(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)エポキシ樹脂とフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と不飽和カルボン酸との反応生成物(A1)と、多塩基酸無水物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂、
(B)エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)と多塩基酸無水物との反応生成物(B2)と、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂、
(C)光重合開始剤、および、
(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
前記(A)カルボキシル基含有樹脂と前記(B)カルボキシル基含有樹脂との配合比(質量比)が、3:7〜7:3であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
基材上に、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥して、または、請求項3に記載のドライフィルムの樹脂層をラミネートして、基材上に樹脂層を形成する工程、
基材上の前記樹脂層に選択的に光照射して光硬化させる光硬化工程、
光硬化工程後に現像により未照射部分を除去しパターン層を得る現像工程、
パターン層に光照射する光照射工程、および、
前記光照射されたパターン層を加熱する工程、を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂とフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と不飽和カルボン酸との反応生成物(A1)と、多塩基酸無水物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂(以下、「(A)カルボキシル基含有樹脂」とも称する)、(B)エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)と多塩基酸無水物との反応生成物(B2)と、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂(以下、「(B)カルボキシル基含有樹脂」とも称する」)、(C)光重合開始剤、および、(D)エポキシ樹脂を含む。本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物を得る際には、現像してパターン層を形成した後に、パターン層に光照射してから、加熱して熱硬化することが好ましい。このようなパターン層の形成後かつ加熱前の光照射工程を行うことによって、ガラス転移温度が高く、強度および柔軟性に優れたパターン状の硬化物を容易に得ることができる。詳しいメカニズムは明らかではないが、(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)カルボキシル基含有樹脂とを併用することによって、エチレン性不飽和基の反応に由来する光架橋点と、カルボキシル基およびエポキシ基の反応に由来する熱架橋点との距離的なバランスが良好となったからだと考えられる。
【0016】
また、本発明の技術分野において、硬化物に柔軟性を付与する手段としてエラストマーを配合することが知られているが、エラストマーを配合すると、解像性が低下するという問題があった。本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、エラストマーを配合せずとも柔軟性に優れるため、解像性と柔軟性を両立することもできる。
【0017】
(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)カルボキシル基含有樹脂との配合比(質量比)は、3:7〜7:3であることが好ましく、4:6〜6:4であることがより好ましい。
【0018】
((A)エポキシ樹脂とフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と不飽和カルボン酸との反応生成物(A1)と、多塩基酸無水物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂)
(A)カルボキシル基含有樹脂が有する、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物に由来する構造が、特に柔軟性に寄与していると考えられる。
【0019】
前記エポキシ樹脂としては、1個以上のエポキシ基を有する公知慣用の化合物を使用することができ、なかでも、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなどのモノエポキシ化合物などのモノエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル−1,3−ジグリシジルエーテル、ビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。前記エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、具体的には、三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、新日鉄住金化学社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル日本社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、新日鉄住金化学社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル日本社製のD.E.R.542、住友化学社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.711、A.E.R.714等のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル日本社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、新日鉄住金化学社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成イーマテリアルズ社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299、新日鉄住金化学社製のYDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5,YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704、YDCN−704A、DIC社製のエピクロンN−680、N−690、N−695等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、新日鉄住金化学社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、新日鉄住金化学社製のエポトートYH−434;住友化学社製のスミ−エポキシELM−120等