(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記呼吸治療デリバリーデバイスは、動作中における動作周波数を有するピエゾ素子を含み、前記センサは、吸入中に前記対象者の前記気道から放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送する出力信号を生成するように構成され、前記特性モジュールにより決定される特性は、吸入中に前記対象者の前記気道により放出された超音波エネルギが存在するか否かを含み、
前記制御モジュールは、吸入中に前記対象者の前記気道により超音波エネルギが放出されている特性に応じて、前記ピエゾ素子の動作周波数及び動作電力レベルの双方又は一方の調整により、動作中に前記呼吸治療デリバリーデバイスを制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記呼吸治療デリバリーデバイスが、前記ピエゾ素子を制御するように構成される位相ロックループ(PLL)回路を含み、前記センサは、前記ピエゾ素子により放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送する出力信号を生成するように構成され、前記ピエゾ素子の動作周波数及び動作電力レベルの双方又は一方の調整は、前記PLL回路のアンロックからロックへの遷移により引き起こされる、請求項2に記載のシステム。
前記呼吸治療デリバリーデバイスは、動作中における動作周波数を有するピエゾ素子を含み、生成される前記出力信号は、吸入中に前記対象者の前記気道から放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送し、前記特性は、吸入中に前記対象者の前記気道により放出された超音波エネルギが存在するか否かを含み、
前記制御するステップは、前記コンピュータプログラムモジュールが、前記ピエゾ素子の動作周波数及び動作電力レベルの双方又は一方の調整により、動作中に前記呼吸治療デリバリーデバイスを制御するステップを含み、前記呼吸治療デリバリーデバイスを制御することは、吸入中に前記対象者の前記気道により超音波エネルギが放出されている特性に応じている、請求項5に記載の作動方法。
生成される出力信号は、前記ピエゾ素子により放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送し、前記呼吸治療デリバリーデバイスが位相ロックループ(PLL)回路を含み、前記ピエゾ素子の動作周波数及び動作電力レベルの双方又は一方の調整は、前記PLL回路のアンロックからロックへの遷移により引き起こされる、請求項6に記載の作動方法。
前記呼吸治療デリバリーデバイスが、ピエゾ素子と導管とを含み、放出される超音波エネルギの特性を決定することは、前記対象者の呼吸作用により生じる導管内の温度及び/又は湿度の1つ以上の変化を検出することを含み、
前記導管により、前記ピエゾ素子と対象者のインタフェース機器とは流体結合され、
前記制御するステップは、前記コンピュータプログラムモジュールが、前記ピエゾ素子の調整により動作中に前記呼吸治療デリバリーデバイスを制御するステップであって、前記呼吸治療デリバリーデバイスを制御することは、前記導管内の温度及び/又は湿度が変化したことの検出に応答する、ステップ;
を有する請求項5に記載の作動方法。
搬送する手段は、動作中における動作周波数を有するピエゾ素子を含み、前記出力信号を生成する手段は、吸入中に前記対象者の前記気道から放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送する出力信号を生成するように構成され、前記特性を決定する手段は、吸入中に前記対象者の前記気道により放出された超音波エネルギが存在するか否かを決定するように構成され、
前記制御する手段は、前記ピエゾ素子の動作周波数及び動作電力レベルの双方又は一方の調整により、動作中に前記搬送する手段を制御し、前記制御する手段の動作は、吸入中に前記対象者の前記気道により超音波エネルギが放出されている旨の判断に応答する、請求項9に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[12]本願で使用されるように、「ある」、「或る」及び「その」等のような単一的な形式は、明示的に別段の断りがない限り、複数個を指し示すことを含む。本願で使用されるように、2つ以上のパーツ又はコンポーネントが「結合される」という記述は、それらのパーツが一緒にされること、或いは、直接的又は間接的にともに動作すること、すなわち、リンクが生じる限り1つ以上の仲介的なパーツ又はコンポーネントを介して間接的に動作することを意味してよい。本願で使用されるように、「直接的に結合される」は、2つの要素が互いに直接的に接触することを意味してよい。本願で使用されるように、「固定的に結合される」又は「固定される」は、2つのコンポーネントが、互いに一定の方向を維持しながら一体となって動くように結合されることを意味する。
【0009】
[13]本願で使用されるように、「一単位の(unitary)」という用語は、コンポーネントが1つのピース(1個)又はユニットとして形成されることを意味する。すなわち、別々に作成された後に1ユニットとして一緒に結合される(複数の)ピースを含む或るコンポーネントは、「一単位の」コンポーネント又はボディではない。本願で使用されるように、2つ以上のパーツ又はコンポーネントが互いに「係合する(engage)」は、直接的に又は1つ以上の中間的なパーツやコンポーネントを介して、パーツが互いに作用する力を発揮することを意味する。本願で使用されるように、「個数(number)」という用語は、1又は1より大きな整数(すなわち、複数)を意味する。
【0010】
[14]限定ではないが、例えば、トップ、ボトム、左、右、上側、下側、正面、背面、及びそれらに関連する用語のような本願で使用される方向に関する言い回しは、図面に示される要素の向きに関連し、明示的に言及されない限り請求項を限定するものではない。
【0011】
[15]
図1は、対象者106に呼吸治療を提供するように構成されるシステム10を概略的に示し、限定ではないが、酸素を提供する呼吸薬物デリバリーデバイス、(正)気道圧デバイス、加湿システム、患者の睡眠を支援するデバイス、換気及び/又はその他のタイプの呼吸治療をもたらすデバイスを含む。一実施形態において、システム10は、呼吸治療デリバリーデバイス11aを含んでよい。送り込まれる呼吸治療は、非限定的な例として、薬物の搬送を含んでよい。例えば、システム10は、呼吸治療薬物デリバリーデバイス11を含んでもよい。システム10は、1つ以上のピエゾ素子102、1つ以上のセンサ142、1つ以上のプロセッサ110、パラメータ判定モジュール111、制御モジュール112、特性モジュール113、電子ストレージ130、ユーザーインターフェース120及び/又はその他のコンポーネント及び/又はコンピュータモジュールを含んでもよい。
【0012】
[16]本願で使用されるように、呼吸治療デリバリーデバイス及び呼吸薬物デリバリーデバイスは、呼吸デバイス(respiratory devices)としてまとめて言及されてもよい。
【0013】
