特許第6783764号(P6783764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783764
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/10 20200101AFI20201102BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20201102BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20201102BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20201102BHJP
【FI】
   A24F40/10
   A24F40/44
   A24F40/46
   A24F47/00
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-531230(P2017-531230)
(86)(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-537637(P2017-537637A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015079881
(87)【国際公開番号】WO2016096912
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】14198014.4
(32)【優先日】2014年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】トランス ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0220316(US,A1)
【文献】 特表2013−507976(JP,A)
【文献】 特表2014−530632(JP,A)
【文献】 特開2004−039518(JP,A)
【文献】 特開2009−245729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のための貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生装置の使用の間に前記貯蔵部から前記放出媒体へと液体を運ぶように、前記貯蔵部と前記放出媒体とが配置され、
前記ヒーターと前記放出媒体とが相互に物理的接触するように前記放出媒体と前記ヒーターとが配置され、
前記エアロゾル発生装置が、ヒーターと放出媒体との間にギャップが形成されるように、前記放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放する手段をさらに備え、
前記ヒーターと前記放出媒体との間に前記ギャップが形成されるときに、前記装置が前記ヒーターを作動するように適合される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が、前記エアロゾル発生装置の使用の間に自動的に作動され、かつ作動停止される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が、切り替え手段によってオンとオフに切り替えられる、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記切り替え手段がボタンである、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記放出媒体が毛細管芯であり、かつ前記ヒーターが前記毛細管芯を少なくとも部分的に囲む電線のコイルである、請求項3または4のいずれか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記毛細管芯が、その長さが増加されかつその直径が減少されるように、引き延ばされる、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が、押された時に前記芯と接触し前記芯を引き延ばす前記ボタンである、請求項4に従属する場合の請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が、前記芯に接続された前記ボタンであり、押された時に前記芯の長軸方向軸に垂直な軸に沿って引っ張りを引き起こし、この引っ張りが前記芯の引き延ばしを引き起こす、請求項4に従属する場合の請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記毛細管芯が、その直径が減少されるように捻じられる、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が、前記芯に接続された前記ボタンであり、押された時に、前記芯の前記長軸方向軸に沿って回転を引き起こし、この回転が前記芯の捻じりを引き起こす、請求項4に従属する場合の請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記ヒーターがメッシュヒーターディスクを囲む変形可能なリングを有する前記メッシュヒーターディスクであり、かつ放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が前記ボタンであり、前記ボタンの押圧に伴い前記変形可能なリングが変形され、その結果これがメッシュヒーターディスクと放出媒体との間の前記接触の中断、およびメッシュヒーターディスクと放出媒体との間の前記ギャップの形成を引き起こす、