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル社製のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル日本社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等の複素環式エポキシ樹脂;日油社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄住金化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日油社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば新日鉄住金化学社製のYR−102、YR−450等);トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、および、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0021】
前記フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。前記フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(式中、xは、0〜5までの整数であり、ベンゼン環の水素と置換する置換基R
1の数を表し、R
1は、xが1のとき、炭素数1〜4の飽和または不飽和アルキル基、フェニル基またはシクロヘキシル基の中から選ばれる一つの置換基を表し、xが2以上のとき、前記置換基の中から重複を許してx個選ばれる同一または異なる複数の置換基を表す。yは1〜5の整数であり、ベンゼン環の水素と置換する置換基R
2−OHの数を表し、R
2は、yが1のとき、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキレン基または
(ここで、R
3はエチレン基、プロピレン基、ヒドロキシプロピレン基または
(n=2または3、z=1または2)である。)の中から選ばれる一つの置換基を表し、yが2以上のとき、前記置換基の中から重複を許してy個選ばれる同一または異なる複数の置換基を表す。)
【0022】
前記不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ソルビン酸、桂皮酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸カプロラクトン付加物などの水酸基含有アクリレートに不飽和二塩基酸無水物が付加した物などが挙げられる。ここで特に好ましいのはアクリル酸、メタアクリル酸である。前記不飽和カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0023】
エポキシ樹脂と、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と、不飽和カルボン酸との反応は、エポキシ樹脂に、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と不飽和カルボン酸を同時に反応させる方法、あるいはまずエポキシ樹脂とフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物を反応させ、次いで不飽和カルボン酸を反応させる方法、又はエポキシ樹脂と不飽和カルボン酸を反応させ、次いでフェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物を反応させる方法等があり、いずれも採用することができる。このような反応は、後述する有機溶剤の存在下あるいは非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等の反応触媒の共存下、通常80〜130℃で容易に行うことができる。
【0024】
また、前記反応における各成分の割合は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物のフェノール性水酸基が0.2〜0.6当量となり、かつ、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物のフェノール性水酸基と不飽和カルボン酸のカルボキシル基が合計で0.8〜1.3当量となる割合が好ましい。フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物の割合が増すと耐吸湿性およびPCT耐性が向上し、解像性および硬化物のラインの表面部と底部の線幅の再現性が増す。不飽和カルボン酸の割合が減少し過ぎないことが好ましく、その結果、光反応性および光照射後の硬化膜表面部の耐現像性が良好となり、また、感度の低下を抑制し、作業性の面でも好ましい。
【0025】
前記多塩基酸無水物としては、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の脂環式二塩基酸無水物;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の脂肪族又は芳香族二塩基酸無水物、あるいはビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらの中でも、脂環式二塩基酸無水物が特に好ましい。前記多塩基酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
多塩基酸無水物は、エポキシ樹脂と、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物と、不飽和カルボン酸との反応生成物(A1)のアルコール性水酸基に反応させることが好ましい。この反応において、多塩基酸無水物の使用量は、前記反応生成物中のアルコール性水酸基に対して無水物基が99:1〜1:99の割合が適しており、好ましくは生成する(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価が50〜120mgKOH/gとなるような付加量とする。反応は、後述する有機溶剤の存在下又は非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50〜130℃で行う。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等を触媒として添加してもよい。
【0027】
(A)カルボキシル基含有樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基と、フェノール性水酸基およびアルコール性水酸基を含む化合物との反応に基づく、下記の構造を有することが好ましい。
(式中、R
1、R
2、xは、上記一般式(1)と同じであり、y1は0〜4の整数を表す。)
【0028】
(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下の場合、現像性が良好で、貯蔵安定性にも優れる。
【0029】
((B)エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)と多塩基酸無水物との反応生成物(B2)と、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物との反応生成物である感光性カルボキシル基含有樹脂)
