特許第6783727号(P6783727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783727
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】二酸化炭素施用装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/02 20060101AFI20201102BHJP
   A01G 9/18 20060101ALI20201102BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20201102BHJP
   B01D 53/48 20060101ALI20201102BHJP
   B01D 53/54 20060101ALI20201102BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20201102BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20201102BHJP
【FI】
   A01G7/02
   A01G9/18
   B01D53/18 110
   B01D53/48
   B01D53/54
   B01D53/78
   C01B32/50
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-166999(P2017-166999)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-41646(P2019-41646A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 隆
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−142531(JP,A)
【文献】 特開2002−102637(JP,A)
【文献】 特開2000−334259(JP,A)
【文献】 特開2015−196119(JP,A)
【文献】 実開平05−092410(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0189522(US,A1)
【文献】 実公昭16−013486(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/02、 9/14− 9/26
B01D 53/14−53/18、
53/34−53/73、
53/74−53/85、
53/92、53/96
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、
液体を貯留し、燃焼排ガスが前記液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、
前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記液体貯留タンクの下流側に供給するように構成された供給流路と、
前記供給流路に設けられ、前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記液体貯留タンクの下流側に導く機器と、
を備え、
前記少なくとも1つの液体貯留タンクは、前記液体の液面の鉛直方向上方、かつ鉛直方向から視て前記少なくとも1つの液体貯留タンクにおける前記燃焼排ガスの排出口と重なる位置に配置された遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記排出口と対向すると共に、水平方向に対し傾斜した傾斜面を有し、
前記少なくとも1つの液体貯留タンクは、前記遮蔽部として、板面が水平方向に対し傾斜するように配置されたプレートを有し、
前記プレートは、前記プレートの周囲全体に前記燃焼排ガスの流路が形成されるように、前記少なくとも1つの液体貯留タンクの内面と離間して配置される、二酸化炭素施用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記傾斜面には、貫通孔が形成されていない、二酸化炭素施用装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素施用装置であって、
鉛直方向から視て、前記排出口は、前記プレートのうち前記プレートの重心よりも鉛直方向下側に位置する部分と重なり、前記プレートのうち前記プレートの重心よりも鉛直方向上側に位置する部分と重ならない、二酸化炭素施用装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体に冷却空気を供給する冷却配管を備え、
前記プレートは、前記冷却配管によって支持される、二酸化炭素施用装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記供給流路は、前記少なくとも1つの液体貯留タンク内に突出する排出管を有し、
前記プレートは、前記排出管と接続される、二酸化炭素施用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素施用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸植物の収率及び品質を向上させるため、二酸化炭素を農業用ハウス内に施用する二酸化炭素施用装置が公知である。一方で、農業用ハウスには、夜間の気温低下を防止するための加温機が設けられる。加温機は、重油や灯油等を燃焼して温風を農業用ハウスに供給する。
【0003】
