特許第6783746号(P6783746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6783746装着補助具、外装部品装着キット及び人形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783746
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】装着補助具、外装部品装着キット及び人形
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/48 20060101AFI20201102BHJP
   A63H 3/36 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   A63H3/48
   A63H3/36 A
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-248223(P2017-248223)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-111216(P2019-111216A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2018年12月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399110362
【氏名又は名称】株式会社ボークス
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 健太郎
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−079593(JP,U)
【文献】 特開2018−061800(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3206226(JP,U)
【文献】 実公昭47−000179(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3163839(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3071773(JP,U)
【文献】 特開2015−033563(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204723756(CN,U)
【文献】 登録実用新案第3178892(JP,U)
【文献】 実開昭59−127697(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0325194(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮で囲まれた内部空間を有する人形のその外皮の外面に設定された装着位置に、第1磁性体を備えた外装部品を装着するための人形の部品装着補助具であって、
前記人形の内部空間に対して着脱可能に装着される補助具本体と、
前記補助具本体に設置され、前記外装部品が備える第1磁性体と磁力によって吸着し合う第2磁性体と、を具備し、
前記補助具本体が、前記第1磁性体と前記第2磁性体とが吸着していない状態で、前記内部空間内において弾力によって広がるように復元してその内部空間の内面を押圧して装着されるものであり、その装着状態で前記外皮の装着位置と反対側の内面と対向するように配置される部分を有し、その部分に前記第2磁性体を保持するものであることを特徴とする人形の部品装着補助具。
【請求項2】
前記補助具本体が、前記人形の内面に沿うように変形して前記内部空間に装着されるものである請求項1記載の装着補助具。
【請求項3】
前記補助具本体が、可撓性を有するものである請求項1又は2のいずれかに記載の装着補助具。
【請求項4】
前記補助具本体が、弾力性を有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の装着補助具。
【請求項5】
前記補助具本体が、前記人形の内面に沿った外面を備え、
前記第2磁性体が、前記外面に沿って配置される請求項1乃至4のいずれかに記載の装着補助具。
【請求項6】
前記補助具本体が、前記人形の内部空間に対し、前記人形の内面に間隔を空けて設けられた起伏に引っ掛かった状態で設置されるように構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の装着補助具。
【請求項7】
前記請求項1乃至6のいずれかに記載の装着補助具と、
前記第1磁性体を備えた外装部品と、を備えた人形用の外装部品装着キット。
【請求項8】
前記請求項1乃至のいずれかに記載の装着補助具と、
