【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に従う異物検査装置の一実施例を示すブロック構成図である。なおここで言う異物とは単なる異物に限定されず、空隙といった欠陥等も含まれる。
異物検査装置はベルトコンベア等の搬送装置により検査測定対象物101は1001の矢印の方向に移動しながら、光発信部1201から出射された光ビームが照射され、検査測定対象物101を透過した光ビームの強度から異物の有無を検出し、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)などのインターフェースを通じてPC(Personal Computer)などのホスト200と通信を行う。
図1の異物検査装置は、光学ユニット部102と、信号処理部103と、サーボエラー信号生成回路105と、信号処理回路106と、アクチュエータ駆動回路109で構成され、検査測定対象物101は例えばベルトコンベア等の搬送装置により1001の矢印の方向に移動する。光発信部1201が発する電磁波の周波数は、例えば、非水素結合物質を透過する周波数であって、カーボン成分、有機溶媒成分に吸収され易い周波数、例えば0.1THzから3.0THzのテラヘルツ波である。テラヘルツ波は半導体、セラミック、紙等に対してはある程度透過し、水に対しては吸収し、金属に対しては反射する特性を持つ。
信号処理部103は異物検査装置の各種の信号処理を行う回路であり、電位Vrefを基準として動作する。この信号処理部103は、システム制御回路104と、フォーカス制御回路107と、スイッチ1216と、加算器1215と、フォーカス駆動電圧生成回路108で構成される。
【0011】
光学ユニット部102の光量制御回路1218は、システム制御回路104によって制御されており、光発信部1201を駆動する電圧を出力する。光発信部1201は、駆動電圧に応じた周波数の光ビームを出射する。出射された光ビームはコリメータレンズ1202にて平行光となり、ビームスプリッタ1203で一部が反射し、集光レンズ1204によってパワーモニタ1205に集光する。パワーモニタ1205は、光ビームの強度に応じた電流または電圧をシステム制御回路104にフィードバックする。これによって検査測定対象物101に集光する光ビームの強度が、たとえば50mWなど所望の値に保持される。一方、ビームスプリッタ1203を透過した光ビームは、偏光ビームスプリッタ1206で反射される。この反射された光ビームは、1/4波長板1209にて円偏光となり、対物レンズ1210によって検査測定対象物101の所望の位置に集光する。アクチュエータ駆動回路109の駆動量に応じて対物レンズ1210の位置をアクチュエータ110で制御する。検査測定対象物101の表面で反射した集光ビームは、1/4波長板1209にて直線偏光となり、偏光ビームスプリッタ1206を透過し、シリンドリカル1207によって集光された光ビームを検出器1208で検出し、この信号をサーボエラー信号生成回路105に対して出力する。
【0012】
次に、検査測定対象物101を透過した光ビームは対物レンズ1211、集光レンズ1213を経て検出器1214で光ビームの強度を検出し、これに応じた信号を信号処理回路106に対して出力する。アクチュエータ駆動回路109の駆動量に応じて対物レンズ1211の位置をアクチュエータ111で制御する。ここで、光学ユニット部102を構成する対物レンズ1210と対物レンズ1211の相対位置関係を維持するために、アクチュエータ駆動回路109からアクチュエータ110とアクチュエータ111に対する制御信号は同期した信号とする。
【0013】
信号処理回路106では、検出器1214で検出した信号に対してノイズ除去、増幅などの処理を行い、検出器1214で検出された信号をシステム制御回路104に出力する。この信号に対してシステム制御回路104で信号振幅に対して所定のしきい値(たとえば、異物がない場合に対して、振幅変化が20%変化)を設定し、この閾値に基づき異物の有無を判断する。あるいはテラヘルツ波の特徴である指紋スペクトルによる物質特有の波形カーブにより異物の有無を判断する。この結果をホスト200に出力する。
【0014】
図2は、検出器1208が4分割の受光部で構成された例を示す。検出器1208が受けた検査測定対象物101の表面で反射した光ビームから焦点ずれ量(デフォーカス)に相当する信号(
図1のサーボエラー信号生成回路105の出力するFEに相当)の生成方法を表す概略図である。
図2(a)は検査測定対象物101の表面がフォーカス方向に位置ずれした場合にシリンドリカルレンズ1207で集光されたビーム形状2201の変化を示した光線図である。検査測定対象物101の表面で反射した集光ビームに対してシリンドリカルレンズ1207を通過させることで、シリンドリカルレンズ1207の収束効果がある方向を通る光ビームは早く集光し、レンズ効果が無い方向を通る光ビームは遅く集光するため非点収差が発生する。この収差を利用して、4分割の受光面を持つ検出器1208で光を受光した図が
