(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の距離測定装置では、センサヘッド部及びセンサロッド部の冷却が十分ではないことが判明した。
【0006】
本発明の目的は、測定対象の直線変位を計測する直線変位計測装置であって、測定対象の直線変位の計測に用いられる位置センサの冷却効率を高めることができる直線変位計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による直線変位計測装置は、液体を収容するケーシングと、少なくとも一部が前記ケーシングの外側に位置する状態で前記ケーシングに対して相対変位可能に配置され、前記ケーシングの外側に位置する測定対象が前記ケーシングに対して接近及び離隔する方向で直線変位したときに、前記測定対象の直線変位に追従可能な可動部材と、前記測定対象の位置を、前記ケーシングに対する前記可動部材の位置に基づいて検出し、検出した前記測定対象の位置を電気信号に変換する位置センサとを備え、前記位置センサは、前記液体に浸漬された状態で前記ケーシング内に配置されている。
【0008】
上記直線変位計測装置においては、ケーシングが収容する液体で位置センサを直接冷却することができるので、位置センサの冷却効率を高めることができる。
【0009】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記ケーシングには、前記ケーシング内に前記液体を導入するための導入口と、前記可動部材が前記ケーシングに対して相対変位可能な方向で前記導入口から離れた位置にあり、前記ケーシング内の前記液体を前記ケーシングの外側に排出する排出口とが形成されており、前記位置センサは、前記ケーシング内を前記導入口から前記排出口に向かって流れる前記液体に浸漬されるように、前記導入口と前記排出口との間に配置されている。
【0010】
この場合、ケーシング内を導入口から排出口に向かって流れる流体で位置センサを冷却することができるので、ケーシング内に液体が滞留する場合と比べて、位置センサを冷却する液体そのものの温度上昇を抑制することができる。そのため、液体による位置センサの冷却効率をさらに高めることができる。
【0011】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記可動部材は、前記導入口と前記排出口との間に配置され、前記ケーシング内を前記導入口から前記排出口に向かって流れる前記液体の圧力を受ける受圧部と、前記受圧部が前記液体の圧力を受ける方向に延びて、前記ケーシングを貫通するように配置され、その一端が前記受圧部に固定され、その他端が前記測定対象に対して接触可能なロッド部とを含み、前記受圧部は、前記ロッド部が前記測定対象に接触している状態を維持するように、前記液体の圧力を受ける。
【0012】
この場合、ケーシング内を流れる液体の圧力を利用して、可動部材を測定対象の直線変位に追従させることができる。
【0013】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記ケーシングは、筒状の内周面を有する周壁と、前記周壁の軸方向の一端に固定され、前記導入口を有する上流壁と、前記周壁の軸方向の他端に固定され、前記排出口を有する下流壁とを含み、前記受圧部は、前記周壁の内周面に対して前記周壁の軸方向で摺動可能となるように、前記周壁内に配置されるピストンであり、前記ピストンには、前記導入口から前記排出口に向かって前記ピストンを前記液体が通過するのを許容する流路が形成されている。
【0014】
この場合、受圧部を構成するピストンの動きが周壁の内周面によってガイドされるので、ピストンを含む可動部材の動きを安定させることができる。
【0015】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記周壁は、第1周壁と、前記軸方向で前記第1周壁から離れて配置された第2周壁とを含み、前記ケーシングは、さらに、前記軸方向で前記第1周壁と前記第2周壁との間に配置され、前記第1周壁と前記第2周壁とを接続し、前記位置センサの少なくとも一部を支持する中間壁を含み、前記中間壁には、前記導入口から前記排出口に向かって前記中間壁を前記液体が通過するのを許容する中間流路が形成されている。
【0016】
この場合、液体の流れを許容しつつ、位置センサの安定した支持状態を実現することができる。
【0017】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記可動部材には、前記可動部材が前記ケーシングに対して相対移動可能な方向に延びて、前記上流壁側に開口する挿入孔が形成されており、前記位置センサは、前記ケーシングに固定され、前記電気信号を生成するセンサ本体と、前記センサ本体に固定され、前記可動部材が前記ケーシングに対して相対移動可能な方向に延びて、その先端側の少なくとも一部が前記挿入孔内に位置するセンサロッドと、前記センサロッドに対する相対変位が可能な状態で前記可動部材に固定され、前記センサロッドに及ぼす磁界を発生する永久磁石とを含み、前記センサ本体は、前記永久磁石の磁界が前記センサロッドに及ぼされる位置に基づいて、前記可動部材の前記ケーシングに対する位置を検出する。