前記第1磁性体を備えた外装部品と、を備えた人形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着補助具、外装部品装着キット及び人形に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人形として、例えば、特許文献1には、硬質樹脂で形成された骨格体を軟質樹脂で形成された外皮で被覆した人形が開示されている。近年、この種の人形に対し、鬘や衣装を装着し、アニメ等のキャラクターをリアルに再現するような楽しみ方がなされている。
【0003】
ところで、キャラクターの中には、頭から角が生えているものや、背中から翼が生えているものがあり、これらのキャラクターを再現する場合には、別途用意した角や翼等の外装部品を、人形やその人形に装着する鬘や衣装(以下、「人形等」ともいう)に対して取り付ける必要がある。
【0004】
そこで、これまで需要者は、外装部品を人形等に取り付けるにあたって、接着剤を使用するか、或いは、クリップやピンなどの装着補助具を使用していた。
【0005】
しかし、接着剤を使用すると、一度接着した外装部品を人形等から取り外した際に、接着跡が残るという問題がある。一方、前記装着補助具を使用すると、このような問題は生じないが、装着補助具が外観上目立ってしまいキャラクターの再現度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−105859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、内部空間を有する人形に対し、外観上目立つことなく、外装部品を容易に装着できる装着補助具を提供することを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る装着補助具は、内部空間を有する人形の外面に第1磁性体を備えた外装部品を装着するための装着補助具であって、前記人形の内部空間に対して着脱可能に設置される補助具本体と、前記補助具本体に設置され、前記外装部品と磁力によって吸着し合う第2磁性体と、を具備することを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、装着補助具が、人形の内部空間に設置され、人形等の外観に現れず、キャラクターの再現度を向上させることができる。また、人形の外面に対して外装部品を磁力によって装着するため、容易に取り外すことができ、跡も残らない。なお、第1磁性体を備えた外装部品には、外装部品の全部が第1磁性体からなっているもの、外装部品の一部が第1磁性体からなっているものが含まれる。また、第1磁性体と第2磁性体とは、互いに磁力によって吸着される関係にあればよく、一方が磁石である場合や双方が磁石である場合が含まれる。
【0010】
また、前記装着補助具において、前記補助具本体が、前記人形の内部空間に対して設置された状態において、前記人形の内面に沿って前記第2磁性体を配置するように構成されているものであってもよい。
【0011】
このようなものであれば、外装部品と第2磁性体との距離を近づけることができ、外装部品と第2磁性体との間に生じる磁力を高く維持できる。
【0012】
また、前記いずれかの装着補助具において、前記補助具本体が、可撓性を有するものであってもよく、さらに、弾力性を有するものであってもよい。また、前記補助具本体が、前記人形の内面に沿った外面を備え、前記第2磁性体が、前記外面に沿って配置されているものであってもよい。なお、補助具本体を、可撓性を有するものにすれば、人形の内部空間へ挿入した場合に、適度に形が変形してある程度内部空間のサイズが異なるものであっても装着することができるようになる。
【0013】
また、前記いずれかの装着補助具において、前記補助具本体が、前記人形の内部空間に対し、前記人形の内面に間隔を空けて設けられた起伏に対して掛け渡した状態で設置されるように構成されているものであってもよい。
【0014】
このようなものであれば、人形の内面に設けられた起伏を利用し、人形の内部空間に対して装着補助具の位置決めを行うことができる。これにより、予め再現したいキャラクターに合わせて補助具本体に対する第2磁性体の位置を設定しておくことにより、装着補助具を人形の内部空間に設置するだけで外装部品の位置決めをある程度行うことができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る外装部品装着キットは、前記いずれかの装着補助具と、前記第1磁性体を備えた外装部品と、を備えたものである。
【0016】
また、本発明に係る人形は、前記いずれかの装着補助具と、前記第1磁性体を備えた外装部品と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
また、本発明によれば、内部空間を有する人形に対し、外観上目立つことなく、外装部品を容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係る装着補助具によって外装部品が取り付けられた状態の人形の頭部材を示す斜視図である。
図2】実施形態1に係る人形の頭部材を示す断面図である。
図3】実施形態1に係る装着補助具を模式的に示す斜視図である。
