特許第6783556号(P6783556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6783556容器ハンドルが設けられたバヨネット継手圧力調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783556
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】容器ハンドルが設けられたバヨネット継手圧力調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   A47J27/08 C
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-110164(P2016-110164)
(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-221289(P2016-221289A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2019年3月20日
(31)【優先権主張番号】1555000
(32)【優先日】2015年6月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック シャムロワ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム ジュリアン
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−226556(JP,A)
【文献】 米国特許第05310981(US,A)
【文献】 中国実用新案第201624512(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第102349791(CN,A)
【文献】 実開昭57−036222(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3174577(JP,U)
【文献】 特開平02−271811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J27/00−36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を圧力下で調理するための調理器具(1)であって、ハンドル(2D、2E)が設けられた容器(2)と、前記容器(2)から独立した蓋(3)と、バヨネット継手ロッキングシステムとを有する、調理器具において、これは、前記蓋が支持体(10)に対して枢動できるようにして前記蓋(3)に取り付けられた支持体(10)を含み、前記支持体(10)および前記容器(2)は、前記蓋(3)が前記支持体(10)に対して中央縦方向軸(X−X’)周りで枢動することによって、前記バヨネット継手ロッキングシステムが前記蓋(3)を前記容器(2)に対してロックすることを可能にする、少なくとも1つの所定の相対配置で合体されるように設計され、前記蓋(3)および前記支持体(10)は、前記所定の相対配置で合体されたとき、前記容器(2)に対して自由に載置する独立した蓋副組立体を形成し、前記支持体(10)は第1の位置決め要素(12、13)を形成し、前記第1の位置決め要素(12、13)は、前記蓋(3)を超えて径方向に突出し、前記支持体(10)および前記容器(2)が前記所定の相対配置で合体されたとき、前記ハンドル(2D、2E)が前記支持体(10)を超えて外方向に径方向に突出することを可能にしながらも、前記第1の位置決め要素(12、13)は、前記ハンドル(2D、2E)と一体的である、またはこれに固定された相補的な第2の位置決め要素(14、15)と機械的に相互作用して、前記中央縦方向軸(X−X’)に対して垂直である水平平面内の前記支持体(10)および前記容器(2)の相対的な角度位置決めをロックするように設計されることを特徴とする調理器具。
【請求項2】
前記ハンドル(2D、2E)は、前記第1の位置決め要素(12、13)を受け入れるように設計されたくぼみ(20D、20E)を提供するように成形されることを特徴とする請求項1に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項3】
前記ハンドル(2D、2E)は、把持可能な部分(200D、200E)であって、前記容器(2)をこれによって操作すること可能にするために手動で掴まれることを可能にするように成形される、把持可能な部分と、前記容器(2)および前記把持可能な部分(200D、200E)を相互連結する締め付け部分(201D、201E)とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項4】
前記くぼみ(20D、20E)は、前記把持可能な部分(200D、200E)によって境界付けられることを特徴とする請求項2及び3の両方に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項5】
前記把持可能な部分(200D、200E)および前記第2の位置決め要素(14、15)は、前記容器(2)から、径方向(X−X’)に、それぞれ第1の間隔(E1)および前記第1の間隔(E1)より小さい第2の間隔(E2)によって分離されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項6】
前記第1の位置決め要素(12、13)と前記第2の位置決め要素(14、15)の機械的相互作用は、雄型/雌型の共働であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の圧力調理器具(1)。
【請求項7】
前記第1および第2の位置決め要素(12、13、14、15)それぞれは、互いに相補的である雄型形状部分および雌型形状部分を有することを特徴とする請求項6に記載の圧力調理器具(1)。
【請求項8】
前記支持体(10)は、上部分(100、101、102)であって、前記蓋(3)の上方に装着され、前記蓋を超えて径方向に突出し、それによって前記第1の位置決め要素を形成する縦方向の下降した縁(10A、10B)によって延ばされる、上部分を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の圧力調理器具(1)。
【請求項9】
前記雌型形状部分は、前記縦方向の下降した縁(10A、10B)内に設けられた切欠部によって形成され、一方で前記雄型形状部分は、前記ハンドル(2D、2E)によって担持されたリブによって形成されることを特徴とする請求項7及び8の両方に記載の圧力調理器具(1)。
【請求項10】
前記蓋副組立体はまた、前記蓋(3)によって担持され、前記蓋(3)と前記容器(2)の間に間置されるように設計されたシーリングガスケットも含み、前記支持体(10)および前記容器(2)は、これらが前記所定の相対配置で合体されたとき、前記蓋副組立体が、前記支持体(10)と前記ハンドル(2D、2E)の間に縦方向の間隔を維持するようにして前記容器(2)に載置し直接的に当接し、それにより、前記支持体(10)は、前記ハンドル(2D、2E)を縦方向に当接しないように設計されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の圧力調理器具(1)。
【請求項11】
ロッキング/ロッキング解除を制御するための制御部材(11)であって、ロッキング位置とロッキング解除位置の間で前記支持体(10)に対して手動移動されることを可能にするようにして前記支持体(10)に取り付けられる、制御部材をそれが含み、調理器具(1)は、前記制御部材の前記手動移動を前記支持体(10)に対する前記蓋(3)の枢動に変換するための変換デバイスを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項12】
前記制御部材(11)は、前記支持体(10)に対して、前記中央縦方向軸(X−X’)に対して垂直である枢動の径方向軸(Y−Y’)の周りで枢動するように装着されることを特徴とする請求項11に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項13】
前記ハンドル(2D、2E)は、前記容器(2)から外方向に、枢動の前記径方向軸(Y−Y’)に対してほぼ平行である径方向に延びることを特徴とする請求項12に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項14】
前記制御部材(11)は、第1に、前記蓋(3)がロック解除されることに対応し、前記制御部材(11)が縦方向に突出する、展開された位置と、第2に、前記蓋(3)がロックされることに対応し、前記制御部材(11)が前記蓋(3)に向かって下げられる、引っ込められた位置との間を前記支持体(10)に対して枢動するように装着されることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項15】