【0018】
この場合、位置センサを液体に浸漬させることができる。
【0019】
上記直線変位計測装置は、好ましくは、さらに、前記導入口に接続され、前記導入口を通じて前記ケーシング内に導入される前記液体が流れる配管と、前記位置センサに接続されて、前記電気信号が伝送されるケーブルとを備え、前記ケーブルは、前記配管に沿って前記配管内に配置されている。
【0020】
この場合、位置センサに加えてケーブルを液体で直接冷却することができるので、熱によるケーブルの劣化や損傷を抑制することができる。
【0021】
上記直線変位計測装置は、好ましくは、さらに、前記可動部材が前記測定対象に接触している状態を維持するように、前記可動部材に付勢力を及ぼす付勢部材を備える。
【0022】
この場合、可動部材の測定対象に対する追従性を確保することができる。
【0023】
上記直線変位計測装置において、好ましくは、前記可動部材は、前記測定対象に接触し、前記可動部材が前記ケーシングに対して相対変位可能な方向で前記測定対象に向かって突出する凸状の湾曲面を有する。
【0024】
この場合、可動部材が測定対象に接触する位置を、可動部材の中心軸線上或いはその近傍にすることができる。そのため、測定対象の位置検出の誤差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による直線変位計測装置によれば、測定対象の直線変位の計測に用いられる位置センサの冷却効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳述する。
【0028】
図1を参照しながら、本発明の実施の形態による直線変位計測装置10について説明する。
図1は、直線変位計測装置10を示す模式図である。
【0029】
直線変位計測装置10は、例えば、連続鋳造設備の軽圧下装置が備える上ロールと下ロールとの距離を測定するために用いられる。直線変位計測装置10は、検出ユニット20と、配管30と、ケーブル40と、測定ユニット50とを備える。検出ユニット20は、ケーシング22の軸方向での位置を検出し、検出したケーシング22の軸方向での位置に基づいて測定対象821の位置を測定ユニット50に入力する。検出ユニット20は、
図2、
図3及び
図4に示すように、ケーシング22と、可動部材24と、位置センサ26と、付勢部材28とを備える。
【0030】
直線変位計測装置10が上ロールと下ロールとの距離を測定するために用いられる場合、検出ユニット20は、例えば、
図5に示すように、検出ユニット20のうち、ケーシング22が備える中間壁225を支持するブラケット80が下ロール94の軸受に固定されることで、軽圧下装置90に取り付けられる。この状態で、上ロール92の軸受に固定されたブラケット82に設けられている測定対象821に対して、
図2に示すように、可動部材24の先端(接触端面2431)を接触させることで、上ロール92から下ロール94までの距離の変化を検出ユニット20で検出することができる。
【0031】
図2、
図3及び
図4を参照しながら、検出ユニット20について説明する。
図2は、検出ユニット20を示す断面図である。
図3は、
図2の一部を拡大して示す断面図である。
図4は、
図2の他の一部を拡大して示す断面図である。
【0032】
なお、以下の説明では、検出ユニット20が有する周壁(第1周壁221及び第2周壁222)の軸方向(図中の左右方向)を軸方向とし、当該軸方向に垂直な方向を径方向とし、当該軸方向に延びる中心軸線周りの方向を周方向とする。
【0033】
ケーシング22は、冷却用の液体としての冷却水を収容する液室23を備える。ケーシング22は、周壁としての第1周壁221及び第2周壁222と、上流壁223と、下流壁224と、中間壁225とを含む。
【0034】
第1周壁221及び第2周壁222は、それぞれ、その内側に冷却水を収容する空間が形成された筒形状を有する。第1周壁221の軸方向は、第2周壁222の軸方向と一致している。第1周壁221と第2周壁222は、同一中心軸線上に配置されている。第1周壁221と第2周壁222は、軸方向で離れている。
【0035】
上流壁223は、第1周壁221の軸方向一端に固定されている。これにより、第1周壁221の軸方向一端側の開口が上流壁223によって覆われている。
【0036】
上流壁223には、導入口2231が形成されている。導入口2231を通じて、ケーシング22の内側に冷却水が導入される。
【0037】
