(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図40を参照して説明する。
【0008】
スロットマシン1は、遊技機の一例であり、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
具体的には、スロットマシン1は、
図1〜3に示すように、スロットマシン1の本体にあたる筐体1bを備えるとともに、筐体1bの前側を覆う扉体として前扉1aを備えている。
【0009】
前扉1aは、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられている(
図3,20等参照)。
前扉1aは、前側に、遊技者に操作される複数の操作部が設けられている。
例えば、機内にメダルを投入するためのメダル投入口2が設けられ、所定数(例えば、3枚)のメダルがメダル投入口2から投入されることで、メダル投入口2と連通するメダルセレクタ2bによってメダルが検出され、ゲーム開始可能な状態となる。
また、押下操作可能なベットボタン2a(例えば、マックスベットボタン)が設けられ、操作に応じて内部的に記憶したクレジットメダルからデータ形式のメダルをゲームに投入することもできる。
また、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、ゲーム開始可能な状態において遊技者により操作されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転を開始する。
また、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられ、遊技者により各停止ボタン5が押下操作されることで、回転している各リール41を停止させることができる。
また、停止状態にある各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が視認可能な表示窓6、メダルが払い出されるメダル払出口7b、前扉1aを施錠するための錠前13なども設けられている。
【0010】
また、前扉1aには、所定の演出を実行可能な演出装置として、上部演出ユニット8と配当表ユニット9が設けられている。
演出装置は、発光手段(例えばLED)や音出力部(例えばスピーカ82)を備え、同じく前扉1aに設けられた副制御部20による制御によって、スロットマシン遊技に同期した発光演出や音出力演出を実行することができる。
さらに、前扉1aには、スピーカ82が設けられ、演出装置に内蔵されるものを含め、複数個設けられている。
【0011】
副制御部20は、種々の電子部品が実装されたプリント基板(副基板20a)からなり、これを外部から視認可能な透明の樹脂ケース(副基板ケース20b)に収めた状態で、配当表ユニット9の背面(後面)に着脱可能に取り付けられる(
図3,20等参照)。
副制御部20は、コンピュータとして構成され、後記の主制御部10から送信される制御コマンドに基づいて演出装置に、スロットマシン遊技に同期した演出を行わせる。例えば、副制御部20は、主制御部10からボーナス遊技開始を示す制御コマンドを受信すると、上部演出ユニット8、配当表ユニット9、スピーカ82等に発光や音出力を行わせる(
図4参照)。
【0012】
筐体1bは、筐体構造を有し、スロットマシン遊技に必要な様々な機械、装置、遊技部品等が収納されている。
例えば、リール41a,41b,41c、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられている。
また、メダルの貯留・払い出し行うメダル払出装置7が設けられ、払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に提供される。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルがメダルセレクタ2bを介してホッパー7aに誘導される。
【0013】
また、筐体1bには、スタートレバー3、停止ボタン5等の操作部からの操作信号に基づいて、ドラムユニット4、メダル払出装置7等の各装置を制御することでスロットマシン遊技を実行可能な主制御部10が設けられている(
図3,4参照)。
主制御部10は、具体的には、種々の電子部品が実装された基板(主基板10a)からなり、筐体1b内の上部に取り付けられている。
主制御部10は、CPUなどを備えるコンピュータとして構成され、例えば、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー3に対する操作を検知すると、各リール41の回転を開始させる。
また、これと同時に、再遊技役、小役、ボーナス等の当選役を抽選により決定する内部抽選処理を実行し、各リール41の回転中において、各停止ボタン5に対する押下操作を検知すると、抽選結果に対応した図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41の停止制御を行う。
また、主制御部10は、停止した各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せを判定し、小役に対応する図柄の組合せでの停止を判定したときには、所定数のメダルを払い出すようにメダル払出装置7を制御する。
【0014】
スロットマシン1は、このような一般的なスロットマシンの構成に加え、さらに以下に示す特徴的な構成を備えている。
【0015】
[上部演出ユニット]
上部演出ユニット8は、前扉1a(第1部材)における最上部の位置に着脱可能に設けられた演出装置(第2部材)であり、副制御部20による制御に基づき、遊技状況に応じた発光演出や音出力演出を実行する(
図1〜
図5参照)。
上部演出ユニット8は、具体的には、前部中央部がやや凸状に湾曲した形状に形成されており、前扉1aに対しては、前側にせり出す態様で設けられている(
図2,
図5,
図6,
図9参照)。
【0016】
上部演出ユニット8は、当該ユニットの筐体を構成するユニット本体81、ユニット本体81に設けられるスピーカ82、スピーカ82を後方から覆うスピーカカバー83等によって構成されている(
図7等参照)。
ユニット本体81は、所定の形状(レンズ加工等)が施された有色又は無色の透光部材により形成されるとともに、図示しないLED基板、導光部材、光拡散部材等の光学部材を内蔵し、LED基板に実装されている複数のLEDの発光に応じ、自らが発光して様々なランプ表示演出を行う。
また、ユニット本体81は、スピーカ82の取付箇所の前方にスピーカ82からの音を機外に出力するための開口等が施されている。
スピーカ82は、コーンなどを振動させて音を出力させる音出力手段であり、スピーカカバー83は、スピーカ82を収容可能な透明の樹脂部材からなるカバー部材である。
スピーカカバー83は、スピーカ82を収容した状態で当該スピーカ82とともにユニット本体81の後方に取り付けられる。
このため、スピーカ82の内部に異物が侵入された(コーンが突き破られるなど)場合でも、スピーカカバー83が障壁となって機内への侵入を防ぐことができる。
また、スピーカカバー83は、ユニット本体81に取り付けた状態において、スピーカカバー83の下側の縁辺がユニット本体81の取付箇所よりも下側に突出しており、この突出した部分を第2壁部83aとして備えている(
図6(f),
図7,
図9(a)・(c),
図10参照)。
このような構成からなる上部演出ユニット8は、ユニット本体81の下側面(以下、ユニット下面84という。)がほぼ水平に形成されている。
これにより、前扉1aの設置部16(設置面163)に上部演出ユニット8を載置した態様で設置できるようにしている。
【0017】
設置部16は、
図5に示すように、前扉1aの上部に設けられ、上部演出ユニット8を水平な状態で載置できるよう、ほぼ水平に施された設置面163を有している。
このような設置面163は、上部演出ユニット8を取り付ける際において、ユニット本体81をスライドさせる移動領域としても機能する。
設置面163の後方には、スピーカカバー83の後方を機内側に臨ませるとともに、上部演出ユニット8の裏面等に接続されている不図示のケーブル等を機内に渡すための開口部161を設けている。
開口部161の周縁には、設置面163に対してほぼ鉛直方向に立設した壁部(第1壁部162)を設けている。
このため、上部演出ユニット8は、前側に位置するユニット下面84を設置面163に置きつつ、後側のスピーカカバー83の下面を第1壁部162上に置くことで、スピーカカバー83側が上方に傾斜した状態で設置部16上にセットすることができ、この傾斜状態を維持したまま設置面163上を後方にスライドさせることができる。
上部演出ユニット8は、設置部16の後側の設置位置までスライドさせたときにスピーカカバー83側が下方に傾動し、これにより当該スピーカカバー83の下部にあたる第2壁部83a、第1壁部162の後方において、当該第1壁部162の上部と重なる(オーバーラップする)ようにしている(
図8〜
図11参照)。
例えば、
図11に示すように、第1壁部162と第2壁部83aは、所定の長さ(約2mm)オーバーラップするようにしている。
このような構成による不正防止効果については後述する。
【0018】
また、上部演出ユニット8の設置部16への設置を案内するガイド機構を設けている
