特許第6783535号(P6783535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783535
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】クロック補正装置及びクロック補正方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/12 20060101AFI20201102BHJP
   H03K 5/131 20140101ALI20201102BHJP
   G06F 1/10 20060101ALI20201102BHJP
   H03K 5/04 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H03K5/12
   H03K5/131
   G06F1/10 510
   H03K5/04
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-60142(P2016-60142)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-175418(P2017-175418A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100109715
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】安達 信吾
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−102483(JP,A)
【文献】 特開2011−138342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/12
H03K 5/04
H03K 5/131
G06F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力可能なクロック補正装置であって、
前記入力クロックのスキュー調整及び前記入力クロックのデューティ補正を行う補正回路と、
前記出力クロックと参照クロックとの入力に対して、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出回路と、
前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する積分回路と、
前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較した比較信号をスキュー調整信号として出力する比較器と、を含み、
前記補正回路は、
スキュー調整モードで、前記スキュー調整信号を用いて前記入力クロックの前記スキュー調整を行い、
ディーティ補正モードで、デューティ制御信号を用いて前記入力クロックの前記デューティ補正を行う、
クロック補正装置。
【請求項2】
ラッパー回路、を含み、
前記ラッパー回路からの前記ディーティ補正モードの指示に基づき、前記積分回路は、前記検出信号に代わり、前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成し、前記比較器は、前記第1電圧信号と前記第1参照信号との比較に代わり、前記第2電圧信号と第2参照信号とを比較して、前記第2電圧信号が前記第2参照信号と一致したときに比較信号を前記デューティ補正の完了を示す信号として前記ラッパー回路に出力し、
前記ラッパー回路は、前記デューティ補正の完了を示す信号を受け取るまで、前記デューティ制御信号の値を変化させる、
請求項1記載のクロック補正装置。
【請求項3】
互いに所定の位相差を有する多相クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行う多相クロック補正装置であって、
入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力する複数の補正回路を含み、
前記複数の補正回路は、多段に接続され、
前記複数の補正回路のうち一の段の補正回路の前記出力クロックと、前記参照クロックとされる前記一の段の補正回路の前段の前記補正回路の前記出力クロックとの入力に対して、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出回路と、
前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する積分回路と、
前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較して、前記一の段の補正回路のスキュー調整信号を生成する比較器と、を含み、
前記一の段の補正回路は、
スキュー調整モードで、前記スキュー調整信号を用いて前記入力クロックの前記スキュー調整を行い、
ディーティ補正モードで、デューティ制御信号を用いて前記入力クロックの前記デューティ補正を行う、
多相クロック補正装置。
【請求項4】
ラッパー回路、を含み、
前記ラッパー回路からの前記ディーティ補正モードの指示に基づき、前記積分回路は、前記検出信号に代わり、前記補正回路のうち任意の段の補正回路の前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成し、前記比較器は、前記第1電圧信号と前記第1参照信号との比較に代わり、前記第2電圧信号と第2参照信号とを比較して、前記第2電圧信号が前記第2参照信号と一致したときに前記任意の段の補正回路の比較信号を前記デューティ補正の完了を示す信号として前記ラッパー回路に出力し、
前記ラッパー回路は、前記任意の段の補正回路の前記デューティ補正の完了を示す信号を受け取るまで、前記任意の段の補正回路の前記デューティ制御信号の値を変化させる、
請求項3記載の多相クロック補正装置。
【請求項5】
入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力可能な複数の補正回路を多段に接続した構成を含む多相スキュー調整回路における多相クロックのクロック補正方法であって、
スキュー調整モードで、スキュー調整信号を用いて前記入力クロックのスキュー調整を行うスキュー調整ステップと、
ディーティ補正モードで、デューティ制御信号を用いて前記入力クロックのデューティ補正を行うデューティ補正ステップと、を含み、
前記スキュー調整ステップは、
前記複数の補正回路のうち一の段の補正回路の前記出力クロックと、前記参照クロックとされる前記一の段の補正回路の前段の前記補正回路の前記出力クロックとの入力に対して、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出ステップと、
前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する第1積分ステップと、
前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較した比較信号を、前記一の段の補正回路のスキュー調整信号として出力する第1比較ステップと、を含む、
多相クロックのクロック補正方法。
【請求項6】
前記デューティ補正ステップは、
前記複数の補正回路のうち任意の段の補正回路の前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成する第2積分ステップと、
前記第2電圧信号と第2参照信号を比較した前記任意の段の補正回路の比較信号を出力する第2比較ステップと、
前記任意の段の補正回路の前記比較信号が前記デューティ補正の完了を示すまで、前記任意の段の補正回路の前記デューティ制御信号の値を変化させる変更ステップと、を含む、
請求項5記載の多相クロックのクロック補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック補正装置及びクロック補正方法に関し、特に、多相クロックのスキューとデューティを調整するためのクロック補正装置及びクロック補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PON(Passive Optical Network)やタイミングコントローラなどの通信分野における通信データ量は増加し続けている。そのため、当該分野に用いられる半導体集積回路には、一層の高速化が求められている。このような半導体集積回路において、多相クロックは、単相クロックと比較して、クロックスキュー(半導体集積回路の各ノードへのクロックの到達タイミングのずれ。タイミングスキューと呼ばれることもある。以下、「スキュー」という。)が発生してしまう場合があるが、単相クロックでの高速化、及び分配は困難であることから、周波数を下げて、多相化することにより、クロックの変化のタイミングを高速化する手法が、広く使用されている。
