(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の25℃における粘度が、1,000〜20,000mPa・sであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
なお、本発明において、硬化性組成物とは、光、熱またはその双方により硬化する組成物を意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタアクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0014】
本発明のインクジェット用硬化性組成物は、(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)少なくとも1つの熱反応性官能基を有する熱硬化性化合物と、を含むことを特徴とする。
【0015】
[(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂]
(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂とは、複数のウレタン結合と、複数の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。本発明に使用できる二官能のウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、新中村化学工業社製U−108A、UA−112P、UA−5201、UA−512、UA−412A、UA−4200、UA−4400、UA−340P、UA−2235PE、UA−160TM、UA−122P、UA−512、UA−W2、UA−7000、UA−7100;サートマー社製CN962、CN963、CN964、CN965、CN980、CN981、CN982、CN983、CN996、CN9001、CN9002、CN9788、CN9893、CN978、CN9782、CN9783;東亞合成化学工業社製M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600;根上工業社製UN−9000PEP、UN−9200A、UN−7600、UN−333、UN−1255、UN−6060PTM、UN−6060P、SH−500B;共栄社化学社製AH−600、AT−600;ダイセル・オルネクス社製エベクリル280、エベクリル284、エベクリル402、エベクリル8402、エベクリル8807、エベクリル9270;DOUBLE BOND CHEMICAL社製DOUBLEMER 554、DOUBLEMER 5222などが挙げられる。
【0016】
三官能のウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、サートマー社製CN929、CN944B85、CN989、CN9008;ダイセル・オルネクス社製エベクリル264、エベクリル265、エベクリル1259、エベクリル8201、KRM8296、エベクリル294/25HD、エベクリル4820等が挙げられる。四官能以上のウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、新中村化学工業社製U−6HA、U−6H、U−15HA、UA−32P、U−324A、UA−7200;サートマー社製CN968、CN9006、CN9010;根上工業社製UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−904、UN−901T、UN−905、UN−952;ダイセル・オルネクス社製エベクリル1290、エベクリル1290K、KRM8200、エベクリル5129、エベクリル8210、エベクリル8301、エベクリル8405;DOUBLE BOND CHEMICAL社製 DOUBLEMER 528、DOUBLEMER 576、DOUBLEMER 776などが挙げられる。これらのウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、単独でまたは2種類以上の混合物として使用できる。
【0017】
(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、組成物全体の粘度を低く抑えるために、25℃における粘度が1,000〜20,000mPa・s、特には1,000〜10,000mPa・sのものが好ましい。比較的低粘度の(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を用いて組成物全体の粘度を低く抑えることで、インクジェット印刷時における射出性および安定性が良好となる。(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、2官能以上の多官能オリゴマーが、耐熱性が向上するため、好ましい。より好ましくは4官能以上、さらに好ましくは5官能以上である。上限としては、12官能以下が、形成される塗膜に可撓性が付与され、密着性などの特性も向上するため、好ましい。より好ましくは8官能以下、さらに好ましくは6官能以下である。
【0018】
(A)ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の配合量としては、硬化性組成物100質量部中に5〜50質量部が好ましく、5〜35質量部がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の配合量を5質量部以上とすることで、良好なはんだ耐熱性および金めっき耐性を確保することができる。また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の配合量を50質量部以下とすることで、硬化性組成物の粘度を低く抑えて、インクジェット印刷時における射出性・安定性を良好に確保することができる。
【0019】
[(B)光重合開始剤]
(B)光重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、光、レーザー、電子線等によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始する化合物であれば、いずれのものも用いることができる。
【0020】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン系、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;リボフラビンテトラブチレート;2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6−トリス−s−トリアジン、2,2,2−トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系などが挙げられる。
【0021】
これら公知慣用の光重合開始剤は、単独でまたは2種類以上の混合物として使用でき、さらにはN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などの光開始助剤を加えることができる。
【0022】