具体的には、ユニット下面84に、前後方向に沿って施した凹状のガイド溝部(凹部)85を左側と右側にそれぞれ複数本(例えば3本)設けるとともに、設置面163には、ガイド溝部85と対応する箇所に、当該ガイド溝部85により収容可能な形状の凸状のガイドレール(凸部)164を設けている(
図5,
図6,
図12等参照)。
また、ユニット下面84の中央部には、後方に突出させた突片86をユニット本体81と一体に設けるとともに、設置部16の中央部には、上部演出ユニット8の設置時に突片86を収容可能な袋状部165を設けている(
図5,6等参照)。
ガイド機構の詳細については後述する。
【0019】
次に、上部演出ユニット8の取り付けについて説明する
上部演出ユニット8を取り付ける際の状態として、例えば、上部演出ユニット8を設置部16の前方の所定位置(第1位置)に配置した状態(第1状態)と、上部演出ユニット8を後方にスライドさせるときの状態(第2状態)と、上部演出ユニット8を後方の設置位置(第2位置)までスライドさせ、当該第2位置での傾動により設置を完了させた状態(第3状態)を挙げることができる。上記各状態について以下に説明する。
【0020】
第1状態は、上部演出ユニット8を後方にスライドさせる前の状態であり、設置部16の前側に配置したときの状態に相当する。
ここで、上部演出ユニット8は、前端部から後端部(スピーカカバー83)までの奥行きが、設置面163の前端部から後端部までの奥行きよりも長いことから、第1状態では、スピーカカバー83を開口部161に挿通しつつ、ユニット下面84の前部を設置面163の前側に載置した状態となる(
図8(a),
図9(a),
図10(a)参照)。
これにより、上部演出ユニット8は、自重によって、前側のユニット下面84が設置面163上に置かれ、後側のスピーカカバー83が設置面163より高い位置にある第1壁部162の頂部に置かれた状態にすることができる。
すなわち、上部演出ユニット8を、後側(移動方向側)がやや上方に傾いた傾斜状態にすることができる。
【0021】
このとき、上部演出ユニット8は、ガイド溝部85をガイドレール164の位置に合わせつつ設置部16に配置することが好ましい(
図12(a)参照)。
これにより、ガイド溝部85にガイドレール164が収容されるため、上部演出ユニット8の左右方向の移動を制限することができる。
このようにすると、上部演出ユニット8に対し、スピーカカバー83が、開口部161の側部に接触しないように案内することができる。
このため、スピーカカバー83が、スライドの途中で開口部161に接触して損傷することを防ぐことができる。
【0022】
第2状態は、上部演出ユニット8を、後方の所定位置に移動させるまでのスライド途中の状態である。
第2状態において、上部演出ユニット8は、後側を上方に傾けた傾斜状態で後方にスライドさせるようにしているため、仮に、傾斜させずにスライドさせた場合に比べ、第1壁部162により進行が邪魔されないため、円滑にスライドさせることができる。
また、第2状態においては、上部演出ユニット8の高さを一定に維持したままスライドさせるようにしている。
そして、このようなスライドを可能とするため、上部演出ユニット8側には、ユニット下面84側の中央部に後方に延出させた突片86を設け、設置部16の対応する位置には、この突片84を収容可能な袋状部165を設けている(
図8(b),
図9(b)参照)。
袋状部165は、内部空間が、挿入された突片86をわずか上方に変移可能な程度のクリアランスしか有しないように形成されている。
例えば、上部演出ユニット8を第1状態における位置からやや後方にスライドさせることで、突片86を袋状部165に挿入させることができるが、これにより、突片86は高さ方向の移動範囲が狭まるため、これに応じて、上部演出ユニット8の上方向への変移(傾き・移動)を制限することができる。
このようにすると、上部演出ユニット8を、スピーカカバー83が開口部161の上部に接触しない高さに維持させることができるため、スライドの途中でスピーカカバー83が開口部161の上部に接触して損傷することを防ぐことができる。
【0023】
第3状態は、上部演出ユニット8を後方の所定位置までスライドさせ、当該所定位置における傾動により傾斜状態が戻されることで(
図10(b)参照)、上部演出ユニット8の設置位置への取り付けが完了する状態である(
図8(c),
図9(c),
図10(c)参照)。
具体的には、上部演出ユニット8の後方へのスライドを進めることで、スピーカカバー83の下面が第1壁部162の頂部に支持された傾斜状態のまま後方に移動し、スピーカカバー83の前端部(第2壁部83a)が開口部161を通過した後方の所定位置(第2位置)に到達することで、スピーカカバー83は第1壁部162による支持を失って下方向に傾動する(
図10(b)参照)。
これにより、上部演出ユニット8は、元の傾斜方向(第1方向)と反対方向(第2方向)に傾動することになる。
そして、この傾動に伴って、上部演出ユニット8は、ユニット下面84と設置面163とが合わさり、ほぼ水平な状態で設置面163上に載置された状態(取り付け完了の状態)となる。
また、これにより、スピーカカバー83の第2壁部83a、設置部16の第1壁部162の後方で重なった状態となる(
図8(c),
図9(c),
図10(c),
図11参照)。
【0024】
ここで、このように、スピーカカバー83の第2壁部83a、設置部16の第1壁部162が重なることによる不正の防止効果について、
図10(c)を参照しながら説明する。
図10(c)に示すように、上部演出ユニット8と設置部16の間から異物の侵入を試みた場合、仮に、異物の侵入ができたとしても、異物は第1壁部162に到達し、これが障壁となって侵入が阻まれることになる(矢印a参照)。
また、万一、異物が第1壁部162を通過できたとしても、次に第2壁部83aに到達することになるため、これが新たな障壁となって侵入が阻まれる(矢印b参照)。
しかも、第2壁部83aは、下向きに突出しているため、侵入をさらに進めたとしても、異物は下方向に誘導されることになる(矢印c参照)。
このため、不正の対象になり易く、機内の後方に位置する主基板10aへの不正なアクセスを効果的に防止することができる。
【0025】
ところで、前述のガイド溝部85とガイドレール164は、
図12に示すように、上部演出ユニット8のスライド方向に沿って幅が異なるようにしている。
具体的には、ガイド溝部85及びガイドレール164は、ともに前側より後側が徐々に幅広となるテーパ状に形成されている。
より具体的には、ガイド溝部85の後端部の幅をD1、前端部の幅をD2とし、ガイドレール164の後端部の幅をd1、前端部の幅をd2とすると、D1>D2>d1>d2となる関係性を有するようにしている。
このようにすると、
図12(a)に示すように、ガイド溝部85の後端部の幅とガイドレール164の前端部の幅の間隔を広くすることができるため、上部演出ユニット8を設置部16に配置する際には、ガイド溝部85をガイドレール164に重ね易くすることができる。
このため、第1状態における上部演出ユニット8の配置にあたり、左右方向に対する位置決めを容易に行うことができる
これに対し、例えば、ガイド溝部85の前端部の幅とガイドレール164の後端部の幅の差(間隔)を小さくした場合には、ガイド溝部85をガイドレール164に重ねづらくなるため、上部演出ユニット8の左右方向に対する位置決めが困難になることが考えられる。
【0026】
また、
図12(b)に示すように、上部演出ユニット8を後方にスライドさせるに連れて、ガイド溝部85の幅とガイドレール164の幅との間隔を徐々に狭くなるようにしており、上部演出ユニット164が後方の所定位置に設置された状態においては、ガイド溝部85はガイドレール164を、おおよそ全長に亘ってほぼ隙間なく収容するようにしている。
このため、上部演出ユニット8を緩やかに後方の所定位置に誘導することができる。
これに対し、例えば、上部演出ユニット8を後方にスライドさせるに連れて、ガイド溝部85の幅と、ガイドレール164の幅との間隔が広くなるようにした場合には、移動可能範囲が大きくなる。このため、横方向へのブレによって、上部演出ユニット8を適切な位置に誘導できない場合やがたつきによる損傷を発生することが考えられる。
【0027】
以上のように、本実施形態の遊技機は、設置部16を有する前扉1a(第1部材)と、設置部16に設置される上部演出ユニット8などの演出装置(第2部材)とを備えるとともに、前扉1aにおける設置部16の後方に形成された開口部161と、開口部161の周縁において設置部16(設置面163)に対し略鉛直方向に形成された第1壁部162を備えている。
設置部16は、演出装置を後方にスライドさせることが可能な設置面163を有しており、演出装置を、移動方向側を上方(第1方向)に傾けた傾斜状態で、前方の所定位置から後方の所定位置まで移動可能な領域を有している。
演出装置は、後方の所定位置において移動方向側を下方(第2方向)に傾動可能であり、当該下方に傾動した状態で第1壁部162の後方に重複して配置される第2壁部83aを有している。
これにより、例えば、上部演出ユニット8と設置部16の間に異物を挿入する不正行為を防止することができるなど、演出装置の周囲における不正行為を防止することができる。
【0028】