【0003】
多相クロックを使用する半導体集積回路としては、典型的には、送信装置で4相など多相クロックを生成し、該生成した多相クロックを各受信装置にクロック分配回路(CLK Distribution)を用いて分配するものがある。
【0004】
ここで、多相クロックに含まれるクロック間の位相は、各受信装置などで使用される素子のミスマッチや、当該多相クロックの分配時における帯域不足によりずれを生じる場合がある。特に、高速の多相クロックを、クロック分配回路を用いて各受信装置に分配する場合には、クロック間の位相ずれの発生を避けることが困難となる。
【0005】
また、多相クロックに含まれるクロック間の位相ずれが生じたままで、位相の補間を行う位相補間回路(Phase Interpolator)に入力した場合には、ジッタトレランスが悪化する。これは、位相補間回路において、多相クロックに含まれるクロック間の位相のずれがジッタに相当するためである。PONなどのジッタスペックが厳しい分野においては、上述のジッタトレランスの悪化が大きな問題となる。
【0006】
以上に基づき、一般にスキュー調整と呼ばれる多相クロックの位相ずれを補正することは、重要なことであるといえる。
【0007】
また、上述の半導体集積回路においては、多相クロックに含まれる各クロックのデューティも正確である必要がある。デューティが適切でない場合には、半導体集積回路の動作に影響を及ぼすためである。したがって、上述のスキュー調整に加え、チューティ補正を行うことも、重要なことである。
【0008】
下記特許文献1は、第1のクロックを受けスキュー調整された第2のクロックを生成するスキュー調整回路と、第2クロックを受けてクロック遅延時間がロックされた多相クロックを生成するDLL(Delay Locked Loop)回路とを備えるクロック生成回路が開示されている。
【0009】
また、下記特許文献2には、多相クロックのスキュー調整、デューティ補正等を行うクロック調整回路が開示されている。かかるクロック調整回路では、デジタル補正にて、スキュー調整や、デューティ補正等を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−44579号公報
【特許文献1】国際公開第2008/032701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した特許文献1に開示されるクロック生成回路は、スキュー調整回路を有する。しかしながら、該スキュー調整回路は、多相クロックの生成時にスキュー調整を行うものであるため、かかるクロック生成回路によっては、多相クロック間に生じた位相ずれを補正することができない。また、かかるクロック生成回路は、デューティ補正機能を有していないため、デューティ補正を行うことができない。
【0012】
また、上述した特許文献2に開示されるクロック調整回路は、スキュー調整に加えてデューティ補正も行うことができるものの、スキュー調整及びデューティ補正をいずれもデジタル的に処理することに起因して、スキュー調整後にデューティ補正を行った際に、再び位相ずれを生じてしまうという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、多相クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行うクロック補正装置及びクロック補正方法であって、デューティ補正の影響を受けずに多相クロックのスキュー調整を行うことができるクロック補正装置及びクロック補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0015】
すなわち、ある観点に従う発明は、入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力可能なクロック補正装置であって、前記出力クロックと参照クロックの位相差に基づくスキュー調整信号を用いたアナログ制御による前記入力クロックのスキュー調整を行うと共に、デューティ制御信号を受け取りデジタル制御による前記入力クロックのデューティ補正を行う補正回路と、前記出力クロックと前記参照クロックとを入力されて、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出回路と、前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する積分回路と、前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較して前記スキュー調整信号を生成する比較器と、を含む。
【0016】
ここで、ラッパー回路、を含み、前記ラッパー回路からの指示に基づき、前記積分回路において、前記検出信号に代わり、前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成すると共に、前記比較器において、前記第1電圧信号と前記第1参照信号との比較に代わり、前記第2電圧信号と第2参照信号を比較して補正完了信号を生成し、前記ラッパー回路は、前記補正完了信号が所定値となるまで、前記デューティ制御信号の値を変化させ得る。
【0017】
また、ある観点に従う発明は、互いに所定の位相差を有する多相クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行う多相クロック補正装置であって、入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力可能であり、前記出力クロックと参照クロックの位相差に基づくスキュー調整信号を用いたアナログ制御による前記入力クロックのスキュー調整を行うと共に、デューティ制御信号を受け取りデジタル制御による前記入力クロックのデューティ補正を行う補正回路、を複数含み、前記補正回路を多段に接続し、前記補正回路のうち一の段の補正回路の前記出力クロックと、前記参照クロックとされる前記一の段の補正回路の前段の前記補正回路の前記出力クロックとを入力されて、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出回路と、前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する積分回路と、前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較して、前記一の段の補正回路の前記スキュー調整信号を生成する比較器と、を含む。
【0018】
ここで、ラッパー回路、を含み、前記ラッパー回路からの指示に基づき、前記積分回路において、前記検出信号からの出力に代わり、前記補正回路のうち任意の段の補正回路の前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成すると共に、前記比較器において、前記第1電圧信号と前記第1参照信号との比較に代わり、前記第2電圧信号と第2参照信号を比較して、前記任意の段の補正回路の補正完了信号を生成し、前記ラッパー回路は、前記任意の段の補正回路の前記補正完了信号が所定値となるまで、前記任意の段の補正回路の前記デューティ制御信号の値を変化させ得る。
【0019】
また、ある観点に従う本発明は、入力クロックのスキュー調整及びデューティ補正を行い出力クロックとして出力可能な複数の補正回路を多段に接続した構成を含む多相スキュー調整回路における多相クロックのクロック補正方法であって、前記出力クロックと参照クロックの位相差に基づくスキュー調整信号を用いたアナログ制御による前記入力クロックのスキュー調整を行うスキュー調整ステップと、デューティ制御信号を受け取りデジタル制御による前記入力クロックのデューティ補正を行うデューティ補正ステップと、を含み、前記スキュー調整ステップは、前記補正回路のうち一の段の補正回路の前記出力クロックと、前記参照クロックとされる前記一の段の補正回路の前段の前記補正回路の前記出力クロックとのうち、前記参照クロックのみが“H”であるときに“H”となる検出信号を出力するスキュー検出ステップと、前記検出信号を積分して第1電圧信号を生成する第1積分ステップと、前記第1電圧信号と第1参照信号とを比較して、前記一の段の補正回路のスキュー調整信号を生成する第1比較ステップと、を含む。
【0020】