また、可視光領域に吸収のあるイルガキュア784等(BASFジャパン社製)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために添加することができる。特にこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光開始助剤に限らず、単独であるいは複数併用して使用できる。
【0023】
市販されているものとしては、イルガキュア261、184、369、651、500、819、907、784、2959、イルガキュア1116、1173、イルガキュアTPO(以上、BASFジャパン社製の商品名)、エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B、ONE(フラテツリ・ランベルティ社製の商品名)等が挙げられる。
【0024】
(B)光重合開始剤の配合割合は、本発明の硬化性組成物100質量部中に1〜25質量部の範囲が好ましく、5〜20質量部の範囲がより好ましい。(B)光重合開始剤の配合割合を上記範囲とすることで、適切な光硬化性を得ることができる。
【0025】
[(C)少なくとも1つの熱反応性官能基を有する熱硬化性化合物]
(C)熱硬化性化合物の熱反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基およびオキサゾリン基、環状(チオ)エーテル基、(シクロ)カーボネート基、エピスルフィド基、ポリオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のなどの公知慣用の熱硬化性官能基であり、より好ましくは、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基およびオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基である。
【0026】
(C)熱反応性化合物は、少なくとも1つの熱反応性官能基の他に、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。一般的に、単官能の熱反応性官能基を有する化合物は分子量が低く、熱硬化時に熱による反応が進行すると同時に揮発してしまうことが問題となるが、(メタ)アクリロイル基を有することにより、インクジェット印刷における光による仮硬化時に重合して、熱による本硬化時に揮発せずに良好な特性を得ることが可能となる。
【0027】
本発明においては、特に、(C)熱硬化性化合物として、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基および少なくとも1つの熱反応性官能基を有する第1の熱硬化性化合物と、少なくとも2つの熱反応性官能基を有する第2の熱硬化性化合物とを、併用することが好ましい。これにより、はんだ耐熱性をより向上することが可能となる。
【0028】
上記熱反応性官能基のうち、水酸基の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、市販品としてはライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA(以上、共栄社化学(株)製の商品名)等がある。
【0029】
熱反応性官能基がカルボキシル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられ、市販品としてはライトエステルHO−MS、ライトエステルHO−HH(以上、共栄社化学(株)製の商品名)、アロニックスM−5400(東亞合成化学(株)製の商品名)等がある。
【0030】
熱反応性官能基がイソシアネート基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(例えば、昭和電工(株)製の商品名、MOI)等が挙げられる。
【0031】
熱反応性官能基がアミノ基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジエチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0032】
熱反応性官能基がエポキシ基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリロイル基含有脂環式エポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基含有脂環式エポキシ樹脂の市販品としては、サイクロマーM100、サイクロマーA200、サイクロマー2000(以上、(株)ダイセル製の商品名)等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、NKオリゴ EA−1010N、EA−1010LC、EA−1010NT(以上、新中村化学工業社製の商品名)等が挙げられる。
【0033】
熱反応性官能基がオキセタニル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、オキセタン(メタ)アクリレート等が挙げられ、市販品としてはOXE−10、OXE−30(大阪有機化学(株)製の商品名)等がある。
【0034】
熱反応性官能基がメルカプト基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、エチルチオアクリレート、エチルチオメタクリレート、ビフェニルチオアクリレート、ビフェニルチオメタクリレート、ニトロフェニルチオアクリレート、ニトロフェニルチオメタクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、トリフェニルメチルチオメタクリレート、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパンのトリスアクリレート、2−プロペン酸の2−(メルカプトメチル)−メチルエステル、メタクリル酸の2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エチルエステル等が挙げられる。
【0035】
熱反応性官能基がメトキシメチル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、ジメトキシメチルアクリレート、ジメトキシメチルメタクリレート等が挙げられ、市販品としては、ニカラックMX−302(アクリル変性アルキル化メラミン、三和ケミカル(株)製の商品名)等がある。
【0036】
熱反応性官能基がメトキシエチル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、1−メトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、1,1−メトキシエチルアクリレート、1,1−メトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0037】
熱反応性官能基がエトキシエチル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、1−エトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0038】
熱反応性官能基がエトキシメチル基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリレート、エトキシメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0039】
