【課題を解決するための手段】
【0004】
上で明記した種類の機構に関して、本発明による目的は、保持構造が、接続区域の方向に接触圧力を生成するように構成される少なくとも1つの押圧要素を有する、という形で達成される。
【0005】
冒頭に明記した高電流導体に関して、本発明による目的は、少なくとも1つの圧縮された端部が、摩擦結合および/または接着結合によって、板形状のインタフェース部材に接続され、このインタフェース部材が、少なくとも1つの接触要素がインタフェース部材から少なくとも部分的に離れるように延在する状態で、圧縮された端部から離れる方向を指す接触面を有する、という形で達成される。
【0006】
本発明による機構により、たとえばねじ接続部など、組み付けに手間のかかる装置を不要にすることが可能となる。たとえば、タブコンタクトは、タブコンタクト用のレセプタクル内に容易に挿入可能である。タブコンタクトを通る開口部または穿孔を、不要とすることができる。本発明による押圧要素により、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトを、高電流導体の接触区域に押し付けることができる。タブコンタクトをこのことにより、たとえば、高電流導体の接触区域に直接押し付けることができる。別法として、高電流導体の接触区域にまず、タブコンタクトと高電流導体の接触区域との間の接触を改善する役割を果たし得る、板形状のインタフェース部材を設けることもできる。この場合、少なくとも1つの押圧要素は、タブコンタクトをインタフェース部材に押し付けることができる。
明記した両方の場合において、タブコンタクトは、押圧要素によって、接続部内に配設される高電流導体の接触区域の方向に押圧される。この押圧は好ましくは、少なくとも1つの押圧要素から接続区域の方向に延びる押圧の方向に沿って生じる。一般に、押圧方向は、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトの平坦な面に対して垂直に、または高電流導体の接触区域の平坦な面に対して垂直に延びる。高電流導体の接触区域は好ましくは、少なくとも部分的に平坦または板形状とされる。高電流導体の接触区域は好ましくは、編組ケーブルの圧縮された端部によって形成される。特に、ケーブルはアースケーブルとすることができる。たとえば、はんだ付け、抵抗溶接、圧着、圧着とはんだ付けとの組み合わせによって、または超音波溶接によって、端部を圧縮することができる。接触区域は、必ず高電流導体の端部に配設せねばならない訳ではない。接触区域を2つの導体端部間に配設することも考えられる。
【0007】
本発明による高電流導体は、板形状のインタフェース部材によって形成され、これに押し付けられるタブコンタクトが、高電流導体との良好な電気的接触を確立できるようになっている。特に、インタフェース部材を、タブコンタクトのための良好な接触表面が作り出されるように形成することができる。少なくとも1つの接触要素は、高電流導体とタブコンタクトとの間の改善された電気接続をもたらす役割も果たし得る。
【0008】
本発明による解決法を、任意の方法で互いと組み合わせ可能な、各々それ自体で有利である様々な構成によって、さらに改善することができる。これらの実施形態およびこれらと関連付けられる利点について、以下で検討する。
【0009】
本発明による機構の第1の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの押圧要素は、保持構造と一体に形成することができ、レセプタクルから離れるように弾性偏向可能である。少なくとも1つの押圧要素はしたがって、ばねのようにすることができる。一体の構成により、これは保持構造の残りの部分に取り外し不可能に接続される。加えて、保持構造をこの場合、容易に作り出すことができる。弾性偏向可能な性質により、レセプタクル内へのタブコンタクトの導入およびそこからの再度の引き出しを、繰り返すことが可能になる。
【0010】
少なくとも保持構造のレセプタクル内に配置されるタブコンタクトが存在しないときは、少なくとも1つの押圧要素は、レセプタクル内へと少なくとも部分的に突出し得る。タブコンタクトを導入した時点で、少なくとも1つの押圧要素を弾性的に偏向させることができ、この結果この押圧要素は、ばね張力に曝され得る。このようにして、この押圧要素は、タブコンタクトに対向するように押すか、または接続区域のもしくは接続区域に配設される高電流導体の接触区域の方向に、タブコンタクトを押圧する。
【0011】
好ましくは、保持構造は複数の押圧要素を有する。このようにして、接続区域の方向において、タブコンタクト上への高く均等な接触圧力を生成することができる。
【0012】