また、本実施形態の遊技機は、演出装置にガイド溝部85を有し、設置部16にガイド溝部85に収容可能なガイドレール164を有しており、ガイド溝部85とガイドレール164との間隔は、演出装置が後方の所定位置に近づくにつれて狭くなるようにしている。
このため、演出装置を設置部16の前方の所定位置に配置する際には、ガイド溝部85とガイドレール164とが重ね易く、演出装置を円滑に配置することができる。
また、演出装置を設置部16の後方の所定位置に配置する際には、演出装置を当該所定位置に円滑に配置することができる。
【0029】
一方、従来の遊技機は、スピーカと、当該スピーカの背面側をカバーするスピーカカバーとによりスピーカユニットを構成し、スピーカカバーの側壁に返し部を設けることで、スピーカ内部に異物が侵入したときに、当該返し部により機内への侵入を防止する機構を有するものがある。
しかしながら、このような従来の遊技機は、スピーカユニットの内部に対する不正は防止できるものの、スピーカユニットの周囲に対する不正を防止することはできなかった。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決することができる。
【0030】
なお、上記実施形態においては、上部演出ユニット8を例にあげて説明したが、他の装置(例えば、配当表ユニット9や操作部をユニット化したもの等)に上述の不正防止構造やスライド式取付構造を採用することができ、この場合も同様の作用効果を奏することができる。
また、不正防止構造に関する上記実施態様では、上部演出ユニット8を設置部16に設置した状態において、第1壁部162と第2壁部83aとは、接触せずに前後方向に重なるようにしているが、これを互いに接触させたり係止させることができる。
また、2つある左右のスピーカカバー83のうち、いずれか一方について不正防止構造を設けるようにすることができる。この場合、後方に主基板10aが配置されている方や近傍に主基板10aが配置されている方に不正防止構造を設けることが好ましい。
また、スライド式取付構造に関する傾斜態様では、上部演出ユニット8の前側又は後側を上方又は下方に傾斜させ、スライド後にその傾斜を戻す方向に上部演出ユニット8の前側又は後側を傾動させることもできる。
例えば、上部演出ユニット8の前側を上方に傾斜させ、当該傾斜状態で後方にスライドさせた後に前側をその傾斜方向と反対方向である下方に傾動させる構造とすることができる。この場合、開口部161の上部に下方に突出する第1壁部162を設け、上部演出ユニット8を設置部16に設置した状態では、第1壁部162の下部とスピーカカバー83の上部の第2壁部83aとが重なるような不正防止構造にすることができる。
また、上部演出ユニット8を上下方向に傾斜・傾動させるのではなく、上部演出ユニット8を水平状態に維持したまま左側又は右側を前方又は後方に移動させて傾斜させ、スライド後に、左側又は右側をその傾斜を戻す方向に傾動させる構成とすることができる。
また、設置面163にガイドレール164を設けユニット下面84にガイド溝部85を設けるのではなく、設置面163にガイド溝部85を設けユニット下面84にガイドレール164を設けることができる。
また、ガイド溝部85及びガイドレール164を、左右の2箇所に設けるのではなく、1箇所又は3箇所以上設けることや、各箇所に3本ずつではなく、1本ずつ、2本ずつ、又は4本以上ずつ設けることができる。
【0031】
[配当表ユニット]
配当表ユニット9は、前扉1aの上部演出ユニット8の下側の開口部169に対向するようにして着脱可能に設けられた演出装置であり、副制御部20による制御に基づき、遊技状態に応じた発光演出を実行する(
図1〜5参照)。
配当表ユニット9は、具体的には、
図13〜
図15に示すように、正面視矩形状の箱形の筐体からなり、ともに複数の部材から構成されたリフレクタユニット91と透明板ユニット92によって構成されている。
【0032】
リフレクタユニット91は、透明板ユニット92の後側に取り付けられる演出部材であり、リフレクタ(後方部材)911、LED基板912、及び棒状レンズ913によって構成されている(
図14参照)。
リフレクタ911は、例えば白色の樹脂部材などの光反射部材を略四角錐台状に形成され、横長矩形状の開放面を有する開放部911aと、開放部911aよりやや小さい横長矩形状の底面を有する底部911bを備えている。
リフレクタ911は、開放部911aが前方を向いた状態で取り付けられ、配当表ユニット9において最後方に位置する。
【0033】
LED基板(発光演出基板)912は、複数(例えば12個)のLED(演出用発光部)912aが配列された細長のプリント基板であり、リフレクタ911の底部911bに取り付けている。
各LED912aは、副制御部20から受信した制御信号に基づく点灯パターンに従って点灯(発光)を行う。このため、LED基板912の裏面には、コネクタ912bを設け、当該コネクタ912bに接続されている図示しないケーブルを介して副制御部20から制御信号を受信するようにしている。
棒状レンズ913は、断面が半円状に形成された光拡散部材であり、各LED912aの発光面を覆うようにリフレクタ911に取り付けている。
【0034】
透明板ユニット92は、リフレクタユニット91の前側に取り付けられる演出部材であり、前部透明板(第1透光性部材)921、後部透明板(第2透光性部材)923、及び配当表シート(絵柄表示部材)922によって構成されている(
図15参照)。
前部透明板921及び後部透明板923は、透明平面部921a,923aと、透明周縁部(側壁部)921b,923bによって構成された透明部材(透光性部材)である。
透明平面部921a,923aは、横長矩形状の平面材であり、透明周縁部921b,923bは、この透明平面部921a,923aの後面の周縁に立設された所定板厚の枠部材である。
【0035】
配当表シート922は、透明のシート部材からなり、当選役の絵柄の組み合わせ(例えば、ボーナス当選の絵柄組合せ「777」等)や配当枚数等(以下、絵柄等という。)が印刷されている。配当表シート922は、前部透明板921と後部透明板923の間に配置されている。
配当表シート922は、光を透過させる透光領域922aと、光を透過させない非透光領域922bとに分けて構成している(
図15参照)。
透光領域922aは、具体的には、配当表シート922の裏面に対し透光性を有する様々な色のインクにより上記絵柄等を印刷することで、当該箇所を光が透過する際に、絵柄等が様々な色で発光するため、その発光態様が視認されるようになっている。
非透光領域922bは、例えば、光を透過させない領域であり、例えば、光の反射性を有するインク(銀色のインク)を用いて印刷するようにしている。
【0036】
配当表シート922は、前部透明板921における透明周縁部921bの内側領域に重ねて配置されるため、当該内側領域とほぼ同じ大きさの面を有している。
このような配当表シート922は、前部透明板921の後面に配置し、その後方から後部透明板923を入れ子状に重ね合わせることができ、これにより、前部透明板921と後部透明板923との間に配当表シート922が配置された透明板ユニット92を完成することができる(
図15参照)。
このとき、配当表シート922は、前部透明板921と後部透明板923により挟まれつつ、周縁が透明周縁部921bにより隙間なく囲まれた状態となって固定される。
【0037】
前部透明板921と後部透明板923には、互いに着脱可能に係止する係止手段として係止孔921cと爪部923d(詳細には、当該爪部923dの下方に突出した図示しない突起部)を設けている(
図15参照)。
また、後部透明板923とリフレクタ911には、透明板ユニット92とリフレクタユニット91とを互いに着脱可能に係止する係止手段として、透明周縁部923bから後方に延びる爪部923cと、爪部923cを係止可能な係止孔911cを設けている。
これにより、前部透明板921と配当表シート922と後部透明板923を順に配置して入れ子状に重ねるだけで透明板ユニット92を組み立てることができ、また、このようにして組み立てた透明板ユニット92を、リフレクタ911の開放部911aに配置するだけで配当表ユニット9を完成させることができる。
このような構成の配当表ユニット9によれば、配当表シート922を異なる絵柄等のものに差し替えるだけで発光対象を変更することができる。
このため、ユニット全体を替えることなく、配当表シート9を変えるだけで、配当表ユニット9のデザインを手軽にかつ安価に変更することができる。
【0038】
このような配当表ユニット9における発光動作について断面模式図を用いて説明する。
図16(a)に示すように、配当表ユニット9では、内蔵するLED912aが発光されると、このLED912aから光が前方に出射される。
LED912aから前方に出射された光は棒状レンズ913の光拡散機能によって多方位に拡散される。
棒状レンズ913により拡散された光は、その多くが透明板ユニット92の配当表シート922の裏面に向かって進行し裏面全体を照射する。
図16(b)に示すように、このうち、透光領域922aに到達した光は配当表シート922を透過することで、この領域に印刷されてある絵柄等を発光する(矢印a参照)。
これにより、遊技者は、配当表シート922の絵柄等が発光された様子を、前部透明板921を通して視認することができる。
