地局への前記UE装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、RRC接続再構成完了メッセージを送信する送信部と、
前記RRC接続再構成完了メッセージを送信した後、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信する受信部と、を備える、システム。
【請求項5】
前記ターゲット基地局は、前記RRC接続再構成完了メッセージを前記UE装置から受信することに応答して、前記UE競合解決識別MAC制御要素を前記UE装置に送信する送信部を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記UE装置は、さらに、前記UE競合解決識別MAC制御要素を受信したとき、前記RACHレスハンドオーバ手順を完了する制御部を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
ユーザ機器(UE)装置であって、
ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、RRC接続再構成完了メッセージを送信する送信部と、
前記RRC接続再構成完了メッセージを送信した後、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信する受信部と、を含む、UE装置。
【請求項8】
ユーザ機器(UE)装置を制御するプロセッサであって、
ソース基地局からターゲット基地局へのユーザ機器(UE)装置のRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記ターゲット基地局に対して、RRC接続再構成完了メッセージを送信する処理と、
前記RRC接続再構成完了メッセージを送信した後、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記ターゲット基地局から受信する処理と、を実行する、プロセッサ。
【請求項9】
基地局であって、
ユーザ機器(UE)装置を他の基地局から前記基地局へのRACH(Random Access Channel)レスハンドオーバ手順において、前記UE装置からRRC接続再構成完了メッセージを受信する受信部と、
前記RRC接続再構成完了メッセージの受信に応じて、UE競合解決識別MAC(Media Access Control)制御要素を前記UE装置に送信する送信部と、を含む、基地局。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2016年10月11日に出願された、発明の名称が「METHOD OF UE REQUESTS FOR MAC MESSAGES FROM AN ENB」である仮出願番号第62/406,721号と、2016年10月12日に出願された、発明の名称が「METHODS FOR A UE TO REQUEST MAC MESSAGES FROM AN ENB」である仮出願番号第62/407,243号と、に対する優先権を主張し、それらの全てが本出願の譲受人に譲渡されており、それらの全体が参照により本明細書に明示的に援用されている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に無線通信に関し、より詳細には基地局からのメッセージを要求するユーザ機器装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のシステムでは、ソース基地局(例えば、ソースeNB)からターゲット基地局(例えば、ターゲットeNB)へのユーザ機器(UE)装置のハンドオーバは、ソース基地局がハンドオーバ要求メッセージをターゲット基地局に送信すること(例えば、ハンドオーバを開始するため)と、ターゲット基地局がそれに応答してメッセージを送信することと、を伴う。ソース基地局は、ターゲット基地局の上りリンクリソースをUE装置にシグナリングし、UE装置は、RACH(Random Access Channel)手順に上りリンクリソースを利用する。UE装置がターゲット基地局にハンドオーバされた後、UE装置は、RACH手順の一部として、ターゲット基地局に上りリンク信号を送信する。ターゲット基地局は、UE装置の上りリンク送信がハンドオーバ後にターゲット基地局に同期されるために必要なTA(Timing Advance)を計算するために、UE装置から受信した上りリンク信号を使用する。ターゲット基地局は、RACH手順の一部として、ターゲット基地局への上りリンクアクセスを得るためにUE装置に必要とされる上りリンクリソースと共に、TAをRAR(Random Access Response)メッセージでシグナリングする。UE装置は、UE装置がRARメッセージをいつ受信したかに基づいて、UE装置のハンドオーバ手順がいつ完了したかを判断する。
【発明の概要】
【0004】
