(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、以下の
図1から
図9において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0011】
[実施形態1]
本実施形態では、前記光源装置として有機EL照明装置を例に挙げて、本発明の光源装置及び有機ELパネル制御装置について説明する。
【0012】
(有機EL照明装置)
図1は、本実施形態の有機EL照明装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の有機EL照明装置1は、有機ELパネル10、制御装置20、及び電源駆動回路50を構成要素として含む。有機ELパネル10は、後述の通り、発光色の異なる複数の有機EL素子を含む。制御装置20は、輝度検出手段30及び制御手段40を構成要素として含む。また、同図に示すように制御装置20は、制御手段40を介して、電源駆動回路50に電気信号を送信可能であり、輝度検出手段30及び制御手段40は、互いに電気信号を交信可能である。
【0013】
次に、本実施形態の有機EL照明装置1の動作方法の一例について説明する。電源駆動回路50は、有機ELパネル10の前記複数の各有機EL素子を独立して駆動させる。これにより、有機ELパネル10は、前記複数の有機EL素子の発光により白色発光を形成する。次に、制御装置20は、輝度検出手段30により有機ELパネル10の前記有機EL素子の輝度情報を検出する。次に、輝度検出手段30は、例えば、前記検出した輝度情報を電気信号として制御手段40に送信する。次に、制御手段40は、例えば、前記輝度情報に基づいて前記各有機EL素子の輝度を制御する。制御手段40による具体的な制御方法については、後述する。そして、制御手段40は、電源駆動回路50に輝度制御情報を電気信号として送信する。次に、電源駆動回路50は、前記輝度制御情報に基づいて、前記複数の有機EL素子を独立して駆動させる。
【0014】
以下、本実施形態の有機EL照明装置1の前記各構成要素(有機ELパネル、制御装置、及び電源駆動回路)についてさらに詳しく説明する。
【0015】
(有機ELパネル)
図2は、本実施形態の制御対象の有機ELパネル10の一例を示す断面図である。同図に示す有機ELパネル10は、赤、緑、及び青の単色発光層15r、g、bをそれぞれ備えた構成をとる。前記構成により、同図の有機ELパネル10は、前記複数色の発光色の加法混色により白色光を形成する。
【0016】
同図の有機ELパネル10は、透明基板(ガラス基板)11の一方の面上に各発光層(赤色発光層15r、緑色発光層15g、青色発光層15b)に対応した陽極12r、g、bが並列して配置されており、ガラス基板11の他方の面には、光拡散板19が配置されている。そして、陽極12を取り囲むようにして正孔注入層13が形成されており、さらに、正孔輸送層14、各発光層15、電子輸送層16及び電子注入層17が前記順序で積層されている。そして、電子注入層17の上方に、陰極18r、g、bが、各単色発光層15r、g、bに対応して並列に配置されている。このようにして、赤色発光有機EL素子、緑色発光有機EL素子、及び青色発光有機EL素子が構成される。同図では、有機ELパネル10が、各単色(赤、緑、青)発光有機EL素子を一つずつ備えた構成を示しているが、これは、前記各単色発光有機EL素子が、繰り返し配列された構成を便宜上簡略化したものである。
【0017】
尚、同図の有機ELパネル10の透明基板11は、ガラス基板としているが、本実施形態において、透明基板11としては、ガラス基板等のようなリジッドな材料を用いてもよいし、高分子フィルム等のようなフレキシブルな材料を用いても良い。
【0018】
同図に示す有機ELパネル10は、前述の通り、光拡散板19を構成要素として備える。これにより、ガラス基板11と外部の空気層との屈折率の差による出射光の全反射を防ぐことができ、光の取り出し効率が向上する。但し、本実施形態における有機ELパネルにおいて、前記光拡散板は、任意の構成要素である。
【0019】
各色発光層15r、g、bは、それぞれに、陽極及び陰極を有しているため、前記有機EL素子毎に、電流を印加することが可能である。このため、前記有機EL素子毎の輝度を個別に調整可能である。
【0020】
有機ELパネル10における、前記各構成要素の形成材料及び形成方法は、特に制限されず、それぞれ周知の材料及び周知の方法を用いて形成すればよい。