ここで、前記デューティ補正ステップは、前記補正回路のうち任意の段の補正回路の前記出力クロックを積分して第2電圧信号を生成する第2積分ステップと、前記第2電圧信号と第2参照信号を比較して、前記任意の段の前記補正回路の補正完了信号を生成する第2比較ステップと、前記任意の段の補正回路の前記補正完了信号が所定値となるまで、前記任意の段の補正回路の前記デューティ制御信号の値を変化させる変更ステップと、を含み得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、クロック補正装置及びクロック補正方法は、デューティ補正の影響を受けずに多相クロックのスキュー調整を行うことができる。
【0022】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置を説明するためのブロックダイアグラムである。
図2】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置が含む補正処理回路を説明するためのブロックダイアグラムである。
図3】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置の補正処理回路が含む補正回路を説明するための回路図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLKのデューティ補正を説明するための波形図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK間のスキュー調整を説明するための波形図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_0のデューティ補正を説明するためのブロックダイアグラムである。
図5B】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_180のデューティ補正を説明するためのブロックダイアグラムである。
図5C】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_90のデューティ補正及びスキュー調整を説明するためのブロックダイアグラムである。
図5D】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_270のデューティ補正及びスキュー調整を説明するためのブロックダイアグラムである。
図6】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置の補正処理回路が含むスキュー検出回路の動作を説明するための図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法を説明するためのフローチャートである。
図7B】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法のうち、クロックCLK_0のデューティ補正について説明するフローチャートである。
図7C】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法のうち、クロックCLK_180のデューティ補正について説明するフローチャートである。
図7D】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法のうち、クロックCLK_90のデューティ補正について説明するフローチャートである。
図7E】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法のうち、クロックCLK_270のデューティ補正について説明するフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置によるデューティ補正例を説明するための各所の波形を示す図である。
図9A】本発明のスキュー調整を行なう前の各所の波形を示す図である。
図9B】本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置によるスキュー調整例を説明するための各所の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、多相クロック補正装置1は、補正処理回路10と、これに接続されるラッパー回路20とを含み構成される。
【0026】
補正処理回路10は、多相クロックを構成する各クロックCLK間のスキュー及び各クロックCLKのデューティの補正を並行又は並列的に行い、かかる補正した多相クロックを出力する回路である。本例では、補正処理回路10は、既知の素子によって構成される回路である。詳細については後述する。
【0027】
ラッパー回路20は、補正処理回路10から出力される多相クロックを受けて、所定の処理を行う回路である。ラッパー回路20は、典型的には、インターフェース回路であるが、これに限られない。本例では、ラッパー回路20は、補正処理回路10の動作を制御するための制御回路を含む。また、ラッパー回路20は、既知のデジタル素子によって構成されるデジタル回路である。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置の補正処理回路の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、補正処理回路10は、例えば、補正部UNIT_0、UNIT_90、UNIT_180、及びUNIT_270を含み、それらが多段に接続される。なお、以下では、多相クロックは、クロックCLK_0、CLK_90、CLK_180、CLK_270の4つのクロックCLKにより構成されるものとして説明する。
【0029】
補正部UNIT_0は、クロックCLK_0のデューティ補正を行う。すなわち、補正部UNIT_0は、補正前のクロックCLK_0である入力クロックIN_0を受け取り、デューティ補正後のクロックCLK_0である出力クロックOUT_0を出力する。また、補正部UNIT_0は、入力クロックIN_0のデューティを補正するためのデューティ制御信号DUTY_0をラッパー回路20から受け取る。
【0030】
補正部UNIT_90は、クロックCLK_90のスキュー調整及びデューティ補正を行う。すなわち、補正部UNIT_90は、補正前のクロックCLK_90である入力クロックIN_90を受け取り、スキュー調整及びデューティ補正後のクロックCLK_90である出力クロックOUT_90を出力する。また、補正部UNIT_90は、補正部UNIT_0から出力クロックOUT_0を受け取ると共に、UNIT_270から出力クロックOUT_270を受け取る。さらに、補正部UNIT_90は、入力クロックIN_90のデューティを補正するためのデューティ制御信号DUTY_90及び当該補正部UNIT_90の動作モードを切り替えるための比較モード信号CM90を、ラッパー回路20から受け取る。また、補正部UNIT_90は、クロックCLK_0のデューティ補正完了を通知する補正完了信号CD1と、クロックCLK_270のデューティ補正完了を通知する補正完了信号CD4とを、ラッパー回路20に出力する。
【0031】
補正部UNIT_180は、クロックCLK_180のデューティ補正を行う。すなわち、補正部UNIT_180は、補正前のクロックCLK_180である入力クロックIN_180を受け取り、デューティ補正後のクロックCLK_180である出力クロックOUT_180を出力する。また、補正部UNIT_180は、入力クロックIN_180のデューティを補正するためのデューティ制御信号DUTY_180をラッパー回路20から受け取る。
【0032】
補正部UNIT_270は、クロックCLK_270のスキュー調整及びデューティ補正を行う。すなわち、補正部UNIT_270は、補正前のクロックCLK_270である入力クロックIN_270を受け取り、スキュー調整及びデューティ補正後のクロックCLK_270である出力クロックOUT_270を出力する。また、補正部UNIT_270は、補正部UNIT_90から出力クロックOUT_90を受け取ると共に、補正部UNIT_180から出力クロックOUT_180を受け取る。さらに、補正部UNIT_270は、入力クロックIN_270のデューティを補正するためのデューティ制御信号DUTY_270及び当該補正部UNIT_270の動作モードを切り替えるための比較モード信号CM270を、ラッパー回路20から受け取る。また、補正部UNIT_270は、クロックCLK_180のデューティ補正完了を通知する補正完了信号CD2、及びクロックCLK_90のデューティ補正完了を通知する補正完了信号CD3を、ラッパー回路20に出力する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置の補正処理回路に含まれる補正回路の一例を示す回路図である。同図に示すように、補正回路11は、トランジスタ111と、トランジスタ112と、トランジスタ113と、複数のトランジスタ114と、複数のスイッチ115と、インバータ116と、コンデンサ117と、インバータ118とを含む。なお、補正回路11は、補正部UNIT_0、UNIT_90、UNIT_180、及びUNIT_270の夫々に設けられる。