導入口2231は、軸方向(上流壁223の厚さ方向)に延びている。導入口2231は、上流壁223を厚さ方向に貫通している。導入口2231は、第1周壁221の内側の空間と外側の空間とを連通している。導入口2231には、コネクタ32を介して、配管30が接続されている。配管30を流れる冷却水は、導入口2231を通じて、ケーシング22内に導入される。
【0038】
中間壁225は、第1周壁221の軸方向他端に固定されている。これにより、第1周壁221の軸方向他端側の開口が中間壁225によって覆われている。
【0039】
第1周壁221の軸方向一端側の開口が上流壁223で覆われ、且つ、第1周壁221の軸方向他端側の開口が中間壁225で覆われることにより、第1周壁221の内側には、液室231が形成されている。
【0040】
中間壁225は、第2周壁222の軸方向一端に固定されている。これにより、第2周壁222の軸方向一端側の開口が中間壁225によって覆われている。
【0041】
第2周壁222の軸方向他端には、下流壁224が固定されている。これにより、第2周壁222の軸方向他端側の開口が下流壁224によって覆われている。
【0042】
第2周壁222の軸方向一端側の開口が中間壁225で覆われ、且つ、第2周壁222の軸方向他端側の開口が下流壁224で覆われることにより、第2周壁222の内側には、液室232が形成されている。
【0043】
要するに、本実施の形態では、中間壁225は、ケーシング22の内側に形成された液室23を、中間壁225よりも上流壁223側に位置する液室231と、中間壁225よりも下流壁224側に位置する液室232とに仕切っている。
【0044】
中間壁225には、複数の中間流路2251が形成されている。複数の中間流路2251は、それぞれ、液室231と液室232とを連通する。つまり、複数の中間流路2251は、それぞれ、冷却水が液室231から液室232に向かって流れることを許容する。
【0045】
なお、中間流路2251は、複数である必要はなく、1つであってもよい。つまり、中間壁225は、少なくとも1つの中間流路2251を有していればよい。
【0046】
複数の中間流路2251は、それぞれ、軸方向(中間壁225の厚さ方向)に延びている。複数の中間流路2251は、それぞれ、中間壁225を厚さ方向に貫通している。複数の中間流路2251は、周方向に適当な間隔で並んでいる。
【0047】
下流壁224には、排出口2241が形成されている。排出口2241を通じて、ケーシング22内の冷却水がケーシング22の外側に排出される。
【0048】
排出口2241は、軸方向(下流壁224の厚さ方向)に延びる第1部分と、当該第1部分から径方向に延びる第2部分とを含む。排出口2241は、第2周壁222の内側の空間に対して、軸方向に開口している。排出口2241は、第2周壁222の外側の空間に対して、径方向に開口している。つまり、排出口2241は、第2周壁222の内側の空間と外側の空間とを連通している。排出口2241には、コネクタ62を介して、配管60が接続されている。排出口2241から排出された冷却水は、配管60を流れる。
【0049】
可動部材24は、ケーシング22の外側に位置する測定対象821の直線的な変位に追従可能に配置されている。具体的には、測定対象821は、軸方向でケーシング22に対して接近及び離隔するように変位する。このような変位に追従可能となるように、可動部材24が配置されている。可動部材24は、少なくとも一部がケーシング22の外側に位置する状態でケーシング22に対して軸方向で相対変位可能に配置されている。
【0050】
可動部材24は、受圧部としてのピストン241と、ロッド部としてのロッド242及び接触部材243を含む。以下、これらについて説明する。
【0051】
ピストン241は、導入口2231と排出口2241との間に配置され、導入口2231から排出口2241に向かって流れる冷却水の圧力を受ける。
【0052】
ピストン241は、第2周壁222の内側に配置され、軸方向で中間壁225と下流壁224との間に位置する。ピストン241は、第2周壁222の内面に対して軸方向に摺動可能な状態で配置されている。ピストン241は、冷却水からの圧力を軸方向で受けることにより、第2周壁222内を移動する。
【0053】
ピストン241は、第2周壁222の内側に形成された液室232を軸方向に仕切っている。これにより、液室232は、ピストン241よりも中間壁225側に位置する液室2321と、ピストン241よりも下流壁224側に位置する液室2322とに分割されている。
【0054】
ピストン241には、複数の連通流路2411が形成されている。複数の連通流路2411は、それぞれ、液室2321と液室2322とを連通する。つまり、複数の連通流路2411は、それぞれ、冷却水が液室2321から液室2322に向かって流れることを許容する。
【0055】
なお、連通流路2411は、複数である必要はなく、1つであってもよい。つまり、ピストン241は、少なくとも1つの連通流路2411を有していればよい。