【0021】
本実施形態の制御対象の有機ELパネルは、同図の有機ELパネル10に限定されない。例えば、各単色発光層15を、黄色の単色発光層及び青色の単色発光層で構成する等、デバイス構成を変更しても良い。また、各単色発光層の面積を適宜増減させる等、デバイス面積を変更しても良い。また、各単色発光層を、昼光色等の高色温度の白色発光層及び電球色等の低色温度の白色発光層とし、白色の中で色温度を変化させる構成としても良い。また、前記複数の単色発光層を含む有機ELパネルを透明となる構成(所謂両面から光を取出す両面発光)としても良い。
【0022】
また、本実施形態の制御対象の有機ELパネルは、同図に示す、前記各単色発光層を並列して配置する構成に限定されない。具体的には、例えば、前記各有機EL素子を、
図3に示す有機ELパネル100の模式図のような構成としても良い。すなわち、
図3に示すように、各有機EL素子115b、115g、115rが、例えば、光透過性を有しており、かつ前記順序で発光軸方向Lに積層されている構成としても良い。また、同図の有機ELパネル100において、電源駆動回路50が、個々の有機EL素子毎を独立して駆動させるような構成をとる。前記構成をとることにより、
図1に示す有機ELパネル10と比較して発光面積が3倍以上となる。これにより、単位面積当たりの輝度・光束をより大きくすることができるため好ましい。
【0023】
(制御装置)
本実施形態の制御装置20は、輝度検出手段30及び制御手段40を構成要素として含む。但し、本実施形態において、輝度検出手段30は、任意の構成要素である。
【0024】
<輝度検出手段>
輝度検出手段30は、前記有機EL素子毎の輝度を検出する。すなわち、制御対象の有機ELパネルが、
図1の有機ELパネル10である場合、赤色発光有機EL素子、緑色発光有機EL素子、及び青色発光有機EL素子のそれぞれに対応した輝度検出手段30が、それぞれの有機EL素子毎の輝度を検出する。
【0025】
輝度検出手段30としては、特に制限されず、例えば、公知の光センサが挙げられる。前記光センサとしては、特に制限されず、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC(集積回路)、フォトレジスタ等の小型センサ素子を含んでも良い。
【0026】
図4(A)は、輝度検出手段30の回路として、デジタルカラーセンサーの一例を示す。同図(A)に示すように、まず各色(赤色、緑色、青色)の有機EL素子に対応したフォトダイオード31r、g、bが、各色の光を検出する。前記検出された各色の光は、それぞれ、周波数変換器(L/F)32により、所定の周波数に変換して出力される。次に、前記各周波数の出力値は、タイミングコントローラ33により、タイミングをとったうえ、ゲート端子がHighの期間に、カウンタがカウントされ、有機EL素子毎に対応したレジスタ34に、カウント値が保持される。次に、CLK(クロック)端子35に前記カウント値を読み出すためのパルスを入力する。これにより、前記有機EL素子毎の前記カウント値が、前記パルスに同期して変換器36によりシリアル変換され、Data out端子37に電気信号としてシリアル出力される。前記電気信号は、例えば10ビット、12ビット等で処理されており、3色順番に読み出される。このようにして、輝度検出手段30の検出した各色有機EL素子の輝度を、制御手段40に出力する。但し、本例は、輝度検出手段の一例であり、輝度検出手段30は、有機EL素子毎の輝度を検出し、検出した輝度の値を制御手段40に出力できればこれに限定されない。
【0027】
図4(B)は、輝度検出手段30の回路の別の一例としてアナログカラーセンサーの一例を示す。同図(B)に示す回路は、差分増幅回路(OPアンプ)42r、g、bを含む。差分増幅回路(OPアンプ)42r、g、bの非反転入力端子(+)は、それぞれ、フォトダイオード41r、g、bのカソード端子に接続されている。差分増幅回路(OPアンプ)42r、g、bの反転入力端子(−)は、それぞれ、フォトダイオード41r、g、bのアノード端子に接続されている。また、各OPアンプ41r、g、bの出力端子と前記反転入力端子(−)との間には、帰還抵抗R
fr、R
fg、R
fbが設けられている。受光によるフォトダイオード41r、g、bからの電流I
R、I
G、I