【0034】
トランジスタ111は、例えばPチャネルMOSFETであり、そのゲート端子はトランジスタ112のゲート端子と接続され、そのソース端子は電源に接続され、そのドレイン端子はトランジスタ113のドレイン端子及びゲート端子に接続される。また、補正部UNIT_0及びUNIT_180のトランジスタ111のゲート端子は、所定の定電圧信号を受け取る。一方、補正部UNIT_90及びUNIT_270のトランジスタ111のゲート端子は、スキュー調整信号SAを受け取る。
【0035】
トランジスタ112は、例えばPチャネルMOSFETであり、そのソース端子は電源に接続され、そのドレイン端子はインバータ116に接続される。また、トランジスタ112のゲート端子は、上述のようにトランジスタ111のゲート端子と接続されていることから、補正部UNIT_0及びUNIT_180において所定の定電圧信号を受け取り、補正部UNIT_90及びUNIT_270においてスキュー調整信号SAを受け取る。これにより、トランジスタ112は、ゲート端子で受け取った所定の定電圧信号又はスキュー調整信号SAに応じてドレイン端子に流れる電流を、インバータ116へ電源電流として出力する。
【0036】
トランジスタ113は、例えばNチャネルMOSFETであり、そのゲート端子は各トランジスタ114のゲート端子にスイッチ115を介して接続され、そのソース端子は接地される。また、トランジスタ113のドレイン端子及びゲート端子は、上述のように、トランジスタ111のドレイン端子に接続される。これにより、トランジスタ113のドレイン端子及びゲート端子は、トランジスタ111のゲート端子が受け取る所定の定電圧信号又はスキュー調整信号SAに応じて、該トランジスタ111のドレイン端子に流れる電流を受け取る。
【0037】
トランジスタ114は、インバータ116に電源電流として出力する電流の値を変化させるため所定個数設けられ得る。本例では、図示するように、例えば、4個のトランジスタ114[1]〜114[4]が設けられている。各トランジスタ114は、例えば、NチャネルMOSFETであり、そのドレイン端子はインバータ116に接続され、そのソース端子は接地される。また、各トランジスタ114のゲート端子は、上述のように、トランジスタ113のゲート端子にスイッチ115を介して接続される。これにより、トランジスタ114は、トランジスタ113と多段式のカレントミラー回路を構成する。したがって、トランジスタ114は、動作する個数に応じてトランジスタ113のドレイン端子に流れる電流値を増倍し、ドレイン端子からインバータ116へ電源電流として出力する。
【0038】
スイッチ115は、トランジスタ114に対応して設けられる。したがって、本例では、4個のスイッチ115[1]〜115[4]が設けられる。各スイッチ115は、夫々、トランジスタ113のゲート端子と対応するトランジスタ114のゲート端子との間に接続され、オンになることで、対応するトランジスタ114を動作させる。なお、スイッチ115は、ラッパー回路20からのデューティ制御信号DUTYに応じてオン/オン制御される。
【0039】
インバータ116は、入力クロックINを受け取り、該入力クロックINの波形をトランジスタ112及びトランジスタ114から電源電流として受け取る電流の値に応じて変化させると共に反転させて、内部調整波形VAを生成し出力する。
【0040】
インバータ118は、コンデンサ117でトランジスタ112と114に流れる電流から立ち上がり時間を調整した内部調整波形VAを受け取り、それを反転させて生成した出力クロックOUTを出力する。
【0041】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLKのデューティ補正を説明するための波形図である。すなわち、同図は、補正回路11において、インバータ116から出力される内部調整波形VA及びインバータ118から出力される出力クロックOUTの波形を示す。
【0042】
内部調整波形VAの立下りのスキューは、インバータ116がトランジスタ114より電源電流として受け取る電流の値に応じて、矢印Aのように変化する。なお、該電流の値は、上述のように、動作するトランジスタ114の個数に応じて変化する。
【0043】
出力クロックOUTのデューティは、内部調整波形VAの立下りのスキューの変化に応じて変化する。これは、インバータ118が出力する出力クロックOUTは、内部調整波形VAの電位が、図示する閾値以上の電位の場合に“L”となり、該閾値より小さい電位の場合に“H”となるためである。このようにして、補正回路11は、クロックCLKのデューティ補正を行うことができる。
【0044】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK間のスキュー調整を説明するための波形図である。同図は、図4A同様に、補正回路11において、インバータ116から出力される内部調整波形VA及びインバータ118から出力される出力クロックOUTの波形を示す。なお、同図は、トランジスタ111のゲート端子がスキュー調整信号SAを受け取っている場合、すなわち補正部UNIT_90及びUNIT_270における波形図を示している。
【0045】
内部調整波形VAの立上り及び立下りのスキューは、インバータ116がトランジスタ112及びトランジスタ114から電源電流として受け取る電流の値を同時に変化させることで、矢印B1及びB2のように同時に変化する。なお、インバータ116がトランジスタ112及びトランジスタ114から電源電流として受け取る電流の値は、スキュー調整信号SAを変化させることで同時に変化する。
【0046】
出力クロックOUTの位相は、内部調整波形VAの立上り及び立下りが同時に変化することで変化する。これは、インバータ118が出力する出力クロックOUTは、上述のように、内部調整波形VAの電位が、図示する閾値以上の電位の場合に“L”となり、該閾値より小さい電位の場合に“H”となるためである。このようにして、多相クロック補正装置1では、クロックCLK間のスキュー調整を行うことができる。
【0047】
図5Aは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_0のデューティ補正を説明する図である。同図では、便宜上、補正部UNIT_0及びUNIT_90のみの構成が示されている。
【0048】
補正部UNIT_0は、例えば、補正回路11を含む。補正回路11は、入力クロックIN_0とデューティ制御信号DUTY_0とを受け取って、該入力クロックIN_0のデューティを補正し、出力クロックOUT_0として出力する。
【0049】
一方、補正部UNIT_90は、例えば、補正回路11と、スキュー検出回路12と、スイッチ13と、積分回路14と、可変電源15と、比較器16と、スイッチ17とを含み構成される。
【0050】
補正回路11は、入力クロックIN_90、デューティ制御信号DUTY_90及びスキュー調整信号SA_90を受け取って、該入力クロックIN_90のデューティを補正すると共にスキュー調整を行い、出力クロックOUT_90として出力する。
【0051】
スキュー検出回路12は、出力クロックOUT_0と出力クロックOUT_90とを受け取り、検出信号DET_0−90を出力する。なお、検出信号DET_0−90は、図6に示すような論理回路で生成され、例えば、出力クロックOUT_0のみが“H”であるときに“H”となり、その他の場合に“L”となる。
【0052】