前記蓋(3)を掴むことを可能にするための把持可能な部材であって、前記蓋(3)に取り付けられ、前記蓋(3)をこれによって操作し輸送することを可能にするために手動で掴まれるように設計される、把持可能な部材を含み、前記把持可能な部材は、前記展開された位置にある前記制御部材(11)によってのみ形成されることを特徴とする請求項14に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項16】
前記制御部材(11)は、その展開された位置では、前記中央縦方向軸X−X’に対してほぼ平行である平均方向に延び、一方で、その引っ込められた位置では、これは、前記中央縦方向軸X−X’に対してほぼ垂直である平均方向に延びることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項17】
前記制御部材(11)は、ループ状ハンドル(11A)を備えることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項18】
開放安全手段(5)であって、調理器具(1)内に行き渡る圧力のレベルの効果の下で、これらが前記蓋(3)を前記容器(2)に対してロック解除することを可能にする、解放構成と、これらが、前記蓋(3)を前記容器(2)に対してロック解除することを防止するブロッキング位置との間を行き来するのに適している、開放安全手段をそれが含み、前記開放安全手段(5)は、移動要素(5A)を含み、前記移動要素(5A)は、前記蓋(3)を前記支持体(10)に対して枢動させることを防止するために、これが、前記支持体(10)によって担持された相補的なブロッキング要素(5B)と共働することができる、高位置と、これが、前記相補的な要素(5B)を妨害せず、それによって前記蓋(3)を前記支持体(10)に対して枢動させることを可能にする、低位置との間を、前記蓋(3)上で摺動するように装着されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【請求項19】
たとえばホットプレートまたはリングなどの外部熱源にさらされるように設計されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の食品を圧力下で調理するための調理器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を圧力下で調理するための器具の一般的な技術分野に関し、特に調理筺体を形成するように設計された圧力調理器タイプの家庭用器具であって、この調理筺体は、圧力をそれらの中で増大させることを可能にし、それによってそれらの中に含まれた食品を水蒸気圧力下で調理することができる、家庭用器具に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、ハンドルが設けられた容器と、容器から独立した蓋と、バヨネット継手を有するロッキングシステムとを有する、食品を圧力下で調理するための調理器具に関する。
【背景技術】
【0003】
特に家庭用の、食品を圧力下で調理するための調理器具が、よく知られている。これらは、一般に金属容器を備え、この金属容器上には、これもまた金属で作製された蓋が、圧力をその中で増大させることを可能にすることができる調理筺体を構成するようにして、可撓性環状シールによってシール式に装着されるように設計される。蓋は、蓋が容器に対してロックされ、調理筺体が圧力をその中で増大させることを可能にすることができる、ロックされた構成と、蓋が容器から自由に分離され得る、ロック解除された構成との間を、圧力調理器が行き来することを可能にするロッキング手段を介して容器に結合されるように設計される。さまざまなタイプのロッキング手段が、従来技術において良く知られている。最も幅広く使用されているシステムの1つは、バヨネット継手を有するロッキングシステムであり、このシステムは、容器および蓋のランプを実装することに基づき、これらのランプは、蓋が回転された後に相互に摺動当接し、それによって保持性機械的結合をもたらすように設計され、この保持性機械的結合は、容器および蓋が圧力の増大の効果の下で分かれることを防止する。蓋ランプは、従来、蓋の環状の下降した縁を局所的に内方向に折重ねることによって形成され、一方で容器ランプは、容器の自由上部縁を折重ね、切断することによって得られる。
【0004】
バヨネット継手を有するそのようなロッキングシステムは、一般に、特にこれは、重量が比較的軽量であり、製造が簡単であり、信頼高いものであるため、満足のいくものである。しかし、これはまた、特に実用性および人間工学性に関して特定の大きな欠点に悩まされている。
【0005】
第1に、バヨネット継手によるロッキングの原理そのものは、ユーザが、蓋ランプを容器の上部縁内に設けられた切欠部内を通過させることを可能にする正確かつ特有の配置で蓋を容器上に置くことを必要とし、それにより、これらは、容器ランプの下方にロッキング準備位置にあるようになり、その位置から、ユーザは、次いで、蓋を容器上で回転させることによって蓋および容器ランプをロッキング対応にもっていくことができる。実際、蓋を容器上に上述の正確な特有の配置に位置決めすることはやりにくく、人間工学的なものではないことが多い。加えて、蓋がロッキング準備位置になった後、ユーザは、次いで、蓋上に、これを所定の方向に回転させるために大きな力を及ぼさなければならず、これは、必ずしも直感的なものではなく、場合によっては下方向の圧力を蓋上に及ぼすことを組み合わせるものである。そのようなロッキング操作は、非直感性であり、不便であるだけでなく、特に蓋と容器の間に間置されたシールにおける摩擦のために、特定の量の物理的強さも必要とする。実際、バヨネット継手圧力調理器をロッキングするには、こうして蓋を容器上に正しく装着することが必要であり、そのために何回かの試みが必要とされることが多く、その後、一方の手で容器を固定状態に保ち、ロッキング構成に到達するまで、他方の手で蓋を容器に対して回転させるための力を及ぼしながら下方向の圧力も蓋上に及ぼすようにして、圧力調理器を両手で掴むことを必要とする。この点から、バヨネット継手圧力調理器は、一般的に、たとえば、顎部を有する圧力調理器より、使用がはるかに容易でなく実用性がかなり低いが、顎部を有するそのような圧力調理器は、バヨネット継手圧力調理器よりかなり重く、一般に製造するのにより一層コストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、上記で説明したさまざまな欠点を解消し、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、特に軽量であり、安全であり、製造がすばやく安価でありながらも、頑強であり、特に使用が容易である、新規の調理器具を提案することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、非常に人間工学的であり、特に一方の手だけで使用することが容易である、新規の調理器具を提案することである。
【0008】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、特にロックが簡単で信頼高い、新規の調理器具を提案することである。
【0009】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、自然かつ直感的なやり方で、これをどのように使用するべきかについての示唆に富む、新規の調理器具を提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、使用されている間、高いレベルの安全性をもたらす、新規の調理器具を提案することである。
【0011】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、ユーザが蓋を容器に対してロックする間、ユーザが手動で容器を固定状態に保つことを全く不必要にする設計のものである、新規の調理器具を提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、特に頑強でコンパクトであるロッキング制御機構を実装する、新規の調理器具を提案することである。
【0013】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、ロッキングを引き起こすためにユーザによって及ぼされる手動力を最小限に抑えることを可能にする設計のものである、新規の調理器具を提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、特に簡単であり、軽量であり、信頼高いものであるロッキング制御機構を有する、新規の調理器具を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、ロッキングおよびロッキング解除の両方を実行することを特に直感的にする制御部材が設けられた、新規の調理器具を提案することである。
【0016】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、格納および食洗機内での洗浄が容易で実用的である、新規の調理器具を提案することである。