そこで、加温機から発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収及び貯留し、任意のタイミングで二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この二酸化炭素施用装置では、燃焼排ガスを液体貯留タンク内の液体に通過させて冷却した後に、吸着タンクによって燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する。
吸着タンクに吸着された二酸化炭素は、例えば昼間に吸着タンクから脱離され、農業用ハウス内に施用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−142531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記二酸化炭素施用装置では、燃焼排ガスを液体貯留タンク内の液体に通過させて吸着タンク又は農業用ハウス内に送るために、燃焼排ガスを吸引し、液体貯留タンクを通過した燃焼排ガスを農業用ハウス内に導く機器(いわゆる吸引器)が設けられる。この吸引器によって、燃焼排ガスが液体貯留タンク内でバブリングされ、吸着タンクに供給される。
【0007】
しかし、液体貯留タンクにおける燃焼排ガスのバブリングによって、液体の一部が燃焼排ガスと共に吸引器に吸い上げられることがある。液体の吸い上げは、吸引器の故障の原因となる。
【0008】
本開示の一局面は、液体貯留タンク内の液体の吸い上げを抑制できる二酸化炭素施用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置である。二酸化炭素施用装置は、液体を貯留し、燃焼排ガスが液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側に供給するように構成された供給流路と、供給流路に設けられ、液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側に導く機器と、を備える。少なくとも1つの液体貯留タンクは、液体の液面の鉛直方向上方、かつ鉛直方向から視て少なくとも1つの液体貯留タンクにおける燃焼排ガスの排出口と重なる位置に配置された遮蔽部を有する。遮蔽部は、排出口と対向すると共に、水平方向に対し傾斜した傾斜面を有する。
【0010】
このような構成によれば、燃焼排ガスと共に吸い上げられた液体が、燃焼排ガスの流路を塞ぐ遮蔽部に付着し、液体貯留タンク内から吸引器側に排出されることが抑制される。また、遮蔽部の上側に付着した液滴は傾斜面によって下方に落下する。そのため、遮蔽部の上に液滴が滞留して吸引器に吸い上げられることが抑制される。その結果、液体の吸い上げに起因する吸引器の故障が抑制される。また、液体貯留タンク内の液体の減少が抑えられる。
【0011】
本開示の一態様では、傾斜面には、貫通孔が形成されていなくてもよい。このような構成によれば、より確実に吸引器による液体の吸い上げを抑制できる。
【0012】
本開示の一態様では、少なくとも1つの液体貯留タンクは、遮蔽部として、板面が水平方向に対し傾斜するように配置されたプレートを有してもよい。また、プレートは、少なくとも1つの液体貯留タンクの内面と、その少なくとも一部が離間して配置されてもよい。このような構成によれば、比較的簡潔な構成で、燃焼排ガスの流動路を確保しつつ、吸引器による液体の吸い上げを抑制できる。
【0013】
本開示の一態様では、鉛直方向から視て、排出口は、プレートのうちプレートの重心よりも鉛直方向下側に位置する部分と重なり、プレートのうちプレートの重心よりも鉛直方向上側に位置する部分と重ならなくてもよい。このような構成によれば、プレートの位置を下げることなく、プレートの傾斜面と排出口とを離間することができる。その結果、省スペース化を図りながら、排出口に液滴が吸い込まれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態における二酸化炭素施用装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、図1の二酸化炭素施用装置の液体貯留タンクを示す模式図である。
図3図3は、図2の液体貯留タンクが有するプレートと排出口との位置関係を示す模式的な平面図である。
図4図4は、図2の液体貯留タンクにおける燃焼排ガス及び液体の流れを示す模式図である。
図5図5は、図2とは異なる実施形態における液体貯留タンクを示す模式図である。
図6図6は、図1とは異なる実施形態における二酸化炭素施用装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す二酸化炭素施用装置1は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給するための装置である。二酸化炭素施用装置1は、農業用ハウスの内部又は外部に配置される。
【0016】
二酸化炭素施用装置1は、燃焼装置2と、第1液体貯留タンク3と、第2液体貯留タンク4と、ブロワ5と、吸着タンク6と、制御部7とを備える。
また、二酸化炭素施用装置1は、排ガス流路10と、第1取込流路11と、冷却空気流路12と、第2取込流路13と、施用空気流路14と、供給流路15とを備える。
【0017】
<燃焼装置>
燃焼装置2は、主に夜間、重油や灯油等の燃料を燃焼させ、農業用ハウス内の空気を温
める装置である。燃焼排ガスは、煙突である排ガス流路10を介して農業用ハウス外に排出される。
【0018】
<第1液体貯留タンク>
第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2から発生した燃焼排ガスの一部を液体Lによって冷却及び浄化するための装置である。本実施形態では、第1液体貯留タンク3は円筒状である。