ハンドオーバ手順がRACH手順を含まない場合(RACHレスハンドオーバ)に、ソース基地局からターゲット基地局へのハンドオーバを実行するために、UE装置は、ターゲット基地局がMAC(Media Access Control)メッセージを送信すべきであるという要求を生成する。いくつかの例では、要求はRRC(Radio Resource Control)接続再構成完了メッセージと共に送信され得る。他の例では、UE装置からターゲット基地局に送信されるRRC接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージは、MACメッセージをターゲット基地局がUE装置に送信すべきであるという暗黙の要求として機能する。要求はまた、要求を受信することに応答してターゲット基地局が送信する特定のMAC制御要素を指定し得る。要求を受信すると、ターゲット基地局は、要求された場合、TA情報と共に要求されたMACメッセージをUE装置に送信する。UE装置は、要求されたMACメッセージがターゲット基地局からいつ受信されるかに少なくとも部分的に基づいて、ハンドオーバがいつ完了したかを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1は、基地局がMACメッセージをUE装置に送信することをUE装置が要求する場合の通信システムのブロック図の一例である。
【0006】
図2Aは、
図1に示される基地局の一例のブロック図である。
【0007】
図2Bは、
図1に示されるUE装置の一例のブロック図である。
【0008】
図3Aは、
図1に示される様々なシステム構成要素間で交換されるメッセージの一例のメッセージング図である。
【0009】
図3Bは、MACプロトコルデータユニット構造の一例のブロック図である。
【0010】
図4は、MACメッセージを基地局がUE装置に送信することを、UE装置が要求する方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来のシステムにおいてハンドオーバ中にターゲット基地局によってUE装置に提供されるTA(Timing Advance)は、ハンドオーバ後にUE装置の上りリンク送信がターゲット基地局に同期されるために必要とされる。上りリンク送信がターゲット基地局に適切に同期されていない場合、ターゲット基地局は送信を検出および復号することができないであろう。しかしながら、従来のシステムの1つの欠点は、ハンドオーバ手順が開始された後にTA決定ステップが実行されることであり、これは、例えば、ハンドオーバ中にTAを決定する必要がない場合、ハンドオーバ手順の完了するために必要とされる時間量を不必要に増加させる。
【0012】
ハンドオーバ手順を完了するために必要とされる時間を短縮するために、例えば、ハンドオーバ中にTAを決定する必要がない場合、RACHレスハンドオーバを使用することができる。本明細書で使用される際には、用語「RACHレスハンドオーバ」は、ハンドオーバ中にユーザ機器(UE)装置によるターゲット基地局(例えば、ターゲットeNB)へのRACH(Random Access Channel)の送信をスキップすることを指す。RACH手順はハンドオーバ遅延のかなりの部分であるので、RACHレスハンドオーバはハンドオーバ手順の遅延を大幅に改善する。しかしながら、RACH手順が実行されない場合、ターゲット基地局がUE装置からの上りリンク送信を検出し復号することができるように、UE装置に対するTAを決定するための代替方法が必要とされる。したがって、通常はUE装置からのRACHメッセージを受信したことに応答してターゲット基地局によって送信されるRAR(Random Access Response)メッセージに含まれる、TAおよび上りリンク許可などの情報を提供するための代替方法が必要とされる。さらに、代替方法は、UE装置のハンドオーバがいつ正常に完了したかを判断できる方法をUE装置に提供しなければならず、これは従来のシステムではRARメッセージを受信することによって判断される。
【0013】
本明細書で説明される例は、ソース基地局によってUE装置に送信さRRC(Radio Resource Control)接続再構成メッセージで、上りリンク送信のための上りリンク許可をターゲット基地局に送信することを含む。UE装置は、RRC接続再構成メッセージを受信すると、MACメッセージをターゲット基地局がUE装置に送信すべきであるという要求を生成する。UE装置は、RRC接続再構成メッセージで受信された上りリンク許可を使用して要求を送信する。
【0014】
いくつかの例では、要求はRRC接続再構成完了メッセージと共に送信することができ、他の例では、RRC接続再構成完了メッセージ自体が暗黙の要求として働く。要求を受信すると、ターゲット基地局は、要求された場合、TA情報と共に要求されたMACメッセージをUE装置に送信する。UE装置は、要求されたMACメッセージがターゲット基地局からいつ受信されるかに少なくとも部分的に基づいて、ハンドオーバがいつ完了したかを判定する。MACメッセージで受信された不要な情報は、UE装置によって破棄される可能性がある。
【0015】
図1は、MACメッセージを基地局がUE装置に送信することをUE装置が要求する場合の通信システムのブロック図の一例である。通信システム100は、無線アクセスネットワークの一部である様々な基地局のそれぞれのサービスエリア内に位置するUE装置に様々な無線サービスを提供する無線アクセスネットワーク(図示せず)の一部である。
【0016】
明確さと簡潔さのために、通信システム100はソース基地局102およびターゲット基地局104のみを有するように示されている。しかしながら、他の例では、通信システム100は任意の適切な数の基地局を有することができる。