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放するための前記手段が磁石であり、かつ前記ヒーターが磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクであり、前記磁石の切り替えに伴い磁場が適用され、これにより前記磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクの変形を生じ、その結果磁気メッシュヒーターディスクと放出媒体との間の前記接触の中断、および磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクと放出媒体との間の前記ギャップの形成を引き起こす、請求項2、3、または4のいずれか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
請求項3又は4、ないし、請求項3に従属する場合の請求項512のいずれか1項に記載の前記エアロゾル発生装置と、前記ヒーターと前記切り替え手段または気流センサーのいずれかとに接続されるエネルギー源と、前記ヒーターで形成された前記エアロゾルを少なくとも1つの空気出口へと運ぶために少なくとも1つの空気吸込み口から前記ヒーターを経由して前記少なくとも1つの空気出口へと気流経路を画定するように配置された前記少なくとも1つの空気吸込み口および前記少なくとも1つの空気出口と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項14】
液体を含有する貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターと、を備えるエアロゾル発生装置内の液体を加熱するための方法であって、
前記貯蔵部から前記放出媒体へと液体を送達するように前記貯蔵部が配置され、前記方法が、前記放出媒体から前記ヒーターへと液体が運ばれるように、前記放出媒体と前記ヒーターが相互に接触する第一の構成で前記放出媒体と前記ヒーターを配置する工程と、
前記放出媒体、前記ヒーター、またはこれらの両方を、前記ヒーターと前記放出媒体との間にギャップがある第二の構成へと移動する工程と、
前記放出媒体およびヒーターを前記第一の構成へと戻す工程と、を含み、前記方法は、 前記ヒーターおよび放出媒体が前記第二の構成である間、前記ヒーターを加熱する工程をさらに含む、方法。
【請求項15】
前記放出媒体および前記ヒーターが前記第一の構成である時に前記ヒーターをオフにする工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のための貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置、およびこのエアロゾル発生装置を含有するエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的なエアロゾル発生システムなどのエアロゾル発生システムでは、エアロゾル発生装置を使用することが周知である。例えば、欧州特許第EP 2 493 341 B1号はこうした装置を記述しており、これでは、保存容器からの液体が電線のコイルによって少なくとも部分的に囲まれている毛細管芯へと運ばれ、電線のコイルが毛細管芯と物理的に接触している。電線のコイルは電池へと接続されている。電線に電流がかけられると、電線が加熱し、電線上の液体を気化することになる。気化した液体は気流によって取り上げられ、空気吸込み口から毛細管芯およびこれを囲む電線を経由して空気出口へと通過する。気流または空気流れの中の気化された液体は凝縮してエアロゾルとなり、その後消費者によって吸い込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした既存のシステムの短所は、気化される液体および後で気体化される液体の投与量を制御するのが困難であることである。欧州特許第EP 2 493 341 B1号による上述のコイルおよび毛細管芯ヒーターについては、ヒーター上の量の液体だけでなく、加熱される電線のすぐ隣にある毛細管芯内のいくらかの液体もさらに気化されることになる。通常は消費者の吸煙期間に対応する加熱作用の持続期間によっては、毛細管芯内の毛細管力によって既に気化された材料について吸煙の間に補充される液体の一部も気化を受ける場合がある。これらの理由のために、消費者による単一の吸煙の間に気化される液体の投与量を厳密に規定および制御することは困難である。
【0004】
しかし、各吸煙の間に気化される液体の投与量をより正確に制御することができる喫煙システムを消費者に提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体を有する貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を使用し、エアロゾル発生装置の使用の間、貯蔵部から放出媒体へと液体が運ばれるように貯蔵部と放出媒体とが相互に接触しており、そしてエアロゾル発生装置の使用の間、ヒーター上の液体が加熱されるように、ヒーターと放出媒体とが相互に接触するように放出媒体とヒーターとを配置することによって、この問題を緩和することができる。加熱の結果としてヒーター上での液体が気化され、そして次にエアロゾルを形成する。エアロゾル発生装置は、可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放し、その結果可逆的かつ少なくとも部分的にヒーターと放出媒体との間の接触を中断し、ヒーターと放出媒体との間にギャップを形成する手段をさらに備える。これは、ヒーターの加熱の間、およびヒーター上での液体の気化の間、ヒーターと放出媒体との間の接触を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、中断できることを意味する。その結果として、好ましくは加熱の前にヒーターの上にある量の液体のみが加熱の間に気化され、好ましくは規定量の液体のみが気化されることを意味する。この点は、加熱の間にヒーターと放出媒体との間の部分的な接触が残存する場合でも、その後に、ヒーターの上の液体に加えて、接触および加熱の持続期間の程度に応じて加熱工程の間に幾分精密に規定される追加的な量の液体が放出媒体からヒーターへと運ばれその後気化されるため、部分的に可能な場合がある。しかし、気化される液体の量を最も精密に規定できるようにするために、加熱の間はヒーターと放出媒体との間の接触が無いことが好ましい。