[17]呼吸デバイスは、ジェットネブライザ(ジェット吸入器)、メッシュネブライザ、超音波ネブライザ、ネブライザ、エアロゾル生成器(煙霧発生器)、メーター(定量)ドーズ吸入具、乾燥粉末吸入具、吸入具、及び/又は、他のデバイス(少なくとも部分的に対象者の呼吸を通じて対象者に薬を運ぶように構成されるデバイス)のうちの1つ以上を含んでよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、これらの任意の装置の1つ以上の特徴を含んでいてもよい。例えば、呼吸薬物デリバリーデバイス11は、対象者106の気道への輸送のために、例えば空気のような呼吸可能なガス(又は気体)と、例えば液体及び/又はエアロゾル化された薬のような薬物とを混合するように構成されてもよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、例えば医療専門家のような介護者108により操作されてもよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、ガス及び/又は薬を対象者106へ案内する導管180、及び/又は、導管180から対象者106の気道へガス及び/又は薬を運ぶためのマウスピース又はマスク184を含む。
【0014】
[18]呼吸治療デリバリーデバイス11a及び/又は呼吸薬物デリバリーデバイス11は、限定ではないが例えば超音波エネルギを含むエネルギを、動作中に放出する。呼吸デバイスは、その構成要素が超音波周波数での機械的な運動により空気及び/又はガスを変位させるように、構成されてもよい。そのような変位は、間接的であってもよく、例えば、移動するコンポーネントが別のコンポーネントに結合され、その別のコンポーネントがエネルギを空気及び/又はガスに伝達してもよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、約18kHzないし約200kHzの間の周波数範囲、及び/又は、その任意のサブレンジにおけるエネルギを放出してもよい。一実施形態において、呼吸薬物デリバリーデバイス11により放出される超音波エネルギの測定は、環境及び/又は周辺の状態(限定ではないが、例えば、温度、湿度、及び/又は、ガスの化学組成など)に基づいて変動及び/又は変化し得る。
【0015】
[19]一実施形態において、対象者106(及び/又は対象者の気道)は、例えば限定ではないが、約15kHzないし約75kHzの間の超音波周波数範囲(又は超音波周波数レンジの境界)内でエネルギを放出するかもしれない。具体的な周波数レンジは、使用される呼吸デバイスのタイプ、患者固有の状態、及び/又は、患者の医療状態に特有のレンジ等に依存するかもしれない。一実施形態において、対象者106は、吸気及び/又は呼気の双方又は一方の間にエネルギを報酬してもよい。一実施形態において、(例えば、限定ではないが、慢性閉塞性気道疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、ぜんそく、及び、一般的な風邪などのような)1つ上の特定の医療状態の影響を受ける対象者は、1つ以上の特定の対応する周波数範囲内の超音波エネルギを放出してもよい。対象者により放出される超音波エネルギの測定は、1つ以上の特定の医療状態、患者の状態及び/又は健康についての評価、及び/又は、呼吸に関する他の特徴パラメータについての診断ツールとして使用されてもよい。一実施形態において、対象者106により放出される超音波エネルギの測定は、呼吸デバイスの呼吸活動(同義語的に、呼吸作用と言及されてもよい)を制御するために使用されてもよい。一実施形態において、対象者106により放出される超音波エネルギの測定は、患者忠実度に関連する情報を判定するために使用されてもよい。
【0016】
[20]呼吸デバイスは、メッシュネブライザ及び/又はそのコンポーネント/特徴部を含んでもよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、超音波ネブライザ及び/又はそのコンポーネント/特徴部を含んでもよい。呼吸デバイスは、機械的な振動を提供し、例えば液体又は空気のような媒体の変位をもたらすピエゾ素子102を含んでもよい。液体で満たされたネブライザでさえ、超音波エネルギを空気及び/又はガスに伝達する可動コンポーネントを含んでもよい。一実施形態において、空気及び/又はガスに直接的に接する1つ以上の他の表面は、例えばピエゾ素子の動きの結果として動いてもよい。任意の振動する表面が超音波エネルギを放出してもよい。例えば、ピエゾ素子102の背面が空気及び/又はガスに接していてもよい(及び/又は結合していてもよい)。一実施形態において、ピエゾ素子102は、空気及び/又はガスに直接的に(又は間接的に)接する側面を有するメッシュに結合されてもよい(例えば、メッシュネブライザ)。一実施形態では、振動するピエゾ素子から、或る調和距離(harmonic distance)の場所に、静的なメッシュが配置されてもよい。
【0017】
[21]ピエゾ素子は、共鳴周波数として言及される1つ以上の特定の周波数で最大変位を達成する。最大変位は、少なくとも薬物の搬送の間において、好ましい動作モードとして目標にされてもよい。動作条件及び/又は最大変位は、時間とともに例えば以下のものに依存して変化するかもしれない:デバイスの中で利用可能な薬物の量、輸送される荷重、デバイスとともに/デバイスの中で使用される発振器のドリフト、デバイスの消耗、周辺動作状態(例えば、温度、湿度、周囲圧力、空気密度、及び/又は、時間とともに変化する他の要因)。動作状態及び/又は最大変位は、例えば、構成、組み立て方、及び/又は、その他のデバイス固有の条件に基づいて、個々のデバイスの間で相違するかもしれない。最大変位をもたらす特定の動作状態は、最大量の超音波エネルギが放出される動作状態に一致する又は少なくとも近接していると仮定される。本願で使用されるように、「最大」という用語は、特定の動作範囲におけるローカルな最大(極大)として言及されてもよい。
【0018】
[22]本開示によれば、呼吸デバイスの動作状態は、(例えば、ピエゾ素子の)(最大)変位、動作状態、共鳴周波数に類似する及び/又は近接するターゲット周波数における変化に追従し、及び/又は、デバイスの利用(例えば、患者忠実度を表す指標として)、患者固有の呼吸パラメータ及び/又は他の変化/状態/パラメータを監視するように制御及び/又は調整されてもよい。制御及び/又は調整は、呼吸デバイス及び/又は対象者106の気道により放出される超音波エネルギの測定に基づいてもよい。一実施形態において、調整はリアルタイム又はほぼリアルタイムでなされてもよい。一実施形態において、調整は、自動的に、自律的に及び/又は(マニュアルの)ユーザ介入無しになされてもよい。一実施形態において、呼吸デバイスは、ピエゾ素子の駆動周波数及び/又は例えば媒体の意図的な変位に関して構成される他のコンポーネントを制御するための電子発振器又は類似するデバイス/コンポーネントを含んでもよい。
【0019】
[23]一例として、
図9は、ピエゾ素子を含むメッシュネブライザの動作中に放出されるエネルギのグラフ900を示す。グラフ900は、上半分にウォーターフォール表示を含み、下半分に(エネルギ振幅の)大きさを含む。ウォーターフォール表示は、垂直軸に時間を示し、水平軸に測定周波数を示す(kHz)。
図9に示されるように、グラフ900は、約128kHzの周波数近辺において狭いピーク振幅を含み、これはメッシュネブライザのピエゾ素子の動作周波数である。
図1においては、1つ以上のセンサ142を利用してエネルギが測定されてもよい。本願で使用されるように、「大きさ(magnitude)」という用語は、特定の周波数及び/又は特定の周波数範囲におけるエネルギ振幅を指すように使用されてもよい。