図2(b)〜(d)であり、同図に示すようにフォーカス方向の位置に応じて集光ビーム形状が変化する。検出器1208の4分割した受光面を左上から時計回りにA、B、C、Dとすると、サーボエラー信号生成回路105で信号(A+C)−(B+D)を演算する。ここで、(A+C)と(B+D)の加算は2202と2204の加算演算器で行い、これらの差分は差動演算器2203で行う。この演算により
図2(e)のようにフォーカス方向の位置に応じたデフォーカスに対応する信号(FE)が生成される。(A+C)−(B+D)>0の場合、フォーカスは
図2(a)の+側に変位する。また(A+C)−(B+D)=0であればジャストフォーカス位置である。逆に(A+C)−(B+D)<0の場合は
図2(a)のー側に変位しフォーカスがずれていることを示す。このFEに応じてフォーカス制御回路107は、システム制御回路104からの指令信号により、FEに対してゲインと位相の補償を行い、検査測定対象物101の表面にフォーカス制御を行うための駆動信号をアクチュエータ駆動回路109に出力する。アクチュエータ駆動回路109から印加された信号に基づきアクチュエータ110及びアクチュエータ111を介して対物レンズ1210と対物レンズ1211を駆動する。この結果、
図1に示した異物検査装置は、上述した検査測定対象物101の表面に対するデフォーカス量に応じたFEに基づきアクチュエータ110とアクチュエータ111とをフィードバックすることで、デフォーカス方向の位置調整を行う。
【0015】
図3にサーボエラー信号生成回路105の構成を示す。検出器1208から出力された信号はフォーカスエラー信号生成回路1051及び総光量信号生成回路1052に入力される。フォーカスエラー信号生成回路1051では検査測定対象物101の表面に対するフォーカス制御に使用するためのFEを生成し、総光量信号生成回路1052では光量の総和信号であるSUMを出力する。ここで、各信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。ここで、検査測定対象物101の表面の汚れ等による検出器1208での検出光量低下分を補うためにSUMでFEを除算することで、オートゲインコントロールを行う。
【0016】
図4に検出器1214に複数の共鳴トンネルダイオードを用いた場合を示す。共鳴トンネルダイオードは光ビームの偏光方向に指向性を持つ半導体デバイスである。
図4(a)に示すように検査測定対象物101の表面で反射した集光ビームは対物レンズ1210で平行光になり、1/4波長板1209にて直線偏光となり、偏光ビームスプリッタ1206を透過する。一方、検査測定対象物101を透過した光ビームは円偏光の状態で対物レンズ1211、集光レンズ1213を経て検出器1214で光ビームの強度を検出する。この検出信号は信号処理回路106に対して出力される。検出器1214で共鳴トンネルダイオードに入射した円偏光の光ビームを検出する場合、例えば、
図4(b)のように共鳴トンネルダイオード501と共鳴トンネルダイオード504とに隣接する共鳴トンネルダイオード502と共鳴トンネルダイオード503との偏光方向を90度変えて配置することで、1/4波長板1209で直線偏光にすることなく円偏光状態で複数の共鳴トンネルダイオードで検出することが可能となる。
【0017】
次に
図1を使って検査測定対象物101の表面に追従するようにフォーカス制御について説明する。システム制御回路104は検査測定対象物101の表面電圧(すなわちフォーカスエラー信号が0になる電圧)を基準電位Vrefとして設定する。この基準電位は制御の基準となる電位である。スイッチ1216はシステム制御回路104の出力するFONに基づき、フォーカス制御回路107の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、FOD(フォーカス駆動信号)としてアクチュエータ駆動回路109に出力する。FONとしてHighレベルが入力されると、スイッチ1216の端子はaが選択され、フォーカス制御回路107の出力信号がアクチュエータ駆動回路109に出力される。一方でFONとしてLowレベルが入力されると、スイッチ1216は端子bが選択され、基準電位Vrefを出力する。
【0018】
この結果、FONはフォーカス制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1216は、フォーカス制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。FONがLowからHighに切り替わることで検査測定対象物101の表面にフォーカス制御がオンされることになり、この動作をフォーカス引き込み動作と呼ぶ。
【0019】
