特許第6783589号(P6783589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783589
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/20 20060101AFI20201102BHJP
【FI】
   B23B31/20 F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-164820(P2016-164820)
(22)【出願日】2016年8月25日
(65)【公開番号】特開2018-30209(P2018-30209A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 均
【審査官】 中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−113935(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3009561(JP,U)
【文献】 米国特許第02678826(US,A)
【文献】 特開平8−141878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/20
B23Q 3/12
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径が一定の丸棒状に形成され、末端部において、その外周面が円錐面状に形成されているシャンク部を有する工具を、工作機械の主軸に装着するための工具ホルダであって、
前記主軸の長手方向に延びる筒状に形成され、前記主軸に挿入されて前記主軸に固定される外筒部と、
前記工具のシャンク部を挿入可能な筒状に形成され、前記外筒部に収容されるコレット部と、
環状に形成されたキャップ部と、
を備え、
前記外筒部は、
前記主軸に対して同軸配置され、前記主軸の端部内に挿入されて前記主軸に固定される基端部であって、その内周面が前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成され、前記主軸側に位置する一端部側の内径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の内径よりも小さく設定された第1テーパ面を有する第1穴部を有する基端部と、
前記主軸に対して同軸配置され、前記コレット部を収容する収容部であって、その内周面が前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成され、前記主軸側に位置する一端部側の内径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の内径よりも小さく設定された第2テーパ面を有する第2穴部を有する収容部と、
を備え、
前記外筒部における他端部の外周面には、第1ねじ溝が形成されており、
前記コレット部の外周面は、前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状であって、前記主軸側に位置する一端部側の外径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の外径よりも小さく設定された円錐面状に形成され、
前記コレット部の他端面と前記コレット部の周壁部の外周面における他端部との交差部には、前記主軸の軸線に対して傾斜した傾斜面が形成されており、
前記主軸の軸線に対する、前記第2テーパ面の傾斜角度と、前記コレット部の外周面の傾斜角度とが同一であり、且つ前記主軸の軸線に対する、前記シャンク部の末端部の外周面の傾斜角度と、前記第1テーパ面の傾斜角度とが同一であり、
前記シャンク部の末端部の外周面と前記第1テーパ面とが当接し、
前記キャップ部は、
中央部に貫通孔が形成された円板部と、
前記円板部の周縁部から前記主軸側へ延びる環状の周壁部と、
を備え、
前記円板部の前記貫通孔の内周面と、前記円板部における前記主軸側へ向けられた面との交差部には傾斜面が形成されており、
前記キャップ部の前記周壁部の内周面には、前記第1ねじ溝に螺合可能な第2ねじ溝が形成されている、工具ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の工具ホルダにおいて、
前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とが同一テーパ面内に位置している、工具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ホルダに関する。とくに、長尺状(棒状)に形成された工具のシャンク部の外周面を把持する工具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に記載されているように、長尺状(棒状)に形成された工具(エンドミル、リーマーなど)を把持するとともに工作機械の主軸に取り付けられる工具ホルダは知られている。言い換えれば、工具は、工具ホルダを介して、工作機械の主軸に取り付けられる。例えば、図4及び図5に示すように、工具ホルダHDは、コレット部CT及び本体部CVを備える。
【0003】
コレット部CTは、主軸の長手方向に延設されている。コレット部CTは、工具TLのシャンク部を挿入可能な筒状に形成されていて、前記挿入されたシャンク部の外周面を把持する。また、コレット部CTの外周面は、コレット部CTの長手方向における一端部であって主軸側に位置する端部の外径が、前記一端部とは反対側に位置する他端部の外径よりも小さくなるように傾斜した円錐面状に形成されている。コレット部CTの周壁部には、コレット部CTの他端から一端部側へ向かって延びる、図示しない複数のすり割り溝が形成されている。
