(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる接触工程を含み、
前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以下である、
二酸化炭素の固定方法。
水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる接触工程を含み、
前記接触工程において、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させ、
前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以下である、
二酸化炭素の固定方法。
水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる接触工程を含み、
前記接触工程において、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させ、
前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以下である、
二酸化炭素の固定方法。
水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させるための接触手段を含み、
前記接触手段が、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段であり、
前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以下である、
固定化二酸化炭素の製造装置。
水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させるための接触手段を含み、
前記接触手段が、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段であり、
前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以下である、
固定化二酸化炭素の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる接触工程を含む。
【0011】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N未満である。
【0012】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記混合液における前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.05N以上である。
【0013】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記混合液における前記塩化カルシウムの濃度が、0.05mol/L以上である。
【0014】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記接触工程において、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより、前記混合液と前記気体とを接触させる。
【0015】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記接触工程において、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる。
【0016】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記接触工程において、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる。
【0017】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、例えば、前記接触工程が、第1の接触工程および第2の接触工程を含み、
前記第1の接触工程は、水酸化ナトリウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させ、
前記第2の接触工程は、前記混合液に、塩化カルシウムを添加し、さらに、前記混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる。
【0018】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させるための接触手段を含む。
【0019】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記接触手段が、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより、前記混合液と前記気体とを接触させる手段である。
【0020】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記接触手段が、前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段である。
【0021】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記接触手段が、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段である。
