(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、反応器において、熱交換部と流路形成部とが隙間をあけて積層された後に、その隙間に対して蓄熱材及び拘束枠を積層方向と直交する直交方向に挿入する場合には、拘束枠の内側に蓄熱材を収容した後に、蓄熱材が収容された状態の拘束枠を、直交方向の一方側から挿入する必要がある。
【0005】
したがって、この場合では、熱交換部と流路形成部との隙間に、蓄熱材と拘束枠とを別々に挿入することができない。また、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させて、蓄熱材を拘束枠の内側に収容することしかできない。
【0006】
本発明は、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材を拘束枠の内側に収容できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、反応媒体と結合して発熱する、又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材と、前記蓄熱材の片側に積層され、前記蓄熱材との間で熱交換する熱交換部と、前記蓄熱材に対する前記熱交換部とは反対側に積層され、前記蓄熱材へ供給される反応媒体又は前記蓄熱材から排出される反応媒体が流通する流路が形成された流路形成部と、前記熱交換部、前記蓄熱材及び前記流路形成部の積層方向に見て前記蓄熱材を囲む枠状とされ、前記積層方向に直交する直交方向に複数の分離体が結合されて構成された拘束枠と、を備える。
【0008】
請求項1の構成によれば、蓄熱材は反応媒体と結合して発熱する、又は、蓄熱材は反応媒体が脱離して蓄熱する。また、蓄熱材の片側に積層された熱交換部が、蓄熱材との間で熱交換する。さらに、蓄熱材に対する熱交換部とは反対側に積層された流路形成部の流路において、蓄熱材へ供給される反応媒体又は蓄熱材から排出される反応媒体が流通する。
【0009】
ここで、請求項1の構成では、熱交換部、蓄熱材及び流路形成部の積層方向に見て蓄熱材を囲む枠状とされた拘束枠は、積層方向(拘束枠の軸方向)に直交する直交方向に複数の分離体が結合されて構成されている。
【0010】
このため、蓄熱材を囲むように複数の分離体を直交方向に結合して、蓄熱材が内側に収容された状態の拘束枠を構成することができる。したがって、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材を拘束枠の内側に収容できる。
【0011】
請求項1の発明は、一の前記分離体に設けられた被嵌合部と、他の前記分離体に設けられ、前記他の分離体が前記一の分離体に対して分離する前記直交方向へ前記被嵌合部に嵌合する嵌合部と、備える。
【0012】
請求項1の構成によれば、一の分離体に対して直交方向へ他の分離体を相対移動させて、嵌合部を被嵌合部に嵌合させることで、分離体同士を結合できる。このため、拘束枠の軸方向にスペースがなくても、分離体同士を結合することができる。
【0013】
請求項1の発明は、前記嵌合部を前記被嵌合部に対して抜け止めする抜止部材を備える。
【0014】
請求項1の構成によれば、抜止部材によって、嵌合部を被嵌合部に対して抜け止めできるので、結合された複数の分離体が分離することが抑制される。
【0015】
請求項2の発明では、前記抜止部材は、前記直交方向に延びて、前記拘束枠の対向する対向部分を連結固定する連結部材を兼ねる。
【0016】
請求項2の構成によれば、抜止部材は直交方向に延びて、拘束枠の対向する対向部分を連結固定するので、蓄熱材が反応媒体と結合して膨張したとしても、拘束枠の対向する対向部分の間隔が広がるのを抑制できる。
【0017】
請求項3の発明は、前記積層方向に離れて配置された複数の前記蓄熱材と、前記複数の蓄熱材のそれぞれを囲む枠状とされた複数の前記拘束枠と、前記抜止部材によって前記拘束枠に取り付けられて、前記複数の拘束枠を前記積層方向に拘束する拘束部材と、を備える。
【0018】
請求項3の構成によれば、拘束部材が、複数の拘束枠を積層方向(拘束枠の軸方向)に拘束する。ここで、
請求項3の構成では、拘束部材が抜止部材によって拘束枠に取り付けられている。このため、拘束部材が、抜止部材とは異なる専用の取付部材で取り付けられている場合に比べ、部品点数を低減できる。