【0004】
本体部CVは、外筒部CVとキャップ部CVを備える。外筒部CVは、主軸の長手方向に延びる筒状に形成されている。外筒部CVの一端部であって、本体部CVの長手方向における主軸側(図4において左側)に位置する一端部に、主軸の端部内に挿入されて主軸に固定される基端部CV11が設けられている。また、外筒部CVの他端部であって、本体部CVの長手方向における被工作物側(前記一端部とは反対側(図4において右側))に位置する他端部に、工具TLのシャンク部が挿入されたコレット部CTを収容する収容部CV12が設けられている。収容部CV12の内周面は、本体部CVの他端部側の内径よりも本体部CVの一端部側の内径が小さくなるように傾斜した円錐面状に形成されている。キャップ部CVは、環状に形成されている。キャップ部CVの内周には、ねじが形成されている。外筒部CVの他端部の外周部にもねじが形成されており、キャップ部CVが外筒部CVの他端部に締結される。これにより、コレット部CTが収容部CV12内へ押し込まれる。そして、コレット部CTの外周面が収容部CV12の内周面に当接して、コレット部CTが収容部CV12に対して移動不能な状態で保持されるとともに、コレット部CTの他端部側が、その径方向における内側へ押圧されて少し撓む。このようにして、工具TLがコレット部CTに対して移動不能な状態で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−136413号公報
【発明の概要】
【0006】
図4及び図5に示す従来の工具ホルダにおいては、工具TLのシャンク部の末端部(主軸側の端部)は、コレット部CTの一端部から主軸側(図4において左側)へ突出している。上記のように、コレット部CTの他端部側が、その径方向における内側へ押圧されて少し撓むことにより、工具TLがコレット部CTに保持される。すなわち、コレット部CTの内周面のうち、コレット部CTの他端部側に位置する部分のみが工具TLのシャンク部に当接している。言い換えれば、工具TLの長手方向における中間部のみがコレット部CTによって保持されている。しかも、シャンク部の外周面とコレット部CTの内周面とが面接触する可能性は低く、両者の複数の箇所において線接触又は点接触する可能性が高い。そのため、主軸の軸方向と工具TLの軸方向とがずれる虞がある。つまり、工具TLの振れ精度が低下する虞がある。なお、工具TLの末端部の端面が、収容部CV12内に設けられた部品(具体的には、工具ホルダHDからの工具TLの先端部(被工作物側の端部)の突出量を調整する部品)に当接しているが、両者が面接触する可能性は低い。よって、工具TLの端面を収容部CV12内に設けられた他の部品(又は収容部の底面)に当接させるという構成は、工具TLの振れ精度には寄与し難い。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、工具の振れ精度を向上させた工具ホルダを提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、外径が一定の丸棒状に形成され、末端部において、その外周面が円錐面状に形成されているシャンク部を有する工具(TL)を、工作機械の主軸に装着するための工具ホルダ(1)であって、前記主軸の長手方向に延びる筒状に形成され、前記主軸に挿入されて前記主軸に固定される外筒部(21)と、前記工具のシャンク部を挿入可能な筒状に形成され、前記外筒部に収容されるコレット部(10)と、環状に形成されたキャップ部(22)と、を備え、前記外筒部は、前記主軸に対して同軸配置され、前記主軸の端部内に挿入されて前記主軸に固定される基端部であって、その内周面が前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成され、前記主軸側に位置する一端部側の内径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の内径よりも小さく設定された第1テーパ面を有する第1穴部(H211)を有する基端部(211)と、前記主軸に対して同軸配置され、前記コレット部を収容する収容部であって、その内周面が前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成され、前記主軸側に位置する一端部側の内径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の内径よりも小さく設定された第2テーパ面を有する第2穴部(H212)を有する収容部(212)と、を備え、前記外筒部における他端部の外周面には、第1ねじ溝(G21)が形成されており、前記コレット部の外周面は、前記主軸の軸線に対して傾斜した円錐面状であって、前記主軸側に位置する一端部側の外径が、前記主軸とは反対側に位置する他端部側の外径よりも小さく設定された円錐面状に形成され、前記コレット部の他端面と前記コレット部の周壁部の外周面における他端部との交差部には、前記主軸の軸線に対して傾斜した傾斜面(C10)が形成されており、前記主軸の軸線に対する、前記第2テーパ面の傾斜角度と、前記コレット部の外周面の傾斜角度とが同一であり、且つ前記主軸の軸線に対する、前記シャンク部の末端部の外周面の傾斜角度と、前記第1テーパ面の傾斜角度とが同一であり、前記シャンク部の末端部の外周面と前記第1テーパ面とが当接し、前記キャップ部は、中央部に貫通孔(TH22)が形成された円板部(221)と、前記円板部の周縁部から前記主軸側へ延びる環状の周壁部(222)と、を備え、前記円板部の前記貫通孔の内周面と、前記円板部における前記主軸側へ向けられた面との交差部には傾斜面(C22)が形成されており、前記キャップ部の前記周壁部の内周面には、前記第1ねじ溝に螺合可能な第2ねじ溝(G22)が形成されている、工具ホルダとしたことにある。
