特許第6783775号(P6783775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6783775自動車用ハイブリッド変速機および電気牽引機のトルクを伝達する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6783775
(24)【登録日】2020年10月26日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】自動車用ハイブリッド変速機および電気牽引機のトルクを伝達する方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20201102BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20201102BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20201102BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20201102BHJP
   B60W 20/30 20160101ALI20201102BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20201102BHJP
   F16H 3/093 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   B60K6/36
   B60K6/48ZHV
   B60K6/547
   B60K6/387
   B60W20/30
   B60W10/02 900
   F16H3/093
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-540708(P2017-540708)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公表番号】特表2018-506471(P2018-506471A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】FR2016050188
(87)【国際公開番号】WO2016124839
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2019年1月11日
(31)【優先権主張番号】1550927
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フレモー, ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ケッフィ−シェリフ, アフメト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョン, アントワーヌ
【審査官】 鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−502502(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/144056(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−50/16
B60K 6/20− 6/547
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60L 50/00−58/40
F02D 29/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機関および電気牽引機(4)を備えた自動車用ハイブリッド変速機であって、前記熱機関と前記電気牽引機とにそれぞれ連結された同心の2つの一次軸(1、3)を含み、前記一次軸(1、3)は中実一次軸(1)及び中空一次軸(3)からなり、前記中実一次軸(1)が、前記一次軸(1、3)の第1の結合ユニット(6、7;21)と、第1のギア比のための第1の間歯車とを支え、前記第1の結合ユニット(6、7;21)は、前記中実一次軸(1)を、バッテリ再充電モードにおいて、もしくはハイブリッド牽引モードの間に前記中空一次軸(3)に連結すること、またはハイブリッド牽引モードもしくは熱牽引モードにおいて前記自動車の車輪と連結された二次軸(19)上の中間歯車(19a)に連結することのいずれかを可能にし、特定のハイブリッド牽引モードまたは電気牽引モードでは、前記電気牽引機(4)からのトルクが、前記中空一次軸(3)から中間伝送軸(8)を経て電気歯車選択軸(12)に伝わり、そこから、前記トルクが、前記電気歯車選択軸(12)上の2つの選択可能な第2の間歯車及び第3の間歯車のうちの1つを経て前記二次軸(19)に伝達されることができ、