【0020】
[24]
図1のシステム10の1つ以上のセンサ142は、呼吸治療デリバリーデバイス11a、呼吸薬物デリバリーデバイス11及び/又は対象者106の気道のうちの1つ以上により放出される超音波エネルギの1つ以上の特性を表現する出力信号を生成するように構成される。一実施形態において、センサ142は、マイクロフォン(マイクロフォン142と同義語的に言及されてよい)を含んでいてもよい。例えば、センサ142は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(又は微小電気機械システム)(MEMS)又はナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)として構成されるマイクロフォンを含んでもよい。本願で使用されるように、「MEMS」という用語は、MEMS又はNEMSの何れを指すように使用されてもよい。本開示で使用されるように、「マイクロフォン」という用語は、MEMSマイクロフォンを指すように使用されてもよいし、そのようなエネルギを放出する何れかのソース又は複数のソース(対象者106を含む)からの可聴の及び/又は超音波の周波数/音のために使用されてもよい。
【0021】
[25]1つ以上のセンサ142は、加速度計、位置センサ、動きセンサ、光センサ、赤外線(IR)センサ、電磁センサ、電極、傾斜計、(ビデオ)カメラ、及び/又は、その他のセンサを含んでもよい。
図1において1つのメンバを含むセンサ142を説明していることは、限定を意図しているわけではない。一実施形態において、システム10は複数のセンサを使用してもよい。
図1に示されるようなセンサ142の配置の形態は、限定を意図していない。個々のセンサ142が、対象者106に又は対象者106の近辺(対象者の体の近辺)に配置されてもよいし、呼吸デバイスに組み込まれてもよいし及び/又は統合されてもよいし、及び/又は、他の場所に存在してもよい。結果の出力信号又は1つ以上のセンサ142から運ばれる情報は、プロセッサ110、ユーザーインターフェース120、電子ストレージ130及び/又はシステム10の他のコンポーネントに伝送されてもよい。伝送は有線及び/又は無線であってもよい。
【0022】
[26]1つ以上のセンサ142は、継続的な方法で(例えば、薬を送る前、途中、及び/又は、後で)出力信号を生成するように構成されてよい。これは、速やかに、周期的に(例えば、あるサンプリングレートで)、連続的に、継続的に、変動する間隔で、及び/又は、進行する他の何らかの形式で信号を生成することを含んでよい。サンプリングレートは、約10
-9秒、約10
-8秒、約10
-7秒、約10
-6秒、約10
-5秒、約10
-4秒、約10
-3秒、約0.01秒、約0.1秒、約1秒、約10秒、約1分、及び/又は、その他のサンプリングレートであってもよい。特定の出力信号及び/又はパラメータ及び/又はそれらから導出される特性(特にパラメータ等に関連する周波数)にとって適切であるように、複数の個々のセンサ142が異なるサンプリングレートを用いて動作してもよいことに留意を要する。例えば、一実施形態では、生成される出力信号は、出力信号のベクトルとして考えられてよく、そのベクトルは、1つ以上のパラメータ及び/又は特性に関連して運ばれる情報の複数のサンプルを含む。出力信号のベクトルから継続的な方法で判定される特定のパラメータ又は特性は、その特定のパラメータ又は特性のベクトルとして考えられてよい。
【0023】
[27]一実施形態において、センサ142は、呼吸デバイス内の任意の平坦な及び/又は湾曲した表面、呼吸デバイスの任意の外部表面、及び/又は、対象者106(の気道)から伝達される超音波エネルギを測定するように構成及び/又は配置されるMEMSマイクロフォンであってもよい。例えば、対象者により放出される(超音波)エネルギは、吸気と呼気との間で相違するかもしれない。吸気の間、対象者は約20kHzの周波数を有する超音波エネルギを放出するかもしれない。呼気の間、対象者は、典型的には、20kHzより低い周波数を有する超音波エネルギを放出する或いは識別可能な超音波エネルギの放出をしないかもしれない。吸気及び呼気の間のこの識別は、本願で説明されるシステム及び方法により使用されてよい。
【0024】
[28]一例として、
図15は、超音波エネルギ源として呼吸を使用することで、周波数−電圧回路1001(
図10)により、(
図10及び11に関して他の箇所で説明されるような)サブシステム1000及び1000aと同一又は類似のサブシステムにより生成されるような電圧信号1500を示す。電圧信号1500は、吸気及び呼気にそれぞれ対応するピーク(山)1501及び谷1502を示す。
図15は、対象者から約1フィートの距離においてセンサ142(例えば、MEMSマイクロフォン)を用いて取得される測定を示す。更なる例として、
図16は、超音波エネルギ源として呼吸を使用することで、周波数−電圧回路1001(
図10)により、(
図10及び11に関して他の箇所で説明されるような)サブシステム1000及び1000aと同一又は類似のサブシステムにより生成されるような電圧信号1600を示す。電圧信号1600は、吸気及び呼気にそれぞれ対応するピーク(山)1601及び谷1602を示す。
図16は、対象者から約10フィートの距離においてセンサ142(例えば、MEMSマイクロフォン)を用いて取得される測定を示す。(
図11に関して説明されるような)カップリングキャパシタの値は、センサ142とこの例の場合には対象者106との間で一般的に予想される距離に基づいて調整されてよいことに、留意を要する。
【0025】
[29]一実施形態において、センサ142は、呼吸気流のガスパラメータ、気道の仕組みに関連するパラメータ、及び/又は、その他のパラメータに関連する測定を搬送する出力信号を生成するように構成されてもよい。ガスパラメータは、フロー、(気道)圧力、湿度、速度、加速度、及び/又は、その他のガスパラメータを含んでもよい。出力信号は、呼吸パラメータに関連する測定を搬送してもよく、限定ではないが呼吸タイミング及び呼吸レートを含んでもよい。呼吸タイミングは、吸気の開始、吸気の持続時間、吸気及び呼気の間の呼吸停止の開始、呼吸一時停止の持続時間、呼気の開始、呼気の持続時間、呼吸速度、及び/又は、呼吸に関連する他のタイミング特性のうちの1つ以上を含んでもよい。センサ142は、導管180及び/又はマウスピース又はマスク184との流体連結におけるものであってもよい。センサ142は、対象者106に対する生理学的パラメータに関する出力信号を生成してもよい。パラメータは、対象者106の気道、対象者106の呼吸、対象者106により呼吸されるガス、対象者106により呼吸されるガスの組成、対象者106の気道にガスを供給すること、及び/又は、対象者による呼吸の努力についての状態及び/又は状況に関連してもよい。
【0026】
[30]一例として、
図10及び11は、それぞれサブシステム1000及び1000aを形成する様々なコンポーネントを概略的に示す。サブシステム1000及び1000aは、周波数-電圧回路1001を含んでもよい。サブシステム1000及び1000aは類似する特徴及び機能を表現してもよい。サブシステム1000、サブシステム1000a及び/又はそれらのコンポーネントは、システム10(
