特許第6783449号(P6783449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783449
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】スパッタ付着防止具
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/32 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   B23K9/32 E
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-132318(P2016-132318)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-1222(P2018-1222A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中 幸義
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−136177(JP,A)
【文献】 特開2001−162395(JP,A)
【文献】 特開平10−216948(JP,A)
【文献】 特開2006−007301(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接時に飛散するスパッタが部材の所定箇所に付着するのを防止するスパッタ付着防止具において、
上記部材の所定箇所を覆う筒状の覆い部と、
上記覆い部を支持する支持部材とを備え、
上記覆い部の周壁部は、複数の周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
複数の記周構成部材は、それぞれが独立して上記周壁部の中心線方向に変位可能に支持されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項2】
請求項1に記載のスパッタ付着防止具において、
上記覆い部は、第1周壁部と、該第1周壁部の外側を覆うように配置される第2周壁部とを備え、
上記第1周壁部は、複数の第1周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
上記第2周壁部は、複数の第2周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
複数の記第1周壁構成部材及び複数の記第2周壁部構成部材は、それぞれが独立して上記周壁部の中心線方向に変位可能に支持されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパッタ付着防止具において、
上記覆い部は、上記周壁部の中心線と交差する方向に延びる第1壁部を有し、
上記第1壁部には、上記周壁部構成部材における上記周壁部の中心線方向基端側が挿入されて該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向に案内する第1ガイド孔が形成されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項4】
請求項3に記載のスパッタ付着防止具において、
上記覆い部は、上記第1壁部から上記周壁部の中心線方向先端側に離れて配置され、上記周壁部の中心線と交差する方向に延びる第2壁部を有し、
上記第2壁部には、上記周壁部構成部材が挿入されて該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向に案内する第2ガイド孔が形成されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項5】
請求項4に記載のスパッタ付着防止具において、
上記周壁部構成部材における上記第1ガイド孔と上記第2ガイド孔との間には、該第2ガイド孔の周縁部に係合するストッパ部が該周壁部構成部材の変位方向と交差する方向に突出するように設けられていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項6】
請求項5に記載のスパッタ付着防止具において、
上記周壁部構成部材における上記ストッパ部と上記第1壁部との間には、該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向先端側へ付勢するための付勢部材が配設されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【請求項7】
請求項6に記載のスパッタ付着防止具において、
上記付勢部材はコイルスプリングであり、