熱反応性官能基がオキサゾリン基である熱硬化性化合物の具体的な例としては、2−プロペン酸の2−メチル−2−{[3−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)ベンゾイル]アミノ}エチルエステル、2−プロペン酸の2−メチル−2−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)エチルエステル、2−プロペン酸の3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2−オキサゾイル)プロピルエステル等が挙げられる。
【0040】
また、熱反応性官能基を2つ以上有する熱硬化性化合物としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは、保存安定性に優れる点より、ブロックイソシアネート化合物である。
【0041】
上記のうち分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性化合物は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0042】
上記多官能エポキシ化合物としては、ADEKA社製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDC−1312等のハイドロキノン型エポキシ樹脂、YSLV−80XY等のビスフェノール型エポキシ樹脂、YSLV−120TE等のチオエーテル型エポキシ樹脂(いずれも東都化成社製);三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製のjER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、ノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
【0043】
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
【0044】
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0045】
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に、人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2質量%以下のメラミン誘導体が好ましい。
【0046】
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(いずれも三井サイアナミッド社製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(いずれも三和ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0047】
イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物は、1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物である。このような1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。上記ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物を加えることにより、硬化性および得られる硬化物の強靭性を向上することが確認された。
【0048】
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
【0049】
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。
【0050】
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。その他、先に挙げたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0052】
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0053】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0054】
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のイソシアネート基、またはブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
(C)熱硬化性化合物の配合割合は、本発明の硬化性組成物100質量部中に10〜70質量部の範囲が好ましく、20〜60質量部の範囲がより好ましい。配合量が10質量部以上であれば、十分な塗膜の強靭性、耐熱性が得られる。一方、70質量部以下であれば、保存安定性が低下することを抑制できる。(C)熱硬化性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
本発明の硬化性組成物には、さらに、反応性希釈剤を配合することが好ましい。反応性希釈剤を配合することで、硬化性組成物の粘度を低下させることができる。反応性希釈剤としては、光反応性希釈剤、熱反応性希釈剤等が挙げられる。これらの中でも、光反応性希釈剤が好ましい。
【0057】
光反応性希釈剤としては、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、エチレン誘導体、スチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、ジシクロペンタジエン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、キシリレンジオキセタン、オキセタンアルコール、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、レゾルシノールジグリシジルエーテル等の不飽和二重結合やオキセタニル基、エポキシ基を有する化合物が挙げられる。
【0058】
これらの中でも(メタ)アクリレート類が好ましく、単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、アクリロイルモルホリン等を挙げることができる。
【0059】
2官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートなどのジオールのジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくともいずれか1種を付加して得たジオールのジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートなどのグリコールのジアクリレート、ビスフェノールA EO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートビスフェノールAにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくともいずれか1種を付加して得たジオールのジアクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレートなどの環状構造を有するジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートなどのイソシアヌル酸のジアクリレートなどが挙げられる。