他方、非透光領域922bに到達した光は後方に反射され配当表シート922を透過しない(矢印b参照)。
このため、透光領域922aと非透光領域922bとのコントラストにより、透光領域922aに印刷した絵柄等をより目立たせて表示することができ、周囲が明るい環境下にあっても、絵柄等をくっきりと鮮やかに見せることができる。
【0039】
ところで、LED912aから出射された光は、棒状レンズ913により多方向に拡散され、非透光領域922bに到達した光は反射されることから、配当表ユニット9の内部空間では光が様々な方向に進行する。
この結果、LED912aからの直接光のみならず、上記拡散や反射を経た間接光によって、配当表シート922を効率よく照射することができる。
【0040】
[配当表ユニットの周縁部の光漏れを防止する構造]
上述したように、本実施形態の配当表ユニット9は、LED912aからの直接光や間接光が前部透明板921と後部透明板923の間に配置された配当表シート922を後方から照射することで絵柄等を発光させているが、このような配当表ユニット9の構成においては、配当表ユニット9の周縁部に光漏れが生じることがある。
例えば、
図16(c)に示すように、透明板ユニット92の周縁の透明周縁部923bに対し、後方から光が入射した場合には、その入射光が当該透明周縁部923bの内部を透過して透明周縁部921bに入射する。
このようにして、透明周縁部921bに対し後方から入射した光は、当該透明周縁部921bの内部を透過して主に前方から外部に出射する。
このため、透明周縁部921bから外部に出射した光は、これが配当表ユニット9の周縁部の近傍において光漏れとして視認可能に現れる。
このような周縁部の光漏れは、意図しない発光態様であり、配当表ユニット9の見栄えを悪化させるなどの問題を生ずる。
【0041】
そこで、本実施形態の配当表ユニット9は、
図17に示すように、後部透明板923の透明周縁部921bの所定領域を、光を遮光する遮光領域Caとして形成するようにしている。
具体的には、透明周縁部921bの上部周縁部の領域に対し、光の吸収作用を有する黒色のインクを用いて印刷することで当該領域を遮光領域Caとしている。
このようにすると、
図18(a),(b)に示すように、遮光領域Caである透明周縁部923bに照射される光は、当該領域に施された光吸収機能によって吸収され、当該吸収による遮光効果によって透明周縁部923bを透過しない。
これにより、透明周縁部921bに対し後方から光が照射されたとしても、その光は透明周縁部921bに入射すらされないため、当該透明周縁部921bを通じて外部に出射することで生じる周縁部における光漏れを未然に防ぐことができる。
【0042】
ところで、配当表ユニット9の周縁における光漏れの対策としては、配当表シート922の周縁に遮光処理(例えば、非透光領域922bとするなど)を施して光漏れの原因である光の透過を遮ることも考えられる。
しかしながら、配当表シート922は、透明周縁部921bに囲まれた領域に配置されるため、配当表シート922の周縁に遮光処理を施すことによって透明周縁部921bにおける光の透過を遮ることはできない。
また、前部透明板921において正面側に面する透明平面部921aの周縁を黒色印刷などの遮光処理を施すことによって光漏れを防ぐことも考えられる。
ところが、このようにすると、透明平面部921aの面積を小さくすることになる。
すなわち、配当表ユニット9のような発光演出を見せる演出装置は、演出の迫力や視認性が求められるため、演出領域である透明平面部921aの領域を小さくすることは好ましくない。
この点、本発明によれば、演出領域を最大限に活かしつつ効果的に光漏れを防止することができる。
【0043】
ところで、配当表ユニット9の透明板ユニット92は、透明周縁部923bの上辺に爪部923cを設けている(
図14,15等参照)。
この爪部923cは、透明周縁部923bと一体成形されており、透明周縁部923bと同様に透明部材(透光性部材)で形成されている。
また、爪部923cは、透明板ユニット92とリフレクタユニット91とを組み立てる際の透明板ユニット92側の係止部であり、これに対し、リフレクタ911には係止孔911cが被係止部として設けられている。
このため、例えば、リフレクタユニット91の内部において、LED912aから出射された光が係止孔911cに向けて照射されると、当該係止孔911cに係止されている爪部923cが透明部材であるため、当該爪部923cを光が透過する結果、係止孔911cの周辺において光漏れとして現れることがある。
【0044】
そこで、本実施形態の配当表ユニット9は、透明周縁部923bの所定領域に遮光処理を施すにあたり、当該透明周縁部923bに形成されている爪部923cにも同様の遮光処理を施して遮光領域Caに含めるようにしている(
図17等参照)。
具体的には、爪部923cについても光吸収性を有する黒色のインクを印刷するようにしている。
このようにすると、
図19に示すように、係止孔911cに対し、直接光が照射された場合であっても、光は爪部923cにおける遮光機能によって遮光されるため、係止孔911cの周辺における光漏れを効果的に防止することができる。
また、爪部923cは、透明周縁部923bと一連・一体に形成されているため、透明周縁部923bと爪部923cを遮光領域Caとする処理(インク印刷処理)を同じ工程の中で、効率よく行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態の配当表ユニット9は、後部透明板923の透明周縁部923bのうち上部周縁部のみ(爪部923cを含む)、遮光領域Caを形成している。
これは、配当表ユニット9の上側部分において前方にせり出した上部演出ユニット8の陰になることで、光漏れが一層目立つことに対応したものである(
図2等参照)。
これに対し、配当表ユニット9の下側や左右側の周縁部においても原理的には同様の光漏れは生じているものの、例えば、遊技場においては、室内灯によって一定の明るさがあり、実質的に光漏れは生じていないことから、上部周縁部以外の透明周縁部923bには遮光領域Caを形成していない。
ただし、これに限らず、上部、下部、左部、右部のすべての周縁部に係る透明周縁部923bについて遮光領域Caを形成したり、いずれか一以上を選択して遮光領域Caを形成することができる。
【0046】
[主基板に搭載されている状態ランプの発光態様を視認困難とした構造]
一般に、発光演出等を行う演出装置を備えた遊技機は、遊技者が注視し易い場所に演出装置を設置することが好ましい。
このような理由から、本実施形態のスロットマシン1は、配当表ユニット9を、前扉1aの上部に設置している(
図1,2等参照)。
しかしながら、このような演出装置の設置位置が、主基板10aの設置位置との関係において問題となることがある。
【0047】
ここで、主基板10aは、不正防止の観点から、アクセスしづらい位置に配置することが望ましい。
他方、主基板10aは、メンテナンス等の観点からは、前扉1aを開いたときに、正面視可能な位置に配置することが望ましい。例えば、本実施形態の主基板10aには、
図20に示すように、遊技の状態を発光態様によって把握可能な状態ランプ10bを搭載しており、店員が前扉1aを開いたときに、状態ランプ10bの発光態様を一目で把握できることが好ましい。
このような状態ランプ10bには、例えば、ドア開放時に消灯するものや、マックスベッドボタンが押されている間点灯するものや、メダルセレクタ2bにおけるメダルの通過時に点灯するものや、スタートレバー3の操作時に点灯するものや、停止ボタン5が押されている間点灯するものがある。また、例えば、小役などの成立役を示す状態ランプ10bを設けることもできる。
【0048】
このような観点から、
図20に示すように、主基板10aは、多くの場合、筐体1bの正面上部奥側に配置されている。
これにより、開扉動作を行うことで、前扉1aを、主基板10aを視認容易な位置(第1位置)に変移させることができ(
図3,20参照)、また、閉扉動作を行うことで、前扉1aを、主基板10aが視認困難な位置(第2位置)に変移させることができる(
図2参照)。そして、このような前扉1aの開閉操作は、一般に、店員のみが実施できるようになっている。
つまり、主基板10aを、筐体1bの正面上部奥側に配置することで、店員の立場からは視認容易であって、店員以外の者からは視認困難でアクセスも困難とすることができる。
【0049】
しかしながら、この場合、
図21に示すように、前扉1aを閉じた状態においても、正面視する遊技者の目線上に、配当表ユニット9と主基板10aとが重なって配置されるため、主基板10aの状態ランプ10bの発光態様が配当表ユニット9を通して遊技者により視認可能となることがある。
具体的には、
図22(a)に示すように、主基板10aの状態ランプ10bが発光されると、状態ランプ10bから出射された光は前方に進行し、配当表ユニット9の後部部材であるリフレクタ911の後面に到達する(矢印a参照)。
リフレクタ911の後面に到達した光は、多くの場合、リフレクタ911に反射されて透過されないが、状態ランプ10bと対向するリフレクタ911の領域に開口部kが設けられている場合には、当該開口部kを光が通過することになる(矢印b参照)。
【0050】
なお、このような開口部kには、副基板20aを保持する保持部に対向して設けられる開口部k1がある(