【0006】
本発明の一つの態様は、液体を含有するための貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターと、を備えるエアロゾル発生装置を提供し、貯蔵部は液体を貯蔵部から放出媒体へと送達するように配置され、装置は、放出媒体、ヒーター、または両者を、放出媒体とヒーターとが相互に接触する第一の構成と、ヒーターと放出媒体との間にギャップがある第二の構成との間で移動するための機構を含み、装置は、ヒーターと放出媒体とが第二の構成である間はヒーターをオンにし、そして放出媒体とヒーターとが第一の構成である間はヒーターをオフにするように適合される。
【0007】
本発明のさらなる態様は、液体のための貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を提供し、エアロゾル発生装置の使用の間、液体を貯蔵部から放出媒体へと液体を運ぶように貯蔵部と放出媒体が配置され、ヒーターと放出媒体とが相互に物理的接触するように放出媒体とヒーターとが配置され、そしてエアロゾル発生装置は、ヒーターと放出媒体との間にギャップが形成されるように放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放する手段をさらに備え、その結果ヒーターと放出媒体との間にギャップが形成された時に装置がヒーターを作動するように適合される。
【0008】
本発明によるエアロゾル発生装置は、単一の吸煙で放出される液体の量のより正確な制御を可能にする。ヒーターは液体を含有する放出媒体から少なくとも部分的に取り除かれるため、その結果、もはやいかなる物理的接触も持たないか、または少なくとも制限された物理的接触が残り、これらの2つの要素の間にギャップが形成されて液体の量が制限および制御され、ヒーターの上にある、特にヒーターの表面の上にある液体のみが気化されることになる。ヒーターと放出媒体との間のギャップのために、放出媒体に以前接触していた区域および放出媒体に隣接する領域では、いかなる液体の気化も生じないことになる。ヒーターへと運ばれた液体と置き換えるために貯蔵部から放出媒体へと運ばれるいかなる液体も、遠くにあるヒーターの暖機の間に気化されないことになる。
【0009】
本発明は、本発明によるエアロゾル発生装置と、ヒーターおよび放出手段または気流センサーのいずれかと接続されるエネルギー源と、ヒーターで形成される蒸気およびこれらからもたらされるエアロゾルを少なくとも1つの空気出口へと運ぶために、少なくとも1つの空気吸込み口からヒーターを経由して少なくとも1つの空気出口へと気流経路を画定するように配置される少なくとも1つの空気吸込み口および少なくとも1つの空気出口と、のうちの1つを備えるエアロゾル発生システムにも関する。本発明のエアロゾル発生システムは、少なくとも1つの空気吸込み口および少なくとも1つの空気出口を含み、またエアロゾル発生装置の残りの構成要素を収容するハウジングをさらに備えることがより好ましい。
【0010】
本発明の一つの態様は、液体を含有する貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備え、貯蔵部が液体を貯蔵部から放出媒体へと送達するように配置されたエアロゾル発生装置内の液体を加熱する方法をさらに提供し、方法は、放出媒体からヒーターへと液体が運ばれるように、放出媒体とヒーターが相互に接触する第一の構成で放出媒体とヒーターを配置する工程と、放出媒体、ヒーター、またはこれらの両方をヒーターと放出媒体との間にギャップがある第二の構成へと移動する工程と、放出媒体およびヒーターを第一の構成へと戻す工程と、を含み、方法は、ヒーターおよび放出媒体が第二の構成である間にヒーターを加熱する工程をさらに含む。方法は、放出媒体とヒーターが第一の構成である時にヒーターをオフにする工程をさらに含むことが好ましい。
【0011】
本発明は、液体を有する貯蔵部と、放出媒体と、ヒーターとを備え、エアロゾル発生装置の使用の間に液体が貯蔵部から放出媒体へと運ばれるように貯蔵部と放出媒体とが相互に接触し、またエアロゾル発生装置の使用の間に恒久的でなく一時点において、ヒーターと放出媒体とが相互に接触するように放出媒体とヒーターとが配置され、その結果放出媒体とヒーターとの接触の間に液体が放出媒体からヒーターへと運ばれる、エアロゾル発生装置内でエアロゾルを形成するための方法にさらに関し、方法は、可逆的にヒーターと放出媒体との間の接触が中断されてヒーターと放出媒体との間のギャップが形成されるように、放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を可逆的に開放することと、放出媒体とヒーターとの間の物理的接触が中断されヒーターと放出媒体との間のギャップが形成された時に、ヒーター上の液体が加熱されエアロゾルが形成されるようにヒーターを加熱することと、を含む。
