特許第6783615号(P6783615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000002
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000003
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000004
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000005
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000006
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000007
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000008
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000009
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000010
  • 特許6783615-受信装置、及び受信制御方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783615
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】受信装置、及び受信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20201102BHJP
   H04B 1/06 20060101ALI20201102BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   H04B1/16 G
   H04B1/06 A
   H04L1/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-201173(P2016-201173)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2018-64182(P2018-64182A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浜口 友也
【審査官】 対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−103023(JP,U)
【文献】 特開平09−093225(JP,A)
【文献】 特開2009−105536(JP,A)
【文献】 特開平08−125557(JP,A)
【文献】 特開平08−251142(JP,A)
【文献】 特開平05−206789(JP,A)
【文献】 特開2002−064759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/06
H04B 1/16
H04L 1/00
H04L 1/08−1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが多重化された放送を受信する受信装置であって、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正部と、
前記エラー訂正部から出力される出力データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて所定の処理を実行する処理実行部と、
前記処理実行部が実行する前記所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記出力データを無効にする無効化制御部と、
を有し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信可能な放送局又は番組のリストを含む、受信装置。
【請求項2】
データが多重化された放送を受信する受信装置であって、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正部と、
前記エラー訂正部から出力される出力データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて所定の処理を実行する処理実行部と、
前記処理実行部が実行する前記所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記出力データを無効にする無効化制御部と、
を有し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信している放送局又は番組の情報を含む受信装置。
【請求項3】
データが多重化された放送を受信する受信装置であって、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正部と、
前記エラー訂正部から出力される出力データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて所定の処理を実行する処理実行部と、
前記処理実行部が実行する前記所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記出力データを無効にする無効化制御部と、
を有し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信している放送局又は番組から提供されるテキスト情報を含む受信装置。
【請求項4】
前記無効化制御部は、
前記処理実行部が実行する前記所定の処理が前記予め定められた処理と異なる処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記出力データを有効にする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項5】