【0009】
この場合、前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とが同一テーパ面内に位置しているとよい。
【0012】
上記のように構成した本発明に係る工具ホルダによれば、従来の工具ホルダHDと同様に、工具が保持部に対して移動不能に保持される。さらに、工具のシャンク部の端部が、主軸と同軸に配置された第1テーパ面に当接しているので、工具の軸線と工具ホルダの軸線とのずれ(傾き)を従来よりも小さくできる。すなわち、本発明に係る工具ホルダによれば、工具の振れ精度を向上させることができる。
【0013】
また、工具の端部が基端部の内部に侵入している。すなわち、基端部が主軸に取り付けられた状態において、工具の基端部が主軸の内部に挿入されている。これによれば、図4及び図5に示した従来の工具ホルダを用いた場合のような、工具の末端部が基端部外に位置している場合に比べて、工具ホルダに把持された状態における工具の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る工具ホルダの分解斜視図である。
図2図1の工具ホルダの軸線方向に沿った断面を示す断面図である。
図3A】コレット部の軸線方向に沿った断面を示す断面図である。
図3B】外筒部の軸線方向に沿った断面を示す断面図である。
図3C】キャップ部の軸線方向に沿った断面図を示す断面図である。
図4】従来の工具ホルダの軸線方向に沿った断面図を示す断面図である。
図5】従来の工具ホルダの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る工具ホルダ1について説明する。工具ホルダ1は、図1及び図2に示すように、コレット部10及び本体部20からなる。コレット部10の構成は、図4及び図5に示した従来の工具ホルダHDのコレット部CTの構成と同様である。すなわち、コレット部10は、工作機械の主軸の長手方向に延設されている。図3Aに示すように、コレット部10は、工具TLのシャンク部を挿入可能な筒状に形成されていて、前記挿入されたシャンク部の外周面を把持する。すなわち、コレット部10の径方向における中央部には、長手方向に延びる貫通孔TH10が形成されている。この貫通孔TH10に工具TLのシャンク部が挿入される。コレット部10の長手方向に垂直な断面における貫通孔TH10の内径は、その断面の位置に関わらず一定である。貫通孔TH10の内径は、工具TLの外径よりもわずかに大きい。また、コレット部10は、その長手方向における一端部であって主軸側(図3Aにおいて左側)に位置する端部の外径が、被工作物側(前記一端部とは反対側(図3Aにおいて右側))に位置する他端部の外径よりも小さい。すなわち、コレット部10の外周面は、コレット部10の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成されている。コレット部10の軸線に対するコレット部10の周壁部11の外周面の傾斜角度は、例えば、5°である。コレット部10の周壁部11には、コレット部10の前記他端部から前記一端部側へ向かって延びる複数(例えば4つ)のすり割り溝G11図1参照)が形成されている。また、コレット部10の他端面とコレット部10の周壁部11の他端部の外周面との交差部(角部)には、コレット部10の軸線に対して傾斜した傾斜面C10が設けられている。なお、コレット部10は、本発明の把持部に相当する。
【0016】
本体部20は、外筒部21とキャップ部22を備える(図1及び図2参照)。図3Bに示すように、外筒部21は、主軸の長手方向に延びる筒状に形成されている。すなわち、外筒部21は、主軸に対して同軸に配置される。外筒部21の一端部であって、本体部20の長手方向における主軸側(図3Bにおいて左側)に位置する部分を基端部211と呼び、外筒部21の他端部であって、本体部20の長手方向における被工作物側(前記一端部とは反対側(図3Bにおいて右側))に位置する部分を収容部212と呼ぶ。基端部211は、主軸の端部内に挿入されて主軸に固定される(図2参照)。基端部211は、穴部H211を有する。穴部H211は、主軸の長手方向に延設されている。基端部211が主軸に固定された状態において、穴部H211は、主軸に対して同軸に配置される。基端部211の他端部側の内径よりも一端部側の内径が小さい。すなわち、穴部H211の内周面は、基端部211の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成されている。つまり、基端部211は、基端部211が主軸に固定された状態において主軸に対して同軸に配置されるテーパ面(本発明の第1テーパ面)を有する。
【0017】
収容部212は、工具TLのシャンク部が挿入されたコレット部10を収容可能な穴部H212を有する。穴部H212は、主軸の長手方向に延設されている。基端部211が主軸に固定された状態において、穴部H212は、主軸に対して同軸に配置される。収容部212の他端部側の内径よりも一端部側の内径が小さい。すなわち、穴部H212の内周面は、収容部212の軸線に対して傾斜した円錐面状に形成されている。つまり、収容部212は、基端部211が主軸に固定された状態において主軸に対して同軸に配置されるテーパ面(本発明の第2テーパ面)を有する。主軸の軸線に対する収容部212の内周面の傾斜角度は、コレット部10の軸線に対するコレット部10の外周面の傾斜角度と同一である。穴部H212の内周面は、穴部H211の内周面に連続している。すなわち、両内周面は同一のテーパ面内に位置している。収容部212の長手方向の寸法は、コレット部10の長手方向の寸法よりも大きい。すなわち、収容部212内にコレット部10が収容された状態において、コレット部10の一端と収容部212の一端との間には空間が形成されている(図2参照)。また、外筒部21の他端部の外周部には、ねじ溝G21が形成されている。
