(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
MRI装置では、高周波磁場である核磁気共鳴信号を受信するために受信用RFコイル(以下、受信コイル)が用いられる。受信コイルには、広い感度分布を持ち全身撮像用として用いられるボディーコイルと、狭い領域で高い感度分布を持ち局所撮像に好適な表面コイル(局所コイルともいう)とがある。一般的なMRI装置には、標準でガントリーにボディーコイルが内蔵されており、撮像条件を決めるためのプリスキャンなどでは、ボディーコイルを用いた撮像で得られた情報も利用される。
【0003】
MRI装置で得られる画像は、受信コイルの感度分布の影響を受ける。特に表面コイルは感度が高いものの感度分布の均一性に劣る。このため、撮像後の画像は、受信コイルの感度分布の影響を排除するための受信コイルの感度情報を用いた補正(感度補正)が行われる。
【0004】
感度補正の精度を高めるためには正確な感度情報が必要である。受信コイルの感度情報は、例えば、均質なファントムの画像から得られる(即ち、当該画像自体が感度情報である)が、受信コイルの感度は、被検体(例えば人体)が存在するときと、ファントムを用いたときとでは異なる。被検体が存在する条件で受信コイルの感度を求めるため、被検体を撮像して得たデータを用い、低周波領域のデータのみを用いた再構成やフィルター処理等の画像処理によって受信コイルの感度分布を求める技術(自己参照型補正)がある(例えば特許文献1〜3)。特許文献3には、自己参照型補正の改良技術として、B1マップを用いて補正したプロトン強調画像をフィルタリングして受信感度分布を得る技術が開示されている。
【0005】
また表面コイルは感度が不均一なのでリファレンススキャンを行い、比較的均一なボディコルとの比で感度を補正することも提案されている(特許文献4)。
表面コイルの感度分布とボディーコイルの感度分布の比は被検体のリファレンススキャンで求めることができるので、表面コイルで撮像したときに比較的均一なボディーコイルの感度むら程度に補正することはできる。しかし、ボディーコイルの感度分布が均一でないときにはボディーコイルの感度分布補正も必要になる。その際、自己参照のような手法でボディーコイルの感度分布を求めると、参照画像のコントラストによっては失敗することがある。
【0006】
さらに、ボディーコイルを用いた補正後に残るボディーコイルの感度不均一を補正するためにさまざまな技術が提案されている(特許文献5〜8)。例えば、特許文献5には、複数のコイルから得た画像を用いて画像の初期値を推定し、これにhomomorphic filterと多チャンネルブラインドデコンボリューションを作用させて感度分布を得る手法が提案されている。
【0007】
また特許文献6には、表面コイルと同じ領域において感度分布がほぼ均一と見做せるボディーコイルで得た画像を用いて、表面コイルの感度分布情報を補正する技術が採用されている。
【0008】
さらに特許文献6に記載された技術では、ボディーコイルの不均一性を画像処理で補正している。また、参照とするボディーコイルの感度分布を補正した後、補正後のボディーコイルの感度分布を用いて表面コイルの感度分布を求める技術も提案されている。例えば、特許文献7には、送信感度と受信感度は等しいという前提のもと、送信コイルのB1分布をシミングで均一にして、受信コイルの受信感度を補正する技術が開示されている。
特許文献8では、複数TEの撮像でT2を求め、T2から組織とそのプロトン密度を推定してT2とプロトン密度から撮像時のTEでの参照画像を作成し、感度マップを求める技術が開示されているが、この技術では、T2の計測が必要になる上に、様々な誤差(T2とプロトン密度の対応、計算されるT2値)に影響される恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に、本発明が適用されるMRI装置の全体概要を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るMRI装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、静磁場発生部2と、傾斜磁場発生部3と、送信部5と、受信部6と、信号処理部7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えている。
【0017】
静磁場発生部2は、被検体1の周りの空間に均一な静磁場を発生させるもので、永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生装置を備える。発生する磁場の方向により、垂直磁場方式、水平磁場方式などがあり、本発明はいずれの方式にも適用できる。
【0018】