(B)カルボキシル基含有樹脂が有する、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物に由来する構造が、特にガラス転移温度および強度に寄与していると考えられる。
【0030】
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(A)カルボキシル基含有樹脂を合成するための成分として挙げたエポキシ樹脂と同様のものが挙げられる。それらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂を特に好適に使用することができる。前記エポキシ樹脂は、軟化点が60℃以上であることが好ましい。前記エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
前記不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、(A)カルボキシル基含有樹脂を合成するための成分として挙げた不飽和カルボン酸と同様のものが挙げられる。それらの中でも、アクリル酸は、エポキシ基との反応性が良好で、生成した樹脂の光硬化性が優れているので、特に好適に使用することができる。前記不飽和カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不飽和モノカルボン酸は、エポキシ樹脂と反応することにより、エポキシ基とカルボキシル基との反応でオキシラン環が開裂し、水酸基とエステル結合が生成する。
【0032】
エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応は、適当な反応希釈剤中で加熱することにより行うことができる。
【0033】
エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応の希釈剤としては、光重合性モノマー又は有機溶剤を用いることができる。反応希釈剤として用いることができる光重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、後述するエチレン性不飽和基を有する化合物として挙げた光重合性モノマーと同様のものが挙げられる。希釈剤として用いることができる有機溶剤としては、特に限定されないが、後述する有機溶剤と同様のものが挙げられる。反応希釈剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。反応希釈剤は、反応系の総質量に対して20〜50質量%となるよう添加することが好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との前記反応において、エポキシ樹脂のエポキシ基の量と、反応させる不飽和カルボン酸の量は、ほぼ当量であることが好ましい。ほぼ当量とすることによって、この後の合成反応時に目的としない反応を低減し、樹脂のゲル化や、硬化性樹脂組成物の保存安定性の低下を抑制できる。また、未反応のカルボキシル基を低減し、樹脂中の低分子量の化合物が減少し、硬化膜の特性が良好となる。エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応温度は、100〜120℃であることが好ましい。反応温度が100℃以上の場合、反応速度が良好であり、反応に長時間を要しない。反応温度が120℃以下の場合、不飽和カルボン酸の熱重合を防ぎ、反応中にゲル化が生じにくくなる。
【0035】
エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)に、さらに多塩基酸無水物を反応させる。エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸の反応生成物(B1)は、単離することなく、反応希釈剤溶液のまま、二塩基酸無水物との反応に供することができる。前記多塩基酸無水物としては、特に限定されないが、例えば、(A)カルボキシル基含有樹脂を合成するための成分として挙げた多塩基酸無水物と同様のものが挙げられる。それらの中でも、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸およびメチルテトラヒドロ無水フタル酸を特に好適に使用することができる。本発明において、多塩基酸無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。多塩基酸無水物は、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応で生成した水酸基と反応し、エステル結合と遊離のカルボキシル基を生成する。
【0036】
反応させる多塩基酸無水物の量は、エポキシ樹脂に反応させた不飽和カルボン酸の0.4〜1.0モル倍であることが好ましい。エポキシ樹脂には、反応させた不飽和カルボン酸のモル数に等しい当量数の水酸基が生成するほかに、エポキシ樹脂が最初から有していた水酸基が存在する。エポキシ樹脂に反応させた不飽和カルボン酸の0.4〜1.0モル倍の多塩基酸無水物を反応させることにより、樹脂が有する水酸基の一部をそのまま残し、残りの水酸基をエステル化することができる。反応させる多塩基酸無水物の量が、エポキシ樹脂に反応させた不飽和カルボン酸の0.4モル倍以上の場合、硬化性樹脂組成物の希アルカリ現像性が良好となる。反応させる多塩基酸無水物の量が、エポキシ樹脂に反応させた不飽和カルボン酸の1.0モル倍以下の場合、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好となる。
【0037】
多塩基酸無水物は、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)に添加して反応させることができる。反応生成物(B1)が反応希釈剤の溶液として存在する場合は、この溶液に多塩基酸無水物を添加して溶解し、加熱することにより、反応を良好に進めることができる。反応温度は、70〜100℃であることが好ましい。エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)に、多塩基酸無水物を反応して得られる反応生成物(B2)であるカルボキシル基含有樹脂は、酸価が60〜170mgKOH/gであることが好ましく、60〜160mgKOH/gであることがより好ましい。前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、反応する多塩基酸無水物の量を選択することにより、容易に調整することができる。酸価が60mgKOH/g以上の場合、硬化性樹脂組成物の希アルカリ現像性が良好となる。酸価が170mgKOH/g以下の場合、硬化性樹脂組成物の保存安定性が良好となる。
【0038】
エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応生成物(B1)に、多塩基酸無水物を反応させて得られる反応生成物(B2)であるカルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する。前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基に、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させる。カルボキシル基とオキシラン環が反応してエステル結合が生成することにより、エチレン性不飽和基が樹脂の主鎖に結合する。この反応によって結合されたエチレン性不飽和基は、(B)カルボキシル基含有樹脂の最外部に結合しているため、光照射による樹脂の光重合反応時の反応性が立体化学的に高い。そのため、この(B)カルボキシル基含有樹脂は、良好な光硬化性を有する。