図1の例では、ソース基地局102のサービスエリア(セル)の少なくとも一部は、セル108によって表され、ターゲット基地局104のサービスエリア(セル)の少なくとも一部は、セル112によって表される。セル108、112は楕円で表されているが、一般的な通信システム100は複数のセルを有し、各セルは様々な形状の地理的サービスエリアを有する。eNodeBまたはeNBと呼ばれることもある基地局102、104は、それぞれ下りリンク信号110、114をUE装置106に送信することによって、無線ユーザ機器(UE)装置106と通信する。基地局102、104は、UE装置106から送信された上りリンク信号118、120を受信する。UE装置106は、例えば、携帯電話、トランシーバモデム、携帯情報端末(PDA)、タブレット、またはスマートフォンなどの任意の無線通信装置である。
【0017】
基地局102、104は、既知の技術に従ってバックホール(図示せず)を介してネットワークに接続されている。
図2Aに示すように、ソース基地局102は、制御部204、送信部206、および受信部208、ならびに他の電子機器、ハードウェア、およびコードを含む。
図2Aは、ソース基地局102の回路構成を具体的に示しているが、同一の基地局回路構成は、通信システム100のターゲット基地局104に利用される。基地局102は、本明細書で説明される機能を実行する任意の固定、モバイル、またはポータブル機器である。基地局102を参照して説明されるブロックの様々な機能および動作は、任意の数の装置、回路、または要素で実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一装置に統合されてもよく、任意の単一装置で実行されるものとして説明される機能は、いくつかの装置にわたって実施されてもよい。
【0018】
図2Aに示すように、基地局102は、システム導入時に特定の場所に設置される固定装置または器具であってもよい。そのような機器の例には、固定基地局または固定トランシーバ局が含まれる。ある状況では、基地局102は、特定の場所に一時的に設置されているモバイル機器であってもよい。そのような機器のいくつかの例には、発電機、太陽電池パネル、および/または電池などの発電機器を含み得る移動式トランシーバ局が含まれる。そのような装置のより大きくより重いバージョンは、トレーラーによって輸送されてもよい。さらに他の状況では、基地局102は、任意の特定の場所に固定されていないポータブル機器であってもよい。したがって、基地局102は、状況によっては、UE装置などのポータブルユーザ装置であってもよい。
【0019】
制御部204は、基地局102の全体的な機能性を容易にするのと同様に、本明細書に記載される機能を実行するためのハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わせを含んでもよい。適切な制御部204の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサまたはプロセッサ配列で実行するコードを含む。送信部206は、無線信号を送信する電子機器を含む。状況によっては、送信部206は複数の送信機を含んでもよい。 受信部208は、無線信号を受信する電子機器を含む。状況によっては、受信部208は複数の受信機を含んでいてもよい。受信部208および送信部206は、それぞれアンテナ210を介して信号を送受信する。アンテナ210は、別々の送信アンテナと受信アンテナを含んでもよい。状況によっては、アンテナ210は複数の送信アンテナおよび受信アンテナを含んでもよい。
【0020】
図2Aの例における送信部206および受信部208は、変調および復調を含む無線周波数(RF)処理を実行する。したがって、受信部208は、低雑音増幅器(LNA)およびフィルタなどの構成要素を含んでもよい。送信部206は、フィルタおよび増幅器を含んでもよい。他の構成要素は、アイソレータ、整合回路、および他のRF構成要素を含んでもよい。これらの構成要素は他の構成要素と組み合わせてまたは連携して基地局の機能を実行する。必要な構成要素は、基地局によって必要とされる特定の機能に依存してもよい。
【0021】
送信部206は変調部(図示せず)を含み、受信部208は復調部(図示せず)を含む。変調部は、下りリンク信号110の一部として送信される信号を変調し、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用し得る。復調部は、複数の変調次数のうちの1つに従って基地局102で受信される任意の上りリンク信号118を復調する。
【0022】
図1に戻ると、通信システム100は、基地局102、104を介して様々な無線サービスをUE装置106に提供する。本明細書の例では、通信システム100は、3GPP LTE(the 3rd Generation partnership project Long Term Evolution)通信仕様の少なくとも1つの改訂に従って動作する。UE装置106は、最初にソース基地局102によってサービス提供され、したがって、