図13〜15等参照)。
保持部としては、副基板ケース20bを下方にスライドさせることによって当該副基板ケース20bの上部片20c及び下部片20dを保持可能に形成された上部フック911e及び下部フック911fがある(
図13,15等参照)。
このような開口部k1は、例えば、射出成形における、いわゆるアンダーカットの問題を回避するための簡易な手段として設けられることがある。
この他、開口部kには、LED基板912の裏面に設けたコネクタ912bを機内に望ませるための開口部k2等がある
【0051】
開口部kを通過した光は、透明板ユニット92の配当表シート922に到達する(矢印c参照)。
ここで、光が非透光領域922bに到達した場合は、当該光は配当表シート922を透過することはできないが(矢印d参照)、光が透光領域922aに到達した場合には(矢印e参照)、当該透光領域922aを光が透過する(矢印f参照)。
このため、遊技者は、状態ランプ10bの発光態様を、配当表シート922の透光領域922aを通じて視認可能となる。
【0052】
このように、前扉1aが閉じられた状態において、状態ランプ10bの発光態様を外部から視認可能となると、不正を行っても問題が起こらないタイミングを把握可能になるなど、不正を容易に許容するおそれがあり問題である。
例えば、状態ランプ10bとして、当選した小役を報知するものが存在する場合、小役が当選した際には、状態ランプ10bを視認することで100%小役を停止表示させることが可能になる。この様に、確実に小役を停止表示できてしまうと、いわゆるナビ演出を行うAT機等では、ナビ演出が行われていないにも関わらず、小役を停止表示させることができてしまい、遊技店が多大なる被害を被ってしまう虞がある。
また、配当表ユニット9のような発光演出を行う演出装置は、演出の迫力や視認性が求められることから演出領域を拡大する傾向にあり、これに伴い透光領域922aが広くなることで上記問題の顕著化が懸念される。
【0053】
そこで、本実施形態のスロットマシン1は、
図22(b)に示すように、状態ランプ10bの発光態様を視認困難とする遮蔽部Cbを設けるようにしている。
遮蔽部Cbは、例えば、別部材を用いて開口部kを塞いだり、予め開口を形成しないことで設けることができる。
本実施形態においては、下部フック(第1保持部)911fと対向するリフレクタ911の領域については、予め開口を設けないことで、当該領域を遮蔽部Cbとして設けている(
図14,22(b)参照)。
具体的には、射出成形によりリフレクタ911を製作するにあたり、いわゆるスライド方式(基本金型とは別に、下部フック911fの成形を担う別の金型を加えて成形を行い、成形後に当該別の金型を所定方向にスライドさせる方式)を採用することで、前記領域を開口しないようにしている。
このようにすると、状態ランプ10bと対向する位置にある下部フック911fの対向するリフレクタ911の領域が塞がれるため、光が当該領域を通過することを防ぐことができる(
図22(b)参照)。
したがって、状態ランプ10bから出射された光が、配当表シート922に到達することもないため、状態ランプ10bの発光態様が、配当表ユニット9の透光領域922aを介して遊技者から視認されることを防ぐことができる。
【0054】
ところで、上部フック(第2保持部)911eは、下部フック911fと同様に、副基板20aを保持するための保持部でありながら、対向領域には開口部k1を設けており遮蔽部Cbを設けていない(
図15等参照)。
これは、上部フック911eが、状態ランプ10bと対向した位置に配置していないことや、遊技者若しくは配当表シート922と状態ランプ10bとが対向する線上の位置に配置していないことから、このような開口部k1に遮蔽部Cb設けなくても、状態ランプ10bの発光態様が遊技者により視認可能になる問題は生じ得ないからである(
図22(b)等参照)。
また、開口があっても問題が生じない部分に、あえてコスト高のスライド方式を採用して開口を設けないこととする必要性に乏しいからである。
【0055】
遮蔽部Cbを別部材により設ける場合としては、例えば、板材などからなる遮蔽部材によって開口部kを塞ぐ方法がある。
また、開口部kの近傍に遮蔽部材を移動可能に設け、一方に移動させたときには開口部kが塞がれ、他方に移動させたときには開口部kが開放される構成とすることができる。
このようにすると、例えば、開口部kが開放される位置に遮蔽部材を移動させた状態で実際に遊技を行いながら、状態ランプ10bを視認できるようにすることもできる。
【0056】
さらに、遮蔽部材の位置を検知可能なフォトインタラプタなどのセンサと副制御部20とを通信可能に接続し、遮蔽部材が開口部kを遮蔽する位置にあることをセンサが検知すると、副制御部20が、配当表ユニット9のLED912aを消灯させるように制御することができる。
このようにすると、遊技中であるために状態ランプ10bの発光態様が見づらい場合でも、状態ランプ10bの発光態様を相対的に明るくして見易くすることができる。
例えば、遊技場において通常営業時に遊技を行う際には状態ランプ10bの発光態様を視認困難とし、遊技場に設置する前のテスト段階において遊技を行う場合には状態ランプ10bの発光態様を視認可能にすることができる。つまり、通常営業を行っていない場合には、明確に遊技状況を把握できるようにすることができる。
これにより、遊技場に設置する前において、状態ランプ10bに不具合が生じていないかを確認しながら遊技を行うことができる。
【0057】
以上のように、本実施形態の遊技機は、遊技状況を発光態様により示す状態ランプ10b(発光部)を有する主基板10aを設けた筐体1bと、筐体1bに対して、主基板10aが視認容易な第1位置(開扉時の位置)と当該第1位置よりも主基板10aが視認困難な第2位置(閉扉時の位置)とに変移可能に設けられた前扉1aと、前扉1aに取り付けられた配当表ユニット9などの演出装置とを備えている。
演出装置は、透光領域922aを有する透明板ユニット92(演出部材)と、透明板ユニット92の後方に設けられるリフレクタ911(後方部材)とを有し、透光領域922aには、状態ランプ10bに対向する位置に配置されているものがある。
リフレクタ911は、開口部kと、透光領域922aを介して状態ランプ10bの発光態様を視認困難とする遮蔽部Cbとを有している。
このような構成によれば、状態ランプ10bの発光態様を視認困難とすることができる。
また、演出領域を狭くすることなく、状態ランプ10bの発光態様を視認困難とすることができる。
【0058】
また、本実施形態の遊技機は、リフレクタ911が、状態ランプ10bに対向して設けられ、演出装置による演出の実行を制御可能な副基板20aを保持するための下部フック911fと、開口部kに対向して設けられ、副基板20aを保持するための上部フック911eとを有し、遮蔽部Cbは、下部フック911fに対向して設けられるようにしている。
すなわち、副基板20aを保持する保持部のうち、状態ランプ10bの発光態様が視認可能な開口部kを対向領域に有する保持部に対して、その開口部kに対し遮蔽部Cbを設けるようにしている。
また、リフレクタ911は、透光領域922aに対して光を照射可能なLED912aを備え、透明板ユニット92は、前部透明板921と、前部透明板921の後方に配置され、所定の絵柄の表された配当表シート922と、配当表シート922の後方に配置される後部透明板923と、を備えている。
前部透明板921と後部透明板923には、周縁を囲むように立設された透光性部材からなる透明周縁部921b,923bが設けられ、透明周縁部923bには、透明板ユニット92をリフレクタ911に着脱可能に係止するための透光性部材からなる爪部923cが設けられ、透明周縁部923b及び爪部923cには、LED912aから照射される光を遮光する遮光領域Caが形成されている。
このような構成によれば、演出装置の周縁や係止部分の周辺における光漏れを防ぐことができる。
【0059】
なお、配当表ユニット9の場合に限らず、透光領域を備えた他の装置に、状態ランプ10bの発光態様を視認困難とする構成を適用することもできる。
また、上部フック911eの対向領域の開口部k1やLED基板912のコネクタ912b用の開口部k2など、下部フック911f以外の他の開口部kについても遮蔽部Cbを設けることができる。
また、配当表シート922の非透光領域922bには、光反射性を有する銀色のインクを印刷しているが、白色のインクを印刷したり、光吸収性を有する黒色のインクを印刷することで光を透過させないようにすることができる。
また、後部透明板923の透明周縁部923bの所定領域には、光吸収性を有する黒色のインクを印刷しているが、光反射性を有する銀色や白色のインクを印刷することで光を遮光することができる。
また、爪部923cは、後部透明板923に設けているが、前部透明板921に設けてもよく、この場合、透明周縁部921bの所定領域(爪部923cを含む)を遮光領域Cbとすることができる。
【0060】
一方、従来の遊技機は、前扉が筐体の前側に回動可能に設けられ、筐体内部には遊技状況を示す発光部が搭載された主基板が配置され、前扉には、発光部に対向する位置において当該発光部の発光態様を視認可能な光透過部が設けられているものが知られている。
このため、この遊技機では、前扉を開かなくても、光透過部を介して発光部の発光態様を視認できてしまい、遊技者等によって、遊技機の状態を把握されるようになっていた。