傾斜磁場発生部3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成り、シーケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzを印加する。これら3軸方向の傾斜磁場の組み合わせにより、任意の方向の傾斜磁場を発生することができる。例えば、撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0019】
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信部5、傾斜磁場発生部3、および受信部6に送る。
【0020】
送信部5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとを備える。高周波発振器11から出力されたRFパルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調されたRFパルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された送信コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
【0021】
受信部6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル) 14bと信号増幅器15と直交位相検波器16とA/D変換器17とを備える。送信コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された受信コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理部7に送られる。
【0022】
信号処理部7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、その機能の一部はCPU8により実現される。信号処理部7(CPU8)が行う処理には、被検体1の画像再構成や被検体の特性を示す数値の演算、受信コイル感度等の装置の特性を用いた信号や処理結果の補正などが含まれる。
【0023】
信号処理部7は、光ディスク、磁気ディスク等の外部記憶装置18と、CRT等からなるディスプレイ19と、トラックボール又はマウス、キーボード等から成る操作部20とを備えている。受信部6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ19に表示すると共に、外部記憶装置18の磁気ディスク等に記録する。CPU8は、上述した処理を行う計算部として機能するとともにシーケンサ4や装置全体の制御を行う制御部として機能する。
【0024】
操作部20は、MRI装置の各種制御情報や信号処理部7で行う処理の制御情報を入力するもので、ディスプレイ19に近接して配置され、操作者がディスプレイ19を見ながら操作部20を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0025】
なお、
図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生部2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0026】
送信コイル14aと受信コイル14bとは、別個の高周波コイルでもよいが、一つの高周波コイルが送信コイル14aと受信コイル14bを兼ねる場合もある。また送受信を兼ねる全身用コイルと、それとは別の局所コイル等の高周波コイルを組み合わせて用いる場合も有る。本発明が適用されるMRI装置では、少なくとも一つの高周波コイルとして、複数の受信チャンネルを持つ受信コイルを備える。「複数の受信チャンネルを持つ」ということは、複数の小型受信コイルを組み合わせた受信コイルであって、各小型受信コイルがそれぞれNMR信号を受信する受信コイル、例えばマルチアレイコイルであること、受信コイルとしては一体であるが受信ポートを複数持ち、各受信ポートがそれぞれNMR信号受信する受信コイル、例えばバードケージ型コイル等であること、のいずれも含む趣旨である。以下、これらを総称して「多チャンネル受信コイル」或いは「多チャンネルコイル」という。
【0027】
次に、上述した構成のMRI装置の撮像及び信号処理の概要を、
図2のフローを参照して説明する。なお以下の説明では、静磁場発生部2、傾斜磁場発生部3、シーケンサ4、送信部5、及び受信部6を総括して撮像部100ともいう。
【0028】