前記予め定められた処理と異なる処理は、
指定された前記識別情報に対応する複数の放送のうち、受信状態の良い一の放送を選択する処理を含む請求項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記予め定められた処理と異なる処理は、
予め取得した代替周波数の情報を用いて、前記出力データに含まれる前記識別情報に対応する複数の放送のうち、受信状態の良い一の放送の周波数を受信する処理を含む請求項4又は5に記載の受信装置。
【請求項7】
データが多重化された放送を受信する受信装置による受信制御方法であって、
前記受信装置が、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正ステップと、
前記データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて実行する所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記データを無効にする無効化制御ステップと、
有効な前記データに含まれる前記識別情報を用いて前記所定の処理を実行する処理実行ステップと、
実行し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信可能な放送局又は番組のリストを含む、受信制御方法。
【請求項8】
データが多重化された放送を受信する受信装置による受信制御方法であって、
前記受信装置が、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正ステップと、
前記データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて実行する所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記データを無効にする無効化制御ステップと、
有効な前記データに含まれる前記識別情報を用いて前記所定の処理を実行する処理実行ステップと、
を実行し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信している放送局又は番組の情報を含む、受信制御方法。
【請求項9】
データが多重化された放送を受信する受信装置による受信制御方法であって、
前記受信装置が、
前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正ステップと、
前記データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて実行する所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記データを無効にする無効化制御ステップと、
有効な前記データに含まれる前記識別情報を用いて前記所定の処理を実行する処理実行ステップと、
を実行し、
前記予め定められた処理は、
前記情報取得ステップで取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、
前記利用者に提供する情報は、
前記受信装置が受信している放送局又は番組から提供されるテキスト情報を含む、受信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、及び受信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FM(Frequency Modulation)放送の音声信号に、例えば、受信中の放送局の情報や、受信中の番組に関する情報等のデータ信号を多重化して伝送するRDS(Radio Data System)が、主にヨーロッパ等で実用化されている。
【0003】
RDSで送信されるデータ(以下、RDSデータと呼ぶ)には、例えば、番組を識別するためのPI(Program Identification)コードや、同じ番組を放送している代替周波数の情報であるAF(Alternative Frequencies)データ等の様々な情報が含まれている。
【0004】
このPIコード及びAFデータを用いて、例えば、同一の番組を放送している、より受信品質の高い周波数を選択することにより、同一の番組の受信を継続するAF追従機能を有するRDS受信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、受信したRDSデータのエラー検出及びエラー訂正を行い、エラー検出結果及びエラー訂正数を出力するエラー訂正部を含むRDS受信装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−125557号公報
【特許文献2】特開2009−105536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されるようなAF追従機能では、PIコードやAFデータ等を含むRDSデータを、如何にして弱電界で取得できるようにするかが重要な課題となる。
【0008】
このような課題に対して、特許文献2のようにエラー訂正を行うことにより、RDSデータを受信する際の実質的な受信感度を改善する効果が得られるので、より電波が弱い所でもPIコードや、AFデータ等のRDSデータを取得することができるようになる。
【0009】
しかし、エラー訂正機能は、必ずしもエラーが発生していないことを保証するものではなく、例えば、エラー訂正されたPIコードが誤っていた場合、同じ番組であってもPIコードが異なる、すなわち、異なる番組であると識別されてしまうという問題がある。
【0010】
このような問題が発生すると、例えば、RDS受信装置が受信したRDSデータに基づいて、放送局リストを表示する場合、放送局名を表示する場合、放送局からのテキストメッセージを表示する場合等に、ユーザに誤った情報が提示されてしまう恐れがある。
【0011】