【0017】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、ユーザが蓋によって器具全体を持ち上げるリスクをかなり抑制する、新規の調理器具を提案することである。
【0018】
本発明の別の目的は、食品を圧力下で調理するための新規の調理器具であって、ユーザが蓋から手を放すリスクを抑制する設計のものである、新規の調理器具を提案することである。
【0019】
本発明に割り当てられた目的は、食品を圧力下で調理するための調理器具であって、ハンドルが設けられた容器と、容器から独立した蓋と、バヨネット継手ロッキングシステムとを有する、調理器具において、これが、前記蓋が支持体に対して枢動できるようにして前記蓋に取り付けられた支持体を含み、支持体および容器は、蓋が中央縦方向軸の周りで支持体に対して枢動することによって、前記バヨネット継手ロッキングシステムが蓋を容器にロックすることを可能にする少なくとも1つの所定の相対配置で合体されるように設計され、前記蓋および前記支持体は、前記所定の相対配置で合体されたとき、容器に対して自由に載置する独立した蓋副組立体を形成し、前記支持体は第1の位置決め要素を形成し、第1の位置決め要素は、蓋を超えて径方向に突出し、支持体および容器が前記所定の相対配置で合体されたとき、前記第1の位置決め要素は、前記ハンドルと一体的である、またはこれに固定された相補的な第2の位置決め要素と機械的に相互作用して、前記ハンドルが前記支持体を超えて外方向に径方向に突出することを可能にしながらも、前記中央縦方向軸に対して垂直である水平平面内の支持体および容器の相対的な角度位置決めをロックするように設計されることを特徴とする、調理器具によって達成される。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例示としてのみ与えられた添付の図を参照して以下の説明を読み取ることで明白になり、より詳細に確認され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】バヨネット継手ロッキングを有し、ロッキング/ロッキング解除を制御するための制御部材が装備された、食品を圧力下で調理するための本発明の調理器具の概略斜視図であり、器具は、支持体および容器がロッキング前の所定の相対位置で合体される、ロッキング準備構成にある。
図2図1の圧力調理器の容器の上方からの概略斜視図であり、容器には、これを操作することを可能にする2つの側部ハンドルが設けられている。
図3図1の圧力調理器の上方からの図である。
図4図1および3の器具の一部であり、蓋および支持体の両方を含む蓋副組立体の図であり、蓋副組立体は、図1に示すロッキング前の所定の相対配置で図2の容器の上部上に嵌合するよう準備ができた、ロッキング解除構成にある。
図5図1から4の圧力調理器を示す図であり、制御部材の手動移動を支持体に対する蓋の枢動に変換するための移動変換デバイスを確認することを可能にするために、支持体は示されていない。
図6】プラスチック材料から作製され、図5において省略された支持体を形成する部分の概略斜視図である。
図7】特に、支持体および蓋が所定の相対配置で合体されているとき、水平平面内の蓋および容器の相対角度位置をロックするための支持体と容器ハンドルの間の共働を見ることを可能にする、図1から6の圧力調理器の設計詳細の概略斜視図である。
図8図7の設計詳細を示す下方からの図であるが、容器ハンドルが省略されていることが異なる。
図9】ロッキング/ロッキング解除を制御するための制御部材、および制御部材の移動を支持体に対する蓋の枢動に変換するための変換デバイスにより正確に関連付ける、図1から8の圧力調理器の実施形態詳細の概略斜視図である。
図10図9の実施形態詳細の上方からの図であるが、制御部材が省略されていることが異なる。
図11図10の実施形態詳細の下方からの図である。
図12図10および11の実施形態詳細の下方からの斜視図である。
図13図1〜12の圧力調理器の蓋を示す図であり、その蓋上には、支持体と、制御部材の手動移動を支持体に対する蓋の枢動に変換するための変換デバイスとを形成する部分の一部が装着される。
図14図2の容器を貫通する断面A−C上の断面図である。
図15図1の圧力調理器を貫通する断面A−C上の断面図である。
図16図1の圧力調理器の概略斜視図であり、蓋副組立体はロッキング構成にあり、それにより、蓋は容器に対してロックされ、制御部材は、ロッキングに対応する引っ込められた位置で蓋に向かって下げられている。
図17図16の圧力調理器の上方からの図である。
図18図5の図に類似する図であるが、制御部材が、蓋がロックされていることに対応するその引っ込められた位置にあることが異なる。
図19図8の図に類似する図であるが、制御部材が、蓋がロックされていることに対応するその引っ込められた位置にあることが異なる。
図20図9の図に類似する図であるが、制御部材が、蓋がロックされていることに対応するその引っ込められた位置にあることが異なる。
図21図10の図に類似する図であるが、制御部材が、蓋がロックされていることに対応するその引っ込められた位置にあることが異なる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図に示すように、本発明は、食品を圧力下で調理するための調理器具1であって、大気圧を上回る圧力のレベル下で、蒸気、たとえば水蒸気の存在下で多様な食品を調理するように設計された調理器具1に関する。蒸気または水蒸気は、調理液体、たとえば水性液体が食品の存在下で器具1の内側で加熱されることによって生成される。本発明の器具1は、好ましくは、家庭用途に向けて設計されるが、本発明はまた、プロ仕様または半プロ仕様の器具に関し得ることも理解されたい。本発明の器具1は、圧力を(組み込まれているまたは外部のものでよい)熱源の効果だけの下で、いかなる外部圧力も供給されることなく増大させることを可能にするように設計される。したがって、食品を圧力下で調理するための調理器具1は、有利には、たとえば、(インダクション、電気、またはガスによって作動する)ホットプレートまたはリングなどの外部熱源にさらされるように設計され、組み込まれた熱源を有さず、好ましくは内容物を加熱するための独立したホットプレートまたはリング上に置かれるように設計された圧力調理器をこうして構成する。本発明の調理装置1は、調理される食品を受け入れるように設計された調理レセプタクルを形成する少なくとも1つの容器2を含み、この容器2は、この例では、器具1が正常に作動しているとき、すなわちこれが水平平面に載置しているときに縦方向に類似する方向に延びる中央縦方向軸X−X’周りでほぼ円形に対称的である。従来の方法では、容器2は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料から製造される。容器2は、たとえば、複層の熱伝導性底部である底部2Aを含む。容器2はまた、底部2Aと、この例では円形形状のものであり、容器2の内側へのアクセスを与えるアクセス開口部を画定する自由上部縁2Cとの間を上方向に延びる環状側壁2Bも含む。自由上部縁2Cの成形は、以下において、器具1のロッキング手段に関連してより詳細に説明される。図に示すように、容器2には、有利には、少なくとも1つのハンドル2Dが設けられ、容器ハンドル2Dは、容器から外方向に突出するようにして容器2に締め付けられる。図に示すように、ハンドル2Dは、容器2が外側ケーシングを局所的に形成する器具1から突出し、それにより、ユーザは、容器2、実際には器具1を、ハンドル2Dを用いて操作することができる。図に示す実施形態では、容器ハンドル2Dは、容器2から外方向に径方向に延び、したがって容器2を操作するために(たとえば、これを持ち上げ移動させるために)ユーザによって手動で掴まれるように設計された把持可能な手段を形成するようにして、容器2の側壁2Bの外面上に装着される。図に示す実施形態では、調理器具1は、中央軸X−X’周りで正反対に容器2の側壁2Bに締め付けられた2つの同一のハンドル2D、2Eを有し、容器ハンドル2D、2Eは、この例では、容器2の自由上部縁2Cの近傍に配設される。しかし、本発明の範囲を超えることなく、容器2に単一の容器ハンドルまたは3つ以上の容器ハンドル(たとえば3つまたは4つ)を設けることが十分可能である。
【0023】