図2Bに示されるように、アンテナ212および受信部214を介して下りリンク信号110を受信する。アンテナ212および受信部214に加えて、UE装置106はさらに、制御部216および送信部218、ならびに他の電子機器、ハードウェア、およびコードを含む。UE装置106は、本明細書で説明される機能を実行する任意の固定、モバイル、またはポータブル機器である。UE装置106を参照して説明されるブロックの様々な機能および動作は、任意の数の装置、回路、または要素で実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一装置に統合されてもよく、任意の単一装置で実行されるものとして説明される機能は、いくつかの装置にわたって実施されてもよい。
【0023】
制御部216は、UE装置の全体的な機能性を容易にするのと同時に、本明細書で説明される機能を実行するためのハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組合せを含む。適切な制御部216の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサまたはプロセッサ配列で実行するコードを含む。送信部218は、無線信号を送信する電子機器を含む。状況によっては、送信部218は複数の送信機を含んでもよい。受信部214は、無線信号を受信する電子機器を含む。状況によっては、受信部214は複数の受信機を含んでもよい。受信部214および送信部218は、それぞれアンテナ212を介して信号を送受信する。アンテナ212は、別々の送信アンテナと受信アンテナを含んでもよい。状況によっては、アンテナ212は、複数の送信アンテナおよび受信アンテナを含んでもよい。
【0024】
図2Bの例における送信部218および受信部214は、変調および復調を含む無線周波数(RF)処理を実行する。したがって、受信部214は、低雑音増幅器(LNA)およびフィルタなどの構成要素を含んでもよい。送信部218は、フィルタおよび増幅器を含んでもよい。他の構成要素は、アイソレータ、整合回路、および他のRF構成要素を含んでもよい。これらの構成要素は他の構成要素と組み合わせてまたは連携してUE装置の機能を実行する。必要な構成要素は、UE装置によって必要とされる特定の機能に依存してもよい。
【0025】
送信部218は変調部(図示せず)を含み、受信部214は復調部(図示せず)を含む。変調部は、
図1に示されるように上りリンク信号118の一部として送信される信号を変調するために、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用し得る。復調部は、複数の変調次数のうちの1つに従って下りリンク信号110、114を復調する。
【0026】
図1に示す例の動作の開始時に、UE装置106はソース基地局102によってサービス提供されている。したがって、UE装置106は、下りリンク信号110を受信すると、ソース基地局102がUE装置106に提供している無線サービスのうちの少なくとも1つに関するデータを含む符号化データパケットをもたらす下りリンク信号110を復調する。UE装置106は、データを取得するために、制御部216を使用して符号化データパケットを復号する。
【0027】
ソース基地局102がUE装置106をターゲット基地局104にハンドオーバするための任意の1つ以上の基準が満たされると、ソース基地局102は、通信リンク116を介してハンドオーバ要求をターゲット基地局104に送信する。ハンドオーバの基準は、例えば、ソース基地局102における無線混雑、UE装置106に対する上りリンク/下りリンク信号の劣悪/悪化した信号品質、および/またはターゲット基地局104による利用可能なリソースの不十分な利用を含んでもよい。しかしながら、他の任意の適切な基準が使用され得る。
【0028】
使用される基準にかかわらず、ソース基地局102は、有線(例えば、X2)または無線通信リンクを介してハンドオーバ要求をターゲット基地局104に送信し得る。送信が無線である場合、UE装置の無線送信設定情報を送信するために、ソース基地局102は送信部206およびアンテナ210を使用し、ターゲット基地局104はアンテナ210および受信部208を介してハンドオーバ要求の無線送信を受信する。ターゲット基地局104へのハンドオーバ要求の送信は、信号302によって
図3Aに示される。
【0029】
ターゲット基地局104がハンドオーバに同意すると、ターゲット基地局104はハンドオーバ要求肯定応答メッセージを、有線接続または無線接続され得る通信リンク116を介してソース基地局102に送信する。ハンドオーバ要求肯定応答メッセージは、ターゲット基地局104にアクセスに使用されるために、UE装置106に送信される構成情報を含む。ハンドオーバ要求肯定応答の送信は、信号304によって
図3Aに示されている。ハンドオーバ要求肯定応答を受信すると、ソース基地局102はRRC(Radio Resource Control)接続再構成メッセージをUE装置106に送信する。RRC接続再構成メッセージは、RRC接続再設定が完了すると、UE装置106がRRC接続再構成完了メッセージをターゲット基地局104に送信するために利用する上りリンク許可情報を含む。RRC接続再構成メッセージの送信は、信号306によって
図3Aに示される。
【0030】