フォーカス駆動電圧生成回路108は、システム制御回路104からの指令信号により、所定の電圧を出力する。フォーカス駆動電圧生成回路108は例えば、フォーカススイープ動作におけるスイープ電圧を出力する。フォーカス駆動電圧生成回路108の出力信号とスイッチ1216の出力信号を加算器1215により加算しFODとしてアクチュエータ駆動回路109に出力する。FODに従ってアクチュエータ110およびアクチュエータ111を検査測定対象物101に接近(あるいは遠ざける)方向に駆動するフォーカススイープ動作させるために、フォーカス駆動電圧生成回路108のスイープ電圧を、FODに対して加算することで対物レンズ1210および対物レンズ1211がフォーカス方向に駆動される。フォーカス制御がオンし、検査測定対象物101の表面にフォーカス引き込み動作が行われると、アクチュエータ駆動回路109はフォーカス制御回路107の出力信号に応じてアクチュエータ110およびアクチュエータ111を駆動することで光ビームが検査測定対象物101の表面に追従するようにフォーカス制御が行われる。
【0020】
図5(a)は本実施例の異物検査装置の動作概要を示すフローチャートである。
図5(b)は表面に傷と異物或いは欠陥を有する検査測定対象物の側面図、(c)〜(f)は横軸を時間、縦軸を電圧として、(a)のフローチャートの各ステップと各種の信号との対応関係を示した図である。より具体的には
図5(c)はFODの波形、(d)はFEの波形、(e)は検出器1214で検出された異物検出の波形、(f)は異物検出フラグの波形である。まず、ステップ500で異物検出したことを示す異物検出フラグを初期化(OFF)する。次にステップS501でフォーカス駆動電圧生成回路108からフォーカススイープ動作におけるスイープ電圧を出力しFODに加算すると、FODは
図5(c)に示すような波形となりアクチュエータ110とアクチュエータ111を介して対物レンズ1210及び対物レンズ1211が検査測定対象物101に接近(あるいは遠ざける)方向に移動する。このとき、FODはスイープ電圧に応じて、FEは
図5(d)に示すように基準電位Vrefから変化を開始し、検査測定対象物101の表面に対して接近するとFEは一度上に凸な信号となる(
図2(e))。次にステップS502で、FEが上に凸な信号になった後、FEが基準電位Vrefを横切るときにFEに基づくフォーカス制御をオンしフィードバック制御を開始する(
図5(d)のS502と
図5(c)のS504)。
図5(a)のステップS503VrefからのFEの変化量(FEの振幅)とした場合、FEの振幅の絶対値に対してしきい値(例えば、FEの振幅の最大値の60%)を設定する。
【0021】
ここで、例えば
図5(b)に示した検査測定対象物の表面の傷などが原因で、FEの振幅の絶対値がしきい値以上変化した場合には(S503の判定でY)、FEの振幅は大きく変化しフォーカス制御が不安定になるため、例えば
図5(d)のS503で設定したしきい値以上、FEの振幅の絶対値が変化した場合、FEに基づくフィードバック制御からFEに基づかないフォーカス位置を保持するフィードフォワード制御(
図5(d)のS505からフィードフォワード制御に切替わる)に切換える。これによりFEが大きく変化した場合でも、アクチュエータ110およびアクチュエータ111はFEに依らないフィードフォワード制御により位置制御されるため、対物レンズ1210及び対物レンズ1211がFEの変化に追従することが無くなる。この結果、
図5(e)に示すような安定した検査測定対象物の異物検出信号の波形が得られる。ここで、
図5(e)では異物がある場合に正の電圧に変化が起きる場合を記載したが、逆に負の電圧に変化する場合もあるため、ステップS506では異物検出信号の振幅の絶対値をしきい値と比較している。一方、ステップS503でFEの振幅の絶対値がしきい値未満である場合(S503の判定でN)には、FEに基づくフィードバック制御を行う(
図5(c)のS504ではフィードバック制御)。次に、ステップS506で検出器1214により検出された異物検出信号の振幅の絶対値に対してしきい値を設定する(異物検出信号の振幅が30%)。
【0022】
ここで、異物検出信号がしきい値以上変化した場合には(S507の判定でY)、異物を検出し、異物検出フラグをONに変化させる。一方、異物検出信号がしきい値未満の変化であれば(S506の判定でN)、異物は検知していないので異物検出フラグをOFFに変化させる。次に、ステップS509で検査測定対象物101の全面検査終了判定を行い、S509の判定でYの場合には、検査を終了する。この全面検査終了条件は、図示しないカメラや計測したデータ点数などに基づいてホスト200が判断する。一方、S509の判定でNの場合にはステップS503に移行し、例えば
図5(d)に示すようにステップS503でFEの振幅がしきい値を超え無い場合(S503の判定でN)には、FEに基づくフィードバック制御を行う(
図5(d)のS504でフィードバック制御に切替わる)。ここで、
図5の(c)〜(f)の波形の縦軸を正の電圧値とした場合、
図5(e)の異物検出の波形は電圧の正側に変化しているが、逆に負の電圧側に変化する波形でも良い。また、