本発明の実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、データが多重化された放送を受信する受信装置において、弱電界におけるデータの受信性能を改善しつつ、エラー訂正の誤訂正によりユーザに誤った情報が提示されることを低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る受信装置は、データが多重化された放送を受信する受信装置であって、前記データに所定のビット数以下のエラーが含まれる場合、前記データのエラー訂正を実行するエラー訂正部と、前記エラー訂正部から出力される出力データから少なくとも前記放送を特定するための識別情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて所定の処理を実行する処理実行部と、前記処理実行部が実行する前記所定の処理が予め定められた処理である場合、前記エラー訂正が実行された前記出力データを無効にする無効化制御部と、を有し、前記予め定められた処理は、前記情報取得部が取得した前記識別情報を用いて、利用者に提供する情報を作成又は表示する処理を含み、前記利用者に提供する情報は、前記受信装置が受信可能な放送局又は番組のリストを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、データが多重化された放送を受信する受信装置において、弱電界におけるデータの受信性能を改善しつつ、エラー訂正の誤訂正によりユーザに誤った情報が提示されることを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るRDS受信装置の構成例を示す図である。
図2】一実施形態に係るRDSのデータフォーマットの一例を示す図である。
図3】一実施形態に係るエラー訂正の有無と受信感度との関係の一例を示す図である。
図4】一実施形態に係るRDS受信装置の処理の例を示すフローチャートである。
図5】一実施形態に係るPIの誤りが許容されない処理の例を示す図である。
図6】一実施形態に係る放送局リストの作成処理の一例を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係る放送局リストの例を示す図である。
図8】一実施形態に係る放送局リストの表示画面の例を示す図である。
図9】一実施形態に係る指定されたPI局の最適局を検索する処理の例を示すフローチャートである。
図10】一実施形態に係る放送局リストの作成処理の別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
<RDS受信装置の構成>
図1は、一実施形態に係るRDS受信装置の構成例を示す図である。RDS(Radio Data System)受信装置100は、FM(Frequency Modulation)放送の音声信号に、例えば、受信中の放送局の情報や、受信中の番組に関する情報等のデータ(以下、RDSデータと呼ぶ)を多重化して伝送するRDS放送を受信する受信装置である。
【0017】
図1において、RDS受信装置100は、アンテナ101、アンテナ分配器102、メインチューナ110、サブチューナ120、RDSデコーダ130、140、制御部150、オーディオプロセッサ103、記憶部104、操作部105、及び表示部106等を有する。
【0018】
なお、図1に示すRDS受信装置100の構成は一例である。例えば、記憶部104は制御部150に含まれていても良いし、操作部105又は表示部106はRDS受信装置100の外部に設けられていても良い。さらに、アンテナ101は、RDS受信装置100の内部に含まれていても良い。
【0019】
RDS受信装置100は、2つのチューナを有しており、メインチューナ110で放送、及び放送に多重化されたデータを含む電波を受信する。また、RDS受信装置100は、サブチューナ120を用いて、例えば、メインチューナ110で受信している放送の代替周波数の受信状態をチェックし、受信状態が良好な代替周波数にメインチューナを追従動作させるAF(Alternative Frequencies)追従等の処理を行う。
【0020】
アンテナ101は、複数の放送局から送信される放送、及び放送に多重化されたRDSデータを含むRDS放送の電波を受信する。アンテナ分配器102は、アンテナ101で受信した電波を、メインチューナ110、及びサブチューナ120に分配する。
【0021】
メインチューナ110は、制御部150からの制御に従って、RDS放送を受信する。メインチューナ110は、例えば、フロントエンド111、LPF(Loop Filter、又はLow Pass Filter)112、PLL(Phase Locked Loop)113、検波器114、マルチプレクサ115、Sメータ116等を含む。
【0022】
フロントエンド111は、アンテナ101、及びアンテナ分配器102を介して受信した電波を受信し、受信した電波を中間周波数に変換及び増幅して、検波器114に出力する。また、フロントエンド111は、受信した電波を中間周波数に変換するためのローカル信号を、PLL113からLPF112を介して出力される制御電圧に応じて生成し、生成したローカル信号をPLL113にフィードバックする。
【0023】
PLL113は、フロントエンド111からフィードバックされるローカル信号と、基準クロック信号との位相を比較し、ローカル信号の周波数が指定された周波数となるように制御する誤差信号を出力する。LPF112は、PLL113から出力された誤差信号から低周波成分を抽出して制御電圧を生成し、フロントエンド111に出力する。
【0024】
フロントエンド111は、LPF112から出力される制御電圧に応じた周波数のローカル信号を生成し、生成したローカル信号を用いて受信周波数の電波を中間周波数に変換する。
【0025】
検波器114は、フロントエンド111から出力された、中間周波数の信号を検波する。マルチプレクサ115は、検波器114から出力される検波出力信号を用いてオーディオ信号を生成し、ステレオ放送の場合は、L(左)、R(右)チャネルに分けて、オーディオプロセッサ103に出力する。
【0026】
Sメータ116は、検波器114の検波信号から受信中の電波の受信レベルを検出し、検出された受信レベルを示す信号又はデータを制御部150に出力する。