Bは、それぞれ、OPアンプ42r、g、bにより、I−V(電流−電圧)変換されるとともに、帰還抵抗R
fr、R
fg、R
fbの大きさ分増幅され、反転した出力電圧(−I
R×R
fr、−I
G×R
fg、−I
B×R
fb)となる。前記出力電圧は、前記各フォトダイオード41r、g、bの受光量が増えると負側に振れる。このため、単電源のOPアンプを使用した場合は、非反転入力端子(+)にオフセット電圧を加えて、前記オフセット電圧を基準電位として負側へ出力を振る。前記各色の出力電圧(V
Rout、V
Gout、V
Bout)は、それぞれ、オフセット電圧V
ofsと、受光による起電流と帰還抵抗分との積(I
R×R
fr、I
G×R
fg、I
B×R
fb)の差分として得られる。
【0028】
輝度検出手段30の配置する位置は、特に制限されず、例えば、有機ELパネル10内に配置しても良い。具体的には、例えば、有機ELパネル10内のガラス基板上に配置しても良い。
【0029】
<制御手段>
制御手段40は、前記検出された前記有機EL素子毎の輝度情報に基づいて、制御対象の有機ELパネルにおける発光色の異なる複数の有機EL素子の発光色の加法混色により形成される白色光の色温度が、予め設定された前記色温度と同一となるように制御する。すなわち、制御手段40は、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御する。
【0030】
本実施形態において、「前記予め設定された」色温度とは、特に制限されず、例えば、製造時において、初期設定された色温度であってもよく、製造後にユーザにおいて設定された色温度であっても良く、また、例えば、生活環境に対応した照明器具で、朝に昼光色、昼に昼白色、夜に電球色と調色できるものがある。より具体的には、前記照明器具としては、例えば、朝の起床時においては、目覚めのよい昼光色であり、昼には、活動的な昼白色、夜はリラックスできる電球色に変化するものがある。このような場合、生活環境に対応するように、時刻に合わせて色温度を設定しても良い。
【0031】
本実施形態において、前記「最も輝度寿命の短い有機EL素子」とは、特に制限されないが、例えば、青色発光有機EL素子であっても良く、他の色を発光する有機EL素子であっても良い。前記青色発光有機EL素子は、原理的には、白色発光有機EL素子を構成する前記各色発光有機EL素子の中で最も短寿命になる。しかしながら、前記他の色を発光する有機EL素子であっても、多層膜中の発光材料及び周辺材料、素子・デバイス構成、採用するプロセス等により、前記各有機EL素子の輝度寿命は、全く異なった振る舞い又は特性を示す場合がある。また、前記材料等のロットバラツキ、工程の揺らぎ等においても前記輝度寿命が影響する場合がある。このため、本実施形態において、輝度検出手段30により、前記各有機EL素子の輝度の経時変化を随時測定し、前記最も輝度寿命の短い有機EL素子を随時決定する事が好ましい。これにより、例えば、前記最短寿命素子の駆動電流値を上げることを防止でき、前記最短寿命素子の駆動条件・負荷が増大することによる寿命低下を抑制できる。
【0032】
本実施形態において、前記「前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御する」とは、特に制限されず、例えば、前記有機EL素子の輝度を低下させることをいう。但し、前述のように、予め設定された前記色温度と同一となるように制御すればよく、例えば、前記輝度を低下させなくても、前記色温度と同一となる場合は、低下させなくても良い。
【0033】
制御手段40の具体的な構成の一例としては、例えば、記憶部及び演算部を構成要素とする。
【0034】
<記憶部>
前記記憶部は、予め測定した有機EL素子毎の輝度の経時変化情報を記憶する。前記記憶部としては、特に制限されないが、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等が挙げられる。
【0035】
前記「経時変化情報」とは、特に制限されず、例えば、
図5に示す各有機EL素子(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))の輝度寿命曲線により得られる輝度若しくは光束の経時的な低下情報、駆動に伴う各単色発光層の色度の経時的な変化情報等が挙げられる。尚、
図5は、一般的な前記各有機EL素子の輝度寿命曲線の一例である。
【0036】
<演算部>