【0022】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記接触手段が、前記混合液と二酸化炭素を含む気体との接触を行うための容器を含む。
【0023】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記容器は、複数の二次容器を含み、
前記混合液が、前記複数の二次容器内を、順次、流れることで、前記混合液と前記気体との接触が可能である。
【0024】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記容器は、底面の断面が、多角形状である。
【0025】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記容器は、底面の断面が、非正多角形状である。
【0026】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記容器は、網目状構造体を含み、
前記混合液が、前記網目状構造体を、流れることで、前記混合液と前記気体との接触が可能である。
【0027】
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、例えば、前記接触手段が、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段である。
【0028】
本明細書で使用する用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で用いることができる。
【0029】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
(二酸化炭素の固定方法)
本発明の二酸化炭素の固定方法は、水酸化ナトリウム(NaOH)を含み、さらに、第2族元素(アルカリ土類金属)の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素(CO
2)を含む気体とを接触させる接触工程を含む。本発明の二酸化炭素の固定方法において、その他の構成及び条件は、特に制限されない。
【0031】
前記第2族元素は、特に制限されず、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムがあげられ、中でも、例えば、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムがあげられる。前記第2族元素の塩化物は、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウムがあげられる。
【0032】
前記2価の金属元素は、特に制限されず、例えば、亜鉛があげられる。前記2価の金属元素の塩化物は、例えば、塩化亜鉛があげられる。
【0033】
以下の説明において、前記混合液が、前記第2族元素(アルカリ土類金属)の塩化物として、塩化カルシウムを含む場合を例にあげて、説明を行う。ただし、本発明は、これには制限されない。
【0034】
本発明の二酸化炭素の固定方法は、前述のように、水酸化ナトリウム(NaOH)、および塩化カルシウム(CaCl
2)を含む混合液と、二酸化炭素(CO
2)を含む気体とを接触させる接触工程を含む。本発明の二酸化炭素の固定方法において、その他の構成及び条件は、特に制限されない。
【0035】
本発明の二酸化炭素の固定方法によれば、前記接触工程を含むことにより、水酸化ナトリウムおよび塩化カルシウムと、二酸化炭素とを反応させ、炭酸カルシウム(CaCO
3)を生じさせることで、二酸化炭素を固定することができる。
【0036】
本発明において、「二酸化炭素の固定(固定化ともいう。)」は、例えば、二酸化炭素を含む気体から、二酸化炭素を除去することにより、前記気体中の二酸化炭素濃度を低減させることをいう。
【0037】
前記二酸化炭素を含む気体は、特に制限されず、例えば、燃焼排ガス、室内空気、および大気等があげられる。
【0038】
前記二酸化炭素を含む気体における二酸化炭素の濃度は、特に制限されず、例えば、0〜100%である。なお、後述するように、本発明によれば、低濃度の二酸化炭素であっても、固定することができる。また、100%の二酸化炭素のバブリングにより、前記混合液において、白色沈殿が形成されることから、本発明は、高濃度の二酸化炭素固定においても、効果を得ることができる。
【0039】
前記二酸化炭素を含む気体の温度は、特に制限されず、例えば、0℃以下の低温、大気中の気温や室温の一般的な温度、100℃未満、および120〜200℃の高温でもよい。なお、前記気体の温度は、水の蒸発を防ぐ観点から、低温であることが好ましい。ただし、本発明によれば、後述するように、例えば、高熱による、高濃度の水酸化ナトリウムが発生した場合でも、その濃度を低下させることができる。このため、本発明は、例えば、前記二酸化炭素を含む気体が高熱であっても、適用することができる。
【0040】
前記二酸化炭素を含む気体は、例えば、二酸化炭素以外の物質を含んでいてもよい。前記二酸化炭素以外の物質は、特に制限されず、例えば、SOx、NOx、O
2、ダスト等があげられる。なお、本発明において、前記混合液は、例えば、基本的に、アルカリ性であることから、前記混合液と酸性の前記物質等とにおいて、中和反応が起こると考えられる。ただし、本発明はこれには制限されない。
【0041】