図5Aに戻り、スイッチ13は、例えば、スイッチ13Aと、スイッチ13Bと、スイッチ13Cとを含み構成される。スイッチ13は、ラッパー回路20からの比較モード信号CM90の内容に基づき、いずれか1つのスイッチをオンとされる。具体的には、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して通常モードでの動作を指示する場合、スイッチ13Aがオンとなるので、積分回路14は、スキュー検出回路12からの検出信号DET_0−90を受け取る。また、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_0に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ13Bがオンとなるので、積分回路14は、出力クロックOUT_0を受け取る。さらに、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_270に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ13Cがオンとなるので、積分回路14は、出力クロックOUT_270を受け取る。
【0053】
積分回路14は、入力された信号を積分して、平滑化された電圧信号を作成し、比較器16の−(マイナス)入力端子に出力する。
【0054】
可変電源15は、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して通常モードでの動作を指示する場合に、第1参照信号を生成し、比較器16の+(プラス)入力端子に出力する。一方、可変電源15は、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示する場合、第2参照信号を生成し、比較器16の+入力端子に出力する。
【0055】
比較器16は、積分回路14から供給された電圧信号と、可変電源15から供給された第1参照信号又は第2参照信号とを比較し、比較結果を出力する。
【0056】
スイッチ17は、例えば、スイッチ17Aと、スイッチ17Bと、スイッチ17Cを含み構成される。スイッチ17は、ラッパー回路20からの比較モード信号CM90の内容に基づき、いずれか1つのスイッチをオンとされる。具体的には、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して通常モードでの動作を指示する場合、スイッチ17Aがオンとなるので、比較器16は、補正回路11へスキュー調整信号SA_90を出力する。また、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_0に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ17Bがオンとなるので、比較器16は、ラッパー回路20へ補正完了信号CD1を出力する。さらに、比較モード信号CM90が補正部UNIT_90の比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_270に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ17Cがオンとなるので、比較器16は、ラッパー回路20へ補正完了信号CD4を出力する。
【0057】
以上のように構成される補正部UNIT_0及びUNIT_90を用いたクロックCLK_0のデューティ補正においては、まず、補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_0に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM90が、ラッパー回路20から補正部UNIT_90に出力される。これにより、スイッチ13においてスイッチ13Bがオンとなり、スイッチ17においてスイッチ17Bがオンとなる。また、可変電源15は第2参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0058】
以上より、補正部UNIT_90の積分回路14は、出力クロックOUT_0を受け取り、該出力クロックOUT_0を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−入力端子へ出力する。
【0059】
ここで、各クロックCLKのデューティの設定値を50%とする。この場合において、出力クロックOUT_0が設定値どおりであるとすると、積分回路14で生成される電圧信号の電位は、1/2vdd(vddは電源電圧)となる。したがって、可変電源15で生成される第2参照信号は1/2vddとされ、積分回路14で生成される電圧信号と当該第2参照信号の比較が、比較器16において行われる。
【0060】
比較器16においてかかる比較が行われている間、ラッパー回路20は、補正部UNIT_0の補正回路11に出力するデューティ制御信号DUTY_0の値をデジタル的に変化させる。これにより、図3に示す複数のトランジスタ114のうち動作する個数が変化するので、インバータ116がトランジスタ114のドレイン端子より電源電流として受け取る電流の値は変化する。すなわち、該電流の値は、デューティ制御信号DUTY_0を用いたラッパー回路20によるデジタル制御により変化する。
【0061】
インバータ116がトランジスタ114のドレイン端子より電源電流として受け取る電流の値を変化させることで、図4Aを用いて説明したように、出力クロックOUT_0のデューティは変化する。そして、出力クロックOUT_0のデューティの変化をさせている中で、出力クロックOUT_0のデューティが設定値である50%となると、積分回路14で生成される電圧信号が1/2vddとなる。したがって、比較器16では、積分回路14からの電圧信号と第2参照信号とが一致し、クロックCLK_0のデューティ補正が完了した旨を示す補正完了信号CD1をラッパー回路20に出力する。これにより、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_0の値を固定して、補正部UNIT_0の補正回路11に出力し、出力クロックOUT_0のデューティを50%に維持する。以上により、デジタル制御を用いたクロックCLK_0のデューティ補正が完了する。
【0062】
図5Bは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_180のデューティ補正例を説明する図である。同図では、便宜上、補正部UNIT_180及びUNIT_270のみの構成が示されている。
【0063】
補正部UNIT_180は、補正部UNIT_0と同様の構成を有するものであり、補正回路11を含み構成される。補正回路11は、入力クロックIN_180とデューティ制御信号DUTY_180とを受け取って、該入力クロックIN_180のデューティを補正し、出力クロックOUT_180として出力する。
【0064】
補正部UNIT_270は、補正部UNIT_90と同様の構成を有するものであり、例えば、補正回路11と、スキュー検出回路12と、スイッチ13と、積分回路14と、可変電源15と、比較器16と、スイッチ17とを含み構成される。
【0065】
補正回路11は、入力クロックIN_270、デューティ制御信号DUTY_270、及びスキュー調整信号SA_270を受け取って、該入力クロックIN_270のデューティを補正すると共にスキュー調整を行い、出力クロックOUT_270として出力する。
【0066】
スキュー検出回路12は、出力クロックOUT_180と出力クロックOUT_270とを受け取り、検出信号DET_180−270を出力する。なお、検出信号DET_180−270は、出力クロックOUT_180のみが“H”であるときに“H”となり、その他の場合に“L”となる。
【0067】
スイッチ13は、ラッパー回路20からの比較モード信号CM270の内容に基づき、いずれか1つのスイッチをオンとされる。具体的には、ラッパー回路20からの比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して通常モードでの動作を指示する場合、スイッチ13Aがオンとなるので、積分回路14は、スキュー検出回路12からの検出信号DET_180−270を受け取る。また、比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_180に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ13Bがオンとなるので、積分回路14は、出力クロックOUT_180を受け取る。さらに、比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_90に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ13Cがオンとなるので、積分回路14は出力クロックOUT_90を受け取る。
【0068】