【0019】
請求項4の発明は、一の前記分離体に設けられ、前記蓄熱材を支持する底板を備える。
【0020】
請求項4の構成によれば、蓄熱材を囲むように複数の分離体を結合して枠状の拘束枠を構成する際に、底板によって蓄熱材を支持できる。このため、複数の分離体を結合する際に、蓄熱材を支持する治具などが、不要となる。
【0021】
反応器としては、互いが離れて配置された一対の熱交換部と、前記一対の熱交換部の隙間に対して前記熱交換部の配置方向と直交する直交方向に挿入され、反応媒体と結合して発熱する、又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材と、前記蓄熱材とは別々に前記隙間に対して前記直交方向に挿入可能な複数の分離体が、前記配置方向に見て前記蓄熱材を囲む枠状に結合されて構成された拘束枠と、を備える
構成を用いてもよい。
【0022】
本構成によれば、拘束枠は、複数の分離体が、一対の熱交換部の配置方向に見て蓄熱材を囲む枠状に結合されて構成されている。
【0023】
このため、蓄熱材を囲むように複数の分離体を直交方向に結合して、蓄熱材が内側に収容された状態の拘束枠を構成することができる。したがって、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材を拘束枠の内側に収容できる。
【0024】
また、
本構成では、複数の分離体は、一対の熱交換部の隙間に対して、一対の熱交換部の配置方向と直交する直交方向に、蓄熱材とは別々に挿入可能とされている。このため、複数の分離体を当該隙間の中で結合して、蓄熱材が内側に収容された状態の拘束枠を構成できる。
【0025】
請求項5の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応器と、前記反応器と連通し、前記反応器への反応媒体の供給及び前記反応器からの反応媒体の受け取りのうち少なくとも一方を行う媒体器と、を有する。
【0026】
反応媒体と結合して発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材の周囲を囲む枠状とされ、自らの軸方向に直交する直交方向に複数の分離体が結合されて構成された拘束枠
を用いてもよい。
【0027】
本構成によれば、蓄熱材の周囲を囲む枠状とされた拘束枠は、自らの軸方向に直交する直交方向に複数の分離体が結合されて構成されている。
【0028】
このため、蓄熱材を囲むように複数の分離体を直交方向に結合して、蓄熱材が内側に収容された状態の拘束枠を構成することができる。したがって、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材を拘束枠の内側に収容できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記構成としたので、蓄熱材を拘束枠に対して拘束枠の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材を拘束枠の内側に収容できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0032】
(化学蓄熱システム10)
化学蓄熱システム10(蓄熱システムの一例)は、
図1及び
図2に示されるように、蒸発凝縮器12(媒体器の一例)と、化学蓄熱反応器20(反応器の一例)と、連通路14と、を備えている。以下、蒸発凝縮器12、化学蓄熱反応器20及び連通路14の具体的な構成について説明する。
【0033】
(蒸発凝縮器12)
蒸発凝縮器12は、貯留した水を蒸発させて化学蓄熱反応器20に水蒸気(反応媒体の一例)を供給する蒸発部、化学蓄熱反応器20から受け取った水蒸気を凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮されることで生成された水を貯留する貯留部、としての各機能を備えている。
【0034】
また、蒸発凝縮器12は、
図1及び
図2に示されるように、内部に水が貯留される容器16を備えている。この容器16内には、水蒸気を凝縮するのに用いる冷媒流路17及び水を蒸発するのに用いるヒータ18が備えられている。
【0035】
冷媒流路17は、容器16内における少なくとも気相部16Aを含む部分で熱交換を行うように配置されている。ヒータ18は、容器16内における少なくとも液相部16B(貯留部)を含む部分で通電により加熱を行うように配置されている。