上記周壁部構成部材における上記ストッパ部と上記第1壁部との間の部分は、棒状に形成されるとともに、上記コイルスプリングに挿入されていることを特徴とするスパッタ付着防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業中に周囲に飛散するスパッタが溶接箇所以外の部分に付着するのを防止するスパッタ付着防止具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鋼材等からなる部材を溶接する際には、スパッタが溶接箇所の周囲に飛散して溶接箇所以外の部分に付着する。例えば、ネジ孔を有する部材を溶接する際には、スパッタがネジ孔の内面に付着することがある。こうなるとネジの螺合不良が起こってしまうので、溶接工程の後、ネジ孔の内面に付着したスパッタを除去するためにネジさらいを行う必要がある。
【0003】
また、例えば特許文献1に開示されているように、スパッタが被溶接部材に付着するのを防止するためのスパッタ付着防止シートが知られている。このスパッタ付着防止シートは、弾性を有する樹脂からなるものであり、被溶接部材の表面に貼り付けて使用する。
【0004】
また、溶接現場においては、例えば金属板からなるカバーや耐スパッタ用布等を、被溶接部材の表面を覆うように配置してスパッタの付着を防止することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−24114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スパッタをネジ孔に付着させてしまうと上述したネジさらいを行わなければならず、特に1つの製品に複数のネジ孔が設けられる場合には、多大な作業工数が必要になるという問題がある。
【0007】
また、各種部材が締結される締結面にスパッタが付着した場合には、部材を狙い通りに締結するのが困難になるので、締結面からスパッタを除去しなければならず、多大な作業工数が必要になるという問題がある。
【0008】
そこで、例えば特許文献1の樹脂製のスパッタ付着防止シートや金属板製のカバー等を用意し、溶接前に、該シートやカバー等によって被溶接部材をその表面側から予め覆っておき、これにより、スパッタがネジ孔の内面に付着するのを防止することが考えられる。
【0009】
しかしながら、スパッタは広範囲に飛散するものなので、スパッタ付着防止シートや金属板製のカバー等によって被溶接部材の表面側を覆っておいたとしても、スパッタ付着防止シートや金属板製のカバー等と被溶接部材との間からスパッタがネジ孔に侵入して該ネジ孔の内面に付着してしまい、ひいてはネジさらいが必要になることがあり、また、スパッタが締結面に付着してスパッタの除去作業が必要になることがある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶接時のスパッタが例えばネジ孔の内面や締結面等の所定箇所に付着するのを防止してスパッタの除去作業を不要にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、部材の所定箇所を覆う筒状の覆い部の周壁部を複数の周壁構成部材で構成し、各周壁構成部材を周壁部の中心線方向に変位可能に支持した。
【0012】
第1の発明は、
溶接時に飛散するスパッタが部材の所定箇所に付着するのを防止するスパッタ付着防止具において、
上記部材の所定箇所を覆う筒状の覆い部と、
上記覆い部を支持する支持部材とを備え、
上記覆い部の周壁部は、複数の周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
複数の記周構成部材は、それぞれが独立して上記周壁部の中心線方向に変位可能に支持されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、スパッタ付着防止具の覆い部により、例えばネジ孔の内面や締結面等の部材の所定箇所が覆われるので、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔に侵入し難くなる。また、例えばネジ孔を有するナット等の部材が板材に溶接されている場合があり、この板材を更に溶接する際、覆い部の中心線方向先端部を板材の表面に接触させることによって上記ネジ孔を有する部材を覆い部で覆っておくことが可能になる。このとき、板材の表面と覆い部の中心線とが傾斜する位置関係になってしまうことが考えられるが、本発明では、覆い部の周壁部を構成している複数の周壁構成部材の各々が周壁部の中心線方向に変位可能となっているので、板材の傾斜角に応じて各周壁部構成部材が周壁部の中心線方向に変位することで各周壁部構成部材の先端部を板材の表面に接触させることが可能になる。これにより、覆い部の中心線方向先端部と板材の表面との隙間が小さくなるので、スパッタがネジ孔に侵入し難くなる。
【0014】
また、各種部材を締結する締結面をスパッタ付着防止具で覆うことも可能であり、この場合には、締結面にスパッタが付着するのを防止できる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