【0039】
前記カルボキシル基含有樹脂と、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物の反応比は、前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量あたり、オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物0.05〜0.4モルであることが好ましい。0.05モル以上の場合、(B)カルボキシル基含有樹脂の光硬化性が良好となる。0.4モル以下の場合、硬化性樹脂組成物の希アルカリ現像性および硬化膜の耐薬品性が良好となる。オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ペンタエリスリトールグリシジルエーテルトリアクリレート、下記一般式(3)で表される化合物などを挙げることができる。オキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(式中、mは0、1または2であり、R
4は水素又はメチル基であり、Aは6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキシル基、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル基又は8−オキサビシクロ[5.1.0]オクチル基である。)
【0041】
前記カルボキシル基含有樹脂が、反応希釈剤の溶液として存在する場合は、この溶液にオキシラン環およびエチレン性不飽和基を有する化合物を添加して溶解することにより、好適に反応を進めることができる。また、反応時に、撹拌を効果的に行うために、さらに反応希釈剤を添加することができる。反応温度は、80〜120℃であることが好ましい。
【0042】
(B)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下の場合、現像性が良好で、貯蔵安定性にも優れる。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の硬化を損なわない範囲で、他のカルボキシル基含有樹脂等のアルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。
【0044】
((C)光重合開始剤)
(C)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知のものであれば、いずれのものを用いることもできる。
【0045】
(C)光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製IRGACURE TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4− (4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。これらの中でもモノアシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類が好ましく、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)がより好ましい。(C)光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(C)光重合開始剤の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂及び(B)カルボキシル基含有樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.01〜20質量部である。(C)光重合開始剤の配合量が、0.01質量部以上の場合、銅上での光硬化性が良好となり、塗膜が剥離しにくく、耐薬品性などの塗膜特性が良好となる。一方、(C)光重合開始剤の配合量が、30質量部以下の場合、(C)光重合開始剤の光吸収が良好となり、深部硬化性が向上する。
【0047】
((D)エポキシ樹脂)
(D)エポキシ樹脂としては、(A)カルボキシル基含有樹脂を合成するための成分として挙げたエポキシ樹脂と同様のものが挙げられる。(D)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(D)エポキシ樹脂の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂および(B)カルボキシル基含有樹脂に含まれるカルボキシル基の合計当量に対する、(D)エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の当量の比が、1.0〜2.4であることが好ましく、1.2〜2.2であることがより好ましい。前記当量の比が1.0以上の場合、カルボキシル基の残存量が低くなるため、また、前記当量の比が2.4以下の場合、エポキシ基の残存量が低くなるため、耐薬品性等が向上する。
【0049】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、オキセタン化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの(D)エポキシ樹脂以外の熱硬化成分を含有してもよい。
【0050】
(エチレン性不飽和基を有する化合物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有する化合物を含有することができる。エチレン性不飽和基を有する化合物としては、公知慣用の光硬化性モノマーである光重合性オリゴマー、光重合性ビニルモノマー等を用いることができる。エチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0053】
エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂及び(B)カルボキシル基含有樹脂の合計100質量部に対し、0.1〜40質量部の範囲が適当である。エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量が0.1質量部以上の場合、光硬化性効果が良好となる。一方、40質量部以下の場合、塗膜の指触乾燥性が良好となる。
【0054】
(熱硬化触媒)
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化触媒を含有することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。熱硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
熱硬化触媒の配合量は、(D)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜25質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部である。