【0012】
本発明によるエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムで使用される液体は、摂氏23度にて液体であり、かつヒーターによって提供される摂氏100度〜摂氏300度(摂氏150度〜摂氏300度であることが好ましく、また摂氏200度〜摂氏300度であることがより好ましい)の範囲内の温度などの温度にて気化することができる任意の液体でありうる。液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物などのたばこ由来の材料を含有することが好ましい。液体は、天然風味剤または人工風味剤などの非たばこ由来材料を含有することが好ましい。液体は、0.1重量%〜5重量%、例えば、0.2重量%〜3重量%の風味剤を含むことが好ましい。液体はニコチンを含有することがより好ましく、0.1〜10重量%、例えば、0.5重量%〜2重量%のニコチンを含有することが好ましい。液体は、グリセリンもしくはプロピレングリコールまたはこれらの混合物などのエアロゾル形成体を含有することがさらに好ましい。液体は、50重量%〜95重量%(70重量%〜85重量%であることがより好ましい)のグリセリンもしくはプロピレングリコールまたはこれらの混合物などのエアロゾル形成体を含んでもよい。液体は水を含有することが好ましく、5重量%〜30重量%または10重量%〜20重量%の水を含有することがより好ましい。
【0013】
本発明によるエアロゾル発生装置は、各吸煙の間に気化される液体の量が、好ましくは1〜4mgの液体、より好ましくは2〜3mgの液体に調節される。これは、放出媒体、その貯蔵部への接触、その毛細管現象およびその寸法、ヒーターおよびヒーターと放出媒体との間の接触面積が、消費者の各吸煙のために好ましくは1〜4mgの液体、より好ましくは2〜3mgの液体が放出媒体からヒーターへと運ばれ、次にヒーターが作動される時間に気化されるように調節されることを意味する。
【0014】
各吸煙の間に気化された液体の量は、吸煙前および吸煙後のエアロゾル発生装置の重量を測定することによって決定できる。重量の差が吸煙の間に気化された液体の量である。
【0015】
可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段は、エアロゾル発生装置の使用の間、自動的に作動および作動停止されるか、または別の方法としては放出手段によってオンとオフとを切り替えることができる。
【0016】
可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段の自動的な作動および作動停止は、気流センサーによって達成されてもよい。ヒーターの自動的な作動および作動停止も、気流センサーによって達成されてもよい。それゆえ、消費者が本発明のエアロゾル発生システムを吸い込む場合、これは気流を生じさせる。その結果、気流は、例えば、弁もしくはブレードを動かす、または気流センサーを作動することになる。この弁もしくはブレードの動きまたは気流センサーの作動は回路の接触または閉回路を引き起こすことになり、これは次にヒーターもしくは可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放する手段またはこれらの両方を作動する。消費者の吸煙が終了すると、気流は停止することになり、その結果弁またはブレードはその本来の位置に戻ることになり、以前の接触は失われる。結果として、ヒーターもしくは可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段またはこれらの両方は、自動的に作動停止することになる。
【0017】
可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放する手段は、放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するために配置される装置である。
【0018】
可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段のオンとオフの切り替えを実現するための手段は、ボタン、スライドスイッチ、またはロータリースイッチであることが好ましく、ボタンであることがより好ましい。実現する手段を、その結果可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段のオンとオフとを切り換えることになる信号またはパルスを発する電子装置とすることもできる。
【0019】
本発明の第一の実施形態によると、ヒーターは、可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放するための手段でもあり、また加熱に伴い異なる変形を引き起こす少なくとも2つの異なる材料を備えるメッシュヒーターディスクであってもよい。こうしたメッシュヒーターディスクは、熱変形特性が異なる2つ以上、より好ましくは2つの異なる材料でできた縦糸と横糸とのネットとすることができる。こうしたメッシュヒーターディスクのための潜在的材料は、繊維直径が9〜50マイクロメートルの、例えば、300シリーズおよび400シリーズのステンレス鋼合金でできたステンレス鋼繊維、もしくはNiCr合金(ニッケルクロミウム合金)でできた金属繊維、または純粋な炭素の含有量が高い炭素繊維などの非金属繊維、またはこれらの混合物である。