【0027】
サブチューナ120は、制御部150からの制御に従って、メインチューナ110と並行してRDSデータを受信する。サブチューナ120は、例えば、フロントエンド121、LPF122、PLL123、検波器124、Sメータ125等を含む。
【0028】
フロントエンド121は、アンテナ101、及びアンテナ分配器102を介して受信した電波を受信し、受信した電波を中間周波数に変換及び増幅して、検波器124に出力する。また、フロントエンド121は、受信した電波を中間周波数に変換するためのローカル信号を、PLL123からLPF122を介して出力される制御電圧に応じて生成し、生成したローカル信号をPLL123にフィードバックする。
【0029】
PLL123は、フロントエンド121からフィードバックされるローカル信号と、基準クロック信号との位相を比較し、ローカル信号の周波数が指定された周波数となるように制御する誤差信号を出力する。LPF122は、PLL123から出力された誤差信号から低周波成分を抽出して制御電圧を生成し、フロントエンド121に出力する。
【0030】
フロントエンド121は、LPF122から出力される制御電圧に応じた周波数のローカル信号を生成し、生成したローカル信号を用いて受信周波数の電波を中間周波数に変換する。
【0031】
RDSデコーダ130、140は、検波器114、124で検波された信号からL−MSK(Level controlled Minimum Shift Keying)変調信号成分を取り出し、L−MSK変調信号を復調してRDSデータを抽出する。また、図1の例では、RDSデコーダ130、140は、復調したRDSデータのエラー検出、及びエラー訂正を実行するエラー訂正部131、141を有している。なお、エラー訂正部131、141は、RDSデコーダ130、140の外部に設けられているものであっても良い。
【0032】
エラー訂正部131、141は、RDSデコーダ130、140が抽出したRDSデータを所定のブロック単位でエラー検出を行い、所定のビット数以下のエラーが検出された場合エラー訂正を実行する。また、エラー訂正部131、141は、エラー検出結果、エラー訂正結果等を制御部150に通知する。例えば、エラー訂正部131、141が出力する出力データには、エラー訂正が行われた場合、エラー訂正が行われたことを示す情報(例えばフラグ)が付与される。
【0033】
制御部150は、例えば、CPU(Central processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)等を含むマイクロコンピュータ、及びマイクロコンピュータで実行されるプログラム等によって実現される。例えば、制御部150は、フラッシュROM等に格納されたプログラムを実行することにより、受信制御部151、情報取得部152、無効化制御部153、処理実行部154、及び表示制御部155等を実現している。なお、制御部150の機能の少なくとも一部は、ハードウェアで実現されるものであっても良い。
【0034】
受信制御部151は、放送、及びRDSデータの受信処理を制御する。例えば、受信制御部151は、メインチューナ110、RDSデコーダ130等を制御して、放送、及び放送に多重化されたRDSデータ等を受信する。また、受信制御部151は、サブチューナ120、RDSデコーダ140等を制御して、メインチューナ110とは異なる周波数におけるRDSデータ等を受信する。
【0035】
ここで、RDS受信装置100が受信するRDSデータの例について説明する。
【0036】
図2は、一実施形態に係るRDSのデータフォーマットの一例を示す図である。RDSデータは、104ビットを1グループとするRDSグループ200単位で構成される。RDSグループ200は、ブロックA210、ブロックB220、ブロックC230、ブロックD240の4つのブロックで構成されている。さらに、各ブロックには、16ビットのデータ201と、10ビットのチェックワード202が含まれている。なお、RDSデータの伝送速度は、1187.5ビット/秒である。
【0037】
RDSグループ200のブロックA210には、放送(放送局、番組等)を特定するための識別情報であるPIコード(Program Identification Code)203が含まれている。
【0038】
ブロックB220には、RDSグループ200の種類を示すGT(Group Type code)、グループ放送の種類を示すPTY(Program Type)、GTの値によって異なるグループデータ204等が含まれる。また、ブロックB220には、交通情報を放送する場合にオンに設定されるフラグであるTP(Traffic Program Identification Code)等のデータが含まれる。
【0039】
ブロックC230には、RDSグループ200の種類によって異なるデータが含まれる。図2の例では、ブロックC230には、PIコード203と同じ放送を行っている他の周波数(代替周波数)の情報であるAF(Alternative Frequency)205が含まれている。
【0040】
ブロックD240には、RDSグループ200の種類によって異なるデータが含まれる。図2の例では、ブロックD240には、放送(放送局、番組等)の名前を示すPS(Program Service name segment)206が含まれている。
【0041】
RDSグループ200は、ブロックB220に含まれる4ビットの情報であるGTによりタイプ0〜15の16通りに区別され、さらに各タイプ0〜15に対応してそれぞれ2つのバージョン(A、B)が定義されている。なお、バージョンAに定義されたグループタイプについては、ブロックA210に必ずPIコード203が含まれている。また、バージョンBに定義されたグループタイプについては、ブロックA210に加えて、ブロックC230にもPIコード203が含まれている。図2に示すRDSグループ200は、タイプ0A(タイプ0、バージョンA)のフォーマットの例である。
【0042】