前記混合液は、前述のように、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む。前記混合液の作製方法は、特に制限されず、例えば、低濃度混合があげられる。前記低濃度は、例えば、前記混合前の水酸化ナトリウムの濃度として、5N未満があげられる。前記低濃度混合によれば、例えば、水酸化カルシウムの沈殿の形成を防ぐことができる。前記混合液の作製方法は、具体的には、例えば、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液、および0.1mol/Lの塩化カルシウム溶液を、容器内にそれぞれ入れた後、混合することにより作製することができる。
【0042】
前記混合液において、前記水酸化ナトリウムの濃度は、特に制限されず、例えば、0.01N以上、および0.05N以上、ならびに、0.2N以下、0.2N未満、および0.1N以下である。なお、前記濃度の単位「N」は、規定度を示し、水酸化ナトリウムの場合、0.01Nは、0.01mol/Lである。前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.01N以上、および0.05N以上であることにより、例えば、より多くの二酸化炭素を固定できる。また、前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N未満、および0.1N以下であることにより、例えば、より多くの二酸化炭素を固定できる。
【0043】
なお、後述する実施例において示すように、前記水酸化ナトリウムの濃度が、0.2N以上では、前記接触において、塩化カルシウムと高濃度の水酸化ナトリウムとの反応により、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)の沈殿が生じることで、前記接触による炭酸カルシウムの合成量が減少すると考えられる。
【0044】
一方、このことは、言い換えると、本発明の二酸化炭素の固定方法によれば、前記混合液において、高濃度の水酸化ナトリウムが含まれる場合でも、塩化カルシウムと前記高濃度の水酸化ナトリウムとの反応により、水酸化カルシウムの沈殿が生じることで、前記混合液における水酸化ナトリウムの濃度を低下させることが可能であることを意味する。したがって、本発明の二酸化炭素の固定方法によれば、例えば、高熱による、高濃度の水酸化ナトリウムが発生した場合でも、その濃度を低下させることができ、有害な気体の発生を抑制することができる。
【0045】
前記混合液において、前記塩化カルシウムの濃度は、特に制限されず、例えば、0.005mol/L以上、および0.05mol/L以上、ならびに、0.5mol/L以下、0.5mol/L未満、および0.1mol/L以下である。前記塩化カルシウムの濃度が、前記範囲内であることにより、例えば、より多くの二酸化炭素を固定できる。
【0046】
前記混合液の温度は、特に制限されず、例えば、30〜100℃である。なお、本発明によれば、前述のように、例えば、高熱による、高濃度の水酸化ナトリウムが発生した場合でも、その濃度を低下させることができる。このため、本発明は、例えば、前記混合液が高熱であっても、適用することができる。
【0047】
前記混合液のpHは、特に制限されず、例えば、0.05Nの水酸化ナトリウムと0.05mol/Lの塩化カルシウムとを含む前記混合液のpHは、約12である。
【0048】
前記接触工程において、前記混合液と、前記二酸化炭素を含む気体とを接触させる方法は、特に制限されず、例えば、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより、前記混合液と前記気体とを接触させる、前記混合液を静置または前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる等の方法があげられる。また、前記気体を環流させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させてもよい。
【0049】
前記接触工程において、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、前記バブリングの条件は、特に制限されず、例えば、10mLの試験管に、3mLの0.1Nの水酸化ナトリウム溶液と、3mLの0.1mol/Lの前記塩化カルシウム溶液とを入れて混合し、前記混合液に、二酸化炭素(小池工業社製)を用いて、10秒間(約20cm
3)、バブリングをすることができる。なお、前記バブリングは、例えば、パスツールピペットの先端から、二酸化炭素を噴出させることができる。前記バブリングを行う時間は、例えば、形成された沈殿が、さらなる反応により消失しない範囲で、適宜設定することができる。
【0050】
前記接触工程において、前記混合液を静置させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、前記接触させる条件は、特に制限されず、例えば、容積2Lの一般的な形状のペットボトル(市販のもの)内を大気と平衡にした後、前記ペットボトルに、10mLの前記混合液を入れ、前記ペットボトルを、底面が下になるようにして立てて静置することができる。前記接触時間は、例えば、前記接触後、15分、30分、および60分、ならびにオーバーナイトでの接触とすることができる。
【0051】