本発明の器具1は、蓋3も含み、蓋3は、容器2に関連付けられ、容器2に対してロックされて圧力を中で増大させることを可能にするのに適した調理筺体、すなわち器具1の圧力を増大させることを可能にするのに十分に密閉された調理筺体を形成するように設計される。そのような漏れない密閉性を得るために、器具1は、有利には、好ましくは、たとえばエラストマーから作製された可撓性の環状ガスケットによって形成されたシール(図示せず)を含み、このシールは、蓋3と容器2の間に間置され、それによって、筺体の内側と外側の間の水蒸気および/または空気のいかなる制御されない漏出も防止するように設計される。蓋3は、容器2から独立しており、すなわちこれは、それに恒久的に取り付けられず、または連結されない(これは、特に、蓋3および容器2が、ヒンジまたは何らかの他の機械的結合によって互いに連結されないことを意味する)。蓋3は、したがって、容器2から独立して、ユーザによって自由に操作され移動され得る。従来の方法で、蓋3は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属材料から製造される。これは、有利には、容器2の形状に相補的である形状、たとえばほぼディスク形状である形状を有し、この形状は、有利には、これが容器上に装着されロックされた後、容器2の底部2Aが延びる平均平面にほぼ平行である平均平面(すなわちこの例ではほぼ水平である平面)内を延びる。図に示す実施形態では、蓋3は、容器2の環状側壁2Bの自由上部縁2Cによって境界付けられたアクセス開口部の形状および寸法に相補的である形状および寸法のディスク形状の蓋要素3Aを含む。この実施形態では、蓋3は、有利には、環状バンド3Bを含み、環状バンド3Bは、たとえば、ほぼ円筒状または円錐台の形状のものであり、ディスク形状の蓋要素3Aと一体的である(この例では、その周囲にある)第1の円形縁30Bと、たとえば、それ自体端部フランジによって延ばされる第2の自由円形縁31Bとの間を延びる。図に示すように、ディスク形状の蓋要素3Aは、水平な平均平面内、すなわちこの例では、蓋3が容器2に関連付けられて調理筺体を形成するとき、容器2の底部2Aの平均延長平面に対して平行な平均平面内を実質的に延び、一方で環状バンド3Bは、ほぼ縦方向に、すなわち中央軸X−X’に対して平行に延び、端部フランジはほぼ水平に延びている。当然ながら、これは、図に示すようなディスク形状蓋3Aが、たとえば、制御機構を収容するために、わずかにドーム型にされ、または局所的に皿型にされる可能性も全く排除しない。図に示す実施形態では、環状バンド3Bは、ディスク形状の蓋要素3Aの周囲から下方向に延びる下降した縁によって形成される。この実施形態では、蓋3は、容器2の上部上にほぼぴったりと嵌合するように設計され、それにより、環状バンド3Bは、環状側壁2Bの上部および自由上部縁2Cを外から取り囲み、一方でディスク形状の蓋要素3Aは、容器2と蓋3の間に間置されたシーリングガスケットを介して自由縁2C上に載置し、当接する。しかし、代替的に、本発明の範囲を超えることなく、環状バンド3Bが、容器2によって取り囲まれこの中に含まれるように容器2内に嵌合するように設計されることが十分可能である。容器2および蓋3は、したがって、好ましくは金属ケーシングである相補的な個々のケーシングを構成し、これらケーシングは、互いに関連付けられた後、食品が水蒸気圧力下でその内側で調理される、閉鎖された容積部を境界付ける金属ケーシングを結果として形成する。
【0024】
食品を圧力下で調理するための本発明の調理器具1は、有利には、たとえば弁などの圧力調節手段4を含み、圧力調節手段4は、好ましくは、たとえば、蓋3によって直接的に担持されるようにして蓋3上に装着され、調理筺体内に行き渡る圧力を「作動圧力」と称されるほぼ一定の所定の値に維持するように配置され、この値は、たとえば実質的には、10キロパスカル(kPa)から120kPaの範囲、好ましくは約100kPaにある値だけ大気圧を超えるものである。そのような圧力調節手段の一般的な作動原理は、それ自体よく知られており、それにより、以下ではこれをこれ以上詳細に説明する必要はない。食品を圧力下で調理するための調理器具1は、他の作動部材(たとえば、以下でより詳細に説明する開放安全手段5、過圧安全弁6など)を含むことができる。
【0025】
本発明の器具1はまた、蓋3および容器2の関連付けによって形成された調理筺体が、筺体の内側に行き渡る圧力の効果の下で蓋3が外れるといういかなるリスクも有することなく、少なくとも上記で述べた作動圧力に達することができるようにするために、バヨネット継手ロッキングシステムも含む。換言すれば、ロッキングシステムは、容器2と蓋3の間に機械的結合をもたらし、この機械的結合は、調理筺体の内側で増大する圧力の効果下で蓋3が容器2から分離することを防止するのに十分に頑強であるように設計される。より正確には、バヨネット継手ロッキングシステムは、蓋3を容器2に対して、この例では中央縦方向軸X−X’周りで枢動させることによって容器2に対して蓋3をロックし、ロッキング解除するように設計され、それによって器具1を、蓋3が容器2上に装着され、容器2上に自由に載置するロッキング準備構成(図1および3)から、容器2および蓋3が相互作用してこれらが自由に分離されることを防止するロッキング構成(図16および17)にこうして変わらせ、またはその逆に変わらせる。したがって、図に示す実施形態では、器具1は、蓋3が、容器2に対して、時計周り方向SIに、中央軸X−X’周りで所定の角度ストロークにわたって回転されることによって、そのロッキング準備構成からそのロッキング構成に変わり、また、蓋3が、容器2に対して、反時計周り方向の反対方向S2に、中央軸X−X’周りで所定の角度ストロークにわたって回転されることによって、そのロッキング構成からそのロッキング準備構成に変わり(図3および17)、本発明の範囲を超えることなく、その逆も十分可能であることが理解される(S1は、このとき、反時計周り方向であり、S2は時計周り方向である)。この目的のために、調理器具1のバヨネット継手ロッキングシステムは、有利には、それぞれ蓋3および容器2と一体的である第1および第2の組の突出部7A〜7J、8A〜8Jを含み、これらの突出部は、蓋3を容器2に対してロックしロック解除するために、蓋3が容器2に対して中央縦方向軸X−X’周りで所定の角度ストロークにわたって回転されることによって、相互に係合し、係合解除するように設計される。それ自体良く知られているように、第1および第2の組の各々の突出部7A〜7J、8A〜8Jは、対として共働するように設計され、すなわち、これらの組の一方の突出部の各々は、蓋3が容器2に対して回転されることによって、他方の組の対応する突出部下にもっていかれて蓋3を容器2に対してロックする。図に示す実施形態では、蓋3と一体的である第1の組の突出部7A〜7Jは、蓋3から内方向に径方向に突出し、一方で容器2と一体的である第2の組の突出部8A〜8Jは、容器2の側壁2Bの外面から径方向に、容器2から外方向に突出する。しかし、蓋上のロッキング突出部7A〜7Jが蓋3から外方向に突出し、容器突出部8A〜8Jが、容器から内方向に径方向に突出することが十分可能である。したがって、本発明は、バイヨネット継手ロッキングシステムのロッキングランプの特定の構成に限定されず、必須の要求事項は、蓋突出部7A〜7Jおよび容器突出部8A〜8Jそれぞれが、蓋ランプおよび容器ランプを形成し、これらのランプは、容器2および蓋3が互いに対して、この例では中央縦方向軸X−X’周りで回転されることによって相互に共働し、それにより、蓋ランプが、容器ランプ下に位置決めされるようになり、それによって調理筺体の内側に行き渡る内部圧力に耐えることができる機械的結合を容器2と蓋3の間に形成することである。図に示す例では、蓋突出部7A〜7Jの各々は、蓋3のケーシングが作製される、より正確には、環状バンド3Bが作製される材料の局所的3D変形によって得られた三次元(3D)要素によって構成され、このバンドに沿って突出部7A〜7Jは、好ましくは、任意選択により等間隔で配設される。各々の突出部は、したがって、環状バンド3Bと一体的に形成された隆起部分を形成し、この隆起部分は、一方の側では凸状の内面を、他方の側では、「負」として、たとえば形成ツール、好ましくはダイスタンピングツールを施すことによる圧痕に対応する、反対の凹状外面を画定しながら、環状バンドから突出する。しかし、本発明は、特有の突出部7A〜7J、特に図1に示す例のようにダイスタンピングによって得られた突出部の実装に絶対的に限定されるものではない。たとえば、蓋突出部7A〜7Jは、蓋3の環状バンド3Bの自由縁31Bの局所化された、内方向の折り重なりによって得られた平坦な舌部によって形成されることが十分可能である。しかし、3D要素の使用は、材料を変形するだけで(ダイスタンピングまたは何らかの他の技法によって)、優れた機械的特性および小さい寸法を有する突出部を得ることを容易にするため、これが好まれる。そのような小さい寸法を用いることにより、蓋3および容器2が、互いに対して比較的小さい角度で、たとえば30°未満の角度で回転されることによって、器具1をロッキング準備構成(ロッキング前構成)からロッキング構成に変わらせることが可能であり、本発明は、任意の特定の角度に限定されず、これは、30°を上回っても、またはこれに等しくても、またはその反対に30°をかなり下回って、たとえば10°から25°の範囲にあってもよいことが理解される。図に示す例では、容器突出部8A〜8Jは、自由上部縁2Cを超えてそこから外方向に突出する環状リムによって形成され、切欠部9A〜9Jが、蓋突出部7A〜7Jが通り抜けることを可能にするようにして環状リムを貫通して設けられ、それにより、各々の切欠部9A〜9Jの間を延びる環状リムの部分は、蓋ランプを形成する蓋突出部7A〜7Jと共働するように設計されたそれぞれの容器ランプを形成する。したがって、蓋3が容器2の上部上に嵌合するようになったとき、蓋突出部7A−7Jは、環状リムより低く位置するように切欠部9A〜9Jを通り抜けることができる。器具1は、そのとき、そのロッキング前構成(「ロッキング準備」構成とも称される)にあり、ここから、蓋3を容器2に対して縦方向軸X−X’周りで回転させるだけでロッキング構成に到達することができ、それによって蓋3の突出部7A〜7Jおよび環状リムの切欠部9A〜9Jを角度的にシフトさせて「バヨネット継手」タイプのロッキングを達成させる。好ましくは、図に示す実施形態では、蓋突出部7A〜7Bは、蓋3の環状バンド3B上に環状バンド3Bの第2の自由円形縁31Bからいくらかの距離を離して位置付けされ、それにより、3D要素の下方に、環状バンド3Bは、蓋3を容器2に対して自己調心させるための自己調心スカートを形成するようになる。(切欠部9A〜9Jを除き)ほとんど連続的であり、容器ランプを形成する、側部リムとの共働において、この環状スカートは、蓋3を自然にかつ自発的に、これがその上に置かれたときに容器2に対して調心されるようにして位置決めすることを可能にする。