図1)の実施形態において包含及び/又は使用されてよい。音響及び/又は超音波エネルギ(呼吸デバイス及び/又は対象者106の双方又は一方により放出されるエネルギを含む)は、マイクロフォン142により受信及び/又は測定されてもよい。プレアンプ(前段増幅器)1002は、ハイパスフィルタ及び/又はカップリングキャパシタを含むように構成されてよい。アプリケーションに依存して、カップリングキャパシタは、約100pf(約1フィートの距離の範囲内の短距離測定の場合)ないし約5600pf(約1フィートないし約10フィートの間の長い測定範囲の場合)に及んでもよい。プレアンプ1002は、
図11に示されるように例えば2つのトランジスタを利用することにより事前に到来信号を増幅するために使用されてもよい。成果ディテクタ1007は、測定された超音波エネルギに基づいて、動作している呼吸薬物デリバリーデバイスのタイプを検出するように構成されてもよい。成果ディテクタ1007は、ミキサ1003、チューニング制御部1004、オーディオ増幅器1005、ゲイン制御部1006、及び/又は、その他のコンポーネントを含んでもよい。ミキサ1003は、プレアンプ1002及び/又は(
図11に示されるような)ローカル発振器1020の双方により駆動されるトランジスタを含んでもよい。ミキサ1003は、2つの入力を乗算して結果の出力をもたらし、和及び差の周波数を生成するように構成されてもよい。オーディオ増幅器1005は、ミキサ1003により生成された信号を増幅し、及び/又は、ユーザの視聴に相応しいリスニングレベルをオーディオ出力1008に提供するように構成されてもよい。ゲイン制御部は、オーディオ増幅器1005に対する利得を制御するように構成されてよい。オーディオ増幅器1005からの出力は、ピーク周波数ディテクタ1011に伝達されてもよい。ピーク周波数ディテクタ1011は、増幅フィルタ1009、比較器(コンパレータ)1010、周波数−電圧回路1001、及び/又は、他のコンポーネントを含んでもよい。ピーク周波数ディテクタ1011は、マイクロフォン142を介して受信される(支配的な)周波数に比例する(直流)出力電圧を生成するように構成されてもよい。増幅フィルタ1009は、信号をディジタル化する比較器1010に先立って、信号についての更なる増幅及びフィルタリングを行う。その結果のパルス列は、キャパシタに入ってキャパシタに電荷を加えるパルスのトリガを与えるために使用されてもよい。キャパシタの電荷は、マイクロフォン142を介して受信される(支配的な)周波数を表現してもよい。代替的及び/又は同時的に、そのようなパルス列は、タイマ及び/又はカウンタをインクリメントし、キャパシタと同様なユーティリティを提供してもよい。
【0027】
[31]一実施形態において、サブシステム1000及び/又は1000aと同一又は類似するサブシステムは、狭帯域の特定用途のマイクロフォンとして使用されてもよい。例えば、メッシュネブライザ及び乾燥粉末吸入器のために放出される超音波エネルギは、説明されるようなサブシステム1000及び1000aに相応しい狭帯域信号であってもよい。
【0028】
[32]一例として、
図6及び7は、乾燥粉末吸入器の動作中に放出されるエネルギのグラフ600及び600aを示す。グラフ600及び600aは、上半分にウォーターフォール表示を含み、下半分に(振幅のエネルギの)大きさを含む。ウォーターフォール表示は、垂直軸方向に時間を示し、水平軸方向に測定周波数(kHz)を示す。
図6に示されるように、グラフ600は、31kHz近辺の周波数で狭くて大きなピーク601を示し、これは乾燥粉末吸入器による薬の搬送のための超音波エネルギの痕跡(又は特徴)である。このエネルギは、殺到する空気(エアラッシュ)が薬のカプセルを通過する場合に及び/又は動作中に呼吸デバイス内の共鳴により放出されるかもしれない。グラフ600の上半分は、3つの個別的な超音波ホイッスル(whistle)を示し、それら各々は、約31kHzで始まり、約33kHzまで滑らかに増加し、約31kHzに滑らかに戻る。
図7は
図6の拡大図を示す。更なる例として、
図17は、周波数−電圧回路1001(
図10)により、(
図10及び11に関して他の箇所で説明されるような)サブシステム1000及び1000aと同一又は類似のサブシステムにより生成されるような電圧信号1700を示す。電圧信号1700は、乾燥粉末吸入器を用いる対象者により放出される超音波エネルギを測定することにより生成される。電圧信号1700は、吸気及び呼気にそれぞれ対応するピーク(山)1701及び谷1702を示す。この例では、(乾燥粉末吸入器からの)31kHzの周波数近辺でのピーク放出は、(
図10及び11に関連して本願の箇所で説明される)サブシステム1000及び1000aと同一又は類似のサブシステムにより、約20kHzまで下方にシフトされ、周波数−電圧回路1001(
図10)に供給される。結果の和及び差の周波数は、従って、高い方で51kHz+31kHz=82kHz及び低い方で51kHz-31kHz=20kHzとなる。ピーク1701及び谷1702は、約20kHzのその低い方の信号に関連する。
図17は乾燥粉末吸入器を用いる対象者の吸気及び呼気の検出の様子を示す。
【0029】
[33]
図10及び11に関し、サブシステム1000及び1000aと同一又は類似のサブシステムが、システム10(
図1)及び/又はシステム10に類似するシステムのような、対象者に呼吸治療をもたらすように構成される大規模なシステムに使用されてもよい。一例として、
図12は、メッシュネブライザ1200、マイクロフォン142、サブシステム1000及び/又は他のコンポーネントを含むシステム10aを概略的に示す。メッシュネブライザ1200は、メッシュ1201、クラスEドライバ1202、位相ロックループ回路(PLL)1203、及び/又は、他のコンポーネントを含んでもよい。PLL1203は、「信号入力(Sig in)」及び「比較器入力(Comp in)」という入力と、「VCO出力(VCO-out)」及び「ロック(Lock)」という出力とを含み、それらは全てPLLに標準的である。PLL1203の「比較器入力(Comp in)」の入力にループバックされる出力「VCO-out」は、メッシュ1201に接続されるピエゾ素子及び/又はメッシュ1201に対して(クラスEドライバ1202のような適切なドライバを介して)駆動周波数を提供するように構成されることに留意を要する。一実施形態において、PLL1203は、マイクロフォン142を介して測定される超音波エネルギと、メッシュ1201を駆動するために使用される信号/周波数(例えば、出力VCO-outからのもの)との間の位相差に基づいて、駆動周波数を調整するように構成されてもよい。マイクロフォン142は、エアロゾルとの接触が回避される又は最小化されるように配置される必要があり、例えば、メッシュ1201から適切なハーモニック距離(harmonic distance)(すなわち、1つ以上のサイクルだけ離れた距離)にマイクロフォン142を配置することにより、エアロゾルとの接触が回避される又は最小化されるように配置される必要があることに、留意を要する。出力VCO-outからの信号は矩形波(又は矩形波に類似するもの)であってもよい一方、メッシュ1201からの信号は正弦波であってもよいことに留意を要する(ただし、それらの周波数は同じであることを要する)。
【0030】
[34]一実施形態において、マイクロフォン142を介して測定される超音波エネルギと、メッシュ1201を駆動するために使用される信号/周波数(例えば、出力VCO-outからのもの)との間の位相差は、環境及び/又は周辺状況(限定ではないが、例えば、温度、湿度、及び/又は、(限定ではないが、特定のガス体積のうちのCO