前記演算部は、前記経時変化情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子に対する駆動電流又は駆動電圧を決定する。具体例として、例えば、前記経時変化情報が、前記輝度寿命曲線により得られる輝度の経時的な低下情報である場合について説明する。すなわち、前記演算部は、前記低下情報に基づいて、最も輝度低下の大きい有機EL素子の輝度を固定し、加法混色して予め設定した白色色温度と同一になるように、他の色の有機EL素子を駆動させる駆動電流値若しくは駆動電圧値を算出する。前記演算部は、前述の通り、駆動電流及び駆動電圧のいずれか一方を決定すればよいが、駆動電流を決定する事が好ましい。これにより、前記温度などの環境変動にも対応しやすく、より長寿命な有機ELパネルの実現が可能となる。
【0037】
本実施形態において、さらに、実デバイスに使用する各色発光材料の輝度(光束)の経時変化を測定又は検証したデータに基づいて得られた前記経時変化情報から、最も寿命の短い色の輝度(光束)を基準として、黒体軌跡上の色度座標へ合わせるように各色の階調値を設定しても良い。有機ELパネルの前記各色発光有機EL素子の輝度(光束)寿命は、それぞれ使用する材料とデバイス構成、及び発光面積により一意的に決定される。そして、各色個別に使用材料とデバイス構成、デバイス面積が決定した場合の輝度(光束)の経時変化情報を輝度寿命の指標とする。そして、制御手段40は、前記最も寿命の短い色の輝度(光束)を基準として、他の色の輝度(光束)を制御し、黒体軌跡上の色度座標へ合わせるように制御する。この場合、例えば、各色の発光有機EL素子の経時変化情報から補正する出力階調値への変換処理を、参照テーブルを参照して行っても良い。
【0038】
表1に、前記参照テーブルの一例を示す。表1は、前記発光色の構成を赤、緑、青の3色とし、青色発光有機EL素子が、最短寿命素子で基準階調とし、各色を8ビットで制御した時の参照テーブルの一例である。
【0040】
前記記憶部は、例えば、前記経時変化情報と、前記参照テーブルとを記憶しても良い。そして、前記記憶部は、前記階調値又は経時変化情報(例えば、輝度(光束)変化率)のいずれかの入力値に対して、前記参照テーブルにより、対応する値を読み出しても良い。具体的には、例えば、前記記憶部は、入力階調値が、127である場合、赤色発光有機EL素子の補正階調値119及び緑色発光有機EL素子の補正階調値110を読み出す。そして、前記記憶部は、前記階調値データを前記演算部に送信する。但し、本実施形態における、前記参照テーブルは、これに限定されない。例えば、表1の前記参照テーブルでは、前記各色を8ビットで制御しているが、より滑らかな変換をするために、10ビット、12ビットと階調数を大きくしても良い。
【0041】
本実施形態において、前記参照テーブルを適用する場合、制御手段40は、例えば、入力輝度に対する出力輝度の割当変換テーブルをそれぞれ階調分準備して、入力輝度に対する出力輝度を予め作成する作成手段を有しても良い。これらの構成は、例えば、FPGA(Field−programmable gate array)により簡易に作成する事が出来る。なお、本実施形態では、参照テーブルの値を離散(量子化、デジタル)した値として説明したが、連続的な値であってもよい。さらに、本実施形態では、参照テーブルを用いて説明したが、これらは関数であってもよい。
【0042】
(電源駆動回路)
電源駆動回路50は、制御装置40による輝度制御情報に基づいて、制御対象となる前記有機ELパネルの複数の有機EL素子を、独立して駆動させる。尚、本実施形態において、電源駆動回路50は、任意の構成要素であり、なくても良い。
【0043】
電源駆動回路50としては、特に制限されず、例えば、各有機EL素子に駆動電流を供給する手段等が挙げられる。
【0044】
本実施形態において、電源駆動回路50は、例えば、前記輝度制御情報の電気信号に応じて、前記供給する駆動電流をPWM(Pulse Width Modulation)制御若しくはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御により行っても良いが、前記PWM制御により行う方が、より容易に制御可能であるため好ましい。また、駆動電流及び電圧について、前記PWM及びPAM制御を同時に行っても良い。
【0045】
(制御方法)