RRC接続再構成メッセージを受信すると、UE装置106は、MAC(Media Access Control)メッセージをターゲット基地局104がUE装置106に送信するという要求を生成する。いくつかの例では、要求は、ターゲット基地局104に送信されることになるMAC PDU(Protocol Data Unit)のサブヘッダに位置するLCID(Logical Channel Identifier)を含む。
図3Bは、MACヘッダ322およびMACペイロード324を含むMAC PDU構造320の一例を示す。MACヘッダ322は、MACペイロード324に含まれる情報の種類を識別する1つ以上のサブヘッダ326を含む。MACペイロード324の各エントリに関連付けられたサブヘッダ326がある。
図3Bから分かるように、MACペイロード324の最初の部分は、1つ以上のMAC SDUs(Service Data Units)330が後に続く1つ以上のMAC制御要素328を含む。MAC SDUsは、RRCメッセージなどの制御データおよびユーザデータを含む。
図3Bに示す例では、サブヘッダ1はMAC制御要素328と関連付けられ、サブヘッダ2はMAC SDU330と関連付けられている。
【0031】
いくつかの例では、LCID自体が、ターゲット基地局104がUE競合解決識別MAC制御要素などの特定のMAC制御要素を送信することを要求するように定義される。これらの例では、サブヘッダ(例えば、サブヘッダ1)にあるLCIDのみが特定のMAC制御要素または他のMACメッセージを要求するために使用され、その要求にペイロード情報は必要とされない。しかしながら、要求は、サブヘッダ(例えば、サブヘッダ2)と、RRC接続再構成完了メッセージを含む対応するMAC SDU 330とを含む同じMAC PDU320で送信されてもよい。他の例では、RRC接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージは、ターゲット基地局104が特定のMACメッセージを送信すべきであることを暗黙的に要求するために使用される。さらに他の例では、要求の性質にかかわらず、要求は、ターゲット基地局104がRAR(Random Access Response)メッセージをUE装置106に送信すべきであるということである。
【0032】
あるいは、LCIDは、MACペイロード324に配置されるMAC制御要素が要求されたコマンドを識別することを示す一般的なMACコマンド要求とし得る。例えば、MAC PDU320のサブヘッダ326に含まれるLCIDは、MACコマンド要求値に設定され、要求されている特定のMAC制御要素またはMACメッセージ(例えば、UE競合解決識別またはRAR)は、MACコマンド要求LCIDを含むサブヘッダに対応するMAC SDU330に配置される値によって識別される。要求はまた、サブヘッダ326と、RRC接続再構成完了メッセージを含む、対応するMAC SDU 330とを含む同じMAC PDU320で送信されてもよい。
【0033】
本明細書で説明される例では、MACメッセージは、例えば、3GPP LTE(the 3rd Generation partnership project Long Term Evolution)MAC仕様で指定されているようなピアMACレイヤ(レイヤ2)プロトコルエンティティで開始および終了する制御情報を含み、さらにRAR(Random Access Response)メッセージなどのMACメッセージおよびMAC制御要素を含む。RRC(Radio Resource Control)メッセージは、ピアRRCレイヤ(レイヤ3)プロトコルエンティティで開始および終了する制御情報を含む。RRC層メッセージは、MAC層メッセージに対する上位層メッセージである。
【0034】
上記のように、いくつかの例では、要求は、RRC(Radio Resource Control)接続再構成完了メッセージなどのRRCメッセージに含まれる。いくつかの例では、MACメッセージを送信するためのターゲット基地局104に対する暗黙の要求は、RRCメッセージを受信するターゲット基地局104と、進行中のRACHレスハンドオーバなどの現在の手順の性質とに基づく。例えば、UE装置106がMAC層にRAR要求メッセージを含まずにRRC接続再設定完了メッセージを送信することに応答して、ターゲット基地局104は、業界標準仕様で定義されているような指定された動作に従って、具体的にはRACHレスハンドオーバの手順中にRRC接続再設定完了メッセージを受信することに基づいて、UE装置106にRARメッセージを送信する。他の例では、UE装置106が特定のRRCメッセージをターゲット基地局104に送信すると、ターゲット基地局104は、RRCメッセージを受信することと、特定の手順の性質(例えば、RACHレスハンドオーバ手順中)とに基づいて、特定のMACメッセージを送信する。
【0035】
ターゲット基地局104がMACメッセージを送信すべきであるという要求のフォーマットにかかわらず、UE装置106は、送信部218およびアンテナ212を介して、上りリンク送信120においてターゲット基地局104に要求を送信する。上記のように、いくつかの例では、要求およびRRC接続再構成完了メッセージは、同時に送信されてもよく、別々のメッセージで異なる時間に送信されてもよい。これらの例では、RRC接続再構成完了メッセージの送信は、信号308によって