2の割合を含んでもよい)ガスの化学組成などを含んでもよい)における1つ以上の変化により引き起こされ得る。
【0031】
[35]一例として、
図18は、メッシュ1201を含む呼吸薬物デリバリーデバイス11を有するシステム10を示し、システム10は、(
図18において点による矢印で示される)エアロゾルを搬送するために、メッシュ1201を対象者のインタフェース機器184(マウスピース又はマスク184のようにも言及される)に流体結合するように構成される導管180(マウスピースシリンダ180とも言及される)を含む。対象者が導管180内に息を吐くと、1つ以上の環境及び/又は周辺の状態が変化する。例えば、導管180の中の温度が上昇し、その温度上昇が、導管180内の超音波エネルギの伝搬速度を変え、及び/又は、導管180内の音響的インピーダンスを変えるかもしれない。そのような呼吸作用に応じて、マイクロフォン142を介して測定される超音波エネルギとメッシュ1201を駆動するために使用される(例えば、出力VCO-outからの)信号/周波数との間の位相差が変化するかもしれない。代替的及び/又は同時的に、対象者が導管180の周辺空気(及びエアロゾル)を吸引すると、1つ以上の環境及び/又は周辺状況が変化するかもしれない。例えば、導管180内の温度が減少するかもしれない。そのような呼吸作用に応じて、マイクロフォン142を介して測定される超音波エネルギとメッシュ1201を駆動するために使用される(例えば、出力VCO-outからの)信号/周波数との間の位相差が変化するかもしれない。マイクロフォン142は、メッシュ1201又は対象者のインタフェース機器184に近接して配置されることは必須ではなく、導管180に沿う様々な場所に配置されてもよいことに留意を要する。
【0032】
[36]一実施形態において、
図18に示されるシステム10は、導管180の中に、1つ以上のリフレクタ1801及び/又は反射表面を含んでもよい。例えば、銅のグラスのような固い表面は、超音波エネルギを反射することに相応しい。リフレクタ1801に対するメッシュ1201の適切な配置とともに、システム10の動作中に、導管180の中で定在波が生じる。マイクロフォン142は、導管180の中で、反射される超音波エネルギにより信号強度が強められる地点又はその近辺に配置される。
【0033】
[37]一実施形態において、PLL1203は、メッシュ1201に対する初期駆動周波数を提供するように構成されてよい。例えば、対象者106による非吸入期間の間に無駄になる薬を減らすために、システム10aによるエアロゾルの生成が減少されるように、初期駆動周波数は、メッシュ1201の共鳴周波数より高くてもよい。例えば、初期駆動周波数は、エアロゾル生成に使用されるように求められるメッシュ1201の共鳴周波数の105%、110%及び/又はその他の適切な割合であってもよい。エアロゾル生成の削減は、最大エアロゾル生成レベルのうちの100%ないし0%の間の任意の割合であってよい。対象者106の吸入の間に、センサ142は、本願の別の箇所で説明されるように、対象者106の気道により放出される超音波エネルギを受信及び/又はピックアップする。呼吸デバイス及び対象者106の双方により放出される超音波エネルギに関する情報を運ぶ出力信号が、駆動周波数を変えることを、PLL1203に行わせるように、システム10aは構成されてもよい。特に、この変更される駆動周波数は、エアロゾルがシステム10aにより生成されるような、メッシュ1201の共鳴周波数であってもよい。従って、特定の吸入の終了に応じて、システム10aは、エアロゾル生成が減らされるような動作状態に戻ってよい。非限定的な例として、PLL1203は、対象者106による吸入を示す超音波エネルギが存在する(ことが検出される)場合に、ロックするように構成されてもよい。これらの状況の下で、エアロゾルは生成され搬送される。対象者106による吸入を示す超音波エネルギが存在しない(ことが検出される)場合、PLL1203はロック状態から抜けるように構成されてもよい。これらの状況の下で、エアロゾルの生成は減らされ及び/又は抑制され、呼吸作動型動作モードを実行あらしめる。
【0034】
[38]PLL1203が構成され、いったんロックされると、位相差が最小化されるように及びエネルギ振幅が(少なくともローカルに)最大化されるように、動作状態を調整する。本開示により説明される特徴は、スパッタ(sputter)、処置の後、及び/又は、他の状況を含む状態を検出するために使用されてよい。
【0035】
[39]一実施形態において、対象者106の吸入を示す超音波エネルギの存否によらず、メッシュ1201の共鳴周波数に合致する及び/又は追従する駆動周波数を提供するように、PLL1203は構成されてよい。そのような場合、PLL1203は、吸入を示す超音波エネルギが存在する場合にロックし、PLL1203は、吸入を示す超音波エネルギが存在しない場合にロックから抜けてもよい。PLL1203のロック信号は、システムによるエアロゾル生成を削減するために使用されてもよい。一例として、そのようなシステムは
図13に示される。ロック信号は、エアロゾル生成を削減及び/又は抑制する時を制御するために使用され、これにより呼吸作動型動作モードを実行あらしめる。
【0036】
[40]
図13に関し、一実施形態において、システム10bは電力制御部(又はパワーコントロール部)14を含む。電力制御部14は、PLL1203からの出力(例えば、例えばロック出力)に少なくとも部分的に基づいて制御されてよい。PLL1203がロックされる場合に、例えば吸入の場合に、電力制御部14は、エアロゾルを生成するためにシステム10bにとって十分である高電力設定を(クラスEドライバ1202が)利用するように、クラスEドライバ1202を制御するように構成されてもよい(高電力設定は、「ハイパワーレベル」又は「高動作電力レベル」などと同義語的に言及されてよい)。PLL1203がロックされない場合、低電力設定が使用されてよい(低電力設定は、「ローパワーレベル」又は「低動作電力レベル」などと同義語的に言及されてよい)。例えば、PLL1203がロックされない場合、同一(又は類似する)周波数ではあるが、エアロゾルをほとんど又は全く生成しないような低い電力レベルで出力してもよい。電力制御部14は、クラスEドライバ1202及び従ってメッシュ1201に対するゲイン制御をもたらすように構成されてもよい。例えば
図12及び
図13に示されるシステムによる特徴を組み合わせる形態も、本開示範囲内で想定されている。本願で使用されるように、「動作電力レベル(operational power level)という語句は、(例えば、システム10、システム10a、システム10b等のような)システムの動作中に使用される電力のレベルを指し、限定ではないが、ピエゾ素子102を駆動するために使用される電力レベル、メッシュ1201、及び/又は、媒体の機械的振動又は変位を提供する他の手段などに関連する。
【0037】
[41]メッシュ1201の動作周波数が共鳴から逸脱するように変化する場合又はそのように仮定される場合、メッシュ1201により放出されるエネルギは、(メッシュ1201を駆動するために使用される要素のインピーダンス曲線に起因して)振幅の観点から減少し、実際上、位相差を増やす。これに応じて、PLL1203は、その状態に対抗するように出力周波数を調整する。(例えば、インピーダンス曲線の反対側での周波数調整を回避するために)共鳴周波数以外の周波数で意図的に駆動される呼吸デバイスとは異なり、本願で開示されるシステムは、マイクロフォン142により生成される信号に基づいて、動作中に、例えばPLL1203を変化に追従させるように、共鳴周波数に十分に近付くように動作する。一実施形態において、メッシュネブライザ1200は、PLL1203をマニュアルにより及び/又はプログラム可能に制御するように構成される周波数セット1204を含んでもよい。