【0036】
(連通路)
連通路14は、蒸発凝縮器12の内部と化学蓄熱反応器20との内部を連通する通路であり、一端部が蒸発凝縮器12に接続され、他端部が化学蓄熱反応器20に接続されている。
【0037】
連通路14は、蒸発凝縮器12(容器16)と化学蓄熱反応器20(後述する反応容器22)との連通、非連通を切り替えるための開閉弁19を備えている。そして、容器16、反応容器22、連通路14、及び開閉弁19は、互いの接続部位が気密に構成されており、これらの内部空間が予め真空脱気されている。
【0038】
(化学蓄熱反応器20)
化学蓄熱反応器20は、
図3及び
図4に示されるように、反応容器22と、反応容器22内に配置され複数の部材が積層されて構成された積層体30と、を備えている。以下、反応容器22及び積層体30の具体的な構成について説明する。
【0039】
(反応容器22)
反応容器22は、ステンレス鋼板等で形成され、上下方向を軸方向とする角筒状の本体部22Aと、本体部22Aの上端を閉止する板状の上蓋部材22Bと、本体部22Aの下端を閉止する板状の下蓋部材22Cと、備えている。そして、本体部22Aと上蓋部材22B、及び本体部22Aと下蓋部材22Cとが溶接されることで、本体部22Aと上蓋部材22Bとの間、及び本体部22Aと下蓋部材22Cとの間がシールされている。
【0040】
(積層体30)
積層体30は、
図5及び
図6に示されるように、一対の熱交換器50、51(熱交換部の一例)と、一対の熱交換器50、51の間に配置された一対の蓄熱材32、33と、一対の蓄熱材32、33の間に配置された一対のフィルタ34、35と、を備えている。また、積層体30は、一対のフィルタ34、35の間に配置された蒸気流路形成部材40(流路形成部の一例)と、蓄熱材32、33を囲む枠状の拘束枠60、61と、を備えている。
【0041】
熱交換器50、51、蓄熱材32、33を含む拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40は、上下方向に厚みを有する板状であって、平面視にて略矩形状に形成されている。積層体30では、下側から、熱交換器50、蓄熱材32を含む拘束枠60、フィルタ34、蒸気流路形成部材40、フィルタ35、蓄熱材33を含む拘束枠61、熱交換器51の順で積層されている。したがって、熱交換器50、51、蓄熱材32、33、拘束枠60、61、及びフィルタ34、35は、互いが積層方向(上下方向)に離れて配置されている。
【0042】
なお、積層体30は、
図4に示されるように、反応容器22の内部において、円柱状の4個(
図4では3個のみ図示)の支持部材79で支持されている。
【0043】
以下、蓄熱材32、33、熱交換器50、51、蒸気流路形成部材40、フィルタ34、35、及び拘束枠60、61の具体的な構成について説明する。
【0044】
(蓄熱材32、33)
蓄熱材32、33には、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体(粒状体)をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで、
図6に示されるように、略矩形ブロック状に形成されている。
【0045】
ここで、蓄熱材32、33は、反応媒体と結合して発熱する、又は反応媒体が脱離して蓄熱する。具体的には、蓄熱材32、33は、水和に伴って放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)する化学蓄熱材であり、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
【0046】
CaO + H
2O ⇔ Ca(OH)
2
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + H
2O → Ca(OH)
2 + Q
Ca(OH)
2 + Q → CaO + H
2O
となる。
【0047】
なお、一例として、蓄熱材32、33の1kg当たりの蓄熱容量は、1.86[MJ/kg]とされている。
【0048】
(熱交換器50、51)
熱交換器50は、
図5及び