上記覆い部は、第1周壁部と、該第1周壁部の外側を覆うように配置される第2周壁部とを備え、
上記第1周壁部は、複数の第1周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
上記第2周壁部は、複数の第2周壁構成部材を周方向に並ぶように配置して構成され、
複数の記第1周壁構成部材及び複数の記第2周壁部構成部材は、それぞれが独立して上記周壁部の中心線方向に変位可能に支持されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、部材の所定箇所が第1周壁部及び第2周壁部によって覆われるので、広範囲に飛散するスパッタが部材の所定箇所に付着し難くなる。また、例えばネジ孔を有する部材を板材に溶接する際に、その板材の傾斜角に応じて各第1周壁部構成部材及び各第2周壁部構成部材が周壁部の中心線方向に変位することで、各第1周壁部構成部材及び各第2周壁部構成部材の先端部が板材の表面に接触する。このことによっても広範囲に飛散するスパッタがネジ孔により一層侵入し難くなるとともに、締結面等に付着し難くなる。
【0017】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記覆い部は、上記周壁部の中心線と交差する方向に延びる第1壁部を有し、
上記第1壁部には、上記周壁部構成部材における上記周壁部の中心線方向基端側が挿入されて該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向に案内する第1ガイド孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、周壁部構成部材が第1壁部の第1ガイド孔によって周壁部の中心線方向に案内されるので、周壁部構成部材が周壁部の中心線方向にスムーズに変位する。
【0019】
第4の発明は、第3の発明において、
上記覆い部は、上記第1壁部から上記周壁部の中心線方向先端側に離れて配置され、上記周壁部の中心線と交差する方向に延びる第2壁部を有し、
上記第2壁部には、上記周壁部構成部材が挿入されて該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向に案内する第2ガイド孔が形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、周壁部構成部材が互いに離れた第1ガイド孔及び第2ガイド孔によって周壁部の中心線方向に案内されるので、周壁部構成部材の変位がより一層スムーズになる。
【0021】
第5の発明は、第4の発明において、
上記周壁部構成部材における上記第1ガイド孔と上記第2ガイド孔との間には、該第2ガイド孔の周縁部に係合するストッパ部が該周壁部構成部材の変位方向と交差する方向に突出するように設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、周壁部構成部材のストッパ部が第2ガイド孔の周縁部に係合することによって周壁部構成部材の抜けが抑制されるので、スパッタ付着防止具の搬送中等に、周壁部構成部材が支持部材から脱落してしまうことはない。
【0023】
第6の発明は、第5の発明において、
上記周壁部構成部材における上記ストッパ部と上記第1壁部との間には、該周壁部構成部材を上記周壁部の中心線方向先端側へ付勢するための付勢部材が配設されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、周壁部構成部材が付勢部材によって周壁部の中心線方向先端側へ付勢されるので、周壁部構成部材の先端部を例えば板材の表面に確実に接触させておくことが可能になる。これにより、周壁部構成部材の先端部と板材の表面との隙間が小さくなるので、スパッタがネジ孔に侵入し難くなるとともに、締結面等に付着し難くなる。
【0025】
第7の発明は、第6の発明において、
上記付勢部材はコイルスプリングであり、
上記周壁部構成部材における上記ストッパ部と上記第1壁部との間の部分は、棒状に形成されるとともに、上記コイルスプリングに挿入されていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、付勢部材をコイルスプリングとすることで安価になる。このコイルスプリングに周壁部構成部材の棒状部分を挿入することで、コイルスプリングを圧縮した際に、コイルスプリングが周壁部構成部材の棒状部分によってガイドされながら変形していき、コイルスプリングによる付勢力が周壁部構成部材に対して確実に作用する。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、筒状の覆い部によって部材の所定箇所を覆うことで、広範囲に飛散するスパッタが例えばネジ孔の内面に付着するのを防止することができる。また、覆い部の周壁部を構成している複数の周壁構成部材の各々が周壁部の中心線方向に変位可能となっているので、例えばネジ孔を有する部材が板材に設けてあり、その板材を溶接する場合に、板材の傾斜角に応じて各周壁部構成部材が周壁部の中心線方向に変位することで各周壁部構成部材の先端部を板材の表面に接触させておくことができる。これにより、覆い部の中心線方向先端部と板材の表面との隙間を小さくすることができるので、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔の内面に付着するのを防止することができる。従って、溶接後のネジさらいを不要にすることができる。