前記接触工程において、「前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる」とは、例えば、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させてもよいし、容器内において、前記混合液を流すことにより、前記混合液と前記気体とを接触させてもよい。
【0052】
前記接触工程において、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、前記振とうの条件は、特に制限されず、例えば、10mLの前記混合液を入れた八角柱プラスチックボトル(市販のもの)を、シェイカー(BR-21UM、TAITEK製)を用いて、120rpmの条件で、振とうすることができる。また、前記振とうの条件は、例えば、50mLの前記混合液を入れた容積2Lの容器を、30秒間の振とうを1回として、1〜4回、成人男性の手で、激しく振とうすることができる。前記1〜4回の振とうは、例えば、それぞれ、前記接触直後、30秒後、2分後、5分後、4時間後に行うことができる。
【0053】
前記接触工程において、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、前記接触させる条件は、特に制限されず、例えば、前記気体を入れた容積2Lの容器に、約4mLの前記混合液を、噴霧器(市販のもの)を用いて、5秒間隔で10回噴霧することができる。
【0054】
前記接触工程において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させるための接触手段は、特に制限されず、後述する、固定化二酸化炭素の製造装置の記載を援用することができる。
【0055】
前記接触工程は、例えば、第1の接触工程および第2の接触工程を含み、前記第1の接触工程は、水酸化ナトリウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させ、前記第2の接触工程は、前記混合液に、塩化カルシウムを添加し、さらに、前記混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させてもよい。
【0056】
前記第1の接触工程は、水酸化ナトリウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる。前記第1の接触工程により、水酸化ナトリウムと二酸化炭素との反応により、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)や炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)が生じ、第1の二酸化炭素の固定を行うことができる。
【0057】
ここで、前記第1の接触工程において、塩化カルシウムは未添加である。このため、前記第1の接触工程において、例えば、高濃度の水酸化ナトリウムを用いた場合でも、塩化カルシウムとの反応により水酸化カルシウムが生じない。また、前記第1の接触工程によれば、例えば、水酸化ナトリウムの濃度を、0.1N以下にすることができる。このため、続く前記第2の接触工程において、塩化カルシウムと高濃度の水酸化ナトリウムとの反応により水酸化カルシウムが生じることを防ぐことができ、より多くの二酸化炭素を固定できる。
【0058】
前記第2の接触工程は、前記混合液に、塩化カルシウムを添加し、さらに、前記混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる。前記第2の接触工程により、水酸化ナトリウムおよび塩化カルシウムと、二酸化炭素とを反応させることにより、炭酸カルシウムを生じさせ、二酸化炭素を固定することができる。
【0059】
前記第1の接触工程および第2の接触工程は、例えば、前述の、前記接触工程についての説明を援用できる。
【0060】
(固定化二酸化炭素の製造方法)
本発明の固定化二酸化炭素の製造方法は、前述のように、二酸化炭素を固定化する固定化工程を含み、前記固定化工程が、本発明の二酸化炭素の固定方法により実施される。本発明の固定化二酸化炭素の製造方法は、前記固定化工程を含むことが特徴であって、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の二酸化炭素の固定方法は、前述の通りである。前記固定化工程の条件等は、特に制限されず、例えば、本発明の二酸化炭素の固定方法における記載と同様である。
【0061】
(固定化二酸化炭素の製造装置)
本発明の固定化二酸化炭素の製造装置は、前述のように、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させるための接触手段を含む。前記混合液、および前記二酸化炭素を含む気体は、例えば、本発明の二酸化炭素の固定方法における記載と同様である。
【0062】
前記接触手段は、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させることができればよく、特に制限されない。
図12に、前記接触手段の一例を示す概略図を示す。
図12に示すように、固定化二酸化炭素の製造装置1は、接触手段10を含み、接触手段10は、例えば、前記混合液を投入するための混合液投入手段11、前記二酸化炭素を含む気体を投入するための気体投入手段12、および前記混合液と二酸化炭素を含む気体との接触を行うための容器13を含む。
【0063】