放出媒体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、もしくはそれらの複合材料の空孔サイズが0.4マイクロメートル〜15マイクロメートルの繊維質マット、またはエアロゾル発生装置の使用の間生じる持続温度(摂氏100〜300度など)に対して十分な熱的安定性を有するポリマーでできているポリマー繊維で製作することができる。メッシュヒーターディスクを製作するための繊維は、メッシュヒーターディスクの外端において相互に固定される。加熱されていない状態では、メッシュヒーターディスクは、好ましくは円形のまたは長方形の、より好ましくは円形形状の平坦なディスクまたは平坦なシートである。これは放出媒体上に置かれることになる。第一の実施形態のための放出媒体は、上述の通りの材料の繊維質マットでできたディスクとすることができる。放出媒体およびメッシュヒーターディスクの形状およびサイズは同一であることがより好ましい。放出媒体とメッシュヒーターディスクとは相互に置かれ、かつサイズおよび形状が同一であることがより好ましいため、加熱されていない状態では、これらは近くで物理的接触しており、これは平衡状態が確立されるまで放出媒体からメッシュヒーターディスクへと液体を運ぶことができることを意味する。第一の実施形態の放出媒体は、直接的にまたは中間拡散媒体を経由して間接的に、液体に対する貯蔵部に接続される。貯蔵部は液体を含有する容器であることがより好ましい。例えば、第一の実施形態の放出媒体は、上述されるもの、すなわちポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはそれらの複合材料の繊維質マットなどの、空孔サイズが0.4マイクロメートル〜15マイクロメートルの海綿状または繊維質芯材料とすることができ、これらは液体を含有する容器の中へと延びる、または液体を含有する容器と接触する。芯材料の海綿状または繊維質の性質は、放出媒体から取り出されヒーターへと運ばれた任意の液体を自動的に補充し、また毛細管力によって容器から放出媒体へと運ぶ効果を持つ。
【0020】
第一の実施形態のメッシュヒーターディスクが異なる熱変形特性を有する少なくとも2つの異なる材料を含有する時、メッシュは加熱に伴い変形を受けることになる。メッシュヒーターディスクの材料のうちの1つは、例えば、加熱に伴いその形態を変えないが、別の材料は延伸する場合がある。メッシュヒーターディスクを製作するための繊維は、メッシュヒーターディスクの外端において相互に固定されているため、加熱された時、この延伸はディスクの曲がりを引き起こすことになる。結果として、加熱がない状態で放出媒体と平坦な接触で置かれているメッシュヒーターディスクは、加熱および曲がりに伴い、少なくともその中央領域において、放出媒体との接触が緩くなる。異なる材料の繊維が相互に接続されているメッシュヒーターディスクの外縁のみが、放出媒体と接触した状態のままになる。それゆえ、多かれ少なかれ放出媒体とメッシュヒーターディスクとの接触の完全な中断が加熱によって達成される。
【0021】
放出手段の切り替えによってこの加熱を開始することができる。放出手段は、メッシュヒーターディスクと電池などのエネルギー源との間の電気回路を閉じる。電流は、メッシュヒーターディスク内の金属繊維を加熱させることになる。例えば、エアロゾル発生システムを吸う時、消費者はボタンを押すことができ、これが記述された電気回路を閉じ、メッシュヒーターディスクの加熱を引き起こすことになる。加熱の結果として、メッシュヒーターディスク上の液体は、消費者が吸い込むことができるエアロゾルを気化および形成する。しかし、メッシュヒーターディスクが加熱され変形する時、メッシュヒーターディスクと放出媒体との間の接触はほぼ完全に失われることになるため、気化される液体の量は、加熱作用の開始時点でのヒーター上の液体の量に制限される。消費者が連続してボタンを押圧するのを止めると電気回路は中断され、メッシュヒーターディスクは冷めてその本来の位置に戻り、放出媒体と再度接触することになる。液体は、放出媒体からメッシュヒーターディスクへと(そして当然のことながら、結果として容器から放出媒体へと)運ばれ、これはその後、次回の吸煙の間に気化することができる。
【0022】
メッシュヒーターディスクの加熱は自動的に開始されてもよい。上述の通り、消費者がエアロゾル発生システムを吸い込むことによってブレードまたは弁の動きを開始することができる。これは電気回路を自動的に閉じ、そして上述したのと同一の方法でメッシュヒーターディスクの加熱を引き起こす電流を開始する。消費者がエアロゾル発生システムを吸うのを停止すると、弁またはブレードはその本来の位置に戻り、電気回路は中断され、メッシュヒーターディスクは冷め、気化は自動的に終了されることになる。
【0023】
本発明の第二の実施形態によると、ヒーターも可逆的かつ少なくとも部分的に放出媒体とヒーターとの間の物理的接触を開放する手段であり、そしてメッシュヒーターディスクを密接に囲むリングを有するメッシュヒーターディスクであってもよい。メッシュヒーターディスクおよび囲むリングは異なる材料でできていてもよく、また囲むリングは加熱に伴い変形可能であってもよい。第一の実施形態のために上述される電気回路を、第二の実施形態のためにメッシュヒーターディスクおよび囲むリングに組み込んでもよい。それゆえ、メッシュヒーターディスク、囲むリング、およびエネルギー源の間には電気接点がある。この電気回路が閉じる場合、これが囲むリングの加熱を引き起こし、また随意に、メッシュヒーターディスクの中に金属繊維が含まれる場合も同様である。それゆえ、この第二の実施形態については、囲むリングおよびメッシュヒーターディスクは、熱変形が異なる2つの異なる材料でできていることが好ましい。