まずMRI装置の静磁場空間に被検体1を配置し、撮像部100を駆動し撮像を行う。撮像は位置決め等のためのリファレンススキャン(S101)と、本撮像(S103)とを含み、少なくともリファレンススキャンは、多チャンネルコイル、例えば全身用コイルを用いる。信号処理部7は、リファレンススキャンで取得したNMR信号を用いて参照画像を作成し(S103)、本撮像により得られたNMR信号を用いて、目的とする画像を作成する(S104)。目的とする画像には、プロトン密度画像、拡散強調画像等の強調画像、それら画像から派生する計算値画像などが含まれる。画像作成ステップS104には、予め取得或いは算出した、受信コイルの感度マップを用いた感度むらの補正(以下、単に感度補正という)(S1042)が含まれる。
【0029】
以下、詳述する実施形態のMRI装置では、受信コイルの感度マップの算出において、予め取得した多チャンネルコイルの感度マップとリファレンススキャンのデータが用いられる。具体的には、各チャンネルの感度マップとリファレンススキャンで得られた各チャンネルの参照画像を用いて座標変換式を導出し、この座標変換式を適用して、被検体存在時の受信コイルの受信感度マップを作成する(S1041)。信号処理部7は、この受信感度マップを用いて感度補正(S1042)や画像再構成に必要な演算を行い、画像を作成する。
【0030】
上述した信号処理部7の計算部として機能は、CPU8に備えられたメモリ(記憶部)やCPU8に組み込まれたプログラム等のソフトウェアを実行することで実現することができる。またその一部の機能をASICやFPGAなどのハードウェアで実現してもよい。
以上の概要を踏まえ、以下、信号処理部7が行う処理の各実施形態を説明する。
【0031】
<第一実施形態>
本実施形態は、多チャンネルコイルからで得たデータを用い座標変換式を作成し、被検体存在時の感度マップを作成する。本実施形態は、さらに、多チャンネルコイルについて作成された感度マップを用いて、本撮像に用いられた表面コイルの感度を補正する。
【0032】
本実施形態における信号処理部7は、
図3の機能ブロック図に示すように、受信コイルの感度情報に関する種々の計算を行う感度計算部30と、NMR信号から画像を作成する画像作成部40とを含む。感度計算部30は、さらに、あらかじめ取得した多チャンネルコイルの各チャンネルに対する感度マップに相当する情報を保存する感度マップ保存部(記憶部)31と、各チャンネルの感度マップの分布の違いを被検体に対するリファレンススキャンで得られる参照画像に内在する感度マップの分布の違いと揃えるような座標変換を決定する感度マップ座標変換決定部32と、あらかじめ取得したコイルの感度マップをその座標変換で変換することで被検体存在時の感度マップ(予め取得した感度マップと区別して受信感度マップと呼ぶ)を作成する感度マップ作成部33と、を備える。画像作成部40には、感度マップ作成部33が作成した受信感度マップを用いて感度補正を行う感度補正部41が含まれる。感度マップ座標変換決定部32は、指標算出部321と座標変換式算出部322を含む。
【0033】
感度マップ保存部31に保存されている多チャンネルコイルの感度マップは、
図4に示すように多チャンネルコイル全体の感度マップSwと、多チャンネルコイルを構成する各チャンネルの感度マップSn(nはn番目のチャンネルであることを示し、チャンネル数を最大値とする整数)を含む。これら感度分布は、本撮像の対象である被検体とは異なるファントムなどで取得または計算機シミュレーションなどで作成されたものであり、被検体がセットされた時の感度マップとは異なる。
【0034】
次に信号処理部7の処理の詳細を説明する。
図4は信号処理部7の処理のフローを示す図であり、ここでは、前提として
図2のステップS101において、感度マップが感度マップ保存部30に保存されている多チャンネルコイルを用いたリファレンススキャンが行われ、リファレンススキャン(S101)により各チャンネルで得られたNMR信号から参照画像が作成されているものとする。
【0035】
信号処理部7(感度マップ座標変換決定部32)は、この参照画像を用いて、各チャンネルの感度マップSnの分布の違いを被検体に対するリファレンススキャンと揃えるような座標変換を決定する。具体的には、まず、指標算出部321が、感度マップ保存部31に保存されている各チャンネルの感度マップの対応画素間の関係(第一の指標マップ)を算出する(S401)。対応画素間の関係は、各チャンネルの感度分布の関係の指標となるものであり、例えば、各チャンネルの画素値の比、画素値をベクトル要素とするベクトル、当該ベクトルの偏角などを用いることができる。感度マップの全画素について指標を算出することで、指標を画素値とするマップ(指標マップ)が得られる。なお
図4では第一の指標マップを算出するステップS401を、参照画像作成後に行っているものとして記載しているが、第一の指標マップは各チャンネルの感度マップがあれば算出できるので、撮像に先立って指標算出部321が算出し、予め感度マップ保存部30に保存しておいてもよい。
【0036】