接触手段10は、例えば、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより、前記混合液と前記気体とを接触させる手段があげられる。前記バブリングは、例えば、前述の通りである。
【0064】
接触手段10は、例えば、前記混合液を静置または前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段があげられる。「前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる」とは、例えば、前述のように、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させてもよいし、容器内において、前記混合液を流すことにより、前記混合液と前記気体とを接触させてもよい。前記混合液を流す場合、前記混合液を一方向に流してもよいし、環流させてもよい。
【0065】
接触手段10は、例えば、前記接触手段が、前記混合液を霧状にした状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段があげられる。
【0066】
接触手段10は、例えば、前記接触手段が、前記気体を環流させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる手段があげられる。
【0067】
接触手段10は、例えば、閉鎖系でもよいし、前記気体等が外界へ移動可能な、開放系でもよい。
【0068】
混合液投入手段11は、前記混合液を投入することができればよく、特に制限されず、例えば、噴霧器等があげられる。気体投入手段12は、前記二酸化炭素を含む気体を投入することができればよく、特に制限されず、例えば、パスツールピペット等があげられる。
【0069】
容器13は、前記混合液と二酸化炭素を含む気体との接触を行うことができればよく、特に制限されない。容器13の大きさは、例えば、前記二酸化炭素を含む気体の量に応じて、適宜設定することができる。容器13の素材は、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス等があげられる。
【0070】
容器13の形状は、例えば、前記混合液と、前記二酸化炭素を含む気体との接触の態様に応じて、適宜設定することができる。具体的には、例えば、前述のように、前記混合液を振とうさせた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、容器13の形状は、底面の断面が、多角形状であることが好ましい。前記多角形状は、例えば、非正多角形状である。前記多角形状は、例えば、八角形状である。容器13の形状は、具体的には、例えば、多角柱の形状、および、
図5に示すような八角柱の形状があげられる。容器13の底面の断面が、多角形状であることにより、後述するように、より多くの二酸化炭素を固定できる。これは、例えば、前記振とうにおいて、前記混合液の表面積が増加し、より多くの前記二酸化炭素を含む気体と接触できるようになるためと考えられる。ただし、本発明は、これには制限されない。
【0071】
また、例えば、前述のように、容器13内において、前記混合液を静置または前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、容器13は、複数の二次容器を含んでもよい。そして、例えば、前記混合液が、前記複数の二次容器内を、順次、流れることで、前記混合液と前記気体との接触が可能であってもよい。前記二次容器は、例えば、
図13(A)に示すように、水深の浅い、水盤状の構造とすることができる。前記複数の二次容器は、例えば、上下方向に間隔をあけて、それぞれを重ねた構造とすることができる。これにより、例えば、上側の前記二次容器から下側の前記二次容器に、前記混合液が、順次、流れることができる。
【0072】
また、例えば、前述のように、前記混合液を静置または前記混合液に流れを発生させた状態で、前記混合液と前記気体とを接触させる場合、容器13は、例えば、網目状構造体を含んでもよい。そして、例えば、前記混合液が、前記網目状構造体を、流れることで、前記混合液と前記気体との接触が可能であってもよい。前記網目状構造体は、例えば、メシュ状構造、および、
図13(B)に示すような、杉の葉状等の分岐構造等があげられる。前記網目状構造の大きさ、細かさ等は、適宜設定できる。前記網目状構造は、例えば、複数の、板状、粒状または棒状構造の集合体として形成することができる。前記網目状構造の形成材料は、特に制限されず、例えば、プラスチックがあげられる。
【実施例】
【0073】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0074】
[実施例1]
容器内において、水酸化ナトリウム(NaOH)、および塩化カルシウム(CaCl
2)を含む混合液と、二酸化炭素(CO
2)を含む気体とを、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより接触させることにより、二酸化炭素を固定できることを確認した。
【0075】
1Nの水酸化ナトリウム溶液(和光純薬工業社製)を、それぞれ、0.01、0.02、0.1、0.2、および0.4Nとなるように蒸留水で希釈し、前記各濃度の水酸化ナトリウム溶液を作製した。また、1mol/Lの塩化カルシウム溶液(和光純薬工業社製)を、それぞれ、0.01、0.02、0.1、0.2、および1(無希釈)mol/Lとなるように蒸留水で希釈し、前記各濃度の塩化カルシウム溶液を作製した。
【0076】