【0026】
本発明によれば、器具1は、支持体10を備え、支持体10は、蓋3が、支持体10に対して、たとえばそれぞれロッキング解除構成およびロッキング構成に対応する2つの位置間を枢動できるようにして、この例では恒久的に蓋3に取り付けられる。蓋3が支持体10に対してその間で枢動することができる対象の2つの位置は、有利には、器具を、図1に示すそのロッキング前構成(ロッキング準備構成)から、たとえば図16に示すそのロッキング構成に変わらせるのに必要とされるストロークに対応する所定の角度ストロークによって分離される。
【0027】
支持体10および容器2は、蓋3が中央縦方向軸X−X’周りで支持体10に対して枢動することによって、バイヨネット継手ロッキングシステムが蓋3を容器2に対してロックすることを可能にする、(たとえば図1および3に示す)少なくとも1つの所定の相対配置で合体されるように設計される。換言すれば、支持体10が容器2上に所定の相対配置で装着されたとき、蓋3は、次いで、これが、蓋ランプおよび容器ランプをロッキング対応させるために(支持体10および容器2が互いに対して固定状態のままで)そこから枢動することができる位置にある。有利には、所定の相対配置は、蓋3およびこれに取り付けられた支持体10が、容器2の上部上に嵌合し、それにより、(これらが切欠部9A〜9Jを通り過ぎた後)蓋ランプが容器ランプの下方に位置し、容器ランプに対して角度的にずらされる構成に対応する。このとき、角度ずれを取り除き、容器ランプおよび蓋ランプを相互ロッキング重ね合わせにもっていくには、蓋3を支持体10および容器2の両方に対して枢動させるだけで十分である。有利には、蓋3および支持体10は、蓋副組立体、すなわち単一ユニットを形成し、この蓋副組立体は、有利にはまた、蓋3によって担持されたシーリングガスケットも備え、このシーリングガスケットは、蓋3と容器2の間に間置されるように設計され、それによって蓋3および容器2を合体させることによって形成された調理組立体を実質的にシールする。蓋副組立体は独立しており、すなわち、これは、容器2に恒久的に取り付けられずまたは連結されない(これは、特に、蓋副組立体および容器2が、ヒンジまたは何らかの他の機械的結合によって互いに連結されないことを意味する)。蓋副組立体は、したがって、ユーザによって、容器2から独立して自由通路にわたって自由に操作および移動され得る。図に示すように、独立した蓋副組立体は、支持体10および容器2が所定の相対配置で合体されたとき、容器2に対して(この例では、容器2上に)自由に載置する。これは、所定の相対配置において、蓋副組立体が、(特にヒンジまたは任意の他の連接された結合手段によって)容器2に取り付けられないことを意味する。
【0028】
本発明によれば、支持体10は、少なくとも第1の位置決め要素12、13を形成し、この位置決め要素12、13は、これが取り付けられる蓋3を超えて径方向に突出し、すなわち、径方向に対象のY−Y’に蓋3の周囲を超えて明らかに延びる。換言すれば、各々の第1の位置決め要素12、13は、蓋3から横方向に突出し、蓋3の周囲において径方向の突出部を形成する。有利には、支持体10は、上部分100、101、102を有し、この上部分100、101、102は、蓋3の上方に、たとえばディスク形状の蓋要素3Aの外面上にこれに接して装着され、蓋3を超えて径方向に突出して縦方向に下降した縁10A、10Bによって延ばされ、この縦方向に下降した縁10A、10Bは、第1の位置決め要素を担持し、この例では環状バンド3Bに局所的に面して延びる。たとえば、図に示す実施形態では、支持体10は、横材の形態、すなわち蓋3上で直径方向に延びる実質的に細長い部分の形態であり、この部分は、この例では、その端部の各々において、それぞれの下降した縁10A、10Bによって延ばされ、下降した縁10A、10Bの各々は、中央縦方向軸X−X’の周りで互いに正反対に配設された2つの第1の位置決め要素のそれぞれ1つを形成する。好ましくは、対象の横材は、たとえば、より大きい中央ゾーン100を有し、このゾーンは、円形の全体形状であり、下降した縁10A、10Bのそれぞれ1つによってそれら自体終端される第1および第2のアーム101、102によって両側で延ばされる。中央部分100には、有利には、蓋の中心において、蓋3に締め付けられたピン30がそこを通って挿入されるように設計された中央オリフィス100Aが設けられ、そのピンの周りで、支持体10は、中央縦方向軸X−X’周りを回転するように設計される。たとえば、ピン30は、蓋の中心から縦方向に延びるように、したがってオリフィス100A内に挿入されることが可能になるようにして蓋3に溶接される。好ましくは、ピン30にはねじ穴付きくぼみが設けられ、このねじ穴付きくぼみは、蓋3をピン30周りで枢動させることを可能にしながらも支持体10を蓋3に締め付けるためにねじ16と共働するように設計される。有利には、図6に示す横材の形態の部分に加えて、支持体10はまた、横材の中央部分100の形状にほぼ相補的な円形の全体的な形状のものであるプレート17を含み、このプレート17は、横材と蓋3の上面の間に間置されるように設計されて、蓋3を支持体10に対して枢動させるための制御機構を少なくとも部分的に受け入れるように設計されたハウジングを形成する。たとえば、図に示す実施形態では、プレート17は、プラスチック材料から作製された皿型の形態であり、中央オリフィス17Aが設けられ、この中央オリフィス17Aは、ピン30が中に挿入されるように設計された縦方向の円筒状チューブを介して延ばされる。図6に確認することができる横材は、それ自体プレート17に恒久的に(たとえば複数のねじを用いて)締め付けられるように設計され、それによってプレートと共働して単一ユニットの、一体型の横材副組立体を形成し、この横材副組立体は、ピン30とねじ16の間の結合を用いて蓋3上に保持され、この結合は、蓋3が、この例では支持体10を形成する上記で述べた横材副組立体に対して枢動することを可能にする。上記で説明したように、蓋3は、支持体10に対して、2つの位置の間で、すなわち(ロッキングに対応する)第1の位置と、(ロッキング解除に対応する)第2の位置との間を枢動するように設計され、この2つの位置は、所定の角度ストロークによって分離される。好ましくは、第1の位置および/または第2の位置は、安定した位置である。しかし、第1および第2の位置の一方または他方が不安定であり、それにより、蓋3が、第1および第2の位置の一方からおよび/または他方から離れるときはいつでも、(たとえばばねによって)他方の位置に自動的に付勢されて戻ることが十分可能である。有利には、第1の位置および/または第2の位置は、当接位置である。たとえば、図に示す実施形態では、器具1には、少なくとも1つのガイドスタッド18が設けられ、好ましくは2つのガイドスタッド18、19が設けられ、これら2つのガイドスタッド18、19は、中央軸X−X’周りで互いに正反対に配設され、(たとえば、図に示すように、蓋3の外側表面から、この例では蓋の周囲において縦方向に上方向に延びるようにして蓋に溶接されることによって)恒久的に蓋3に取り付けられる。ガイドスタッド18、19の各々は、支持体10内に設けられた相補的な細長いガイド溝18A、19A内で、たとえば支持体10の各々の端部に向かって摺動するように設計される。各々の溝18A、19Aの長さは、この例では、支持体10に対する蓋3の角度ストロークに適合される。各々のスタッド18、19にはまた、より大きい横断面のヘッドが設けられ、このヘッドは、対応する溝18A、19Aの縁と共働して支持体10を縦方向に保持し、これが蓋3から縦方向に離れることを防止する。
【0029】
第1の位置決め要素12、13は、支持体10および容器2が所定の相対配置で合体されたとき、第1の位置決め要素12、13が、容器2上に設けられたハンドル2D、2Eと一体的である、またはこれに固定された相補的な第2の位置決め要素14、15と機械的に相互作用して、ハンドル2D、2Eが支持体10を超えて外方向に径方向に突出することを可能にしながらも、中央縦方向軸X−X’に対して垂直である水平面AB内の支持体10および容器2の相対的な角度位置決めをロックするように設計される。換言すれば、支持体10および容器2が所定の相対配置で合体されるときはいつでも、支持体10および容器ハンドル2D、2Eは、直接的にまたは間接的に相互作用するように設計され、それによって、実質的に、支持体10が容器2に対して、この例では中央縦方向軸X−X’周りで枢動できないようにする。これは、支持体10および容器2を所定の相対配置で合体させることにより、第1位置決め要素12、13および相補的な第2の位置決め要素14、15が共働することによって支持体10および容器2の相互ロッキングが引き起こされ、それによって、この例では、蓋3が容器2上に載置しているとき、支持体10が中央縦方向軸X−X’周りで回転することを防止することを意味する。第1と第2の位置決め要素12、13、14、15間の機械的相互作用によって得られた支持体10および容器2の相対角度位置のこのロッキングは、支持体10が、容器2に対して固定状態である固定状態の構造体として作用することを可能にし、この構造体に対して、蓋3は、中央縦方向軸X−X’周りで所定の角度ストロークにわたって枢動して、(図1に示す)ロッキング解除された状態から(図16に示す)ロックされた状態に変わることができる。