少なくとも1つの押圧要素は、実質的に細長い形態を有することができ、一方の端部が保持構造に確実に接続されて、自由に揺動する板ばねまたはばねアームが形成されるようになっている。好ましくは、この種類の押圧要素の1つの長手方向は、タブコンタクトの挿入方向と平行に延びる。タブコンタクトがレセプタクル内に導入されると、次いでタブコンタクトは摺動して押圧要素を越えることができ、このことにより、押圧要素は均等に偏向される。タブコンタクトは多くの場合、要求される良好な導電特性を理由として柔らかい材料から形成されるので、少なくとも1つの押圧要素の記載される機構は、タブコンタクトの表面の保護に寄与し得る。
【0013】
細長い押圧要素は、特にその自由端によって、レセプタクル内へと突出し得る。この自由端上で、押圧要素を、レセプタクルから離れるように曲げることができ、この結果、丸みを帯びた面によってタブコンタクトとの接触を確立できる、丸みを帯びた構造が作り出される。このことは同様に、タブコンタクトの表面の保護に寄与する。
【0014】
好ましくは、保持構造は、それらの長手方向を横断する方向に互いに隣り合ってかつそれらの長手方向に関して互いと平行に配される、細長い形態を有する複数の押圧要素を有する。それぞれ隣接する複数の押圧要素を、反対方向において保持構造の残りの部分に確実に接続することができる。このようにして、押圧要素の交互の位置合わせを実現でき、このことは、接触圧力の特に均等な分布に寄与し得る。
【0015】
レセプタクル内に配設されるタブコンタクトを、接続区域の方向において、特に接続区域に配設される高電流導体の接触区域に対して、特に効果的に押圧するために、接続区域は、タブコンタクト用のレセプタクルを越えて、少なくとも1つの押圧要素の反対側に存在し得る。
【0016】
接続区域において、保持構造は、高電流導体の接触区域の背後で係合するための、少なくとも1つの形態拘束要素(form closure element)を有し得る。これは、保持構造を高電流導体に確実に固定する役割を果たし得る。さらに、少なくとも1つの形態拘束要素は、保持構造の少なくとも1つの押圧要素がレセプタクル内に配設されるタブコンタクトを高電流導体の接触区域に押し付ける場合に、高電流導体のためのカウンタベアリングとしての役割を果たし得る。好ましくは、保持構造は、複数の形態拘束要素を有する。
【0017】
少なくとも1つの形態拘束要素による、接触区域の背後での短時間での容易な係合を実現するために、少なくとも1つの形態拘束要素を、接続区域から離れるように偏向可能なラッチ手段の形態とすることができる。このようにして、少なくとも1つの形態拘束要素を、高電流導体から非破壊的な様式で再度解放することができる。
【0018】
保持構造を、押圧要素を押圧する方向と実質的に平行に延びる組み付け方向に沿って、高電流導体の接触区域にロックすることができる。特に、ロックのために、ラッチ手段の形態の形態拘束要素を使用することができる。ロックが可能であるので、保持構造を、高電流導体に短時間で容易に接続することができる。同様に、たとえば保持構造の高電流導体を交換すべきである場合、高電流導体から保持構造を、非破壊的な様式で再度解放することも可能である。
【0019】
好ましくは、保持構造は、組み付け方向を横断する方向に偏向可能な、ラッチ要素を有する。ロック状態において、ラッチ要素は、高電流導体の背後で係合し得る。
【0020】
少なくとも1つの押圧要素を押圧する方向は、好ましくは、タブコンタクトに関する挿入方向を横断する方向に延びる。この結果、組み付け方向も、タブコンタクトの挿入方向を横断する方向に延びる。このようにして、タブコンタクトをレセプタクル内へと導入すると、またはタブコンタクトをレセプタクルから解放すると、保持構造が高電流導体から分離されなくなることが保証され得る。
【0021】
保持構造のための材料を節減するために、およびさらに、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトが高電流導体の接触区域上へと何ら問題なく押圧されることを保証するために、接続区域に、高電流導体の接触区域用の受容空間を配設することができる。この受容空間は、タブコンタクト用のレセプタクルとともに、共通の空洞を形成する。接続状態では、タブコンタクトおよび高電流導体の接触区域の両方を、この共通の空洞内に配設することができる。共通の空洞により、タブコンタクトを高電流導体に押し付けることが可能であり、このとき高電流導体は、少なくとも1つの形態拘束要素上に支持されている。
【0022】