図6に示されるように、蓄熱材32の下側(片側)に積層されており、蓄熱材32との間で熱交換する構成とされている。熱交換器51は、蓄熱材33の上側(片側)に積層されており、蓄熱材33との間で熱交換する構成とされている。
【0049】
熱交換器50、51には、熱媒体(冷媒又は熱媒)を熱交換器50、51へ供給する供給管70と、熱交換器50、51から排出された熱媒体が流通する流通管72と、が接続固定されている。これにより、熱交換器50、51は、熱交換器50、51の間に隙間が形成された状態で、上下方向に位置決めされている。
【0050】
熱交換器50、51の内部には、熱媒体が蛇行して流れる流路52A(
図10参照)が形成されている。この流路52Aの一端部が供給管70と連通し、流路52Aの他端部が流通管72と連通している。
【0051】
そして、熱交換器50、51に接続された流通管72を流通する熱媒によって、反応容器22の外部に配置された熱源200(
図1参照)又は熱利用対象物202(
図1参照)に、温熱又は冷熱が輸送される。なお、供給管70及び流通管72の連通先は、切替部材76(
図1参照)によって、熱源200及び熱利用対象物202の一方に切り替えられる。
【0052】
(蒸気流路形成部材40)
蒸気流路形成部材40は、
図5及び
図6に示されるように、蓄熱材32に対する熱交換器50とは反対側であって、蓄熱材33に対する熱交換器51とは反対側に、積層されている。この蒸気流路形成部材40は、蓄熱材32、33へ供給される水蒸気、又は蓄熱材32、33から排出される水蒸気が流通する流路が形成された部材である。具体的には、蒸気流路形成部材40は、
図7(A)に示されるように、フレーム部材46と、フレーム部材46に取り付けられると共に平面視にて矩形状の4個の流路部材48と、を備えている。
【0053】
フレーム部材46は、平面視にて矩形枠状とされる共に上下方向に離間した一対の外形フレーム46Aと、隣り合う流路部材48を仕切る十字状の仕切フレーム46Bと、を備えている。そして、仕切フレーム46Bは断面矩形状とされ、平面視にて十字状の仕切フレーム46Bの端部の上面及び下面に、一対の外形フレーム46Aが固定されている。これにより、4個の流路部材48が取り付けられる矩形状の取付スペース46Cが形成されている。
【0054】
この流路部材48は、凹凸を繰り返す断面が矩形波状とされた波板(
図7(B)参照)から形成されており、凹凸部が延びる流路方向が、鉛直方向から見てフレーム部材46の対角線に沿うようになっている。そして、流路部材48の流路がフレーム部材46の角部に向かって開放されている。これにより、流路方向に沿って流れる水蒸気が上方に開放される上方流路48Aと、水蒸気が下方に開放される下方流路48Bとが形成されている。蒸気流路形成部材40は、蒸気流路形成部材40の四方向の端面から水蒸気が流出又は流入可能とされている。
【0055】
(フィルタ34、35)
フィルタ34、35は、
図5及び
図6に示されるように、蒸気流路形成部材40と蓄熱材32との間及び蒸気流路形成部材40と蓄熱材33との間のそれぞれで挟まれている。フィルタ34、35は、貫通孔が多数形成されたエッチングフィルタで構成されている。
【0056】
そして、フィルタ34、35は、蓄熱材32の平均粒径より小さいろ過精度を有している。これにより、フィルタ34、35では、蓄熱材32の平均粒径より小さい流路を水蒸気が通過するのを許容する一方、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限するようになっている。
【0057】
なお、ろ過精度とは、ろ過効率が50〜98%となる粒子径のことであり、ろ過効率とは、ある粒子径の粒子に対する除去効率である。
【0058】
(拘束枠60、61)
拘束枠60、61は、
図8(A)に示されるように、積層体30の積層方向(上下方向、配置方向)に見て蓄熱材32、33を囲む枠状とされている。この拘束枠60、61は、
図8(A)(B)に示されるように、自らの軸方向(積層方向、上下方向)に直交する直交方向(側方)に分離されている分離体62、63(結合部品)が結合されて構成されている。具体的には、分離体62、63は、
図9に示されるように、軸方向(上下方向)ではなく、
図8(A)(B)及び
図9における左右方向に分離されている。このように、分離体62、63は分離されており、分離体62(63)は分離体63(62)に対する境界面を有している。
【0059】