可変電源15は、比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して通常モードでの動作を指示する場合に、第1参照信号を生成し、比較器16の+入力端子へ入力する。一方、可変電源15は、比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示する場合に、第2参照信号を生成し、比較器16の+端子へ出力する。
【0069】
スイッチ17は、ラッパー回路20からの比較モード信号CM270の内容に基づき、いずれか1つのスイッチをオンとされる。比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して通常モードでの動作を指示する場合、スイッチ17Aがオンとなるので、比較器16は、補正回路11へスキュー調整信号SA_270を出力する。また、比較モード信号CM270が、補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_180に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ17Bがオンとなるので、比較器16は、ラッパー回路20へ補正完了信号CD2を出力する。さらに、比較モード信号CM270が補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_90に対してデューティ補正を指示する場合、スイッチ17Cがオンとなるので、比較器16は、ラッパー回路20へ補正完了信号CD3を出力する。
【0070】
以上のように構成される補正部UNIT_180、UNIT_270を用いたクロックCLK_180のデューティ補正においては、まず、補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_180に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM270が、ラッパー回路20から補正部UNIT_270に出力される。これにより、スイッチ13はスイッチ13Bがオンとなり、スイッチ17はスイッチ17Bがオンとなる。また、可変電源15は第2参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0071】
以上に基づき、補正部UNIT_270の積分回路14は、出力クロックOUT_180を受け取り、該出力クロックOUT_180を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−入力端子へ出力する。
【0072】
そして、比較器16において、積分回路14で生成される電圧信号と第2参照信号の比較が行われている際に、ラッパー回路20は、補正部UNIT_180の補正回路11に出力するデューティ制御信号DUTY_180の値を変化させる。これにより、出力クロックOUT_180のデューティが変化する。
【0073】
出力クロックOUT_180のデューティが設定値である50%となると、積分回路14からの電圧信号と第2参照信号とが一致するので、比較器16は、クロックCLK_180のデューティ補正が完了した旨を示す補正完了信号CD2を出力して、ラッパー回路20に出力する。これにより、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_180の値を固定して、補正部UNIT_180の補正回路11に出力し、出力クロックOUT_180のデューティを50%に維持する。以上により、デジタル制御を用いたクロックCLK_180のデューティ補正が完了する。
【0074】
図5Cは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_90のデューティ補正及びスキュー調整例を説明する図である。同図では、便宜上、上述の補正部UNIT_90及びUNIT_270の構成を示している。
【0075】
先に、クロックCLK_90のデューティ補正について説明する。クロックCLK_90のデューティ補正においては、まず、UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_90に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM270が、ラッパー回路20から補正部UNIT_270に出力される。これにより、スイッチ13はスイッチ13Cがオンとなり、スイッチ17はスイッチ17Cがオンとなる。また、可変電源15は第2参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0076】
以上に基づき、補正部UNIT_270の積分回路14は、出力クロックOUT_90を受け取り、該出力クロックOUT_90を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−入力端子へ出力する。
【0077】
そして、比較器16において、積分回路14で生成される電圧信号と第2参照信号の比較が行われている際に、ラッパー回路20は、補正部UNIT_90の補正回路11に出力するデューティ制御信号DUTY_90の値を変化させる。これにより、出力クロックOUT_90のデューティが変化する。
【0078】
出力クロックOUT_90のデューティが設定値である50%になると、積分回路14からの電圧信号と第2参照信号とが一致するので、比較器16は、クロックCLK_90のデューティ補正が完了した旨を示す補正完了信号CD3を出力して、ラッパー回路20に出力する。これにより、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_90の値を固定して、補正部UNIT_90の補正回路11に出力し、出力クロックOUT_90のデューティを50%に維持する。以上により、デジタル制御を用いたクロックCLK_90のデューティ補正が完了する。
【0079】
次に、クロックCLK_90のスキュー調整について説明する。クロックCLK_90のスキュー調整においては、まず、補正部UNIT_90に対して通常モードでの動作を指示する比較モード信号CM90が、ラッパー回路20より補正部UNIT_90に出力される。これにより、スイッチ13はスイッチ13Aがオンとなり、スイッチ17はスイッチ17Aがオンとなる。また、可変電源15は第1参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0080】
以上に基づき、補正部UNIT_90の積分回路14は、スキュー検出回路12で生成された検出信号DET_0−90を受け取り、該検出信号DET_0−90を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−端子へ出力する。
【0081】
ここで、出力クロックOUT_0に対する出力クロックOUT_90の位相差は、理想的に90度である場合、スキュー検出回路12で生成される検出信号DET_0−90のデューティは25%となる。したがって、出力クロックOUT_0に対する出力クロックOUT_90の位相差が理想値である場合、積分回路14で生成される電圧信号の電位は、1/4vddとなる。これに基づき、可変電源15で生成される第1参照信号は1/4vddとされ、積分回路14で生成される電圧信号と当該第1参照信号の比較が、比較器16において行われる。そして、比較器16は、該比較結果を、スキュー調整信号SAとして補正回路11へ出力するので、アナログネガティブフィードバックループが構築されることとなる。
【0082】
補正回路11では、スキュー調整信号SAの値の変化により、トランジスタ112のドレイン端子がインバータ116に電源電流として出力する電流の値とトランジスタ114のドレイン端子がインバータ116に電源電流として出力する電流の値とが同時に変化するので、図4Bを用いて説明したように出力クロックOUT_90の位相が変化する。そして、上述のようにアナログネガティブフィードバックループが構築されているので、出力クロックOUT_90は、アナログ制御を用いてスキュー調整されて、出力クロックOUT_0に対する位相差を、理想値である90度に調整される。
【0083】
なお、出力クロックOUT_90のスキュー調整は、上述の出力クロックOUT_90のデューティ補正と同時に行うことができる。また、出力クロックOUT_90のスキュー調整は、クロックCLK_180のデューティ補正とも同時に行うことができる。
【0084】
図5Dは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置におけるクロックCLK_270のデューティ補正及びスキュー調整例を説明する図である。同図では、便宜上、上述の補正部UNIT_270及びUNIT_90のみの構成が示されている。