前記電気歯車選択軸(12)が、第2のギア比のための第2の間歯車と第3のギア比のための第3の間歯車との第2の結合ユニット(16、17;22)を支え、
前記一次軸(1、3)が前記ハイブリッド変速機の長手軸と同軸であって、
前記ハイブリッド変速機の中心鉛直軸が前記中実一次軸(1)の中点において前記中実一次軸(1)に垂直な鉛直方向で定義され、
前記第1の結合ユニット(6、7;21)が前記第2の結合ユニット(16、17;22)と鉛直方向に揃えられている、ハイブリッド変速機。
【請求項2】
前記二次軸(19)上の中間歯車(19a)が前記第3の間歯車(14;5)と鉛直方向に揃えられている、請求項1に記載のハイブリッド変速機。
【請求項3】
前記第1および第2の結合ユニット(6、7)、(16、17)がマルチディスククラッチで構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド変速機。
【請求項4】
前記第2の結合ユニット(16、17)が、マルチディスククラッチで構成されており、一方で、前記第1の結合ユニット(21)が、つめ付きカプラであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイブリッド変速機。
【請求項5】
前記第1および第2の結合ユニット(21、22)が、つめ付きカプラであることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド変速機。
【請求項6】
前記中実一次軸(1)が、前記二次軸(19)の固定歯車(24)と噛み合う第4の間歯車(23)と、第3のつめ付きカプラ(25)とを支えることを特徴とする、請求項5に記載のハイブリッド変速機。
【請求項7】
前記第4の間歯車(23)および前記第3のつめ付きカプラ(25)が、前記電気歯車選択軸(12)と前記二次軸(19)との間で、前記中間歯車(19a)よりも前記中心鉛直軸から長手方向で遠くに配置されることを特徴とする、請求項6に記載のハイブリッド変速機。
【請求項8】
前記中実一次軸(1)が、前記電気歯車選択軸(12)と前記二次軸(19)との間で、前記中間歯車(19a)よりも前記中心鉛直軸から長手方向で遠くに配置される第2の電気牽引機を支えることを特徴とする、請求項5に記載のハイブリッド変速機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド変速機によってトルクを伝達するための方法であって、前記電気牽引機(4)からの前記トルクが、前記中空一次軸(3)から前記中間伝送軸(8)を経て前記電気歯車選択軸に伝わり、前記トルクが、前記電気歯車選択軸上の2つの選択可能な前記第2の間歯車及び前記第3の間歯車のうちの1つを経て自動車の車輪に連結された前記二次軸(19)に伝達され得ることを特徴とする、方法。
【請求項10】
熱機関および電気牽引機(4)を備えた自動車用ハイブリッド変速機であって、前記熱機関と前記電気牽引機(4)とにそれぞれ連結された同心の2つの一次軸(1、3)を含み、前記一次軸(1、3)は中実一次軸(1)及び中空一次軸(3)からなり、
前記中実一次軸(1)が、前記一次軸(1、3)の結合ユニット(6、7)と歯車(5)とを支え、
前記結合ユニット(6、7)は、
前記中実一次軸(1)を、バッテリ再充電モードにおいて、もしくはハイブリッド牽引モードの間に前記中空一次軸(3)に連結すること、
ハイブリッド牽引モードもしくは熱牽引モードにおいて前記自動車の車輪と連結された二次軸(19)上の中間歯車(19a)に連結すること、及び
前記中実一次軸(1)を、ハイブリッド牽引モードにおいて前記中空一次軸(3)及び前記二次軸(19)上の間歯車(19a)の双方に連結すること、
のそれぞれのために構成されており、