例えば、メッシュヒーターディスクは、この場合も同様に、例えば、繊維直径が9マイクロメートル〜50マイクロメートルの、300シリーズおよび400シリーズのステンレス鋼合金でできたステンレス鋼繊維、もしくはNiCr合金などの金属繊維から、または純粋な炭素の含有量が高い炭素繊維などの非金属繊維、またはこれらの混合物の、上述の通りの縦糸および横糸ネットで製作することができる。放出媒体は、この場合も同様に、空孔サイズが0.4マイクロメートル〜15マイクロメートルであるポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはそれらの複合材料でできた繊維質マットとすることができる。メッシュヒーターディスクを囲むリングは、メッシュヒーターディスクの周りのセクションをクランプしうるバイメタルアクチュエータ(スナップ作用)、ならびに圧電変位アクチュエータなどの材料で製作することができる。圧電アクチュエータは、気流センサーまたは手動のスイッチによって稼働される縦または側方の変位を有する小さい管状のアクチュエータであってもよく、メッシュヒーターディスクを囲むリングを引き延ばすまたは締めつける。
【0024】
第一の実施形態と同様に、囲むリングおよび随意にメッシュヒーターディスクの加熱は、消費者によるボタンなどの放出手段のオンへの切り替えによって開始することができ、またボタンなどの放出手段のオフへの切り替えによって終了させることができる。あるいは、この場合も同様に、吸煙の間に変形可能なリングおよび随意にメッシュヒーターディスクを加熱する電気回路を閉じることにつながる、上述の気流センサーまたは吸煙センサーの方法によって加熱を自動的に作動することができる。メッシュヒーターディスクを囲むリングの加熱に伴う変形がメッシュヒーターディスクの変形を引き起こし、かつ変形を引き起こす可能性があるため、囲むリングはメッシュヒーターディスクと密接して接触しすぐ近くにある必要がある。結果としてメッシュヒーターディスクは放出媒体からそれて曲がり、その結果メッシュヒーターディスクと放出媒体との間の接触は多かれ少なかれ完全に中断され、2つの要素の間にギャップが形成される。この場合も同様に、吸煙の間、および囲むリングの加熱の間、ならびに随意に、メッシュヒーターディスクがメッシュヒーターディスクの上にある液体のみを気化できる効果を持ち、気化される液体量の制御が可能であることを意味する。
【0025】
本発明の第三の、そしてより好ましい実施形態によると、放出媒体は毛細管芯であり、かつヒーターは毛細管芯を少なくとも部分的に囲む電線のコイルである。
【0026】
毛細管芯は繊維質構造を有していてもよい。繊維質芯材料を、セラミック、黒鉛またはガラス繊維材料で製作することができ、直径が5〜20マイクロメートル繊維の形態であることが好ましい。毛細管芯は、複数の繊維またはスレッドを備えることが好ましい。これらの繊維またはスレッドは完全には引き延ばされないが緩んだ状態であり、引き延ばすことができる何らかの波様または捲縮した構造を持つことがより好ましい。複数の繊維は、毛細管芯またはある種の糸を形成することがより好ましい。同様に、芯は細長いまたはロッド様の構造を持つことがより好ましい。述べたように、毛細管芯の一部はコイル状の電線によって囲まれる。毛細管芯の第二の一部は、液体用の貯蔵部の中へと延びるか、または液体用の貯蔵部と接触し、この場合もやはり液体用の貯蔵部は容器であることがより好ましい。毛細管芯のうちの複数の単一繊維の間の空のスペースにより、毛細管力によって液体を運ぶことができる。これは、毛細管芯の一部において直接的な気化によって、またはそこから気化が生じる電線のコイルへの移送によって間接的に液体の一部が取り除かれる場合、毛細管芯の毛細管の性質は、貯蔵部から液体が気化によって取り除かれた区域へと液体が補充されるように自動的に処理することを意味する。毛細管芯は液体を有する貯蔵部の中へと延びることがより好ましいため、一定の平衡状態が常に与えられ、規定量の液体が気化によって取り除かれ、毛細管力は貯蔵部から毛細管芯を通して気化が生じた区域の中へと代替の液体を供給する。
【0027】
毛細管芯の少なくとも一部は、当初の状態では、電線が芯と接触するように電線のコイルによって囲まれる。典型的には、電線は、芯の周りに4〜8回巻かれて提供される。電線用の材料は、ニッケルクロム合金、またはステンレス鋼合金(例えば、300シリーズおよび400シリーズなど)などの金属である。
【0028】
以下に記述されるように、コイル状の電線に電流が適用された場合はこれが加熱され、かつ毛細管芯からコイル状の電線へと運ばれた液体の気化を引き起こす。毛細管芯と電線との間の密接な接触を中断するために、毛細管芯を引き延ばすことができる。より好ましくはボタンによって引き延ばしを達成することができる。消費者がボタンを押す場合、これは2つの別個の効果を持つことになる。第一の効果は、ボタンを押すことによって電気回路が閉じ、その結果電線が加熱され、電線上の液体を気化する。同時に、ボタンは毛細管芯と相互作用し、その長さを増加させ同時にその直径が減少するように毛細管芯を引き延ばす。芯をその端に固定し、また芯と接触する延長部を有するボタンを提供することによって、引き延ばしを達成することができる。消費者がボタンを押すと、ボタンの延長部によって可撓性の芯を引き延ばすこの動きが継続される。その結果、直径の減少は、毛細管芯とコイル状の電線との間の接触を完全に中断する効果を持ち、結果として毛細管芯とコイル状の電線との間にギャップをもたらす。それゆえ、消費者がボタンを押した時にコイル状の電線の上にある量の液体のみを気化することができ、それが次に消費者によってエアロゾルの形態で後ほど吸い込まれる。消費者がボタンの押圧を停止すると、電気回路は中断し、毛細管芯の引き延ばしを中断し、毛細管芯が現在冷えているまたはすでに冷たいコイル状の電線と再度接触することを意味する。毛細管芯からコイル状の電線へと液体を再度運ぶことができ、ボタンの押圧による加熱工程の作動に伴い、消費者による第二の吸煙を再度行うことができる。