指標算出部321は、S102で作成された各チャンネルの参照画像を用いて、各チャンネルの参照画像の対応する画素間の関係(第二の指標マップ)を算出する(S402)。ここで用いる指標は、第一の指標マップの指標と同じものとする。即ち、第一の指標がベクトルであればベクトル、ベクトルの偏角であればベクトルの偏角とする。続いて座標変換式算出部322が、S401で算出した第一の指標マップを、S402で算出した第二の指標マップに一致させる座標変換式を求める(S403)。
【0037】
座標変換式算出方法について、2チャンネルコイルの場合を例にして説明する。
図5に座標変換式算出処理を模式的に示す。感度マップ保存部30に保存されているチャンネル1(ch1)の感度マップをS
1(r)、チャンネル2(ch2)の感度マップをS
2(r)とする。「r」は、画素の座標を示す。これら各チャンネルの画素値を要素とするベクトルS
12(ここでは2次元ベクトル)の偏角φ
12(r)を算出する。偏角φは画素毎に求められる。これを感度マップの対応画素間の関係を表す偏角分布(第一の指標マップ)とする。
【0038】
またチャンネル1(ch1)の参照画像をR
1(r)、チャンネル2(ch2)の参照画像をR
2(r)とし、各チャンネルの画素値を要素とするベクトルR
12の偏角θ
12(r)を算出する。偏角θは画素毎に求められる。これを感度マップの画素間の関係を表す偏角分布(第二の指標マップ)とする。
【0039】
次に次式に従い、偏角φと偏角θとの差を最小とする座標変換式を求める。具体的には、例えばxy平面での平行移動と拡大縮小の場合、平行移動と拡大縮小の4つのパラメータ(x方向及びy方向の移動量、x方向及びy方向の拡大率)を1画素に相当する量、変化させながら探索を行い、式(1)を最小とする位置を決定する。
[数1]
Σ|(φ
12(r)−θ
12(r’))
2 | (1)
【0040】
座標変換式は、例えば式(2)或いは式(2’)で表すことができる。
【数2】
式(2’)はrをx−y座標で表した時のアフィン変換を示し、拡大・縮小、平行移動、及び回転を含む。
【0041】
以上の説明は、2チャンネルの例であるが、3チャンネル以上でもよく、n(nは2以上の整数)チャンネルの場合は、各チャンネルの感度を要素とするn次元ベクトルの成す角が0になるように座標変換をすれば良い。その際、チャンネル感度の全体的なずれを吸収するために、各チャンネルの感度にかける係数も変化させて成す角を0に近づけても良い。また上述した座標変換は一例であり、その他、座標変換には公知のレジストレーション技術、剛体レジストレーションや非剛体レジストレーションなどを採用してもよい。例えばチャンネル間の画素値の比やベクトルの偏角を求めてからレジストレーションを行ってもよいし、ベクトルのまま複数チャンネルを持つデータとしてレジストレーションを行ってもよい。さらにベクトルの大きさを規格化してからレジストレーションを行うなど、対象とするデータ形式も任意に変更できる。
【0042】
ステップS403により、座標変換式F(r→r’)が定まったならば、この座標変換式を用いて、感度マップ保存部30に保存されている多チャンネルコイルの感度マップSwを座標変換し、被検体の受信感度を含む感度マップS’w(受信感度マップ)を得る(S404)。
【0043】
次に、表面コイルについて予め取得した座標変換式を導出した多チャンネルコイルの感度マップに対する比としての感度マップCに、S404で得た受信感度マップS’wをかけることで表面コイルの感度マップを求め、本撮像で取得した画像を補正する(S405:感度補正)。
【0044】
本撮像で得た画像Iの感度補正(S405)は、この補正後感度マップS’wと、本撮像に用いた受信コイルの座標変換式を導出した多チャンネルコイルの感度マップに対する比としての感度マップCとを用いて次式により行う。
[数3]
I’(x、y)=I(x、y)/(C×S’w) (3)
【0045】
なお式(3)における「C×S’w」は、式(3)の計算の前に算出しておいてもよいし、一度に式(3)補正後の画像I’ を算出してもよい。また式(3)が発散しないために、右辺の分母をゼロにしないための処理、例えば感度がゼロになる領域を計算から排除する処理や一定値を挿入する処理などの公知技術、を行ってもよい。
【0046】
上述の例では本撮像には表面コイルを用い、座標変換式を導出した多チャンネルコイルの感度マップに対する比としての表面コイルの感度マップCをリファレンススキャンで求めたが、本撮像に用いた受信コイルが、座標変換式を導出した多チャンネルコイルと同一の受信コイルの場合には、
図6のように、S404で得た受信感度マップS’wを用いて、従来の感度補正と同様に本撮像で得た画像の感度補正を行う(S406)。
【0047】
以上の例では、感度マップ各点での偏角の差の2乗和を最小にしたが、式(3)のかわりに式(4)のように比較する領域で平均値がそろうようにオフセットを加えてから感度マップ各点での偏角の差の2乗和を最小にする方法などを採用してもよい。
[数4]