図4】実施形態1に係る装着補助具を頭頂体に取り付ける前後の状態を示す斜視図である。
図5】実施形態2に係る装着補助具を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る装着補助具を図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明に係る装着補助具は、内部空間を有する人形に対し、外装部品を取り付ける場合に使用される。なお、内部空間を有する人形としては、例えば、塩化ビニール等の軟質樹脂をスラッシュ成形によって成形した人形が挙げられるが、これに限定されない。因みに、人形には、人間を模したもの以外にも、ロボット、動物、架空生物等を模したものも含まれる。
【0021】
<実施形態1> 本実施形態に係る装着補助具100は、図1に示すように、人形の頭部材200に対し、外装部品300を取り付けるためのものである。そこで、先ず、外装部品300を取り付ける対象となる頭部材200の構成を図2に基づき詳述する。
【0022】
前記頭部材200は、軟質樹脂によって形成されている。そして、頭部材200は、内部空間Sを有し、顔体210と頭頂体220とに二分割されている。具体的には、顔体210は、人の頭における頭頂部220以外の部分、具体的には、顔部、後頭部及び両側頭部を含む部分を模した外形を有している。また、頭頂体220は、人の頭における頭頂部を模した外形を有している。
【0023】
前記顔体210は、頭頂体220との分割面の周縁から内側に向かって突出する嵌合受け部211を備えている。そして、嵌合受け部211は、その中央に開口212が設けられている。
【0024】
前記頭頂体220は、顔体210との分割面の周縁から内側に向かって突出する嵌合部221を備えている。そして、篏合部221は、その中央に開口222が設けられており、その開口222から篏合受け部211の開口212に嵌り込む嵌合片223が突出している。なお、篏合片223は、円筒状のものであり、その断面が外側へ向かって膨らんだ円弧状になっている。これにより、篏合片223を開口212に嵌め込むと、篏合片223の膨らんだ部分が開口212に引っ掛かり、篏合片223が開口212から容易に抜けない構造になっている。
【0025】
そして、顔体210及び頭頂体220は、顔体210の篏合受け部211と頭頂体220の篏合部221とを嵌め合わせることにより、内部空間Sを有する頭部材200となる。
【0026】
本実施形態においては、この頭部材200における頭頂体220の所定位置に対し、装着補助具100によって角状の外装部品300を取り付ける。なお、外装部品300には、頭頂体220と密着させる面側に第1磁性体310が設置されている。なお、本実施形態では、第1磁性体310として磁石を使用している。
【0027】
前記装着補助具100は、図3に示すように、軟質部材によって形成された補助具本体110と、その補助具本体110に設置され、外装部品300の第1磁性体310と磁力によって吸着し合う三つの第2磁性体120と、を備えている。なお、本実施形態では、第2磁性体120として永久磁石を使用している。なお、永久磁石としては、例えば、ネオジウム磁石等を使用することができる。
【0028】
前記補助具本体110は、可撓性を有し、さらに、弾力性を有するものである。そして、補助具本体110は、扁平であって略X字状になっている。具体的には、補助具本体110は、放射状に伸びる四つの支持アーム111と、四つの支持アーム111の内で一方側へ伸びる一対の支持アーム111aの先端に架け渡される架橋アーム112と、を備えている。なお、一対の支持アーム111aの先端部分には、それぞれ円形状の窪みが形成されており、その窪みに第2磁性体120が設置されている。また、架橋アーム112の中央にも、円形状の窪みが形成されており、その窪みに第2磁性体120が設置されている。なお、一対の支持アーム111aは、その先端が互いに離れる方向に向かってカール状に湾曲している。また、四つの支持アーム111の内で他方側に向かって広がる一対の支持部111も、その先端が互いに離れる方向に向かってカール状に湾曲している。そして、補助具本体110は、一方側から他方側へ向かって伸びる中央線Xに対して線対称な形状になっている。
【0029】
次の、本実施形態に係る装着補助具100によって頭頂体220に対して外装部品300を取り付ける手順を図4に基づき説明する。
【0030】
先ず、頭頂体220の向きを確認する。そして、装着補助具100は、図4(a)に示すように、その架橋アーム112を頭頂体220の顔面側に位置付け、他方側に伸びる一対の支持アーム111を後頭部側に位置付ける。また、装着補助具100は、その中央線Xが頭頂体220の前後方向と一致するように配置する。この状態を維持しながら、頭頂体220の開口222から内部空間Sに対して装着補助具100を嵌め込む。
【0031】