【0029】
芯の引き延ばしに対する好ましい代替は、消費者によって押される延長部を有するボタンを提供することによって、ボタンの延長部が芯の一方の端に接続される。芯のもう一方の端は固定される。消費者によるボタンの押圧は、芯の長軸方向軸に垂直な軸に沿った回転へと変換され、そして同時にコイル状の電線の加熱を引き起こす電気回路を閉じる。結果として、芯の一部が延長部の周りに巻かれる。この芯の巻きは結果として芯の直径の減少をもたらし、芯とコイル状の電線との間の接触が失われることを意味し、そして結果としてギャップをもたらす。消費者がボタンを開放すると、芯はボタンの延長部から巻き解かれ、直径が増加され、芯はコイル状の電線と再度接触を得ることになり、そして同時に電気回路が中断されることになる。
【0030】
芯の引き延ばしに対するさらなる好ましい代替は、消費者によって押されるボタンが延長部を有して提供され、これが芯の一方の端に接続される。芯のもう一方の端は固定される。消費者によってボタンが押された場合、これは延長部およびこの延長部に固定された芯の端の、芯の長軸方向軸を中心とした回転へと変換され、そして同時にコイル状の電線の加熱を引き起こす電気回路を閉じることになる。結果として、芯はその長軸方向軸を中心として捻じられる。この芯の捻じりは直径の低減を引き起こし、これは芯とコイル状の電線との間の接触が完全に失われることを意味し、結果としてギャップをもたらす。消費者がボタンを開放した場合は逆回転が生じ、これは芯が捻じりを解かれ、直径が増加され、芯がコイル状の電線と再度接触することを意味し、そして同時に電気回路が中断される。
【0031】
本発明の第四の実施形態によると、この場合も同様にヒーターは第一の実施形態および第二の実施形態のために上記で規定されたメッシュヒーターディスクである。第四の実施形態のための放出媒体は、第一の実施形態および第二の実施形態のために上記で規定された通りである。メッシュヒーターディスクは変形可能なリングによって囲まれる。この囲んでおり変形可能なリングは、メッシュヒーターディスクと密接に接触している。この第四の実施形態については、囲んでおり変形可能なリングを、弾力性のある金属および弾力性のあるポリマーなどの材料で製作することができる。変形可能なリングは、波型形状ステンレス鋼箔、弾力性のあるポリイミド、または多結晶強誘電セラミックなどの圧電セラミック材料でできていることが好ましい。このような多結晶強誘電セラミックの実施例は、チタン酸バリウム(BaTiO3)およびチタン酸ジルコン酸鉛である。
【0032】
第四の実施形態について、加熱および気化工程は、消費者によるボタンの押圧によって開始される。これは2つの別個の効果を持つことになる。第一の効果は、ボタンを押すことによって電気回路を閉じ、その結果メッシュヒーターディスクが加熱され、メッシュヒーターディスク上の液体が気化することである。同時にボタンは囲むリングと相互作用することになり、またボタンと囲むリングとの物理的干渉の結果としてこれを変形することになる。囲むリングの変形は、メッシュヒーターディスクの変形を引き起こす。メッシュヒーターディスクのこの変形は、メッシュヒーターディスクが曲げられ、少なくともその中央部がメッシュヒーターディスクと放出媒体との間の接触を失うという結果をもたらす。それゆえ、メッシュヒーターディスクと放出媒体との間の接触が中断されるという理由で、メッシュヒーターディスクの上の量の液体のみを気化することができる。消費者がボタンの押圧を中断する場合、電気回路が中断されることになり、メッシュヒーターディスクが冷えることを意味し、そして同時にボタンと、囲むリングを経由してメッシュヒーターディスクとの間の物理的相互作用が終わることになり、メッシュヒーターディスクが本来の位置に戻ることができることを意味する。それゆえ、冷えているメッシュヒーターディスクまたは既に冷たいメッシュヒーターディスクは、放出媒体と再度接触し、そして放出媒体への液体の補充を毛細管力によってメッシュヒーターディスクへと運ぶことができ、これはボタン押圧に伴い消費者のために上述の工程を再度受けることができ、さらなる材料を気化する。
【0033】
本発明の第五の実施形態によると、放出媒体は、第一の実施形態および第二の実施形態のために上記で規定された放出媒体であり、またヒーターは磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクである。さらに、磁石はこの第五の実施形態のために提供される。このエアロゾル発生装置の作動は、上述の通り気流センサーまたは吸煙センサーを経由して自動的に、または消費者によるボタンの押圧によって、達成することができる。いずれの方法でも、作動は好ましくは交流電流を引き起こし、その結果磁場がオンに切り替えられることになり、これは磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクに磁気力を適用することになる。システムの作動は同時に電気回路を閉じる効果を持ち、これは磁場を作動するだけでなく、同時に磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクの加熱を引き起こす電流も閉じる。この磁気力の適用は、磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクへの放出媒体から少なくとも部分的に遠ざかるような曲がりまたは変位を引き起こし、これは磁気的に作動されるメッシュヒーターディスクの上にある量の液体のみを気化することができるという、上述の通りの同一の結果を持つ。消費者が吸煙終了するかまたはボタンの押圧を中断すると電気回路が中断され、これはメッシュヒーターディスクが冷めることを意味する。同時に磁場も作動停止することになり、磁気メッシュヒーターディスクに磁気力が適用されなくなることを意味する。これは、冷えているまたは既に冷たいメッシュヒーターディスクがその当初の形態に戻ることになり、そして放出媒体の中に再度接触することを意味する。それゆえ、毛細管力によって放出媒体から磁気メッシュヒーターの場へと新鮮な液体を運ぶことができる。