【0019】
第1液体貯留タンク3は、内部に液体Lを貯留している。また、第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体L中を通過するように構成されている。燃焼排ガスは、液体Lとの熱交換により冷却されると共に、液体Lに含まれる化合物によって含有する成分の一部が取り除かれる。なお、第1液体貯留タンク3内に貯留されている液体Lの体積は、第1液体貯留タンク3の容積よりも小さい。
【0020】
具体的には、第1液体貯留タンク3には、第1取込流路11が接続されており、第1取込流路11から液体L中に燃焼排ガスが供給される。第1取込流路11は、排ガス流路10に接続され、燃焼排ガスを取り込んでいる。第1取込流路11内には、第1液体貯留タンク3内の液面と同じ位置まで液体Lが進入している。
【0021】
なお、図1では、第1取込流路11の端部は、第1液体貯留タンク3の下面に接続されているが、第1取込流路11の端部は第1液体貯留タンク3の側面に接続されてもよい。また、第1取込流路11は、第1液体貯留タンク3の上面から第1液体貯留タンク3の内部を通って液体L中に開口するように配置されてもよい。後述する第2液体貯留タンク4の第2取込流路13についても同様である。
【0022】
液体L中に供給された燃焼排ガスは、液体L中を気泡となって浮上する。つまり、バブリングが行われる。液体L中を通過した燃焼排ガスは、第2取込流路13によって、第2液体貯留タンク4に取り込まれる。
【0023】
第1液体貯留タンク3に貯留される液体Lとしては、燃焼排ガス中に含まれる硫化物や窒化物等の有害物質を除去できるものが好ましい。例えば、硫化物や窒化物と反応する化合物の水溶液が液体Lとして好適に使用できる。
【0024】
第1液体貯留タンク3は、図2に示すように、液体Lの吸い上げを防止する遮蔽部としてのプレート31を有する。プレート31は、液体Lの液面の鉛直方向上方に配置され、第1液体貯留タンク3内における燃焼排ガスの流路の少なくとも一部を塞ぐ。
【0025】
プレート31は、板面が水平方向に対し傾斜するようにプレート支持部32によって支持されている。つまり、プレート31は、鉛直方向上方側の面(つまり上面)として、水平方向に傾斜した傾斜面31Aを有する。
【0026】
プレート31は、図3に示すように、貫通孔が形成されていない平坦な円盤である。プレート31の直径は、第1液体貯留タンク3の内径よりも小さい。また、プレート31は、第1液体貯留タンク3の内面と全体が離間して配置されている。したがって、プレート31の周囲全体に燃焼排ガスの流路が形成されている。
【0027】
プレート31は、鉛直方向から視て(つまり平面視で)、第1液体貯留タンク3における燃焼排ガスの排出口33と重なる位置に配置されている。そのため、傾斜面31Aは、排出口33と対向している。また、傾斜面31Aの下端は、プレート31の端縁と一致し
ている。つまり、本実施形態では、遮蔽部の上面全体が傾斜面31Aとなっている。
【0028】
図4の実線の矢印Aで示すように、液体L中を通過した燃焼排ガスは、プレート31と第1液体貯留タンク3の内面との間を通って排出口33から排出される。なお、排出口33は、第2取込流路13の一部を構成している。
【0029】
燃焼排ガスと共に第1液体貯留タンク3内を上昇してきた液体Lは、プレート31の下面(つまり傾斜面31Aと反対側の面)に衝突するか、プレート31の上面である傾斜面31A上で凝縮する。プレート31の下面に付着した液滴は、自重により落下する。また、プレート31の傾斜面31Aに付着した液滴は、図4の破線の矢印Bで示すように、傾斜した傾斜面31Aに沿ってプレート31から落下する。
【0030】
プレート31の水平方向に対する傾斜角(つまり、傾斜面31Aと水平方向とが成す鋭角)θは、傾斜面31A上の液滴が落下する角度であれば特に限定されない。プレート31の傾斜角θとしては、例えば0°超45°以下である。
【0031】
鉛直方向から視て、排出口33は、プレート31のうち、プレート31の重心よりも鉛直方向下側に位置する部分と重なることが好ましい。また、排出口33は、プレート31のうち、プレート31の重心よりも鉛直方向上側に位置する部分と重ならないことが好ましい。つまり、プレート31は、傾斜面31Aの鉛直方向下側の部分が排出口33を下方に延長した仮想配管と交わり、かつ、傾斜面31Aの鉛直方向上側の部分がこの仮想配管と交わらないように配置されるとよい。このようにプレート31を配置することで、プレート31の位置を下げることなく、傾斜面31Aと排出口33とを離間することができる。その結果、省スペース化を図りながら、排出口33に液滴が吸い込まれることを抑制できる。
【0032】
なお、プレート支持部32は、プレート31を支持できる部材であれば限定されない。したがって、例えば後述する冷却配管12Aをプレート支持部32として使用してもよい。つまり、プレート31に貫通孔を設け、この貫通孔に冷却配管12Aを挿通し、両者を固定してもよい。
【0033】
また、第1液体貯留タンク3には、図1に示すように、排水路17が設けられている。排水路17は、液体Lの液位が上昇した際に、液圧によって液体Lを第1液体貯留タンク3の外部に排出することで、液体Lの液位を一定に保つための流路である。
【0034】
本実施形態では、排水路17には、チャッキ弁(つまり逆止弁)17Aが設けられている。なお、液体Lの液位の上昇に合わせて液体Lを排出できる構成であれば、必ずしも排水路17にチャッキ弁17Aが設けられる必要は無い。
【0035】
さらに、第1液体貯留タンク3には、液体Lを冷却するための冷却空気流路12が接続されている。冷却空気流路12は、冷却空気を液体L中に供給することで、液体Lを冷却する冷却機構である。冷却空気流路12は、冷却配管12Aと開閉弁12Bとを有する。