分離体62、63は、平面視にて、略コの字状(略Uの字状)に形成されている。また、分離体62、63は、
図6に示されるように、熱交換器50、51の間の隙間(以下、挿入空間という)に対して、蓄熱材32、33とは別々に、積層体30の積層方向と直交する直交方向に挿入可能とされている。すなわち、蓄熱材32、33が挿入空間に挿入された状態において、分離体62、63は、挿入空間に挿入可能とされている。
【0060】
分離体62の2つの端面62Aのそれぞれには、凹部62B(被嵌合部の一例)が形成されている。分離体63の2つの端面63Aのそれぞれには、凹部62B(被嵌合部の一例)に嵌合する凸部63B(嵌合部の一例)が形成されている。
【0061】
凸部63Bは、拘束枠60、61の軸方向(上下方向)と直交する直交方向(
図9における右方向)に凹部62Bに嵌合するようになっている。凸部63Bが凹部62Bに嵌合(圧入)されることで、分離体62、63が結合される。これにより、枠状の拘束枠60、61が形成される。
【0062】
なお、分離体62における2つの端面62Aの一方に形成された凹部62Bに替えて、凸部63Bを形成し、当該凸部63Bと嵌合する凹部62Bを、分離体63における2つの端面63Aの一方の凸部63Bに替えて形成してもよい。
【0063】
(化学蓄熱システムの作用)
次に、化学蓄熱システム10の作用について説明する。
【0064】
化学蓄熱システム10において、化学蓄熱反応器20に蓄熱された熱を蓄熱材32、33から発熱(放熱)する際には、
図2に示されるように、切替部材76により供給管70及び流通管72の連通先が熱利用対象物202に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、蒸発凝縮器12のヒータ18により液相部16Bの水を蒸発させる。そして、生成された水蒸気が連通路14内を矢印D方向に移動して、反応容器22内に供給される。
【0065】
続いて、反応容器22内では、供給された水蒸気が、蒸気流路形成部材40の複数の上方流路48A及び下方流路48Bを流れる(
図10参照)。そして、下方流路48B内の水蒸気Wがフィルタ34を通過して蓄熱材32と接触することにより、蓄熱材32は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。また、上方流路48A内の水蒸気Wがフィルタ35を通過して蓄熱材33と接触することにより、蓄熱材33は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。蓄熱材32、33から放出された熱は、熱交換器50、51内を流れる熱媒体によって、熱利用対象物202に輸送される。
【0066】
一方、化学蓄熱システム10において、蓄熱材32、33に熱を蓄熱する際には、
図1に示されるように、切替部材76により供給管70及び流通管72の連通先が熱源200に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、熱交換器50、51内に熱源200によって加熱された熱媒体が流れる(
図10参照)。
【0067】
熱交換器50、51の流路52Aを流れる熱媒体の熱によって蓄熱材32、33が脱水反応を生じ、この熱が蓄熱材32、33に蓄熱される。
【0068】
さらに、蓄熱材32、33から離脱された水蒸気Wは、フィルタ34、35から蒸気流路形成部材40の複数の上方流路48A及び下方流路48Bに流れ込む。上方流路48A及び下方流路48Bに流れ込んだ水蒸気Wは、
図1に示されるように、反応容器22から連通路14を矢印E方向に流れて蒸発凝縮器12内に流れ込む。
【0069】
そして、蒸発凝縮器12の気相部16Aにおいて、冷媒流路17を流通する冷媒によって水蒸気が冷却され、凝縮された水が容器16の液相部16Bに貯留される。
【0070】
(積層体30の形成方法及びその作用効果)
積層体30は、
図6に示されるように、上下方向に位置決めされた熱交換器50、51の間に形成された挿入空間に、蓄熱材32、33、拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40が挿入されることで形成される。蓄熱材32、33、拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40は、例えば、蓄熱材32、拘束枠60、フィルタ34、蒸気流路形成部材40、フィルタ35、蓄熱材33、拘束枠61、の順で挿入空間に挿入される。具体的には、例えば、以下のように、蓄熱材32、33、拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40が、挿入空間に挿入される。