Σ|((φ
12(r)−Avg(φ
12(r)))−(θ
12(r’)−Avg(θ
12(r’))))
2|
(4)
ここで、Avgは比較する領域での平均を表す。
【0048】
また上述の例では、各チャンネルの感度マップ間或いは参照画像間の関係性を示す指標として偏角を用いたが、二つの指標(第一の指標と第二の指標)が同じであれば、偏角に限らず、例えば、各チャンネルの感度マップ或いは参照画像の画素値の比、差分など別の指標を用いることも可能である。
【0049】
次に、第一実施形態による補正の効果について
図7を用いて説明する。
図7はリファレンススキャンの撮像条件をコントラストが生じるような条件にした頭部の撮像結果で、下側は撮像した画像であり、上側は画像上のプロファイルライン上のプロファイルを示す図である。また
図7において、左(a)が補正なしの画像、中央(b)は従来法(ボディーコイルの参照画像にローパスフィルターをかけたものをボディーコイルの感度マップとする方法)で感度補正した画像、右側(c)は第一実施形態の手法(あらかじめファントムで取得した感度マップを変形してボディーコイルの感度マップとする方法)で感度補正した画像である。
【0050】
これらの結果からわかるように、補正なしの結果(a)は、ラインプロファイルを見ると本来左右対称のところ、輝度値に差があることがわかる。従来法の結果(b)では、リファレンススキャンで生じた影響が補正されず、ラインプロファイルを見ると左右の差が残っていることがわかる。一方、本実施形態の結果(c)では、従来法(b)と同じリファレンススキャンを使用しているが、左右の差がなくなっていることがわかる。
【0051】
本実施形態によれば、多チャンネルコイルの各チャンネルの感度分布間の関係性を示す第一の指標と、同コイルの各チャンネルで得た参照画像間の関係性を示す第二の指標とを一致させる座標変換式を求めておき、当該座標変換式を用いて被検体の感度を含む受信コイルの受信感度マップを作成する。これにより、感度補正の精度を向上することができる。
【0052】
また本実施形態によれば、多チャンネルコイルの感度マップを作成する際に、感度マップがリファレンススキャンのコントラストに影響されにくくなるという点がある。なぜなら、例で用いた指標のチャンネル間の比ではコントラストが割り算により消えるというように、コントラストを打ち消すような指標をとれるからである。従ってコントラストを気にせず、リファレンススキャンの撮像パラメータを設定できるようになるので、リファレンススキャンのTEを調整して撮像音を低減するということも可能になる。
【0053】
なお以上の実施形態では、画像全体を座標変換式により補正された受信コイルの感度マップ又はそれにより補正された別の受信コイルの感度マップを用いて感度補正を行う例を説明したが、他の感度補正と組み合わせても良い。たとえば、2D撮像でも3D撮像でも、体軸に垂直な方向の感度マップとして本実施形態の被検体感度を含む受信感度マップを用いて感度補正を行い、体軸方向の感度補正は従来の感度補正で行っても良い。
【0054】
また以上の実施形態では、受信感度補正について説明したが、従来の受信感度補正技術と同様に、送信感度補正やフィルター処理などさらに他の補正や画像処理を行っても良いことは言うまでもない。
【0055】
<第二実施形態>
本実施形態においても、感度マップ保存部31に保存された各受信チャンネルの感度マップから算出した第一指標と、各チャンネルの参照画像を用いて算出した第二指標とを一致させる座標変換式を用いて、基準コイルの感度分布を補正して、感度補正に用いることは第一実施形態と同じである。本実施形態は、その前提である多チャンネル受信コイルの感度分布(感度マップ保存部に格納された感度マップ)の取得手法に特徴がある。
【0056】
感度分布の取得手法には、大きく分けて、ファントムを用いる方法と、シミュレーションによる方法とがあり、いずれの方法を採用してもよい。本実施形態では、シミュレーションで感度マップを作成し、それをファントム撮像で得た感度マップで補正する手法を説明する。
【0057】
本実施形態における信号処理部7の、主として感度計算部の機能ブロック図を
図8に示す。図示するように感度計算部30は、感度マップ保存部31、感度マップ座標変換決定部32及び感度マップ作成部33に加えて、受信コイルの初期感度マップ(被検体が存在しないときの感度マップ)を算出するシミュレーション部35と、シミュレーション部35が算出した初期感度マップをファントム撮像で得た画像に合わせる初期感度マップ調整部36とを有する。
【0058】
以下、
図9を参照して、本実施形態の信号処理部7の処理を説明する。
まずシミュレーション部35は、感度マップをFDTD法など公知のシミュレーション技術により算出する(S801)。シミュレーションでは、ファントムのサイズ、物性値、対象とする受信コイルのサイズ、キャパシタやインダクタの値、素子間のサイズ等を設定し、磁気共鳴周波数の信号を流したときの感度分布(感度マップ)を算出する。本実施形態では、