このような遊技機によれば、不正を行っても問題が起こらないタイミングを把握可能になるなど、不正を容易に許容するおそれがあり問題である。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決することができる。
【0061】
[ヒンジ部材]
本実施形態のスロットマシン1には、筐体1bに対し前扉1aが回動可能に設けられており(
図3等参照)、前扉1aには開口部169を望むように、その後方から配当表ユニット9が取り付けられている(
図5等参照)。
筐体1bに対し前扉1aを回動可能にする部材として、ヒンジ部材が用いられている。
この種のヒンジ部材としては、回動軸がスライドすることで扉体の収まり具合を調整可能なスライド丁番が多く用いられている。
スライド丁番は、通常、機内側の上部及び下部の位置において、前扉1aと筐体1bとを掛け渡すように取り付けられている(
図2参照)。
しかしながら、前扉1a側の上部スライド丁番が取り付けられる領域は、配当表ユニット9の設置領域と近接するため、配当表ユニット9の設置領域が制限されていた。
このため、配当表ユニット9では、演出領域を小さくすることで、迫力ある演出や視認性の高い演出ができず、また、ヒンジ部材やその取付構造が邪魔になって取り付けや取り外しが円滑に行えない問題があった。
そこで、本実施形態の遊技機は、
図23に示すように、スライド丁番Tsと、これとは別体の部材(第3ヒンジ部材t3)とを組み合わせたものを、本発明のヒンジ部材Tとして用いるようにしている。
なお、下部のヒンジ部材としては、従来通り、スライド丁番Tsのみを設ける。このため、下部のヒンジ部材についての説明は省略する。
以下、本発明のヒンジ部材Tについて詳細に説明する。
【0062】
上述したように、本発明のヒンジ部材Tは、スライド丁番Tsと、第3ヒンジ部材t3とによって構成されている。
スライド丁番Tsは、金属製の横長の部材であり、ほぼ水平にした状態で取り付けられる(
図3,23参照)。
スライド丁番Tsは、
図24(a)〜(e)に示すように、正面視右側に位置する第1ヒンジ部材t1と、正面視左側に位置する第2ヒンジ部材t2とによって構成されており、第1ヒンジ部材t1と第2ヒンジ部材t2とは、リンク部材trによって回動可能に結合されている。
【0063】
第1ヒンジ部材t1は、筐体1bの内側面に取り付けられる(
図3等参照)。第1ヒンジ部材t1の筐体1bへの取り付けは、従来のスライド丁番Tsの取り付け方法と同様に、予め筐体1bの内側面に取り付けた図示しない座金に対し着脱可能に取り付けることができる。
第2ヒンジ部材t2は、前扉1aの背面側に取り付けられる取付部材である(
図23等参照)。第2ヒンジ部材t2の前扉1aへの取り付けは、前扉1aの取付構造に直接取り付ける従来の方法とは異なり、第3ヒンジ部材t3を介して間接的に取り付けを行う。
第2ヒンジ部材t2は、
図24(a)〜(e)に示すように、正面視上側及び下側に位置する上側取付部t21及び下側取付部t22と、上側取付部t21と下側取付部t22の間において奥側に設けられた凹状部t23と、によって一体に形成されている。
上側取付部t21及び下側取付部t22にはそれぞれネジを通す孔(ネジ穴)が設けられている。
このような第2ヒンジ部材t2は、上側取付部t21が、前扉1aに設けられた取付構造であるボス(後記の第1ボス1d)に取り付けられ、下側取付部t22が、第3ヒンジ部材t3に設けられているボス(後記の第2ボスt33)に取り付けられる。
なお、第2ヒンジ部材t2の具体的な取付方法については後述する。
【0064】
第3ヒンジ部材t3は、プラスチックなどの樹脂部材であって、スライド丁番Tsとは別体の部材である(
図23参照)。
第3ヒンジ部材t3は、
図25に示すように、一端部である上部が矩形状の片(以下、上部片t31という。)で形成され、他端部である下部において裏面に上下方向に延びる2本の凸状のガイドレールt32(凸部)が形成され、中央部にはボス(以下、第2ボスt33という。)が形成されている。
なお、上部片t31は、所定の板厚(例えば1〜2mm程度)からなり、先端部が先細で角が面取された形状にしている。これにより、後述するように、上部片t31を、取付面1eと凹状部t23の間の隙間Sに配置する際に、隙間Sを分け入るようにして配置することができる。
第3ヒンジ部材t3の所定箇所にはネジ孔t34が設けられている。
【0065】
次に、ヒンジ部材Tが取り付けられる前扉1a及び配当表ユニット9の構造について説明する。
図26に示すように、前扉1aには、配当表ユニット9の設置領域の上側に、第1ボス1dと取付面1eを備えている。
第1ボス1dは、第2ヒンジ部材t2の上側取付部t21をネジにより取り付け可能な構造物である。
取付面1eは、第1ボス1dの下側に設けられた平面領域である。上側取付部t21を第1ボス1dに取り付けたときに、凹状部t23が配置される領域(以下、特別領域という。)に相当する。
第1ボス1dと取付面1eは、ともに前扉1aの骨材と一連の構造物として予め設けられている。
ただし、取付面1eの下側の領域、すなわち、上側取付部t21を第1ボス1dに取り付けたときに下側取付部t22が配置される領域(以下、領域aという。)には構造物を設けていない。
つまり、領域aは、本来、下側取付部t22を取り付けるためのボスなどの取付構造が設けられるが、本実施形態の前扉1aには、そのような構造物は一切設けていない。
【0066】
また、配当表ユニット9には、上下方向に延びる2本の凹状のガイド溝部(凹部)911hを、リフレクタ911の後面の所定領域(ガイド面911g)に有している(
図13,26等参照)。
ガイド溝部911hは、第3ヒンジ部材t3のガイドレールt32と対応した形状(幅、長さ、深さ)とすることで、ガイドレールt32を収容可能に形成されている。
このため、第3ヒンジ部材t3は、ガイドレールt32をガイド溝部911hに収容させた状態のまま上下方向にスライドさせることができる。
第3ヒンジ部材t3は、上方向に対しては、ガイドレールt32の上端がガイド溝部911hの上端に当接するまでスライドさせることができ、下方向に対しては、ガイドレールt32の下端がガイド溝部911hの下端に当接するまでスライドさせることができる。
また、配当表ユニット9は、前扉1aに取り付けている状態において、ガイド面911gが取付面1eの下側に配置されるようにしている(
図26参照)。
また、ガイド面911gの高さと取付面1eの高さは、ほぼ同じに高さとしつつも、ガイド面911gの方が取付面1eよりもわずかに高くなるようにしている(図示省略)。
そして、第3ヒンジ部材t3を、ガイドレールt32をガイド溝部911hに収容させた状態で上端までスライドさせたときに、上部片t31が取付面1e上に配置されるとともに下部が配当表ユニット9の後側であってガイド面911g上の所定位置に配置され、第2ボスt33が領域aに配置されるようにしている。ガイド面911gには、第3ヒンジ部材t3を上端までスライドさせたときに下部のネジ穴t34の位置にネジを螺入可能なネジ固定孔911iが設けられている。
【0067】
次に、ヒンジ部材Tの取付方法について説明する。
なお、ここでは、前扉1aに対する取付方法として、第2ヒンジ部材t2及び第3ヒンジ部材t3の取付方法について
図27〜30を参照して説明する。
また、
図26に示すように、前扉1aには、予め、配当表ユニット9が取り付けられているものとする。
【0068】
まず、
図27に示すように、第2ヒンジ部材t2を前扉1aに取り付ける。
具体的には、上側取付部t21のみを第1ボス1dにネジ固定する。
これにより、取付面1e上には凹状部t23がわずかな隙間Sをあけて配置されるとともに、領域aに下側取付部t22が配置される。
【0069】
次に、
図28に示すように、第3ヒンジ部材t3をガイド面911gの所定位置に配置する。例えば、第3ヒンジ部材t3を、ガイドレールt32の下端がガイド溝部911hの下端に当接する位置に配置する。
続いて、
図29に示すように、第3ヒンジ部材t3を上方に移動させる。具体的には、ガイドレールt32をガイド溝部911hに収容させた状態のまま、上端がガイド溝部911hの上端に当接する位置までスライドさせる。
これにより、第3ヒンジ部材t3の上部片t31は、取付面1eと凹状部t23との隙間Sに挿入されて、これらの部材の間に配置される。
この隙間Sは、第3ヒンジ部材t3の板厚よりやや小さい間隔であることが好ましく、第1ボス1dに対する第2ヒンジ部材t2(上側取付部t21)のネジの締め具合によって調整することができる。
このようにすると、上部片t31が、取付面1eと凹状部t23により挟まれた状態にすることができる。
また、このとき、第3ヒンジ部材t3の下部がガイド面911gに配置されるが、ガイド面911gの高さは、取付面1eよりもわずかに高くしてあるため、第3ヒンジ部材t3の下部は、配当表ユニット9によって押圧される。
この結果、第3ヒンジ部材t3に対しては、重力に対向する抗力がガイド面911gに生ずる。
また、第3ヒンジ部材t3の下部が配当表ユニット9により押圧されることに伴い、第3ヒンジ部材t3の上部片t31がやや斜めに傾くことで、上部片t31を挟む取付面1eと第2ヒンジ部材t2をそれぞれ押圧することになる。