【0056】
(無機フィラー)
本発明の硬化性樹脂組成物は、無機フィラーを含有することができる。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト、ノイブルグ珪土、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の公知慣用のフィラーが使用できる。これらの中でも、硫酸バリウムおよびシリカが好ましい。無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
無機フィラーは表面処理されていることが好ましい。ここで、無機フィラーの表面処理とは、樹脂成分との相溶性を向上させるための処理のことを言う。無機フィラーの表面処理は、無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入可能な表面処理でも導入しない表面処理でもどちらでもよい。ここで、硬化性反応基とは、(A)、(B)カルボキシル基含有樹脂や(D)エポキシ樹脂などの硬化性化合物と硬化反応する基であれば特に限定されず、光硬化性反応基でも熱硬化性反応基でもよい。光硬化性反応基としては、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、スチリル基等が挙げられ、熱硬化性反応基としては、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イミノ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等が挙げられる。無機フィラーの表面に硬化性反応基を導入する方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いて導入すればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。また、硬化性反応基を有しない表面処理された無機フィラーとしては、例えば、シリカ−アルミナ表面処理、チタネート系カップリング剤処理、アルミネート系カップリング剤処理、有機処理がされた無機フィラー等が挙げられる。
【0058】
無機フィラーの配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)カルボキシル基含有樹脂の合計100質量部に対し、10〜500質量部が好ましく、20〜200質量部であることがより好ましい。無機フィラーの配合割合が10〜500質量部の場合、組成物の粘度が高くなりすぎず、塗布性が良好であり、ソルダーレジストとして優れた特性を有する硬化物が得られる。
【0059】
(着色剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、着色剤を含有することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、カルボキシル基含有樹脂の合成、組成物の調製、基材やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類:シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
(その他の成分)
本発明の硬化性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、光塩基発生剤、熱可塑性樹脂、有機フィラー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物は、エラストマーを含有することができるが、解像性の観点からは、エラストマーを配合しないことが好ましく、配合する場合であっても好ましくは、(A)カルボキシル基含有樹脂と(B)カルボキシル基含有樹脂の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部である。
【0063】
エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどが挙げられる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども挙げられる。エポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマーなどが挙げられる。
【0064】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても液状として用いても良い。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよいが、保存安定性の観点から2液性以上であることが好ましい。
【0065】
次に、本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3〜150μm、好ましくは5〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0066】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15〜130μmの範囲である。
【0067】
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
【0068】
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
【0069】
本発明のプリント配線板は、本発明の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層から得られる硬化物を有するものである。また、本発明のプリント配線板の製造方法は、基材上に、前記硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥して、または、前記ドライフィルムの樹脂層をラミネートして、基材上に樹脂層を形成する工程、基材上の前記樹脂層に選択的に光照射して光硬化させる光硬化工程、光硬化工程後に現像により未照射部分を除去しパターン層を得る現像工程、パターン層に光照射する光照射工程、および、前記光照射されたパターン層を加熱する工程、を含むものである。例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を基材上に形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、樹脂層を基材上に形成する。
【0070】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより樹脂層を有する基材に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0072】
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に光照射し、未照射部分を例えば希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)を用いて現像により除去し、硬化物のパターン層を形成する。さらに、硬化物に光を照射後加熱硬化(例えば、100〜220℃)することによって、最終仕上げ硬化(本硬化)させることにより、密着性、硬度等の諸特性に加え、本発明の効果を奏する硬化膜を容易に形成することができる。