次に、本実施形態において、制御装置20を用いた場合の有機ELパネルの制御方法について
図6のフローチャートを用いて説明する。但し、本発明の制御方法は、制御装置20を用いることに限定されない。
【0046】
<輝度検出工程(S11)>
まず、輝度検出手段30により、前記有機EL素子毎の輝度情報を個別に検出する。前記検出された輝度情報は、例えば、電気信号に変えて制御手段40に送信される。
【0047】
<輝度制御工程(S12)>
次に、制御手段40が、前記検出された前記有機EL素子毎の輝度情報に基づいて、制御対象となる有機ELパネルにおける発光色の異なる複数の有機EL素子の発光色の加法混色により形成される白色光の色温度が、予め設定された前記色温度と同一となるように制御する。すなわち、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御する。具体的には、制御手段40は、例えば、前記検出された前記各色の発光有機EL素子の輝度から最も輝度低下の大きい色の発光有機EL素子を決定する。そして、制御手段40は、例えば、前記最も輝度低下の大きい色の発光有機EL素子に供給する駆動電流値を固定し、その他の色の発光有機EL素子に供給する駆動電流値を低下させる。前記最も輝度低下の大きい色の発光有機EL素子として、青色発光有機EL素子を固定する場合は、予め設定された前記色温度と同一となるように、その他の色である赤色及び緑色の発光有機EL素子に供給する駆動電流値を低下させる。
【0048】
前記輝度制御工程において、例えば、
図7のフローチャートに示すように、記憶工程(S12−1)及び演算工程(S12−2)を含んでも良い。前記記憶工程は、例えば、前記記憶部により予め測定した前記有機EL素子毎の輝度の経時変化情報を記憶する(記憶工程、S12−1)。前記演算工程は、例えば、前記演算部により、前記経時変化情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子に対する駆動電流値又は駆動電圧値を決定する(演算工程、S12−2)。
【0049】
<駆動工程(S13)>
次に、電源駆動回路50は、制御手段40による前記輝度制御情報に基づいて、前記複数の有機EL素子を独立して駆動させる。尚、本工程(S13)は、本発明の制御方法において、任意の工程である。
【0050】
本実施形態では、前述の通り、制御装置20が、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、その他の有機EL素子の輝度を、初期設定時の前記色温度と同一の値となるように制御する。これにより、一般的な白色有機EL素子では困難であった連続点灯若しくは連続使用による経時的な色温度又は色ズレの補正が可能となる。これにより、制御対象の有機ELパネルにおいて、色温度の変動が抑えられる。これにより、制御装置20は、例えば、制御対象の前記有機ELパネルの各色の有機EL素子の輝度(光束)寿命の低下を効率良く抑えることができ、前記有機ELパネルを長寿命化できる。
【0051】
[実施形態2]
図8は、本実施形態の有機EL照明装置200の構成を示すブロック図である。本実施形態の制御装置70は、時間測定手段60を含む。時間測定手段60は、前記有機EL素子の駆動時間を測定する。制御手段40の演算部は、時間測定手段60により測定された駆動時間と、記憶部により記憶された経時変化情報とを関連付けて、前記駆動電流又は駆動電圧を決定する。時間測定手段60は、制御手段40及び電源駆動回路50と、それぞれ電気信号を送受信可能である。本実施形態の制御装置70は、これらの構成以外については、実施形態1の制御装置20と同一の構成をとる。尚、本実施形態において、前記輝度検出手段は、任意の構成要素であり、あっても良いし、なくても良い。
【0052】
(時間測定手段)
時間測定手段60は、前述の通り、前記有機EL素子の駆動時間を測定する。本実施形態において、前記「駆動時間」とは、特に制限されないが、例えば、電源駆動回路50からリセット信号を受信した時から測定時までの前記有機EL素子の駆動時間の積算値であっても良い。
【0053】
時間測定手段60としては、特に制限されず、例えば、公知のものを使用でき、タイマー等が挙げられる。前記タイマーとしては、例えば、クロックを与えて、レジスタを操作することにより、リセット若しくはカウントを開始し、前記カウント値を読み出すレジスタによりその値を積算して計測するようなマイコン/ICのタイマー等が挙げられる。