RDSグループ200の各ブロックに含まれる10ビットのチェックワード202は、RDS受信装置100のエラー訂正部131、141等が、エラーの検出、及び訂正を実行するときに用いられる。RDS受信装置100のエラー訂正部131、141は、各ブロックに含まれる10ビットのチェックワード202を用いて、所定のビット数(例えば2ビット)以下のエラーが検出された場合、データ201のビットエラーを訂正する。
【0043】
図3は、一実施形態に係るエラー訂正の有無と受信感度との関係の一例を示す図である。この図は、RDS受信装置100において、受信入力レベルを変化させて、250ms以内にPIを確定(取得)することができたか否かを試行した結果の一例を示している。
【0044】
図3において、2ビットのエラー訂正を行わない場合、RDS受信装置100は、入力レベルが20dBμV以上ないと、250ms以内にPIを確定することができなかったことを示している。また、2ビットのエラー訂正を行った場合、RDS受信装置100は、入力レベルが18dBμV以上ないと、250ms以内にPIを確定することができなかったことを示している。このように、例えば、2ビットのエラー訂正を行うことにより、実質的に受信感度を2dB程度向上させる効果が期待できる。
【0045】
ここで、図1に戻り、RDS受信装置100の制御部150の説明を続ける。
【0046】
制御部150に含まれる情報取得部152は、エラー訂正部131から出力される出力データから、PIコード203と、処理に必要な情報とを取得する。
【0047】
処理実行部154は、情報取得部152が取得した情報を用いて所定の処理を実行する。ここで、所定の処理には、例えば、受信可能な放送局リストの作成処理、放送局名の表示処理、放送局から通知されるテキストデータであるRT(Radio Text)の表示処理等が含まれる。また、所定の処理には、例えば、受信中の放送と同じPIを有する放送局、又は指定されたPIを有する放送局の中から最適な放送局を検索する処理、受信中の放送と同じPIを有する別の放送局へのAF追従処理、DAB−FMリンク処理等が含まれる。
【0048】
なお、DAB(Digital Audio Broadcasting)は、ヨーロッパにおけるデジタル音声放送である。例えば、FM放送の番組と同一内容の番組がDABで放送されている場合、FM放送のPIコードと、DABのPIコードとが一致するように管理されている。例えば、利用者がDABで番組を聴いているときに、DABのサービスエリアから外れた場合、RDS受信装置100は、DAB−FMリンク処理により、DABのPIコードと同じPIコードを有するFM放送を受信することができる。
【0049】
無効化制御部153は、処理実行部154が実行する所定の処理が、予め定められた処理である場合、エラー訂正部131によってエラー訂正が実行された出力データを無効にする。ここで、予め定められた処理とは、例えば、放送局リストを表示する処理、放送局名を表示する処理、放送局からのテキストメッセージを表示する処理等、PIに誤りがあると、ユーザに誤った情報が提示されてしまう処理が、予め定められているものとする。
【0050】
一方、無効化制御部153は、処理実行部154が実行する所定の処理が、予め定められた処理以外の処理である場合、エラー訂正部131によってエラー訂正された出力データを有効にする。
【0051】
なお、無効化制御部153が、エラー訂正された出力データを無効にする方法は、任意の方法であって良いが、例えば、予め定められた処理の中で無効化制御部153が、エラー訂正されたデータを破棄するものであって良い。或いは、無効化制御部153は、予め定められた処理を実行するとき、エラー訂正部141のエラー訂正機能をオフさせるもの等であっても良い。
【0052】
表示制御部155は、例えば、RDS受信装置100の操作画面や、処理実行部154による処理結果の表示画面等を表示部106に表示させる。
【0053】
オーディオプロセッサ103は、マルチプレクサ115から出力されるオーディオ信号に所定の信号処理を施し、オーディオ信号を出力する。
【0054】
記憶部104は、例えば、代替周波数リストや、処理実行部154によって作成された放送局リスト等の情報を記憶する不揮発性の記憶部であり、例えば、フラッシュROM等によって実現される。
【0055】
操作部105は、利用者の操作を受付ける入力キーや、タッチパネル等の入力デバイスである。表示部106は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
【0056】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係るRDS受信装置による受信制御方法の流れについて説明する。
【0057】
(RDS受信装置の処理)
図4は、一実施形態に係るRDS受信装置の処理の例を示すフローチャートである。図4に示す処理は、RDS受信装置100の処理実行部154が、前述した所定の処理を実行する際の処理の流れを示している。
【0058】
ステップS401において、RDS受信装置100の受信制御部151は、エラー訂正部のエラー訂正処理を有効に設定し、RDSデータの受信を開始する。例えば、受信制御部151は、処理実行部154が、現在受信中の放送の放送局名や、テキスト情報等を表示させる処理を行う場合、エラー訂正部131のエラー訂正機能を有効にし、メインチューナ110を用いてRDSデータの受信を開始する。また、受信制御部151は、処理実行部154が、現在受信中の周波数とは異なる周波数でRDSデータを取得する場合、エラー訂正部141のエラー訂正機能を有効にし、サブチューナ120を用いてRDSデータの受信を開始する。
【0059】
ステップS402において、RDS受信装置100の無効化制御部153は、処理実行部154が実行する所定の処理が、PIコード(以下、PIと呼ぶ)の誤りが許容される処理であるか、PIの誤りが許容されない処理であるかを判断する。なお、PIの誤りが許容されない処理は、予め定められた処理の一例である。また、PIの誤りが許容される処理は、予め定められた処理以外の処理の一例である。
【0060】