図10に示すように、大きな被検体にも対応できるように、シミュレーションではファントムで得られる感度マップD(
図10(b))よりも大きなファントムを設定することもできる。これにより、
図10(a)に示すような初期感度マップSを得る。
【0059】
次に初期感度マップ調整部36が、シミュレーション結果である初期感度マップSを、実際にファントムを撮像して得た感度マップDに近づける修正を行う(S802)。ここで、ファントム撮像はアディアバティックパルスを用いて送信不均一の影響を取り除くなどして受信感度だけを取り出せるようにする。B1マップを求めて送信不均一の影響を取り除いても良い。また、表面コイルを置いて表面コイルの影響を含めた受信感度にしても良い。
【0060】
初期感度マップSをファントム撮像の感度マップDに近づける方法として、具体的には、各チャンネルの初期感度マップに対し式(5)による座標変換(回転、平行移動、拡大縮小)と、チャンネルi毎に異なる定数Kiの掛け算とを繰り返し、S’i(r)とD(r)との差を最小化する座標変換式及び定数を算出する。ここで初期感度マップとファントム画像との差分は、それぞれ被検体(ファントム)が存在する領域について比較する。
[数5]
S’i(r)=Ki×Si(f(r)) (5)
式中、fは、座標変換式f(r→r’)を表す。
【0061】
最小化の手法は、シミュレーションで求めた初期感度マップとファントム画像との差の2乗の平均を用いる方法など公知の手法を用いることができるが、ここでは両者を厳密に一致させる必要はなく、おおまかな修正でよい。
【0062】
最後に大まかに修正したシミュレーション感度マップS’(r)でファントム撮像画像Dを割って係数(画素毎の係数)βを求め、この分布を持つ係数βを修正後のシミュレーション感度S’(r)に掛ける(S803)。この際、係数βの分布を滑らかにするためにメディアンフィルターやローパスフィルターなどで平滑化する。またファントム撮像画像Dにおいて被検体(ファントム)が存在しない領域の画素については、被検体が存在する領域で算出した係数βを外挿する(S804)。
外挿は公知の技術を用いることができるが、係数βは、シミュレーションが完全であれば恒常的に1となる性質のものであるため、単純な処理で安定に外挿できる。例えば、外挿すべき点に最も距離が近い位置の点の係数で置き換えるという処理でも良い。
【0063】
以上の処理により、シミュレーションで求めた初期感度マップの修正が完了する。修正された感度マップ(
図10(c))は、第一実施形態で説明した受信感度マップ(被検体に対する感度マップ)の作成に用いられる。
【0064】
本実施形態のMRI装置は、記憶部(感度マップ保存部)に記憶する複数の受信チャンネルの感度マップが、シミュレーションで得た感度画像をファントム画像で補正した感度マップである。本実施形態によれば、感度マップ作成に用いる被検体以外での感度マップをファントムサイズや物性値などを自由に設定して作成できる。
【0065】
なお以上の説明では、初期感度マップをファントム撮像結果におおまかに近づくように修正する処理S802で、チャンネルごとに同じ座標変換(回転と平行移動と拡大縮小)と、チャンネルごとに異なる定数の掛け算を行ったが、この方法に限らない。たとえば、チャンネルごとに異なる定数の掛け算のみを行っても良いし、定数の掛け算を省略してもよい。
【0066】
また以上の説明では、シミュレーションで大きなファントムを設定して、ファントム撮像結果に合うように補正したが、ファントム撮像と同じファントムのシミュレーション結果から、補正(回転、拡大縮小、平行移動、増幅、係数)を求めたうえで、その補正を大きなファントムのシミュレーション結果に適用して感度マップ(感度マップ保存部に格納すべき感度マップ)を作成してもよい。
【0067】
また、以上の説明では一つの感度マップ(感度マップ保存部に格納すべき感度マップ)を作成する場合を説明したが、被検体の条件(位置やサイズなど)に応じて使い分けられるように、条件の異なるあらかじめ感度マップを複数用意しても良い。
【0068】
<第三実施形態>
本実施形態では、撮像用の受信コイルの感度マップとして位相情報を含む感度マップを作成することが特徴である。位相情報を含む感度マップを得ることで、感度むらの補正(いわゆる感度補正)のみならず、受信コイル感度マップをパラレルイメージングに利用することも可能となる。
【0069】
本実施形態では、感度マップ保存部31は、複数チャンネルの受信コイルの各チャンネルの感度マップを複素数で保存している。例えば、均質なファントムを撮像することで受信コイルが得た信号は、信号強度と位相を含む複素データであるが、感度むらのみを補正する場合には、感度の絶対値である信号強度のみがあればよく、信号強度が感度マップである。しかし、本実施形態は、位相情報も利用することで、例えば画像再構成演算に、位相を含む受信感度情報を用いるパラレルイメージング等への適用を可能にする。