【0085】
先に、クロックCLK_270のデューティ補正について説明する。クロックCLK_270のデューティ補正においては、まず、補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_270に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM90が、ラッパー回路20より補正部UNIT_90に出力される。これにより、スイッチ13はスイッチ13Cがオンとなり、スイッチ17はスイッチ17Cがオンとなる。また、可変電源15は第2参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0086】
以上に基づき、補正部UNIT_90の積分回路14は、出力クロックOUT_270を受け取り、該出力クロックOUT_270を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−入力端子へ出力する。
【0087】
そして、比較器16において、積分回路14で生成される電圧信号と第2参照信号の比較が行われている際に、ラッパー回路20は、補正部UNIT_270の補正回路11に送るデューティ制御信号DUTY_270の値を変化させる。これにより、出力クロックOUT_270のデューティが変化する。
【0088】
出力クロックOUT_270のデューティが設定値である50%になると、積分回路14からの電圧信号と第2参照信号とが一致するので、比較器16は、クロックCLK_270のデューティ補正が完了した旨を示す補正完了信号CD4を出力して、ラッパー回路20に出力する。これにより、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_270の値を固定して、補正部UNIT_270の補正回路11に送り、出力クロックOUT_270のデューティを50%に維持する。以上により、デジタル制御を用いたクロックCLK_270のデューティ補正が完了する。
【0089】
次に、クロックCLK_270のスキュー調整について説明する。クロックCLK_270のスキュー調整においては、まず、補正部UNIT_270に対して通常モードでの動作を指示する比較モード信号CM270が、ラッパー回路20より補正部UNIT_270に出力される。これにより、スイッチ13はスイッチ13Aがオンとなり、スイッチ17はスイッチ17Aがオンとなる。また、可変電源15は第1参照電位を生成して、比較器16の+入力端子へ出力する。
【0090】
以上に基づき、補正部UNIT_270の積分回路14は、スキュー検出回路12で生成された検出信号DET_180−270を受け取り、該検出信号DET_180−270を積分して平滑化された電圧信号を生成し、比較器16の−端子へ出力する。
【0091】
比較器16は、積分回路14で生成される電圧信号と第1参照信号の比較を行い、該比較結果をスキュー調整信号SAとして、補正回路11へ出力するので、アナログネガティブフィードバックが構築されることになる。
【0092】
補正回路11では、スキュー調整信号SAの値の変化により、出力クロックOUT_270の位相が変化する。そして、上述のようにアナログネガティブフィードバックループが構築されているので、出力クロックOUT_270は、アナログ制御を用いてスキュー調整されて、出力クロックOUT_180に対する位相差を、理想値である90度に調整される。
【0093】
なお、出力クロックOUT_270のスキュー調整は、上述の出力クロックOUT_270のデューティ補正と同時に行うことができる。また、出力クロックOUT_270のスキュー調整は、クロックCLK_0のデューティ補正とも同時に行うことができる。
【0094】
図7A図7Eは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正方法を説明するフローチャートである。かかるクロック補正方法は、多相クロック補正装置1にて実行される処理である。
【0095】
まず、ラッパー回路20は、図7Aに示すように、補正処理回路10を通常モードで動作させる(S701)。通常モードとは、補正部UNIT_90でクロックCLK_90のスキュー調整を行うと共に、補正部UNIT_270でクロックCLK_270のスキュー調整を行うモードである。この場合、クロックCLK_0、CLK_90、CLK_180、CLK_270のデューティ補正は行われない。なお、通常モードは、ラッパー回路20が、補正部UNIT_90に対して、通常モードでの動作を指示する比較モード信号CM90を出力すると共に、補正部UNIT_270に対して、通常モードでの動作を指示する比較モード信号CM270を出力することで設定される。
【0096】
続いて、ラッパー回路20は、図示しない他の回路などから、クロックCLK_0、CLK_90、CLK_180、CLK_270のデューティ補正を行うキャリブレーションモードの実行を要求されているか否かを判断する(S702)。キャリブレーションモードの実行が要求されていないと判断される場合(S702のNo)、ラッパー回路20は通常モードを維持する。一方、キャリブレーションモードの実行が要求されていると判断される場合(S702のYes)、ラッパー回路20は、クロックCLK_0のデューティ補正を行う(S703)。
【0097】
クロックCLK_0のデューティ補正においては、図7Bに示すように、まず、ラッパー回路20が、補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_0に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM90を、補正部UNIT_90に出力する(S7031)。
【0098】
続いて、ラッパー回路20は、補正部UNIT_0に対して出力しているデューティ制御信号DUTY_0の値を設定値に変更する(S7032)。具体的には、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_0の値を、キャリブレーションモード開始後、初回のS7032においてはあらかじめ設定されている設定値に変更し、2回目以降のS7032においては、後述するS7034で設定された設定値に変更する。ラッパー回路20は次に、補正部UNIT_90から、クロックCLK_0のデューティ補正の完了を示す補正完了信号CD1を受け取っているか否かを判断する(S7033)。ラッパー回路20は、補正完了信号CD1を受け取っていると判断する場合(S7033のYes)、クロックCLK_0のデューティ補正を終了し、図7AのS704へ進む。一方、ラッパー回路20は、補正完了信号CD1を受け取っていない場合(S7033のNo)、デューティ制御信号DUTY_0の設定値を変更し(S7034)、S7032の処理に戻る。
【0099】
続いて、ラッパー回路20は、図7Aに示すように、クロックCLK_180のデューティ補正を行う(S704)。クロックCLK_180のデューティ補正においては、図7Cに示すように、まず、ラッパー回路20が、補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_180に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM270を、補正部UNIT_270に出力する(S7041)。
【0100】
続いて、ラッパー回路20は、補正部UNIT_180に対して出力しているデューティ制御信号DUTY_180の値を設定値に変更する(S7042)。すなわち、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_180の値を、キャリブレーションモード開始後、初回のS7042においてはあらかじめ設定されている設定値に変更し、2回目以降のS7042においては、後述するS7044で設定された設定値に変更する。そして、ラッパー回路20は、補正部UNIT_270から、クロックCLK_180のデューティ補正の完了を示す補正完了信号CD2を受け取っているか否かを判断する(S7043)。ラッパー回路20は、補正完了信号CD2を受け取っていると判断する場合(S7043のYes)、クロックCLK_180のデューティ補正を終了し、図7AのS705に進む。一方、ラッパー回路20は、補正完了信号CD2を受け取っていないと判断する場合(S7043のNo)、デューティ制御信号DUTY_180の設定値を変更し(S7044)、S7042の処理に戻る。
【0101】