このため、取付面1eにおいても同様の抗力が作用することとなり、上部片t31が当該領域において保持される。
これにより、第3ヒンジ部材t3は、スライドさせるだけで所定の位置に配置するとともに、その位置において、落下しない程度に仮固定させることができる。
このため、ヒンジ部材Tの取り付けの際に、第3ヒンジ部材t3を手などにより支持することなく取付作業を進めることができる。
また、この第3ヒンジ部材t3のスライドにより、第2ボスt33が、領域a以外の領域(非特定領域)から特定領域a(領域a)に移動して配置される。
【0070】
そして、
図30に示すように、所定箇所をネジ固定することでヒンジ部材T(第2ヒンジ部材t2)を前扉1aに固定することができる。
具体的には、上側取付部t21を第1ボス1dにネジ固定することで、当該箇所を前扉1aに固定することができる。
また、下側取付部t22を第2ボスt33にネジ固定することで、当該箇所を介し第2ヒンジ部材t2と第3ヒンジ部材t3を結合することができる。
また、第3ヒンジ部材t3の下部を配当表ユニット9の右上部にネジ固定することができる。これにより、配当表ユニット9が前扉1aに固定されていることから、第3ヒンジ部材t3を配当表ユニット9を介して前扉1aに固定することができる。
なお、上側取付部t21及び下側取付部t22におけるネジの締め付けに伴い、凹状部t23と取付面1eの隙間Sが狭まることで、当該箇所に重ねて配置されている第3ヒンジ部材t3の上部片t31と第2ヒンジ部材t2の凹状部t23を前扉1aに固定することができる。
すなわち、第2ヒンジ部材t2(ヒンジ部材T)は、上側取付部t21が前扉1aに直接固定され、下側取付部t22が第3ヒンジ部材t3及び配当表ユニット9を介して前扉1aに固定され、凹状部t23が、第3ヒンジ部材t3を介して前扉1aに固定されることで、前扉1aに対し強固に取り付けることができる。
このように、本発明のヒンジ部材Tの前扉1aに対する取付構造によれば、上記取付方法によってヒンジ部材Tを前扉1aに取り付けることができる。
【0071】
以上のように、本実施形態の遊技機は、前扉1aが筐体1bに対しヒンジ部材Tを介して回動可能に設けられており、この前扉1aには配当表ユニット9などの演出装置を取り付けている。
ヒンジ部材Tは、筐体1bに設けられる第1ヒンジ部材t1と、当該第1ヒンジ部材t1と回動可能に設けられた第2ヒンジ部材t2と、演出装置が前扉1aに取り付けられた状態で、演出装置と第2ヒンジ部材t2に取り付け可能な第3ヒンジ部材t3と、を備えている。
第2ヒンジ部材t2と第3ヒンジ部材t3とは、前扉1aの領域a(特定領域)において取り付けられており、演出装置のガイド面911gにはガイド溝部(凹部)911hを有すると共に、第3ヒンジ部材t3にはガイド溝部911hに収容可能なガイドレール(凸部)t32を有している。
第3ヒンジ部材t3は、ガイドレールt32がガイド溝部911hに収容された状態で、第2ボス(第2ヒンジ部材t2に取り付けられる部分)t33が、領域a以外の領域(非特定領域)から領域aに案内された後、当該領域aにおいて取り付け可能な構成を備えている。
【0072】
これにより、第1に、前扉1aにおけるヒンジ部材Tの取付構造をコンパクトにすることができる。
具体的には、ヒンジ部材Tの前扉1aに対する取付部材である第2ヒンジ部材t2について、上側取付部t21は前扉1aに直接取り付けるものの、下側取付部t22については前扉1aに直接取り付けるのではなく、前扉1aに予め取り付けられた配当表ユニット9や、後付け的に取り付けられる第3ヒンジ部材t3を介して、取り付けるようにしている。
このため、前扉1aにおいては、下側取付部t22に対するボスなどの取付構造を省くことができる。
これにより、この取付構造が省かれたところの領域aを配当表ユニット9の設置領域bに含めて拡張することができる(
図31参照)。
また、配当表ユニット9は横長矩形状であるため、領域aに取付構造があったために利用することができなかった当該領域aの横側の領域a1についても配当表ユニット9の設置領域bに含めて拡張することができる(
図31のa+a1+b参照)。
【0073】
第2に、ヒンジ部材Tや演出装置の取り付けや取り外しを円滑に行うことができる。
具体的には、第3ヒンジ部材t3の取付位置をスライドにより案内可能なガイド機構(ガイド溝部911h及びガイドレールt32)を備えることで、ヒンジ部材Tを構成する第3ヒンジ部材t3を適切な取付位置に円滑に配置することができる。
また、このようにして取付位置に配置された第3ヒンジ部材t3は、当該第3ヒンジ部材t3の上部片t31が、取付面(特別領域)1eにおいて凹状部t23との間に挟持される。
また、第3ヒンジ部材t3は、上部片t31が取付面1eに配置された状態において、下部が演出装置の後側に配置される状態となり、この状態において下側取付部t22と第2ボスt33とが重なり、第2ヒンジ部材t2と取り付け可能になる。
そして、第3ヒンジ部材t3は、第2ヒンジ部材t2と取り付け可能な状態において、下部が演出装置によって後方に押圧され、これにより、上部片t31が取付面1eにおいて保持されるようになっている。
このため、第3ヒンジ部材t3を手などで支えなくとも落下しないように保持させることができるため、ヒンジ部材Tの取り付けを楽に行うことができる。
また、第3ヒンジ部材t3は、配当表ユニット9の後方において、当該配当表ユニット9の設置領域bと重なる位置に設置されるが、配当表ユニット9を前扉1aに取り付けた後に第3ヒンジ部材t3を取り付けるようにしているため、前扉1aに対する配当表ユニット9の取り付けを妨害しない。
これにより、筐体1bから前扉1aを取り外さなくても配当表ユニット9の取り外しを行うことができる。すなわち、配当表ユニット9を取り外す際は、第3ヒンジ部材t3を取り外すだけで容易に行うことができる。
したがって、配当表ユニット9のメンテナンス性を向上させることができる。
【0074】
第3に、演出装置を前扉1aに強固に取り付けることができる。
すなわち、上述したヒンジ部材Tの取付構造によれば、ヒンジ部材Tは、配当表ユニット9からすると、前扉1aに対する取付手段である。
このため、配当表ユニット9にとっては、取付手段を加えることになるため、配当表ユニット9の前扉1aに対する取り付けをより強固にすることができる。
特に、配当表ユニット9の周辺にはスタートレバー3などの操作部が配置されており、このような操作部の操作に応じた振動(ガタ付き)が生じ易く、当該振動に伴って生ずる配当表ユニット9と前扉1aとの接触が原因で接触箇所が破損することがある。
しかしながら、上述した構成によれば、配当表ユニット9が前扉1aに強固に固定されるため、このような問題を生じにくくすることができる。
【0075】
一方、従来の遊技機は、前扉が筐体に対しヒンジ部材を介して回動可能に取り付けられ、前扉の上部に演出装置が配置されているものがある。
このような遊技機は、前扉に取り付けられるヒンジ部材の取り付け領域の大きさを考慮して演出装置の配置スペースを定める必要があるため、演出ユニットの配置スペースを広く確保することができなかった。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決することができる。
【0076】
なお、上記実施形態では、配当表ユニット9を介して前扉1aにヒンジ部材Tを取り付けるようにしているが、他の演出装置(例えば、液晶が搭載された液晶ユニットや、可動役物が搭載された可動役物ユニットなど)を介して取り付けることもできる。
また、第3ヒンジ部材t3は、1つの部材で構成されているが、2つ以上の部材で構成されてもよい。
また、上記実施例では、配当表ユニット9側にガイド溝部911h(凹部)を設け、第3ヒンジ部材t3側にガイドレールt32(凸部)を設けているが、配当表ユニット9側にガイドレール(凸部)を設け、第3ヒンジ部材t3側にガイド溝部(凹部)を設けることもできる。
また、2本のガイド溝部911hのうち、少なくとも一方の上端側に物体検出が可能なフォトインタラプタなどセンサを設けるとともに、このセンサからの検出信号を受けて発光するランプやLEDなどの発光手段を設けることができる。
これにより、第3ヒンジ部材t3の上部片t31が取付面1eに配置されたことを、発光手段による発光によって報知させることができる。
また、第3ヒンジ部材t3を透明板などの透光性部材で構成することができる。
このようにすると、第3ヒンジ部材t3をガイド面911g上に配置する際において、ガイド溝部911hとガイドレールt32の位置関係を視認することができるため、ガイド溝部911hにガイドレールt32を円滑に収容させることができる。
また、上記実施形態では、前扉1aと筐体1bとに設けられるヒンジ部材について説明したが、このような実施形態に限定されるものではない。
例えば、可動役物や基板ケース等、ヒンジ部材を介して開閉される部材に本発明のヒンジ部材Tを適用することができる。
【0077】
[前扉分離構造]
また、スロットマシン1は、前扉1aが上下方向に分離可能に構成されている。
例えば、前扉1aは、
図32に示すように、上側扉部11と下側扉部12とに分離することができる。
上側扉部11は、当該スロットマシン1の属する機種(所定の機種名)のみに設けられる、例えば、上部演出ユニット8及び配当表ユニット9等の専用部材を備えている。