【0018】
図3Cに示すように、キャップ部22は、環状に形成されている。キャップ部22は、円板部221と、円板部221の周縁部から主軸側へ延びる環状の周壁部222を備える。円板部221の中央には貫通孔TH22が形成されている。貫通孔TH22の内径は、工具TLのシャンク部の外径よりも少し大きい。貫通孔TH22の内周面と円板部221の面のうち主軸側を向く面との交差部(角部)には、傾斜面C22が形成されている。また、周壁部222の内周面には、ねじ溝G22が形成されている。
【0019】
コレット部10の他端部側から貫通孔TH10に、工具TLのシャンク部が挿入され、シャンク部の末端部(主軸側の端部)がコレット部10の一端部から主軸側へ突出した状態にセットされる。なお、工具TLのシャンク部は、丸棒状に形成されている。すなわち、シャンク部の長手方向の位置に関わらず、シャンク部の外径が一定である。ただし、シャンク部の末端部においては、その外周面が基端部211の穴部H211の内周面に沿うように、円錐面状に形成されている。つまり、シャンク部の末端部の外周面には、テーパ面(本発明の第3テーパ面)が形成されている。つぎに、コレット部10が、収容部212の他端部側から収容部212内に挿入される。コレット部10の一端と収容部212の一端との間には空間が形成されているが、工具TLのシャンク部の末端部はこの空間を通って基端部211の穴部H211内へ入り込んでいる。(図2参照)。そして、シャンク部の末端部の外周面が穴部H211の内周面に面接触している。コレット部10の他端部は、収容部212の他端部から被工作物側へ少し突出している。
【0020】
つぎに、キャップ部22が外筒部21に締結される。すなわち、ねじ溝G21とねじ溝G22とが嵌合する。キャップ部22の傾斜面C22がコレット部10の傾斜面C11に当接して、コレット部10が収容部212内へ押し込まれる。これにより、コレット部10の外周面が収容部212の内周面に当接して、コレット部10が収容部212に対して移動不能な状態で保持されるとともに、コレット部10の他端部側が、その径方向における内側へ押圧されて少し撓み、工具TLのシャンク部の外周面に当接して、工具TLがコレット部10に対して移動不能な状態で保持される。すなわち、工具TLがコレット部10に把持される。なお、コレット部10、収容部212及びキャップ部22から構成された部分が本発明の保持部に相当する。
【0021】
上記のように構成した工具ホルダ1においては、従来の工具ホルダHDと同様に、コレット部10の内周面の他端部と工具TLのシャンク部の中間部とにおける複数箇所において、両者が線接触又は点接触して、工具TLがコレット部10に対して移動不能に保持される。さらに、工具TLのシャンク部の末端部の外周面が、主軸に対して同軸に配置された穴部H211の内周面に面接触しているので、工具TLの軸線と工具ホルダ1の軸線とのずれ(傾き)を従来よりも小さくできる。すなわち、本実施形態によれば、工具TLの振れ精度を向上させることができる。例えば、従来の工具ホルダHDを用いた場合、工具TLの中間部であって、基準位置(被保持部の他端)から見て先端(刃先)側へ150mmだけ離れた測定位置の振れ量は、20〜25μm程度であり、そのばらつきは5μm程度であった。これに対し、工具ホルダ1を用いた場合、前記測定位置の振れ量は、5〜7μm程度であり、そのばらつきは2μm程度であった。
【0022】
また、工具ホルダ1においては、工具TLの末端部が基端部211内に位置している。すなわち、基端部211が主軸に取り付けられた状態において、工具TLの末端部が主軸内に位置している。これによれば、図4及び図5に示した従来の工具ホルダHDを用いた場合のような、工具TLの末端部が基端部外に位置している場合に比べて、工具ホルダに把持された状態における工具TLの(みかけの)剛性を高めることができる。例えば、従来の工具ホルダHDを用いた場合であって、前記測定位置に対して、工具TLの軸線方向に垂直な方向へ100Nの力を付与した場合の前記測定位置の撓み量は、90μm程度であった。これに対し、工具ホルダ1を用いた場合、前記測定位置の撓み量は、60μm程度であった。
【0023】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0024】
例えば、収容部212の軸線に対する収容部212の内周面の傾斜角度は、上記実施形態に限られず任意に設定可能である。ただし、この傾斜角度は、6°以下であることが好ましい。また、コレット部10のすり割り溝G11図1参照)の数は上記実施形態に限られず、任意に設定可能である。また、コレット部10の一端から他端部側へ向かって延びるすり割り溝G11がさらに設けられていても良い。また、工具TLを保持する方式として、コレットを用いた方式に限られず、液圧を用いたハイドロ方式、焼きばめ方式などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1・・・工具ホルダ、10・・・コレット部、11・・・周壁部、20・・・本体部、21・・・外筒部、22・・・キャップ部、211・・・基端部、212・・・収容部、221・・・円板部、222・・・周壁部、G11・・・すり割り溝、TL・・・工具
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5