図3Aに示され、ターゲット基地局104への要求の送信は、信号310によって
図3Bに示されている。しかし、他の例では、要求の送信310はまた、RRC接続再構成完了メッセージを含み、他の例では、RRC接続再構成完了メッセージ自体が暗黙の要求として機能する。
【0036】
ターゲット基地局104は、アンテナ210および受信部208を介して要求を受信する。要求を受信すると、ターゲット基地局104は、受信した要求に従ってMACメッセージを生成するために制御部204を利用する。より具体的には、いくつかの例では、ターゲット基地局104は、UE装置106からの要求に示される特定のMAC制御要素を含むMACメッセージを生成する。例えば、要求がUE競合解決識別MAC制御要素に対するものであった場合、ターゲット基地局104は、UE競合解決識別MAC制御要素を含むMACメッセージを生成するであろう。同様に、要求がRARに対する明示的または暗黙的な要求であった場合、ターゲット基地局104はRARを含むMACメッセージを生成するであろう。
【0037】
ターゲット基地局104は、送信部206およびアンテナ210を介して、要求されたMACメッセージを含むMACメッセージ(たとえば、UE競合解決識別MAC制御要素またはRAR)をUE装置106に送信する。MACメッセージの送信は、信号312によって
図3Aに示される。UE装置106は、アンテナ212および受信部214を介してMACメッセージを受信する。UE装置106が要求されたMACメッセージをいつ受信するかに少なくとも部分的に基づいて、ハンドオーバ手順(例えば、ソース基地局102からターゲット基地局104へ)がUEデバイス106に対していつ完了するかを判定するために、UE装置は制御部204を使用する。
【0038】
図3Aは、
図1に示す様々なシステム構成要素間で交換されるメッセージの一例のメッセージング図である。この例では、ソース基地局102は、信号302を介してターゲット基地局104にハンドオーバ要求を送信する。それに応答して、ターゲット基地局104は、信号304を介してソース基地局102にハンドオーバ要求肯定応答を送信する。ハンドオーバ要求肯定応答を受信すると、信号306によって示されるように、ソース基地局はRRC接続再構成メッセージをUE装置106に送信する。上述のように、RRC接続再構成メッセージは、ターゲット基地局104へのハンドオーバの一部として、UE装置106によって必要とされる上りリンク許可情報を含んでもよい。
【0039】
RRC接続再構成メッセージを受信すると、UE装置106は、上述したように、ターゲット基地局104がMACメッセージをUE装置106に送信すべきであるという要求を生成する。UE装置106は、上りリンク送信120においてターゲット基地局104に要求を送信する。上述のように、いくつかの例では、要求およびRRC接続再構成完了メッセージは別々のメッセージとして送信されてもよい。これらの例では、RRC接続再構成完了メッセージの送信は、信号308によって示され、ターゲット基地局104への要求の送信は、信号310によって示される。しかしながら、他の例では、要求の送信310はまた、RRC接続再構成完了メッセージを含む。
【0040】
要求を受信すると、ターゲット基地局104は、UE装置106からの要求に示される特定のMACメッセージを生成する。ターゲット基地局104は、要求されたMACメッセージ(例えば、UE競合解決識別MAC制御要素またはRAR)をUE装置106に送信する。いくつかの例では、MACメッセージはまた、ハンドオーバ後にUE装置106がその上りリンク送信をターゲット基地局に同期させるのに必要なTA情報も含む。MACメッセージの送信は信号312によって示される。
【0041】
図4は、基地局がMACメッセージをUE装置に送信することをUE装置が要求する方法の一例のフローチャートである。方法400は、ステップ402で、UE装置106において、ターゲット基地局104がUE装置106に特定のMACメッセージを送信すべきであるという要求を生成することから始まる。ステップ404で、UE装置106は、上りリンク送信で要求をターゲット基地局104に送信する。ステップ406において、要求を受信することに応答して、ターゲット基地局104は要求されたMACメッセージを生成し、要求されたMACメッセージをUE装置106に送信する。ステップ408において、UE装置106は、UE装置106が要求されたMACメッセージをいつ受信するかに少なくとも部分的に基づいて、ハンドオーバ手順(例えば、ソース基地局102からターゲット基地局104へ)がいつ完了するかを判定する。
【0042】
明らかに、本発明の他の実施形態および変形はこれらの教示を考慮して当業者には容易に思い浮かぶであろう。上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。本発明は、上記の明細書および添付の図面と併せて見たときに、全てのそのような実施形態および変形を含む以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに添付の特許請求の範囲をそれらの均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。