【0038】
[42]
図1に関し、一実施形態において、呼吸薬物デリバリーデバイス11は、ジェットネブライザ及び/又はそのコンポーネント/特徴部を含んでもよい。ジェットネブライザは圧縮された空気を含んでもよい。限定ではないがジェットネブライザを含む何らかのタイプの呼吸薬物デリバリーデバイスに関して放出される超音波エネルギは、ワイドバンド信号であってもよい。そのような信号は
図11のサブシステム1000aのようなサブシステムを用いて測定されてもよいが、その場合、ジャンパー1021は省略され(及び抵抗R9は10kOhmから2kOhmへ変更され)、これにより(
図10に示されるような)成果ディテクタ1007又は(
図11に示されるような)ローカル発振器1020を使用しない。この動作モードでは、サブシステムは、約15kHzないし約65kHzの間のワイドバンド信号に相応しい。一例として、
図3及び4はジェットネブライザの動作中に放出されるエネルギのグラフ300及び300aを示す。グラフ300及び300aは、上半分にウォーターフォール表示を含み、下半分に(エネルギ振幅の)大きさを含む。ウォーターフォール表示は、垂直軸に時間を示し、水平軸に測定周波数を示す(kHz)。
図3に示されるように、グラフ300は、約15ないし約21kHzの間のワイドバンド信号303を含み、これは薬液がジェットネブライザに加えられた後に生じる。エネルギ振幅における個々のピーク301及び302がそれぞれ約64kHz及び74kHzで生じていることに留意を要する。
図4はスパッタ(sputter)の開始時におけるジェットネブライザの動作を示す。グラフ300及び300aのようなグラフから導出される情報は、呼吸薬物デリバリーデバイスの動作を制御するため及び/又は(例えば患者忠実度を示すような)呼吸パラメータを監視するために使用されてよい。
【0039】
[43]
図1に関し、一実施形態において、1つ以上のセンサ142は、対象者106の気道から(特に、吸気の間に)放出される超音波エネルギの1つ以上の特性に関連する情報を搬送する出力信号を生成するように構成される。人間生理学に起因して、空気の流れは、吸気及び呼気の最中に変化する。その結果、対象者により放出される(超音波)エネルギは、吸気及び呼気の間で相違する。鼻の経路を介する吸入及び/又は(鼻による)制約は、超音波エネルギが放出されることを引き起こす。例えば、鼻の制約による空気の流れは、約60kHzないし約75kHzの超音波ホイッスル(whistles)を生成するかもしれない。一例として、
図5はそのような超音波ホイッスルを示すグラフ500を示す。グラフ500は、上半分にウォーターフォール表示を含み、下半分に(エネルギ振幅の)大きさを含む。ウォーターフォール表示は、垂直軸上に時間を示し(この例では約2秒)、水平軸上に測定された周波数(kHz)を示す。図示されるように、グラフ500は約61kHzないし約70kHzの間に信号501を含む。グラフ500のようなグラフから導出される情報は、呼吸薬物デリバリーデバイスの動作を制御するため及び/又は(例えば患者忠実度を示すような)呼吸パラメータを監視するために使用されてよい。例えば、そのような情報は、対象者106に対する薬物の搬送を制御するために使用されてよい。これは、呼気中に薬物を無駄にしてしまうことを回避する。更なる説明に関し、サブシステム1000及び1000a(
図10及び11)と同一又は類似のサブシステムは、周波数−電圧回路1001(
図10)により、
図5のグラフ500に示される信号を入力として使用して、
図14の電圧信号1400のような電圧信号を生成する。電圧信号1400は、
図5のグラフ500に示されるような対象者の吸入の間に同一又は類似する超音波ホイッスル(
図5に示される信号501の周波数範囲に対応するピーク1401及び谷1402を有する)を示す。
【0040】
[44]
図12及び13に示されるシステムに関して説明されるような呼吸作動型の動作モードは、異なるタイプの呼吸治療デリバリーデバイスに使用されてもよいことに留意を要する。一実施形態において、
図13のシステム10bに類似するシステムは、電力制御部14のような電力制御を必須としない。
【0041】
[45]グラフ500のようなグラフから導出される情報は、デバイスの動作、呼吸のタイミング、吸気期間、呼気期間、流速、患者による吸気強度、搬送される薬物の量、日又は週のうちの薬物搬送セッション回数などを判定するために使用されてよい。そのような測定された情報と対象者に推奨される処置との比較に基づいて、患者忠実度のレベルが判定されてもよい。様々なタイプの導出された情報の組み合わせも本開示の範囲内で想定されている。例えば、患者の忠実度に関するパラメータ及び/又はメトリックを判定するために、デバイス作動情報が、患者固有の呼吸情報と組み合わせられてもよい。
【0042】
[46]
図1に関し、一実施形態において、呼吸薬物デリバリーデバイス11は、メータードーズ吸入器及び/又はそのコンポーネント/特徴部を含んでよい。メータードーズ吸入器に関して放出される超音波エネルギは、(短期間の)ワイドバンド信号であってもよい。そのような信号は、
図11のサブシステム1000aのようなサブシステムを用いて測定されてもよいが、ジャンパー1021は除外され(及び抵抗R9は10kOhmから2kOhmに変更され)、これにより成果ディテクタ1007(
図10)又はローカル発振器1020(
図11)を使用しない。この動作モードでは、サブシステムは約15kHzないし約65kHzの間のワイドバンド信号に相応しい。一例として、
図8は、メータードーズ吸入器の動作中に放出されるエネルギのグラフ800を示す。グラフ800は、上半分にウォーターフォール表示を含み、下半分に(エネルギ振幅の)大きさを含む。ウォーターフォール表示は、垂直軸に時間を示し、水平軸に測定周波数を示す(kHz)。
図8に示されるように、グラフ800は、約15kHzないし約25kHzの間の短期間のワイドバンド信号801を含む。グラフ800のようなグラフから導出される情報は、呼吸薬物デリバリーデバイスの動作を制御するため及び/又は(例えば、患者忠実度を示すような)呼吸パラメータを監視するために使用されてよい。
【0043】
[47]
図1に関し、システム10の電子ストレージ130は、情報を電子的に保存する電子記憶媒体を有する。電子ストレージ130についての電子記憶媒体は、システム10に一体的に提供される(実質的に取り外し不可能である)システムストレージ、及び/又は、例えばポート(例えば、USBポート、FireWireポート等)又はドライブ(例えば、ディスクドライブ等)によりシステム10に取り外し可能に接続可能なリムーバブルストレージのうちの双方又は一方を含んでもよい。電子ストレージ130は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピドライブ等)、荷電に基づく記憶媒体(例えば、EPROM、EEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)、及び/又は、その他の電子的に読み取り可能な記憶媒体のうちの1つ以上を含んでもよい。電子ストレージ130は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ110により判断される情報、ユーザーインターフェース120により受信される情報、及び/又は、システム10を適切に機能させる他の情報を保存してもよい。例えば、電子ストレージ130は、生成された出力信号、及び/又は、(本願の他の説明箇所で説明される)他のパラメータ、及び/又は、他の情報に基づいて、パラメータのベクトルを記録又は保存してもよい。電子ストレージ130はシステム10内の個別的なコンポーネントであってもよいし、或いは、電子ストレージ130は(例えば、プロセッサ110のような)システム10の1つ以上の他のコンポーネントと一体的に提供されてもよい。