【0070】
本実施形態の感度マップ作成部が受信感度マップを作成する対象となる受信コイルは、別の撮像用表面コイルの感度マップを補正するための多チャンネルコイルでもよいが、好適には、それ自体が撮像用の多チャンネルコイルとなる。以下の説明では、撮像用の多チャンネルコイルである場合を説明する。感度マップ保存部31以外の信号処理部7の構成は、
図11に示すように、第一実施形態において
図3に例示した機能ブロック図の構成に、複素数を扱うために絶対値/位相補正部(位相補正部)37が追加される。以下、
図12を参照して、第一実施形態と異なる点を中心に本実施形態の信号処理部7の動作を説明する。
【0071】
まず座標変換決定処理S501では、リファレンススキャンによって、基準コイルの各チャンネルで得られた参照画像の絶対値(各画素の絶対値)をn次元ベクトルとし、感度マップ保存部31に保存されている各チャンネルの感度分布の絶対値(各画素の絶対値)をn次元ベクトルとする。これら参照画像のベクトルと、感度マップのベクトルとがなす角が全体的に小さくなるように、感度マップを座標変換する座標変換式を算出する。この手法は、第一実施形態のS403と同様であり、拡大・縮小、平行移動、及び回転を含む。
【0072】
次いでS501で得られた座標変換式を用いて、感度マップ保存部31に保存されている各チャンネルの感度マップ(複素数)を座標変換する(S502)。次いで、座標変換後の感度マップの絶対値と位相値を補正する(S503)。このため、まず画素毎に、感度分布の絶対値と参照画像の絶対値から、式(6)を満たす係数kiを算出する。
【0073】
[数6]
|Ri|=ki×|Si| (6)
式中、Si(iは、i番目のチャンネルであることを示し、チャンネル数を最大値とする整数)は座標変換されたチャンネルiの感度マップ、Riは、チャンネルiの参照画像である。この係数kiを用いて、次式(7)から、各チャンネルの感度マップ(複素数)R’iを算出する。
【0074】
[数7]
R’i=ki×Si×exp(j×di)×(|S|/|R|) (7)
式中、Sは各チャンネルの感度マップの画素値を要素とするベクトル(チャンネル数がnの場合、n次元ベクトル)、Rは参照画像の画素値を要素とするベクトルである。jは虚数単位で、diは、感度マップRiの偏角(arg(Ri))と参照画像Siの偏角arg(Si)との差(位相差)で、式(8)で定義される。
【0075】
[数8]
di=arg(Ri)−arg(Si) (8)
なお「arg(Ri)」及び「arg(Si)は、いずれもアンラップ処理後の偏角を表す。
式(7)により得られる各チャンネルの感度マップR’iは、チャンネル間の比は参照画像におけるチャンネル間の比と同じであり、且つ感度マップRiを合成して得られる基準コイル全体の感度マップはフラットなものとなる。
【0076】
各チャンネルの参照画像が、感度マップ保存部31に保存されているチャンネル毎の感度マップよりも低解像度の場合或いは金属の存在などの理由で正確な参照画像が得られない領域がある場合、それら欠落した領域或いは足りない画素については、kiとdiは、それぞれ補間によって求め、その後、式(7)よりR’iが求められる。これにより低分解能の参照画像から高分解能の感度マップを得たり、正確な参照画像が得られない領域の感度マップを得たりすることができる。
【0077】
こうして絶対値及び位相が決定した多チャンネル受信コイルの感度マップは、パラレルイメージングの本撮像が行われたのであれば、当該多チャンネル受信コイルの各チャンネルで受信したNMR信号を用いた公知のパラレルイメージングに基く演算、例えばk空間データを用いた折り返し展開演算や実空間データを用いた折り返し除去演算、に用いることができる(S504)。
【0078】
また本撮像が、上述の処理で感度マップを算出した多チャンネル受信コイルとは別の表面コイルを用いた撮像であれば、第一実施形態と同様にこの表面コイルの感度分布を補正した上で、表面コイルで得た画像に対し感度補正を行ってもよい。
【0079】
本実施形態のMRI装置は、記憶部(感度マップ保存部)に記憶される複数の受信チャンネルの感度マップ、及び、複数の参照画像は、画素値が複素数であり、感度マップ作成部は、複数の受信チャンネルの感度マップ及び前記複数の参照画像の位相を揃える位相補正部をさらに備える。また計算部(感度計算部)は、感度マップ作成部により、位相が補正された、各受信チャンネルの受信感度マップを用いて、パラレルイメージングに基く演算を行い、画像を作成することができる。
【0080】