【0036】
冷却配管12Aは、一方の端部が第1液体貯留タンク3内の液体L中に配置されている。冷却配管12Aの他方の端部は、図示しない冷却空気の供給源に接続されている。
開閉弁12Bは、冷却配管12A内に取り付けられている。開閉弁12Bは、冷却配管12Aによる冷却空気の供給時に開けられる。開閉弁12Bは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0037】
第1液体貯留タンク3内の液体L中に供給された冷却空気は、第2取込流路13によっ
て、第2液体貯留タンク4内の液体L中に供給される。つまり、冷却空気流路12から供給される冷却空気は、第1液体貯留タンク3内の液体Lと第2液体貯留タンク4内の液体Lとを冷却する。
【0038】
<第2液体貯留タンク>
第2液体貯留タンク4は、第1液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを再度冷却及び浄化するための装置である。つまり、二酸化炭素施用装置1は、燃焼排ガスを2段階で冷却及び浄化する。
【0039】
第2液体貯留タンク4は、内部に第1液体貯留タンク3と同様の液体Lを貯留している。また、第2液体貯留タンク4は、第1液体貯留タンク3の液体L中を通過した燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体L中を通過するように構成されている。
【0040】
具体的には、第2液体貯留タンク4には、第2取込流路13が接続されており、第2取込流路13から液体L中に燃焼排ガスが取り込まれる。液体Lを通過した燃焼排ガスは、供給流路15によって、吸着タンク6に供給される。第2液体貯留タンク4には、第1液体貯留タンク3と同様のプレート(図示省略)及び排水路17が設けられている。なお、第2取込流路13には、第2液体貯留タンク4内の液面と同じ位置まで液体Lが進入している。
【0041】
供給流路15は、液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側の吸着タンク6を介して農業用ハウス内又は農業ハウス外に供給するように構成されている。供給流路15は、第1供給配管15Aと、第2供給配管15Bと、排出流路16とを有する。第1供給配管15Aは、第2液体貯留タンク4内の液面よりも上方の空間に一方の端部が配置されている。第1供給配管15Aの他方の端部は、第2供給配管15Bと、後述する施用配管14Aとに接続されている。
【0042】
<ブロワ>
ブロワ5は、供給流路15に設けられ、第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4の液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側に導くように構成された機器である。本実施形態では、ブロワ5は、燃焼排ガスを吸着タンク6、農業用ハウス内及び農業用ハウス外に供給する。ブロワ5は、供給流路15の第2供給配管15Bに配置されている。
【0043】
二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5の運転により、第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4内が負圧となり、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスが第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4を経由して吸着タンク6に圧送される。
【0044】
<吸着タンク>
吸着タンク6は、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されている。二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5によって供給された燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸着材によって吸着される。吸着材としては、例えば活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などが使用できる。
【0045】
一方、二酸化炭素の施用工程では、施用空気流路14から施用空気が吸着タンク6内に供給され、吸着材から二酸化炭素が脱離する。脱離した二酸化炭素は、排出流路16を介して農業用ハウス内に施用される。
【0046】
なお、本実施形態では、施用空気流路14は供給流路15に接続されている。具体的には、施用空気流路14と供給流路15とは第2供給配管15Bを共有している。また、施
用空気流路14は、施用配管14Aと、開閉弁14Bとを有する。
【0047】
施用配管14Aは、一方の端部が第2供給配管15Bに接続されている。施用配管14Aの他方の端部は、大気に開放している。開閉弁14Bは、施用配管14A内に取り付けられている。開閉弁14Bは、施用配管14Aによる施用空気の供給時に開けられる。開閉弁14Bは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0048】
施用配管14Aから流入した施用空気の流入圧力は、第2液体貯留タンク4の液面を押し下げる圧力よりも小さいため、施用空気は供給流路15に導かれる。
【0049】
<制御部>
制御部7は、二酸化炭素施用装置1の運転を制御する装置である。具体的には、制御部7は、ブロワ5の運転及び停止の制御、ソレノイド弁の開閉の制御等を行う。
【0050】