【0060】
市販品としては、ライトアクリレート1,6HX−A、1,9ND−A、3EG−A、4EG−A(共栄社化学社製の商品名)、HDDA、1,9−NDA、DPGDA、TPGDA(ダイセル・オルネクス社製の商品名)、ビスコート#195、#230、#230D、#260、#310HP、#335HP、#700HV、#540(大阪有機化学工業社製の商品名)、アロニックスM−208、M−211B、M−215、M−220、M−225、M−240、M−270(東亞合成社製の商品名)などが挙げられる。
【0061】
3官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、3官能ポリエステルアクリレートなどの3官能アクリレートなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリレート類の中でも、2官能(メタ)アクリレートが、希釈効果と耐熱性とのバランスが良好であるため好ましい。
【0062】
2官能(メタ)アクリレート類の中でも、粘度および相溶性の観点から、アルキレン鎖を有するジオールのジアクリレートが好ましい。中でも、炭素数4〜12のアルキレン鎖を有するジオールのジアクリレートがより好ましい。例示としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート等が挙げられる。
【0063】
反応性希釈剤の配合割合は、本発明の硬化性組成物100質量部中に1〜70質量部の範囲が好ましく、5〜60質量部の範囲がより好ましい。反応性希釈剤の配合量が、1質量部以上の場合、相溶性が向上し、均一に分散し、良好な塗膜特性が得られ、70質量部以下の場合、耐熱性向上の効果が得られる。反応性希釈剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
本発明の硬化性組成物には、さらに、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒は、(C)熱硬化性化合物の熱硬化特性をさらに向上させるために使用され、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミンなどのアミン化合物、イミダゾール類、リン化合物、酸無水物、二環式アミジン化合物などを使用できる。具体的には、イミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物などを用いることができる。より具体的には、イミダゾール類化合物として、1B2PZ、2E4MZ、2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製);ジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物として、U−CAT3503N、−3502T(サンアプロ社製);二環式アミジン化合物およびその塩として、DBU、DBN、U−CAT SA102、U−CAT5002(サンアプロ(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
熱硬化触媒の含有率は、通常の配合割合で充分であり、例えば、(C)熱硬化性化合物100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましい。
【0066】
本発明の硬化性組成物には、上記成分の他、必要に応じて、表面張力調整剤、界面活性剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、赤、青、緑、黄、白、黒などの慣用公知の着色剤、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなど、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくとも1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などの密着性付与剤のような、公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0067】
上記各成分を有する本発明の硬化性組成物は、インクジェット方式の印刷方法に用いられる。かかる点から、本発明の硬化性組成物は、50℃における粘度が50mPa・s以下、特には10〜30mPa・sであることが好ましい。これにより、インクジェットプリンターに不要な負荷を与えることなく、円滑な印刷が可能となる。また、本発明の硬化性組成物の常温における粘度は、好適には150mPa・s以下であり、これによりインクジェット印刷法での印刷が良好に行われる。ここで、本発明において、粘度は、JIS K2283に従って常温(25℃)または50℃で測定した粘度をいう。
【0068】
また、本発明の硬化性組成物は、フレキシブル配線板に対してロートゥロール方式で印刷することが可能である。この場合、インクジェットプリンター通過後に後述する光照射用光源を取り付けることにより、レジストパターンを高速で形成することが可能である。
【0069】
光照射は、紫外線又は活性エネルギーの照射により行われるが、紫外線が好ましい。光照射の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、365,385,395,405nm等の紫外線領域に波長を有するLEDランプなどが適当である。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線なども利用可能である。さらに、必要に応じて、光照射後に加熱により硬化させる。ここで、加熱温度は、例えば、80〜200℃である。かかる加熱温度範囲とすることにより、十分に硬化することができる。加熱時間は、例えば、10〜100分である。
【0070】
本発明の硬化性組成物を、インクジェット方式により印刷して得られた塗膜に、上記のような光照射および加熱の少なくともいずれか一方または双方を施すことにより、高硬度の硬化塗膜を得ることができる。本発明の硬化性組成物は、下地に対する密着性に優れるとともに、はんだ耐熱性、金めっき耐性、鉛筆硬度、耐薬品性、折り曲げ性等の諸特性に優れたパターン硬化塗膜を形成できるものである。
【0071】
本発明の硬化性組成物は永久絶縁膜、例えば、プリント配線板用ソルダーレジストとして好適に使用することができる。また、本発明のプリント配線板は、上記本発明の硬化性組成物を用いて形成される硬化塗膜を基板上に有する点に特徴を有するものである。
【実施例】
【0072】
以下、実施例、参考例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、参考例および比較例によって制限されるものではない。
【0073】
下記表1,2に記載の配合に従って、実施例、参考例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合し、攪拌機にて予備混合して、硬化性組成物を調製した。なお、表中の配合量の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部を示す。