【0028】
また、各種部材を締結する締結面をスパッタ付着防止具で覆うことができるので、締結面にスパッタが付着するのも防止できる。
【0029】
第2の発明によれば、第1周壁部及び第2周壁部を設け、各第1周壁構成部材及び各第2周壁部構成部材を周壁部の中心線方向に変位可能にしたので、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔により一層侵入し難くなり、溶接後のネジさらいを不要にすることができるとともに、締結面等に付着し難くなる。
【0030】
第3の発明によれば、周壁部構成部材の基端側を第1壁部の第1ガイド孔によって周壁部の中心線方向に案内するようにしたので、周壁部構成部材をスムーズに変位させることができる。
【0031】
第4の発明によれば、互いに離れた第1ガイド孔及び第2ガイド孔によって周壁部構成部材を案内できるので、周壁部構成部材の変位をより一層スムーズにすることができる。
【0032】
第5の発明によれば、周壁部構成部材に設けてストッパ部を第2ガイド孔の周縁部に係合させるようにしたので、スパッタ付着防止具の搬送時等に、周壁部構成部材が支持部材から脱落してしまうのを抑制できる。
【0033】
第6の発明によれば、周壁部構成部材を付勢部材によって周壁部の中心線方向先端側へ付勢することができるので、例えばネジ孔を有する部材を板材に溶接する際に、周壁部構成部材の先端部を該板材の表面に確実に接触させておくことができ、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔により一層侵入し難くなるとともに、締結面等に付着し難くなる。
【0034】
第7の発明によれば、付勢部材をコイルスプリングとすることで安価に構成できる。また、周壁部構成部材における棒状部分をコイルスプリングに挿入したことで、コイルスプリングを圧縮した際にコイルスプリングによる付勢力を周壁部構成部材に対して確実に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態1に係るスパッタ付着防止具を上方から見た斜視図である。
図2】実施形態1に係るスパッタ付着防止具の正面図である。
図3】実施形態1に係るスパッタ付着防止具の平面図である。
図4図3におけるIV−IV線断面図である。
図5】周壁部構成部材を上方へ変位させた状態の図1相当図である。
図6】周壁部構成部材を上方へ変位させた状態の図4相当図である。
図7】傾斜した板材に対してスパッタ付着防止具を使用した場合の図2相当図である。
図8】本発明の実施形態2に係るスパッタ付着防止具の図1相当図である。
図9】実施形態2に係るスパッタ付着防止具の図3相当図である。
図10】本発明の実施形態3に係るスパッタ付着防止具の図1相当図である。
図11】実施形態3に係るスパッタ付着防止具の図3相当図である。
図12】変形例に係るスパッタ付着防止具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るスパッタ付着防止具1を上方から見た斜視図であり、図2は、スパッタ付着防止具1を正面から見た図である。スパッタ付着防止具1は、図7に示すネジ孔101を有する部材としてのナット100における当該ネジ孔101の内面(部材の所定箇所)に、溶接時に飛散するスパッタが付着するのを防止するとともに、図示しないが部材の締結面(部材の所定箇所)にスパッタが付着するのを防止するために使用することができるものである。締結面とは、各種部材を締結する際に、当該部材が接触する面である。尚、スパッタ付着防止具1は、ネジ孔101の内面にスパッタが付着しないように使用する使用方法と、締結面にスパッタが付着しないように使用する使用方法とのうち、一方の使用方法でのみ使用してもよいし、両方の使用方法で使用してもよい。
【0038】