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)燃焼排ガスと共に吸い上げられた液体Lが、燃焼排ガスの流路を塞ぐプレート31に付着し、液体貯留タンク内からブロワ5側に排出されることが抑制される。また、プレート31の上側に付着した液滴は、傾斜面31Aによって下方に落下する。そのため、プレート31の上に液滴が滞留してブロワ5に吸い上げられることが抑制される。その結果、液体Lの吸い上げに起因するブロワ5の故障が抑制される。また、液体貯留タンク内の液体の減少が抑えられる。
【0051】
(1b)プレート31には貫通孔が形成されていないので、より確実にブロワ5による液体Lの吸い上げが抑制できる。
(1c)遮蔽部としてプレート31を用いることで、燃焼排ガスの流動路を確保しつつ、ブロワ5による液体の吸い上げを抑制できる。
【0052】
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
図5は、第2実施形態の二酸化炭素施用装置における第1液体貯留タンク3Aを示す図である。第2実施形態の二酸化炭素施用装置において、第1液体貯留タンク3A以外の構成については図1の二酸化炭素施用装置1と同様であるため、これらの構成の説明は省略する。
【0053】
第1液体貯留タンク3Aは、遮蔽部の構成を除いて、図1の二酸化炭素施用装置1における第1液体貯留タンク3と同様の構成である。
本実施形態では、第1液体貯留タンク3Aは、遮蔽部としてプレート34を有する。プレート34は、液体Lの液面の鉛直方向上方に配置され、第1液体貯留タンク3A内における燃焼排ガスの流路の少なくとも一部を塞ぐ。
【0054】
具体的には、プレート34は、第1液体貯留タンク3Aの排出口33と平面視で重なる位置に配置されている。また、プレート34は、端部が排出口33と接続されている。つまり、プレート34は、図1に示す第2取込流路13の一部を構成している。換言すれば、本実施形態は、第2取込流路13の端部を水平方向に屈曲させることで、遮蔽部を形成している。
【0055】
プレート34は、図2のプレート31と同様、上面が傾斜面となっており、上面に付着した液滴を落下させる。プレート34は、プレート31と同様に、貫通孔が形成されていない平坦な円盤である。また、プレート34の水平方向に対する傾斜角は、プレート31
と同様である。
【0056】
[2−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)第2取込流路13(つまり排出口33)の一部を遮蔽部として構成することで、遮蔽部を設けるための部品点数の増加を抑制することができる。
【0057】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0058】
(3a)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、液体Lを貯留する液体貯留タンクの数は1つでもよい。また、二酸化炭素施用装置1は、3つ以上の液体貯留タンクを備えてもよい。この場合、全ての液体貯留タンクに遮蔽部を設けてもよい。ただし、少なくとも最下流に配置された(つまり最もブロワ5に近い)液体貯留タンクには遮蔽部を設けることが好ましい。
【0059】
(3b)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、図6に示すように、供給流路15における第2液体貯留タンク4とブロワ5との間に予備タンク8を設けてもよい。予備タンク8は、内部に液体Lを貯留している。第2液体貯留タンク4から排出された燃焼排ガスは、予備タンク8の上方から供給され、予備タンク8の液体L中を通ってブロワ5に吸引される。このような構成によれば、仮に第2液体貯留タンク4から供給流路15に液体Lが吸い上げられた場合に、液体Lを予備タンク8で回収することができる。
【0060】
(3c)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、プレート31は、液体貯留タンクの内面と当接していてもよい。また、プレート31,34の平面形状は、円形以外であってもよい。
【0061】
(3d)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、遮蔽部は、上方側に傾斜面を有するものであれば、プレートに限定されない。したがって、遮蔽部として、ブロック状の部材を使用してもよい。
【0062】
また、遮蔽部の傾斜面に貫通孔が形成されていてもよい。また、傾斜面の傾斜角度は一定でなくてもよい。つまり、傾斜面は屈曲又は湾曲していてもよい。さらに、遮蔽部は、複数の傾斜面を有してもよい。
【0063】
(3e)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、液体貯留タンクを通過した燃焼排ガスをブロワ5によって直接農業用ハウス内に供給してもよい。
【0064】
(3f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0065】
1…二酸化炭素施用装置、2…燃焼装置、3,3A…第1液体貯留タンク、
4…第2液体貯留タンク、5…ブロワ、6…吸着タンク、7…制御部、
8…予備タンク、10…排ガス流路、11…第1取込流路、12…冷却空気流路、
12A…冷却配管、12B…開閉弁、13…第2取込流路、14…施用空気流路、
14A…施用配管、14B…開閉弁、15…供給流路、15A…第1供給配管、
15B…第2供給配管、16…排出流路、17…排水路、17A…チャッキ弁、
31…プレート、31A…傾斜面、32…プレート支持部、33…排出口、
34…プレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6