【0071】
まず、蓄熱材32は、厚み方向が上下方向に向けられた状態で挿入空間に挿入されると共に、熱交換器50上に載せられる。次に、拘束枠60の分離体62、63が蓄熱材32を囲むように、分離体62が−X方向へ移動されると共に分離体63がX方向へ移動されることで、凸部63Bが凹部62Bに嵌合される。これにより、分離体62、63が結合され、蓄熱材32が内側に収容された状態の拘束枠60が形成される。
【0072】
次に、蓄熱材32と熱交換器51との間に、フィルタ34、蒸気流路形成部材40及びフィルタ35が、この順で、厚み方向が上下方向に向けられた状態にて下側から挿入される。
【0073】
次に、蓄熱材33が、厚み方向が上下方向に向けられた状態で、フィルタ35と熱交換器51との間に挿入されると共に、フィルタ35上に載せられる。次に、拘束枠61の分離体62、63が蓄熱材33を囲むように、分離体62が−X方向へ移動されると共に分離体63がX方向へ移動されることで、凸部63Bが凹部62Bに嵌合される。これにより、分離体62、63が結合され、蓄熱材33が内側に収容された状態の拘束枠61が形成される。
【0074】
このように、本実施形態では、拘束枠60、61の分離体62、63は、挿入空間に対して積層方向に対する直交方向に、蓄熱材32、33とは別々に挿入可能とされている。このため、前述のように、分離体62、63を挿入空間の中で結合して、蓄熱材32、33が内側に収容された状態の拘束枠60、61を構成できる。また、複数の部材(蓄熱材及び拘束枠)を一度に挿入する必要がなく、各部材を一つずつ挿入できるので、各部材の取り扱いが容易になる。
【0075】
また、拘束枠60、61が分離されていない構成(比較例)では、拘束枠60、61を挿入空間に対して一方向にしか挿入することができなかったが、本実施形態では、分離体62、63を両方向(−X方向及びX方向)に挿入できる。このため、挿入空間に挿入する挿入距離が短くなる。
【0076】
また、拘束枠60、61が分離されていない構成(比較例)では、挿入空間の外側で蓄熱材32、33を拘束枠60、61に対して拘束枠60、61の軸方向に相対移動させて、蓄熱材32、33を拘束枠60、61の内側に収容することしかできなかった。これに対して、本実施形態では、蓄熱材32、33を囲むように、分離体62、63を蓄熱材32、33に対して
図6における−X、X方向に相対移動させて、結合する(組み付ける)ことで、蓄熱材32、33が内側に収容された状態の拘束枠60、61を形成することができる。したがって、本実施形態では、蓄熱材32、33を拘束枠60、61に対して拘束枠60、61の軸方向に相対移動させなくても、蓄熱材32、33を拘束枠60、61の内側に収容できる。
【0077】
また、本実施形態では、分離体62、63は、挿入空間に対して積層方向に対する直交方向に、蓄熱材32、33とは別々に挿入可能とされている。このため、前述のように、分離体62、63を挿入空間の中で結合して、蓄熱材32、33が内側に収容された状態の拘束枠60、61を構成できる。
【0078】
なお、積層体30の形成方法においては、分離体62、63の一方を、挿入空間に挿入した後に、蓄熱材32、33を挿入空間に挿入し、それから分離体62、63の他方を挿入空間に挿入してもよい。このとき、分離体62、63及び蓄熱材32、33は、挿入空間に対して、一方向(例えば、X方向)に挿入してもよい。
【0079】
また、蓄熱材32、33を囲むように、分離体62、63を結合して拘束枠60、61を形成した後に、蓄熱材32、33及び拘束枠60、61を挿入空間に挿入してもよい。
【0080】
このように、本実施形態では、拘束枠60、61が分離されているので、蓄熱材32、33を拘束枠60、61の内側に収容する収容作業、及び、挿入空間に蓄熱材32、33及び拘束枠60、61を挿入する挿入作業において、その作業の自由度が増す。
【0081】
(拘束枠60、61の第一変形例)
拘束枠60、61には、