特定のハイブリッド牽引モードまたは電気牽引モードでは、前記電気牽引機(4)からのトルクが、前記中空一次軸(3)から中間伝送軸(8)を経て電気歯車選択軸(12)に伝わり、そこから、前記トルクが、前記電気歯車選択軸(12)上の2つの選択可能な電気歯車(R1,R2)のうちの1つを経て前記二次軸(19)に伝達されることができる、ハイブリッド変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のハイブリッド変速機の構成に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、熱機関と電気機械とにそれぞれ連結された2つの同心一次軸を含む、熱機関および電気牽引機が備わっている自動車用のハイブリッド変速機に関し、中実一次軸が、バッテリ再充電モードにおいて、もしくはハイブリッド牽引モードの間には中空一次軸と、または熱牽引モードもしくはハイブリッド牽引モードにおいては車両の車輪に連結された二次軸上の中間歯車と、のどちらかと連結され得る。
【0003】
さらに、本発明は、車両の熱機関と連結された中実一次軸と同心である中空一次ハイブリッド変速機軸に連結された車両の電気牽引機からのトルクを伝達するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
車両の熱機関と電気牽引機とにそれぞれ連結された2つの同心一次軸を備えた自動車用ハイブリッド変速機は、エンジンと変速機との間に入力クラッチを必要としない、特にコンパクトな環境において、ハイブリッド牽引モード、電気牽引モード、および熱牽引モードを組み合わせることを可能にする。
【0005】
入力クラッチを有しない、車両の車輪に連結された2つの同心一次軸と1つの二次軸とを有するハイブリッド変速機は、公報FR2973299から知られている。この変速機は、2つの結合部材を有し、結合部材のうちの1つは、一次軸の間に配置されており、以下の3つの位置、すなわち、
− 熱機関が、電気機械を車両の車輪と連結している変速機システムから切り離される、または変速機システムと結合される位置、
− 熱機関と連結された一次軸が、電気機械に援助されて車輪を駆動するように二次軸と結合される位置、
− 熱機関と連結された一次軸が、車両の車輪に供給される電気機械からのトルクを組み合わせるために、電気機械の一次軸と結合される位置
をとることができる。
【0006】
この変速機は、熱機関と一次軸との間に入力クラッチを有しない。変速機は、3つの前方歯車を有し、その内、2つの第1の歯車は、ハイブリッドモードおよび電気モードで使用され得、第3の歯車は、ハイブリッドモードおよび熱モードで使用され得る。さらに、変速機は、停止時には、熱機関が電気機械を再充電する静止時再充電モードを有する。その長さは、3組の歯、2つのつめユニット、および差動装置の1つの駆動ピニオンの並置によって決められる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、より短くなっているにもかかわらず、同等の機能または強化された機能を果たすハイブリッド変速機を提供することを目的とする。
【0008】
このため、本発明は、特定のハイブリッド牽引モードまたは電気牽引モードでは、電気機械からのトルクが、中空一次軸から中間伝送軸を経て電気歯車選択軸に伝わることを提案し、前記トルクは、2つの選択可能な電気歯車のうちの1つを経て二次軸に伝達され得る。
【0009】
この配置により、2つの結合ユニットは、箱の内部で一方を他方の下に配置することが可能になり、中実一次軸と二次軸との間の中間歯車は、別の大歯車の下に配置され得る。このことは、1組の歯と二次軸上の1つの結合ユニットの長さを節約する。変速機の長さは、前述の例の3組の歯、2つの結合ユニット、および1つの駆動ピニオンではなく、3組の歯と1つの結合ユニットだけの並置によって決められるので、変速機は、前述の例のものより短くなる。
【0010】
第1の実施形態によれば、電気選択軸は、第1の歯車を選択することための間歯車および第2の歯車用の間歯車のための第1の二重結合ユニットを支え、一方で、中実一次軸は、第3の歯車を選択するための間歯車と、一次軸および第3の歯車用間歯車のための第2の二重結合ユニットを支える。
【0011】
第2の実施形態によれば、電気選択軸は、第1の歯車用間歯車および第3の歯車用間歯車のための第1の二重結合ユニットを支え、一方で、一次軸は、第2の歯車を選択するための間歯車の一次軸のための第2の二重結合ユニットを支える。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ下記に提示される、本発明の非限定的な実施形態の説明において、明確に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】提案される変速機の第1の実施形態の構造図である。
図2】提案される変速機の簡略化された断面図である。