【0073】
上記光照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、300〜450nmの範囲で光照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が300〜450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜1000mJ/cm
2、好ましくは20〜800mJ/cm
2の範囲内とすることができる。また、パターン層を得た後の光照射の条件は、露光量が500〜3000mJ/cm
2であることが好ましい。
【0074】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0075】
本発明の硬化性樹脂組成物は、パッケージ基板などのプリント配線板上に硬化被膜を形成するために好適に使用され、より好適には、永久皮膜を形成するために使用され、さらに好適には、ソルダーレジスト、層間絶縁層、カバーレイを形成するために、特に好適にはソルダーレジストを形成するために使用される。また、車載用途等の高温状態に晒されるプリント配線板のソルダーレジスト等の永久被膜の形成に好適に使用できる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0077】
[アルカリ可溶性樹脂の合成]
(合成例1:カルボキシル基含有樹脂A−1の合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のECON−104S(日本化薬社製、エポキシ当量=220)220部(1当量)を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート218部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.46部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン1.38部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸50.4部(0.7当量)、p−ヒドロキシフェネチルアルコール41.5部(0.3当量)を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物(水酸基:1.3当量)を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2部(0.6当量)を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られた感光性カルボキシル基含有樹脂の溶液は、不揮発分65質量%、固形物の酸価83mgKOH/gであった。以下、この溶液を(A)カルボキシル基含有樹脂A−1とする。
【0078】
(合成例2:カルボキシル基含有樹脂B−1の合成)
2リットル容のセパラブルフラスコに、エチルカルビトールアセテート411.4g、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[日本化薬社製、EOCN−103S、エポキシ当量215、軟化点83℃]430g及びアクリル酸144g(2モル)を仕込んだ。撹拌しつつ120℃まで加熱し、120℃を保ったまま10時間反応を続けた。いったん反応生成物を室温まで冷却し、無水コハク酸190g(1.9モル)を加え、80℃に加熱して4時間反応した。ふたたび、この反応生成物を室温まで冷却した。この反応生成物の溶液としての酸価は91mgKOH/gであり、樹脂としての酸価は140mgKOH/gであった。この反応生成物にグリシジルメタクリレート85.2g(0.6モル)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート45.9gを加え、撹拌しつつ110℃まで加熱し、110℃を保ったまま6時間反応を続けた。この反応生成物を室温まで冷却したところ、粘調な溶液が得られた。このようにして得られた感光性カルボキシル基含有樹脂の溶液の不揮発分は65質量%であり、溶液として56mgKOH/gの酸価を示した。この溶液を(B)カルボキシル基含有樹脂B−1とする。
【0079】
(実施例1〜3、比較例1、2)
下記の表1中に示す配合に従い、各成分を配合、攪拌して、3本ロールにて分散させて、それぞれ硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表1中の配合量は、質量部を示す。
【0080】
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
硬化性樹脂組成物を銅箔上に全面塗布し、80℃30分で乾燥し、マイラーフィルム上600mJ/cm
2で高圧水銀灯により光照射し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、1000mJ/cm
2で高圧水銀灯により光照射し、150℃60分で熱硬化させて硬化膜を得た。得られた硬化膜を銅箔上より剥離した。
硬化膜のガラス転移点を下記条件下で動的粘弾性測定(DMA)より求めた。
測定温度:−30〜300℃
昇温速度:5℃/分
【0081】
(破断点強度および破断点伸びの測定)
硬化性樹脂組成物を銅箔上に全面塗布し、80℃30分で乾燥し、マイラーフィルム上600mJ/cm
2で露光し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、1000mJ/cm
2で高圧水銀灯により光照射し、150℃60分で熱硬化させて得た硬化膜を銅箔上より剥離した。
硬化膜を幅約5mm、長さ約80mmの試験片に切断し、引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−100N)を用いて、破断点での強度と破断点伸び率を測定した。測定条件は、サンプル幅約10mm、支点間距離約40mm、引っ張り速度は1.0mm/分とし、破断点での引っ張り弾性率を破断点強度とし、破断点までの伸び率を破断点伸び率とした。
【0082】
(解像性の評価)
上記ガラス転移温度の測定と同様にして、銅上に、100μmの開口を有する硬化性樹脂組成物の硬化物パターンを形成し、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。得られた開口形状を確認し、以下の基準にて評価した。
○:硬化物の開口部壁面に凹凸が生じることなく、良好に開口できる。
△:硬化物に開口を形成することは可能であるが、開口部壁面に凹凸が生じる。
×:開口できなかった。
【0083】
【表1】
*1:合成例1で合成したカルボキシル基含有樹脂A−1(固形分0.65質量%)
*2:合成例2で合成したカルボキシル基含有樹脂B−1(固形分0.65質量%)
*3:日本化薬社製EPPN−201
*4:三菱化学社製jER YX−4000
*5:日本化薬社製KAYARAD DPHA
*6:信越シリコーン社製
*7:BASFジャパン社製イルガキュアTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
*8:堺化学社製
*9:有機溶剤
【0084】
上記表中に示す結果から、本発明の硬化性樹脂組成物から得られた硬化物は、ガラス転移温度が高く、強度および柔軟性に優れることがわかる。