【0044】
[48]
図1のシステム10のユーザーインターフェース120は、システム10とユーザ(例えば、ユーザ108、対象者106、介護者、治療判断者など)との間で提供されるように構成され、それを介してユーザはシステム10に情報を提供し及びシステム10から情報を受信することが可能である。これは、データ、結果及び/又は命令、並びに、その他の任意の通信可能な事項(まとめて「情報」と言及される)が、ユーザ及びシステム10の間で通信されることを可能にする。ユーザ108によりシステム10に運ばれる情報の具体例は、患者固有の忠実度情報である。ユーザ108に運ばれる情報の具体例は、対象者106に関する忠実度情報を詳細に述べる報告(レポート)である。ユーザーインターフェース120に包含されることに相応しいインターフェースデバイスの具体例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、インジケータ光、可聴アラーム、及び、プリンタ等を含む。情報は、聴覚的な信号、視覚的な信号、触覚的な信号、及び/又は、他の知覚信号の形式で、ユーザーインターフェース120によりユーザ108又は対象者106に提供されてよい。
【0045】
[49]有線又は無線の他の通信技術もユーザーインターフェース120として本願では想定されていることが、理解されるべきである。例えば、一実施形態において、ユーザーインターフェース120は、電子ストレージ130により提供される取り外し可能なストレージインターフェースとともに一体化されてもよい。この例では、情報は、(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、取り外し可能なディスク等のような)取り外し可能なストレージからシステム10にロードされ、ユーザがシステム10をカスタム化することを可能にする。ユーザーインターフェース120としてシステム10とともにユーザに適合される他の例示的な入力デバイス及び技術は、限定ではないが、例えばRS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、イーサーネット(登録商標)、インターネット又はその他のもの)等を含む。要するに、システム10と情報を通信する任意の技術がユーザーインターフェース120として想定されている。
【0046】
[50]
図1のシステム10のプロセッサ110は、システム10における情報処理機能を提供するように構成される。従って、プロセッサ110は、ディジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるディジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、及び/又は、情報を電子的に処理する他の仕組みのうちの1つ以上を含む。プロセッサ110は単独の手段(エンティティ)として
図1に示されているが、これは説明上の便宜的なものであるに過ぎない。一実施形態では、プロセッサ110は複数の処理ユニットを含む。
【0047】
[51]
図1に示されるように、プロセッサ110は、1つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成される。1つ以上のコンピュータプログラムモジュールは、パラメータ判定モジュール111、制御モジュール112、特性モジュール113、及び/又は、その他のモジュールのうちの1つ以上を含む。プロセッサ110は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの何らかの組み合わせ;及び/又はプロセッサ110で処理機能を構成するその他の手段;により、モジュール111-113を実行するように構成されてもよい。
【0048】
[52]モジュール111-113は
図1では単独の処理ユニットの中に共存するように示されているが、プロセッサ110が複数の処理ユニットを含む実施形態では、モジュール111-113のうちの1つ以上が他のモジュールから離れて配置されてもよいことが、認められるべきである。ここで説明される様々なモジュール111-113により提供される機能の説明は例示的説明を目的としており、限定であるようには意図されておらず、何れのモジュール111-113も、説明されたものより多い又は少ない機能を提供してよい。例えば、モジュール111-113のうちの1つ以上は省略されてもよいし、その機能の全部又は一部は、包含、共有、統合されてもよいし、或いは、他の何れかのモジュール111-113により提供されてもよい。プロセッサ110は、何れかのモジュール111-113の下位に帰属する機能の全部又は一部を実行する1つ以上の追加的なモジュールを実行するように構成されてもよいことに、留意を要する。
【0049】
[53]
図1のシステム10のパラメータ判定モジュール111は、センサ142により生成される出力信号から1つ以上のパラメータを判定するように構成される。1つ以上のパラメータは、第1スペクトルパラメータ及び/又は他のパラメータを含んでもよい。第1スペクトルパラメータは、例えば第1周波数バンドにおけるエネルギ振幅(の大きさ)を示してもよい。例えば、第1スペクトルパラメータは、本願の他の箇所で説明されるようなマイクロフォン142により受信される超音波エネルギの振幅を示してもよい。一実施形態において、パラメータ判定モジュール111は、第1スペクトルパラメータに類似する方法で、例えば他の周波数バンドに対応する追加的な(スペクトル)パラメータを判定するように構成される。
【0050】
[54]パラメータ判定モジュール111の動作は、例えば特定のサンプリングレートで、継続的な方法で実行されてもよい。1つ以上のパラメータは、システム10の中又は対象者106の近辺の様々な位置及び/又は場所において判定されてもよい。一実施形態において、パラメータ判定モジュール111は、対象者106を監視する期間の間に継続的な方法で、パラメータによるベクトルを導出してもよい。パラメータのベクトルは、生成された出力信号のベクトル及び/又は判定されたパラメータ(の他のベクトル)に基づいていてもよい。
【0051】
[55]特性モジュール113は、呼吸治療デリバリーデバイス11a、呼吸薬物デリバリーデバイス11、及び/又は、対象者106(の気道)のうちの1つ以上により放出される超音波エネルギの1つ以上の特性(又は特徴)を判定するように構成される。1つ以上の特性は、パラメータ判定モジュールにより判定される1つ上のパラメータに基づいてもよい。一実施形態において、特性モジュール113は、特定の動作周波数を有するピエゾ素子により放出される及び/又は対象者106により放出される超音波エネルギの特性を判定するように構成されてもよい。例えば、その特性は、吸入の間に対象者106の気道により放出される超音波エネルギが存在するか否かを含んでもよい。