処理実行部154が実行する処理が、PIの誤りが許容される処理である場合、無効化制御部153は、処理をステップS403に移行させて、エラー訂正されたRDSデータを有効とする。
【0061】
一方、処理実行部154が実行する処理が、PIの誤りが許容されない処理である場合、無効化制御部153は、処理をステップS404に移行させて、エラー訂正されたRDSデータを無効とする。
【0062】
図5は、一実施形態に係るPIの誤りが許容されない処理の例を示す図である。
【0063】
PIの誤りが許容されない処理には、例えば、図5に示すように、取得したPIを用いて利用者に提供する情報を表示する処理や、取得したPIを用いて利用者に提供する情報を作成する処理等が含まれる。また、PIの誤りが許容されない処理の具体的な例として、例えば、受信可能な放送局リストを作成する処理、受信中の放送の放送局名を表示する処理、受信中の放送で提供されるRT等のテキスト情報を表示する処理等が含まれる。
【0064】
これらの処理では、取得したPIに誤りが含まれると、利用者に誤った情報が提示されてしまう恐れがある。エラー訂正部131によるエラー訂正機能は、必ずしもエラーが発生していないことを保証するものではないので、無効化制御部153は、これらの処理が実行される場合、利用者に誤った情報が提示されることがないように、エラー訂正されたRDSデータを無効にする。
【0065】
一方、PIの誤りが許容される処理は、例えば、図5に示すように、PIの誤りが許容されない処理以外の処理であり、例えば、取得したPIを、指定されたPIと照合する処理等が含まれる。また、PIの誤りが許容される処理の具体的な例として、受信中の放送のPI又は指定されたPIと同一のPIを有する放送局の中から最適な放送局を検索する処理、受信中の放送と同一のPIを有する他の放送局へのAF追従処理(AFフォロー処理)等が含まれる。さらに、RDS受信装置100が、DAB−FMリンク機能を有している場合、PIの誤りが許容される処理には、DAB−FMリンク処理等が含まれる。
【0066】
例えば、無効化制御部153は、図5に示すようなPIの誤りが許容されない処理を特定するための情報を記憶部104等に予め記憶しておくことにより、処理実行部154が実行する所定の処理が、PIの誤りが許容される処理であるかを判断することができる。
【0067】
図4に戻り、フローチャートの説明を続ける。
【0068】
ステップS405において、処理実行部154は、有効なデータを用いて所定の処理を実行する。例えば、処理実行部154が、PIの誤りが許容される処理を実行する場合、有効なデータには、エラー訂正部131で訂正されたRDSデータが含まれる。一方、処理実行部154が、PIの誤りが許容されない処理を実行する場合、有効なデータには、エラー訂正部131で訂正されたRDSデータが含まれない。
【0069】
上記の処理により、RDS受信装置100は、弱電界におけるデータの受信性能を向上させるエラー訂正処理を実行しつつ、エラー訂正の誤訂正によりユーザに誤った情報が提示されることを低減させることができるようになる。
【0070】
(放送局リストの作成処理)
図6は、一実施形態に係る放送局リストの作成処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す放送局リストの作成処理は、図4のステップS405において、処理実行部154が実行する所定の処理のうち、PIの誤りが許容されない処理の一例である。処理実行部154は、例えば、図6に示す処理を利用可能な全ての周波数で実行することにより、RDS受信装置100で受信可能な放送局リストを作成することができる。
【0071】
ステップS601において、RDS受信装置100の処理実行部154は、受信制御部151を用いて、処理の対象となる周波数に、例えば、サブチューナ120の受信周波数を設定する。
【0072】
ステップS602において、処理実行部154は、サブチューナ120から取得される各種情報(例えば、Sメータ125から取得した受信レベルの情報等)により、設定した受信周波数に放送局があるかを判断する。
【0073】
設定した受信周波数に放送局がない場合、処理実行部154は、当該受信周波数における処理を終了させて、例えば、次の受信周波数で同様の処理を実行する。一方、設定した受信周波数に放送局がある場合、処理実行部154は、ステップS603以降の処理を実行する。
【0074】
ステップS603において、処理実行部154は、情報取得部152を用いて、エラー訂正部141から出力されるRDSデータ(出力データ)を取得する。
【0075】
ステップS604において、無効化制御部153は、情報取得部152が取得したRDSデータのうち、エラー訂正部141によってエラー訂正が実行されたRDSデータ(出力データ)を無効にする処理を実行する。
【0076】
例えば、無効化制御部153は、情報取得部152が取得したRDSデータがエラー訂正されている場合、処理をステップS603に戻して、情報取得部152により新たなRDSデータを取得する。一方、無効化制御部153は、情報取得部152が取得したRDSデータがエラー訂正されていない場合、処理をステップS605に移行させる。
【0077】
なお、前述したように、エラー訂正部131、141が出力する出力データには、エラー訂正が行われた場合に、エラー訂正が行われたことを示す情報が付与されている。したがって、無効化制御部153は、情報取得部152が取得したRDSデータにエラー訂正が行われたことを示す情報が付与されているか否かにより、RDSデータがエラー訂正されているか否かを判断することができる。
【0078】
ステップS605において、処理実行部154は、取得したRDSデータからPIを取得する。例えば、処理実行部154は、図2に示すようなRDSグループ200のブロックA210に含まれているPIコード203を取得する。
【0079】