図3】中立位置にある変速機を示す図である。
図4】第2の電気歯車を示す図である。
図5】第1の電気歯車を示す図である。
図6】静止時再充電モードを示す図である。
図7】第1のハイブリッド歯車を示す図である。
図8】第2のハイブリッド歯車を示す図である。
図9】第3のハイブリッド歯車を示す図である。
図10】第3のハイブリッド歯車上の電気トルクの別の経路を示す図である。
図11】第3のハイブリッド歯車上の電気トルクの別の経路を示す図である。
図12】変速機の第2の実施形態を示す図である。
図13図12の第1の変形例を示す図である。
図14図12の第2の変形例を示す図である。
図15】変速機の第3の混合実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態による、熱機関および電気牽引機4が備わっている自動車用のハイブリッド変速機の概略図である。このハイブリッド変速機は、熱機関の弾み車2と電気機械4とにそれぞれ連結された2つの同心一次軸1、3を有する。中実一次軸1は、バッテリ再充電モードにおける、またはハイブリッド牽引モードの間の中空一次軸3と、ハイブリッド牽引モードまたは熱牽引モードにおける車両の車輪と連結された二次軸19上の中間歯車5、19aとのどちらかと連結され得る。
【0015】
変速機は、4つの軸を有し、4つの軸の空間的配置が、図2に示される。一次ラインは、二重になっており、同心である中実軸1および中空軸を備える。中実一次軸1は、例えば二重集団的弾み車である、熱機関(図示せず)の弾み車2と連結される。中空一次軸3は、電気牽引機4と連結される。図1では、一次ラインの動きを電気歯車選択軸12に伝達する伝送軸8は、一次軸1、3より上に配置されている。変速機の二次軸19は、電気選択軸12と、差動装置20と連結される。特定のハイブリッド牽引モードまたは電気牽引モードでは、電気機械4からのトルクが、中空一次軸3から中間伝送軸8を経て電気歯車選択軸12に伝わり、前記トルクは、大歯車18、19bによって、二次軸19に伝達され、2つの選択可能な電気歯車のうちの1つに至ることができる。
【0016】
中実一次軸1は、第3の歯車用間歯車5と、一次軸用第1のカプラ6(C−Couplage)および第3の歯車(R3)用第2のカプラ7を備える二重結合ユニット6、7とを支える。これらのカプラは、例えば湿式クラッチ、円錐クラッチ、または大型等速噛合いクラッチである。中空一次軸3は、中空一次軸3の伝送歯車3aを介して、電気選択軸12上の2つの間歯車13、14と噛み合っている、電気歯車R1およびR2の少なくとも2つの固定歯車9、11を支える伝送軸8と噛み合っている。軸12は、歯車R1およびR2用の第2の二重結合ユニット16、17と、変速機の二次軸19の駆動ピニオン19b上のアングル歯車18とを支える。
【0017】
一次ラインの第1のカプラ6は、ハイブリッドモードにおいてそのトルクを組み合わせるなどのために、中空一次軸3を中実軸1と結合することを可能にする。第2のカプラ7は、第3の歯車を選択するのに使用される。この変速機の固有の特徴の1つは、同じ歯車上で熱モードおよびハイブリッドモード(熱機関および電気機械)から利益を受けるように、これらの2つの結合手段を同時に使用する能力である。要約すると、電気選択軸12は、第1の歯車および第2の歯車用間歯車14を選択するための、間歯車13の第1の二重結合ユニット16、17を支え、一方で、中実一次軸1は、第3の歯車を選択するための間歯車5と、一次軸1、3および第3の歯車用の間歯車5の第2の二重結合ユニット6、7とを支える。この第1の実施形態では、結合ユニット16、17および6、7は、好ましくはマルチディスククラッチである。
【0018】
図1および図3では、4つのカプラC−Couplage、C−R1、C−R2、C−R3、C−R4は、開いている。トルクは、車両の車輪には伝達されず、変速機は、中立位置にある。
【0019】
図4は、第2の歯車R2が電気モードにあるところを示す。カプラC−R2は、閉じている。電気機械4によって供給されるトルクは、中空軸3およびその伝送歯車3aから中間軸8に伝達される。そこから、トルクは、大歯車11、14を介して電気選択軸12に伝達され、次いで、大歯車18、19aを介して二次軸に伝達される。この伝達状態は、電気モードにおいて中間速度で駆動するのに有用である。したがって、これは、「エクストラア―バン電気モード」と述べられ得る。
【0020】