【0054】
(制御方法)
次に、本実施形態において、制御装置70を用いた場合の有機ELパネルの制御方法について
図9のフローチャートを用いて説明する。但し、本発明の制御方法は、制御装置70を用いることに限定されない。
【0055】
<時間計測工程(S21)>
まず、時間計測工程において、時間測定手段60により、リセット信号から駆動時間を積算する。
【0056】
<制御工程(S22)>
制御工程において、まず、実施形態1のS12−1を行った後、制御手段40の前記演算部により、時間測定手段60により測定された駆動時間と、前記記憶部により記憶された前記経時変化情報とを関連付けて、前記駆動電流又は駆動電圧を決定する(S12−2´)。この場合、実施形態1で説明したように、経時変化情報から各色の補正階調値へ変換処理を行っても良い。
【0057】
<駆動工程(S23)>
駆動工程は、実施形態1のS13と同様にして行う。
【0058】
本実施形態においても、前述の通り、制御装置70が、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、その他の有機EL素子の輝度を、初期設定時の前記色温度と同一の値となるように制御する。これにより、一般的な白色有機EL素子では困難であった連続点灯若しくは連続使用による経時的な色温度又は色ズレの補正が可能となる。これにより、制御対象の有機ELパネルにおいて、色温度の変動が抑えられる。これにより、制御装置70は、例えば、制御対象の前記有機ELパネルの各色の有機EL素子の輝度(光束)寿命の低下を効率良く抑えることができ、前記有機ELパネルを長寿命化できる。
【0059】
さらに、本実施形態において、例えば、前記制御方法をプログラムとして前記電源駆動回路のCPU(中央処理装置)に実行させれば、前記CPUから各色の駆動電流の信号を出力し、前記信号に従って電源回路から各色の有機EL素子に最適な駆動電流を各色有機EL素子に入力することができる。これにより、連続点灯、仕様による経時的な色温度、色ずれの補正が可能となる。
【0060】
[実施形態3]
本実施形態のプログラムは、実施形態1〜2の制御方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。または、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。前記記録媒体としては、特に制限されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク等が挙げられる。
【0061】
本実施形態において、前記電源駆動回路のCPUにより前記プログラムを実行させることが好ましい。そして、前記プログラムを用いて前記CPUから各色の駆動電流の信号を出力し、前記信号に従って、前記電源駆動回路から各色有機EL素子に最適な駆動電流を各色有機EL素子に入力することが好ましい。これにより、連続点灯、使用による経時的な色温度、色ズレの補正が可能となり、しかも光源装置の構成として簡便な構成をとる事ができる。
【0062】
以上、実施形態1及び2において、本発明の光源装置を、有機EL照明装置を例としたが、本発明の光源装置は、これに限定されない。例えば、本発明の制御装置は、液晶表示装置のバックライト等にも適用でき、本発明の光源装置を、液晶表示装置としても良い。
【0063】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることが出来る。
【0064】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載し得るが、以下には限定されない。
【0065】
(付記1)
輝度制御手段を含み、
前記輝度制御手段は、制御対象の有機ELパネルにおける発光色の異なる複数の有機EL素子の発光色の加法混色により形成される白色光の色温度が、予め設定された前記色温度と同一となるように、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御することを特徴とする有機ELパネル制御装置。
【0066】
(付記2)
前記輝度制御手段は、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を低下させる付記1記載の有機ELパネル制御装置。
【0067】
(付記3)