【0030】
上記で説明したように、器具1は、第1の位置決め要素12、13が、相補的な第2の位置決め要素14、15と機械的に相互作用するとき、支持体10が、ハンドル2D、2Eを完全に覆わず、したがって、その一部分は、支持体10がその上部上に嵌合することなく器具1から径方向に突出するように設計される。これは、中央縦方向軸X−X’に対して垂直な水平平面上の投影図において、ハンドル2D、2Eが、支持体10を超えて径方向に突出しながら、支持体10を径方向Y−Y’に延ばすことを意味する。容器に設けられた各々のハンドル2D、2Eは、したがって、有利には、支持体を径方向Y−Y’に、外方向に延ばし、それにより、支持体10は各々のハンドル2D、2Eの上部上に部分的にのみ嵌合し、それによって各々の容器ハンドル2D、2Eの端部分が自由になることを可能にする。この技術的特性により、本発明の器具1は、使用がより容易にされ、その理由は、ユーザが、相補的な第1および第2の要素12、13、14、15の共働のゾーンをより容易に特定することができ、それによってユーザが、ロッキングを行うことを可能にする所定の相対配置をより容易に達成することができるためである。そのような設計はまた、審美的外観に関する利点、ならびに容器2に設けられたハンドル2D、2Eの少なくとも一部分を見えたままにし、したがって、掴まれることに利用できる部分が厚くなりすぎて実用性に欠けるようにならずに掴めるようにすることによって機能的利点も提供する。ユーザは、したがって、後に続く恐れがあるリスクを伴って器具1の他の部分を使用してこれを持ち上げようとはしない。加えて支持体10を超えて外方向に径方向に延びることにより、ハンドル2D、2Eは、支持体およびその第1の位置決め要素12、13を、たとえば衝撃から、または調理リングからの炎に起因し得る損傷から保護することを可能にする。加えて、ユーザが、支持体10を超えて外方向に径方向に突出するハンドル2D、2Eの部分によって器具1を掴み、持ち上げる場合、その効果は、ハンドルが屈曲して作用することにより、支持体10およびハンドル2D、2Eを互いに近くにもっていくことに寄与し、それによって、支持体10と各々のハンドル2D、2Eの間の機械的相互作用を統合させることに寄与することである。
【0031】
有利には、第1の位置決め要素12、13と第2の位置決め要素14、15との機械的相互作用は、角度ロッキングを機械的に固定するために雄型部分のすべてまたは一部の部分が雌型部分に挿入されることに基づく、雄型/雌型共働である。雄型/雌型共働は、たとえば、第1および第2の位置決め要素12、13、14、15の相互の相互嵌合係合に基づく。好ましくは、図に示す実施形態では、第1および第2の位置決め要素12、13、14、15それぞれは、相補的な雄型および雌型形状を有する。しかし、本発明の範囲を超えることなく、第1の位置決め要素12、13が雄型形状を有し、第2の位置決め要素14、15が雌型形状を有することが十分可能である。
【0032】
図に示す実施形態では、容器2には、2つの容器雄型形状14、15が設けられ、この容器雄型形状14、15は、中央縦方向軸X−X’の周りで互いに正反対に配設され、容器2の側壁2Bの外面に締め付けられ、一方で支持体10には、2つの相補的な雌型形状12、13が設けられ、この相補的な雌型形状12、13は、中央縦方向軸X−X’の周りで蓋3上に互いに正反対に配設され、支持体雌型形状12、13は、この例では、蓋3の環状バンド3Bの外面に面して配設される。しかし、本発明の範囲を超えることなく、支持体10および容器2に、単一の支持体形状部分および単一の容器形状部分がそれぞれ設けられること、または、実際には、相互嵌合係合によって共働するように設計された雄型/雌型形状部分を有するのではなく、支持体10および容器2に、支持体10および容器2の相対的な角度位置をロックするのに十分な(摩擦、クリッピング、噛み合い、磁気引力などによる)力共働を実装することに基づく、何らか他のタイプの相互ロッキング要素が設けられることも十分可能である。
【0033】
有利には、また、図に示すように、雌型形状部分は、縦方向の下降した縁10A、10B内に設けられた切欠部によって形成され、一方で雄型形状部分は、有利にはハンドル2D、2Eによって担持されたリブによって形成され、このリブは、好ましくはハンドルの一体的部分である。したがって、図に示す実施形態では、各々の容器ハンドル2D、2Eは、容器2の側壁2Bに恒久的に締め付けられ、それぞれの雄型形状部分を組み込み、この雄型形状部分は、たとえば、有利には対応するハンドル2D、2Eと一体的に形成されたリブの形態である。上記で説明したように、支持体10は、有利には、(枢動結合によって蓋に連結されたままで)蓋3上を延びる横材の形態であり、この横材は、その端部においてそれぞれの縦方向の下降した縁10A、10Bによって延ばされ、下降した縁10A、10Bは、蓋3を超えて径方向に突出し、環状バンド3Bに対してほぼ平行に、バンドの外側を延びる。切欠部は、有利には、支持体10の下降した縁10A、10Bの各々の自由底部縁内に設けられて、好ましくは雄型形状部分を形成するリブに相補的である雌型形状部分を形成する。
【0034】
有利には、ハンドル2D、2Eは、支持体10および容器2が上記で述べた所定の相対配置で合体されたとき、第1の位置決め要素12、13を受け入れるように設計されたくぼみ20D、20Eを提供するように成形される。好ましくは、第2の位置決め要素14、15の雄型形状部分を形成する上記で述べたリブは、図に示すように、くぼみ20D、20E内に設けられる。有利には、ハンドル2D、2Eは、把持可能な部分200D、200Eを含み、この把持可能な部分200D、200Eは、容器2をそれによって操作することを可能にするために手動で掴まれることが可能であるように成形される。換言すれば、把持可能な部分200D、200Eは、容器2を持ち上げるまたは輸送する目的でユーザの手によって把持されるのに適切である形状を有する。好ましくは、ハンドル2D、2Eはまた、容器2および把持可能な部分200D、200Eを相互連結する締め付け部分201D、201Eも含む。図に示す実施形態では、締め付け部分201D、201Eは、容器2の側壁2Bから外方向に径方向に延び、対応する把持可能な部分200D、200Eを支持する。好ましくは、くぼみ20D、20Eは、把持可能な部分200D、200Eによって境界付けられる。たとえば、図に示す実施形態では、各々の把持可能な部分200D、200Eは、容器2の側壁2Bに対して平行にほぼ縦方向に延びる内側面を有し、リブは、有利には把持可能な部分200D、200Eの内側面から内方向に径方向に突出する第2の位置決め要素14、15を形成する。したがって、図に示す実施形態では、把持可能な部分200D、200Eおよび第2の位置決め要素14、15は、容器2から、径方向Y−Y’に、それぞれ第1の間隔E1および第1の間隔E1より小さい第2の間隔E2によって分離されており、それにより、ハンドル2D、2Eは、第1と第2の位置決め要素12、13、14、15間の機械的相互作用のゾーンを超えて外方向に径方向に突出する。
【0035】
有利には、支持体10および容器2は、これらが所定の相対配置で合体されたとき、(少なくとも蓋3および支持体10を含む)蓋副組立体が、支持体10とハンドル2D、2Eの間に縦方向の間隔E3を維持するようにして、容器2に載置し直接的に当接し、それにより、支持体10は、ハンドル2D、2Eを縦方向に圧迫しないように設計される。換言すれば、支持体10および容器2が所定の相対配置で合体されたとき、蓋副組立体の重量は、容器2の自由上部縁2Cに直接的にかけられ、ハンドル2D、2E上には及ぼされない。これは、支持体10および容器2が所定の相対配置で合体されたとき、縦方向の下降した縁10A、10Bが、ハンドル2D、2Eに圧接せず、むしろ間隔E3(図15を参照)だけそこから分離されたままであり、蓋副組立体は、蓋3によって担持され自由上部縁2Cと蓋3の内面の周囲との間に間置されるように設計された環状シーリングガスケット(図示せず)によって、容器2の自由上部縁2C上に直接的に載置することを意味する。
【0036】