【0056】
複数の連通流路2411は、それぞれ、軸方向(ピストン241の厚さ方向)に延びている。複数の連通流路2411は、それぞれ、ピストン241を厚さ方向に貫通している。複数の連通流路2411は、周方向に適当な間隔で並んでいる。
【0057】
ロッド242は、軸方向(つまり、ピストン241が冷却水の圧力を受ける方向)に延びている。ロッド242は、下流壁224を軸方向(下流壁224の厚さ方向)に貫通するように配置されている。
【0058】
ロッド242の軸方向一端は、ピストン241に固定されている。具体的には、ロッド242の軸方向一端部がピストン241の中央孔に嵌め込まれている。ロッド242の軸方向他端は、ケーシング22の外側に位置している。
【0059】
接触部材243は、ロッド242の軸方向他端に固定されている。接触部材243は、測定対象821に接触する接触面2431を有する。接触面2431は、測定対象821に向かって軸方向に突出する凸状の湾曲面である。つまり、接触部材243は、測定対象821に対して点接触している。接触部材243が測定対象821に接触している状態は、ピストン241が冷却水の圧力を受けることで維持される。
【0060】
ロッド242には、後述する位置センサ26のセンサロッド262を挿入するための挿入孔2421が形成されている。挿入孔2421は、軸方向に延びて、ロッド242の軸方向一端面(上流壁223側の端面)に開口している。
【0061】
位置センサ26は、可動部材24のケーシング22に対する位置に基づいて、測定対象821の位置を検出する。位置センサ26は、検出した測定対象821の位置を電気信号に変換する。位置センサ26は、検出した測定対象821の位置を示す電気信号を、ケーブル40を介して、測定ユニット50に入力する。測定ユニット50は、入力された電気信号に基づいて、測定対象821の変位量を検出する。
【0062】
ここで、ケーブル40は、配管30内に配置されている。つまり、ケーブル40の周囲を冷却水が流れる。
【0063】
なお、配管30は、コネクタ34を介して、分岐管36に接続されている。分岐管36は、ケーブル40が延びる方向とは異なる方向に延びる部分を有している。当該部分には、コネクタ72を介して、配管70が接続されている。冷却水は、配管70から分岐管36内に流入した後、配管30内を流れる。
【0064】
位置センサ26は、センサ本体261と、センサロッド262と、永久磁石263とを含む。以下、これらについて説明する。
【0065】
センサ本体261は、永久磁石263の磁界がセンサロッド262に及ぼされる位置に基づいて、可動部材24のケーシング22に対する位置を検出する。センサ本体261は、検出した可動部材24のケーシング22に対する位置に基づいて、測定対象821の位置を検出する。センサ本体261は、検出した測定対象821の位置を示す電気信号を生成する。
【0066】
センサ本体261は、中間壁225に固定されている。センサ本体261は、中間壁225から上流壁223に向かって突出するように配置されている。つまり、センサ本体261のうち中間壁225が支持している部分以外は、液室231内に位置している。要するに、センサ本体261は、液室231内の冷却水に浸漬されている。
【0067】
センサロッド262は、センサ本体261から軸方向の他方側に向かって延びている。つまり、センサロッド262の一部(軸方向の中間部分)は、液室2321内に位置している。要するに、センサロッド262の一部(軸方向の中間部分)は、液室2321内の冷却水に浸漬されている。
【0068】
センサロッド262は、その先端側の少なくとも一部がロッド242に形成された挿入孔2421内に位置している。この状態で、センサロッド262の一部は、ピストン241に形成された中央孔内にも位置している。センサロッド262のうち、挿入孔2421内に位置する部分と、ピストン241の中央孔内に位置する部分は、これらの孔内に侵入している冷却水に浸漬されている。センサロッド262は、可動部材24に対して軸方向で相対変位可能に配置されている。
【0069】
永久磁石263は、センサロッド262に及ぼす磁界を発生する。永久磁石263は、ピストン241に固定されている。永久磁石263は、ピストン241から中間壁225側に向かって突出するように配置されている。つまり、永久磁石263のうちピストン241が支持している部分以外は、液室2321内に位置している。要するに、永久磁石263は、液室2321内の冷却水に浸漬されている。
【0070】
永久磁石263は、ピストン241に固定されていることで、ピストン241と一緒にケーシング22に対して軸方向へ移動する。つまり、永久磁石263は、センサロッド262に対する相対変位が可能な状態で配置されている。
【0071】