ステップS606において、処理実行部154は、PIの取得に成功したか否かによって処理を分岐させる。PIの取得に失敗した場合、処理実行部154は、当該受信周波数における処理を終了させる。一方、PIの取得に成功した場合、処理実行部154は、処理をステップS607に移行させる。なお、PIの取得の失敗には、例えば、RDSデータが配信されていない場合、PIが確定できない場合等が含まれる。
【0080】
ステップS607に移行すると、処理実行部154は、取得したPIが、例えば、記憶部104に記憶された図7(a)に示すような放送局リスト710に登録されているかを判断する。
【0081】
図7(a)は、一実施形態に係る放送局リストの一例を示している。図7(a)の例では、放送局リスト710には、「周波数」、「PI」、「AF」、「PS」、及び「PTY」等の情報が含まれている。
【0082】
「周波数」は、受信対象となる放送(例えばFM放送)の受信周波数の情報である。
【0083】
「PI」は、例えば、図2に示すようなRDSグループ200のブロックA210等から取得したPIコード203である。
【0084】
「AF」、例えば、図2に示すようなRDSグループ200のブロックC230等から取得したAF(Alternative Frequency)205の情報である。
【0085】
「PS」の情報は、例えば、図2に示すようなRDSグループ200のブロックD240から取得したPS(Program Service name segment)206を復号化した文字列であり、放送(又は番組)の名前等を示す情報である。
【0086】
「PTY」の情報は、例えば、図2に示すようなRDSグループ200のブロックB220等から取得したPTY(Program Type)の情報に対応する、放送の内容(ジャンル)等を示す情報である。
【0087】
図6のステップS607において、取得したPIが、例えば、図7(a)に示すような放送局リスト710に登録されている場合、処理実行部154は、取得したRDSデータから他のデータの取得は不要と判断し、当該受信周波数における処理を終了させる。一方、取得したPIが放送局リスト710に登録されていない場合、処理実行部154は、処理をステップS608に移行させる。
【0088】
ステップS608に移行すると、処理実行部154は、PIが放送局リスト710に登録されていない場合、新規の放送局であると判断し、取得したRDSデータから他の情報、例えば、前述したAF、PS、PTY等の情報を取得する。
【0089】
ステップS609において、処理実行部154は、ステップS605で取得したPIと、ステップS608で取得した情報とを対応付けて、例えば、図7(a)に示すような放送局リスト710に登録(記憶)する。
【0090】
処理実行部154は、上記の処理を、全ての受信周波数で実行することにより、例えば、図7(a)に示すような放送局リスト710を更新する。
【0091】
なお、仮に、図6のステップS604において、エラー訂正されたRDSデータを無効にせず、かつエラー訂正されたRDSデータ誤りが含まれる場合、例えば、図7(b)に示すような誤ったPIを含む放送局リスト720が作成される恐れがある。
【0092】
図7(b)の例は、放送局リストの作成処理において、周波数f1で取得したPIコードが、誤って「D31x」として取得された場合の一例を示している。この例では、放送局リスト720の周波数f1に、誤ったPIコードを含むデータ721が登録されている。このように、PIコードに誤りが含まれる場合、処理実行部154は、PIコードが放送局リスト720に登録されていないので、新規の放送局であると判断し、実際には存在しない放送局が放送局リスト720に登録されてしまう場合がある。
【0093】
図8は、一実施形態に係る放送局リストの表示画面の例を示す図である。
【0094】
図8(a)は、表示制御部155が、図7(a)に示す放送局リスト710を用いて、表示部106に表示させた放送局リストの表示画面810の例を示している。図8(a)の例では、放送局リストの表示画面810には、現在受信している放送の情報を表示する表示欄811と、受信可能な放送の一覧を表示する表示欄812とが表示されている。
【0095】
現在受信している放送の情報を表示する表示欄811には、例えば、図7(a)に示す放送局リスト710のPSに記憶された放送局名(又は番組名)と、PTYに記憶された放送の内容(ジャンル)とが表示されている。
【0096】
受信可能な放送の一覧を表示する表示欄812には、受信可能な放送局名(又は番組名)の一覧が選択可能に表示されており、現在受信中の放送局(FM DEF)に、受信中であることを示す表示要素813が表示されている。
【0097】
図8(b)は、表示制御部155が、図7(b)に示すような、誤ったPIを含む放送局リスト720を用いて、表示部106に表示させた放送局リストの表示画面820の例を示している。図8(b)の例では、受信可能な放送の一覧を表示する表示欄821には、周波数f1で実際に放送されている「FM ABC」の情報822に加えて、誤りを含むPIコードと対応付けて記憶された「FM ABC」の情報823が表示されている。
【0098】
このように、処理実行部154が、取得したPIを用いて利用者に提供する情報(例えば放送局リスト710)を作成する場合、PIに誤りが含まれていると、例えば、図7(b)に示すように、記憶部104に誤った情報が蓄積されてしまう場合がある。同様に、処理実行部154が、取得したPIを用いて利用者に提供する情報を表示する場合、PIに誤りが含まれていると、例えば、図8(b)に示すように、利用者に誤った情報が提示されてしまう恐れがある。
【0099】
本実施形態では、図6のステップS604において、無効化制御部153が、エラー訂正されたRDSを無効化する処理を行っているため、このような誤った情報が記憶部104に蓄積されること、及び表示部106に表示されることを低減させることができる。
【0100】
(指定されたPI局の最適局を検索する処理)
図9は、一実施形態に係る指定されたPI局の最適局を検索する処理の例を示すフローチャートである。図9に示すPI局の最適局を検索する処理は、図4のステップS405において、処理実行部154が実行する所定の処理のうち、PIの誤りが許容される処理の一例である。RDS受信装置100は、この処理により、利用者等から指定された放送局(以下、PI局と呼ぶ)を受信する際に、同じPIコードを有し、異なる周波数で放送を行っている他の放送局(以下、AF局と呼ぶ)の中から、最適な放送局を選択することができる。