図11に示されるように、分離体63の凸部63Bを分離体62の凹部62Bに対して抜け止めする抜止部材110が設けられていてもよい。抜止部材110は、例えば、円柱状のピンで構成される。凸部63B及び分離体62には、凸部63Bが凹部62Bに嵌合された状態において抜止部材110が差し込まれる(圧入される)差込孔120が形成されている。
【0082】
第一変形例の構成では、抜止部材110が差込孔120に差し込まれることで、凸部63Bの凹部62Bに対する嵌合状態が維持される。これにより、結合された分離体62、63が分離することが抑制される。
【0083】
なお、抜止部材110としては、ネジであってもよい。この場合では、差込孔120の少なくとも一部は、抜止部材110としてのネジがねじ込まれるネジ孔として構成される。
【0084】
(拘束枠60、61の第二変形例)
拘束枠60、61には、
図12に示されるように、分離体63の凸部63Bを分離体62の凹部62Bに対して抜け止めする抜止部材と、拘束枠60、61の対向する対向部分65同士を連結固定する連結部材と、を兼ねる連結部材210が設けられていてもよい。
【0085】
連結部材210は、例えば、拘束枠60、61の一方の対向部分65から他方の対向部分65までの長さを有する軸部212を有するネジで構成されている。軸部212の一端部の外周には、ネジ溝214(オネジ)が形成されている。軸部212の他端部には、軸部212の径方向外側に張り出した頭部216が設けられている。
【0086】
一方の対向部分65における凸部63B及び分離体62には、凸部63Bが凹部62Bに嵌合された状態において、連結部材210の軸部212が挿し通される挿通孔220が形成されている。
【0087】
他方の対向部分65における凸部63B及び分離体62には、凸部63Bが凹部62Bに嵌合された状態において、連結部材210のネジ溝214が形成された一端部が、ねじ込まれるネジ孔230が形成されている。
【0088】
なお、第二変形例では、連結部材210が通過する切欠部(孔又は溝)が蓄熱材32、33に形成される、又は、蓄熱材32、33が連結部材210を境界に分割されている。
【0089】
第二変形例の構成では、連結部材210の軸部212が挿通孔220に挿し通されてから、連結部材210のネジ溝214が形成された一端部がネジ孔230にねじ込まれることで、対向部分65同士が連結固定される。
【0090】
これにより、凸部63Bの凹部62Bに対する嵌合状態が維持され、結合された分離体62、63が分離することが抑制される。また、対向部分65同士が連結固定されることで、蓄熱材32、33が水和反応により膨張しても、対向部分65の間隔が広がるのを抑制できる。
【0091】
(拘束枠60、61の第三変形例)
図13及び
図14に示されるように、第1変形例における抜止部材110及び差込孔120に加えて、拘束枠60と拘束枠61を上下方向に拘束する拘束部材310が、拘束枠60及び拘束枠61に取り付けられていてもよい。
【0092】
拘束部材310は一対で構成されており、それぞれが上下方向に長さを有する板状に形成されている。各拘束部材310の長手方向一端部が、拘束枠60の分離体62に取り付けられ、各拘束部材310の長手方向他端部が、拘束枠61の分離体62に取り付けられている。
【0093】
具体的には、各拘束部材310の長手方向一端部及び長手方向他端部に厚み方向に形成された挿入孔320に、拘束枠60、61の抜止部材110が挿入(圧入)されることで、拘束枠60、61の分離体62に取り付けられる。
【0094】
第三変形例の構成では、抜止部材110が差込孔120に差し込まれることで、凸部63Bの凹部62Bに対する嵌合状態が維持される。これにより、結合された分離体62、63が分離することが抑制される。
【0095】
また、第三変形例の構成では、拘束部材310が抜止部材110によって拘束枠60、61に取り付けられている。このため、拘束部材310が、抜止部材110とは異なる専用の取付部材で取り付けられている場合に比べ、部品点数を低減できる。
【0096】
なお、抜止部材110としては、ネジであってもよい。この場合では、差込孔120の少なくとも一部は、抜止部材110としてのネジがねじ込まれるネジ孔として構成される。
【0097】
また、拘束部材310は、抜止部材110とは別の取付部材で、拘束枠60及び拘束枠61に取り付けられる構成であってもよい。この構成の場合では、拘束部材310は、例えば、拘束枠60、61の分離体62における分離体63とは反対側の側面(