タブコンタクト用のレセプタクルは、少なくともレセプタクルを、好ましくは共通の空洞を、タブコンタクトに関する挿入方向または差込方向(plug-in direction)に対向する方向において外側に開口する、挿入開口部を有し得る。好ましくは、少なくともレセプタクルは、これがタブコンタクト用の挿入開口部のみを有するように、およびしたがって挿入方向を事前に決定するように、設計される。レセプタクルおよび保持構造を、他の方向には閉じることができ、したがって、平坦なプラグの不適正な挿入または所望の挿入位置を越える挿入が、防止される。
【0023】
高電流導体への保持構造の装着を容易にするために、または高電流導体を接続区域内へと容易に挿入するために、保持構造は接続区域において、少なくとも1つの押圧要素の反対側に存在するその面上で少なくとも部分的に開口することができる。特に、保持構造は、高電流導体の挿入のための組み付け開口部を有し得る。上記のように、保持構造が共通の空洞を有する場合、この共通の空洞は、好ましくは組み付け開口部により外側からアクセス可能である。
【0024】
保持構造は、レセプタクル内へと少なくとも部分的に突出しかつレセプタクルから弾性偏向してタブコンタクトを摩擦結合により保持可能な、少なくとも1つの挟持要素を有し得る。挟持要素は好ましくは、押圧の方向を横断する方向に偏向可能である。特に、少なくとも1つの挟持要素は、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトの狭い面に押し付けられて留まり、その位置を確保することができる。可動端部において、少なくとも1つの挟持要素は、タブコンタクトを補完するように形成されるタブコンタクトの凹部内に係合可能な、ラッチ要素を有し得る。少なくとも1つの挟持要素は、少なくともレセプタクル内に配設されるタブコンタクトが存在しない場合は、レセプタクル内へと少なくとも部分的に突出し得る。好ましくは、少なくとも1つの挟持要素は、保持構造と一体に形成される。保持構造がレセプタクルを挟んで対向して存在する2つの挟持要素を有して、挿入された状態においてタブコンタクトが、2つの挟持要素間で少なくとも力拘束によって保持されるようになっていれば、特に有利である。
【0025】
別の有利な改善形態によれば、保持構造を、鋼から1つの個片として作製することができる。このようにして、保持構造を、特に剛性で抵抗力のあるものとすることができる。このようにして、高電流導体上での良好な保持が保証され得る。別の利点は、少なくとも1つの押圧要素が、鋼の良好なばね特性から恩恵を受けられることである。これが鋼で作製される場合、少なくとも1つの押圧要素は、接続区域の方向において高い接触圧力を生成し得る。このようにして、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトを、高い圧力で高電流導体の接触区域に押し付けることができる。保持構造、特に少なくとも1つの押圧要素が、対照的に導電性の観点から選ばれた金属材料で作製されたならば、少なくとも1つの押圧要素が時間経過とともに塑性変形するリスクが存在したであろう。
銅を高いパーセンテージで有する材料は、たとえば、時間経過とともにクリープする傾向があり、これに起因して接触圧力が低下する。少なくとも1つの押圧要素の頻繁な偏向により、たとえばレセプタクル内へのタブコンタクトの繰り返しの導入に起因して、少なくとも1つの押圧要素がその剛性を失うことになるというリスクも存在する。本発明による保持構造においては、レセプタクル内に配設されるタブコンタクトの高電流導体への電気接続は本質的に、高電流導体の接触区域とのまたは接触区域上に配設されるインタフェース部材との直接の接触によって確立される。本発明による機構においては、保持構造の、特に押圧要素の導電性はしたがって、一番重要なことではない。鋼で作製される実施形態の別法として、保持構造を他の材料、特に要求されるばね特性を有する材料から形成することもできる。たとえば、保持構造を他の金属から、またはプラスチックから形成することもできる。
【0026】
レセプタクル内に配設されるタブコンタクトと高電流導体の接触区域との間の電気接続を保証またはさらに改善するために、機構は、高電流導体の接触区域への確実な接続のための接続面、およびレセプタクル内に収容されるタブコンタクトの接触のための接触面を有する、少なくとも1つの板形状のインタフェース部材を備え得る。このようにして、接触区域が良好に画定された表面を有することが可能である。板形状のインタフェース部材は好ましくは、良好な導電特性を有する材料から形成される。同様に、インタフェース部材の形態または表面は、タブコンタクトとの可能な最大の接触面積を確立できるように作製することができる。インタフェース部材の別の利点は、高電流導体の圧縮された端部の凹凸をならすことができることである。
【0027】