10mLの試験管に、3mLの前記各濃度の水酸化ナトリウム溶液と、3mLの0.1mol/Lの前記塩化カルシウム溶液とを入れて混合し、前記混合液に、二酸化炭素(CO
2100%、小池工業社製)をバブリングすることにより、接触させた。前記バブリングは、パスツールピペットの先端から、二酸化炭素を噴出させた。前記バブリングの条件は、10秒間(約20cm
3)とした。前記接触後、前記混合液を3,000rpm、10分間の条件で遠心した。そして、前記接触前および後に、前記試験管の重量を測定し、前記接触前および後における前記重量の差を、沈殿量として算出した。なお、後述するように、前記二酸化炭素との接触を行うよりも前に沈殿が生じた場合は、前記沈殿を除去した後、前記接触を行った。
【0077】
この結果を、
図1および
図2に示す。
図1は、前記二酸化炭素との接触前および接触後における、0.05Nの水酸化ナトリウムと0.05mol/Lの塩化カルシウムとを含む混合液の写真であり、図中、左が、前記接触前、右が、前記接触後の試験管の様子を示す。
図1に示すように、二酸化炭素を接触させることにより、前記混合液において、炭酸カルシウム(CaCO
3)の白色沈殿が生じた。なお、前記混合液において、10秒間の前記バブリングが終了するよりも前に、白濁が生じていた。
【0078】
図2は、前記二酸化炭素との接触により、前記混合液において生じた沈殿の重さを示すグラフである。
図2において、縦軸は、試験管あたりの前記沈殿の重さ(g)を示し、横軸は、前記混合液における水酸化ナトリウム濃度(N)を示す。なお、前記沈殿の重さの値は、前記各混合液のサンプルについて、合計5サンプルの測定値の平均値とした。
図2に示すように、水酸化ナトリウム濃度が0.01N以上において、二酸化炭素を接触させた結果、前記沈殿が生じた。そして、前記濃度が0.05Nにおいて、前記沈殿の量が大きく増加し、0.1Nにおいて、前記沈殿の量が最大であった。一方、前記濃度が0.2Nにおいて、前記0.1Nにおける値と比較して、前記沈殿の量が減少した。前記濃度が0.05〜0.2N、および0.05〜0.1Nにおいて、より多くの二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0079】
なお、水酸化ナトリウム濃度が0.2Nの場合、二酸化炭素との前記接触前において、前記混合液中に白色沈殿の形成がみられた。この白色沈殿は、塩化カルシウムと高濃度の水酸化ナトリウムとの反応により生じた、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)であると考えられる。このため、前記濃度が0.2Nにおいて、前記沈殿の量が減少した理由としては、塩化カルシウムと高濃度の水酸化ナトリウムとの反応により水酸化カルシウムが生じたことで、前記接触による炭酸カルシウムの合成量が減少したためと考えられる。
【0080】
つぎに、3mLの0.1Nの前記水酸化ナトリウム溶液と、3mLの前記各濃度の前記塩化カルシウム溶液とを入れて混合し、前記混合液を作製した以外は同様にして、前記接触を行った。
【0081】
この結果を、
図3に示す。
図3は、前記二酸化炭素との接触により、前記混合液において生じた沈殿の重さを示すグラフである。
図3において、縦軸は、試験管あたりの前記沈殿の重さ(g)を示し、横軸は、前記混合液における塩化カルシウム濃度(mol/L)を示す。なお、前記沈殿の重さの値は、前記各混合液のサンプルについて、合計5サンプルの測定値の平均値とした。
図3に示すように、全ての塩化カルシウム濃度において、二酸化炭素を接触させた結果、前記沈殿が生じた。そして、前記濃度が0.05mol/Lにおいて、前記沈殿の量が大きく増加し、0.1mol/Lにおいて、前記沈殿の量が最大であった。前記塩化カルシウム濃度が0.05〜0.5mol/Lにおいて、より多くの二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0082】
なお、前記塩化カルシウム濃度が0.2〜0.5mol/Lの場合、二酸化炭素との前記接触前において、前記混合液中に白色沈殿の形成がみられた。そして、この白色沈殿は、前記接触において、二酸化炭素を添加することにより、消失した。一方、前記塩化カルシウム濃度が、0.1mol/Lおよび0.05mol/Lの場合、前記混合液中に沈殿の形成がみられ、且つ、前記接触を行っても、前記沈殿は消失しなかった。
【0083】
以上のように、容器内において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを、前記気体を前記混合液中にバブリングすることにより接触させることにより、二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0084】
[実施例2]
容器内において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを、前記混合液を静置または振とうさせた状態で接触させることにより、二酸化炭素を固定できることを確認した。
【0085】
等量の0.1Nの前記水酸化ナトリウム溶液と、0.1mol/Lの前記塩化カルシウム溶液とを混合し、混合液を作製した。容積2Lの一般的な形状のペットボトル(市販のもの)内を大気と平衡にした後、前記ペットボトルに、10mLの前記混合液を入れた。前記ペットボトルを、底面が下になるようにして立てて静置し、前記混合液と二酸化炭素とを接触させた。前記接触後、0分(前記接触直後)、15分、30分、および60分後、ならびにオーバーナイトでの接触後に、二酸化炭素モニター(RI-85、RIKEN KEIKI製)を用いて、前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度を測定した。