図5(c)ではS503のしきい値は電圧の正と負で同じ値のしきい値としたが、別々のしきい値を設定しても良い。
【0023】
このように本実施例に従ったフォーカス制御方法により検査測定対象物101の表面変動に対しても安定した異物の検出が可能となる。なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、
図5の保持制御開始(S505)を行わない場合、
図6に示すようにFEの振幅がしきい値を超えたことを示す異物検出フラグをマスクとすることで同様の機能を実現できる。例えば以下のようにして実現できる。
図6(a)のステップS603でFEの振幅の絶対値に対してしきい値(例えば、FEの最大値の60%)を設定する。ここで、FEの振幅がしきい値以上変化した場合には(S603の判定でY)、
図6(e)の異物検出信号の波形に示すように、FEが大きく変化することで、異物検出信号の波形に変化が生じる。これは、例えば、検査測定対象物には異物が無い場合でも、S604で設定したしきい値以上にを異物検出信号の振幅が変化すると異物と誤検出することになる。
【0024】
この対策として、ステップS603でFEの振幅の絶対値がしきい値以上に変化した場合には異物検出フラグをOFFにする(
図6(f)のS606)。一方、ステップ603でFEの振幅の絶対値がしきい値未満の場合は(S603の判定でN)、ステップS604で設定した異物検出信号の振幅の絶対値に対するしきい値判定を行う。ここで、異物検出信号の振幅がしきい値以上変化した場合には(S604の判定でY)、異物検出フラグをONにする(
図6(f)のS605)。一方、異物検出信号の振幅がしきい値未満の場合には(S604の判定でN)、異物検出フラグをOFFにする(
図6(f)のS606)。このようにして得られた異物検出フラグ(
図6(f))と異物検出信号(
図6(e))との乗算をホスト200で行うことで
図6(g)に示すような異物検出フラグによる異物検出信号の波形が得られる。この波形は異物検出フラグによりS603で設定したしきい値以上かつS604で設定したしきい値未満の信号を全てマスクした信号となっており、
図6(b)に示すような検査測定対象物の内部の欠陥のみを検出することが可能となる。
【0025】
また、例えば、
図7に示すように1/4波長板1212を
図1に追加し、
図4のように光ビームの偏光方向を円偏光ではなく直線偏光にした場合には、検出器1214は検出器1220のように直線偏光を検出できるように単一方向の共鳴トンネルダイオードを配置することも可能である。検査測定対象物101へのスポット径を全面で維持できないという課題に対して、本実施例で説明した構成により検査測定対象物101の表面から反射した光ビームから焦点ずれ量に相当するFEで、検査測定対象物101に集光しているスポット位置を検査測定対象物101の表面に基づいてフォーカス制御を行うことで、検査測定対象物101の全面に対してスポット径を維持することが可能となる。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、実施例1が検出測定対象物101への入射波と表面からの反射波とが同一の対物レンズ1210を通過するのに対して、実施例2では異なる対物レンズを通過する(入射波は対物レンズ1210、反射波は対物レンズ1611)ため1/4波長板1212により偏光状態を変える必要がない。実施における効果としては、検査測定対象物101の表面から反射した光ビームから焦点ずれ量に相当するFEで、検査測定対象物101に集光しているスポット位置を検査測定対象物101の表面に基づいてフォーカス制御を行うことで、検査測定対象物101の全面に対してスポット径を維持することが可能な点にある。
【0027】
図8は、本発明に従う異物検査装置の一実施例を示すブロック構成図である。
図1と
図8の違いは光学ユニット部602であり、この点以外の構成は同じであるため第1の実施例にて説明した内容と重複する部分については省略する。
【0028】
光学ユニット部602の光量制御回路1218は、システム制御回路104によって制御されており、光発信部1201を駆動する電圧を出力する。光発信部1201は、駆動電圧に応じた周波数の光ビームを出射し、コリメータレンズ1202にて平行光となる。ビームスプリッタ1203を透過した光ビームは、ミラー1606で反射される。この反射された光ビームは、対物レンズ1210によって検査測定対象物101の所望の位置に集光する。アクチュエータ駆動回路109の駆動量に応じて対物レンズ1210、対物レンズ1211及び対物レンズ1611の位置をアクチュエータ110、アクチュエータ111及びアクチュエータ612を制御する。ここで、光学ユニット部602を構成する対物レンズ1210、対物レンズ1211と対物レンズ1611の相対位置関係を維持するために、アクチュエータ駆動回路109からアクチュエータ110、アクチュエータ111及びアクチュエータ612に対する制御信号は同期した信号とする。
【0029】
図9(a)は
図8の光学ユニット602の一部を拡大した図である。