【0101】
ステップS901において、RDS受信装置100の処理実行部154は、例えば、図7(a)に示すような放送局リスト710(又は代替周波数リスト等)から、指定されたPIコードを有するPI局のAF(代替周波数)の情報を取得する。
【0102】
ステップS902において、処理実行部154は、受信制御部151を用いて、取得した各AFの受信状態を確認する。例えば、処理実行部154は、受信制御部151を用いて、各AFの周波数にサブチューナ120の受信周波数を設定し、Sメータ125から出力される各AF局の受信レベルの情報を取得する。
【0103】
ステップS903において、処理実行部154は、所定の受信条件(例えば、受信レベルがPI局の受信レベル以上等)を満たすAF局があるかを判断する。
【0104】
所定の受信条件を満たすAF局がない場合、処理実行部154は、処理をステップS911に移行させて、指定されたPI局の周波数を受信周波数として、放送音声の出力を開始する。
【0105】
一方、所定の受信条件を満たすAF局がある場合、処理実行部154は、ステップS904以降の処理を実行する。
【0106】
ステップS904に移行すると、処理実行部154は、所定の受信条件を満たすAF局を候補とし、候補となるAF局の中から受信状態が最も良いAF局を選択する。
【0107】
ステップS905において、処理実行部154は、選択されたAF局のRDSデータを取得する。
【0108】
このとき、無効化制御部153は、例えば、図6のステップS604に示すような、エラー訂正が実行されたRDSデータを無効にする処理を行わない、すなわち、エラー訂正されたデータを有効にする。
【0109】
ステップS906において、処理実行部154は、取得したRDSデータからPI(PIコード)を取得する。
【0110】
ステップS907において、処理実行部154は、RDSデータからPIを取得できたか否かに応じて処理を分岐させる。
【0111】
RDSデータからPIを取得できない場合、処理実行部154は、PI局と同一の放送(又は番組)と判断できないので、選択されたAF局を受信不可として、処理をステップS910に移行させる。ステップS910に移行すると、処理実行部154は、ステップS904で選択されたAF局を候補から除外して、ステップS903以降の処理を再度実行する。
【0112】
一方、RDSデータからPIを取得できた場合、処理実行部154は、処理をステップS908に移行させる。
【0113】
ステップS908に移行すると、処理実行部154は、RDSデータから取得したPIが、指定されたPIと一致するかを判断する。
【0114】
取得したPIが指定されたPIと一致しない場合、処理実行部154は、選択されたAF局が、PI局と同一の放送(又は番組)を提供していないと判断し、処理をステップS910に移行させる。
【0115】
一方、取得したPIが指定されたPIと一致する場合、処理実行部154は、処理をステップS909に移行させる。
【0116】
ステップS909に移行すると、処理実行部154は、選択されたAF局の周波数を受信周波数として、放送音声の出力を開始する。
【0117】
上記の処理では、例えば、ステップS906で取得したPIに誤りが含まれていても、指定されたPI局、又は別のAF局が選択されるので、利用者に誤った情報が提供されることはない。また、選択されたAF局のPIに誤りが含まれているということは、受信レベルは高くても受信品質は悪い(例えば、他の妨害となる電波が混入している場合等)と考えられるので、PIに誤りが含まれていても実質的に影響はほとんどないと考えられる。
【0118】
以上、本実施形態に係るRDS受信装置100は、処理実行部154が実行する所定の処理が予め定められた処理である場合、エラー訂正が実行された出力データを無効にする。これにより、本実施形態によれば、データが多重化された放送を受信するRDS受信装置100において、弱電界におけるデータの受信性能を改善しつつ、エラー訂正部131の誤訂正によりユーザに誤った情報が提示されることを低減させることができる。
【0119】
なお、無効化制御部153が、図6のステップS604で、エラー訂正されたRDSデータを無効化する処理は一例であり、無効化制御部153は、他の方法により、エラー訂正されたRDSデータを無効化するものであっても良い。
【0120】
図10は、一実施形態に係る放送局リストの作成処理の別の一例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、図6に示す放送局リストの作成処理におけるステップS604の処理に代えて、ステップS1001、S1002の処理が追加されている。なお、図10に示す処理のうち、ステップS601〜S603、及びステップS605〜S609の処理は、図6に示す放送局リストの作成処理と同様なので、ここでは、図6に示す処理との相違点を中心に説明する。
【0121】
ステップS1001において、RDS受信装置100の無効化制御部153は、処理実行部154が放送局リストの作成処理を開始する前に、例えば、エラー訂正部141のエラー訂正機能をオフに設定する。
【0122】
また、処理実行部154がステップS601〜S609の処理を終えた後、ステップS1002において、無効化制御部153は、エラー訂正部141のエラー訂正機能をオンに設定する。
【0123】
上記の処理により、エラーを含むRDSは、エラー訂正部141で破棄されるので、無効化制御部153は、エラー訂正されたRDSデータを無効にすることができる。
【符号の説明】
【0124】
100 RDS受信装置(受信装置)
141 エラー訂正部
152 情報取得部
153 無効化制御部
154 処理実行部
710 放送局リスト
810 放送局リストの表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10