図5では、閉じているのは、C−R2ではなく、電気的第1の歯車カプラC−R1である。中間軸8から、トルクは、歯車9、13を介して電気選択軸12に伝達され、次いで、歯車18、19aを介して二次軸19に伝達される。この伝達状態は、電気モードにおいて低速度で駆動するのに有用である。したがって、これは、「アーバン電気モード」と述べられ得る。
【0021】
スマート充電モードまたは静止時充電モードでは、図6に示されるように、カプラC−Couplage6は、閉じている。2つの一次軸1、3は、結合されている。熱機関が回転すると、そこからの動きが、車両のバッテリを再充電する発電機としての機能を果たす電気機械4に伝達される。
【0022】
図7では、2つのカプラC−R1およびC−Couplageは、閉じている。電気歯車が低位置であるので、変速機は、「ハイブリッドアーバン」と述べられるハイブリッドモードにある。
【0023】
図8では、2つのカプラC−R2およびC−Couplageは、閉じている。電気歯車は、高位置であるので、変速機は、「ハイブリッドエクストラアーバン」と述べられるハイブリッドモードにある。
【0024】
図9では、2つのカプラC−R3およびC−Couplageは、閉じている。カプラによって選択された歯車R3は、変速機において最も高位置であるので、変速機は、「ハイブリッドエクスプレスウェイ」と述べられるハイブリッドモードにある。
【0025】
図10には、別のハイブリッドモードが示され、一次軸1、3は結合されず、カプラC−R1およびCR3は同時に閉じている。このモードは、「ハイブリッドアーバン2」と述べられる。
【0026】
図11のハイブリッドモードでは、カプラC−Couplageは、同様に開いている。カプラC−R2およびC−R3は、両方とも閉じている。これは、「ハイブリッドエクストラアーバンモード2」と述べられる。
【0027】
この変速機の以下の技術特性は、特に好都合である。
− トルクの要らない転換伝達である、
− 電気機械は、ハイブリッドモードにおいて第3の歯車R3上で使用され得る、
− 一次軸のカプラのおかげで、歯車を転換するとき、機関は、迅速に同期する、
− 車両は、熱モードで始動し得る、
− この変速機は、第3の歯車R3上でハイブリッドモードを有する、
− カプラC−Couplageを漸進的に閉じることで、電気機械を用いて熱機関を起動することによって始動すること(「バンプ始動」)が可能になる。
【0028】
この変速機は、特に長さが短い。この利点が得られる理由は、まず、長手方向において、変速機が有しているのは、3つの歯区分および1つの結合ユニットだけであるからである。その上、二次軸上には、結合手段がないので、二次軸と差動装置との間の中心間距離は短くなる。さらに、第2の歯車R2は、第3の歯車R3に面している。最後に、中実軸3および12上にカプラが配置されており、カプラに面している大歯車がないという事実が、中心間の距離を縮小させるのに役立つ。
【0029】
図12図13、および図14の変形例では、第2の歯車および第3の歯車の間歯車14、5は、前述の図に関連してそれぞれ逆さになっている。電気選択軸12は、第1の歯車用間歯車13および第3の歯車用間歯車5のための第1の二重結合ユニット22を支え、一方で、中実一次軸1は、一次軸1、3の第2の二重結合ユニット21と、第2の歯車を選択するための間歯車14を支える。
【0030】
前述の図のカプラは、中実一次軸1上の結合ユニット6、7の代わりに、および電気選択軸12上の結合ユニット16、17の代わりにそれぞれ配置された2つのつめ付きカプラ21、22に置き換えられている。これらのつめ付きカプラは、トルクを遮断するが、変速機の長さをさらに縮小することを可能にし、それによって、より嵩の大きい電気機械を使用することを可能にしている。つめ付きの場合、図9に示されるように、第3の歯車R3に電気機械が設けられた「ハイブリッドエクスプレスウェイ」モードは、一次のカプラ21による歯車の結合が、2つの一次軸1および3の結合を防止しているので、もはやアクセス可能ではない。図12に示される配置では、異なる歯車範囲が、電気選択軸12上の第1の歯車および第3の歯車R1、R3を用いて、そして一次上の熱的第2の歯車R2を用いて選択することができる。中間軸8は、電気選択軸12の第1のR1および第3のR3の間歯車13および5と噛み合っている第1の歯車R1の固定歯車9および第3の歯車R3の固定歯車8aを支える。
【0031】