図1図4に示すように、スパッタ付着防止具1は、支持部材10と、支持部材10に支持される筒状の覆い部20とを備えている。支持部材10は、上下方向に延びる縦板部11と、縦板部11の下端部から該縦板部11に対して略直交する方向に延出する下板部12とを有している。縦板部11及び下板部12は、1枚の金属製板材を側面視で略L字状をなすように折り曲げることによって一体に形成されている。縦板部11の上部には、支持部材10を例えば産業用ロボットのアーム(図示せず)等に締結固定するための取付孔11a、11aが形成されている。また、下板部12における先端側には、略円弧状の切欠部12aが形成されている。この切欠部12aの内方に覆い部20が配置されて該下板部12と一体化されている。覆い部20は、ネジ孔や締結面等を覆って溶接時のスパッタがネジ孔や締結面等に付着するのを防止するためのものである。
【0039】
上記支持部材10を産業用ロボットのアーム等に取り付けることで、スパッタ付着防止具1を自由に動かして任意の場所に持っていくことができる。また、スパッタ付着防止具1を使用する際の姿勢は、図7に示すような姿勢以外にも、支持部材10の縦板部11が略水平に延びる姿勢や、縦板部11が傾斜した姿勢となることもあるが、この実施形態の説明では、図7に示す姿勢で使用されると仮定してスパッタ付着防止具1の上下方向を規定している。
【0040】
覆い部20は、固定周壁部21と、端壁部(第1壁部)22と、可動周壁部23(図2及び図4に示す)とを有している。固定周壁部21は、上下方向に延びる略円筒状をなしており、その外周面が支持部材10の下板部12の切欠部12aの内周面に沿うように形成されている。固定周壁部21の外周面の上部は、切欠部12aの内周面に固定されており、固定周壁部21が下板部12に対して相対的に変位することができないようになっている。固定周壁部21は、下板部12の下面から下方へ突出している。固定周壁部21の内径は、図7に示すように、一般的に溶接作業現場で用いられているナット100の外径よりも大きく設定されている。図2図4における符号Xは、固定周壁部21の中心線を示しており、この実施形態では上述したように上下方向に延びている。中心線X方向先端側を下側とし、中心線X方向基端側を上側とする。また、中心線Xは、可動周壁部23の中心線でもある。
【0041】
図4に示すように、固定周壁部21の上側部分21aは下側部分21bよりも厚肉となっている。すなわち、固定周壁部21の外径は、上側部分21aから下側部分21bまで略同一径である一方、固定周壁部21の内径は、下側部分21bが上側部分21aよりも大きく設定されている。このため、固定周壁部21の内周面における上側部分21aと下側部分21bとの境界部には段部21cが形成されることになる。また、上側部分21aの内径は、該上側部分21aの上端部から下端部まで略同一径とされている。また、下側部分21bの内径は、該下側部分21bの上端部から下端部まで略同一径とされている。
【0042】
端壁部22は、固定周壁部21の上端部において中心線Xと交差する方向、具体的には中心線Xと略直交する方向に延びる円形板状をなしている。この端壁部22によって該固定周壁部21の上端部が閉塞される。図4等に示すように、端壁部22の中心部(中心線X上)には、略円形のボルト挿通孔22aが該端壁部22を上下方向に貫通するように形成されている。また、図1図3にも示すように、端壁部22の外周側寄りの部位には、多数の上部ガイド孔(第1ガイド孔)22b、22b、…が該端壁部22を上下方向に貫通するように形成されている。上部ガイド孔22b、22b、…は、中心線Xを中心とした仮想円上に位置するように配置されており、この仮想円の直径は、固定周壁部21の内径よりも小さく設定されている。つまり、図4に示すように、固定周壁部21の内周面よりも内側に上部ガイド孔22b、22b、…が位置しており、上部ガイド孔22b、22b、…の形成部位は、固定周壁部21の内周面から所定距離だけ中心線Xに近いところに位置している。各上部ガイド孔22bは、中心線X方向に延びるとともに、略円形の断面を有している。
【0043】
図4に示すように、端壁部22には、下側壁部(第2壁部)25が設けられている。下側壁部25は、ボルト26及びナット27によって端壁部22に取り付けられている。下側壁部25は、端壁部22の下面から下側(中心線X方向先端側)へ離れて配置され、中心線Xと交差する方向、具体的には中心線Xと略直交する方向に延びる略円形の板材からなる。下側壁部25の中心部(中心線X上)には、略円形のボルト挿通孔25aが該下側壁部25を上下方向に貫通するように形成されている。下側壁部25の外径は、固定周壁部21の上側部分21aの内径よりも大きく、下側部分21bの内径と略同程度に設定されている。
【0044】
端壁部22と下側壁部25との間には、上下方向に延びる筒状カラー28が配設されている。カラー28は、該カラー28の上端開口が端壁部22のボルト挿通孔22aと一致し、該カラー28の下端開口が下側壁部25のボルト挿通孔25aと一致するように配置されている。カラー28の上下方向の寸法により、端壁部22と下側壁部25との上下方向の離間距離が設定される。
【0045】