さらに、前記有機EL素子毎に対応する輝度検出手段を含み、
前記輝度検出手段は、前記有機EL素子の輝度情報を検出し、
前記輝度制御手段は、前記検出された前記有機EL素子毎の輝度情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御する付記1又は2記載の有機ELパネル制御装置。
【0068】
(付記4)
前記輝度制御手段は、記憶部及び演算部を含み、
前記記憶部は、予め測定した前記有機EL素子毎の輝度の経時変化情報を記憶し、
前記演算部は、前記経時変化情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子に対する駆動電流又は駆動電圧を決定する付記1から3のいずれかに記載の有機ELパネル制御装置。
【0069】
(付記5)
さらに、時間測定手段を含み、
前記時間測定手段は、前記各有機EL素子の駆動時間を測定し、
前記輝度制御手段の前記演算部は、前記時間測定手段により測定された駆動時間と、前記記憶部により記憶された前記経時変化情報とを関連付けて、前記駆動電流又は駆動電圧を決定する付記4記載の有機ELパネル制御装置。
【0070】
(付記6)
有機ELパネルと、付記1〜5のいずれかに記載の有機ELパネル制御装置と、を含み、
前記有機ELパネルは、発光色の異なる複数の有機EL素子を有することを特徴とする光源装置。
【0071】
(付記7)
前記有機ELパネルは、さらに電源駆動回路を含み、
前記電源駆動回路は、前記制御装置による前記輝度制御情報に基づいて、前記複数の有機EL素子を独立して駆動させる付記6記載の光源装置。
【0072】
(付記8)
前記各有機EL素子は、光透過性を有しており、かつ発光軸方向に積層されている付記6又は7記載の光源装置。
【0073】
(付記9)
前記基準となる有機EL素子が、青色発光有機EL素子である付記6から8のいずれかに記載の光源装置。
【0074】
(付記10)
輝度制御工程を含み、
前記輝度制御工程は、制御対象となる有機ELパネルにおける発光色の異なる複数の有機EL素子の発光色の加法混色により形成される白色光の色温度が、予め設定された前記色温度と同一となるように、最も輝度寿命の短い有機EL素子の輝度を基準として、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御することを特徴とする有機ELパネル制御方法。
【0075】
(付記11)
前記輝度制御工程において、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を低下させる付記10記載の有機ELパネル制御方法。
【0076】
(付記12)
さらに、輝度検出工程を含み、
輝度検出工程において、前記有機EL素子の輝度情報を検出し、
前記輝度制御工程において、前記検出された前記有機EL素子毎の輝度情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子の輝度を制御する付記10又は11記載の有機ELパネル制御方法。
【0077】
(付記13)
前記輝度制御工程は、さらに、記憶工程及び演算工程を含み、
前記記憶工程において、予め測定した前記有機EL素子毎の輝度の経時変化情報を記憶し、
前記演算工程において、前記経時変化情報に基づいて、前記基準となる有機EL素子以外の有機EL素子に対する駆動電流又は駆動電圧を決定する付記10から12のいずれかに記載の有機ELパネル制御方法。
【0078】
(付記14)
さらに、時間測定工程を含み、
前記時間測定工程において、前記各有機EL素子の駆動時間を測定し、
前記輝度制御工程の前記演算工程は、前記時間測定工程により測定された駆動時間と、
前記記憶工程により記憶された前記経時変化情報とを関連付けて、前記駆動電流又は駆動電圧を決定する付記13記載の有機ELパネル制御方法。
【0079】
(付記15)
付記10から14のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0080】
(付記16)
付記15記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0081】
この出願は、2014年6月26日に出願された日本出願特願2014−131847を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。