その結果、頭頂体220の内部空間Sに嵌め込まれた装着補助具100は、図4(b)に示すように、各支持アーム111及び架橋アーム112が、頭頂体220の内面に沿って撓んで湾曲し、かつ、各支持アーム111の先端が、頭頂体220の嵌合部221の内側に接触する。なお、各支持アーム111は、その先端がカールしているため、装着補助具100を、頭頂体220の内部空間Sに押し込んだ際に、無理なくそのカールしている方向へ撓んで湾曲する。これにより、装着補助具100は、頭頂体220内に位置決めされた状態で篏合部221に引っ掛かって設置され、各第2磁性体222が、頭頂体220の内面に沿って配置される。また、補助具本体110は、弾力性を有しているため、その弾力によって頭頂体220の内面側に密着するようになり、容易に外れなくなる。
【0032】
そして、図1に示すように、頭頂体220の外面に外装部品300を配置し、外装部品300に設置された第1磁性体310を装着補助具100の第2磁性体120に吸着させることにより、頭頂体220に対して外装部品300を装着する。
【0033】
なお、補助具本体100における第2磁性体120の位置は、予めキャラクターを参照して頭頂体220における外装部品300の装着位置を確認し、補助具本体110を頭頂体220内に位置決めした状態で第2磁性体120が前記装着位置と対向するように設定されている。従って、装着補助具100を頭頂体220に対して前記要領で嵌め込むことで、頭頂体220における外装部品300の装着位置が自動的に決定され、これにより、誰でも簡単にキャラクターに合った装着位置に外装部品300を装着することができるようになる。
【0034】
なお、本実施形態においては、補助具本体110を、四つの支持アーム111を有するX字状のものとしたが、その他の形状のものであってもよい。例えば、四つ以外の複数の支持アーム111を有するものであってもよい。
【0035】
<実施形態2> 本実施形態は、前記実施形態1に係る装着補助具の変形例である。本実施形態に係る装着補助具100は、図5に示すように、頭頂体220の内面に沿った略球面状の外面を備える補助具本体115と、その補助具本体115の外面に設置される第2磁性体120と、を備えている。なお、補助具本体115は、二つの部材115a,115bに分割されており、二つの部材115a,115bの間隔を調整できる調整機構116を備えている。なお、本実施形態では、調整機構116として、一方の部材115aから伸びる軸体116aに鋸状の溝を設け、他方の部材115bに鋸状の溝が形成された軸受孔116bを設け、軸体116aを軸受孔116bに差し込む機構を採用している。
【0036】
本実施形態に係る装着補助具100を頭頂体220の内部空間Sに嵌め込む場合には、先ず、補助具本体100における二つの部材115a、115bの間隔を狭くした状態で内部空間Sに嵌め込み、その後、補助具本体100における二つの部材115a,115bの間隔を広げる。これにより、装着補助具100が、頭頂体220の内部空間Sに嵌め込まれた状態で嵌合部221に引っ掛かって位置決めされる。
【0037】
<その他の実施形態> 前記各実施形態においては、装着補助具100によって人形の頭部材200に対して外装部品300を装着する態様を示しているが、人形の胴部材、両腕部材、及び、両脚部材等の各部材に対して外装部品300を装着する場合にも、本発明に係る装着補助具を使用することができる。
【0038】
なお、外装部品300に設置する第1磁性体310と、装着補助具100に設置する第2磁性体120とは、互いに磁力によって吸着し合う関係にあればよく、例えば、第1磁性体310として磁極を有しないものを使用し、第2磁性体120として磁極を有するものを使用してもよく、逆に、第1磁性体310として磁極を有するものを使用し、第2磁性体120として磁極を有しないものを使用してもよく、また、両磁性体310,120として磁極を有するものを使用してもよく、この場合、両磁性体の対向する面が異極になるようにすればよい。
【0039】
また、前記実施形態1においては、装着補助具100を人形の内面に設けられた起伏に引っ掛けて設置しているが、例えば、人形が筒状の内部空間を有している場合には、筒状に丸めるように撓ませた装着補助具100をその内部空間に差し込んで設置することもできる。この場合、装着補助具100は、その内部空間内において弾力によって広がるように復元し、これにより、その内部空間の対向する内面をそれぞれ反対方向に押圧し、その内面との間に生じる摩擦抵抗によってずれないように設置される。よって、補助具本体110は、補助具本体110を人形の内部空間の内面に沿って湾曲させた状態で、少なくともその最長部分が内部空間の対向する内面をそれぞれ反対方向へ押圧できる長さを有している必要がある。なお、この設置方法は、例えば、人形の腕部材、脚部材又は胴部材に装着補助具100を設置する場合に使用でき、また、球面状の内部空間を有する頭部材にも使用できる。
【0040】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
100 装着補助具
110 補助具本体
120 第2磁性体
200 頭部材
S 内部空間
210 顔体
220 頭頂体
221 嵌合部
300 外装部品
310 第1磁性体

図1
図2
図3
図4
図5