ボルト26は、その頭部が下に位置した姿勢とされ、軸部が下側壁部25のボルト挿通孔25a、カラー28及び端壁部22のボルト挿通孔22aに挿通されて端壁部22の上面から上方へ突出するようになっている。このボルト26にナット27を螺合させて締め付けることにより、下側壁部25が端壁部22に対して所定の離間距離を保った状態で固定される。下側壁部25が端壁部22に固定された状態で、下側壁部25の周縁部が固定周壁部21の段部21cに下方から嵌合し、これにより、下側壁部25が固定周壁部21の内部で安定する。
【0046】
下側壁部25の外周側寄りの部位には、多数の下部ガイド孔(第2ガイド孔)25b、25b、…が該下側壁部25を上下方向に貫通するように形成されている。下部ガイド孔25b、25b、…は、中心線Xを中心とした仮想円上に位置するように配置されている。下部ガイド孔25b、25b、…が配置される仮想円と、上部ガイド孔22b、22b、…が配置される仮想円とは同一径とされている。そして、上下方向から見たとき、上部ガイド孔22bと下部ガイド孔25bとが一致するように、下側壁部25が端壁部22に固定されている。
【0047】
下側壁部25の下面には、下部ガイド孔25bの形成部位よりも内側に上方へ窪むように形成された窪み部25cが形成されている。窪み部25cの形成により、下側壁部25の肉厚は、該下側壁部25の径方向外側が内側に比べて厚くなり、この肉厚の厚い部分に下部ガイド孔25bが形成されるので、下部ガイド孔25bの長さが十分に確保される。また、上記ボルト挿通孔25aは、下側壁部25の窪み部25cの内方に形成されている。
【0048】
可動周壁部23は、固定周壁部21の内方に設けられて上下方向に延びており、該固定周壁部21の中心線Xと同心上に配置されている。可動周壁部23の中心線X方向先端部(下端部)は、固定周壁部21の下端部よりも下方へ突出しており、可動周壁部23の中心線X方向の寸法は、固定周壁部21の中心線X方向の寸法よりも長く設定されている。可動周壁部23は、複数の周壁構成部材30、30、…を周方向に並ぶように配置して構成されていて、各周壁構成部材30は、支持部材10に対して可動周壁部23の中心線X方向に変位可能に支持されている。周壁構成部材30の数は任意に設定することができるが、少ないと後述する板材102の上面との隙間が大きくなるので、できるだけ多い方が好ましい。
【0049】
周壁構成部材30、30、…は全て同じ形状である。各周壁構成部材30は、中心線X方向に延びる棒状部材からなる。周壁構成部材30の下部には、角柱部31が設けられており、可動周壁部23の周方向に隣合う角柱部31、31同士が接触することによって周方向に連続した壁が形成されてスパッタが可動周壁部23の内部に入るのを抑制することができるようになっている。尚、角柱部31の代わりに円柱部を設けてもよい。また、周方向に隣合う周壁構成部材30、30の間に隙間が形成されない方が好ましいが、僅かな隙間であれば形成されていても問題ない。
【0050】
周壁構成部材30の角柱部31よりも上側の部分は円柱部32とされている。可動周壁部23の周方向に隣合う円柱部32、32の間には所定の隙間が形成されている。隣合う円柱部32、32間の隙間の大きさは、後述するコイルスプリング40を配設することができるように、かつ、周方向に並ぶ隣合うコイルスプリング40が接触しない程度に設定されている。
【0051】
円柱部32における可動周壁部23の中心線X方向基端側が上部ガイド孔22bに挿入され、該上部ガイド孔22bによって上下方向に案内される。円柱部32における上下方向中間部は、下部ガイド孔25bに挿入され、該下部ガイド孔25bによって上下方向に案内される。従って、周壁部構成部材30の上下方向に離れた2箇所が上部ガイド孔22b及び下部ガイド孔25bによって案内されることになるので、周壁部構成部材30を中心線X方向にスムーズに変位させることができる。
【0052】
周壁部構成部材30の円柱部32における上部ガイド孔22bと下部ガイド孔25bとの間の部分には、ストッパ部33が該周壁部構成部材30の変位方向と交差する方向に突出するように設けられている。ストッパ部33は、下部ガイド孔25bの周縁部に対して上方から係合することにより、周壁部構成部材30が下部ガイド孔25bから下方へ抜けてしまうのを抑制するためのものである。
【0053】
周壁部構成部材30におけるストッパ部33と端壁部22の下面との間には、周壁部構成部材30を可動周壁部23の中心線X方向先端側(下側)へ付勢するためのコイルスプリング(付勢部材)40が配設されている。周壁部構成部材30におけるストッパ部33と端壁部22の下面との間の棒状部分は、コイルスプリング40に挿入されている。そして、コイルスプリング40の上端部は端壁部22の下面に当接する一方、コイルスプリング40の下端部はストッパ部33に当接している。周壁部構成部材30に対して中心線X方向の外力を作用させない状態で、コイルスプリング40は上記付勢力を発生するようにその長さが設定されている。
【0054】