図14の二点鎖線で示す位置)に取り付けられる。
【0098】
さらに、拘束枠60、61の分離体63に対して、拘束枠60と拘束枠61を上下方向に拘束する拘束部材340を取り付けてもよい。この構成の場合では、拘束部材340は、例えば、拘束枠60、61の分離体63における分離体62とは反対側の側面(
図14の二点鎖線で示す位置)に取り付けられる。
【0099】
(拘束枠60、61の第四変形例)
拘束枠60、61の分離体62には、
図15に示されるように、蓄熱材32、33を支持する底板410が設けられていてもよい。
【0100】
底板410は、平面視にて、拘束枠60、61の外縁に沿った矩形状に形成されている。具体的には、底板410は、平面視にて、拘束枠60、61の外縁形状と同じ大きさの矩形状とされている。
【0101】
なお、底板410は、拘束枠60、61の外縁に沿った矩形よりも小さい形状であってもよく、例えば、底板410は、拘束枠60、61の内縁に沿った矩形状に形成されていてもよい。
【0102】
第四変形例の構成では、蓄熱材32、33が底板410に支持された状態で、分離体62を挿入空間に挿入することができる。また、凸部63Bを凹部62Bに嵌合させて分離体62、63を結合する際に、底板410によって蓄熱材32、33を支持できる。
【0103】
このため、分離体62及び蓄熱材32、33を挿入空間に挿入する際や、分離体62、63を結合する際に、蓄熱材32、33を支持する治具などが、不要となる。
【0104】
なお、底板410は、分離体62ではなく、分離体63に設けられていてもよい。この場合は、蓄熱材32、33が底板410に支持された状態で、分離体62よりも先に分離体63が挿入空間に挿入される。
【0105】
(拘束枠60、61の第五変形例)
拘束枠60、61は、
図16に示されるように、4分割に分離された分離体521、522、523、524で構成されていてもよい。この構成では、分離体521、522、523、524は、平面視にて、略L字状に形成されている。対角に配置された分離体521、523の2つの端面521A、523Aのそれぞれには、凹部521B、523B(被嵌合部の一例)が形成されている。
【0106】
対角に配置された分離体522、524の2つの端面522A、524Aのそれぞれには、凹部521B、523B(被嵌合部の一例)に嵌合する凸部522B、524B(嵌合部の一例)が形成されている。
【0107】
各凸部522B、524Bが、各凹部521B、523Bに嵌合(圧入)されることで、分離体521、522、523、524が結合される。これにより、枠状の拘束枠60、61が形成される。
【0108】
なお、被嵌合部としての凹部及び、嵌合部としての凸部は、
図16に示す位置とは異なる位置で、適宜、位置を入れ替えて構成してもよい(
図17参照)。
【0109】
また、本第五変形例においても、第一変形例と同様に、凸部522B、524Bを凹部521B、523Bに対して抜け止めする抜止部材を設けてもよい。さらに、
図18に示されるように、本第五変形例においても、第二変形例と同様に、凸部522B、524Bを凹部521B、523Bに対して抜け止めすると共に、拘束枠60、61の対向する対向部分550、560同士を連結固定する連結部材210を設けてもよい。
【0110】
また、拘束枠60、61は、3分割や、5分割以上に分離される構成であってもよい。また、拘束枠60、61は、2分割される場合を含め、複数に分割される構成としては、任意の位置で分割することが可能である。
【0111】
(他の変形例)
本実施形態では、積層体30は、一対の熱交換器50、51と、一対の蓄熱材32、33と、一対のフィルタ34、35と、蒸気流路形成部材40と、拘束枠60、61と、を備えていたが、これに限られない。積層体30は、少なくとも、1つの熱交換器と、1つの蓄熱材と、1つの蒸気流路形成部材と、を有していればよく、蓄熱材を挟んで両側に熱交換器と蒸気流路形成部材とが配置される構成であればよい。
【0112】
また、蓄熱材として、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物におけるアンモニア反応系を用い、反応媒体として、アンモニアを用いてもよい。
【0113】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。