器具1はまた、有利には、ロッキング/ロッキング解除を制御するための制御部材11も含み、この制御部材は、この例では、ユーザがバヨネット継手ロッキングシステムを制御することを可能にするようにして、ユーザによって操作されることが可能であるように設計され、したがって蓋3を支持体10および容器2に対して回転させることにより、器具1を、(図1に示す「ロッキング準備」構成とも称される)そのロッキング前構成から、(図16に示す)そのロッキング構成に変わらせ、その逆にも変わらせる。制御部材11は、ロッキング位置(図16)とロッキング解除位置(図1)の間で支持体に対して手動で移動されることを可能にするようにして、この例では恒久的に支持体10に取り付けられる。換言すれば、制御部材11は、有利には、支持体に対して移動する可能性を保持しながらも、支持体10に対して恒久的に締め付けられ、それにより、ユーザは、制御部材11を支持体10に対してロッキング解除位置からロッキング位置に、およびその逆に手動で移動させることができる。
【0037】
器具1は、有利には、制御部材11の移動を支持体10に対する蓋3の枢動に変換するための変換デバイスを含む。特に図5、9から13、18、20および21に見ることができる変換デバイスは、したがって、支持体10に対する制御部材11の移動を、この例では中央縦方向軸X−X’周りの支持体10に対する蓋3の回転移動に転換するように設計され、それにより、ユーザは、したがって蓋3が容器2上に所定の相対配置(蓋ランプが容器ランプの下方に配設される)で装着された後、制御部材11を操作するだけで支持体10に対して蓋3を枢動させることにより、ロッキング/ロッキング解除をこうして引き起こすことができる。当然ながら、上記で述べた変換デバイスは、支持体10に対する制御部材11の移動のタイプに応じて設計され、任意の必要とされる駆動構成要素(歯付きホイール、カム、レバー、連結棒など)を実装することができる。
【0038】
しかし、支持体10内に組み込まれ、支持体に対して移動するように装着された制御部材11を実装することは、完全に任意選択のものである。たとえば、本発明の範囲を超えることなく、蓋3に直接的に締め付けられ、支持体10とは別個であるハンドルだけで制御部材11が形成されることが十分可能であり、この場合、変換デバイスを実装することは必要ではない。
【0039】
しかし、支持体10に組み込まれ、支持体に対して移動するように装着された制御部材11の使用は、これが、器具1を使用することをより容易にするため、好まれる。その場合、本発明は、制御部材11および支持体10を相互連結する特有の機械的結合を実装することに絶対的に限定されるものではない。したがって、制御部材11は、任意の適切な手段によって支持体10に対して枢動および/または並進移動するように装着され得る。たとえば、制御部材11は、中央縦方向軸X−X’の方向と交差する方向に延びる回転軸周り、さらにより好ましくは中央縦方向軸X−X’と交差する回転軸周りで、回転移動のみ行うように装着されてよく、あるいは代替え的に、制御部材11は、支持体10に対して並進移動するように、たとえば(好ましくは中央縦方向軸X−X’と一致する摺動軸に沿って)支持体10に対して縦方向に摺動するように装着されてよく、または実際には、並進移動および回転移動を組み合わせる機械的結合(たとえば軸X−X’のらせん結合)によって支持体10に連結されてよい。制御部材11は、したがって、ハンドルまたはノブ、レバー、制御スティック、ループ状ハンドル、または他のタイプの回転要素の形態、および/またはプッシュボタン、スライダなどの摺動可能に装着された要素の形態でよい。図に示す好ましい実施形態では、制御部材11は、中央縦方向軸X−X’に対して垂直であり、中央縦方向軸と交差する枢動の径方向軸Y−Y’の周りで支持体10に対して枢動するように装着される。径方向軸の周りを枢動するためのそのような枢動結合は、制御部材11を、回転移動のみによって形成された移動で、支持体10に対する蓋3の枢動軸X−X’に対して垂直である軸Y−Y’の周りで支持体10に対して移動させ、それによって容器2のタイミングを逸したいかなる回転も回避する。そのような回転移動はまた、特に人間工学的かつ直感的なものである。図に示す好ましい実施形態では、容器2に装備される各ハンドル2D、2Eは、容器2から外方向に、制御部材11および支持体10を相互連結する枢動結合の径方向軸Y−Y’に対してほぼ平行である径方向に延びる。容器ハンドル2D、2Eが、支持体10に対して、制御部材11の回転軸Y−Y’と位置合わせされるそのような構成は、特に実用的かつ人間工学的である。しかし、本発明の範囲を超えることなく、制御部材11と支持体10の間の機械的結合が、中央縦方向軸X−X’、および容器ハンドル2D、2Eが延びる径方向の両方に対して垂直である径方向軸の枢動結合であることが十分可能である。
【0040】
有利には、変換デバイスは、ギア式機構を含み、このギア式機構は、制御部材11が、径方向軸Y−Y’周りで第1の所定の角度振幅αより大きい第2の所定の角度振幅βを有するストロークにわたって回転式に移動されることに応答して、蓋3を、回転式に中央縦方向軸X−X’周りで第1の所定の角度振幅αを有するストロークにわたって駆動するように設計される。たとえば、制御部材11は、約90°の所定の角度振幅βを有するストロークによって分離された、(ロッキング解除に対応する)上昇された位置と、(ロッキングに対応する)折り畳まれた位置との間を径方向軸Y−Y’周りで枢動するように設計され、その間、制御部材11が約90°の角度で支持体10に対して移動することに応答して、蓋3は、約15°の所定の振幅角度αを有するストロークにわたって支持体10に対して枢動する。そのようなギア式機構は、したがって、ロッキングおよびロッキング解除のそれぞれ対応する制御部材11の位置間を明確に差別化し、調理器具1をそのロッキング準備構成からそのロックされた構成に変わらせるためにユーザによって及ぼされる力を低減することを可能にする。当然ながら、そのようなギア効果を得るための多数の技術的可能性が存在し、本発明は、いかなる特定のギア式機構にも限定されず、または実際にはそのようなギア式機構を有することに限定されない。図に示す実施形態では、変換デバイスは、支持体10に対して、中央縦方向軸X−X’に対して垂直な水平平面内で並進移動するように装着された変換部20を含む。変換部20は、したがって、たとえば、プレート17と、プレート17上に嵌合する中央部分100との間に設けられたハウジングの内側で、支持体10に対して摺動するように装着される。この実施形態では、変換デバイスは、支持体10に対する制御部材11の枢動移動を、支持体10に対する変換部20の並進移動に変換するための機構を備える。たとえば、対象の変換機構は、制御部材11と一体的である、またはこれに固定されたカム110、111によって形成され、カム110、111には、変換部20内に設けられた対応するくぼみ内に受け入れられるスタッドが設けられ、それによって、制御部材11の枢動が、カム110、111の付随する枢動を引き起こし、カム110、111は、次いで変換部20を、中央縦方向軸X−X’に対して垂直な水平平面内で押し戻すようになる。有利には、また図に示す実施形態では、変換デバイスは、さらに、少なくとも1つの水平レバー21を備え、この水平レバー21は、支持体10に対して固定状態であり、中央縦方向軸X−X’に対して平行であり、中央縦方向軸から所定の距離を離して位置している、中心を外した縦方向軸Z−Z’周りで支持体10に対して枢動するように装着される。好ましくは、図に示すように、水平レバー21は、蓋3にヒンジ連結された第1の端部21Aと、制御部材11、または、変換デバイスの一部であり、たとえば上記で説明した実施形態のように、制御部材11によって支持体10に対して移動させられる、変換部(たとえば、上記で述べた変換部20など)のいずれかにヒンジ連結された第2の端部21Bとの間を長手方向に延びる。好ましくは、水平レバー21には、支持体10と一体的であり、またはこれに固定され、たとえばプレート17と一体的に形成されたピン22を受け入れるように設計された(たとえば、貫通オリフィスによって形成された)くぼみが設けられ、それによって水平レバー21と支持体10の間に軸Z−Z’の枢動結合を形成するようになる。好ましくは、水平レバー21は、第1の端部21Aと第2の端部21Bの間に位置する枢動点において支持体10に対して枢動するように装着され、それにより、中心を外した縦方向軸Z−Z’は、第1の端部21Aおよび第2の端部21Bの両方からいくらか距離を離して位置する水平レバー21のゾーンを介して通る。蓋3に対する第1の端部21Aのヒンジ連結は、たとえば、蓋3と一体的である、またはこれに固定された第1のペグ210Aを用いて達成され、第1のペグ210Aは、たとえば、蓋から上方向に縦方向に延びるようにして蓋3の外面に溶接される。ペグ210Aは、有利には、水平レバー21の第1の端部21Aに設けられた第1の対応する溝211Aに、第1のペグ210Aが、対象の第1の溝211A内を摺動および回転の両方を行うことができるようにして受け入れられる。変換デバイスはまた、有利には、この例では、変換部20と一体的であり、またはこれに固定され、その中に組み込まれる第2のペグ210Bも含む。第2のペグ210Bは、有利には、水平レバー21の第2の端部21Bに設けられた相補的な第2の溝211B内に、第2のペグ210Bが、対象の第2の溝211B内で摺動および枢動の両方を行うことができるようにして受け入れられる。有利には、水平レバー21は、ほぼ直線状のアームを備えた全体的に鎌形状であり、この直線状のアームは、第1の端部21Aから、中心を外した縦方向軸Z−Z’が通り抜ける回転の点まで延び、それによってその後、弓状部分によって第2の端部21Bまで延ばされる。水平平面内の変換部20の直線状の並進移動は、中心を外した縦方向軸Z−Z’周りのレバー21の回転運動に転換され、この回転運動は、それ自体、支持体10に対する中央縦方向軸X−X’周りの蓋3の回転運動に転換される。しかし、本発明は、そのような移動変換機構に絶対的に限定されるものではなく、たとえば、図示するようなレバーシステムの代わりに、本発明の範囲を超えることなく、連結棒、カム、または噛み合い相互係合を有するシステム、または任意の他の知られているシステムを実装することも十分可能である。