【0074】
【表1】
*1)UA−4200、新中村化学工業社製、2官能ポリエーテルウレタンアクリレート,25℃における粘度2,000mPa・s
*2)UA−7100、新中村化学工業社製、3官能ポリエーテルウレタンアクリレート,25℃における粘度15,000mPa・s
*3)DM576、DOUBLE BOND CHEMICAL社製、脂肪族6官能ウレタンアクリレートオリゴマー,25℃における粘度1,000−3,000mPa・s
*4)DM776、DOUBLE BOND CHEMICAL社製、芳香族6官能ウレタンアクリレートオリゴマー,25℃における粘度4,000−6,000mPa・s
*5)ダロキュア1173、BASFジャパン社製,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,
*6)イルガキュア819、BASFジャパン社製,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(ビスアシルフォスフィンオキサイド系)
*7)BI7982,Baxenden Chemical社製、3官能ブロックイソシアネート
*8)4HBA、日本化成社製、4−ヒドロキシブチルアクリレート
*9)EA−1010N、新中村化学工業社製、(メタ)アクリロイル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂(単官能)、25℃における粘度20,000〜30,000mPa・s
*10)JER828、三菱化学社製、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル
*11)A−NOD−N、新中村化学工業社製、1,9−ノナンジオールジアクリレート(2官能アクリレートモノマー)
*12)ファストゲンブルー5380、DIC社製、フタロシアニンブルー(顔料)
*13)クロモフタルエローAGR、BASFジャパン社製、クロモフタルエロー(顔料)
*14)2PHZ、四国化成工業社製、2−フェニルイミダゾール(触媒)
【0075】
【表2】
【0076】
得られた各実施例、参考例および比較例の硬化性組成物について、下記に従い評価を行った。その結果を、下記の表3,4中に示す。
【0077】
(1)50℃における粘度
各実施例、参考例および比較例において得られた硬化性組成物のインキ温度50℃、100rpmにおける粘度をコーンプレート型粘度計(東機産業社製TVH−33H)にて測定した。結果は、下記の基準に基づき評価した。
○:10mPa・s超50mPa・s以下。
△:50mPa・s超200mPa・s以下。
×:200mPa・s超。
【0078】
(2)密着性試験
実施例1〜6、参考例1〜7および比較例において得られた硬化性組成物を30μmのアプリケーター(ERICHSEN社製)を使って銅張積層板上に塗布し、高圧水銀灯(ORC社製HMW−713)で150mJ/cm
2にて硬化を行った。実施例7については、硬化性組成物を、富士グローバルグラフィックシステムズ製マテリアルプリンターDMP−2831を使って、銅張積層板上にインクジェット塗布し、LEDランプ(パナソニック製ANUJ6164)で150mJ/cm
2にて硬化を行った。その後、150℃の熱風循環式乾燥炉にて60分間加熱処理を行った。作製したサンプルに対してクロスカットテープピール試験を実施した。結果は、碁盤目の残存数が100個のうち何個あるかを数えて、下記の基準に基づき評価した。
◎:100/100。
○:80〜99/100。
△:60〜79/100。
×:59以下/100。
【0079】
(3)鉛筆硬度(表面硬度)
上記(2)の基板作製条件で得られた各実施例、参考例および比較例の硬化塗膜を用いて、表面における鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠して測定した。
【0080】
(4)はんだ耐熱性
上記(2)の基板作製条件で得られた各実施例、参考例および比較例の硬化塗膜にロジン系フラックスを塗布し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬することを3回繰り返した後、クロスカットテープピール試験を実施した。結果は、碁盤目の残存数が100個のうち何個あるかを数えて、下記の基準に基づき評価した。
◎:100/100。
○:80〜99/100。
△:60〜79/100。
×:59以下/100。
【0081】
(5)金めっき耐性
上記(2)の基板作製条件で得られた各実施例、参考例および比較例の硬化塗膜に、市販の無電解ニッケルめっき浴および無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、クロスカットテープピール試験を実施した。結果は、碁盤目の残存数が100個のうち何個あるかを数えて、下記の基準に基づき評価した。
◎:100/100。
○:80〜99/100。
△:60〜79/100。
×:59以下/100。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
上記表中に示すように、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤と、少なくとも1つの熱反応性官能基を有する熱硬化性化合物とを含む各実施例および参考例の硬化性組成物は、いずれも、はんだ耐熱性や金めっき耐性に加えて、基板上での良好な密着性を備え、硬化後において高い硬度を有するとともに、インクジェット印刷に適した低い粘度を有するものであることが確かめられた。
【0085】
また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の種類のみを変えた参考例1と参考例5および参考例3と参考例7をそれぞれ比較すると、2官能のウレタンアクリレートよりも3官能のウレタンアクリレートを用いた場合のほうが、ウレタンアクリレートの粘度に起因して粘度が高くなっているものの、硬化塗膜の硬度も高くなっていることがわかる。一方、実施例1〜4では、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂として、多官能であって低粘度の脂肪族6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることで、低粘度かつ高硬度の硬化性組成物が得られていることがわかる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂として、同様に多官能であって低粘度の芳香族6官能ウレタンアクリレートオリゴマーを用いた実施例5〜7においても、低粘度かつ高硬度の硬化性組成物が得られている。
【0086】
これに対し、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含まない比較例1では、はんだ耐熱性および金めっき耐性に劣る結果となっている。また、熱硬化性化合物を含まない比較例2〜4では、はんだ耐熱性や金めっき耐性がさらに低下するとともに、密着性が悪化しており、さらに2官能アクリレートモノマーも含まない比較例4では、粘度が高くなりインクジェット印刷には適さないものとなった。