本実施形態によれば、各チャンネルの感度マップを複素数として扱い、チャンネル間の関係が、被検体存在時の画像(参照画像)のチャンネル間の関係と同様になるように座標変換し、絶対値及び位相を持つ感度情報を得るので、精度のよい感度補正が可能であり、また感度情報を利用したパラレルイメージングも可能となる。
【0081】
さらに本実施形態によれば、感度マップを作成する際に、低分解能或いは情報が不足した参照画像であっても、高分解能の感度マップを得ることができる。従って、リファレンススキャンの撮像時間を短縮することも可能となる。
【0082】
<第四実施形態>
第一〜第三実施形態では、複数チャンネルを有する受信コイルについてチャンネル毎に予め取得した感度マップとチャンネル毎の参照画像とから導出した座標変換式を用いて、当該受信コイルの感度マップを作成(補正)した実施形態であるが、本実施形態は、座標変換式を導出した複数チャンネルを有する受信コイル(第一の受信コイル)とは別の受信コイル(第二の受信コイル)の感度マップを、その座標変換を用いて作成する。
【0083】
第一の受信コイルと第二の受信コイルとの組み合わせは、第一の受信コイルが複数チャンネルを有する受信コイルであって且つ両受信コイルの感度分布が重なっていれば、特に限定されず、例えば、
図13に示すような、1組のちょう型コイル(2チャンネルコイル)61とソレノイドコイル62との組み合わせや、第一の受信コイルにさらにCRCコイル63を追加する場合などがある。また本実施形態では、感度マップ保存部31に、第一の受信コイルの感度マップ、第一の受信コイルの各チャンネルの感度マップ、及び第二の受信コイルの感度マップが予め保存されているものとする。感度マップ保存部31に予め保存されている感度マップの取得方法は特に限定されない。例えば、ファントム撮像、シミュレーション、或いは第二実施形態のようにシミュレーションで算出したものをファントム撮像結果で補正する、などの取得方法を採用できる。
【0084】
以下、
図13に示すような2チャンネル受信コイル61とソレノイドコイル62を組み合わせた受信コイル60を例に、本実施形態の信号処理部の処理を説明する。
図14に処理の流れを示す。
【0085】
まず2チャンネル受信コイル61を用いてリファレンススキャンを行い、各チャンネルCh1、Ch2の参照画像を取得する(S701)。各チャンネルの参照画像の対応画素の画素値を要素とする2次元ベクトルRを設定し、その偏角θを求める。一方、2チャンネル受信コイル61について予め求めた各チャンネルCh1、Ch2の感度分布について対応画素の画素値を要素とする2次元ベクトルSを設定し、その偏角φを求める。全ての画素或いは予め設定した領域内の画素について、偏角θ、φをそれぞれ算出し、2つの偏角分布を得る(S702)。第一実施形態と同様に、感度マップから求めた偏角分布が参照画像から求めた偏角分布と同じような分布となるような座標変換式を決定する(S703)。
【0086】
この座標変換式を用いて、ソレノイドコイル62について予め求めた感度分布を座標変換し、ソレノイドコイル62の感度マップとする(S704)。これにより被検体に対する感度マップが得られるので、ソレノイドコイル62を用いて撮像した画像の感度補正の精度を向上することができる。
【0087】
なお以上の例ではソレノイドコイル62の感度マップを作成する例であるが、座標変換式を用いて、2チャンネル受信コイル61の各チャンネルCh1、Ch2の感度マップを作成してもよいことは言うまでもない。
【0088】
さらに以上の例では第一の受信コイル(2チャンネル受信コイル61)の感度マップ(感度マップ保存部に格納すべき感度マップ)と参照画像をもとに作成した座標変換式を用いて第二の受信コイル(ソレノイドコイル)の感度マップ(被検体に対する感度マップ)を作成したが、第一の受信コイルと第二の受信コイルが一部重複していてもよい。例えば、上述した2チャンネル受信コイル61とソレノイドコイル62の組み合わせの例で、受信コイル61のチャンネルとソレノイドコイルの感度マップ(感度マップ保存部に格納すべき感度マップ)の画素値を要素とするベクトルと参照画像の画素値を要素とするベクトルについて、それらの分布(或いは偏角の分布)が等しくなるような座標変換式を算出し、この座標変換式を用いてソレノイドコイルの感度マップ(感度マップ保存部に格納すべき感度マップ)を変換して、被検体に対する感度マップを作成してもよい。
【0089】
本実施形態によれば、複数のコイルから構成される受信コイルにおいて、ソレノイドコイルのように感度補正の基準となるエレメントがあるときに、基準の感度むらを補正することができ効率よい感度補正を行うことができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は個々の実施形態に限定されるものではなく、例えば技術的に矛盾しない限り、各実施形態の構成や手順或いは変形例を他の実施形態に組み合わせたり、本発明において必須ではない構成を省くことも可能である。