少なくとも1つの板形状のインタフェース部材を、好ましくは、高電流導体の接触区域に溶接することができる。インタフェース部材を高電流導体に溶接することによって、これらの部品間で確実で高導電性の接続を生成し得る。別法としてまたは加えて、板形状のインタフェース部材を、はんだ付け、圧着、またはリベット止めによって、高電流導体に接続することもできる。好ましくは、板形状のインタフェース部材を、レーザ溶接によって接触区域に固着することができる。
【0028】
少なくとも1つの板形状のインタフェース部材とレセプタクル内に配設されるタブコンタクトとの間の電気的接触をさらに改善するために、接触面は、インタフェース部材から少なくとも部分的に離れるように延在する、少なくとも1つの接触要素を有し得る。接触要素は、たとえば、接触面からレセプタクルの方向を指す、突出部とすることができる。接触要素は、たとえば、点状またはリブ状となるようにすることができる。組み付けられた状態では、板形状のインタフェース部材が高電流導体に接続され本発明による保持構造が高電流導体に取り付けられるとき、少なくとも1つの接触要素は好ましくは、タブコンタクト用のレセプタクル内へと少なくとも部分的に突出する。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの接触要素は、インタフェース部材の残りの部分に向かって弾性偏向可能な、コンタクトばねの形態である。少なくとも1つの接触要素はしたがって、板形状のインタフェース部材の接触表面から離れるように延在することができ、かつこれに向けて弾性的に偏向可能である。このことは、タブコンタクトに接触するために有利であり得る。なぜなら、たとえば、タブコンタクトと少なくとも1つのインタフェース部材との間の距離の小さい変動を、均等にすることができるからである。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの板形状のインタフェース部材は、複数のコンタクトばねを有する。コンタクトばねはたとえば、細長い形態を有することができ、それらの長手方向がタブコンタクトの挿入方向と平行となるように配され得る。このようにして、レセプタクル内への導入中のタブコンタクトのねじれ、およびこのようにして生じるタブコンタクトの材料の研磨摩耗を、回避することができる。各コンタクトばねの自由に移動する端部を、タブコンタクトの表面をさらに保護するために、曲げるおよび/または丸めることができる。タブコンタクトの表面にわたって、可能な最も均等な接触を実現するために、互いに隣り合って配されるコンタクトばねの列に沿ったコンタクトばねは、交互に位置合わせされ得る。
【0031】
本発明による高電流導体を、上記のように、本発明による機構を設けられる少なくとも1つの圧縮された端部によって、さらに改善することができる。高電流導体が、本発明による板形状のインタフェース部材および本発明による保持構造の両方を有すれば、特に有利である。
【0032】
圧縮された端部の領域において、高電流導体は、保持構造の形態拘束要素を補完するように形成されかつこれらの形態拘束要素を受容する役割を果たし得る、凹部を有し得る。凹部の中に配される形態拘束要素が、タブコンタクトの平坦な面と平行に広がる平面における、高電流導体に沿った保持構造の移動を防止するように、凹部を配することができる。好ましくは、高電流導体の圧縮された端部は、平坦な部品として作製される。凹部はその場合、平坦な部品を通ってその中へと広がる平面と、平行に延在し得る。
【0033】
本発明による機構は、本発明による高電流導体上で本発明による保持構造を取り囲んで、操作者のために接触に対する保護を形成するようになっている、保護ハウジングを追加的に含み得る。本発明による保護ハウジングは特に、VDE試験指が、保護ハウジングの内部の導電性の部品とのどのような接触も確立し得ないように、閉じることができる。保護ハウジングを、保持構造におけるタブコンタクト用のレセプタクルから外側まで通っている、タブコンタクト用の単一の開口部のみが存在するような程度まで、閉じることができる。
【0034】
以下では、本発明について、図面を参照し有利な実施形態を使用して、例により詳細に記載する。実施形態により例として示される特徴の組み合わせを、上で記述した内容に従い、特定の適用例に関する追加の特徴によって補完することができる。個々の特徴の効果が特定の適用例において重要ではない場合、その特徴を、同じく上で記述した内容に従い、記載される実施形態において省略することもできる。
【0035】
図面において、同じ参照符号は常に、同じ機能および/または同じ構造を有する要素に対して使用される。
【0036】
図面は以下の通り示されている。