変形例として、変速機の長さが縮小されることを利用して、従来型の歯車箱の長さを超えることなく第4の歯車が加えられ得る。この解決策は、図12の歯車R1、R2、およびR3の配置を示す図13に図示される。第4の歯車R4は、二次軸19上の大歯車18、19aによる電気中間歯車の外側に加えられている。中実一次軸1は、二次軸19の固定歯車と噛み合う第4の大歯車23と、第3のつめ付きカプラ25とを支える。その場合、中実一次軸1は、二次軸19上の第4用の固定歯車24と噛み合う、第4の歯車用の間歯車23を支える。変速機は、そのシャフト19上の第4用の間歯車23を結合するために第3のつめ付きカプラ25を有する。この解決策は、融通性を提供する利点を有する。この変形例では、第4の歯車R4は、一次1のベアリングの間に、または外側に配置され得、その場合、第4の間歯車23および第3のカプラ25は、図面に示すように、電気選択軸12と二次軸19との間で、中間歯車18、19aの外側に配置される。
【0032】
図14に示される別の変形例は、変速機の長さが縮小されたことを利用して、熱機関に面する中実一次軸上にローラ交流発電機などの第2の電気機械26を加えることに関係するものである。その場合、中実一次軸1は、電気選択軸12と二次軸19との間で、中間歯車18、19aの外側に配置された第2の電気牽引機を支える。
【0033】
この「標準マイクロハイブリッド」配置の主要な利点は、始動機から何ら騒音を発することなく、熱機関を即座にかつ静かに始動することを可能にすることである。熱機関の始動時間を縮小することは、ハイブリッド車両における運転の快適性を確実にするのに不可欠な基準である。さらに、この配置は、熱機関が牽引に使用されていない場合、熱機関を切断して停止させる。さらに、第2の電気機械は、追い越し時に、大幅な出力増大を提供する。機関制動が、例えば「セーリング」モードにおいて、一時的に見合わせられ、機関制動されずに、電気機械単独で低負荷を提供または維持するとき、この配置は、減速の間の電気再生を利用して、消費を大幅に向上させることができる。
【0034】
第2の電気機械26も同様に、電気的同期または「e同期」を利用して、歯車転換を改良するのに役立つ。熱機関に直接結合されるこの電気機械は、無負荷運転時に、熱機関の非常に正確な制御を可能にする。機関の速度は、電気機械と正確に同期され得る。無負荷運転機関の速度を制御した結果、機械的な同期装置なしで、速度変化が縮小され、衝撃の変化も縮小された。この同期モードは、熱機関の減速を伴うシフトアップ時に特に顕著である。
【0035】
最後に、この第2の電気機械は、熱機関の弾み車によって蓄えられた運動エネルギーを回復することを可能にする。
【0036】
図14に示される構成は、変速機が、カプラ22の位置に応じて、第1の歯車および第3の歯車において「標準ハイブリッド」モードで動作することを可能にする。これらのモードは、低燃料消費および運転の快適性であることから、低負荷および低速度(例えば市中または交通渋滞での)に特によく適している。
【0037】
これらのモードは、触媒を、牽引とは無関係な最適負荷レベルまで加熱するのにも同様に有用である。これは、バッテリの触媒を加熱することによって発生したエネルギーを蓄える一方で、排出物を縮小させるのに役立つ。さらに、熱機関が、電気モードにおいて特定の歯車を転換する間には始動されずに駆動される場合、転換は、例えば、第2の電気機械26を用いたトルク補償を利用しながら、トルクを用いて第1の電気歯車から第3の電気歯車に転換するなど、トルクを用いて行われることもできる。
【0038】
図15は、特定の経済的便益を提供する、変速機の「混合」実施形態を示す。この実施形態では、第1のクラッチ16および第2のクラッチ17は、電気選択軸12上にある。反対に、中実一次軸1は、図11図12、および図13に示されるつめ付きカプラ22を支える。したがって、第の結合ユニット16、17は、マルチディスククラッチで構成されており、一方で、第の結合ユニット21は、つめ付きカプラである。この解決策は、トルクを用いた転換を維持しているが、熱機関は、熱機関が噛み合わされるときには、援助なしで自体を同期させなければならない。
【0039】
前述した本発明の実施形態の全ておよび実施形態の非限定的な変形例の全てにおいて、車両の熱機関と連結された中実一次軸と同心である中空一次ハイブリッド変速機軸に連結された車両の電気牽引機からトルクを伝達する方法は、同じである。電気機械からのトルクは、中空一次軸から中間伝送軸を経て電気歯車選択軸に伝わり、前記トルクは、2つの選択可能な電気歯車20のうちの1つを経て、車両の車輪と連結された第2の変速機軸に伝達され得る。
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