一方、下側扉部12は、下パネル部123の一部に機種専用の絵柄シート(比較的安価な部品)を備えるものの、その他は複数の機種に共通して設けられる、例えば、メダル投入口2、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5等の操作部、その他の比較的高価な部品を備えている。
これにより、前扉1aを製造するにあたり、下側扉部12を共通部品として流用しつつ、上側扉部11のみを違えることにより複数の機種に対応可能となり、前扉1aのすべてを機種ごとに製造する必要がないことから、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0078】
[連結部材]
このように上下方向に分離可能に構成された前扉1aは、
図32に示すように、上側扉部11の支柱部111において、上側扉部11と下側扉部12とが連結する。
支柱部111は、上側扉部11の左側及び右側に配置されるとともに、上側扉部11から下側扉部12に向けて延設され、表示窓6の窓枠として機能する部分である。このような支柱部111は、上側扉部11全体を支える部分であり、単に支柱部111をネジ等を介して下側扉部12に固定するだけでは、前扉1a全体の強度が不足するおそれがある。
【0079】
そこで、骨体として作用するように支柱部111及び下側扉部12に係入されるとともに、上側扉部11と下側扉部12の間に架け渡される連結部材17,18を備えている。
連結部材17,18は、
図34及び35に示すように、それぞれ形状の異なる右側連結部材17と左側連結部材18とを備えている。
【0080】
各連結部材17,18は、支柱部111に係入固定される上側固定部171,181と、下側扉部12に係入固定される下側固定部172,182を備え、また、支柱部111側に螺入されるネジ孔を有するネジ固定部171a,181aと、下側扉部12側に螺入されるネジ孔を有するネジ固定部172a,182aとを備えている。
このような構成により、上側扉部11と下側扉部12を直接ネジ固定することに加え又は代えて、これらの連結部材17,18が、
図33に示すように、前扉1aの裏面側において、上側扉部11と下側扉部12の間に架け渡されるとともに、それぞれにネジ固定され、上側扉部11と下側扉部12とを強固に連結させる。また、連結部材17,18が、支柱部111の強度を補強する役割も果たす。
【0081】
このような連結部材17,18は、単に上側扉部11と下側扉部12とを連結させる役割を担うだけでなく、機外から筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えている。
前扉1aには、例えば、錠前13(シリンダ錠)とこの鍵穴を機外に臨ませる錠前用開口部との間に形成される隙間S1や、天板2cと操作板2dとの間に形成される隙間S2などがあり(
図5参照)、このような隙間から筐体1b内に異物が侵入され、メダルを過剰に払い出させるなどの不正な操作が行われるおそれがある。
【0082】
そこで、連結部材17,18は、このような錠前13の周辺や、ベットボタン2a、スタートレバー3などの操作部の周辺に形成される隙間S1,S2から、筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えている。
例えば、右側連結部材17は、
図34及び
図36(
図5のA−A断面)に示すように、円筒形の錠前13周辺を囲む筒状部173を備えており、隙間S1からの異物の侵入範囲を筒内に制限する。また、筒状部173の後端部側は所定部品に当接され、所定部品を超える異物の侵入を阻止する。
また、左側連結部材18は、
図35及び
図37(
図32のB−B断面)に示すように、袋小路状の空間をなす囲い部183を備えており、隙間S2からの異物の侵入範囲を囲い部183内に制限する。また、囲い部183の後端部側は所定部品に当接され、所定部品を超える異物の侵入を阻止する。
このように、各連結部材17,18が上側扉部11と下側扉部12とを連結させる役割を担うだけでなく、機外から筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えることで、部品の有効利用を図ることができる。
【0083】
[サイドカバー]
図32に示すように、上側扉部11の左側及び右側には、配当表ユニット9の両側部のデザインを担う金属製のサイドカバー19を設けている。
サイドカバー19は、具体的には、
図38に示すように、平面視変形L字状に形成されており、同図に示す固有の立体的形状によって独特のフォルムを形成している。
なお、サイドカバー19は、右側と左側とは左右対称な形状で形成されているため、ここでは、右側のサイドカバー19を例に挙げて説明し、左側のサイドカバー19については説明を省略する。
【0084】
サイドカバー19は、別部材であるボス部品191を用いて、上側扉部11のカバー取付部192に取り付けることができる(
図32参照)。
このため、サイドカバー19は、
図38に示すように、上部と下部の所定箇所において、後方に突出する円筒状のボス(上部ボス19a,下部ボス19b)と、上部ボス19aと隣接する位置に、当該上部ボス19aと並設された突出部19cを設けている。
【0085】
ボス部品191は、プラスチックなどの樹脂で形成された部品であり、
図39に示すように、円筒状の延長用ボス191aと、当該延長用ボス191aの根元部分と隣接するように一体成形されたネジ孔部191bを設けている。
延長用ボス191aは、根元側の端部191cは、サイドカバー19の突出部19cと係合可能な形状が施されており、先端側の端部191dには、ネジを螺入可能な穴が形成されている。
【0086】
カバー取付部192は、上側扉部11に設けられたサイドカバー19の取付部であって、前方に延出した構造の上部取付部192a及び下部取付部192bを設けている。
上部取付部192a及び下部取付部192bは、ネジ穴を当該構造部の端部(前端部)に設けている。
【0087】
次に、サイドカバー19の取付方法について説明する。
図40(a)に示すように、ボス部品191を、サイドカバー19の上部ボス19aと結合させる。
具体的には、ボス部品191のネジ孔部191bをサイドカバー19の上部ボス19aに重ねつつ、延長用ボス191aの根元側の端部191cをサイドカバー19の突出部19cと係合させる。
そして、この状態で、ネジ孔部191bを介し上部ボス19aにネジを螺入することで、上部ボス19aのボス高を実質的に延長した延長用ボス191aがサイドカバー19に設けられる。
次に、ボス部品191が取り付けられたサイドカバー19を、カバー取付部192に取り付ける。
具体的には、まず、サイドカバー19をカバー取付部192に配置する。
これにより、サイドカバー19の下部ボス19bの端面と、カバー取付部192の下部取付部192bの端面とが重なるとともに、サイドカバー19の上部ボス19aに取り付けた延長用ボス191aの先端側の端部191dの端面と、カバー取付部192の上部取付部192aの端面とが重なる。
そして、この状態で、下部取付部192bのネジ穴を介し下部ボス19bにネジを螺入するとともに、上部取付部192aのネジ穴を介し延長用ボス191aにネジを螺入することで、サイドカバー19のカバー取付部192への取り付けが完了する。
【0088】
このようなサイドカバー19、ボス部品191、及びカバー取付部192によれば、サイドカバー19を容易に着脱することができるため、配当表ユニット9を交換することなく、容易に、かつ、安価に、そのデザインの一部を変更することができる。
【0089】
また、ボス部品191を用いることで、サイドカバー19に設けるボスやカバー取付部192の構造部(上部取付部192a)の長さを短くすることができる。
このため、製造時に材料が成形収縮することによる窪み(いわゆるヒケ)の発生を抑制することができる。
すなわち、別部材のボス部品191を用いることで、サイドカバー19やカバー取付部192における突出構造部に係る材料の量を減らすことで、窪みを抑えることができる。
ただし、単にボスなどの突出構造部を短くしただけでは、カバー取付部192の取付部(上部取付部192a)とボス(上部ボス19a)との間隔が広がり、その間をつなぐ十分な長さのネジを別に準備する必要があり、余計な手間やコストが発生する。
これに対し、本実施形態の構成によれば、ボス部品191を加えることでボスの長さを延長するようにしているため、カバー取付部192の上部取付部192aとサイドカバー19の上部ボス19aとの間隔を、一般的なネジを用いて取り付けることができる。
【0090】
なお、別部材のボス部品191は、下部ボス19bと下部取付部192bとの取り付けに対して用いることもできる。
また、上述したサイドカバー19やその取付構造は、配当表ユニット9の側部のカバー部材としてのみならず、上部演出ユニット8やリール部に対するカバー部材として適用することもできる。
【0091】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0092】
例えば、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
また、演出装置における発光制御を副制御部20により行う構成としたが、主制御部10により制御する構成とすることもできる。
また、主基板10aは、複数枚から構成されていてもよい。