【0052】
[56]制御モジュール112は、動作中の呼吸治療デリバリーデバイス11を制御するように構成される。制御モジュール112の動作は、パラメータ判定モジュール111により判定される1つ以上のパラメータ、及び/又は、特性モジュール113により判定される1つ以上の特性に基づいてもよい。制御モジュール112による制御は、例えば動作周波数、駆動電力、及び/又は、本願で説明されるようなその他の調整可能な動作形態の調整を含んでもよい。調整は、判定された(スペクトル)パラメータ及び/又は生成された出力信号に基づいてもよい。調整は、例えば第1パラメータのような特定の判定されたパラメータが所定の閾値レベル以上に維持されるように、なされてもよい。一実施形態において、そのような閾値は、特定の判定されたパラメータに関する既知の最大値についての割合(パーセンテージ)で予め決められてもよい。所定の割合は、約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、及び/又は、他の割合であってもよい。調整は、例えば特定のサンプリングレートで継続的な方法でなされてもよい。調整は、リアルタイム又は近似的にリアルタイムでなされてもよい。調整のレートは、ミリ秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、20秒、及び/又は、その他の適切なレートであってよい。一実施形態において、調整は、吸入中に超音波エネルギが対象者106の気道により放出されていることの(特性モジュール113による)判断に応じてなされてもよい。一実施形態において、調整は、例えば
図12に示されるような位相ロックループ回路1203のような、アンロックからロックへの位相ロックループ回路の遷移に応答してなされてもよい(又は遷移により引き起こされてもよい)。位相ロックループ回路の他の特性及び/又は遷移を利用得することも本願の開示範囲内で想定されている。
【0053】
[57]一実施形態において、パラメータ判定モジュール111は、対象者106に対する忠実性メトリック及び/又は忠実性パラメータを判定するように構成されてよい。忠実性メトリック及び/又は忠実性パラメータは、上記の1つ以上のパラメータ及び/又は特性に基づいてよい。例えば、特定の忠実性メトリックは、デバイス作動情報及び呼吸タイミングの組み合わせに基づいてもよい。忠実性メトリック及び/又は忠実性パラメータは、例えば、推奨される処置を完全に遵守した場合についての割合として表現されてもよい。例えば、特定の患者が90%の忠実度のスコアを得た場合、そのようなスコアは、動作が進行していることの判断の際に介護者により考察されてもよい。代替的に、特定の患者が忠実度についての低いパーセンテージのスコアを得た場合、そのようなスコアは、その特定の患者に関し、特定の薬が有効でない旨の判断に先行して考察されてもよい。低いスコアは、呼吸デバイスのタイプ選択の変更を促してもよい。
【0054】
[58]
図2は、限定ではないが例えば薬物の搬送を含む、対象者に呼吸治療をもたらすための方法200を示す。以下に説明される方法200の動作は例示的説明を意図している。所定の実施形態において、方法200は、説明されていない1つ以上の追加的な動作とともに、及び/又は、説明される動作のうちの1つ以上を行わずに、実行されてもよい。更に、方法200の動作が
図2に示され及び以下において説明される順序は、限定であるようには意図されていない。
【0055】
[59]所定の実施形態において、方法200は1つ以上の処理装置で実行されてよい(処理装置は、例えば、ディジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるディジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、及び/又は、情報を電子的に処理する他の手段などであってよい)。1つ以上の処理装置は、電子ストレージ媒体に電子的に保存される命令に応答して方法200の動作の全部又は一部を実行する1つ以上のデバイスを含んでもよい。1つ以上の処理装置は、方法200の動作のうちの1つ以上の実行のために具体的に設計される、ハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアにより構成される1つ以上のデバイスを含んでよい。
【0056】
[60]動作202において、呼吸可能なガスが、呼吸治療デリバリーデバイスにより、対象者の気道に搬送される。一実施形態において、動作202は、呼吸治療デリバリーデバイス11a及び/又は治療薬物デリバリーデバイス11(何れも
図1に示され説明されている)と同一又は類似の呼吸治療デリバリーデバイスにより実行される。
【0057】
[61]動作204において、呼吸治療デリバリーデバイス及び/又は対象者の気道の双方又は一方により放出される超音波エネルギについての1つ以上の特性を表す出力信号が、生成される。一実施形態において、動作204は、(
図1に示され、本明細書で説明されるマイクロフォン142のような)センサ142と同一又は類似のセンサにより実行される。
【0058】
[62]動作306において、放出された超音波エネルギのエネルギ振幅を示す第1パラメータが判定される。超音波エネルギは、第1の超音波周波数範囲内で放出される。第1パラメータは、生成された出力信号に基づく。一実施形態において、動作206は、(
図1に示され、本明細書で説明される)パラメータ判定モジュール111と同一又は類似のパラメータ判定モジュールにより実行される。
【0059】
[63]動作208において、放出された超音波エネルギの特性が判定される。特性は、第1パラメータに基づく。一実施形態において、(
図1に示され、本明細書で説明される)特性モジュール113と同一又は類似の特性モジュールにより実行される。
【0060】
[64]特許請求の範囲において、カッコの間にある如何なる参照符号も、その請求項を限定するように解釈されてはならない。「有する」又は「含む」という言葉は、請求項に列挙されるもの以外の要素又はステップの存在を排除していない。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、それらの手段のうちの幾つかは、1つの同じハードウェアアイテムにより具現化されてもよい。「ある」又は「或る」のような要素に先行する言葉は、そのような要素が複数個存在することを排除しない。いくつかの手段を列挙する何らかの装置の請求項において、それらの手段のうちの幾つかは、1つの同じハードウェアアイテムにより具現化されてもよい。所定の複数の要素が相互に異なる従属請求項で引用されているという唯それだけの事実は、これらの要素が組み合わせて使用できないことを意味していない。
【0061】
[65]本説明は、最も実用的かつ好適な形態であると現時点で考えられるものに基づく説明目的の詳細事項を含むが、そのような詳細事項は、その目的のためであるにすぎず、本開示は開示される実施形態に限定されず、むしろ、本開示は、添付の請求項の精神及び範囲に属する変形及び均等な手段を包含するように意図されていることが、理解されるべきである。例えば、可能な範囲内で、任意の実施形態の1つ以上の特徴は、他の任意の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられるようにも想定されていることが、理解されるべきである。