【0086】
この結果を、
図4に示す。
図4は、前記接触後の前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度を示すグラフである。
図4において、縦軸は、二酸化炭素濃度(PPM)を示し、横軸は、前記接触後の経過時間(分)を示す。なお、前記二酸化炭素濃度の値は、前記接触後、0分(前記接触直後)、15分、30分、および60分後については、合計4サンプルの測定値の平均値とした。なお、前記オーバーナイトでの接触後においては、合計6サンプルの測定値が、いずれも0PPMであった。
図4に示すように、前記接触により、前記接触後の経過時間に応じて、前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度が減少した。また、前記オーバーナイトでの接触後、前記二酸化炭素濃度の値が、0PPMとなったことから、本発明によれば、低濃度の二酸化炭素であっても、固定できることがわかった。
【0087】
つぎに、前記ペットボトルに代えて、
図5に示す形状の八角柱プラスチックボトルを用いた点、および、前記八角柱プラスチックボトルを、側面が下になるようにして横倒しにして静置した、または、前記八角柱プラスチックボトルを前記横倒しにした状態で振とうした点以外は同様にして、5分間、前記接触を行った。
図5(A)は、前記八角柱プラスチックボトルを側面から見た図であり、(B)は、前記八角柱プラスチックボトルを底面から見た図である。前記振とうは、シェイカー(BR-21UM、TAITEK製)を用いて、120rpmの条件で振とうした。
【0088】
この結果を、
図6に示す。
図6は、前記接触後の前記八角柱プラスチックボトル内の二酸化炭素濃度を示すグラフである。
図6において、縦軸は、二酸化炭素濃度(PPM)を示し、横軸は、左から、前記接触直後(0分)、前記静置による接触後、前記振とうによる接触後を示す。なお、前記二酸化炭素濃度の値は、合計4サンプルの測定値の平均値とした。
図6に示すように、前記振とうによる接触により、前記接触直後と比較して、前記八角柱プラスチックボトル内の二酸化炭素濃度が減少した。特に、前記振とうによる接触により、前記接触直後と比較して、前記八角柱プラスチックボトル内の二酸化炭素濃度が1/6程度まで大きく減少しており、より多くの二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0089】
なお、前述のように、前記振とうによる接触により、前記静置による接触を行った場合と比較して、前記二酸化炭素濃度がより大きく減少した。この理由としては、前記振とうにより、前記混合液の表面積が増加し、より多くの前記二酸化炭素を含む気体と接触できるようになったためと考えられる。また、前記八角柱プラスチックボトルは、一般的な形状のペットボトルとの比較において、底部がより平面的であり、且つ短寸であるため、より前記混合液の表面積が増加したと考えられる。
【0090】
つぎに、前記振とうの条件を変えて、前記接触を行った。前記八角柱プラスチックボトルに代えて、容積2Lの前記一般的な形状のペットボトルを用いた。前記接触の12時間前に、前記ペットボトルのふたを開け、前記ぺットボトルの口部にパスツールピぺットの先端を挿入し、前記先端から二酸化炭素を注入した。そして、前記ペットボトルに、50mLの前記混合液を入れた後、30秒間の振とうを1回として、1〜6回、成人男性の手で、激しく振とうした。なお、前記1回目の前記振とうによる接触は、前記接触直後に行い、前記2〜6回目の前記振とうによる接触は、それぞれ、前記接触直後から2分経過後、5分経過後、15分経過後、30分経過後、および60分経過後に行った。そして、前記1〜6回の前記接触後に、それぞれ、二酸化炭素検出器(XP-3140、COSMO製)を用いて、二酸化炭素濃度を測定した。
【0091】
また、前記6回目の接触後、さらに、50mLの前記混合液を加え、30秒間激しく振とうした後、二酸化炭素の濃度を測定した。その後、さらに、24時間静置した後、二酸化炭素の濃度を測定した。また、前記24時間静置後、さらに、50mLの前記混合液を加え、30秒間激しく振とうした後、二酸化炭素の濃度を測定した。
【0092】
この結果を、
図7に示す。
図7は、前記接触後の前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度を示すグラフである。
図7において、縦軸は、二酸化炭素濃度(%)を示し、横軸は、左から、前記接触直後(0分)、1回目の前記振とうによる接触後(30秒)、2回目の前記振とうによる接触後(2分)、3回目の前記振とうによる接触後(5分)、4回目の前記振とうによる接触後(15分)、5回目の前記振とう後(30分)、6回目の前記振とう後(60分)、混合液追加後、24時間静置後、混合液再追加後を示す。なお、前記二酸化炭素濃度の値は、合計5サンプルの測定値の平均値とした。
図7に示すように、1回目の前記接触後(30秒)において、前記接触直後(0分)と比較して、二酸化炭素の濃度は大きく減少した。その後、2〜6回目の前記接触後において、二酸化炭素の濃度は緩やかに減少した。一方、前記混合液の追加により、急激な更なる二酸化炭素濃度の減少を引き起こした。前記混合液の再追加においても、二酸化炭素濃度の顕著な減少が見られた。このように、高濃度の二酸化炭素濃度の状態であっても、前記混合液を再度添加することにより、二酸化炭素濃度の減少を引き起こすことが確認された。