【0041】
有利には、また図に示すように、制御部材11は、ロッキングおよびロッキング解除にそれぞれ対応する、2つの好ましくは安定した当接位置間で、ユーザによって手で移動可能になるように手動で作動されるように設計されたループ状ハンドル11Aを備える。この好ましい実施形態では、制御部材11は、したがって、弓状部分の形態、ループの形態、またはアーチの形態であり、有利には、ユーザによって、好ましくはすべての手を使用してこれを掴むことで固く掴まれるのに適するように設計される。しかし、本発明は、制御部材11を形成するためにループ状ハンドル11Aを実装することに限定されず、制御部材は、たとえば、ほぼ直線状である、またはT形状またはL形状プロファイル、円形型ノブ形状、広がったノブ形状など有するレバーによって構成されてよく、その形状は、ユーザがこれによって蓋副組立体を持ち上げることを可能にするものである。制御部材11は、有利には、これが、ロッキング方向および反対のロッキング解除方向の両方に支持体10に対して手動で(回転および/または並進)で移動され得るように設計される。したがって、この好ましい実施形態では、調理器具1は、単一の制御部材11を有し、この単一の制御部材11は、ユーザが、蓋3を、時計周り方向S1および反時計周り方向S2の両方に支持体10に対して枢動させることを可能にする。この場合、上記で述べた移動変換デバイスは、ロッキング方向およびロッキング解除方向それぞれの制御部材11の手動移動を、それぞれ相反する回転方向の、中央縦方向軸X−X’周りの支持体10に対する蓋3の枢動に変換するように設計される。有利には、図に示すように、制御部材11は、第1に、蓋3がロック解除されることに対応し、制御部材11が、縦方向に、この例では蓋3と合致して外方向に突出する、展開された位置(図1)と、第2に、ロッキング位置を形成し、制御部材11が蓋3に向かって下げられる、引っ込められた位置との間を支持体10に対して枢動するように装着される。制御部材11は、その展開された位置では、有利には、中央縦方向軸X−X’に対してほぼ平行である平均方向に延び、一方で、その引っ込められた位置では、これは、有利には、図に示すように、中央縦方向軸X−X’に対してほぼ垂直である平均方向に延びる。この好ましい実施形態では、制御部材11は、こうして引っ込めることができ、これがその引っ込められた位置にあるとき、これを仕舞い込むことを可能にする。
【0042】
好ましくは、調理器具1は、蓋3を掴むことを可能にするための把持可能な部材を含み、この部材は、蓋3に取り付けられ、たとえば蓋3を持ち上げてこれを容器2上に所定の相対配置で装着する目的で、蓋3をこれによって操作し輸送することを可能にするために手動で掴まれるように設計される。この場合、有利には、把持可能な部材は、展開された位置にある制御部材11によって形成される。制御部材11がループ状ハンドル11Aによって形成されるとき、蓋3は、有利には、その表面内に起伏部23を有し、起伏部の形状は、好ましくは、ループ状ハンドル11Aによって境界付けられ、ユーザの指を受け入れるように設計された空間の形状にほぼ相補的である。換言すれば、起伏部23は、ハンドルが蓋3に押し付けて折り畳まれたとき、ループ状ハンドル11Aによって境界付けられた内部の空間を少なくとも部分的に充填するように設計される。したがって、ループ状ハンドル11Aが、蓋3に押し付けて、これに対して平行に完全に折り畳まれた(制御部材11が引っ込められた位置にある)とき、これは、有利には、起伏部23と連続的に延び、それによって調理器具1を操作する(すなわち持ち上げる、輸送するなど)ためにユーザがループ状ハンドル11Aを掴むという可能性を抑制する。
【0043】
好ましくは、調理筺体内に行き渡る圧力のレベルの効果の下で、上記で述べた開放安全手段5は、これらが蓋3を容器2に対してロック解除することを可能にする、解放構成と、これらが、蓋3を容器2に対してロック解除することを防止するブロッキング位置との間を行き来するのに適している。この目的のために、安全手段5は、移動要素5Aを含み、この移動要素5Aは、蓋3上で摺動するように、この例では、蓋3を支持体10に対して枢動させることを防止するために、これが、支持体10によって担持された相補的なブロッキング要素5Bと共働することができる、(当接位置である)高位置と、これが、相補的な要素5Bを妨害せず、それによって蓋3を支持体10に対して枢動させることを可能にする、(これもまた当接位置である)低位置との間を、中央縦方向軸X−X’に対して平行である摺動方向に縦方向に摺動するように装着される。特に図12において確認することができるように、移動要素5Aは、有利には、蓋3を貫通して設けられた漏出オリフィスに突き合わせ接合されたチューブの内側で縦方向に摺動するように設計された指部によって形成され、それにより、その高位置では、指部は、漏出オリフィスを密閉式に閉じ、一方で、指部がその低位置にあるとき、水蒸気は、対象のオリフィスを介して漏出させられる。相補的な要素5Bは、好ましくは、停止表面50Bおよび貫通オリフィス51Bを有する部分によって形成される。蓋が、これが支持体10に対してロック解除される位置にある限り、ブロッキング表面50Bは、移動要素がそれに沿って摺動する通路内で移動要素5Aと合致し、それによって、これがその高位置に到達することを防止し、したがって、調理筺体の内側と、外側の間の連通を維持して、筺体内のいかなる大きな圧力の増大も防止する。その反対に、蓋3が、支持体10に対して上記で述べた所定の角度ストロークにわたって枢動することによってそのロッキング位置に到達したとき、移動要素5Aは、次いで、開口部51Bと合致し、それによって移動要素5Aを、調理筺体の内側の圧力増大によって及ぼされた駆動力の効果の下でそのシーリング高位置に到達させることを可能にする。高位置になった後、移動要素5Aは、オリフィス51Bの縁によって取り囲まれ、それによって支持体10に対する蓋3のロッキング解除方向のいかなる枢動も防止する。
【0044】
図に示す調理器具1の作動が、以下に簡潔に説明される。ユーザは、最初、図2に示す容器2を調理用食品で充填し、任意選択により、空隙をその中に有する調理バスケット内に容器2の底部からいくらかの距離を離して食品を置く。ユーザは、次いで、ループ状ハンドル11Aによって図4に示す蓋副組立体を掴み、それによって蓋副組立体を、容器2上に所定の相対配置でこれを装着する目的で持ち上げる。この目的のために、ユーザは、下降した縁10A、10Bを、容器ハンドル2D、2Eによって提供された対応するくぼみ20D、20E内に位置決めし、下降した縁10A、10Bの形状は、有利には、容器ハンドル20D、20Eによって提供されたくぼみ20D、20Eの形状にほぼ相補的である。蓋3は、したがって、容器2の上部縁2Cの上部上に嵌合し、それによって第2の位置決め要素14、15を形成するリブを、位置決め要素12、13を形成する対応する切欠部内に相互嵌合式に係合させ、それによって中央縦方向軸X−X’に対して垂直な水平平面内の支持体10および容器2の相対的な角度位置決めをロックする。支持体10および容器2のこの所定の相対配置では、支持体10は、特に図1および3に見ることができるように、容器ハンドル2D、2Eの一部分(把持可能な部分200D、200E)によって外方向にほぼ径方向に延ばされる。器具1は、次いで、ロッキング準備構成にあり、ここから、単に蓋3を容器2に対して回転させるだけで、蓋3を容器2に対してロックすることが可能である。この目的のために、ユーザは、ループ状ハンドル11Aを、約90°の角度ストロークβにわたって、これが、特に図16および17に示す当接の折り畳まれた位置に到達するまで折り畳む。ループ状ハンドル11Aのその展開された位置からその折り畳まれた位置へのこの手動の移動は、それと同時に、蓋3を支持体10に対して約15°の角度αで枢動させ、それによって蓋ランプを容器ランプ下に対応させて、圧力を増大させることを可能にするロッキング構成にすることを可能にする。調理サイクルの最後、筺体の内側に行き渡る圧力が所定の安全レベルまで降下した後、ユーザは、蓋3を支持体10に対して反対方向に枢動させるためにループ状ハンドル11Aを上昇させることだけを必要とし、それによって容器ランプを蓋ランプから係合解除し、蓋3を容器2から分離することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
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図19
図20
図21