図9(a)に示すように検査測定対象物101の表面で反射した集光ビームは対物レンズ1611で平行光になり、シリンドリカルレンズ1207で集光されたビームを検出器1208で検出し、この検出信号をサーボエラー信号生成回路105に対して出力する。サーボエラー信号生成回路105は検出器1208で検出した信号からFEを生成し、このFEに応じてフォーカス制御回路107は、システム制御回路104からの指令信号により、FEに対してゲインと位相の補償を行い、検査測定対象物101の表面にフォーカス制御を行うための駆動信号をアクチュエータ駆動回路109に出力する。一方、検査測定対象物101を透過した光ビームは対物レンズ1211、集光レンズ1213を経て検出器1610で光ビームの強度を検出し、これに応じた信号を信号処理回路106に対して出力する。
図9(b)に示す検出器1610は、例えば異物あるいは欠陥の検出サイズが光発信部1601の波長に比べて小さい場合には分解能を上げるために或いは感度を上げるために複数の共鳴トンネルダイオードを用いて構成して光ビームの強度を検出する例である。また、異物や欠陥による偏光変化を検出するために、本実施例に
図4の検出器1214の構成を適用し、縦と横の偏光比を検出することも可能である。
【0030】
このように本実施例に従ったフォーカス制御方法により検査測定対象物601の表面変動に対しても安定した異物の検出が可能となる。なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、
図9に示すように対物レンズ1611のアクチュエータ612を削除して異物検査装置を構成する事も可能である。この場合、検査測定対象物101の表面変動に対するフォーカス制御は検査測定対象物101からの反射された光ビームを対物レンズ1611で受けられる範囲となるため、
図8と比べてフォーカス制御可能な範囲は制限されるが、アクチュエータ612が減る分構成が簡単になる。
【実施例3】
【0031】
実施例3は、
図11に示すように実施例1と実施例2には無いリレーレンズ900を追加している。このリレーレンズはシステム制御回路104からの指令信号によりアクチュエータ901を介して駆動される。このリレーレンズ900これにより、単に検査測定対象物101の表面から反射した光ビームから焦点ずれ量に相当するFEで、検査測定対象物101に集光しているスポット位置を検査測定対象物101の表面に基づいてフォーカス制御を行うだけではなく、検査測定対象物101に集光しているフォーカス方向のスポット位置の制御をリレーレンズ900によりすることが可能となる可能となる。
【0032】
図11は、本発明に従う異物検査装置の一実施例の一実施例を示すブロック構成図である。
図1と
図11の違いは光学ユニット部2002に、光発信部1201から出射された光ビームの収束と発散を制御するリレーレンズ900とアクチュエータ901を追加した点であり、この点以外の構成は同じであるため第1の実施例にて説明した内容と重複する部分については省略する。
【0033】
図11に対物レンズ1210によって検査測定対象物101の所望の位置に集光する位置を、リレーレンズ900により制御する例を示す。
図12(a)は検査測定対象物101の対物レンズ1210側に集光するスポット位置を変更する例であり、
図12(b)は検査測定対象物101の対物レンズ1211側に集光するスポット位置を変更する例である。例えば、
図12(a)のようにリレーレンズ900で略収束にすることで対物レンズ1210を通る光ビームは早く集光し、
図12(b)のようにリレーレンズ900を略発散にすることで対物レンズ1210を通る光ビームは遅く集光する。このようにリレーレンズ900の位置でにより収束と発散を制御することで、検査測定対象物101の対物レンズ1210側に集光する位置を変更することが可能となる。本実施例の特徴は、本実施例の特徴は検査測定対象物101の表面に対してフォーカス制御することで、システム制御回路104からの指令信号によりアクチュエータ901を介してリレーレンズ900の位置制御することで、を検査測定対象物101の表面に対してフォーカス制御しながら、検査測定対象物101の表面を基準として検査測定対象物101の所望の集光位置(
図12のD0〜D4と表記)に集光するように調整スポット位置の制御することが可能となるが可能な点である。例えば検査測定対象物101に異物があった場合に、検査測定対象物101のどの位置に異物が存在するのかを、リレーレンズ900を駆動することで探索できる。この結果、L4の位置に異物があると特定されれば、製造工程のどこで混入した異物であるかの判定をシステム制御回路104で行うことが可能となる。これにより単純なフィードフォワードで焦点位置を固定で変えるだけでは実現できない表面変動に追従しながら検査測定対象物101の厚み方向の異物検査が可能になる。
【0034】
上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。