図5及び図6は、可動周壁部23の周壁部構成部材30を上方へ変位させた状態を示している。周壁部構成部材30を上方へ変位させる際には、周壁部構成部材30の先端部を上方へ押圧する。この押圧力がコイルスプリング40の付勢力よりも大きくなると、コイルスプリング40が縮んで周壁部構成部材30が上方へ変位する。図6に示すように、周壁部構成部材30の角柱部31の上端部が、下部ガイド孔25bの下端部の周縁部に当接することによって周壁部構成部材30の上方への変位が規制される。この実施形態では、周壁部構成部材30の先端部が固定周壁部21の先端部と略同一高さとなるように、周壁部構成部材30の上方への変位量が設定されている。尚、コイルスプリング40の代わりに、例えばゴムやエラストマー等の弾性材を付勢部材として使用することもできる。
【0055】
また、固定周壁部21、端壁部22及び可動周壁部23は、耐熱性の高い金属材料で構成されている。これにより、溶接時の熱による固定周壁部21、端壁部22及び可動周壁部23の変形や損傷を抑制することができ、長期間に亘ってスパッタ付着防止具1を使用することができる。
【0056】
次に、上記のように構成されたスパッタ付着防止具1の使用方法について説明する。スパッタ付着防止具1の支持部材10を産業用ロボットのアーム(図示せず)に取り付け、産業用ロボットによってスパッタ付着防止具1を動かすことができるようにしておく。そして、スパッタの付着を防止したい箇所を覆い部20で覆うことができるようにスパッタ付着防止具1を配置する。
【0057】
例えば図7に示すように、貫通孔102aを有する傾斜した板材102の下面にナット100を取り付けている場合には、ナット100のネジ孔101にスパッタが付着するのを防止するため、覆い部20によって貫通孔102a及びその周辺を覆うようにする。可動周壁部23の内方に貫通孔102aが位置するようにしておく。このように覆い部20を配置すると、ナット100のネジ孔101も上方から覆い部20によって覆われることになる。板材102は、例えば自動車のサスペンション部品等を構成するものであるが、これに限られず、各種金属製部品を構成することができる。
【0058】
このとき、板材102は傾斜しているのに対し、覆い部20の固定周壁部21及び可動周壁部23は、その中心線Xが鉛直方向に延びる姿勢となるように配置される場合がある。この場合には、可動周壁部23の先端部が固定周壁部21の先端部よりも突出しているので、可動周壁部23の先端部が板材102の上面に接触する。可動周壁部23は複数の周壁構成部材30、30、…で構成されていて、しかも、それぞれが独立して上下方向に変位可能となっているので、図7における左側に位置する周壁構成部材30が板材102の上面によって上方へ押されてコイルスプリング40が縮み、これにより上方へ大きく変位する。図7における右側に位置する周壁構成部材30は板材102の上面に軽く接触する程度であり、上方への変位量は僅かであるか、または上方へ殆ど変位しない。
【0059】
このように、板材102が傾斜していても、板材102の傾斜角に応じて各周壁部構成部材30が可動周壁部23の中心線X方向に変位することで各周壁部構成部材30の先端部を板材102の上面に接触させることが可能になる。これにより、覆い部20の中心線X方向先端部と板材102の上面との隙間が小さくなるので、板材102の上方等で溶接作業を行っている場合に発生したスパッタがネジ孔102に侵入し難くなる。
【0060】
可動周壁部23の外側が固定周壁部21によって覆われているので、スパッタが可動周壁部23に付着し難くなる。これにより、各周壁部構成部材30の動きをスムーズにすることができる。
【0061】
また、板材102に取り付けてあるナット100を覆い部20によって覆うようにしてもよい。この場合、ナット100が可動周壁部23の内方に位置するようにスパッタ付着防止具1を配置する。これにより、ネジ孔102が固定周壁部21及び可動周壁部23によって覆われるので、スパッタがネジ孔102に侵入し難くなる。また、可動周壁部23の内径よりも小さなナット100であれば、該ナット100を可動周壁部23で覆うことができるので、複数種のナット100に対応することができる。
【0062】
また、各種部材を締結する締結面をスパッタ付着防止具1で覆うことも可能であり、この場合には、締結面にスパッタが付着するのを防止できる。上述したスパッタ付着防止具1を複数個用意し、1つの部材に対して複数のスパッタ付着防止具1を使用することもできる。
【0063】
以上説明したように、この実施形態1に係るスパッタ付着防止具1によれば、筒状の覆い部20によってネジ孔101を覆うことで、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔101の内面に付着するのを防止することができる。また、複数の周壁構成部材30の各々が中心線X方向に変位可能となっているので、板材102の傾斜角に応じて各周壁部構成部材30が中心線X方向に変位し、これにより、各周壁部構成部材30の先端部を板材102の上面に接触させることができる。従って、覆い部20の先端部と板材102の上面との隙間を小さくすることができるので、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔101の内面に付着するのを防止することができる。従って、溶接後のネジさらいを不要にすることができる。