【0093】
以上のように、容器内において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを、前記混合液を静置または振とうさせた状態で接触させることにより、二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0094】
[実施例3]
容器内において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを、前記混合液を霧状にした状態で接触させることにより、二酸化炭素を固定できることを確認した。
【0095】
実施例2と同様にして、前記水酸化ナトリウムと前記塩化カルシウムとを含む混合液を作製した。前記容積2Lの一般的な形状のペットボトルを用い、実施例2と同様にして、前記ペットボトル内を大気と平衡にした。その後、前記ペットボトルに、約4mLの前記混合液を、噴霧器(市販のもの)を用いて、5秒間隔で10回噴霧することにより、前記混合液と二酸化炭素とを接触させた。前記接触は、
図8に示すように、前記ペットボトルを、側面が下になるようにして横向きにして使用し、水平方向に前記噴霧を行った。前記接触後直ちに、実施例2と同様にして、前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度を測定した。
【0096】
この結果を、
図9に示す。
図9は、前記接触後の前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度を示すグラフである。
図9において、縦軸は、二酸化炭素濃度(PPM)を示し、横軸は、左から、前記接触直後(0分)、前記噴霧による接触後を示す。なお、前記二酸化炭素濃度の値は、合計4サンプルの測定値の平均値とした。
図9に示すように、前記噴霧による接触により、前記接触直後と比較して、前記ペットボトル内の二酸化炭素濃度が1/6程度まで大きく減少した。
【0097】
このように、前記噴霧による接触により、短時間で、前記二酸化炭素濃度が大きく減少した。この理由としては、前記混合液を霧状にした状態で接触させることにより、前記混合液の表面積が大きく増加し、より多くの前記二酸化炭素を含む気体と接触できるようになったためと考えられる。
【0098】
つぎに、前記噴霧の条件を変えて、前記接触を行った。前記接触を行うための接触手段は、以下のようにして作製した。
図10に示すように、牛乳パックである箱(市販のもの)2個をL字型に連結し、下部の前記箱の側面の2箇所に、部分的に切取ることにより孔を開け、前記孔からシリコンチューブを挿入することにより、空気注入部、および二酸化炭素注入部をそれぞれ設けた。また、下部の前記箱の上面に、同様にして孔を開け、前記噴霧器から、前記箱の内部に前記混合液を噴霧できるようにした。上部および下部の前記箱の連結部は、それぞれ、大きな切り口を開けることで、下部の箱から上部の箱に二酸化炭素が上昇できるようにした。前記連結部には、4重のガーゼ(市販のもの)により、ガーゼ層を設けた。上部の前記箱の上面は、開放させた。また、上部の前記箱の側面に、同様にして孔を開け、二酸化炭素濃度検出器(XP-3140、COSMO製)のノズルを設置した。
【0099】
前記空気注入部からの空気の流量を、約100cm
3/秒、前記二酸化炭素注入部からの二酸化炭素の流量を、10cm
3/秒として、二酸化炭素濃度の測定値が一定になるまで、注入を行った。その後、前記噴霧器から、前記混合液を、10回連続で噴霧した。前記混合液の噴霧量は、10回で合計約4mLであった。前記噴霧後、約20秒後に、二酸化炭素濃度の測定値が最低値となった。
【0100】
この結果を、
図11に示す。
図11は、前記接触後約20秒後に、前記二酸化炭素の測定値が最低値となった時の、前記箱内の二酸化炭素濃度を示すグラフである。
図11において、縦軸は、二酸化炭素濃度(%)を示し、横軸は、左から、前記接触前、前記噴霧による接触後を示す。なお、前記二酸化炭素濃度の値は、合計10サンプルの測定値の平均値とした。
図11に示すように、前記噴霧による接触により、前記接触直後と比較して、前記箱内の二酸化炭素濃度が減少した。
【0101】
このように、前記接触手段が開放系である場合においても、前記混合液により、二酸化炭素を吸収できることが確認できた。さらに、噴霧した前記混合液の量が、約4mLという少量であったことから、前記混合液の量が少量であっても、高濃度の二酸化炭素濃度を十分に下げることができることがわかった。このことから、本発明の反応系は、反応効率が極めて優れているといえる。
【0102】
以上のように、容器内において、水酸化ナトリウム、および塩化カルシウムを含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを、前記混合液を霧状にした状態で接触させることにより、二酸化炭素を固定できることが確認できた。
【0103】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明の二酸化炭素の固定方法は、水酸化ナトリウムを含み、さらに、第2族元素の塩化物、および2価の金属元素の塩化物の少なくとも一方を含む混合液と、二酸化炭素を含む気体とを接触させる接触工程を含む。