位置センサ26は、いわゆる磁歪式変位センサである。センサ本体261は、センサロッド262内に配置された磁歪線に対して磁歪線が延びる方向に電流パルス信号を与える。これにより、磁歪線の周囲に円周方向の磁場が生じる。ここで、磁歪線のうち永久磁石263に挿入されている部分には、永久磁石263によって軸方向の磁場が与えられ、合成磁場が生じる。その結果、磁歪線に局部的なねじり歪が発生する(Wiedemann効果)。このねじり歪は一種の振動であるため、磁歪線上を伝播する。センサ本体261は、上記ねじり歪を検出し、それに基づいて、永久磁石263の位置を検出する。
【0072】
付勢部材28は、コイルスプリング280と、支持部材281と、支持部材282とを含む。コイルスプリング280は、ロッド242のうちケーシング22の外側に位置する部分を囲むように配置されている。コイルスプリング280の軸方向一端は、下流壁224に固定された支持部材281に設けられている筒部2811よりも径方向内側に位置している。コイルスプリング280の軸方向他端は、接触部材243に固定された支持部材282に設けられている外側筒部2821と内側筒部2822との間に位置している。可動部材24のうち、接触部材243が測定対象821に接触している状態を維持するように、コイルスプリング280の付勢力が可動部材24に及ぼされている。
【0073】
付勢部材28は、耐熱蛇腹283をさらに備える。耐熱蛇腹283は、コイルスプリング280を囲むように配置されている。耐熱蛇腹283の軸方向一端は、支持部材281に固定されている。耐熱蛇腹283の軸方向他端は、支持部材282に固定されている。
【0074】
検出ユニット20は、耐熱蛇腹272をさらに備える。耐熱蛇腹272は、ロッド242のうちケーシング22の外側に位置する部分を囲むように配置されている。耐熱蛇腹272は、コイルスプリング280の内側に位置している。耐熱蛇腹272の軸方向一端は、下流壁224に固定された筒部材271に固定されている。耐熱蛇腹272の軸方向他端は、ロッド242に固定されている。
【0075】
図5に示すように、検出ユニット20が軽圧下装置90に取り付けられる場合、検出ユニット20の周囲は高温になる。そのため、位置センサ26を冷却する必要がある。
【0076】
直線変位計測装置10においては、位置センサ26が冷却水に浸漬された状態でケーシング22内に配置されている。そのため、ケーシング22の外側の温度に起因して、位置センサ26の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0077】
特に本実施の形態では、位置センサ26がケーシング22内を導入口2231から排出口2241に向かって流れる冷却水に浸漬されているので、ケーシング22からの熱伝達に起因して温度が上昇した冷却水で位置センサ26を冷却し続けるのを回避することができる。そのため、位置センサの冷却効率を高めることができる。
【0078】
また、本実施の形態では、ケーシング22内を導入口2231から排出口2241に向かって流れる冷却水の圧力を利用して、可動部材24の先端を測定対象821に押し付けることができるので、可動部材24を測定対象821の直線変位に追従させることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、冷却水の圧力を受けるのが第2周壁222によって軸方向の動きがガイドされるピストン241であるため、可動部材24の動きを安定させることができる。
【0080】
特に本実施の形態では、ピストン241に連通流路2411が形成されているので、液室2321から液室2322への冷却水の流動を許容することができる。その結果、排出口2241を通じて、冷却水を排出することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、センサ本体261が中間壁225によって支持されているので、センサ本体261の支持状態を安定させることができる。
【0082】
特に本実施の形態では、中間壁225に中間流路2251が形成されているので、液室231から液室232への冷却水の流動を許容することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、センサロッド262の一部が可動部材24に形成された挿入孔2421に挿入されているので、位置センサ26をケーシング22内に効率よく配置することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、ケーブル40が配管30内に配置されているので、ケーブル40を冷却水で直接冷却することができる。その結果、熱によるケーブル40の劣化や損傷を抑制することができる。また、特殊な耐熱ケーブルを用いなくてもよいので、安価なケーブルを使用することができる。加えて、ケーブル40によって伝送される電気信号が熱の影響を受け難くなる。
【0085】