【0064】
(実施形態2)
図8及び図9は、本発明の実施形態2に係るものであり、実施形態2では、覆い部20の可動周壁部が2つ設けられている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0065】
実施形態2では、実施形態1における覆い部20の可動周壁部23が第1可動周壁部(第1周壁部)として設けられており、第1可動周壁部23は上述した複数の周壁構成部材30(第1周壁構成部材)で構成されている。実施形態2の覆い部20には、第1可動周壁部23の外側を覆うように第2可動周壁部24(第2周壁部)が設けられている。第2可動周壁部24は、第1可動周壁部23と同心上に位置しており、複数の第2周壁構成部材36、36、…を周方向に並ぶように配置して構成されている。第2周壁構成部材36は第1周壁構成部材30と同様に構成されており、その上部は、端壁部22に形成された上部ガイド孔22cに挿入された状態で上下方向に案内されるようになっている。また、図示しないが、第2周壁構成部材36は、第1周壁構成部材30と同様に、下側壁部25に形成された下部ガイド孔によって案内される。つまり、第2周壁構成部材36は、支持部材10に対して第2可動周壁部24の中心線方向に変位可能に支持されている。また、第2周壁構成部材36は、図示しないコイルスプリングによって第2可動周壁部24の中心線方向先端側へ付勢されている。
【0066】
以上説明したように、この実施形態2に係るスパッタ付着防止具1によれば、実施形態1と同様に、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔101の内面に付着するのを防止することができるので、溶接後のネジさらいを不要にすることができる。
【0067】
また、第1可動周壁部23及び第2可動周壁部24を設けたので、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔101により一層侵入し難くなる。
【0068】
(実施形態3)
図10及び図11は、本発明の実施形態3に係るものであり、実施形態3では、覆い部20が角筒状である点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0069】
覆い部20の固定周壁部21及び可動周壁部23は角筒状をなしている。また、端壁部22は、固定周壁部21の形状に対応して矩形状となっている。上部ガイド孔22b、22b、…は可動周壁部23の形状に対応して矩形を描くように並んでいる。下部ガイド孔(図示せず)も同様に並んでいる。
【0070】
この実施形態3に係るスパッタ付着防止具1によれば、実施形態1と同様に、広範囲に飛散するスパッタがネジ孔101の内面に付着するのを防止することができるので、溶接後のネジさらいを不要にすることができる。
【0071】
尚、図示しないが、実施形態3において、実施形態2のように第1可動周壁部の外側を覆う第2可動周壁部を設けてもよい。また、図示しないが、覆い部20の固定周壁部21及び可動周壁部23は、断面が例えば楕円形、長円形等であってもよい。
【0072】
また、図12に示す変形例のように、ボルト26の上端部及びナット27と、上部ガイド孔22bを覆うカバー60を設けてもよい。このカバー60によってボルト26の上端部及びナット27と、上部ガイド孔22bを覆うことで、スパッタがボルト26の上端部及びナット27と、上部ガイド孔22bに付着し難くなる。これにより、周壁構成部材30の動作をスムーズにすることができる。
【0073】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明に係るスパッタ付着防止具は、例えばナットの内面にスパッタが付着することや締結面にスパッタが付着するのを防止する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 スパッタ付着防止具
10 支持部材
20 覆い部
22 端壁部(第1壁部)
22b 上部ガイド孔(第1ガイド孔)
23 可動周壁部(第1周壁部)
24 第2可動周壁部(第2周壁部)
25 下側壁部(第2壁部)
25b 下部ガイド孔(第2ガイド孔)
30 周壁構成部材(第1周壁構成部材)
33 ストッパ部
36 第2周壁構成部材
40 コイルスプリング(付勢部材)
100 ナット
101 ネジ孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12