【0034】
この第五の実施形態については、磁気メッシュヒーターディスクは300シリーズおよび400シリーズのステンレス鋼合金でできたステンレス鋼繊維またはNiCr合金などの材料で製作することができる。磁石は、Fe、Cr、Co、Mo、V、Al、Niの永久磁性合金でできた磁石とすることができる。
本発明の好ましい実施形態は、上述の好ましい意味の組み合わせである。本発明の特に好ましい実施形態は、上述のより好ましい意味の組み合わせである。
【0035】
本発明を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の第三の実施形態の、芯の引き延ばし前の実施例を示す。
図2図2は、図1の第三の実施形態の芯が引き延ばされている実施例を示す。
図3図3は、本発明の第三の実施形態の、芯を引き延ばす前のさらなる実施例を示す。
図4図4は、図3の第三の実施形態の芯が引き延ばされている実施例を示す。
図5図5は、吸煙の間の本発明の第一の実施形態の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、数ある中でも、その両端において、例えば、クランプ11によって固定された芯14を有するエアロゾル発生装置10を示す。芯14は、緩んだまたは引き延ばされていない状態である複数の単一の繊維でできている。2つの端のうちの1つにおいて、芯14はクランプ11を通って延び、そして貯蔵部(図示せず)に接続される。結果として、貯蔵部からの液体を、毛細管力によって貯蔵部から芯14へと、そして芯14を通して運ぶことができる。さらに、芯14の一部を囲み、かつ芯14の一部と接触するコイル状の電線16が示される。コイル状の電線16は、芯14と物理的接触し、これは芯14からの液体が電線16の表面へと移動することを意味する。最終的に、図1は消費者が押すことができるボタン12も示す。図1では、このボタン12はまだ押されていないため、芯14に対する引き延ばしは適用されていない。
【0038】
図2では、図1で考察されたのと同一の実施形態が示される。ここでは、消費者によってボタン12が押されている。図1によると芯14の上に置かれているだけのボタン12の一部が、ここでは側方に動き、図2では固定された芯14の長さを増加させている。この引き延ばしおよび部材19の周りの長さの増加の結果として、芯14の直径は減少されている。図1図2との比較は、繊維質材料でできた芯14は、図1による囲むコイル状の電線16と接触しているが、しかし図2では引き延ばしおよび直径の減少の後、このコイル状の電線16への接触が失われていることを示している。芯14の引き延ばしと並行して、コイル状の電線16は電源(図示せず)に接続され、これは電線16を加熱し、そして電線16の表面上の液体を気化することになる。引き延ばされた芯14とコイル状の電線16はもはや相互に接触しないため、電線16の表面上にある量の液体のみが気化することになるが、しかし芯14の中および図1による芯14の緩んだ状態では電線16と接触する芯14の区域内にある液体は全く気化しない。消費者が図2で行われているようなボタン12の押圧を停止する場合、芯14は図1に示されるようなその本来の位置に戻ることになる。
【0039】
図3および図4は、図1および図2と比較してわずかに異なるエアロゾル発生装置10およびわずかに異なる芯14を引き延ばす方法を示す。図3では、この場合も同様に芯14がその緩んだ状態であり、また囲むコイル状の電線16と接触している。図1については両端が固定されているが、しかし図3では芯14の2つの端のうちの1つはボタン12の一部13に接続されている。消費者によるボタン12の押圧は、ボタン12の延長部の、芯14の長軸方向軸に垂直な軸に沿った引っ張りまたは回転を引き起こす。この点は図4からわかる通りであり、ここではこの引っ張りまたは回転に起因して、芯14はボタン12の延長部の上に巻かれる。これは芯14の引き延ばしを引き起こし、その結果として、芯14の直径の低減、そしてさらにその結果として芯14と囲むコイル状の電線16との間の接触の損失を引き起こす。
【0040】
図5は、吸煙の間の本発明の第一の実施形態の実施例を示す。図5は、拡散媒体24を経由して毛細管芯ディスク26に接続される液体貯蔵部22を示す。図5は、消費者による吸煙の間のメッシュヒーターディスク30を示す。加熱に伴うメッシュヒーターディスク30の変形が生じ、その結果放出媒体を形成する毛細管芯ディスク26とヒーターを形成するメッシュヒーターディスク30との間にギャップ28が生じていることがわかる。図5は、メッシュヒーターディスク30を用いて加熱および変形された吸煙の間の実施形態を示すため、矢印32によって示されるようにメッシュヒーターディスク30上の液体は気化される。図5内の気流は底部から頂部であり、また図5内の中空矢印34によって示されるようにエアロゾル発生装置10の両方の側面上を通過する。これは、気化した蒸気が気流34によって取り上げられ、気流内で冷却されて消費者の口へと運ばれることになるエアロゾルを形成することを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5