また、本実施の形態では、コイルスプリング280の付勢力により、可動部材24の先端が測定対象821に押し当てられているので、可動部材24の測定対象821に対する追従性を確保することができる。
【0086】
特に本実施の形態では、コイルスプリング280を囲むように配置された耐熱蛇腹283により、コイルスプリング280のばね特性がコイルスプリング280の周囲の温度に影響され難くなる。また、コイルスプリング280の劣化を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、接触部材243が測定対象821に対して点接触しているので、接触部材243が測定対象821に接触する位置をロッド242の中心軸線上(或いはその近傍)にすることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、ロッド242のうちケーシング22の外側に位置する部分が耐熱蛇腹272によって覆われているので、周囲の温度に起因してロッド242の温度が上昇するのを回避することができる。そのため、ロッド242が熱膨張して測定精度に悪影響を与えることを回避することができる。また、ロッド242の腐食を抑制することができる。
【0089】
特に本実施の形態では、センサロッド262を挿入するための挿入孔2421がロッド242に形成されており、当該挿入孔2421内に冷却水が存在するので、ロッド242の温度が上昇するのを抑制することができる。その結果、ロッド242が熱膨張して測定精度に悪影響を与えることを回避することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0091】
上記実施の形態では、ケーシング22が軽圧下装置90に取り付けられていたが、本発明の直線変位計測装置は、ケーシングが軽圧下装置に取り付けられるものに限定されない。
【0092】
上記実施の形態では、ケーシング22内を冷却水が流れていたが、本発明の直線変位計測装置は、ケーシング内を液体が流れるものに限定されない。例えば、ケーシング内に液体が封入されたものであってもよい。
【0093】
上記実施の形態では、ケーシング22内を流れる冷却水の圧力を利用して、可動部材24を測定対象821に押し当てていたが、本発明の直線変位計測装置は、ケーシング内の液体の圧力を利用して、可動部材を測定対象に押し当てるものに限定されない。
【0094】
上記実施の形態では、液体として冷却水が採用されていたが、本発明において、液体は油であってもよい。
【0095】
上記実施の形態では、位置センサとして、永久磁石263がセンサロッド262に磁界を及ぼす位置に基づいて可動部材24のケーシング22に対する位置を検出するものが採用されていたが、例えば、位置センサからピストン241までの距離をレーザで測定し、当該測定した距離に基づいて可動部材24のケーシング22に対する位置を検出するものを採用してもよい。或いは、磁気信号が記録された媒体を利用するものであってもよいし、作動トランスを利用するものであってもよい。
【0096】
上記実施の形態では、コイルスプリング280が採用されていたが、本発明において、コイルスプリング280は必須ではない。
【0097】
上記実施の形態では、ピストン241よりも中間壁225側に位置する液室2321からピストン241よりも下流壁224側に位置する液室2322への冷却水の流動がピストン241に形成された複数の連通流路2411によって実現されているが、例えば、少なくとも一部が第2周壁222に形成されて液室2321と液室2322(つまり、ピストン241によって仕切られる2つの液室)を連通する流路(バイパス流路)によって液室2321から液室2322への冷却水の流動を許容してもよい。つまり、本実施の形態に係る直線変位計測装置は、ピストン241によって仕切られる2つの液室2321、2322を連通する流路を備えていればよい。なお、当該流路の一部(例えば、冷却水が流れる方向での中間部分)は第2周壁222の外側に位置していてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、中間壁225よりも上流壁223側に位置する液室231から中間壁225よりも下流壁224側に位置する液室232への冷却水の流動が中間壁225に形成された複数の中間流路2251によって実現されているが、例えば、少なくとも一部がケーシング22の周壁(第1周壁221及び第2周壁222)に形成されて液室231と液室232(つまり、中間壁225によって仕切られる2つの液室)を連通する流路(バイパス流路)によって液室231から液室232への冷却水の流動を許容してもよい。つまり、本実施の形態に係る直線変位計測装置は、中間壁225によって仕切られる2つの液室231、232を連通する流路を備えていればよい。なお、当該流路の一部(例えば、冷却水が流れる方向での中間部分)はケーシング22の周壁の外側に位置していてもよい。