続いて、ラッパー回路20は、図7Aに示すように、クロックCLK_90のデューティ補正を行う(S705)。クロックCLK_90のデューティ補正においては、図7Dに示すように、まず、ラッパー回路20が、補正部UNIT_270に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_90に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM270を、補正部UNIT_270に出力する(S7051)。この場合、比較モード信号CM90は、補正部UNIT_90に対して通常モードでの動作を指示したままになるので、補正部UNIT_90では、クロックCLK_90のスキュー調整が継続される。
【0102】
続いて、ラッパー回路20は、補正部UNIT_90に対し出力しているデューティ制御信号DUTY_90の値を設定値に変更する(S7052)。すなわち、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_90の値を、キャリブレーションモード開始後、初回のS7052においてはあらかじめ設定されている設定値に変更し、2回目以降のS7052においては、後述するS7054で設定された設定値に変更する。そして、ラッパー回路20は、補正部UNIT_270から、クロックCLK_90のデューティ補正の完了を示す補正完了信号CD3を受け取っているか否かを判断する(S7053)。ラッパー回路20は、補正完了信号CD3を受け取っている場合(S7053のYes)、クロックCLK_90のデューティ補正を終了し、図7AのS706に進む。一方、ラッパー回路20は、補正完了信号CD3を受け取っていない場合(S7053のNo)、デューティ制御信号DUTY_90の設定値を変更し(S7054)、S7052の処理に戻る。
【0103】
続いて、ラッパー回路20は、図7Aに示すように、クロックCLK_270のデューティ補正を行う(S706)。クロックCLK_270のデューティ補正においては、図7Eに示すように、まず、ラッパー回路20が、補正部UNIT_270に対して通常モードでの動作を指示するための比較モード信号CM270を、補正部UNIT_270に出力すると共に、補正部UNIT_90に対して比較モードでの動作を指示し、かつ、クロックCLK_270に対してデューティ補正を指示するための比較モード信号CM90を、補正部UNIT_90に出力する(S7061)。なお、これにより、補正部UNIT_270では、クロックCLK_270のスキュー調整も実行されるようになる。
【0104】
続いて、ラッパー回路20は、補正部UNIT_270に対し出力しているデューティ制御信号DUTY_270を設定値に変更する(S7062)。すなわち、ラッパー回路20は、デューティ制御信号DUTY_270の値を、キャリブレーションモード開始後、初回のS7062においてはあらかじめ設定されている設定値に変更し、2回目以降のS7062においては、後述するS7064で設定された設定値に変更する。そして、ラッパー回路20は、補正部UNIT_90から、クロックCLK_270のデューティ補正の完了を示す補正完了信号CD4を受け取っているか否かを判断する(S7063)。ラッパー回路20は、補正完了信号CD4を受け取っている場合(S7063のYes)、図7AのS701に戻り、補正処理回路10を通常モードで動作させる。一方、ラッパー回路20は、補正完了信号CD4を受け取っていない場合(S7063のNo)、デューティ制御信号DUTY_270の設定値を変更し(S7064)、S7062に戻る。
【0105】
図8は、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置でのデューティ補正例を説明するための各所の波形を示す図である。同図においては、クロックCLK_0のデューティ補正例を説明するため、補正部UNIT_0における入力クロックIN_0、内部調整波形VA、及び出力クロックOUT_0を示している。
【0106】
同図において、入力クロックIN_0は、デューティエラーが生じており、設定値である50%を超えたデューティとなっている。
【0107】
そこで、多相クロック補正装置1では、ラッパー回路20から補正部UNIT_0に出力するデューティ制御信号DUTY_0の値を変化させることで、補正部UNIT_0内の内部調整波形VAの立下りを、図示するように所望の傾きに変化させる。そして、多相クロック補正装置1は、補正部UNIT_0にて、当該内部調整波形VAを反転させて、チューティ補正がなされた出力クロックOUT_0を出力する。
【0108】
図9A及び9Bは、本発明の一実施形態に係る多相クロック補正装置でのスキュー調整例を説明するための各所の波形を示す図であり、図9Aは本発明による補正を行なわない場合を、図9Bは本発明による補正を行なった場合を示している。同図においては、クロックCLK_90及びクロックCLK_270のスキュー調整例を説明するために、補正部UNIT_0における入力クロックIN_0及び出力クロックOUT_0、補正部UNIT_90における入力クロックIN_90及び出力クロックOUT_90、補正部UNIT_180における入力クロックIN_180及び出力クロックOUT_180、補正部UNIT_270における入力クロックIN_270及び出力クロックOUT_270を示している。加えて、同図においては、補正部UNIT_90のスキュー検出回路12から出力される検出信号DET_0−90、及び補正部UNIT_90のスキュー検出回路12から出力される検出信号DET_180−270を示している。
【0109】
両図において、入力クロックIN_0と入力クロックIN_90との位相差は、90度未満となっており、スキューエラーが生じた状態となっている。この状態における検出信号DET_0−90は、図9Aに図示するように、25%以下のデューティとなっている。
【0110】
そこで、多相クロック補正装置1では、補正部UNIT_90において、検出信号DET_0−90に基づくスキュー調整信号SAを生成し、補正回路11へ送ることで、アナログネガティブフィードバック制御を行う。これにより、多相クロック補正装置1では、出力クロックOUT_90のスキュー調整を行い、図9Bに示すように、出力クロックOUT_0とクロックCLK_90の位相差を90度とする。
【0111】
また、図9Aにおいて、入力クロックIN_180と入力クロックIN_270との位相差も、90度未満となっており、スキューエラーが生じた状態となっている。この状態における検出信号DET_180−270は、図9Aに図示するように、25%以下のデューティとなっている。
【0112】
そこで、多相クロック補正装置1では、補正部UNIT_270において、検出信号DET_180−270に基づくスキュー調整信号SAを生成し、補正回路11へ送ることで、アナログネガティブフィードバック制御を行う。これにより、多相クロック補正装置1では、出力クロックOUT_270のスキュー調整を行い、図9Bに示すように、出力クロックOUT_180とクロックCLK_270の位相差を90度とする。
【0113】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0114】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0115】
また、多相クロック補正装置1により、スキュー調整及びデューティ補正を行う多相クロックは4相クロックに限定されない。多相クロック補正装置1では、適宜、補正部UNITを増設することで、より多相のクロックのスキュー調整及びデューティ補正を行うことができる。この際、可変電源15で生成される第1参照信号は、多相クロックの相数に応じて変更される。
【0116】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、半導体集積回路の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…多相クロック補正装置
10…補正処理回路
11…補正回路
111…トランジスタ
112…トランジスタ
113…トランジスタ
114…トランジスタ
115…スイッチ
116…インバータ
117…コンデンサ
118…インバータ
12…スキュー検出回路
13…スイッチ
13A…スイッチ
13B…スイッチ
13C…スイッチ
14…積分回路
15…可変電源
16…比較器
17…スイッチ
17A…スイッチ
17B…スイッチ
17C…スイッチ
20…ラッパー回路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9A
図9B